(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-17
(45)【発行日】2023-01-25
(54)【発明の名称】自走式電気掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20230118BHJP
A47L 9/00 20060101ALI20230118BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20230118BHJP
【FI】
A47L9/28 U ZIT
A47L9/28 E
A47L9/00 102Z
G05D1/02 H
(21)【出願番号】P 2017244101
(22)【出願日】2017-12-20
【審査請求日】2020-09-07
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 浩太
(72)【発明者】
【氏名】丸谷 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】杉本 淳一
(72)【発明者】
【氏名】洪 庚杓
(72)【発明者】
【氏名】金山 将也
【合議体】
【審判長】佐々木 芳枝
【審判官】長馬 望
【審判官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-57647(JP,A)
【文献】特開2017-182175(JP,A)
【文献】特開2007-319457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/28
A47L 9/00
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を電源として自走しつつ掃除対象領域を掃除する自走式電気掃除機であって、
電池残量を検出する残量検出部と、
前記電池からの給電により駆動される駆動部と、
この駆動部を制御する制御部と、
前記駆動部の制御内容に関する情報と、前記制御内容の実行時における使用電力に関する情報とを対応付けた使用電力情報を記録する記録部とを備え、
前記制御部は、前記残量検出部により検出
された現在の電池残量で前記記録部に記録された前記使用電力情報の制御内容を以後実行すると前記使用電力情報の使用電力に対して不足することが予測される場合には、現在の前記電池残量に対する前記使用電力情報の使用電力の割合に応じてこの使用電力よりも抑制された使用電力となるように制御内容を変更
し、その変更した制御内容で前記駆動部を制御する
ことを特徴とした自走式電気掃除機。
【請求項2】
掃除をしたことのある掃除対象領域を登録する登録部と、
複数の前記掃除対象領域の中から所定の掃除対象領域であることを識別する識別部とを備え、
記録部は、前記掃除対象領域毎に
制御内容に対応付けられた使用電力情報を記録し、
制御部は、複数の前記掃除対象領域のうち現在の掃除対象領域における前記使用電力情報を制御内容の変更に使用する
ことを特徴とした請求項1記載の自走式電気掃除機。
【請求項3】
制御部は、
前記登録部に登録された掃除対象領域が複数の場合、前記登録部に登録された掃除対象領域が1つの場合に比べて、1つの前記掃除対象領域の掃除が終了したときの電池残量を多く残すように制御内容を変更する
ことを特徴とした請求項2記載の自走式電気掃除機。
【請求項4】
走行用の駆動輪と、
この駆動輪を駆動させる駆動部としてのモータとを具備し、
制御部は
、変更した制御内容に基づき
前記モータの動作を制御して走行速度を調整する走行制御部を備えた
ことを特徴とした請求項1ないし3いずれか一記載の自走式電気掃除機。
【請求項5】
掃除対象領域の被掃除面の塵埃を吸い込む負圧を発生させる駆動部としての電動送風機を具備し、
制御部は
、変更した制御内容に基づき
前記電動送風機の動作を制御して前記電動送風機の出力を調整する吸引制御部を備えた
ことを特徴とした請求項1ないし4いずれか一記載の自走式電気掃除機。
【請求項6】
制御部は、これから走行する予定の走行経路を、走行済み領域と未走行領域との境界からこの未走行領域側に所定の間隔を空けた位置を走行するように設定する経路設定部を備え、
前記経路設定部は
、残量検出部により検出
された現在の電池残量
のときに記録部に記録された使用電力情報の制御内容を以後実行すると前記使用電力情報の使用電力に対して不足することが予測される場合には、前記間隔を
大きくするするように前記走行経路
を変更可能である
ことを特徴とした請求項1ないし5いずれか一記載の自走式電気掃除機。
【請求項7】
走行方向に対して所定の幅で掃除する清掃部を備え、
残量検出部により検出
された現在の電池残量
のときに記録部に記録された使用電力情報の制御内容を以後実行したときの前記使用電力情報の使用電力に対する不足が所定以上である場合に、制御部は、以後の走行経路における間隔を清掃部の幅よりも大きくするように制御内容を変更する
ことを特徴とした請求項6記載の自走式電気掃除機。
【請求項8】
掃除対象領域に設置された充電装置に対して走行により連結可能でこの充電装置を介して電池を充電するための充電端子を備え、
制御部は、制御内容の変更を、少なくとも前記充電端子が前記充電装置に連結された状態において実施し、この変更した前記制御内容の実行による使用電力に対して残量検出部により検出
された現在の電池残量が足りることを条件の一つとして制御を開始させる
ことを特徴とした請求項1ないし7いずれか一記載の自走式電気掃除機。
【請求項9】
制御部により変更した制御内容に基づく外部への報知を実施する機能を備えた
ことを特徴とした請求項1ないし8いずれか一記載の自走式電気掃除機。
【請求項10】
所定の時間帯に掃除を実行するように設定可能な機能を備え、
制御部は、設定された前記時間帯内に掃除が完了するように制御内容を変更する
ことを特徴とした請求項1ないし9いずれか一記載の自走式電気掃除機。
【請求項11】
前記制御部は、前記残量検出部により検出
された現在の電池残量で前記記録部に記録された前記使用電力情報の制御内容を以後実行すると前記使用電力情報の使用電力に対して余裕があることが予測される場合には、現在の前記電池残量に対する使用電力情報の使用電力の割合に応じてこの使用電力よりも増加させた使用電力となるように制御内容を変更する
ことを特徴とする請求項1ないし10いずれか一記載の自走式電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、自走しつつ掃除対象領域を掃除する自走式電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二次電池を電源とし、被掃除面としての床面上を自律走行しながら床面を掃除する、いわゆる自律走行型の電気掃除機(掃除ロボット)において、カメラを搭載し、このカメラにより撮像された画像データから特徴点を抽出し、これら特徴点に基づいて自己位置の推定と地図の作成とを実施するものが知られている。このように地図を作成することで、この作成した地図に基づいて、掃除していない領域を把握し、効率的に自律走行しつつ掃除できるように走行経路などを設定可能となる。
【0003】
しかしながら、走行経路などを設定する際に、二次電池の残量が考慮されていないために、領域全体を掃除できない場合や、複数回の掃除に対応できない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、電池残量に応じて効率的に掃除できる自走式電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の自走式電気掃除機は、電池を電源として自走しつつ掃除対象領域を掃除する自走式電気掃除機である。この自走式電気掃除機は、残量検出部と、駆動部と、制御部と、記録部とを有する。残量検出部は、電池残量を検出する。駆動部は、電池からの給電により駆動される。制御部は、駆動部を制御する。記録部は、駆動部の制御内容に関する情報と、制御内容の実行時における使用電力に関する情報とを対応付けた使用電力情報を記録する。そして、制御部は、残量検出部により検出された現在の電池残量で記録部に記録された使用電力情報の制御内容を以後実行すると使用電力情報の使用電力に対して不足することが予測される場合には、現在の電池残量に対する使用電力情報の使用電力の割合に応じてこの使用電力よりも抑制された使用電力となるように制御内容を変更し、その変更した制御内容で駆動部を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態の電気掃除機の内部構造を示すブロック図である。
【
図3】同上電気掃除機を下方から示す平面図である。
【
図4】同上電気掃除機を備える電気掃除システムを示す説明図である。
【
図5】同上電気掃除機の自走制御を模式的に示す説明図である。
【
図6】同上電気掃除機の記録部に記録された制御内容と、この制御内容での使用電力に対して電池残量に余裕がある場合に制御部により設定される制御内容との一例を示す説明図である。
【
図7】同上電気掃除機の推定部による掃除対象領域の推定方法の一例を模式的に示す説明図である。
【
図8】同上電気掃除機の制御部により制御内容を変更する際の条件の一例を示す説明図である。
【
図9】同上電気掃除機の記録部に記録された制御内容と、この制御内容での使用電力に対して電池残量が不足する場合に制御部により設定される制御内容との一例を示す説明図である。
【
図10】同上記録部に地図データを備える場合の制御内容と、この制御内容と電池残量とに基づき制御部により設定される制御内容の一例とを示す説明図である。
【
図11】複数の掃除対象領域が登録部に登録されている場合の制御内容と、これら制御内容と電池残量とに基づき制御部により設定される制御内容との一例を示す説明図である。
【
図12】同上制御部により設定された制御内容により掃除を終了できない場合の制御を模式的に示す説明図である。
【
図13】同上電気掃除機の記録部に記録された制御内容と、ユーザにより掃除の度合いが設定されたときにこの制御内容と電池残量とに基づき制御部により設定される制御内容との一例を示す説明図である。
【
図14】同上電気掃除機の記録部に記録された制御内容と、ユーザにより掃除可能な時間帯が設定されたときにこの制御内容と電池残量とに基づき制御部により設定される制御内容との一例を示す説明図である。
【
図15】同上電気掃除機の制御部により自動的に策定される所定期間の掃除スケジュールの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態の構成を、図面を参照して説明する。
【0009】
図1ないし
図4において、11は自走式電気掃除機である(以下、単に電気掃除機11という場合がある)。この電気掃除機11は、充電装置(充電台)12とともに電気掃除装置を構成するものである。そして、電気掃除機11は、本実施形態において、被掃除部である走行面としての床面上を自律走行(自走)しつつ床面を掃除する、ロボットクリーナ(掃除ロボット)である。なお、自走式電気掃除機11とは、完全に自律走行するもののみをいうのではなく、リモコンなどの外部機器により遠隔操作されることで自走するものも含むものとする。そして、この電気掃除機11は、例えば掃除領域内などに配置された中継手段(中継部)としてのホームゲートウェイ(ルータ)14との間で有線通信あるいはWi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)などの無線通信を用いて通信(送受信)することにより、インターネットなどの(外部)ネットワーク15を介して、データ格納手段(データ格納部)としての汎用のサーバ(クラウドサーバ)16や、表示手段(表示部)の機能を備えた汎用または専用の外部機器17などと有線あるいは無線通信可能となっている。また、電気掃除機11は、例えば建物の内部(宅内)などであれば、ホームゲートウェイ14を介して、外部機器17と無線通信可能となっている。したがって、電気掃除機11と、外部機器17とは、ホームゲートウェイ14、ネットワーク15、サーバ16などを介して電気掃除機システム18を構成している。
【0010】
この電気掃除機11は、本体である本体ケース20を備えている。また、この電気掃除機11は、走行被駆動部である駆動輪21を備えている。さらに、この電気掃除機11は、床面の塵埃を掃除する掃除部22を備えている。また、この電気掃除機11は、センサ部23を備えている。さらに、この電気掃除機11は、撮像部24を備えていてもよい。また、この電気掃除機11は、ユーザによりリモコンや直接操作によって所定の信号が入力される入力部を備えていてもよい。また、この電気掃除機11は、通信手段である通信部(通信アダプタ)26を備えていてもよい。さらに、この電気掃除機11は、コントローラである制御手段としての制御部27を備えている。また、この電気掃除機11は、画像を表示する表示部を備えていてもよい。そして、この電気掃除機11は、電源部となる給電用の電池28を備えている。なお、以下、電気掃除機11(本体ケース20)の走行方向に沿った方向を前後方向(
図2に示す矢印FR,RR方向)とし、この前後方向に対して交差(直交)する左右方向(両側方向)を幅方向として説明する。
【0011】
本体ケース20は、各種装置や部品を収納可能な形状に形成されている。この本体ケース20には、清掃部としての吸込口(集塵口)31などが床面に対向する下部などに設けられていてもよい。
【0012】
駆動輪21は、電気掃除機11(本体ケース20)を床面上で前進方向および後退方向に走行(自律走行)させる、すなわち走行用のものである。本実施形態では、この駆動輪21は、例えば本体ケース20の左右に一対設けられている。これら駆動輪21は、駆動部(走行駆動部)としてのモータ33によりそれぞれ独立して駆動される。なお、この駆動輪21に代えて、無限軌道などを用いることもできる。
【0013】
掃除部22は、例えば床面の塵埃を除去するものである。この掃除部22は、例えば床面上の塵埃を吸込口31から集めて捕集したり、床面などを拭き掃除したりする機能を備えている。この掃除部22は、掃除対象領域の床面の塵埃を吸い込む負圧を発生させて吸込口31から塵埃を吸い込む駆動部(掃除駆動部)としての電動送風機35と、吸込口31に回転可能に取り付けられて塵埃を掻き上げる清掃部(回転清掃体)としての回転ブラシ36およびこの回転ブラシ36を回転駆動させる駆動部(補助掃除駆動部)としてのブラシモータ37と、本体ケース20の周縁部に回転可能に取り付けられて塵埃を掻き集める旋回清掃部としての補助掃除手段(補助掃除部)であるサイドブラシ38およびこのサイドブラシ38を駆動させる駆動部(補助掃除駆動部)としてのサイドブラシモータ39との少なくともいずれかを備えていてもよい。また、この掃除部22は、吸込口31と連通して塵埃を溜める集塵部40に塵埃を捕集する。
【0014】
回転ブラシ36は、回転しながら床面と接触することで、床面上の塵埃を吸込口31に誘導するブラシ体である。本実施形態の電気掃除機11において、この回転ブラシ36は、電動送風機35による吸込口31からの吸引を補助する役割を果たす。なお、電動送風機35による吸引を用いることなく、回転ブラシ36によって床面上の塵埃を掻き上げて吸込口31(誘導口)に放り込む態様によって掃除部22(清掃部)を構成してもよい。この回転ブラシ36は、電気掃除機11(本体ケース20)の走行方向に対して所定幅で掃除をするものである。この回転ブラシ36は、本体ケース20の下部に所定幅(例えば300mm程度の幅寸法)で位置している。この回転ブラシ36は、例えば吸込口31と略等しい幅寸法に設定されている。
【0015】
センサ部23は、電池28の電圧、すなわち電池28の残量を検出する残量検出部としての電圧センサ42を備えている。すなわち、電気掃除機11は、残量検出部としての電圧センサ42を備えている。また、このセンサ部23は、例えば床面の凹凸状態(段差)や、電気掃除機11の走行の障害となる壁あるいは障害物、床面の塵埃量などをセンシングする検出手段(検出部)を備えていてもよい。さらに、このセンサ部23は、駆動輪21(モータ33)の回転数を検出することで電気掃除機11(本体ケース20)の走行速度や走行距離を検出するロータリエンコーダなどの回転数検出手段(回転数検出部)を備えていてもよい。
【0016】
撮像部24は、撮像手段(撮像部本体)としてのカメラ51を備えている。また、この撮像部24は、カメラ51の撮像範囲を照明する照明手段(照明部)としてのランプ53を備えていてもよい。したがって、電気掃除機11は、撮像手段(撮像部本体)としてのカメラ51を備えている。また、電気掃除機11は、照明手段(照明部)としてのLEDなどのランプ53を備えていてもよい。
【0017】
カメラ51は、本体ケース20の走行方向である前方に向けられており、本体ケース20が載置される床面と平行な方向に対して、所定の水平画角(例えば105°など)でデジタルの画像(動画、静止画あるいはそれら双方)を撮像するデジタルカメラである。このカメラ51は、図示しないが、レンズ、絞り、シャッタ、CCDなどの撮像素子、および、撮像制御回路などを備えている。また、このカメラ51は、複数設けられていてもよい。
【0018】
通信部26は、ホームゲートウェイ14およびネットワーク15を介してサーバ16経由で建物の外部(宅外)の外部機器17と相互通信可能である。また、通信部26は、ホームゲートウェイ14を介して建物の内部(宅内)の外部機器17と相互通信可能である。この通信部26は、外部機器17にデータを送信可能であるとともに、外部機器17からの信号を受信可能となっている。例えば、この通信部26は、外部機器17と無線通信をするための無線通信手段(無線通信部)および掃除機信号受信手段(掃除機信号受信部)としての無線LANデバイスなどを備えている。なお、例えば通信部26にアクセスポイント機能を搭載し、ホームゲートウェイ14を介さずに外部機器17と直接無線通信をするようにしてもよい。また、例えば通信部26にウェブサーバ機能を付加してもよい。
【0019】
制御部27は、例えば制御手段本体(制御部本体)であるCPUやROMおよびRAMなどを備えるマイコンが用いられる。この制御部27は、掃除部22、センサ部23(電圧センサ42)、撮像部24、通信部26などと電気的に接続されている。具体的に、この制御部27は、駆動輪21(モータ33)の駆動を制御することで、掃除対象領域内にて本体ケース20(電気掃除機11)を自律走行させる走行制御手段である走行制御部61を備えている。また、この制御部27は、掃除部22の動作を制御する掃除制御手段である掃除制御部62を備えている。さらに、この制御部27は、センサ制御手段であるセンサ接続部63を備えている。また、この制御部27は、通信制御手段である通信制御部64を備えていてもよい。さらに、この制御部27は、走行対象領域である掃除対象領域の地図データの作成および自己位置推定をする地図作成手段および自己位置推定手段の機能を有するSLAM部65を備えていてもよい。さらに、この制御部27は、掃除対象領域を推定する推定手段である推定部66を備えていてもよい。また、この制御部27は、掃除対象領域が過去に掃除を実施した領域であるか否かを判定する判定手段である判定部67を備えていてもよい。さらに、この制御部27は、例えば計時手段(計時部)としてのタイマ68を備えていてもよい。また、この制御部27は、記録手段(記録部)としてのメモリ69を備えている。さらに、この制御部27は、電池28と電気的に接続されている。したがって、電気掃除機11は、走行制御手段である走行制御部61を備えている。また、電気掃除機11は、掃除制御手段である掃除制御部62を備えている。さらに、電気掃除機11は、センサ制御手段であるセンサ接続部を備えている。また、電気掃除機11は、自己位置を推定する自己位置推定手段(自己位置推定部)を備えていてもよい。さらに、電気掃除機11は、推定された自己位置に基づき掃除対象領域の地図データを作成する地図作成手段(地図作成部)を備えていてもよい。また、電気掃除機11は、推定手段である推定部66を備えていてもよい。さらに、電気掃除機11は、判定手段である判定部67を備えていてもよい。また、電気掃除機11は、計時手段(計時部)としてのタイマ68を備えていてもよい。さらに、電気掃除機11は、記憶手段(記録部)としてのメモリ69を備えている。
【0020】
走行制御部61は、駆動輪21(モータ33)の駆動を制御することで、掃除対象領域内にて本体ケース20(電気掃除機11)をジグザグ状に自律走行、すなわちジグザグ走行させるジグザグ走行モードを備えている。ここで、ジグザグ走行とは、掃除対象領域において所定の一方向に平行な方向に沿って所定の走行間隔で往復走行を繰り返しながら一方向と交差(直交)する他方向に順次進んで掃除対象領域を塗り潰すように自律走行することをいう。より詳細に、ジグザグ走行とは、掃除対象領域Aを所定の一方向に向かって直進し、掃除対象領域Aの一端部や障害物Oの近傍において所定方向(右回り、または左回り)に90°旋回(超信地旋回)して所定の走行間隔G分走行し、さらに同方向に90°旋回した後、掃除対象領域Aを所定の一方向とは反対方向に向かって直進し、掃除対象領域Aの他端部や障害物Oの近傍において所定方向とは反対方向(左回り、または右回り)に90°旋回して所定の走行間隔G分走行し、さらに同方向に90°旋回した後、掃除対象領域Aを所定の一方向に向かって直進する、という走行動作を繰り返すことをいう(例えば
図5の矢印に走行経路を示す)。すなわち、走行制御部61は、例えばジグザグ走行において、掃除対象領域に対して所定の走行間隔で隣り合う部分を有するように、これから走行する予定の走行経路を設定する経路設定部の機能を備えている。また、この走行間隔は、通常の場合、回転ブラシ36の両端がラップするように設定される。すなわち、この走行間隔は、通常の場合、回転ブラシ36の幅よりも小さく設定される。なお、走行制御部61は、ジグザグ走行モードの他に、その他の走行ルートを設定する走行モードを別途備えていてもよい。経路設定部としての走行制御部61が設定する走行経路は、走行済み領域と未走行領域との境界から未走行領域側に所定の間隔を空けた位置を走行するようにして設定されればよく、上記のジグザグ走行の他、螺旋を描くような走行経路であってもよい。なお、上記の「所定の間隔を空けた位置」とは、幅方向(進行方向に対して直交する方向)に見て電気掃除機11の中央(清掃部の中央)が通過する位置のことである。したがって、ここでいう「所定の間隔」は、上記の「走行間隔」の半分となる。
【0021】
また、この走行制御部61は、電気掃除機11(本体ケース20)の走行に関する制御内容(走行条件)を設定する機能を備えている。すなわち、制御部27は、電気掃除機11(本体ケース20)の走行に関する制御内容(走行条件)を設定する機能を備えている。また、走行制御部61は、後述する使用電力情報と現在の電池残量とに応じて、走行間隔を変更するように走行経路を再設定する機能も備えている。
【0022】
掃除制御部62は、掃除部22の動作を制御するものである。本実施形態において、この掃除制御部62は、電動送風機35、ブラシモータ37(回転ブラシ36)およびサイドブラシモータ39(サイドブラシ38)の駆動をそれぞれ制御可能である。特に、この掃除制御部62は、電動送風機35の出力を調整することで吸引力を制御する吸引制御部の機能を備えている。また、この掃除制御部62は、電気掃除機11(掃除部22)による掃除に関する制御内容(掃除条件)を設定する機能を備えている。すなわち、制御部27は、電気掃除機11による掃除に関する制御内容(掃除条件)を設定する機能を備えている。
【0023】
ここで、制御内容は、この制御内容の実行時における使用電力に関する情報と対応付けられて、使用電力情報としてメモリ69に記憶される。走行に関する制御内容(走行条件)としては、例えば走行モード、走行間隔、走行速度などがあり、モータ33の使用電力に関する情報と対応付けられて走行に関する使用電力情報としてメモリ69に記憶される。また、掃除に関する制御内容(掃除条件)としては、例えば電動送風機35による吸引力などがあり、電動送風機35の使用電力に関する情報と対応付けられて掃除に関する使用電力情報としてメモリ69に記憶される。これらの設定は、掃除開始時、掃除動作中の少なくともいずれかにおいて実施される。これら走行制御部61および掃除制御部62(制御部27)による具体的な制御内容の設定については後述する。
【0024】
センサ接続部63は、センサ部23と電気的に接続されている。このセンサ接続部63は、センサ部23による検出結果を取得し、走行制御部61、および、SLAM部65などに出力可能となっている。
【0025】
通信制御部64は、通信部26と電気的に接続されている。また、この通信制御部64は、走行制御部61、および、SLAM部65などと電気的に接続されている。この通信制御部64は、通信部26から送信する信号やデータ、および、通信部26により受信した信号やデータを処理するものである。
【0026】
SLAM部65は、周囲をセンシングして走行可能な領域すなわち掃除対象領域を示す地図を作成するとともに、その地図における電気掃除機11の自己位置を取得する機能(いわゆるSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)機能)を有する。本実施形態の電気掃除機11に搭載されたSLAM機能は、ステレオカメラ画像を利用したものである。すなわち、本実施形態のSLAM部65では、2つのカメラ51,51それぞれの撮像画像中の同じ位置(家具の角などの特徴点)を抽出し、これらカメラ51,51の両眼視差を利用することで、撮像位置から特徴点までの距離を取得できる。このように距離の取得を繰り返すことにより、壁の形状や家具の位置、あるいは大きさなどの電気掃除機11の周囲の状況が分かるので、この周囲の状況に基づき、SLAM部65では、電気掃除機11(本体ケース20)が走行可能な領域(掃除対象領域)を示す地図を作成できる。そして、SLAM部65では、作成した地図と撮像画像による測距情報とを対応付けることで自己位置を取得できる。なお、SLAM部65により自己位置を取得する場合、必ずしも地図を自ら作成する必要はなく、外部から入手した地図を利用してもよい。また、SLAM機能を実現するには、ステレオカメラ画像を利用する他、赤外線センサを利用したり、角速度センサと加速度センサとを併用したりといった周知の技術を利用することができるので、詳しい説明は省略する。
【0027】
推定部66は、掃除対象領域を推定するものである。より具体的に、この推定部66は、掃除対象領域の広さ(大きさ)を推定するものである。この推定部66による推定の詳細については後述する。
【0028】
判定部67は、掃除対象領域が、メモリ69に登録された過去に掃除をしたことのある掃除対象領域の中の所定の掃除対象領域であるか否かを識別する識別部の機能を備えている。この判定部67は、例えばカメラ51により撮像された画像データ、および、掃除対象領域に紐付けられてメモリ69に記録された画像データに基づき、掃除対象領域と過去に掃除を実施した掃除対象領域とを比較し、判定するようになっている。この判定部67による判定の詳細については後述する。
【0029】
タイマ68は、RTC(real time clock)などの機能を利用し、現時刻を検出可能となっている。したがって、このタイマ68により、電気掃除機11の掃除開始時刻や掃除終了時刻、日付や曜日などを検出可能となっている。
【0030】
メモリ69は、電気掃除機11において掃除を実行する駆動部(モータ33、電動送風機35)の制御内容に関する情報と、その制御内容の実行時における使用電力に関する情報とを対応付けた使用電力情報とを記録する記録部としての機能を有する。使用電力情報は、電気掃除機11の電源がオフにされた時も保持されるようになっており、メモリ69として例えばフラッシュメモリなどの不揮発性のものが用いられる。また、このメモリ69には、過去に掃除をしたことのある掃除対象領域が登録される。すなわち、このメモリ69は、掃除をしたことのある掃除対象領域を登録する登録部の機能を備えている。また、このメモリ69には、登録された掃除対象領域毎に、SLAM部65により作成された、あるいは外部から取得した地図データや、タイマ68により検出された日付、曜日、時刻などとともに、使用電力情報(制御内容)が対応付けられて記録される。この記録される使用電力情報の制御内容としては、例えばその掃除を実施した日付、曜日、掃除に要した時間(掃除時間)、掃除の際の掃除対象領域の走破率((走破面積)/(掃除対象領域面積))、ジグザグ走行における走行間隔、走行速度、電動送風機35による吸引力の強弱、推定される掃除対象領域の面積、1日当たりの掃除回数、および、掃除中に充電装置12に帰還した回数などのパラメータがある。この制御内容に対応付けられる使用電力に関する情報には、その制御内容の実行時の電池28の実際の使用電力が対応付けられていてもよいし、その制御内容の実行時の電池28の実際の使用電力の算出に必要なパラメータ(動作時間や通電量など)のみが記録されていてもよい。なお、このメモリ69には、掃除対象領域を識別するための識別情報である画像データなどが記録されてもよい。
【0031】
電池28は、モータ33、掃除部22(電動送風機35、ブラシモータ37、サイドブラシモータ39)、センサ部23、撮像部24、通信部26、および、制御部27などに動作用の電源を供給するものである。この電池28としては、本実施形態において、例えば充電可能な二次電池が用いられる。このため、本実施形態では、例えば本体ケース20の底部に、電池28を充電するための充電端子71が露出して配置されている。この充電端子71は、掃除対象領域に設置された充電装置12に対して走行により連結可能となっている。
【0032】
充電装置12は、電気掃除機11が走行(掃除)を終了したときに帰還する基地部となっている。この充電装置12は、例えば定電流回路などの充電回路を内蔵していてもよい。また、この充電装置12には、電池28の充電用の充電用端子72が設けられている。この充電用端子72は、充電回路と電気的に接続されている。そして、この充電用端子72は、充電装置12に帰還した電気掃除機11の充電端子71と機械的および電気的に接続されるようになっている。
【0033】
ホームゲートウェイ14は、アクセスポイントなどとも呼ばれ、建物内に設置され、ネットワーク15に対して例えば有線により接続されている。
【0034】
サーバ16は、ネットワーク15に接続されたコンピュータ(クラウドサーバ)であり、各種データを保存可能である。
【0035】
外部機器17は、建物の内部では例えばホームゲートウェイ14を介してネットワーク15に対して有線あるいは無線通信可能であるとともに、建物の外部ではネットワーク15に対して有線あるいは無線通信可能な、例えばPC(タブレット端末(タブレットPC))やスマートフォン(携帯電話)などの汎用のデバイスである。この外部機器17は、液晶表示装置などのディスプレイ73を備えており、このディスプレイ73に少なくとも画像を表示する外部機器表示手段(外部機器表示部)の機能を備えている。また、このディスプレイ73は、指や指示器によるタッチによってユーザが指示を入力するタッチパネル機能を備えている。すなわち、この外部機器17は、外部機器入力手段(外部機器入力部)の機能を備えている。そして、この外部機器17には、制御内容や塵埃量を表示したり、電気掃除機11に対してユーザが掃除の開始や停止、掃除の度合いの設定、掃除可能な時刻の設定、あるいは電池28の充電などを指令したりすることを可能とするためのアプリケーション(プログラム)がインストールされていてもよい。さらに、この外部機器17には、電子メールを送受信する機能が予め備えられていてもよい。そして、この外部機器17への入力は、ネットワーク15を介してサーバ16経由で送信され、ホームゲートウェイ14を介して、または直接電気掃除機11の通信部26により受信されることで、電気掃除機11側に入力および設定されるようになっている。
【0036】
次に、上記一実施形態の動作を説明する。
【0037】
電気掃除機11は、例えば予め設定されたスケジュールに沿って、あるいはユーザからの指令により、自律走行しつつ掃除部22による掃除を実施する掃除モードを備える。
【0038】
この掃除モードにおいて、例えば電気掃除機11は、例えば予め設定された掃除開始時刻となったときや、リモコンまたは外部機器によって送信された掃除開始の制御コマンドを入力部によって受信したときなどのタイミングで、制御部27が走行モードに切り換わり、掃除を開始する。このとき、例えば、掃除をしたことがない部屋を新たに掃除する場合には、掃除対象領域がメモリ69に登録されていないことになる。この場合には、所定の動作を行ってカメラ51により撮像された画像データに基づき電気掃除機11(本体ケース20)の周囲の障害物などを検出することでSLAM部65により掃除対象領域に対応する新たな地図データを作成する。なお、地図データは、電気掃除機11(SLAM部65)における作成によらず、外部から取得するようにしてもよい。
【0039】
次いで、走行制御部61は、掃除対象領域に紐付けられてメモリ69に記録された地図データに沿って走行経路を設定する。この走行経路の設定の際には、基本的に地図データのみに基づけば掃除対象領域内を効率的に掃除できるものの、電池28の残量が充分でない場合には、最後まで掃除できずに終了してしまう可能性がある。このように掃除を終了してしまった場合には、一旦充電装置12に帰還し、電池28の充電完了後、掃除を再開する方法はあるものの、毎回その方法を使用していては、掃除完了までにかなりの時間が必要となり、ユーザの不在時などに掃除を完了できない場合が増えることが予想される。また、電気掃除機11の掃除部22による掃除方法に応じて、基本的には掃除対象領域に塵埃が残らないように制御内容が決められているものの、それでも塵埃量が多い箇所では取りきれない場合も想定される。この場合、電池残量に余裕があれば、より綺麗に掃除するための制御条件を定め、電気掃除機11が自動で掃除することが望ましい。
【0040】
そこで、本実施形態では、メモリ69に記録された使用電力情報と電圧センサ42により検出する現在の電池28の残量とに応じて、制御部27(走行制御部61、掃除制御部62)により以後の自走制御での制御内容を設定する。なお、過去の使用電力情報(制御内容)がメモリ69に記録されていない場合(初回の掃除の際)には、例えば予め設定された(初期設定の)使用電力情報(制御内容)を選択する。この設定の際、制御部27(走行制御部61、掃除制御部62)は、メモリ69に記録された使用電力情報の電池28の残量に対する割合に応じて、参照した使用電力情報の制御内容に対して使用電力を調整した制御内容を設定する。すなわち、電圧センサ42により検出する現在の電池28の残量が参照した使用電力情報の使用電力に対して不足する場合には、その使用電力情報の制御内容に対して、使用電力をより抑制した制御内容に設定し、現在の電池28の残量が参照した使用電力情報の使用電力と略一致する場合には、参照した使用電力情報の制御内容をそのまま使用し、現在の電池28の残量が参照した使用電力情報の使用電力に対して余裕がある場合には、その使用電力情報の制御内容に対して使用電力をより増加させた制御内容に設定する。メモリ69に記録される使用電力情報は、この使用電力情報の制御内容と対応付けられて登録されている掃除対象領域の面積当たりや単位走行距離当たりの使用電力に基づいて算出してもよいし、前回の自走制御時(掃除時)の使用電力情報から算出してもよい。掃除対象領域の面積当たりの使用電力に基づいて使用電力を算出する場合には、電池28の使用電力を自走制御(掃除)の開始前と完了後に電圧センサ42により取得するだけで必要な使用電力を取得でき、処理負担やメモリ負担が軽減される。単位走行距離当たりの使用電力に基づいて使用電力を算出する場合には、電池28の残量に対する割合の判断を精度よく行うことができるとともに、過去に掃除をしたことがない新たな掃除対象領域を走行する際にも、過去の走行記録を参考にして電池28の残量に対する割合を判断することが可能となる。また、自走式電気掃除機11は、使用される掃除対象領域が決まっていることも多いため、前回の自走制御時の使用電力情報に基づいて使用電力を算出する場合には、制御を簡略化できる。
【0041】
そして、制御部27は、制御内容の設定を、少なくとも充電端子71が充電装置12に連結された状態、すなわち掃除開始前など、電気掃除機11が充電装置12にドッキングされている状態で実施し、例えばこの設定した制御内容の実行による、予測される使用電力に対して、電圧センサ42により検出する現在の電池28の残量が足りることを条件の一つとして自走制御を開始させる。このようにすることで、自走制御(掃除)を開始してすぐに電池28の残量が不足していると判断されて殆ど掃除することなく戻ってくるといった事態を防止できる。そして、走行制御部61では、モータ33の動作や走行経路を設定する制御内容に基づき電気掃除機11(本体ケース20)を充電装置12から離脱させ、設定された走行速度や走行経路に沿って自律走行させつつ、掃除制御部62では、設定する制御内容に応じて掃除部22(電動送風機35、ブラシモータ37(回転ブラシ36)、サイドブラシモータ39(サイドブラシ38))の動作(出力)を調整して掃除対象領域の床面を掃除する。掃除部22では、例えば電動送風機35、ブラシモータ37(回転ブラシ36)、あるいはサイドブラシモータ39(サイドブラシ38)の駆動により床面の塵埃を、吸込口31を介して集塵部40へと捕集する。
【0042】
そして、掃除が終了すると、電気掃除機11は、例えば充電装置12へと帰還した後、電池28の充電作業に移行する。なお、制御部27では、掃除終了後の任意のタイミングで制御内容とこの制御内容で実施した制御の使用電力に関する情報とを関連付けた使用電力情報をメモリ69に記録させる。
【0043】
上記のように制御内容を設定する際、過去の掃除時に掃除対象領域の掃除が完了できていたのであれば、過去の制御内容と大きく変更する必要はないものの、例えば電池残量に余裕があるのであれば、過去の掃除時よりも綺麗に掃除することができるように見直すこともできる。例えば過去の制御内容での掃除時間が、この制御内容に対応する使用電力情報を参照して現在の電気掃除機11の電池28の残量から推定した掃除可能時間よりも少ない場合、すなわち前回の制御内容の実行により予測される以後の使用電力に対して現在の電池28の残量に余裕がある場合、1日当たりの掃除回数が1回であれば、電池28の残量が許す範囲内でより綺麗に掃除できるための制御内容を設定できる。例えば
図6に一例を示すように、前回の制御内容(図中左側のテーブル)に対して、ジグザグ走行の走行間隔をより狭くし、走行速度を低下させるとともに、電動送風機35による吸引力を増加させた制御内容(図中右側のテーブル)を設定した場合に見込まれる掃除完了時間が、現在の電気掃除機11の電池残量から見込まれる掃除可能時間以内であれば、より綺麗な掃除が可能になる。すなわち、前回の制御内容に対して、掃除能力を増加させた場合に、電圧センサ42により検出した電池28の電圧から想定した掃除可能時間以内に掃除を完了できるときには、このような掃除部22による掃除能力を増加させた制御内容を設定できる。
【0044】
したがって、走行制御部61により、モータ33の動作を制御するように設定した制御内容に基づき走行速度を調整することで、電池28の残量が充分であれば、相対的に遅い走行速度で丁寧に掃除するようにしつつ、電池28の残量が不充分であれば走行速度を適度に速めることで、少ない残量でも掃除を完了させることが可能となる。
【0045】
このとき、例えば過去の制御内容に対応する使用電力情報では電池28の残量が充分に余っており、同じ掃除対象領域を掃除するのに今回はゆっくり時間を掛けて掃除しようとする場合、「ゆっくり」の比較基準として過去の走行速度を参照する必要がある。そのために、制御内容には、走行速度に関する情報を含むことが好ましい。あるいは、基準の走行速度を設定しておき(初期設定)、基準の走行速度に比べて「ゆっくり」となるように調整してもよい。走行速度の調整は、その制御内容の実行による以後の使用電力に対する電池28の残量の不足の度合いと走行速度とを対応付けたテーブルを利用して複数段階に行ってもよいし、その対応関係を表す数式を利用して無段階に行ってもよい。
【0046】
同様に、掃除制御部62により、電動送風機35の動作を制御するように設定した制御内容に基づき電動送風機35の出力を調整することで、電池28の残量が充分であれば電動送風機35による吸引力を相対的に強くして丁寧に掃除する一方、電池28の残量が不充分であれば、吸引力を低下させることで、少ない残量でも掃除を完了させることが可能となる。
【0047】
このとき、例えば過去の制御内容に対応する使用電力情報では電池28の残量が充分に余っており、同じ掃除対象領域を掃除するのに今回は強い吸引力で掃除しようとする場合、「強い」の比較基準として過去の吸引力を参照する必要がある。そのためには、制御内容には、電動送風機35の吸引力に関する情報を含むことが好ましい。あるいは、基準の吸引力を設定しておき(初期設定)、基準の吸引力に比べて「強い」となるように調整してもよい。吸引力の調整は、固定の複数段階の吸引力(例えば強、中、弱など)からその制御内容の実行による以降の使用電力に対する電池28の残量の不足の度合いに応じて選択してもよいし、それらの対応関係を表す数式を利用して無段階に行ってもよい。
【0048】
そして、このような制御内容の設定精度を向上させるために、推定部66により掃除対象領域(掃除対象領域の広さ)を推定してもよい。すなわち、制御部27(走行制御部61、掃除制御部62)は、メモリ69に記録された使用電力情報、電圧センサ42により検出した電池28の電圧に加えて、推定部66により推定した掃除対象領域(掃除対象領域の広さ)に基づいて以降の制御内容を設定してもよい。このように掃除対象領域の広さが推定できれば、前回掃除対象領域全体を掃除できなかった(掃除対象領域の一部を掃除できなかった)場合に、制御内容を変更しやすく、その精度も向上させることができる。推定方法は、種々考えられるものの、一例としては、
図7に示すように、ジグザグ走行において電気掃除機11(本体ケース20)の直進の走行時間が最も長いときに、その走行距離Lから掃除対象領域A1の外形を推定できる。具体的に、例えば、電気掃除機11(本体ケース20)が走行速度25cm/sで10秒間直進する場合、走行距離は2.5mとなるので、掃除対象領域A1がおよそ六畳間(約8.7m
2)であると推定できる。
【0049】
また、例えば制御部27(走行制御部61、掃除制御部62)により制御内容を設定する際には、過去に掃除をしたことがある掃除対象領域がメモリ69に登録されている場合、この掃除対象領域に対応付けられてメモリ69に記録されている使用電力情報に基づいて設定を実施することができる。過去に掃除した掃除対象領域と同一の掃除対象領域を掃除する場合には、使用電力も同程度と想定されるので、少なくとも掃除の開始時と終了時に電池28の残量を電圧センサ42により取得して使用電力情報としてメモリ69に記録しておくだけで、その掃除対象領域の自走制御(掃除)に使用される使用電力を記録することが可能となり、処理負担やメモリ負担の軽減を図ることができる。
【0050】
制御部27による上記の制御内容の設定は、掃除開始時だけでなく、自走制御中すなわち掃除動作中に実施することもできる。例えば、想定していた掃除対象領域よりも実際の掃除対象領域が広いまたは狭いとき、あるいは、制御内容を設定する際に見込んだ掃除完了時間に対して実際の走行により生じた誤差に応じて、制御部27(走行制御部61、掃除制御部62)により制御内容を調整(再設定)することで対応可能となる。例えば、メモリ69に登録されている前回(過去)の掃除対象領域A1が、
図7に一例を示すような六畳間であった場合、この掃除対象領域A1に対応付けられてメモリ69に記録されている使用電力情報に基づいて今回の制御内容を設定したにも拘らず、
図8に示すように、前回閉まっていた扉Dが開いて隣の掃除対象領域と繋がった掃除対象領域A2となった場合には、ジグザグ走行において電気掃除機11(本体ケース20)が走行速度25cm/sで28秒間直進すると、走行距離Lが7mとなることから、推定部66では、掃除対象領域が前回と異なる(掃除対象領域が前回よりも広い)と推定できる。この場合、前回の自走制御時の掃除対象領域A1に対応付けられた使用電力情報に基づいて設定した制御内容では掃除を完了できないおそれがある。そのため、メモリ69に記録された使用電力情報に対して電圧センサ42により検出する現在の電池28の残量が不足することが予測される場合に、制御部27(走行制御部61、掃除制御部62)は、自走制御での使用電力(掃除能力)を抑制するように制御内容を設定する。また、例えば自走制御中において、電気掃除機11(本体ケース20)のスタックや、駆動輪21のスリップなどに起因して見込み掃除完了時間に対して誤差が生じると予測される場合には、制御部27(走行制御部61、掃除制御部62)は、その誤差を吸収するように制御内容を再設定することもできる。この結果、掃除を確実に完了させることが可能になる。
【0051】
このとき、走行制御部61では、例えばジグザグ走行の互いに隣り合う走行経路の走行間隔を広げたり、走行速度を増加させたりすることができる。例えば走行制御部61では、
図9に一例を示すように、過去の制御内容(図中左側のテーブル)における走行間隔が掃除部22による掃除幅、例えば回転ブラシ36の幅よりも小さく余裕がある場合、走行経路における間隔を大きくするように制御内容(図中右側のテーブル)を設定し、掃除時間を短縮させることができる。
【0052】
すなわち、電池28の残量が充分にある場合には、走行経路の走行間隔を比較的狭くするように制御内容を設定することにより、回転ブラシ36が通過する領域のラップ量を大きくして丁寧な掃除をしつつ、電池28の残量が不足する場合には、回転ブラシ36が通過する領域のラップ量を小さくするように制御内容を設定することで少ない残量でも掃除を完了させることが可能となる。
【0053】
なお、走行間隔を大きくする場合には、例えば回転ブラシ36の幅を上限とすることで、掃除残しなく掃除対象領域を掃除することができる。また、走行制御部61による走行間隔の変更に加えて、あるいは走行間隔の変更に代えて、電動送風機35の吸引力を抑制する制御内容を設定することにより、掃除可能時間を増加させることも可能である。具体的に、掃除制御部62では、電動送風機35の吸引力を低下させるように制御内容を設定して使用電力を抑制することもできる。
【0054】
なお、例えば過去に掃除をしたことのある掃除対象領域をメモリ69に登録する場合、ユーザが例えば電気掃除機11の入力部や外部機器17を用いて指定する機能を設ければ、制御内容を自走制御(掃除動作)中に変更するリスクを抑制できる。
【0055】
また、例えば、家庭によって2種類以上掃除する掃除対象領域がある場合なども想定される。そのため、例えば掃除対象領域を判定部67により識別し、この識別された領域に対応する掃除対象領域がメモリ69に登録されている場合には、制御部27において、この掃除対象領域に対応付けられてメモリ69に記録された使用電力情報と、電圧センサ42により検出した現在の電池28の電圧とに応じて制御内容を設定してもよい。判定部67による識別方法の一例としては、掃除開始毎に充電装置12の位置、あるいは充電装置12に対して所定の関係を有する位置などからカメラ51により掃除対象領域の画像データを1枚撮像し、この画像データを掃除対象領域に対応付けてメモリ69に記録しておく。そして、判定部67では、現在撮像した掃除対象領域の画像データと、過去に掃除をしたことのある掃除対象領域に紐付けられた画像データとの特徴点をそれぞれ抽出し、これら特徴点をマッチングすることで、マッチングした点数に応じて過去に掃除を実施した領域と同一であるか否かを判定する。例えば、マッチングの結果、現在の掃除対象領域の画像データの特徴点の総数に対して、マッチングした特徴点数が5割など所定以上の割合であった場合、現在の掃除対象領域がメモリ69に登録されている掃除対象領域と同一であると判断し、この領域に紐付けられてメモリ69に記録された使用電力情報と、電圧センサ42により検出した現在の電池28の電圧とに基づいて、制御部27(走行制御部61、掃除制御部62)によって、より精度よく制御内容を設定できる。
【0056】
このとき、メモリ69に登録された掃除対象領域に対して、その地図データが対応付けられてメモリ69に記録されている場合、掃除対象領域の掃除を仮に完了できなかったときに、掃除対象領域のどの部分が掃除できなかっただけでなく、
図10に一例を示すように掃除した領域の割合すなわち走破率(図中左側のテーブル)も算出でき、次回の制御内容(図中右側のテーブル)の設定の精度を向上させることができる。例えば掃除対象領域が複数あり、これらを1日で掃除する場合などには、地図データがあることで制御内容を管理しやすくなる。すなわち、
図11に一例を示すように、掃除対象領域が2つあり(領域1、領域2)、これらをほぼ連続して掃除する際に、前回の制御内容(図中左側のテーブル)では、一方の掃除対象領域(領域2)の掃除が完了できなかった(走破率が100%でなかった)場合、走行制御部61は、これら制御内容を参照し、今回の他方の掃除対象領域(領域1)の制御内容(図中右側のテーブル)を、一方の掃除対象領域(領域2)も掃除完了できるように調整できる。例えば、制御部27(走行制御部61、掃除制御部62)は、メモリ69に登録された掃除対象領域が複数の場合、メモリ69に登録された掃除対象領域が1つの場合に比べて、掃除終了時の電池28の残量を多く残すように制御内容を設定することもできる。このようにすることで、複数の掃除対象領域を連続して(間に充電することなく)掃除する場合に、1つの掃除対象領域の掃除が終了した後、次の掃除対象領域の掃除に備えることができる。また、メモリ69に掃除対象領域の地図データを対応付けて記録しておくことにより、掃除対象領域の大きさもより効率的に把握でき、この地図データを活用することで掃除対象領域を事前に把握することもできるようになるので、走行制御部61での制御内容の設定の精度をより向上できる。
【0057】
なお、判定部67での掃除対象領域の識別は、画像データの特徴点マッチングの他に、例えば掃除対象領域に設置された識別タグ(無線、磁気、画像など)を用いるなど、他の既知の任意の方法を用いることができる。
【0058】
一方、過去の掃除の際に掃除対象領域の掃除が仮に完了できなかったのであれば、過去の掃除の際の使用電力情報の制御内容をそのまま用いず、変更した制御内容を設定することが望ましい。また、前回は掃除が完了できたものの、これから掃除を開始する際に電池残量が100%ではなく、掃除可能時間が前回の掃除時間よりも少ないときに、それでもユーザから掃除指令がある場合には、全ての掃除対象領域を掃除することが電気掃除機11に求められる性能であるから、そのために制御内容を設定することができる。
【0059】
さらに、そもそも走行開始時に制御内容をどのように設定しても掃除対象領域全体を掃除できないと判断される場合も想定される。この場合、例えば掃除対象領域の一部のみを掃除して充電装置12に帰還することは、中途半端で非効率である。そこで、例えばメモリ69に記録された使用電力情報の制御内容の実行による以後の自走制御での使用電力に対して電圧センサ42により検出する電池28の残量が所定以上不足することが予測される場合には、
図12の二点鎖線に一例を示すように、ジグザグ走行における互いに隣り合う走行経路の走行間隔を掃除部22による掃除幅、例えば回転ブラシ36の幅よりも大きくするように制御内容を設定することで、未掃除領域は残ってしまうものの、掃除対象領域内の一部のみの掃除で終了するのではなく、掃除対象領域内を均等に掃除(粗掃除)させることができる。この場合、例えば走行間隔は、本体ケース20の幅を上限などとする。このとき、走行経路が隣り合う部分で回転ブラシ36が通過していない隙間が生じることになるが、掃除対象領域全体を偏りなく掃除することを優先することで、電池28の残量が相当程度に不足する場合であっても掃除を完了させることが可能となる。
【0060】
また、上記の条件下では生じにくい事態ではあるものの、例えばユーザにより掃除を途中停止していた場合や、電気掃除機11が掃除中にスタックして電池28を消耗してしまい、ユーザがそのことに気づいてスタック状態を解消してから掃除を再開させた場合など、掃除中において、設定されている制御内容では以降の掃除対象領域を掃除できないと判断する場合も想定される。このとき、制御部27は、現在の使用電力情報の制御内容の実行により予測される以後の自走制御での使用電力に対して電圧センサ42により検出する現在電池28の残量が不足する度合いが所定未満である場合には、使用電力を抑制するように制御内容を再設定して制御を継続し、電池28の残量が不足する度合いが所定以上である場合には、走行制御部61により電気掃除機11(本体ケース20)を充電装置12に帰還させて充電端子71を充電装置12の充電用端子72に連結させるように走行制御してもよい。このようにすることで、電池28の残量に応じて可能な限り掃除を完了させるようにしつつ、許容できる程度の掃除が確保できない場合には電池28を充電するなど、状況に適した選択が可能になる。
【0061】
そして、一旦充電装置12に帰還した後、充電装置12により充電された電池28の残量が現在の制御内容の実行による以後の制御での使用電力に必要な状態以上となったときには、走行制御部61が充電装置12から離脱して制御を再開させるように制御してもよい。このとき、制御部27(走行制御部61、掃除制御部62)は制御内容をさらに変更してもよい。このようにすることで、掃除完了時間の遅延を最低限に抑制できる。また、充電装置12に帰還する際には、電池28の残量が不足した分を使用電力情報としてメモリ69に記録しておくことで、次回以降の制御の際に制御内容を設定するときに利用することにより、次回以降の充電装置12への一旦帰還を抑制するようにしてもよい。
【0062】
充電装置12に一旦帰還する場合には、その位置をメモリ69に記録してもよいし、エンコーダなどを用いてその位置から充電装置12までの左右の駆動輪21(モータ33)の回転数をメモリ69などに記録してもよい。このようにすることで、電池28の充電が終了した後、走行制御部61により、掃除を中断した位置へと電気掃除機11(本体ケース20)を容易に戻してその位置から掃除を再開でき、中断前に掃除した領域を重複して掃除せずに済む。
【0063】
なお、上記のように、自走制御中において現在の制御内容の実行による以後の自走制御での使用電力に対して電圧センサ42により検出する電池28の残量が不足することが予測される場合、制御部27により使用電力を抑制するように制御内容を再設定させて自走制御を継続させるか、充電装置12に帰還させて充電端子71を充電装置12の充電用端子72に連結させるかは、ユーザが電気掃除機11の入力部や外部機器17などを用いて外部から制御部27(走行制御部61)に設定可能としてもよい。このようにすることで、電池28の残量が相対的に少ないときに、掃除が粗掃除となることを許容して掃除の完了を優先するか、再充電に時間を要することを許容して掃除の丁寧さを優先するかを、ユーザに選択させることができる。
【0064】
また、上記のように、未掃除領域は残ってしまうものの、掃除対象領域内を均等に掃除(粗掃除)する場合や、制御内容の設定にも拘らず一度で全ての掃除対象領域を掃除できずに掃除対象領域の一部に未掃除領域が発生し、電気掃除機11が一旦充電装置12に帰還する場合には、ユーザに報知する機能を設けることが好ましい。この報知としては、例えば電気掃除機11(本体ケース20)に設けた表示部により報知したり、通信部26を介してホームゲートウェイ14およびネットワーク15を介してサーバ16経由で外部機器17に対して電子メールやこの外部機器17にインストールされたアプリケーションにより表示可能なデータとして報知したりすることができる。このようにすることで、ユーザに掃除完了時間が遅くなる可能性があることを報知でき、特に電気掃除機11の掃除動作を直接目視していないユーザが電気掃除機11の性能や動作に対して不審を抱かせないようにできる。すなわち、制御部27により設定した制御内容に基づく外部への報知を実施することで、実行した掃除が粗掃除であったことや掃除を中断して充電中の場合にはその後掃除が再開されることなどをユーザに把握してもらい、ユーザの誤解を避けることが可能となる。また、充電完了後、掃除を再開するか否かをユーザにより設定可能とすることで、ユーザに不利益を生じないようにしてもよい。このとき、ユーザは、例えば掃除の再開の要否を、電気掃除機11の入力部や外部機器17などを用いて外部から制御部27(走行制御部61)に設定することもできる。
【0065】
さらに、ユーザが電気掃除機11の掃除の度合いを外部入力により設定可能できるようにしてもよい。このとき、ユーザは、例えば電気掃除機11の入力部や外部機器17などを用いて外部から制御部27(走行制御部61、掃除制御部62)に設定することもできる。この場合、掃除の度合いが設定されたときには、制御部27(走行制御部61、掃除制御部62)がユーザの指示に優先して掃除の度合いに基づき制御内容を設定することもできる。ユーザが設定可能な掃除の度合いとしては、例えば「急いで」、「通常」、「綺麗に」などの予め決められた複数種類から選択するようにしてもよい。ユーザが例えば「急いで」を選択した場合、走行制御部61では、
図13に一例を示すように、過去の制御内容(図中左側のテーブル)に対して、走行間隔を大きくし、走行速度も増加させるように制御内容(図中右側のテーブル)を設定することで、より短時間で掃除を終了可能となる。
【0066】
また、電気掃除機11は、ユーザより電気掃除機11に掃除可能な時間帯を外部入力により設定することで、所定の時間帯に掃除を実行するように設定可能な機能を設けることもできる。例えば、ユーザの不在時間帯などプライベートなスケジュールに合わせた指定を可能としてもよい。このとき、ユーザは、例えば電気掃除機11の入力部や外部機器17を用いて制御部27(走行制御部61、掃除制御部62)に設定することもできる。この場合、制御部27(走行制御部61、掃除制御部62)は、
図14に一例を示すように、過去の制御内容(図中左側のテーブル)に基づき設定された時間帯内に掃除が完了するように制御内容(図中右側のテーブル)を設定し、掃除をすることができる。このとき、制御部27(走行制御部61、掃除制御部62)は、設定された時間帯内に掃除を完了できれば、電圧センサ42により検出する電池28の残量に応じて制御内容を任意に設定できる。すなわち、騒音など個別の事情により掃除可能な時間帯が設定される場合には、電池28の残量に応じて自走制御の制御内容を変更する場合であっても、ユーザが設定したスケジュールを守ることができる。
【0067】
なお、このように設定された時間帯内に掃除を完了するように制御する場合には、掃除完了時間が重要であることから、制御部27は、走行制御部61によるモータ33の駆動の設定を掃除制御部62による電動送風機35の出力の設定に対して優先することもできる。すなわち、制御部27は、制御内容を設定する際に、その要求される設定内容に応じて走行制御部61によるモータ33の駆動の設定と、掃除制御部62による電動送風機35の出力の設定とに優先順位を設定したり重み付けをしたりしてもよい。
【0068】
また、仮に制御内容をどのように設定しても設定された時間帯内に掃除を終了不可能である場合には、例えば電気掃除機11から外部機器17にインストールされたアプリケーションなどを用いてネットワーク15を介してサーバ16経由で時間内に終了不可能である旨報知を送信して掃除を開始しないようにしてもよいし、ユーザによりそれでもなお掃除を実施するのか否かを判断させてもよい。
【0069】
そして、メモリ69に記録された過去の使用電力情報に基づき、走行制御部61が所定期間の掃除スケジュールを自動的に策定するようにしてもよい。制御部27(走行制御部61、掃除制御部62)では、
図15に一例を示すように、過去の掃除した曜日や時刻毎の最新1週間分の制御内容(図中左側のテーブル)に基づき、今週の制御内容(図中右側のテーブル)を設定する。例えば1日に2回掃除をする場合には1回目の掃除を早めに終了し、2回目の掃除までに電池28を充電装置12によって充電させるように計画する。この場合には、より賢く掃除することが可能となり、電気掃除機11として賢い動作をさせることができ、かつ使い勝手も向上させることができる。
【0070】
このように、以上説明した一実施形態によれば、過去の使用電力情報と現在の電池28の残量とを加味して以降の走行制御での制御内容を設定することで、電池28の残量が充分であれば電力を費やして丁寧に掃除する一方、電池28の残量が不充分であれば節電して少ない残量でも掃除を完了させるなど、現在の電池28の残量に応じた掃除が可能となり、効率的に掃除を完了できる。
【0071】
なお、上記一実施形態において、走行制御部61によるモータ33の駆動の制御による走行速度の調整は、電池28の残量が余っている場合の調整と、電池28の残量が充分でない場合の調整とのいずれか一方のみでもよい。同様に、掃除制御部62による電動送風機35の出力の調整は、電池28の残量が余っている場合の調整と、電池28の残量が充分でない場合の調整とのいずれか一方のみでもよい。
【0072】
また、清掃部としては、回転ブラシ36の他に被掃除面を拭き掃除する布巾などでもよいし、吸込口31でもよい。
【0073】
さらに、掃除制御部62は、制御内容に基づく電動送風機35の出力の調整に加えて、あるいは電動送風機35の出力の調整に代えて、ブラシモータ37(回転ブラシ36)の出力の調整、あるいは、サイドブラシモータ39(サイドブラシ38)の出力の調整を実施してもよい。
【0074】
また、制御内容(使用電力情報)としては、走行制御部61によるモータ33の駆動の制御、および、掃除制御部62による電動送風機35などの出力の調整の双方を含む実施例を示したが、これらはいずれか一方のみでもよい。
【0075】
そして、互いに所定間隔で隣り合う部分を有する走行経路としては、ジグザグ走行の他に、螺旋状に走行する走行経路とすることもできる。
【0076】
また、制御内容の設定は、様々な意図で様々に変更可能である。例えば、制御内容に含まれる各パラメータは、上記実施形態に限定されない。
【0077】
さらに、
図6、
図9ないし
図11、
図13ないし
図15などに開示する制御内容(使用電力情報)の数値は、あくまでも一例を示すものであり、実施形態をこれらの数値に限定するものではない。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
11 自走式電気掃除機
12 充電装置
21 駆動輪
27 制御部
28 電池
33 駆動部としてのモータ
35 駆動部としての電動送風機
36 清掃部としての回転ブラシ
42 残量検出部としての電圧センサ
61 経路設定部の機能を備えた走行制御部
62 吸引制御部の機能を備えた掃除制御部
67 識別部の機能を備えた判定部
69 登録部の機能を備えた記録部としてのメモリ
71 充電端子
A 掃除対象領域