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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-17
(45)【発行日】2023-01-25
(54)【発明の名称】注意喚起システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20230118BHJP
   G08G 1/01 20060101ALI20230118BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20230118BHJP
   B60W 40/08 20120101ALI20230118BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
G08G1/16 F
G08G1/01 A
G08G1/13
B60W40/08
G08B25/04 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018128799
(22)【出願日】2018-07-06
(65)【公開番号】P2020009084
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】黒田 倫太郎
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-242190(JP,A)
【文献】特開2009-244007(JP,A)
【文献】特開2016-191985(JP,A)
【文献】特開2014-203357(JP,A)
【文献】特開2015-087891(JP,A)
【文献】国際公開第2011/158482(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60W 30/00 - 60/00
G08B 19/00 - 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の運転者の注意を喚起する注意喚起システムであって、
情報サーバと、
前記情報サーバと無線通信を介したデータ通信を行える、前記自動車に搭載された車載システムとを備え、
前記情報サーバは、
各道路の各レーンに対応づけて、当該道路の当該レーンを走行する際の基準となるドライバの状態を表す基準ドライバ状態データを格納したデータベースと、
車載システムに当該車載システムから要求された道路とレーンに対応づけられている前記データベースの基準ドライバ状態データを、前記データ通信によって前記車載システムに提供するデータ提供手段とを有し、
前記車載システムは、
前記自動車が走行中の道路と走行中のレーンを検出する走行位置検出手段と、
前記自動車のドライバの状態を検出する状態検出手段と、
前記走行位置検出手段が検出した道路と前記走行位置検出手段が検出したレーンとに対応づけられた基準ドライバ状態データを、前記情報サーバの前記データ提供手段に要求することにより取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段が取得した前記基準ドライバ状態データが表すドライバの状態に比べ、前記状態検出手段が検出している前記自動車のドライバの現在の状態が運転に対する注意の程度が低いことを表しているときに、前記自動車のドライバの注意を喚起する所定の処理を行う注意喚起手段とを有することを特徴とする注意喚起システム。
【請求項2】
請求項1記載の注意喚起システムであって、
前記情報サーバは、基準ドライバ状態データを生成し前記データベースに格納する基準ドライバ状態データ生成手段を有し、
前記車載システムは、前記状態検出手段が検出した前記自動車のドライバの状態を、当該ドライバの状態を検出した時点に前記自動車が走行していた道路とレーンと共にドライバ状態情報として前記情報サーバに前記データ通信を介して通知するドライバ状態通知手段を有し、
前記情報サーバの基準ドライバ状態データ生成手段は、車載システムから通知されたドライバ状態情報から、各道路の各レーンを走行する際の基準となるドライバの状態を算定して前記基準ドライバ状態データを生成することを特徴とする注意喚起システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の注意喚起システムであって、
前記ドライバの状態は、ドライバの感情または生理的な状態であることを特徴とする注意喚起システム。
【請求項4】
請求項3記載の注意喚起システムであって、
前記ドライバの状態は、少なくともドライバの集中度を含むことを特徴とする注意喚起システム。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載の注意喚起システムであって、
時間帯、曜日、路面状態、交通状態、天気のうちの少なくとも一つの状況を属性値として、前記情報サーバの前記データベースには、前記各道路の各レーンに対応づけた前記基準ドライバ状態データが、前記各属性値毎に当該属性値に対応づけられて格納されており、
各前記基準ドライバ状態データは、対応づけられた道路のレーンを、対応づけられた属性値が示す状況で走行する際の基準となるドライバの状態を表し、
前記情報サーバの前記データ提供手段は、前記基準ドライバ状態データを要求した車載
システムが搭載された自動車が現在走行している状況を示す前記属性値を識別し、前記データベースの、当該車載システムから要求された道路とレーンに対応づけられた前記基準ドライバ状態データのうちの、前記識別した属性値に対応づけられた前記基準ドライバ状態データを、前記データ通信によって前記車載システムに提供することを有することを特徴とする注意喚起システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載された車載システムにおいて、運転者の注意を喚起する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載された車載システムにおいて、運転者の注意を喚起する技術としては、車両の進行方向を特定可能なリンク単位で、ヒヤリハット地点(危険地点)に対して警告を必要とする箇所を含むリンクをヒヤリハット地点警告リンクとして管理し、自動車がヒヤリハット地点警告リンクに進入したときに警告を行う技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
また、車載機器において、運転手の心電及び血圧に基づいた眠気、緊張度のレベル及び車両位置を検出して危険発生箇所情報収集装置へ送信し、危険発生箇所情報収集装置において、車載機器から受信した運転手の心電及び血圧に基づいた眠気、緊張度のレベル及び車両位置を危険発生箇所に関する情報として収集する技術も知られている(たとえば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-38613号公報
【文献】特開2007-94542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
同じ道路を走行している場合でも、その道路を走行している状況に応じて運転者に求められる集中度の程度は異なる。
すなわち、たとえば、交差点手前の同じ道路を走行しているときでも、交差点を右折する場合と左折する場合と直進する場合とでは、運転者に求められる集中度の程度は異なる。また、同じ道路を走行しているときでも、走行車線を走行している場合と、追い越し車線を走行している場合とでは、運転者に求められる集中度の程度は異なる。
【0006】
しかし、上述した自動車がヒヤリハット地点警告リンクとして設定したリンクに進入したときに警告を行う技術によれば、ヒヤリハット地点警告リンクに進入した運転者に等しく警告を行うので、道路を走行している状況に応じた運転者の注意喚起を行うことができない。
【0007】
そこで、本発明は、道路を走行している状況に応じた運転者の注意喚起を行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題達成のために、本発明は、自動車の運転者の注意を喚起する注意喚起システムに、情報サーバと、前記情報サーバと無線通信を介したデータ通信を行える、前記自動車に搭載された車載システムとを備えたものである。こここで、前記情報サーバは、各道路の各レーンに対応づけて、当該道路の当該レーンを走行する際の基準となるドライバの状態を表す基準ドライバ状態データを格納したデータベースと、車載システムに当該車載システムから要求された道路とレーンに対応づけられている前記データベースの基準ドライバ状態データを、前記データ通信によって前記車載システムに提供するデータ提供手段とを備えている。また、前記車載システムは、前記自動車が走行中の道路と走行中のレーンを検出する走行位置検出手段と、前記自動車のドライバの状態を検出する状態検出手段と、前記走行位置検出手段が検出した道路と前記走行位置検出手段が検出したレーンとに対応づけられた基準ドライバ状態データを、前記情報サーバの前記データ提供手段に要求することにより取得するデータ取得手段と、前記データ取得手段が取得した前記基準ドライバ状態データが表すドライバの状態に比べ、前記状態検出手段が検出した前記自動車のドライバの状態が運転に対する注意の程度が低いことを表しているときに、前記自動車のドライバの注意を喚起する所定の処理を行う注意喚起手段とを備えている。
【0009】
ここで、このような注意喚起システムは、前記情報サーバに、基準ドライバ状態データを生成し前記データベースに格納する基準ドライバ状態データ生成手段を設け、前記車載システム、前記状態検出手段が検出した前記自動車のドライバの状態を、当該ドライバの状態を検出した時点に前記自動車が走行していた道路とレーンと共にドライバ状態情報として前記情報サーバに前記データ通信を介して通知するドライバ状態通知手段を設け、前記情報サーバの基準ドライバ状態データ生成手段において、車載システムから通知されたドライバ状態情報から、各道路の各レーンを走行する際の基準となるドライバの状態を算定して前記基準ドライバ状態データを生成するように構成してもよい。
【0010】
また、以上の注意喚起システムにおいて、前記ドライバの状態は、ドライバの感情または生理的な状態であってよい。
また、この場合には、前記ドライバの状態には、少なくともドライバの集中度を含めるようにしてもよい。
また、以上の注意喚起システムは、時間帯、曜日、路面状態、交通状態、天気のうちの少なくとも一つの状況を属性値として、前記情報サーバの前記データベースに、前記各道路の各レーンに対応づけた前記基準ドライバ状態データを、前記各属性値毎に当該属性値に対応づけて格納し、各前記基準ドライバ状態データを、対応づけられた道路のレーンを、対応づけられた属性値が示す状況で走行する際の基準となるドライバの状態を表すものとし、前記情報サーバの前記データ提供手段において、前記基準ドライバ状態データを要求した車載システムが搭載された自動車が現在走行している状況を示す前記属性値を識別し、前記データベースの、当該車載システムから要求された道路とレーンに対応づけられた前記基準ドライバ状態データのうちの、前記識別した属性値に対応づけられた前記基準ドライバ状態データを、前記データ通信によって前記車載システムに提供するように構成してもよい。
【0011】
以上のような注意喚起システムによれば、走行中のレーンや自動車が関わる時間帯、曜日、路面状態、交通状態、天気等の状況毎に、当該状況に応じた運転者の注意喚起を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、道路を走行している状況に応じた運転者の注意喚起を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る注意喚起システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る車載システムと情報管理システムの構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る生体センサの例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係るドライバ状態情報通知処理を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態に係るドライバ状態情報と統計情報データベースを示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る注意喚起処理を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態に係る注意喚起処理の処理例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る注意喚起システムの構成を示す。
図示するように、本実施形態に係る注意喚起システムは、個々の自動車に搭載された車載システム1と、情報管理システム2とを有している。情報管理システム2はインターネットなどのWAN3に接続しており、各車載システム1は、移動通信を介してWAN3上の情報管理システム2にアクセスすることができる。
【0015】
次に、図2に示すように、車載システム1は、地図データを記憶した地図データ記憶部101、現在位置や進行方位の衛星測位を行うGPS受信器などのGNNS受信器102、自動車の前方や後方を撮影する車外撮影カメラ103、Bluetooth(登録商標)やWi-Fiなどのローカルな無線通信を行う近距離無線通信装置104、運転者の生体情報を検出し出力する1または複数の生体センサ105、移動通信を行う移動通信装置106、表示装置107、入力装置108、音声出力装置109、制御装置110を備えている。
【0016】
ここで、生体センサ105としては、たとえば、図3に示すように運転者の脳波を測定し生体情報として出力する、運転者の頭部に装着された脳波計1051や、運転者の顔を撮影し生体情報として出力するカメラ1052や、運転者の脈拍や体温を測定し生体情報として出力する、運転者の腕に装着されたセンサ1053や、運転者の呼吸や心拍を測定し生体情報として出力する、運転席に埋め込まれたセンサ1054等を単独または組み合わせて用いることができる。なお、生体センサ105は、ローカルな無線通信で近距離無線通信装置104と接続している。
【0017】
図2に戻り、車載システム1の制御装置110は、ナビゲーション部1011、注意喚起部1012、ドライバ状態検出部1013、情報通知部1014を備えている。
また、ナビゲーション部1011は、走行位置検出部10111と、案内処理部10112とを備えている。
走行位置検出部10111は、GNNS受信器102で受信した測位位置や、車外撮影カメラ103で撮影した自動車の前方や後方の画像に対して行った画像認識処理による白線/レーン認識の結果や、地図データ記憶部101に記憶されている地図データに基づいて、自動車が現在位置している地点、自動車が現在走行している道路区間、自動車が現在走行しているレーンを検出する。ここで、自動車が現在走行している道路区間は、道路とその道路上の区間の組み合わせを表す。また、道路区間は、道路の進む方向(上り、下り)毎に設定されており、道路のどの部分部分の各々を道路区間とするかは、予め地図データにおいて定義されている。また、各地図データには、各道路区間のレーン構成の情報も含まれている。
【0018】
次に、案内処理部10112は、地図データ記憶部101に記憶されている地図データが表す地図上に、走行位置検出部10111が検出した自動車が現在位置している地点を表すマークを表したナビゲーション画像を表示装置107に表示する。また、案内処理部10112は、ユーザから目的地の設定を受け付けて、目的地までの走行位置検出部10111が検出した自動車が現在位置している地点からの経路を探索して誘導ルートに設定し、ナビゲーション画像上で誘導ルートを案内する処理も行う。
【0019】
なお、走行位置検出部10111は、誘導ルートが設定されている場合には、誘導ルートと、地図データの各道路区間のレーン構成の情報とより、自動車が現在走行しているレーンを検出するようにしてもよい。すなわち、たとえば、誘導ルートが右折する交差点の手前に右折レーンが一つだけ存在する場合には、当該交差点手前の道路区間では、右折レーンを自動車が現在走行しているレーンとして検出するようにしてもよい。
【0020】
次に、制御装置110のドライバ状態検出部1013は、各生体センサ105が出力する運転者の生体情報から、運転者の集中度や緊張度などの各種状態をドライバ状態として検出する。
【0021】
次に、情報管理システム2は、情報収集サーバ21、ドライバ状態情報データベース22、統計処理部23、統計情報データベース24、統計情報提供サーバ25を備えている。
【0022】
以下、車載システム1の情報通知部1014が行うドライバ状態情報通知処理について説明する。
図4に、このドライバ状態情報通知処理の手順を示す。
図示するように、情報通知部1014は、ドライバ状態情報通知処理において、自動車が対象道路区間に侵入するのを監視する(ステップ402)。ここで、対象道路区間は、地図データに定義されている道路区間のうちの、交差点手前の道路区間やカーブ手前の道路区間等である。なお、このような対象道路区間は、予め地図データに定義しておいてもよいし、情報通知部1014において、進入した道路区間が対象道路区間であるかどうかを、進入した道路区間が交差点手前の道路区間やカーブ手前の道路区間であるかどうかを地図データを参照して求めて算定するようにしてもよい。
【0023】
そして、自動車が対象道路区間に侵入したならば(ステップ402)、ドライバ状態検出部1013が検出するドライバ状態と、走行履歴の記録を開始する(ステップ404)。ここで、走行履歴は、走行位置検出部10111が算出した、各時点において自動車が位置している地点、各時点において自動車が現在走行している道路区間、各時点において自動車が現在走行しているレーンの履歴である
そして、自動車が対象道路区間を通過して退出したならば(ステップ406)、ドライバ状態と走行履歴の記録を停止する(ステップ408)。
【0024】
そして、記録しておいたドライバ状態から、退出した道路区間走行時のドライバ状態を算定する(ステップ410)。ここで、退出した道路区間走行時のドライバ状態としては、ドライバ状態検出部1013が退出した道路区間を走行している期間中に検出したドライバ状態の平均値や最大値を用いてもよいし、ドライバ状態検出部1013が退出した道路区間に進入した時点に検出したドライバ状態を用いてもよいし、走行履歴を参照して求まる退出した道路区間の中点を走行した時点にドライバ状態検出部1013が検出したドライバ状態を用いてもよいし、走行履歴を参照して求まる道路区間を退出した時点にドライバ状態検出部1013が検出したドライバ状態を用いてもよい。
【0025】
そして、次に、算定した退出した道路区間走行時のドライバ状態と、記録されている走行履歴から、退出した道路区間のドライバ状態情報を作成し、情報管理システム2の情報収集サーバ21に移動通信装置106を介して送信し(ステップ414)、ステップ402からの処理に戻る。
【0026】
ここで、ステップ414では、退出した道路区間のドライバ状態情報として、図5aに示すように、退出した道路区間を示す走行道路区間、走行履歴が示す退出した道路区間で走行したレーンを表す走行レーン、退出した道路区間を走行した日時を表す走行日時、ステップ410で算定したドライバ状態とを含める。
【0027】
さて、車載システム1から、ドライバ状態情報を受信した情報管理システム2の情報収集サーバ21は、受信したドライバ状態情報をドライバ状態情報データベース22に格納する。
【0028】
また、情報管理システム2の統計処理部23は、定期的、または、ドライバ状態情報データベース22にドライバ状態情報が格納される度に、ドライバ状態情報データベース22に格納されているドライバ状態情報に対して、所定の統計処理を行ってドライバ状態統計値を生成し、統計情報データベース24に格納する。
【0029】
ここで、図5bに示すように、ドライバ状態統計値は、道路区間とレーンの組み合わせ毎に生成し、道路区間とレーンの組み合わせに対応づけて格納する。道路区間AとレーンBの組み合わせに対して生成されるドライバ状態統計値は、ドライバ状態情報データベース22に格納されているドライバ状態情報のうちの、道路区間Aが走行道路区間として登録されており、レーンBが走行レーンとして登録されている各ドライバ状態情報のドライバ状態の統計値であり、この統計値としては、ドライバ状態の平均値や中央値などを用いる。
【0030】
次に、車載システム1の注意喚起部1012が行う注意喚起処理について説明する。
図6に、この注意喚起処理の手順を示す。
図示するように、注意喚起部1012は注意喚起処理において、自動車が対象道路区間に侵入するのを監視する(ステップ602)。
そして、自動車が対象道路区間に侵入したならば(ステップ602)、走行位置検出部10111が算出している自動車が現在走行している道路区間と自動車が現在走行しているレーンとを、走行道路区間、走行レーンとして取得する(ステップ604)。
【0031】
そして、走行道路区間、走行レーンの識別を含めたドライバ状態統計値の提供要求を、移動通信装置106を介して、情報管理システム2の統計情報提供サーバ25に発行することにより走行道路区間、走行レーンの組み合わせに対応するドライバ状態統計値を取得する(ステップ606)。但し、走行が予測される走行道路区間の各レーンのドライバ状態統計値を予め統計情報提供サーバ25から取得しておき、ステップ606では、取得しておいたドライバ状態統計値のうちから、走行中の走行道路区間と走行レーンの組み合わせに対応するドライバ状態統計値を取得するようにしてもよい。
【0032】
ここで、情報管理システム2の統計情報提供サーバ25は、車載システム1の注意喚起部1012からドライバ状態統計値の提供要求を受信したならば、提供要求に含まれる識別が示す走行道路区間となっている道路区間と走行レーンとなっているレーンの組み合わせに対応づけて格納されているドライバ状態統計値を統計情報データベース24から取得し、提供要求を発行した注意喚起部1012に送信する。
【0033】
次に、注意喚起部1012は、ドライバ状態統計値を取得したならば(ステップ606)、自動車が対象道路区間を通過し退出するまで(ステップ614)、ドライバ状態検出部1013が検出しているドライバ状態を取得し(ステップ608)、ドライバ状態検出部1013が検出しているドライバ状態が表す運転者が運転に注意を払っている度合いが、ステップ606で取得したドライバ状態統計値が表す運転者が運転に注意を払っている度合いよりも低いかどうかを調べ(ステップ610)、低い場合には、注意喚起を出力する(ステップ612)処理を繰り返す。
【0034】
ここで、運転者が運転に注意を払っている度合いは、ドライバ状態やドライバ状態統計値が示す集中度や緊張度が高いほど、運転に注意を払っている度合いが高いものとして算定する。
【0035】
また、注意喚起の出力は、たとえば、音声出力装置109からブザー音などの警告音を出力したり、「この先注意してください」といった音声メッセージを出力することにより行う。また、注意喚起の出力は、自動車が備えているカーオーディオの出力音を消音したり、自動車に備えたアロマデフューザから所定のアロマを放出すること等により行うようにしてもい。
【0036】
そして、自動車が対象道路区間を退出したならば(ステップ614)、ステップ602からの処理に戻る。
以上、注意喚起部1012が行う注意喚起処理について説明した。
ここで、このような注意喚起処理の処理例を図7に示す

いま、図7aに示すように、直進レーンSと右折レーンRの2車線が設定されている対象道路区間Pが設定されており、対象道路区間Pの直進レーンSのドライバ状態統計値が表す運転者が運転に注意を払っている度合いが50%であり、対象道路区間Pの右折レーンRのドライバ状態統計値が表す運転者が運転に注意を払っている度合いが70%であるものとする。
【0037】
この場合、対象道路区間Pの直進レーンSに進入した自動車のドライバ状態検出部1013が検出しているドライバ状態が表す運転者が運転に注意を払っている度合いが60%である場合には、ドライバ状態統計値が表す度合い50%より高いので、注意喚起は出力されない。一方、ドライバ状態検出部1013が検出しているドライバ状態が表す運転者が運転に注意を払っている度合いが同様に60%であっても、対象道路区間Pの右折レーンRに進入した自動車の運転者に対しては、ドライバ状態統計値が表す度合い70%よりも低いので注意喚起が出力される。
【0038】
このように、本注意喚起システムによれば、各レーンに対して当該レーンを走行する際に妥当な注意の程度を設定することができると共に、自動車が走行しているレーンに応じて、当該レーンに対して設定されている程度の注意を運転者が払っていない場合に注意を喚起することができる。よって、自動車を走行しているレーンに応じた運転者の注意喚起を行うことができる。
【0039】
なお、以上の注意喚起処理では、たとえば、図7cに示すように、ナビゲーション部1011の案内処理部10112が表示装置107に表示しているナビゲーション画像上の対象道路区間の各レーンに、取得した当該レーンのドライバ状態統計値が表す運転者が運転に注意を払っている度合いを表すマークM1、M2を表示するようにしてもよい。また、さらに、ドライバ状態検出部1013が検出しているドライバ状態が表す運転者が運転に注意を払っている度合を表すマークM3も、ナビゲーション画像上に表示するようにしてもよい。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明した。
ところで、以上の実施形態では、情報管理システム2の統計処理部23において、道路区間とレーンの組み合わせ毎にドライバ状態統計値を生成して統計情報データベース24に格納したが、これは、図5cに示すように、統計処理部23において、道路区間とレーンと所定の走行属性の組み合わせ毎にドライバ状態統計値を生成し、道路区間とレーンと走行属性の組み合わせに対応づけてドライバ状態情報データベース22に格納するようにしてもよい。ここで、走行属性は、自動車の走行に関わる事項であり、この走行属性としては、たとえば、時間帯や曜日や天気や路面状況や交通状態等のいずれか、または、これらの任意の組み合わせを用いることができる。
【0041】
また、このような走行属性は、車載システム1の情報通知部1014が、現時点の時間帯や曜日や現地点の天気や路面状況や交通状態のうちの走行属性とする値を検出してドライバ状態情報に含めて情報収集サーバ21に送信することにより、ドライバ状態情報データベース22にドライバ状態情報の一部として格納することにより、統計処理部23においてドライバ状態情報データベース22に格納されたドライバ状態情報から識別できるようにしてもよいし、情報収集サーバ21において、ドライバ状態情報を受信したときに、走行属性を算定してドライバ状態情報に含めてドライバ状態情報データベース22に格納することにより、統計処理部23においてドライバ状態情報データベース22に格納されたドライバ状態情報から識別できるようにしてもよい。
【0042】
なお、情報収集サーバ21において、ドライバ状態情報を受信したときに、走行属性を算定してドライバ状態情報に含めてドライバ状態情報データベース22に格納する場合における走行属性の算定は、たとえば、時間帯や曜日はドライバ状態情報に含まれる走行日時より算定することにより行い、天気や路面状況や交通状態は、ドライバ状態情報に含まれる走行道路区間から求まるドライバ状態情報を生成した車載システム1が搭載された自動車の位置における天気や路面状況や交通状態を、これらの情報を管理している外部の気象情報システムや交通情報システムから取得することにより行う。
【0043】
また、このように、道路区間とレーンと走行属性の組み合わせに対応づけてドライバ状態統計値をドライバ状態情報データベース22に格納する場合、情報管理システム2の統計情報提供サーバ25は、車載システム1の注意喚起部1012からドライバ状態統計値の提供要求を受信したならば、提供要求に含まれる識別が示す走行道路区間となっている道路区間と走行レーンとなっているレーンと、現時点の提供要求の発行元の車載システム1が搭載された自動車の走行属性との組み合わせに対応づけて格納されているドライバ状態統計値を統計情報データベース24から取得し、提供要求を発行した注意喚起部1012に送信するようにする。
【0044】
なお、この場合、現時点の提供要求の発行元の車載システム1が搭載された自動車の走行属性は、車載システム1の注意喚起部1012が検出して提供要求に含めて統計情報提供サーバ25に送信することにより、統計情報提供サーバ25において識別できるようにしてもよいし、統計情報提供サーバ25において、提供要求を受信したときに、上述した情報収集サーバ21における走行属性の算定と同様の処理によって算定するようにしてもよい。
【0045】
このようにすることにより、走行中のレーンに加えて時間帯や曜日や天気や路面状況や交通状態の状況等の自動車の走行の状況に応じた注意喚起を行うことができるようになる。
【符号の説明】
【0046】
1…車載システム、2…情報管理システム、3…WAN、21…情報収集サーバ、22…ドライバ状態情報データベース、23…統計処理部、24…統計情報データベース、25…統計情報提供サーバ、101…地図データ記憶部、102…GNNS受信器、103…車外撮影カメラ、104…近距離無線通信装置、105…生体センサ、106…移動通信装置、107…表示装置、108…入力装置、109…音声出力装置、110…制御装置、1011…ナビゲーション部、1012…注意喚起部、1013…ドライバ状態検出部、1014…情報通知部、10111…走行位置検出部、10112…案内処理部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7