(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-17
(45)【発行日】2023-01-25
(54)【発明の名称】部品実装装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/08 20060101AFI20230118BHJP
【FI】
H05K13/08 Q
(21)【出願番号】P 2018132565
(22)【出願日】2018-07-12
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】天野 雅史
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/037824(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/056239(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部
品を基
板に装着する部品実装装
置であって、
前記部
品を吸着する吸着ノズ
ルを複数有するロータリヘッ
ドと、
前記吸着ノズ
ルに吸着された部
品を撮像する撮像装
置と、
制御装置と、を備え、
前記複数の吸着ノズ
ルは、第1の円
周上に周方向に間隔を空けて配置されると共に、前記第1の円
周上を移動可能となっており、
前記撮像装
置は、前記第1の円
周上に設けられた複数の撮像位置において、異なる複数の撮像条件で前記吸着ノズ
ルに吸着された部
品を撮像可能となって
おり、
前記制御装置は、前記複数の撮像位置において前記異なる複数の撮像条件で撮像された前記吸着ノズルに吸着された部品の複数の撮像画像の画像処理を行い、前記複数の撮像画像の前記画像処理結果に基づいて、前記部品を吸着した前記吸着ノズルの前記基板に対する位置及び方向を決定する、
部品実装装
置。
【請求項2】
前記複数の撮像位置は、第1の撮像位
置と、前記第1の撮像位
置とは異なる第2の撮像位
置を含んでおり、
前記撮像装
置は、前記第1の撮像位
置において部
品を撮像する第1のカメ
ラと、前記第2の撮像位
置において部
品を撮像する第2のカメ
ラと、を備えており、
前記第1の撮像位
置における撮像条件は、前記第1のカメ
ラの撮像条件であり、
前記第2の撮像位
置における撮像条件は、前記第2のカメ
ラの撮像条件であり、
前記第1のカメ
ラの撮像条件は、前記第2のカメ
ラの撮像条件と相違する、請求項1に記載の部品実装装
置。
【請求項3】
前記複数の撮像位置は、第1の撮像位
置と、前記第1の撮像位
置とは異なる第2の撮像位
置を含んでおり、
前記撮像装置は、前記第1の撮像位置
において部
品を照明する第1の照明
器と、前記第2の撮像位
置において部
品を照明する第2の照明
器を備えており、
前記第1の撮像位
置における撮像条件は、前記第1の照明
器による照明条件であり、
前記第2の撮像位
置における撮像条件は、前記第2の照明
器による照明条件であり、
前記第1の照明
器による照明条件は、前記第2の照明
器による照明条件と相違する、請求項2に記載の部品実装装
置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記吸着ノズ
ルに吸着された部
品が前記第1の撮像位
置に位置決めされたときに前記第1のカメ
ラに当該部
品を撮像させ、前記吸着ノズ
ルに吸着された部
品が前記第2の撮像位
置に位置決めされたときに前記第2のカメ
ラに当該部
品を撮像させ
る、請求項2又は3のいずれか一項に記載の部品実装装
置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、部品実装装置が開示されている。この部品実装装置は、部品を吸着する吸着ノズルを複数有するロータリヘッドと、吸着ノズルに吸着された部品を撮像する撮像装置とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
部品実装装置において、吸着ノズルに吸着される部品の中には、撮像条件を変えて複数の撮像が行われるものがある。特許文献1の部品実装装置において、撮像条件を変えて複数の撮像を行うためには、撮像条件を切り替えるための時間が必要となる。すなわち、第1の撮像条件と第2の撮像条件で部品を撮像する場合、まず、第1の撮像条件で部品を撮像し、次に、撮像条件を第1の撮像条件から第2の撮像条件に変更し、しかる後、第2の撮像条件で部品を撮像しなければならない。特許文献1の部品実装装置では、撮像条件を変更する間、部品実装装置の駆動を停止しなければならないため、生産効率が低下するおそれがある。本明細書では、撮像条件の切り替えに起因して生じる生産効率の低下を抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、部品を基板に装着する部品実装装置を開示する。この部品実装装置は、部品を吸着する吸着ノズルを複数有するロータリヘッドと、吸着ノズルに吸着された部品を撮像する撮像装置とを備える。複数の吸着ノズルは、第1の円周上に周方向に間隔を空けて配置されると共に、第1の円周上を移動可能となっている。撮像装置は、第1の円周上に設けられた複数の撮像位置において、異なる複数の撮像条件で吸着ノズルに吸着された部品を撮像可能となっている。
【0006】
上記の部品実装装置は、第1の円周上に複数の撮像位置が設けられているため、複数の撮像位置のそれぞれに異なる撮像条件を設定することができる。このため、吸着ノズルが複数の撮像位置に移動するだけで、吸着ノズルに吸着された部品を複数の撮像条件で撮像することができる。各撮像位置において撮像条件を切り替える必要がないため、撮像条件の切り替えに起因して生じる生産効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施例の部品実装機10の構成を示す模式図。
【
図2】部品実装機10のロータリヘッド20を模式的に示す側面図。
【
図4】部品実装機10の実装手順を示すフローチャート。
【
図5】変形例に係るロータリヘッド20の下面の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本技術の一実施形態では、複数の撮像位置は、第1の撮像位置と、第1の撮像位置とは異なる第2の撮像位置を含んでいてもよい。また、撮像装置は、第1の撮像位置において部品を撮像する第1のカメラと、第2の撮像位置において部品を撮像する第2のカメラを備えていてもよい。その場合に、第1の撮像位置における撮像条件は、第1のカメラの撮像条件であってもよく、第2の撮像位置における撮像条件は、第2のカメラの撮像条件であってもよい。第1のカメラの撮像条件は、第2のカメラの撮像条件と相違していてもよい。第1のカメラと第2のカメラとを装備することで、第1のカメラと第2のカメラに異なる撮像条件を設定することができる。
【0009】
本技術の一実施形態では、複数の撮像位置は、第1の撮像位置と、第1の撮像位置とは異なる第2の撮像位置を含んでいてもよい。撮像装置は、第1の撮像位置において部品を照明する第1の照明器と、第2の撮像位置において部品を照明する第2の照明器を備えていてもよい。第1の撮像位置における撮像条件は、第1の照明器による照明条件であってもよく、第2の撮像位置における撮像条件は、第2の照明器による照明条件であってもよい。第1の照明器による照明条件は、第2の照明器による照明条件と相違していてもよい。第1の照明器と第2の照明器とを装備することで、各照明器の照明条件を変更することなく、部品を2つの照明条件で照明することができる。
【0010】
本技術の一実施形態では、吸着ノズルに吸着された部品が、第1の撮像位置に位置決めされたときに第1のカメラに当該部品を撮像させ、吸着ノズルに吸着された部品が、第2の撮像位置に位置決めされたときに第2のカメラに当該部品を撮像させる制御装置をさらに備えていてもよい。
【実施例】
【0011】
図面を参照して、実施例の部品実装機10を説明する。本実施例の部品実装機10は、本明細書が開示する技術における部品実装装置の一例であり、基板14に、部品12を実装する装置である。部品12は、例えばBGA(Ball Grid Array)又はCSP(Chip Scale Package)等といった方式で構成されている。
図2に示すように、部品12は基板14への装着面(下面)12aに、例えば複数の凸形状の電極(バンプやピラー等)12b(図では1つのみを簡略的に図示)と、それら電極12bの向き(すなわち、基板14に対して装着するときの部品12の向き)を示すための平面状のマーク(不図示)とが設けられている。部品12を基板14に実装する際には、基板14に対する部品12の電極12bの位置や方向を正確に検出し、検出結果に基づいて基板14に対して部品12を位置決めして実装する必要がある。このため、本実施例では、同一の部品12を、複数の撮像条件において撮像し、基板14に対する部品12の位置や方向を調整する。
【0012】
部品実装機10は、表面実装機又はチップマウンタとも称される。通常、部品実装機10は、はんだ印刷機、他の部品実装装置及び基板検査機と共に併設され、一連の実装ラインを構成する。
図1に示すように、本実施例の部品実装機10は、ロータリヘッド20と、第1の撮像装置37及び第2の撮像装置39(撮像装置ユニット30)と、移動装置40と、制御装置50と、複数の部品フィーダ62と、基板搬送装置64とを備える。
【0013】
複数の部品フィーダ62のそれぞれは、複数の部品12を収容している。部品フィーダ62は、ロータリヘッド20へ部品12を供給する。
【0014】
移動装置40は、基板14に対してロータリヘッド20を移動させる装置であり、制御装置50によって駆動される。移動装置40は、ロータリヘッド20をxy方向に駆動するxyロボット機構を備える。移動装置40は、ロータリヘッド20を案内するガイドレールや、ロータリヘッド20をガイドレールに沿って移動させる移動機構や、その移動機構を駆動するモータ等によって構成されている。ロータリヘッド20を移動装置40によって移動させることで、ロータリヘッド20は、部品フィーダ62によって部品12が供給される位置と、部品12を装着する基板14との間を移動することができる。ここで、「xy方向」のx方向とy方向とは、互いに略直交する(
図2、
図3参照)。
【0015】
基板搬送装置64は、基板14の部品実装機10への搬入、部品実装機10への位置決め、及び部品実装機10からの搬出を行う装置である。本実施例の基板搬送装置64は、例えば一対のベルトコンベア(不図示)と、ベルトコンベアに取り付けられると共に、基板14を下方から支持する支持装置(不図示)と、ベルトコンベアを駆動する駆動装置により構成することができる。基板14は、部品実装機10内の実装位置に位置決めされ、その実装位置において部品12が装着されると、基板14は実装位置から、部品実装機10の外に搬送される。
【0016】
図2、
図3に示すように、ロータリヘッド20は、ベース27と、回転部26と、複数のノズルホルダ24と、複数の吸着ノズル22を備える。ベース27は、移動装置40に取り付けられ、移動装置40によってxy方向に移動可能となっている。回転部26は、ベース27に対して回転可能に取り付けられている。回転部26は、ベース27の下面より下方に突出している。回転部26は、図示しないアクチュエータによって、ベース27に対して軸線R周りに回転する。
【0017】
複数のノズルホルダ24は、回転部26に取り付けられている。より詳細には、複数のノズルホルダ24は、回転部26の下面であって、軸線Rから一定の距離となる円周C(第1の円周の一例)上に、周方向に等間隔で配置されている。上述したように、回転部26は、ベース27に対して軸線R周りに回転できるため、回転部26が軸線R周りに回転すると、複数のノズルホルダ24は、隣接するノズルホルダ24との間隔を維持した状態で円周C上を移動することになる。また、複数のノズルホルダ24のそれぞれは、ロータリヘッド20に収容されたアクチュエータ(不図示)によって、z方向(上下方向)に移動可能に構成されている。複数のノズルホルダ24のそれぞれには、吸着ノズル22が着脱可能に保持される。吸着ノズル22は、部品12を吸着するノズルである。ノズルホルダ24が円周C上を移動できることから、吸着ノズル22も円周C上を移動することができる。円周C上には、吸着位置A1が設定されると共に、第1の撮像位置B1と第2の撮像位置B2が設定されている。吸着ノズル22が吸着位置A1に位置決めされたときに、吸着ノズル22に部品12を吸着することができる。また、吸着ノズル22が第1の撮像位置B1と第2の撮像位置B2に位置決めされたときに、吸着ノズル22に吸着された部品12を撮像することができる。
【0018】
上述した説明から明らかなように、ベース27がxy方向に移動することで、ノズルホルダ24に保持された吸着ノズル22はxy方向に移動でき、また、ベース27に対して回転部26が軸線R周りに回転することで円周C上を移動し、さらに、ノズルホルダ24がz方向に移動することでz方向に移動する。従って、吸着ノズル22を種々の方向に移動させることで、吸着ノズル22に部品12を吸着でき、また、吸着ノズル22に吸着した部品12を基板14に装着することができる。従って、ロータリヘッド20により部品12を基板14に実装するには、まず、吸着ノズル22を部品フィーダ62から供給される部品12に対してxy方向に位置決めすると共に、吸着ノズル22の吸着面(下面)が当接するまで、吸着ノズル22を下方に移動させる。吸着ノズル22の吸着面が部品12に当接すると、吸着ノズル22に部品12を吸着し、吸着ノズル22を上方に移動させる。次いで、移動装置40によって、吸着ノズル22に吸着した部品12を基板14に対して位置決めする。この際、部品12の複数の電極12bが基板14の予め設定された位置に位置決めされるように、部品12のxy方向の位置及び向きが調整される。次いで、部品12が基板14に当接するまで、吸着ノズル22を下方に移動させることによって、基板14に部品12が装着される。なお、
図3では、吸着ノズル22に吸着された部品12を省略して図示している。
【0019】
撮像装置ユニット30は、第1の撮像装置37及び第2の撮像装置39を備えており、撮像装置37、39は、ロータリヘッド20のベース27に取り付けられている(
図2参照)。撮像装置37、39は、吸着ノズル22に吸着された部品12を撮像する装置であり、部品12の装着面(下面)12aを撮像する。撮像装置37、39はロータリヘッド20のベース27に取り付けられているため、回転部26が回転しても、撮像装置37、39は回転しない。従って、撮像装置37、39が撮像する位置は固定されており、吸着ノズル22が所定の撮像位置に位置決めされたときに、当該吸着ノズル22に吸着された部品12を撮像する。具体的には、吸着ノズル22が第1の撮像位置B1に位置決めされると、吸着ノズル22に吸着された部品12は第1の撮像装置37で撮像される。また、吸着ノズル22が第2の撮像位置B2に位置決めされると、吸着ノズル22に吸着された部品12は第2の撮像装置39で撮像される。第1の撮像位置B1と第2の撮像位置B2とは、円周C上の異なる位置に設けられており、第1の撮像装置37による照明と、第2の撮像装置39による照明とが互いに干渉しない程度に離れて配置されている。
【0020】
第1の撮像装置37は、第1の部品カメラ32と、第1の照明器36と、第1の反射鏡ユニット33とを備える。第1の部品カメラ32は、第1の照明器36と第1の反射鏡ユニット33を用いて、第1の撮像条件で部品12を撮像する。具体的には、第1の照明器36は、第1の反射鏡ユニット33を介して、部品12の装着面12aに対して斜め下方より光を照射(側射照明)するように構成されている。即ち、第1の照明器36は、装着面12aと第1の照明器36の光軸とのなす角度が鋭角(90°より小さい角度)になる光を照射する。第1の反射鏡ユニット33は、例えば一対の反射鏡によって構成されており、第1の部品カメラ32の光軸上に配置されている。第1の部品カメラ32は、第1の照明器36によって照明された部品12の装着面12aを、第1の反射鏡ユニット33を介して撮像する(
図2参照)。
【0021】
同様に、第2の撮像装置39は、第2の部品カメラ34と、第2の照明器38と、第2の反射鏡ユニット(不図示)とを備える。第2の部品カメラ34は、第2の照明器38と第2の反射鏡ユニットを用いて、第2の撮像条件で部品12を撮像する。具体的には、第2の照明器38は、第2の反射鏡ユニットを介して、部品12の装着面12aの全体に対して鉛直方向に光を照射するように構成されている。即ち、第2の照明器38は、装着面12aの全体に平行光を照射し、その平行光の装着面12aに対する入射角度は90°となっている。第2の反射鏡ユニットは、第1の反射鏡ユニット33と同様の構成を備えている。従って、第2の部品カメラ34は、第2の照明器38によって照らされた部品12の装着面12aを、第2の反射鏡ユニットを介して撮像する。ここで、第1の部品カメラ32及び第2の部品カメラ34は、本明細書が開示する技術における第1のカメラ及び第2のカメラの一例である。
【0022】
上記した第1の撮像装置37の(第1の)撮像条件では、部品12の装着面12aに対して斜めに光が照射される。従って、第1の部品カメラ32によって得られる撮像画像では、部品12の装着面12aに設けられた電極12bの(凹凸)構造が認識し易くなる。このため、部品12を基板14に実装する際に、部品12の電極12bの位置を所望の位置に位置決めすることが容易になる。上記した第2の撮像装置39の(第2の)撮像条件では、部品12の装着面12aの全体に対して鉛直方向から光を照射する。従って、第2の部品カメラ34によって得られる撮像画像では、部品12の装着面12aに設けられた電極12bの向きを示すための(平面上の)マークが認識し易くなる。このため、部品12を基板14に実装する際に、基板14に対する部品12の方向決めが容易になる。
【0023】
上記したように、本実施例の部品実装機10は、第1の撮像位置B1及び第2の撮像位置B2において、第1の撮像条件及び第2の撮像条件といった異なる条件で吸着ノズル22に吸着された部品12を撮像することができる。即ち、吸着ノズル22が円周C上を移動することで、複数の撮像位置B1,B2に移動することができる。このため、本実施例のように撮像位置毎に異なる撮像条件を設定しておくことで、撮像装置ユニット30の撮像条件を切り替える必要はなく、吸着ノズル22に吸着した部品12を異なる撮像条件で撮像することができる。従って、撮像条件の切り替えに起因して生じる生産効率の低下を抑制することができる。
【0024】
制御装置50は、CPU、ROM、RAMを備えたコンピュータを用いて構成されている。
図1に示すように、制御装置50には、ロータリヘッド20と移動装置40と撮像装置ユニット30と部品フィーダ62と基板搬送装置64とが通信可能に接続されている。制御装置50は、予めインストールされたプログラムを実行することで、接続された各装置20、30、40、62、64を駆動する。即ち、制御装置50は、移動装置40を駆動して、ロータリヘッド20を移動させ、さらにロータリヘッド20の吸着ノズル22が吸着位置A1に位置決めされたときに、吸着ノズル22をz方向に移動させることによって、部品12を吸着させる。また、制御装置50は、吸着された部品12が装着位置(不図示)に位置決めされたときに、吸着ノズル22をz方向に移動させることによって、部品12を基板14に実装する。さらに、制御装置50は、吸着ノズル22に吸着された部品12が、第1の撮像位置B1に位置決めされたときに第1の部品カメラ32に撮像させ、且つ、第2の撮像位置B2に位置決めされたときに第2の部品カメラ34に撮像させる。
【0025】
図4を参照して、部品実装機10を用いて、部品12を基板14に実装する手順について説明する。まず、ステップS12では、部品実装機10は、吸着ノズル22に部品12を吸着する。具体的には、制御装置50は移動装置40を駆動し、ロータリヘッド20が部品12を吸着する位置(部品フィーダ62)へと移動させる。制御装置50は、ロータリヘッド20の回転移動機構(アクチュエータ)を駆動して回転部26を回転させ、吸着ノズル22を吸着位置A1に位置決めする。次いで、制御装置50は、ロータリヘッド20のz軸移動機構(アクチュエータ)を駆動し、吸着位置A1に位置決めされた吸着ノズル22を基準高さから下方に移動させ、吸着ノズル22の先端(吸着面)に部品12を吸着する。部品12の吸着後、吸着ノズル22は再び上方に移動し、基準高さへと戻る。
【0026】
次いで、ステップS14では、第1の撮像装置37は、第1の撮像位置B1において第1の撮像条件で部品12を撮像する(
図3参照)。具体的には、制御装置50は、ロータリヘッド20の回転移動機構を駆動して回転部26を回転させ、吸着ノズル22に吸着された部品12を第1の撮像位置B1に位置決めする。次いで、制御装置50は、第1の撮像装置37を駆動し、第1の撮像位置B1に位置決めされた部品12の装着面12aを撮像する。このとき、第1の照明器36が部品12の装着面12aに対して斜めに光を照射する。なお、第1の撮像装置37は、ロータリヘッド20のベース27に固定され、ロータリヘッド20の回転部26の回転等の影響は受けない。このため、ステップS14の撮像処理を行っている間に、ロータリヘッド20は、吸着位置A1に位置決めされた他の吸着ノズル22を用いて他の部品12を吸着することができる。
【0027】
次いで、ステップS16では、第2の撮像装置39は、第2の撮像位置B2において第2の撮像条件で部品12を撮像する(
図3参照)。具体的には、制御装置50は、ロータリヘッド20の回転移動機構を駆動して回転部26を回転させ、吸着ノズル22に吸着された部品12を第2の撮像位置B2に位置決めする。次いで、制御装置50は、第2の撮像装置39を駆動し、第2の撮像位置B2に位置決めされた部品12の装着面12aを撮像する。このとき、第2の照明器38が部品12の装着面12a全体に対して鉛直方向に光を照射する。本実施例では、第1の撮像装置37と第2の撮像装置39は、その照明光が互いに干渉せず、同時に撮影することが可能である。このため、ステップS16の撮像処理を行っている間に、第1の撮像装置37は、第1の撮像位置B1に位置決めされた部品12の装着面12aを撮像することができ、また、ロータリヘッド20は、吸着位置A1に位置決めされた他の吸着ノズル22を用いて他の部品12を吸着することができる。
【0028】
次いで、ステップS18では、部品12の位置と方向を決定する位置決め処理を実行する。具体的には、制御装置50は、第1の撮像位置B1及び第2の撮像位置B2から得られた二つの異なる照明条件の撮像画像の画像処理を行い、部品12の電極12bの位置を特定すると共に、吸着ノズル22に対する部品12の方向を特定する。そして、特定した電極12bの位置と部品12の方向に基づいて、基板14に対して吸着ノズル22(部品12)を位置決めする位置及び方向を決定する。制御装置50は、決定した位置決め方向に基づいて、ロータリヘッド20の回転移動機構を駆動して、基板14に対する部品12の装着方向を調整する。
【0029】
次いで、ステップS20では、部品12を基板14へ実装する。具体的には、制御装置50は、移動装置40を駆動して、ステップS18の位置決め処理により決定した位置決め位置に基づいて、ロータリヘッド20をxy方向に調整し、基板14に対して部品12の位置を調整する。位置決めした後、制御装置50は、ロータリヘッド20のz軸移動機構を駆動し、吸着ノズル22を下方に移動させ、部品12を基板14へ実装する。
【0030】
以上の一連のステップにより、部品実装機10を用いて、部品12の基板14への実装は完了する。従って、一の部品12において、複数の撮像条件において撮像をする場合であっても、撮像条件を切り換えるのに必要な時間を要しない。即ち、撮像条件の切り替えに起因して生じる生産効率の低下を抑制することができる。
【0031】
上述した実施例の実装手順では、一つの部品12について説明したが、同時に他の複数の吸着ノズル22を用いて、同様のステップにより、基板14へ部品12を実装することができる。
【0032】
また、ステップS18の部品12の方向(回転角度)調整は、ステップS20の部品12の(xy)位置調整の前に実施したが、この順序に限定されず、部品12の(xy)位置調整の後に、部品12の方向(回転角度)調整を実施してもよい。あるいは、両者を同時に行ってもよい。ここで、「回転角度」とは、xy平面(上記したx方向及びy方向から成る略水平な平面)に対して略垂直な軸を回転軸として回転する角度である。
【0033】
また、上述した実施例では、変更する撮像条件は照明の照射角度であったが、このような例に限定されず、様々な撮像条件を変更する場合に適用することができる。変形例としては、第1の撮像装置137及び第2の撮像装置139の光源色が異なっていてもよい。部品実装機10に用いられる部品12の形態種類によっては、光源色を変更することで、部品12の位置決めをするための構造(バンプやピラー等)がより明確に認識可能となるためである。
【0034】
例えば、
図5に示すように、第1の撮像装置137は、第1の部品カメラ132と第1の照明器136と反射鏡ユニット(不図示)を備え、第1の照明器136は、部品12の装着面12aに対して、赤色の光を照射するように構成されている。第1の部品カメラ132は、第1の照明器136によって赤色に照らされた部品12の装着面12aを撮像する。第2の撮像装置139は、第2の部品カメラ134と第2の照明器138と反射鏡ユニット(不図示)とを備え、第2の照明器138は、部品12の装着面12aに対して、例えば青色の光を照射するように構成されている。第2の部品カメラ134は、第2の照明器138によって青色に照らされた部品12の装着面12aを撮像する。なお、第1の照明器136と第2の照明器138とは、特定の波長をカットするフィルタを用いることによって、特定の色の光(赤色及び青色光)を照射可能に構成することができる。
【0035】
上記の構成によると、同一の部品12が、撮像装置を切り換えることなく、赤色と青色と二つの光で照明される。従って、仮に撮像する部品12における最適な光源色が事前に明確でない場合においても、複数の光源色において画像を取得し、後から適切な画像を選択することができる。即ち、撮像条件の事前設定が不要となる。この場合、制御装置50が、撮像した複数の画像の中から、部品12の位置決めをするために必要な部品の詳細形態が明確となるような(例えば、部品12の電極12bの端部が鮮明であるといった)画像を自動判別する機能を有していてもよい。
【0036】
この変形例では、複数の形態の部品12が同一のロータリヘッド20に吸着される場合においても、有利である。この場合、撮像条件を切り換えることなく、予め登録された部品データに応じて、部品毎に撮像位置をそれぞれ変更することによって適切な撮像条件で部品12の撮像することができる。
【0037】
また変更する撮像条件は、照明の照射角度又は光源色等といった照明条件に限定されず、カメラの解像度等が異なっていてもよい。このような構成によると、寸法が異なる部品12の撮像も同一のロータリヘッド20で行うことができる。
【0038】
上述した実施例では、撮像装置37、39がロータリヘッド20のベース27に取り付けられていたが、このような例に限定されず、部品実装機10の本体に取り付けられていてもよい。この場合においても、本実施例と同様の効果を得ることができる。
【0039】
本実施例の撮像装置ユニット30では、二個の撮像装置37、39を例示したが、その数は限定されず、一又は三以上の撮像装置があってもよい。但し、一の撮像装置で複数撮像する場合は、反射鏡の角度を調整することによって、撮像装置が複数の撮像位置に対して照明可能に構成されていてもよい。このような構成によると、撮像条件の切り替えに反射鏡の角度調整は必要となるが、撮像装置の個数を減らすことができ、設置スペースと費用といった点において有利である。
【0040】
以上、いくつかの具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものである。
【符号の説明】
【0041】
10:部品実装機
12:部品
12a:部品の装着面
12b:電極
14:基板
20:ロータリヘッド
22:吸着ノズル
24:ノズルホルダ
26:回転部
27:ベース
30:撮像装置ユニット
32、132:第1の部品カメラ
33:第1の反射鏡ユニット
34、134:第2の部品カメラ
36、136:第1の照明器
37、137:第1の撮像装置
38、138:第2の照明器
39、139:第2の撮像装置
40:移動装置
50:制御装置
62:部品フィーダ
64:基板搬送装置
A1:吸着位置
B1:第1の撮像位置
B2:第2の撮像位置