(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-17
(45)【発行日】2023-01-25
(54)【発明の名称】容器用シート
(51)【国際特許分類】
B65D 75/58 20060101AFI20230118BHJP
B65D 30/16 20060101ALI20230118BHJP
B65D 33/38 20060101ALI20230118BHJP
B65D 77/06 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
B65D75/58
B65D30/16 K
B65D33/38
B65D77/06 H
(21)【出願番号】P 2018195369
(22)【出願日】2018-10-16
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】児玉 大輔
(72)【発明者】
【氏名】稲川 義則
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 玲
(72)【発明者】
【氏名】倉賀野 彰
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-144363(JP,A)
【文献】特許第6193535(JP,B1)
【文献】特開2017-039539(JP,A)
【文献】国際公開第2013/124201(WO,A1)
【文献】特表2018-519222(JP,A)
【文献】特開2011-140348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/52
B65D 30/16
B65D 33/38
B65D 77/06
B65D 75/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフィルム層を積層した本体構成シート材と、前記本体構成シート材に設けられたスパウト部材と、を備えて構成されている容器用シートであって、
前記本体構成シート材は、前記複数のフィルム層どうしが接合している接合領域と、前記複数のフィルム層どうしが部分的に非接合とされている非接合領域と、を有し、
前記本体構成シート材の前記非接合領域における前記複数のフィルム層どうしの層間に充填材が封入されることで充填部が形成されたときには、前記本体構成シート材は、内容物を収容する収容領域を覆う容器本体の形状に展開するようになっており、
前記容器本体は、胴部と、前記胴部の上側に連接されているとともに前記スパウト部材を有する上縁部と、底部と、を含み、
当該容器用シートは、前記容器本体の下部を構成するシート本体部と、前記上縁部を含む前記容器本体の上部を構成する上部構成部と、を含み、
前記本体構成シート材は、前記非接合領域に前記充填材を注入するための注入口を有し、
前記非接合領域は、当該容器用シートにおいて前記胴部を構成する部分に形成されている胴部非接合領域と、前記注入口と前記胴部非接合領域とを相互に繋いでいる注入流路部と、を含み、
前記注入流路部の少なくとも一部分が、当該容器用シートにおいて、前記シート本体部の上下方向における中心位置よりも上側の部分に配置されており、
当該容器用シートの厚み方向に視たときに、前記注入流路部が前記スパウト部材を避けた経路に配置されて
おり、
前記注入流路部と前記胴部非接合領域との境界部が、前記シート本体部の側縁部に配置されており、
前記注入流路部が前記シート本体部から側方に延出している容器用シート。
【請求項2】
前記容器本体の前記上縁部は、天マチであり、
前記胴部は、当該胴部の横幅方向に延在する折り目を当該胴部の上部に有し、
前記上部構成部は、前記天マチを構成する天マチ構成部と、前記天マチ構成部と重ねて配置され前記胴部における前記折り目よりも上側の部分を構成する重複部と、を含んで構成され、
前記シート本体部は、当該容器用シートにおける前記折り目よりも下側の部分により構成されている請求項1に記載の容器用シート。
【請求項3】
前記上部構成部が前記注入口を有し、
前記天マチ構成部には前記注入流路部が非形成となっており、
前記注入流路部は、前記重複部に形成されている請求項2に記載の容器用シート。
【請求項4】
前記注入口及び前記注入流路部の全体が、当該容器用シートの横幅方向において、前記スパウト部材に対してずれた位置に配置されている請求項1から
3のいずれか一項に記載の容器用シート。
【請求項5】
複数のフィルム層を積層した本体構成シート材と、前記本体構成シート材に設けられたスパウト部材と、を備えて構成されているとともに、内容物を収容する収容領域を覆っている容器本体を備えるシート材容器であって、
前記本体構成シート材は、前記複数のフィルム層どうしが接合している接合領域と、前記複数のフィルム層どうしが部分的に非接合とされている非接合領域と、前記非接合領域における前記複数のフィルム層どうしの層間に充填材が封入されている充填部と、を有し、
前記容器本体は、胴部と、前記胴部の上側に連接されているとともに前記スパウト部材を有する上縁部と、底部と、を含み、
前記非接合領域は、前記胴部に形成されている胴部非接合領域と、前記胴部非接合領域における前記複数のフィルム層どうしの層間に充填材を注入する際の流路であった注入流路部と、を含み、
前記本体構成シート材は、前記容器本体の下部を構成するシート本体部と、前記上縁部を含む前記容器本体の上部を構成する上部構成部と、を含み、
前記注入流路部の少なくとも一部分、又は、前記注入流路部の封止部の少なくとも一部分が、当該シート材容器において、前記シート本体部の上下方向における中心位置よりも上側の部分に配置されており、
前記充填部から前記充填材を排出して当該シート材容器を扁平に押し潰した状態において、当該シート材容器の厚み方向に視たときに、前記注入流路部が前記スパウト部材を避けた経路に配置されて
おり、
前記注入流路部と前記胴部非接合領域との境界部が、前記シート本体部の側縁部に配置されており、
前記注入流路部が前記シート本体部から側方に延出しているシート材容器。
【請求項6】
請求項
5に記載のシート材容器と、
前記収容領域に収容された前記内容物と、を備える内容物詰めシート材容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器用シート、シート材容器、及び、内容物詰めシート材容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数のフィルム層の層間に流体などが充填された構造のシート材容器の開発が進んでいる。
特許文献1には、内容物を収容する内容器と、複数のフィルム層を積層した被覆体構成シート材で構成されていて内容器を覆っている被覆体と、を備えるシート材容器であって、被覆体構成シート材は、複数のフィルム層どうしが接合している接合部と、複数のフィルム層の層間に充填材が封入されている充填部と、を備えるシート材容器について記載されている。
更に、特許文献1には、シート材容器の上縁部(天マチ)がスパウト部材を有する点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本願発明者の検討によれば、特許文献1のシート材容器は、スパウト部材の好ましい姿勢の再現性について、なお改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、スパウト部材の好ましい姿勢の再現性に優れた構造の容器用シート、シート材容器、及び、内容物詰めシート材容器に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数のフィルム層を積層した本体構成シート材と、前記本体構成シート材に設けられたスパウト部材と、を備えて構成されている容器用シートであって、
前記本体構成シート材は、前記複数のフィルム層どうしが接合している接合領域と、前記複数のフィルム層どうしが部分的に非接合とされている非接合領域と、を有し、
前記本体構成シート材の前記非接合領域における前記複数のフィルム層どうしの層間に充填材が封入されることで充填部が形成されたときには、前記本体構成シート材は、内容物を収容する収容領域を覆う容器本体の形状に展開するようになっており、
前記容器本体は、胴部と、前記胴部の上側に連接されているとともに前記スパウト部材を有する上縁部と、底部と、を含み、
当該容器用シートは、前記容器本体の下部を構成するシート本体部と、前記上縁部を含む前記容器本体の上部を構成する上部構成部と、を含み、
前記本体構成シート材は、前記非接合領域に前記充填材を注入するための注入口を有し、
前記非接合領域は、当該容器用シートにおいて前記胴部を構成する部分に形成されている胴部非接合領域と、前記注入口と前記胴部非接合領域とを相互に繋いでいる注入流路部と、を含み、
前記注入流路部の少なくとも一部分が、当該容器用シートにおいて、前記シート本体部の上下方向における中心位置よりも上側の部分に配置されており、
当該容器用シートの厚み方向に視たときに、前記注入流路部が前記スパウト部材を避けた経路に配置されている容器用シートに関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、スパウト部材の好ましい姿勢を再現性良く実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る容器用シートの平面図である。
【
図2】第1実施形態に係る容器用シートの裏面図である。
【
図3】第1実施形態に係る容器用シートを構成するシート材の分解斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係る容器用シートを構成するシート材の平面図であり、内容器を構成する内容器構成シート材において収容領域を画定する面(内面)となる方を手前側に示している。
【
図5】第1実施形態に係る容器用シートに充填材を充填する工程を説明するための斜視図である。
【
図6】第1実施形態に係るシート材容器の正面図である。
【
図7】
図7(a)は第1実施形態に係るシート材容器の上部の側面図であり、
図7(b)は第1実施形態に係るシート材容器の底面図である。
【
図8】
図6のA-A線に沿ったシート材容器の断面図である。
【
図9】
図9(a)は第1実施形態に係るシート材容器の上部の背面図であり、
図9(b)は第1実施形態の変形例に係るシート材容器の上部の背面図である。
【
図10】
図10(a)は第2実施形態に係る容器用シートの一部分を示す平面図であり、
図10(b)は第2実施形態に係る容器用シートの一部分を示す裏面図である。
【
図11】第3実施形態に係るシート材容器の斜視図である。
【
図12】第4実施形態に係る容器用シートの平面図である。
【
図13】第4実施形態に係る容器用シートの裏面図である。
【
図14】第4実施形態に係る容器用シートに充填材を充填する工程を説明するための斜視図である。
【
図15】第4実施形態に係るシート材容器の正面図である。
【
図16】
図16(a)は第4実施形態に係るシート材容器の上部の一部分の背面図であり、
図16(b)は第4実施形態の変形例に係るシート材容器の上部の一部分の背面図である。
【
図17】第5実施形態に係るシート材容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略する。
【0010】
〔第1実施形態〕
まず、
図1から
図9(a)を用いて第1実施形態を説明する。
容器用シート300の位置関係の説明に関し、容器用シート300においてシート材容器100の底部(底マチ13)を構成する部分が位置する側(
図1及び
図2における下側)を下、それとは反対側(
図1及び
図2における上側)を上とする。つまり、上下方向とは、
図1及び
図2における上下方向である。
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る容器用シート300は、複数のフィルム層(本実施形態の場合、
図3に示すように、外側フィルム22と内側フィルム23との2つのフィルム層)を積層した本体構成シート材21(
図3参照)と、本体構成シート材21に設けられたスパウト部材15と、を備えて構成されている。
本体構成シート材21は、複数のフィルム層どうしが接合している接合領域(本体シール部48)と、複数のフィルム層どうしが部分的に非接合とされている非接合領域24と、を有する。
本体構成シート材21の非接合領域24における複数のフィルム層どうしの層間に充填材が封入されることで充填部60(
図6、
図8等)が形成されたときには、本体構成シート材21は、内容物18(
図6)を収容する収容領域17(
図6)を覆う容器本体20の形状に展開するようになっている。
図6から
図9(a)に示すように、容器本体20は、胴部11と、胴部11の上側に連接されているとともにスパウト部材15を有する上縁部と、底部(底マチ13)と、を含む。本実施形態の場合、容器本体20の上縁部は、天マチ14である。
図1及び
図2に示すように、容器用シート300は、容器本体20の下部を構成するシート本体部310と、上縁部を含む容器本体20の上部を構成する上部構成部320と、を含む。
本体構成シート材21は、非接合領域24に充填材を注入するための注入口24aを有する。本実施形態の場合、上部構成部320が注入口24aを有しており、より詳細には、上部構成部320が有する延出部25(後述)に注入口24aが形成されている。
非接合領域24は、容器用シート300において胴部11を構成する部分に形成されている胴部非接合領域241と、注入口24aと胴部非接合領域241とを相互に繋いでいる注入流路部242と、を含む。
図2において、注入流路部242の形成範囲にはハッチングを付している。注入流路部242の少なくとも一部分が、当該容器用シート300において、シート本体部310の上下方向における中心位置よりも上側の部分に配置されている。シート本体部310の上下方向における中心位置よりも上側とは、
図2に示す中心線CLよりも上側である。シート本体部310の上下寸法をH1とすると、中心線CLは、上下方向においてシート本体部310の下端と上端との双方からH1/2の距離に位置する。
本実施形態の場合、注入流路部242の少なくとも一部分が上部構成部320に配置されており、より詳細には、注入流路部242の全体が上部構成部320に配置されている。
図2に示すように、容器用シート300の厚み方向に視たときに、注入流路部242がスパウト部材15を避けた経路に配置されている。つまり、容器用シート300の厚み方向に視たときに、注入流路部242のいずれの部位も、スパウト部材15と重ならないようになっている。
【0011】
このため、注入口24aから注入流路部242を経由して胴部非接合領域241に充填材を注入して充填部60を膨らませる際に、注入流路部242の膨らみがスパウト部材15の姿勢に与える影響を小さくできる。よって、複数の容器用シート300を用いて複数のシート材容器100を製造するに際し、スパウト部材15の好ましい姿勢を再現性良く実現することができる。
【0012】
また、注入口24aが上部構成部320に配置されている(注入口24aがスパウト部材15の近傍に配置されている)ことにより、スパウト部材15を保持しながら容器用シート300を搬送し、注入口24aを治具にセットする際に、治具に対する注入口24aの位置ズレの発生を抑制できるため、セットが容易になる。このため、様々な形状及び寸法のシート材容器100を製造するに際し、シート材容器100の寸法にかかわらず、非接合領域24に充填材を充填するための治具の位置を変更する必要がなくなる。よって、シート材容器100の寸法にかかわらず、シート材容器100の製造が容易となる。
【0013】
本実施形態では、容器用シート300の各構成要素の位置関係の説明において、
図1及び
図2における上側を上、下側を下といい、
図1及び
図2における横幅方向を横幅方向という。
【0014】
図6から
図9(a)に示すように、本実施形態に係るシート材容器100は、複数のフィルム層(本実施形態の場合、
図3に示すように、外側フィルム22と内側フィルム23との2つのフィルム層)を積層した本体構成シート材21と、本体構成シート材21に設けられたスパウト部材15と、を備えて構成されているとともに、内容物18を収容する収容領域17を覆っている容器本体20を備えている。
シート材容器100の本体構成シート材21は、複数のフィルム層どうしが接合している接合領域(本体シール部48)と、複数のフィルム層どうしが部分的に非接合とされている非接合領域24と、非接合領域24における複数のフィルム層どうしの層間に充填材が封入されている充填部60と、を有する。充填部60に封入されている充填材は、流体(気体または液体)、固体(例えば粉粒体、樹脂ペレット等)または半固体(例えば発泡材等)とすることができ、空気や窒素ガスなどの気体であることが好ましい。
容器本体20は、胴部11と、胴部11の上側に連接されているとともにスパウト部材15を有する上縁部(例えば天マチ14)と、底部(底マチ13)と、を含む。
非接合領域24は、胴部11に形成されている胴部非接合領域241と、胴部非接合領域241における複数のフィルム層どうしの層間に充填材を注入する際の流路であった注入流路部242と、を含む。
本体構成シート材21は、容器本体20の下部を構成するシート本体部310と、容器本体20の上縁部を含む容器本体20の上部を構成する上部構成部320と、を含む。
注入流路部242の少なくとも一部分、又は、注入流路部242の封止部27(
図9(a))の少なくとも一部分が、シート材容器100において、シート本体部310の上下方向における中心位置よりも上側の部分に配置されている。
本実施形態の場合、注入流路部242の少なくとも一部分、又は、注入流路部242の封止部27(
図9(a))の少なくとも一部分が、上部構成部320に配置されている。つまり、充填部60から充填材を排出してシート材容器100を
図2のように扁平に押し潰した状態において、注入流路部242の少なくとも一部分、又は、注入流路部242の封止部27の少なくとも一部分が、中心線CLよりも上側に位置する。
そして、充填部60から充填材を排出してシート材容器100を
図2のように扁平に押し潰した状態において、シート材容器100の厚み方向に視たときに、注入流路部242がスパウト部材15を避けた経路に配置されている。
【0015】
シート材容器100は、底部としての底マチ13(
図6、
図7(b))が水平な載置面に載置された状態で自立可能な自立容器である。
本実施形態において、シート材容器100の各構成要素の位置関係(上下関係等)の説明は、特に断りのない場合は、シート材容器100を
図6のように自立させた状態での位置関係を説明したものである。ただし、これらの説明における位置関係は、シート材容器100の使用時や製造時の位置関係とは必ずしも一致しない。
また、シート材容器100の各構成要素の位置関係について、各図に示される位置関係を説明する場合もある。
シート材容器100の正面側(
図6における手前側、
図7(a)における左側)を前方、シート材容器100の背面側(
図6における奥側、
図7(a)における右側)を後方といい、シート材容器100の正面に向かって左側(
図6における左側、
図7(a)における奥側)を左方、シート材容器100の正面に向かって右側(
図6における右側、
図7(a)における手前側)を右方という。また、シート材容器100の左右方向を横幅方向という場合がある。
【0016】
また、本実施形態に係る内容物詰めシート材容器200は、本実施形態に係るシート材容器100と、収容領域17に収容された内容物18と、を備える。
【0017】
本発明において、内容物18の種類は、特に限定されない。内容物18としては、例えば、シャンプー、リンス、ボディーソープ、洗剤、漂白剤、柔軟剤、飲料、食品の他に、エンジンオイル、化学薬品などが挙げられる。
また、内容物18は、液体(ペースト状のものを含む)であっても良いし、固体(例えば、粒状のもの(顆粒状のものを含む)、或いは粉状のものなど)であっても良い。
本実施形態の場合、内容物18は、例えば、液体である。
内容物18が液体の場合には、内容物18の粘度は、例えば30℃において好ましくは1mPa・s以上12万mPa・s以下(B型粘度計で測定。例えば東機産業社製ビスコメーターTV-10又はビスコメーターTVB-10等で測定)であり、より好ましくは1mPa・s以上6万mPa・s以下である。
【0018】
シート材容器100は、容器本体20により構成されている胴部11と、胴部11の上端から上方に突出している円筒状の口頸部と、を備えている。胴部11は、収容領域17を包囲している。本実施形態の場合、シート材容器100は、内部に収容領域17を有する内袋40を備えている。容器本体20は、内袋40を包囲している。口頸部は、スパウト部材15の後述する注出筒部15aにより構成されている。
容器本体20の胴部11の正面形状は、特に限定されないが、本実施形態の場合、例えば、
図6に示すように、縦長の略六角形状(略四角形状ともいえる)となっている。
図8に示すように、胴部11は、収容領域17を間に挟んで互いに対向している第1主面部20a(前側のパネル)及び第2主面部20b(後側のパネル)を有する。第1主面部20aは正面側に位置しており、第2主面部20bは背面側に位置している(
図7(a)も参照)。容器本体20は、天マチ14、胴部11及び底マチ13を有する袋状に形成されている。
ただし、本発明は、この例に限らず、容器本体20は、天マチ14を有していなくてもよい。
容器本体20は、本体構成シート材21(
図3参照)を折り曲げて当該本体構成シート材21の周縁部どうしを相互に接合(本実施形態の場合、内袋構成シート材41を介して相互に接合)することによって構成されている。
【0019】
本実施形態の場合、内袋40は、内袋構成シート材41(
図3参照)により構成されている。内袋構成シート材41を折り曲げて当該内袋構成シート材41の周縁部どうしを相互に接合することによって、袋状の内袋40が構成されている。
ただし、本発明は、この例に限らず、シート材容器100(及び容器用シート300)は、内袋40を有していなくても良い。
【0020】
内袋40の形状は、特に限定されないが、本実施形態の場合、内袋40は容器本体20と同様の形状に形成されている。
内袋40は、収容領域17を間に挟んで正面側に位置する第1主面部40a(
図8)と背面側に位置する第2主面部40b(
図8)とを有する。
【0021】
シート材容器100は、例えば、天マチ14を貫通して設けられているスパウト部材15と、スパウト部材15に装着(例えば着脱可能に装着)されているキャップ16と、を備えている。
より詳細には、スパウト部材15は、例えば、内容物18を通過させる筒状の注出筒部15aと、注出筒部15aの軸方向における一端において当該軸方向に対して直交する配置で設けられている板状のフランジ部15bと、を一体に備えて構成されている。例えば、注出筒部15aの外周面にはねじ山が形成されており、注出筒部15aは雄ねじ形状となっている。フランジ部15bは、例えば、内袋構成シート材41において、胴部11の天マチ14に沿って配置されている部分の内面又は外面に設けられている。これにより、スパウト部材15は、内袋構成シート材41を介して本体構成シート材21に設けられている。本実施形態の場合、注出筒部15aの軸方向は、天マチ14に対して直交している。
容器用シート300の非接合領域24に充填材を封入することによりシート材容器100が形成された状態で、理想的には、例えば、天マチ14は水平に配置され、注出筒部15aの軸方向は鉛直に配置されるようになっている。
【0022】
キャップ16は、注出筒部15aに対して着脱可能に螺合している雌ねじ形状の筒状部である装着部16aと、装着部16aに連結されている開閉蓋16cと、を備えている。装着部16aの上端には、内容物18を吐出可能な吐出口16bが形成されている。開閉蓋16cは、吐出口16bを塞ぐ閉状態(
図6に実線で示される状態)と、吐出口16bを開放状態とする開状態(
図6に二点鎖線で示される状態)とに変換可能に、薄肉ヒンジなどのヒンジを介して装着部16aに連結されている。
キャップ16がスパウト部材15に螺合することで装着された状態で、且つ、開閉蓋16cが開状態となっているときに、容器本体20に対して圧搾操作が行われると、収容領域17の内容物18は、スパウト部材15を通過し、吐出口16bから外部に吐出される。
【0023】
次に、シート材容器100における充填部60の例について説明する。
本実施形態の場合、充填部60は、
図6~
図9(a)に示すように、例えば、第1主面部20aと第2主面部20bの各々に形成されている主面部充填部61と、底マチ13の周縁に沿って周回状に形成されている底部充填部63と、を含んでいる。
前側の主面部充填部61は、例えば、第1主面部20aの左右両側縁部に沿ってそれぞれ上下に延在している上下延在充填部66、67と、第1主面部20aの下縁に沿って左右に延在している横幅方向延在部121と、を備えている。上下延在充填部66の下端が横幅方向延在部121の左端に連通しており、上下延在充填部67の下端が横幅方向延在部121の右端に連通している。
後側の主面部充填部61は、例えば、前側の主面部充填部61と同様に上下延在充填部66、67、横幅方向延在部121を備えており、前側の主面部充填部61と前後対称に形成されている。
【0024】
前側の横幅方向延在部121は、底マチ13と第1主面部20aとに跨がって配置されている(
図6~
図7(b)参照)。第1主面部20aの主面部充填部61と底部充填部63とで前側の横幅方向延在部121を共有している。
同様に、後側の横幅方向延在部121は、底マチ13と第2主面部20bとに跨がって配置されており、第2主面部20bの主面部充填部61と底部充填部63とで後側の横幅方向延在部121を共有している。
底部充填部63は、前後一対の横幅方向延在部121と、左右一対の前後方向延在部122(
図7(b))と、を備えている。
左右の前後方向延在部122はそれぞれ前後方向に延在している。前側の横幅方向延在部121の左端が左側の前後方向延在部122の前端に連通しており、前側の横幅方向延在部121の右端が右側の前後方向延在部122の前端に連通しており、後側の横幅方向延在部121の左端が左側の前後方向延在部122の後端に連通しており、後側の横幅方向延在部121の右端が右側の前後方向延在部122の後端に連通している。
【0025】
シート材容器100は、このような構造の充填部60を備えていることによって、容器本体20のほぼ全体に亘って、構造的強度が十分に確保されている。
【0026】
本実施形態の場合、充填部60の全体が一繋がりに形成されている。ただし、本発明において、シート材容器100は、互いに独立した複数の充填部を備えていても良い。
【0027】
図3に示すように、本体構成シート材21は、容器本体20の外面側を構成する外側フィルム22と、容器本体20の内面側を構成する内側フィルム23と、を相互に積層及び接合することにより構成されている。すなわち、一例として、本実施形態の場合、本体構成シート材21は、外側フィルム22と内側フィルム23との2層のフィルム層により構成されている。ただし、本発明は、この例に限らず、本体構成シート材21は、外側フィルム22及び内側フィルム23以外のフィルム層を有していても良い。
本実施形態の場合、外側フィルム22と内側フィルム23とは互いに同形状に形成されているが、異形状であっても良い。異形状の場合は、外側フィルム22は内側フィルム23よりも大きい形状であることが好ましい。
外側フィルム22及び内側フィルム23には、スパウト部材15の注出筒部15aが挿通される挿通孔が形成されている。
【0028】
本体構成シート材21には、外側フィルム22と内側フィルム23とが部分的に非接合とされた非接合領域24が形成されている。例えば、外側フィルム22又は内側フィルム23の一方または両方において、他方に対して対向する面には、部分的に非接合処理が施されている。非接合処理は、非接合剤(いわゆる糊殺し剤)を塗布して糊殺し状態とすることによって、容易に形成することができる。糊殺し剤としては、外側フィルム22と内側フィルム23との接合を防止できるものであれば、いかなるものも使用することができる。糊殺し剤としては、例えば、オフセット印刷、フレキソ印刷、レタープレス印刷(凸版印刷)のそれぞれに使用する印刷用インキ、メジウムインキ、糊殺し専用インキ等を好ましく用いることができる。また、熱硬化型や紫外線硬化型のインキを好ましく用いることができる。
非接合処理が施された範囲が非接合領域24となる。非接合領域24に充填材が封入されることによって、充填部60が形成されるようになっている。
充填部60は、必ずしも非接合領域24の全部に形成されていることに限定されず、複数ある非接合領域24の一部に形成されていてもよい。
非接合領域24を除いて、内側フィルム23と外側フィルム22とが接合された本体シール部48となっていることが好ましく、本実施形態ではそのようになっている。
図3では、外側フィルム22及び内側フィルム23において、非接合領域24となる領域とそれ以外の領域との境界線を二点鎖線で示している。
図4では、非接合領域24とそれ以外の領域との境界線を破線で示している。
外側フィルム22と内側フィルム23との接合の手法としては、一例として、ヒートシール、超音波シール、接着剤による接合等を用いることができる。
【0029】
外側フィルム22及び内側フィルム23の各々も、複数の層構造をなしている。また、内袋構成シート材41も、複数の層構造をなしている。
【0030】
外側フィルム22は、一例として、第1層、第2層、第3層及び第4層をこの順に積層することにより構成された4層構造をなしている。
このうち第1層は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)または延伸ナイロン(ONy)により構成されている。第1層の主な機能としては、容器本体20に光沢感及び印刷適性をもたらすとともに容器本体20の剛性を確保することが挙げられる。
第2層は、例えば、当該第2層における第1層側の面にシリカ及び/又はアルミナが蒸着されたポリエチレンテレフタレートにより構成された透明蒸着PETの層である。第2層の主な機能としては、容器本体20にガスバリア性をもたらすことが挙げられる。
第3層は、例えば、延伸ナイロンにより構成されている。第3層の主な機能としては、容器本体20の耐ピンホール性を確保することが挙げられる。
第4層は、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)により構成されている。第4層の主な機能としては、内側フィルム23とのヒートシール性を確保することが挙げられる。
【0031】
内側フィルム23の層構造としては、外側フィルム22の第1層から第4層と同様の層構造に加えて、例えば直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)により構成されている第5層を備える構造が挙げられる。第5層は、第1層と隣接した層であり、内側フィルム23における第4層とは反対側の面を構成している。第5層の主な機能としては、内側フィルム23とのヒートシール性を確保することが挙げられる。内側フィルム23の第4層の主な機能としては、内袋構成シート材41とのヒートシール性を確保することが挙げられる。
ただし、外側フィルム22及び内側フィルム23の層構造は、上記の例に限らず、また、外側フィルム22及び内側フィルム23を構成する各層の材料は、上記の例に限らない。
【0032】
内袋40を構成する内袋構成シート材41は、一例として、第1層、第2層及び第3層をこの順に積層することにより構成された3層構造をなしている。
このうち第1層は、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンにより構成されている。第1層の主な機能としては、本体構成シート材21とのヒートシール性(内側フィルム23とのヒートシール性)を確保することが挙げられる。
第2層は、例えば、当該第2層における第1層側の面にシリカ及び/又はアルミナが蒸着された延伸ナイロンにより構成された透明蒸着延伸ナイロンの層である。第2層の主な機能としては、ガスバリア性及び耐ピンホール性を確保することが挙げられる。
第3層は、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンにより構成されている。第3層の主な機能としては、内袋構成シート材41どうしのヒートシール性を確保することが挙げられる。
なお、内袋構成シート材41の層構造は、ここで説明した構造に限らない。
【0033】
図4に示すように、本体構成シート材21に内袋構成シート材41が積層されるとともに、内側フィルム23の周縁部と内袋構成シート材41の周縁部とが相互に接合されて内外シール部43が形成されることによって、本体構成シート材21と内袋構成シート材41とにより容器構成シート材51が構成されている。
内袋構成シート材41と本体構成シート材21(内側フィルム23)との接合の手法としては、一例として、ヒートシール、超音波シール、接着剤による接合等を用いることができる。
【0034】
図4に示すように、本体構成シート材21は、例えば、第1主面部20aを構成する部分である第1シート部31と、第2主面部20bを構成する部分である第2シート部32と、底マチ13を構成する部分である底マチ構成シート部38と、天マチ14を構成する部分である天マチ構成シート部39(天マチ構成部)と、例えば第2シート部32から外方に延出している延出部25と、を有する。
天マチ構成シート部39には、スパウト部材15の注出筒部15aが挿通される挿通穴21aが形成されている。
本実施形態の場合、非接合領域24は、シート材容器100の充填部60の形状と対応する形状に形成されている。この段階で、非接合領域24は、例えば、延出部25に形成された注入口24aにおいてのみ外部と連通している。
【0035】
本実施形態の場合、内袋構成シート材41は、本体構成シート材21における延出部25を除く部分と同形状に形成されている。
なお、
図8では、内袋構成シート材41のシール境界線41aを便宜的に二点鎖線で示している。シール境界線41aは、容器構成シート材51を用いてシート材容器100が形成される際に、内袋構成シート材41どうしが接合(シール)される領域と、内袋構成シート材41における他の領域と、の境界線である。
【0036】
内袋構成シート材41において天マチ構成シート部39と重なる部分には、スパウト部材15の注出筒部15aが挿通される挿通穴41bが形成されている。
スパウト部材15のフランジ部15bは、例えば、内袋構成シート材41において天マチ構成シート部39と重なっている部分の内面に設けられている。注出筒部15aは、内袋構成シート材41の挿通穴41b及び天マチ構成シート部39の挿通穴21aを通してこれらシートの外面側に突出している。
【0037】
容器構成シート材51が、
図4に示す折り曲げ線81、折り曲げ線82及び折り曲げ線84においてそれぞれ谷折りされるとともに、折り曲げ線83及び折り曲げ線85においてそれぞれ山折りされた状態で、容器構成シート材51の周縁部どうし(内袋構成シート材41どうし)が接合されることによって、容器構成シート材51が二重構造の袋状に形成される。ここで、谷折りとは、
図4における奥側に向けて凸の折り曲げ方であり、山折りとは、
図4における手前側に向けて凸の折り曲げ方である。
すなわち、内袋構成シート材41の縁部どうしが接合されて内袋シール部42(
図7(a)、
図8、
図9(a)参照)が形成されることにより、内袋構成シート材41によって内袋40が形成されるとともに、内袋40を覆う袋状の容器本体20が形成される。つまり、容器用シート300(
図1、
図2)が作製される。
内袋構成シート材41どうしの接合の手法としては、一例として、ヒートシール、超音波シール、接着剤による接合等を用いることができる。
【0038】
第1シート部31のうち、折り曲げ線85よりも天マチ構成シート部39側の部分は、第1重複部31a(重複部)である。第1重複部31aは、容器用シート300の状態において、天マチ構成シート部39における一方の半部と重なって配置されている。
第2シート部32のうち、折り曲げ線86(
図4:後述)よりも底マチ構成シート部38から遠い側に位置する部分は、第2重複部32a(重複部)である。第2重複部32aは、容器用シート300の状態において、天マチ構成シート部39における他方の半部と重なって配置されている。
図1及び
図2に示す容器用シート300のシート本体部310は、
図4に示す本体構成シート材21の第1シート部31における第1重複部31aを除く部分と、第2シート部32における第2重複部32aを除く部分と、底マチ構成シート部38と、により構成されている。
容器用シート300の上部構成部320は、
図4に示す本体構成シート材21の天マチ構成シート部39と、第1重複部31aと、第2重複部32aと、延出部25と、により構成されている。
通常時において、容器用シート300は、シート本体部310と上部構成部320との境界線、すなわち
図4に示す折り曲げ線85、86に相当する位置において折り曲げられており、上部構成部320がシート本体部310の上部に重なっている。
【0039】
天マチ構成シート部39、及び、上部構成部320における延出部25を除く部分の形状は、一例として、横長の八角形に形成されている。スパウト部材15は、天マチ構成シート部39の中央部に配置されている。
延出部25は、
図2における天マチ構成シート部39の上端から上方に突出している。なお、延出部25の基端(延出部25と第2重複部32aとの接続端)は、
図2に示すように、八角形の天マチ構成シート部39の一の辺の途中部分と対応する位置に配置されていてもよいし、
図5に示すように、八角形の天マチ構成シート部39の隣り合う辺どうしの間の角部と対応する位置に配置されていてもよい。
本実施形態の場合、延出部25は、直線状に形成されている。ただし、本発明は、この例に限らず、延出部25は、屈曲した形状(折れ曲がり形状など)に形成されていてもよい。
注入流路部242は、延出部25から第2重複部32aに亘って形成されている。注入流路部242の一部分は、延出部25に配置されており、注入流路部242の他の部分は、第2重複部32aに配置されている。
図2における注入流路部242の上端部において、延出部25の一方の面(例えば、
図1における手前側の面)に、注入口24aが形成されている。注入口24aは、例えば、外側フィルム22又は内側フィルム23の一方の表裏を貫通して形成されたスリット(一例として、内側フィルム23の表裏を貫通して形成された十字型のスリット)である。
胴部非接合領域241は、上述した充填部60、すなわち前後の上下延在充填部66、前後の上下延在充填部67、前後の横幅方向延在部121、及び、左右の前後方向延在部122と対応する領域に形成されている。なお、前後の上下延在充填部66は、互いに同形状に形成されており、前後の上下延在充填部67は、互いに同形状に形成されている。
一方、注入流路部242は、非接合領域24のうち、注入口24aと胴部非接合領域241との間を繋ぐ部分である。より詳細には、注入流路部242は、注入口24aと、胴部非接合領域241において後側の上下延在充填部66を形成する部分の
図2における上端部と、を繋いでいる。
注入流路部242は、例えば、
図2における上下に直線状に延在している。そして、
図2における注入流路部242の下端部が、胴部非接合領域241と連通している。
注入流路部242において、第2重複部32aに配置されている部分、すなわち天マチ構成シート部39と重なっている部分は、例えば、胴部非接合領域241において後側の上下延在充填部66を形成する部分よりも、上部構成部320の横幅方向における中央寄り(スパウト部材15側)に配置されている。
【0040】
図2に示すように、本実施形態の場合、注入口24a及び注入流路部242の全体が、容器用シート300の横幅方向において、スパウト部材15に対してずれた位置に配置されている。
図2において、注入口24a及び注入流路部242の全体が、スパウト部材15に対して右側にずれた位置に配置されている。
【0041】
スパウト部材15のフランジ部15bは、例えば、角丸の矩形状(例えば角丸の正方形状)に形成されており、それぞれ直線状に延在する4つの辺を有する。これら4つの辺は、
図2において、注出筒部15aの上側と下側においてそれぞれ左右に延在している2つの辺と、注出筒部15aの左側及び右側においてそれぞれ上下に延在している2つの辺と、を含む。このうち、
図2における注出筒部15aの右側において上下に延在している辺15cに沿って、注入流路部242において第2重複部32aに配置されている部分が延在している。
このように、スパウト部材15は、本体構成シート材21の一部分に沿って設けられているフランジ部15bと、フランジ部15bから一方に突出している筒状部(注出筒部15a)と、を有し、フランジ部15bの外形線は、直線状の辺15cを含み、注入流路部242の少なくとも一部分は、フランジ部15bの辺15cに沿って延在している。
このような構成により、容器用シート300の厚み方向に視たときに、注入流路部242とスパウト部材15との重なりを回避しつつ、注入流路部242の流路幅を十分に確保することが、容易となる。
ただし、フランジ部15bは、必ずしも直線状の辺15cを持たなくても良く、フランジ部15bの形状は円形状であってもよいし、各辺が円弧状の多角形状であってもよい。
【0042】
なお、天マチ構成シート部39には注入流路部242が非形成となっている。すなわち、容器本体20の天マチ14には注入流路部242が非形成となっている。
【0043】
次に、
図5を用いて、容器用シート300の非接合領域24に充填材を注入する工程の一例を説明する。
この工程は、例えば、
図5に示すように、上部構成部320をシート本体部310に対して垂直に折り曲げた状態で行う。このため、
図4に示す折り曲げ線85と重なる折り曲げ線86(
図4)において、第2シート部32が折り曲げられる。
【0044】
この工程で用いられる治具は、例えば、スパウト部材15の注出筒部15aを保持する保持部材410と、延出部25を挟持する第1保持ブロック420及び第2保持ブロック430と、第1保持ブロック420を介して注入口24aから注入流路部242に充填材を注入する注入管450と、を備えて構成されている。
第1保持ブロック420及び第2保持ブロック430の互いの対向面は、略平坦に形成されており、延出部25を安定的に挟持できるようになっている。
ただし、第1保持ブロック420の対向面には断面円弧状の溝部421が、第2保持ブロック430の対向面にも断面円弧状の溝部431が、それぞれ形成されている。溝部421と溝部431とが互いに突き合わされる状態で、第1保持ブロック420と第2保持ブロック430とにより延出部25が挟持される。溝部421は、第1保持ブロック420の対向面の両端間に連続的に形成されており、同様に、溝部431は、第2保持ブロック430の対向面の両端間に連続的に形成されている。
注入管450は、第1保持ブロック420の外部に位置する外側管部451と、外側管部451の先端側に連接されているとともに第1保持ブロック420の内部に位置する挿入管部452と、を含んで構成されている。挿入管部452の先端は、溝部421の長手方向における中間部に位置している。
挿入管部452の先端が注入口24aに対して位置合わせされるように、第1保持ブロック420と第2保持ブロック430とにより延出部25を挟持した状態で、注入管450を介して注入口24aから非接合領域24に充填材を注入する。この際に、天マチ構成シート部39、第1重複部31a及び第2重複部32aと、延出部25とは、互いに同一平面上に配置することが好ましい。
【0045】
ここで、上記のように、注入口24a及び注入流路部242の全体が、容器用シート300の横幅方向において、スパウト部材15に対してずれた位置に配置されている。このため、治具を用いて注入口24aから非接合領域24に充填材を注入する際に、注入用の治具どうしの干渉(例えば、第1保持ブロック420及び第2保持ブロック430と、保持部材410との干渉)を容易に抑制できる。
【0046】
非接合領域24に充填材が注入された後、注入流路部242におけるいずれかの部位において非接合領域24を封止する。すなわち、注入流路部242におけるいずれかの部位において、外側フィルム22と内側フィルム23とを相互に接合して封止部27を形成する。これにより、非接合領域24に充填材が封入されて充填部60が形成される。ここで、第1保持ブロック420及び第2保持ブロック430により延出部25を加熱して注入流路部242が封止されてもよいし、延出部25において第1保持ブロック420及び第2保持ブロック430により挟持されている部分よりも基端側において注入流路部242が封止されてもよいし、注入流路部242において第2重複部32aに配置されている部分が封止されてもよい。
なお、充填部60の内部における圧力は、特に限定されないが、大気圧よりも高圧であることが好ましく、例えば、10kPa以上500kPa以下(ゲージ圧)とすることができる。
こうして、シート材容器100が得られる。
【0047】
ここで、注入口24aから注入流路部242を経由して胴部非接合領域241に充填材を注入して充填部60を膨らませる際に、注入流路部242の膨らみがスパウト部材15の姿勢に与える影響を小さくできる。よって、容器用シート300の本体構成シート材21が容器本体20の形状に展開した状態において、スパウト部材15のフランジ部15bを略水平にすることができ、注出筒部15aの軸方向を略鉛直にすることができる。つまり、複数の容器用シート300を用いて複数のシート材容器100を製造するに際し、スパウト部材15のフランジ部15b及び注出筒部15aのこのような姿勢を再現性良く実現することができる。
【0048】
なお、注入流路部242が封止される位置にもよるが、充填部60の形成後、延出部25は切除されてもよいし、延出部25の全体又は一部分は、シート材容器100の状態でも残留していてもよい。すなわち、
図7(a)に第1位置91で示されるように、延出部25の全体が残留しても良い。
図7(a)に第2位置92で示されるように、延出部25は、注入口24aよりも先端側の位置において切断されて当該延出部25の先端部が切除されてもよい。
図7(a)に第3位置93で示されるように、延出部25は、注入口24aよりも基端側且つ延出部25の基端よりも先端側の位置において切断されて部分的に切除されてもよい。
図7(a)に第4位置94で示されるように、延出部25は、当該延出部25の基端において切断されて、当該延出部25の全体が切除されてもよい。
【0049】
本実施形態の場合、延出部25は全体が切除される。この場合も、
図9(a)に示すように、注入流路部242の一部分は、胴部11に配置されており、シート材容器100の状態でも残留する。注入流路部242の一部分に充填材が封入されることで形成された充填部は、胴部11の周縁に位置する周縁充填部69となる。
本実施形態の場合、周縁充填部69の下端部は、後側の上下延在充填部66の上端部に連通している。また、周縁充填部69の上端部と隣接して、注入流路部242が封止されることで形成された封止部27が配置されている。
本実施形態の場合、封止部27と重なる位置において、容器本体20と内袋40とが(本体シール部48と内袋シール部42とが)非接合となっている。この非接合の部分を介して、内袋40の外面と容器本体20の内面との間隙に外気を導入可能となっている。すなわち、この非接合の部分は、外気導入部26となっている。
【0050】
シート材容器100の作製後、スパウト部材15の注出筒部15aを通して収容領域17に内容物18を充填した後で、スパウト部材15にキャップ16が装着されることによって、収容領域17に内容物18が封入された内容物詰めシート材容器200が得られる。
【0051】
ここで、上記のように、容器構成シート材51は、
図4に示す折り曲げ線85と折り曲げ線86においてそれぞれ折り曲げられるため、シート材容器100の胴部11の上部(第1主面部20aと第2主面部20bとの各々)には、それぞれ横幅方向に延在する折り目161が形成されている。折り目161は、容器本体20に形成された折り筋であり、罫線とも呼ばれるものである。
本実施形態の場合、注入流路部242は、折り目161よりも上側に配置されている。
このように、容器本体20の上縁部は、天マチ14であり、胴部11は、当該胴部11の横幅方向に延在する折り目161を当該胴部11の上部に有し、上部構成部320は、天マチ14を構成する天マチ構成部(天マチ構成シート部39)と、天マチ構成部と重ねて配置され胴部11における折り目161よりも上側の部分を構成する重複部(第1重複部31a、第2重複部32a)と、を含んで構成され、シート本体部310は、容器用シート300における折り目161よりも下側の部分により構成されている。
本実施形態の場合、注入流路部242の全体が、上部構成部320において胴部11の折り目161よりも上側となる部分に配置されている。
【0052】
<第1実施形態の変形例>
充填部60内には上述したように大気圧よりも高圧の充填材が封入されるため、封止部27と周縁充填部69との境界線は必ずしも直線状に形成されず、
図9(b)に示すように周縁充填部69は封止部27側に向けて弧状に膨らんだ膨張部29を含む形状となる場合がある。
なお、シート材容器100は、封止部27と重なる外気導入部26を備える例に限らず、封止部27と重なる位置においても内外シール部43が形成されていてもよい。
【0053】
〔第2実施形態〕
次に、
図10(a)及び
図10(b)を用いて第2実施形態を説明する。
本実施形態に係る容器用シート300は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る容器用シート300と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る容器用シート300と同様に構成されている。
図10(a)及び
図10(b)に示すように、本実施形態の場合、容器用シート300は、上部構成部320から突出している突出片321を備えている。突出片321は、天マチ構成シート部39の一部分と第2重複部32aの一部分とが互いに重ね合わされて構成されている。注入口24aは、突出片321において、
図10(b)における手前側の面に形成されている。つまり、本実施形態の場合も、注入口24aは、上部構成部320に配置されており、より詳細には、注入口24aは第2重複部32aに配置されている。
【0054】
〔第3実施形態〕
次に、
図11を用いて第3実施形態を説明する。
本実施形態に係る容器用シート300及びシート材容器100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る容器用シート300及びシート材容器100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る容器用シート300及びシート材容器100と同様に構成されている。
図11に示すように、本実施形態の場合、容器本体20は、天マチ14を有しておらず、その代わり、スパウト部材15の配置領域を除き前後の厚みが扁平な上縁19(上縁部)を有している。本実施形態の場合、延出部25は、上縁19から上方に突出している。そして、注入口24aは上縁19よりも上方に配置されている。
本実施形態の場合、シート材容器100の作製に用いられる容器用シート300の上部構成部320は、上縁19及び延出部25を構成する部分であり、シート本体部310は、容器用シート300における他の部分である。
本実施形態の場合、シート材容器100は、例えば、内袋40を有しておらず、収容領域17は、容器本体20の内部空間により構成されている。
【0055】
本実施形態の場合も、注入流路部242の少なくとも一部分、又は、注入流路部242の封止部27の少なくとも一部分が、シート材容器100において、シート本体部310の上下方向における中心位置よりも上側の部分に配置されている。つまり、充填部60から充填材を排出してシート材容器100を扁平に押し潰した状態(不図示)において、注入流路部242の少なくとも一部分、又は、注入流路部242の封止部27の少なくとも一部分が、シート本体部310の上下方向における中心位置よりも上側に位置する。
そして、充填部60から充填材を排出してシート材容器100を扁平に押し潰した状態において、シート材容器100の厚み方向に視たときに、注入流路部242がスパウト部材15を避けた経路に配置されている。
より詳細には、注入流路部242の少なくとも一部分、又は、注入流路部242の封止部27の少なくとも一部分が、上部構成部320に配置されている。更に詳細には、注入流路部242の全体、又は、注入流路部242の封止部27の全体が、上部構成部320に配置されている。
【0056】
本実施形態の場合、容器用シートを用いてシート材容器100が作製された段階でも、注入流路部242及び延出部25が上縁19から上方に延出している。封止部27は、延出部25における注入流路部242の先端に隣接した位置に配置されている。
【0057】
また、容器用シート300の状態においては、注入流路部242の少なくとも一部分が、容器用シート300において、シート本体部310の上下方向における中心位置よりも上側の部分に配置されている。そして、容器用シート300の厚み方向に視たときに、注入流路部242がスパウト部材15を避けた経路に配置されている。
より詳細には、注入流路部242の少なくとも一部分が上部構成部320に配置されており、更に詳細には、注入流路部242の全体が上部構成部320に配置されている。
【0058】
なお、充填部60の形成後に延出部25を切除する場合は、注入流路部242の封止部27の少なくとも一部分が上縁19(上部構成部)に配置される。
【0059】
〔第4実施形態〕
次に、
図12から
図16(a)を用いて第4実施形態を説明する。
本実施形態に係る容器用シート300及びシート材容器100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る容器用シート300及びシート材容器100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る容器用シート300及びシート材容器100と同様に構成されている。
【0060】
図12に示すように、本実施形態に係る容器用シート300においても、注入流路部242の少なくとも一部分が、容器用シート300において、シート本体部310の上下方向における中心位置よりも上側の部分に配置されている。
より詳細には、本実施形態の場合、注入流路部242の少なくとも一部分が、シート本体部310に配置されている。
図12において、注入流路部242の形成範囲にはハッチングを付している。
本実施形態の場合も、容器用シート300の厚み方向に視たときに、注入流路部242がスパウト部材15を避けた経路に配置されている。つまり、容器用シート300の厚み方向に視たときに、注入流路部242のいずれの部位も、スパウト部材15と重ならないようになっている。
【0061】
本実施形態の場合、
図12及び
図13に示すように、注入流路部242と胴部非接合領域241との境界部243が、容器用シート300において、シート本体部310の上下方向における中心位置よりも上側の部分に配置されている。
より詳細には、境界部243が、シート本体部310の側縁部に配置されており、注入流路部242がシート本体部310から側方に延出している。このため、注入口24aから注入流路部242を経由して胴部非接合領域241に充填材を注入して充填部60を膨らませる際に、注入流路部242の膨らみがスパウト部材15の姿勢に与える影響をより確実に抑制できる。
【0062】
更に詳細には、注入流路部242が上部構成部320を避けた経路に配置されている。つまり、容器用シート300の厚み方向に視たときに、注入流路部242のいずれの部位も、上部構成部320と重ならないようになっている。このため、注入口24aから注入流路部242を経由して胴部非接合領域241に充填材を注入して充填部60を膨らませる際に、注入流路部242の膨らみがスパウト部材15の姿勢に与える影響を一層確実に抑制できる。
【0063】
本実施形態の場合、延出部25は、シート本体部310の上部から側方(左方)に突出している。
注入流路部242は、延出部25からシート本体部310に亘って形成されている。注入流路部242の一部分は、延出部25に配置されており、注入流路部242の他の部分は、シート本体部310に配置されている。
図12における注入流路部242の左端部において、延出部25の一方の面(例えば、
図12における手前側の面)に、注入口24aが形成されている。
注入流路部242は、注入口24aと、胴部非接合領域241において後側の上下延在充填部66を形成する部分(
図13参照)における上部と、を繋いでいる。
注入流路部242は、例えば、
図12及び
図13における左右に直線状に延在している。
【0064】
本実施形態の場合、延出部25は、
図4における図示は省略するが、第2シート部32から側方に延出している。また、容器用シート300のシート本体部310は、
図4に示す本体構成シート材21の第1シート部31における第1重複部31aを除く部分と、第2シート部32における第2重複部32aを除く部分と、底マチ構成シート部38と、延出部25(
図4には本実施形態における延出部25は不図示)と、により構成されている。また、容器用シート300の上部構成部320は、
図4に示す本体構成シート材21の天マチ構成シート部39と、第1重複部31aと、第2重複部32aと、により構成されている。
【0065】
次に、
図14を用いて、容器用シート300の非接合領域24に充填材を注入する工程の一例を説明する。
本実施形態の場合も、この工程は、上部構成部320をシート本体部310に対して垂直に折り曲げた状態で行う。
図14に示すように、注入管450を介して注入口24aから非接合領域24に充填材を注入する際に、シート本体部310と延出部25とを互いに同一平面上に配置することが好ましい。
【0066】
ここで、上記のように、延出部25がシート本体部310から側方に延出しているため、治具を用いて注入口24aから非接合領域24に充填材を注入する際に、注入用の治具どうしの干渉(例えば、第1保持ブロック420及び第2保持ブロック430と、保持部材410との干渉)を容易に抑制できる。
また、各種の形状及びサイズのシート材容器100を製造するに際し、横幅方向において、スパウト部材15の位置と注入口24aの位置とが一定となるように延出部25の長さを調節することにより、保持部材410の位置と、第1保持ブロック420、第2保持ブロック430及び注入管450の位置と、を変更せずに、シート材容器100を製造することができる。
【0067】
本実施形態の場合も、非接合領域24に充填材が注入された後、注入流路部242におけるいずれかの部位において非接合領域24を封止する。すなわち、注入流路部242におけるいずれかの部位において、外側フィルム22と内側フィルム23とを相互に接合して封止部27を形成する。これにより、非接合領域24に充填材が封入されて充填部60が形成される。ここで、第1保持ブロック420及び第2保持ブロック430により延出部25を加熱して注入流路部242が封止されてもよいし、延出部25において第1保持ブロック420及び第2保持ブロック430により挟持されている部分よりも基端側において注入流路部242が封止されてもよいし、注入流路部242においてシート本体部310に形成されている部分が封止されてもよい。
こうして、シート材容器100が得られる。
【0068】
本実施形態に係るシート材容器100においても、注入流路部242の少なくとも一部分、又は、注入流路部242の封止部27(
図16(a))の少なくとも一部分が、シート材容器100において、シート本体部310の上下方向における中心位置よりも上側の部分に配置されている。より詳細には、注入流路部242の少なくとも一部分、又は、注入流路部242の封止部27の少なくとも一部分が、シート本体部310に配置されている。
そして、充填部60から充填材を排出してシート材容器100を扁平に押し潰した状態において、シート材容器100の厚み方向に視たときに、注入流路部242がスパウト部材15を避けた経路に配置されている。
【0069】
本実施形態の場合も、注入口24aから注入流路部242を経由して胴部非接合領域241に充填材を注入して充填部60を膨らませる際に、注入流路部242の膨らみがスパウト部材15の姿勢に与える影響を小さくできる。よって、複数の容器用シート300を用いて複数のシート材容器100を製造するに際し、スパウト部材15の好ましい姿勢を再現性良く実現することができる。すなわち、容器用シート300の本体構成シート材21が容器本体20の形状に展開した状態において、スパウト部材15のフランジ部15bを略水平にすることができ、注出筒部15aの軸方向を略鉛直にすることができる。
【0070】
より詳細には、充填材が、例えば、先ず非接合領域24においてシート本体部310に形成されている部分の全域に行き渡った後、非接合領域24において上部構成部320に形成されている部分にも行き渡るようにできる。このため、より一層、スパウト部材15のフランジ部15bを水平にすることができ、注出筒部15aの軸方向を鉛直にすることができる。
【0071】
本実施形態の場合も、充填部60の形成後、延出部25は切除されてもよいし、延出部25の全体又は一部分は、シート材容器100の状態でも残留していてもよい。すなわち、
図15に第1位置91で示されるように、延出部25の全体が残留しても良い。
図15に第2位置92で示されるように、延出部25は、注入口24aよりも先端側の位置において切断されて当該延出部25の先端部が切除されてもよい。
図15に第3位置93で示されるように、延出部25は、注入口24aよりも基端側且つ延出部25の基端よりも先端側の位置において切断されて部分的に切除されてもよい。
図15に第4位置94で示されるように、延出部25は、当該延出部25の基端において切断されて、当該延出部25の全体が切除されてもよい。
【0072】
本実施形態の場合、延出部25は全体が切除される。この場合も、
図16(a)に示すように、注入流路部242の一部分は、胴部11に配置されており、シート材容器100の状態でも残留する。注入流路部242の一部分に充填材が封入されることで形成された充填部は、胴部11の周縁に位置する周縁充填部69となる。
本実施形態の場合、周縁充填部69の一端部は、後側の上下延在充填部66の上部の側方に連通している。また、周縁充填部69の他端部と隣接して、注入流路部242が封止されることで形成された封止部27が配置されている。すなわち、封止部27は、境界部243を基準として、胴部11の側縁側(
図16(a)において左側)の位置に配置されている。
本実施形態の場合も、封止部27と重なる位置において、容器本体20と内袋40とが(本体シール部48と内袋シール部42とが)非接合となっており、この非接合の部分は、外気導入部26となっている。
【0073】
図15に示すように、本実施形態の場合、注入流路部242の全体、及び、境界部243の全体が、折り目161よりも下側に配置されている。
【0074】
<第4実施形態の変形例>
第4実施形態においても、封止部27と周縁充填部69との境界線は必ずしも直線状に形成されず、
図16(b)に示すように周縁充填部69は封止部27側に向けて弧状に膨らんだ膨張部29を含む形状となる場合がある。
【0075】
〔第5実施形態〕
次に、
図17を用いて第5実施形態を説明する。
本実施形態に係る容器用シート300及びシート材容器100は、以下に説明する点で、上記の第4実施形態に係る容器用シート300及びシート材容器100と相違しており、その他の点では、上記の第4実施形態に係る容器用シート300及びシート材容器100と同様に構成されている。
図17に示すように、本実施形態の場合、容器本体20は、天マチ14を有しておらず、その代わり、スパウト部材15の配置領域を除き前後の厚みが扁平な上縁19(上縁部)を有している。
本実施形態の場合、シート材容器100の作製に用いられる容器用シート300の上部構成部320は、上縁19を構成する部分であり、シート本体部310は、容器用シート300における他の部分である。
本実施形態の場合、シート材容器100は、例えば、内袋40を有しておらず、収容領域17は、容器本体20の内部空間により構成されている。
【0076】
本実施形態の場合も、注入流路部242の少なくとも一部分、又は、注入流路部242の封止部27の少なくとも一部分が、シート材容器100において、シート本体部310の上下方向における中心位置よりも上側の部分に配置されている。
そして、充填部60から充填材を排出してシート材容器100を扁平に押し潰した状態において、シート材容器100の厚み方向に視たときに、注入流路部242がスパウト部材15を避けた経路に配置されている。
より詳細には、注入流路部242の少なくとも一部分、又は、注入流路部242の封止部27の少なくとも一部分が、シート本体部310に配置されている。更に詳細には、注入流路部242の全体、又は、注入流路部242の封止部27の全体が、上部構成部320に配置されている。
【0077】
本実施形態の場合、容器用シート300を用いてシート材容器100が作製された段階でも、注入流路部242及び延出部25が胴部11から側方に延出している。封止部27は、延出部25における注入流路部242の先端に隣接した位置に配置されている。
【0078】
本実施形態の場合も、容器用シート300の状態において、注入流路部242の少なくとも一部分が、容器用シート300において、シート本体部310の上下方向における中心位置よりも上側の部分に配置されている。そして、容器用シート300の厚み方向に視たときに、注入流路部242がスパウト部材15を避けた経路に配置されている。
より詳細には、注入流路部242の少なくとも一部分がシート本体部310に配置されており、更に詳細には、注入流路部242の全体がシート本体部310に配置されている。
【0079】
本実施形態の場合も、注入流路部242と胴部非接合領域241との境界部243が、容器用シート300において、シート本体部310の上下方向における中心位置よりも上側の部分に配置されている。より詳細には、境界部243が、シート本体部310の側縁部に配置されており、注入流路部242がシート本体部310から側方に延出している。
また、シート材容器100の状態において、注入流路部242の封止部27は、シート本体部310に配置されているとともに、シート本体部310の上下方向における中央位置よりも上側に配置されている。
【0080】
なお、本実施形態において、充填部60の作製後に延出部25を切除する場合においても、注入流路部242の封止部27の少なくとも一部分が、シート本体部310の上下方向における中央位置よりも上側に配置されている。より詳細には、境界部243がシート本体部310の側縁部に配置され、境界部243を基準としてシート本体部310の側縁側の位置に封止部27が配置される。
【0081】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
例えば、注入流路部242が延出部25の先端に達していて、延出部25の先端に位置する注入流路部242の先端が注入口24aとなっていてもよい。
また、上部構成部320が上述した突出片321を有していない場合において、注入口24a及び注入流路部242の全体が、上部構成部320に配置されていてもよい。
また、注入流路部242の一部分、又は、注入口24aが、容器用シート300の横幅方向において、スパウト部材15と重なる位置に配置されていてもよい。
【0082】
また、上記の実施形態は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
また、上記実施形態に係る容器用シート300及びシート材容器100の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
【符号の説明】
【0083】
11 胴体部
13 底マチ(底部)
14 天マチ(上縁部)
15 スパウト部材
15a 注出筒部(筒状部)
15b フランジ部
15c 辺
16 キャップ
16a 装着部
16b 吐出口
16c 開閉蓋
17 収容領域
18 内容物
19 上縁(上縁部)
20 容器本体
20a 第1主面部
20b 第2主面部
21 本体構成シート材
21a 挿通穴
22 外側フィルム
23 内側フィルム
24 非接合領域
24a 注入口
241 胴部非接合領域
242 注入流路部
243 境界部
25 延出部
26 外気導入部
27 封止部
29 膨張部
31 第1シート部
31a 第1重複部(重複部)
32 第2シート部
32a 第2重複部(重複部)
38 底マチ構成シート部
39 天マチ構成シート部
40 内袋
40a 第1主面部
40b 第2主面部
41 内袋構成シート材
41a シール境界線
41b 挿通穴
42 内袋シール部
43 内外シール部
48 本体シール部
51 容器構成シート材
60 充填部
61 主面部充填部
63 底部充填部
66 上下延在充填部
67 上下延在充填部
69 周縁充填部
81、82、83、84、85、86 折り曲げ線
91 第1位置
92 第2位置
93 第3位置
94 第4位置
100 シート材容器
121 横幅方向延在部
122 前後方向延在部
161 折り目
200 内容物詰めシート材容器
300 容器用シート
310 シート本体部
320 上部構成部
321 突出片
410 保持部材
420 第1保持ブロック
421 溝部
430 第2保持ブロック
431 溝部
450 注入管
451 外側管部
452 挿入管部