IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大正製薬株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社吉野工業所の特許一覧

<>
  • 特許-ポンプ 図1
  • 特許-ポンプ 図2
  • 特許-ポンプ 図3
  • 特許-ポンプ 図4
  • 特許-ポンプ 図5
  • 特許-ポンプ 図6
  • 特許-ポンプ 図7
  • 特許-ポンプ 図8
  • 特許-ポンプ 図9
  • 特許-ポンプ 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-17
(45)【発行日】2023-01-25
(54)【発明の名称】ポンプ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20230118BHJP
【FI】
B65D47/34 110
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019014706
(22)【出願日】2019-01-30
(65)【公開番号】P2020121756
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】村山 有香
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 浩通
【審査官】永田 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-206378(JP,A)
【文献】特開2016-069054(JP,A)
【文献】特開2014-028637(JP,A)
【文献】米国特許第04538748(US,A)
【文献】特開2017-047962(JP,A)
【文献】特開2017-109750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に固定される固定部と、
前記容器の内容物を吐出するために前記固定部に対して前記口部の軸方向にストローク前端とストローク後端との間で進退可能な作動部と、
前記口部の周方向に前進規制位置と前進許容位置との間で回動可能に前記固定部に取付けられた回動部と、を備え、
前記作動部は、前記口部の径方向に弾性変位及び復元変位可能な変位可能部を備え、
前記回動部は、
前記回動部が前記前進規制位置にあるときに、前記ストローク後端からの前記作動部の前進を、前記変位可能部に前方から当接することで規制する前進規制部と、
前記回動部が前記前進許容位置にあるときに、前記ストローク後端から前記ストローク前端までの前記作動部の前進により、前記変位可能部に押圧されることで、前記回動部を前記前進許容位置から前記前進規制位置まで回動させる被押圧部と、を備え、
前記変位可能部は、前記回動部が前記前進規制位置にあるときに、前記ストローク前端から前記ストローク後端までの前記作動部の後退に伴って、復元変位により前記前進規制部の後方に復帰する、
ポンプ。
【請求項2】
前記回動部が、前記前進規制位置から前記前進許容位置までの前記回動部の回動に伴って、前記変位可能部を押圧することで前記変位可能部を前記径方向に弾性変位させる押圧部を備える、請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
前記変位可能部が、前記口部の径方向内側に弾性変位可能であるとともに、前記口部の径方向外側に復元変位可能である、請求項1又は2に記載のポンプ。
【請求項4】
前記変位可能部が、
前記口部の周方向に延在する片持ち支持された弾性アームと、
前記弾性アームの先端部から復元変位方向に突出する突出部と、を備える単一又は複数のユニットからなる、
請求項1~3のいずれか一項に記載のポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
容器の口部に固定される固定部と、容器の内容物を吐出するために固定部に対して口部の軸方向に進退可能な作動部とを備えるポンプが知られている。このようなポンプは、例えば特許文献1に記載されるように、内容物を収容した容器に取り付けられた状態で、作動部を進退させるための操作を受ける毎に、内容物を吐出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-178442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のようなポンプを用いる場合には、作動部を進退させる操作を繰り返すことで、内容物を繰り返し吐出することができる。しかし、そのために内容物を過剰に使用してしまう場合がある。
【0005】
本発明の目的は、容器の内容物の使用制限が可能なポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るポンプは、
容器の口部に固定される固定部と、
前記容器の内容物を吐出するために前記固定部に対して前記口部の軸方向にストローク前端とストローク後端との間で進退可能な作動部と、
前記口部の周方向に前進規制位置と前進許容位置との間で回動可能に前記固定部に取付けられた回動部と、を備え、
前記作動部は、前記口部の径方向に弾性変位及び復元変位可能な変位可能部を備え、
前記回動部は、
前記回動部が前記前進規制位置にあるときに、前記ストローク後端からの前記作動部の前進を、前記変位可能部に前方から当接することで規制する前進規制部と、
前記回動部が前記前進許容位置にあるときに、前記ストローク後端から前記ストローク前端までの前記作動部の前進により、前記変位可能部に押圧されることで、前記回動部を前記前進許容位置から前記前進規制位置まで回動させる被押圧部と、を備え、
前記変位可能部は、前記回動部が前記前進規制位置にあるときに、前記ストローク前端から前記ストローク後端までの前記作動部の後退に伴って、復元変位により前記前進規制部の後方に復帰する。
【0007】
本発明に係るポンプは、前記回動部が、前記前進規制位置から前記前進許容位置までの前記回動部の回動に伴って、前記変位可能部を押圧することで前記変位可能部を前記径方向に弾性変位させる押圧部を備えてもよい。
【0008】
本発明に係るポンプは、前記変位可能部が、前記口部の径方向内側に弾性変位可能であるとともに、前記口部の径方向外側に復元変位可能であってもよい。
【0009】
本発明に係るポンプは、
前記変位可能部が、
前記口部の周方向に延在する片持ち支持された弾性アームと、
前記弾性アームの先端部から復元変位方向に突出する突出部と、を備える単一又は複数のユニットからなってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、容器の内容物の使用制限が可能なポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るポンプを備えた吐出容器を前進規制状態で示す一部断面側面図である。
図2図1に示す吐出容器を、吐出ヘッドの押下げ後の状態で示す一部断面側面図である。
図3図1に示すポンプを構成するヘッド部材、カバー部材、袴部材、リング部材及びキャップ部材の分解斜視図である。
図4図3に示すリング部材を示す斜視図である。
図5図1に示す前進規制状態の吐出容器を部材の一部を省略して示す一部断面側面図である。
図6】(a)は、図5のA-A断面図であり、(b)は、(a)のB-B断面図である。
図7図5に示す状態から前進規制解除操作を受けたときの状態を示す一部断面側面図である。
図8】(a)は、図7のA-A断面図であり、(b)は、(a)のB-B断面図である。
図9図7に示す状態から押下げ操作を受けたときの状態を示す一部断面側面図である。
図10】(a)は、図9のA-A断面図であり、(b)は、(a)のB-B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るポンプ1について詳細に例示説明する。なお、上下方向とは、容器2の口部2aの軸方向(中心軸線Oに沿う方向)を意味し、上方とは、胴部2bから口部2aに向かう方向(例えば図1における上方)であり、下方とはその反対方向である。また、口部2aの径方向、径方向内側及び径方向外側を、単に径方向、径方向内側及び径方向外側ともいい、口部2aの周方向を単に周方向ともいう。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係るポンプ1は、容器2に装着されて吐出容器3を構成している。容器2は、液状の内容物4を収容する収容空間5に連通する開口を内側に区画する筒状の口部2aを備えている。本実施形態では口部2aの形状は円筒状であるが、これに限定されない。容器2は、口部2aに連なる有底筒状の胴部2bを備え、内側に収容空間5を区画している。胴部2bの形状は、本実施形態では口部2aより拡径した有底円筒状をなしているが、これに限定されない。容器2は、例えば合成樹脂、ガラス又は金属製であってよい。吐出容器3は、図示しない有頂円筒状のオーバーキャップを備えており、胴部2bの上部には、このオーバーキャップを嵌合可能な円環状の段部2cが設けられている。なお、吐出容器3は、オーバーキャップを有さない構成であってもよい。
【0014】
また、容器2は、筒状の外口部と外口部に連なる有底筒状の胴部とを有する外層体と、外口部と協働して口部を構成する内口部と内口部に連なるとともに胴部と独立して減容変形可能な収容部とを有する内層体と、外層体と内層体との間に外気を導入可能な外気導入口と、を備える二重容器であってもよい。この場合、外気導入口は、内口部と外口部とで構成されてもよいし、外口部を貫通する貫通孔で構成されてもよいし、胴部を貫通する貫通孔で構成されてもよい。二重容器は、外層体と内層体とが剥離可能に積層された積層剥離容器であってもよいし、外層体と内層体とが予め剥離した構成であってもよい。二重容器は、積層パリソンに対してブロー成形を施す押出しブロー成形(EBM:Extrusion Blow Molding)によって形成してもよいし、積層プリフォームに対してブロー成形を施す二軸延伸ブロー成形によって形成してもよいし、外層体と内層体とを別個に形成した後に組合せて形成してもよい。
【0015】
内容物4は、本実施形態では外用薬である。しかし、内容物4の種類は特に限定されず、例えば内用薬又はその他の薬液であってもよく、その粘度も特に限定されない。内容物4は、薬剤以外の液状物であってもよい。
【0016】
図1図2に示すように、ポンプ1は、容器2の口部2aに固定される固定部6と、容器2の内容物4を吐出するために固定部6に対して口部2aの軸方向にストローク前端とストローク後端との間で進退可能な作動部7と、を備えている。本実施形態では、ポンプ1は、収容空間5に配置される吸込口と、内容物4を吐出する吐出口8と、固定部6と作動部7とによって、吸込口から吐出口8までの流路に区画されるとともに、作動部7の前進(下降)によって容積が減少し、作動部7の後退(上昇)によって容積が増加するポンプ室と、ポンプ室より上流側に位置する上流側逆流防止部と、ポンプ室より下流側に位置する下流側逆流防止部と、作動部7を後退方向に付勢する弾性体12(例えばコイルばね)と、を備えている。また、固定部6は、シリンダ13を備え、作動部7は、シリンダ13の内面を摺動可能なピストンを備えている。
【0017】
作動部7は、吐出口8を有するとともに前進方向に押下げ操作可能な吐出ヘッド15を備えている。吐出口8は本実施形態では横向きとなっているが、その向きは適宜変更が可能である。吐出ヘッド15は、本実施形態ではヘッド部材16と袴部材17とで構成されている。しかし、ヘッド部材16と袴部材17とは一体に成形されてもよい。
【0018】
固定部6は、シリンダ13を有するシリンダ部材18と、シリンダ部材18に固着された円環状の封止部材19と、シリンダ部材18を口部2aに固定するために口部2aに装着されるキャップ部材20と、を備えている。キャップ部材20は、本実施形態では、口部2aの外周面に設けられた係合部(雄ねじ部)に螺合によって係止される被係合部(雌ねじ部)を有している。しかし、キャップ部材20は、口部2aの外周面に設けられた係合部に打栓によって係止される被係合部を有していてもよい。シリンダ部材18は、円筒状のシリンダ13の上端部から径方向外側に延在する円環状のフランジ18aを有している。封止部材19は、フランジ18aの下面に固着されている。固定部6の形状又は部材構成等は、適宜変更が可能である。
【0019】
作動部7は、前述したヘッド部材16及び袴部材17の他に、ヘッド部材16に接続する接続部材24と、接続部材24に固定された管状のステム部材25と、を備えている。しかし、作動部7の形状又は部材構成等は、適宜変更が可能である。
【0020】
本実施形態では、ポンプ1は、口部2aの周方向に前進規制位置と前進許容位置との間で回動可能に固定部6に取付けられた回動部29を備えている。回動部29は、口部2aの周方向に回動可能にキャップ部材20に取付けられたリング部材30aと、リング部材30aに固定されたカバー部材30bと、で構成されている。しかし、回動部29の部材構成等は適宜変更が可能である。
【0021】
図3に示すように、作動部7の袴部材17は、口部2aの径方向に弾性変位及び復元変位可能な、2つのユニット31a、31bからなる変位可能部31を備えている。変位可能部31は、作動部7における袴部材17以外の部分に設けてもよい。変位可能部31の各ユニット31a、31bは、口部2aの周方向に延在する片持ち支持された弾性アーム32と、弾性アーム32の先端部から復元変位方向に突出する第1突出部33と、弾性アーム32の先端部から弾性変位方向に突出する第2突出部34と、を備えている。本実施形態では、変位可能部31の各ユニット31a、31bは、口部2aの径方向内側に弾性変位可能(図8(a)等参照)であるとともに、口部2aの径方向外側に復元変位可能(図6(a)参照)である。
【0022】
図3に示すように、作動部7の袴部材17は、固定部6のキャップ部材20に設けられた案内部35に進退方向に案内される被案内部36を有している。袴部材17の被案内部36は、本実施形態では、2つのユニット36a、36bからなっている。被案内部36の各ユニット36a、36bは、凸部で構成されている。案内部35は、被案内部36の各ユニット36a、36bを案内するように構成されている。案内部35は、縦溝で構成された2つのユニット35a、35bからなっている。本実施形態では、案内部35の各ユニット35a、35bは、キャップ部材20の周壁37の内周面に設けられている。
【0023】
図1及び図3に示すように、キャップ部材20は、口部2aに装着される円筒状の装着壁38と、装着壁38の上端部から径方向内側に延在する円環状の内向きフランジ39と、装着壁38の上端部から径方向外側に延在する外向きフランジ40と、外向きフランジ40の外周縁部から垂下する外周壁41と、外向きフランジ40から上方に延在する周壁37と、を備えている。周壁37の上端部には、外周面が段差状に縮径した縮径部37aが設けられている。
【0024】
袴部材17は、ヘッド部材16の円筒状の筒壁16aに固定されている。筒壁16aは、ヘッド部材16の下部に設けられており、円環状の下端面を有している。図3に示すように、袴部材17は、ヘッド部材16の筒壁16aの下端面に当接する上面を有するとともに被案内部36を有する、周方向に間隔を空けて配置された2つのユニット42a、42bからなるベース部42と、ベース部42の各ユニット42a、42bに連なるとともにヘッド部材16の筒壁16aより径方向内側に配置されるオフセット部43のユニット43a、43bと、を備える環状をなしている。
【0025】
ベース部42の各ユニット42a、42bは、筒壁16aの外周面に設けられた2つのユニット45a、45bからなる嵌合凸部45と嵌合することでヘッド部材16を袴部材17に固定する外壁44を有している。ベース部42の各ユニット42a、42bは、周方向に離間した2つの上面視円弧形状をなす部分壁60と、これらの部分壁60を連結するとともに径方向外側に張り出す上面視U字形状をなす中央壁61と、を備えている。これらの中央壁61により、被案内部36のユニット36a、36bが構成されている。嵌合凸部45の各ユニット45a、45bは、中央壁61の内周面に、ヘッド部材16の袴部材17に対する周方向両側への移動が規制されるように当接可能に構成されている。また、嵌合凸部45の各ユニット45a、45bは、中央壁61の上部に設けられた庇部62に下方から当接することでヘッド部材16の袴部材17に対する上方への移動が規制されるように構成されている。したがって、ベース部42の各ユニット42a、42bの外壁44は、中央壁61と庇部62とで構成されている。
【0026】
ベース部42の各ユニット42a、42bの2つの部分壁60は、それぞれ、筒壁16aの下端面に、ヘッド部材16の袴部材17に対する下方への移動が規制されるように当接可能な上面を有している。ベース部42の各ユニット42a、42bは、2つの部分壁60の一方に設けられるとともにヘッド部材16の袴部材17に対する径方向外側への移動が規制されるように筒壁16aの外周面に当接可能な外側壁63を備えている。なお、2つの部分壁60の両方に外側壁63を設ける構成としてもよい。また、ベース部42の各ユニット42a、42bにおける周方向の端部には、変位可能部31のユニット31a、31bにおける弾性アーム32の基端部が連なっている。
【0027】
図4及び図6に示すように、リング部材30aは、前進規制部46と、押圧部47と、被押圧部48と、を備えている。前進規制部46は、回動部29が前進規制位置にあるときに、ストローク後端からの作動部7の前進を、変位可能部31の各ユニット31a、31bの第1突出部33に前方から当接することで規制するように構成されている。前進規制部46は、変位可能部31の各ユニット31a、31bの第1突出部33に前方から当接したときに、その当接によって作動部7の前進を阻止することができる。前進規制部46は、本実施形態では、上面視円弧状の平坦な上面で構成される2つのユニット46a、46bからなっている。
【0028】
図4及び図8に示すように、押圧部47は、前進規制位置から前進許容位置までの回動部29の周方向一方側D1への回動に伴って、変位可能部31の各ユニット31a、31bの第1突出部33を押圧することで変位可能部31の各ユニット31a、31bの第1突出部33を径方向内側に弾性変位させるように構成されている。押圧部47は、本実施形態では、周方向一方側D1に向けて径方向外側に傾斜する傾斜面で構成される2つのユニット47a、47bからなっている。
【0029】
図4及び図10に示すように、被押圧部48は、回動部29が前進許容位置にあるときに、ストローク後端からストローク前端までの作動部7の前進に伴って変位可能部31の各ユニット31a、31bの第1突出部33に押圧されることで、回動部29を前進許容位置から前進規制位置まで周方向他方側D2へ回動させるように構成されている。被押圧部48は、本実施形態では、周方向一方側D1に向けて下方に傾斜する傾斜面で構成される2つのユニット48a、48bからなっている。
【0030】
変位可能部31の各ユニット31a、31bは、回動部29が前進規制位置にあるときに、ストローク前端(図10参照)からストローク後端(図6参照)までの作動部7の後退に伴って、復元変位により前進規制部46の後方に復帰するように構成されている。
【0031】
図1図4に示すように、リング部材30aは、キャップ部材20の周壁37の縮径部37aに上方に抜け止め可能に且つ周方向に回動可能に嵌合する円筒状の外筒49と、外筒49の上端縁から径方向内側に延在する円環状の内向きフランジ50と、を備えている。内向きフランジ50の下面は、縮径部37aの上面に周方向に摺動可能に接している。内向きフランジ50の内周縁部には、円筒状の上壁51が立設されている。上壁51の上端縁には、内壁53が連結されている。内壁53は、2つのユニット53a、53bからなっている。
【0032】
内壁53の各ユニット53a、53bは、上壁51の上端縁から径方向内側に局所的に突出する第1連結壁54aと、第1連結壁54aより周方向一方側D1に位置するとともに上壁51の上端縁から径方向内側に局所的に突出する第2連結壁54bと、を備えている。第1連結壁54aの周方向一方側D1の端縁には、第1垂下壁55aが垂設されている。第2連結壁54bの周方向他方側D2の端縁には、第2垂下壁55bが垂設されている。
【0033】
第1垂下壁55aと第2垂下壁55bとは、上面視円弧状の第1壁56によって連結されている。第1壁56の上部には、前進規制部46を構成する、平坦な上面が設けられている。また、第1壁56は、前進規制部46から上方に延在するとともに押圧部47を構成する、周方向一方側D1に向けて径方向外側に傾斜する傾斜面を有している。
【0034】
第1壁56における押圧部47から周方向他方側D2に向かう部分には、径方向内側に突出する上面視円弧状の第2壁57が設けられている。第2壁57は、被押圧部48を構成する、周方向一方側D1に向けて下方に傾斜する傾斜面を有している。第2壁57の周方向他方側D2の端縁は、第1垂下壁55aに連なっている。なお、内壁53の形状等は適宜変更が可能である。
【0035】
図1図3に示すように、カバー部材30bは、リング部材30aの上壁51に上方に抜け止め可能に且つ周方向両側への回動を規制可能に嵌合する円筒状の外筒壁70と、外筒壁70の上端縁から径方向内側に延在する円環状の内向きフランジ壁71と、を備えている。内向きフランジ壁71の下面は、内壁53の各ユニット53a、53bにおける第1連結壁54a及び第2連結壁54bの上面に接している。
【0036】
図1に示すように、本実施形態では、カバー部材30bの外筒壁70の外周面と、リング部材30aの外筒49の外周面とで、回動部29を前進規制位置から前進許容位置まで回動させる前進規制解除操作を受ける操作部29aが構成されている。
【0037】
なお、シリンダ部材18、キャップ部材20、ヘッド部材16、袴部材17、接続部材24、ステム部材25、カバー部材30b及びリング部材30aは、それぞれ、合成樹脂製であってよい。封止部材19は、例えばゴム又はエラストマー製であってよい。
【0038】
本実施形態に係るポンプ1は、図5図6に示すように、前進規制部46によって作動部7の前進が規制された前進規制状態から、操作部29aへの前進規制解除操作により、図7図8に示すように、作動部7の前進が許容される前進許容状態に移行可能である。また、ポンプ1は、前進許容状態から、吐出ヘッド15への押下げ操作によって作動部7がストローク後端からストローク前端まで前進することで、図9図10に示すように、回動部29が前進規制位置まで回動し、吐出ヘッド15への押下げ操作の解除によって作動部7がストローク後端まで復帰し、図5図6に示すように、前進規制状態に復帰可能である。したがって、本実施形態に係るポンプ1によれば、ポンプ機構による定量吐出が可能であることは勿論、内容物4の吐出操作の度に前進規制解除操作を必要とすることで、内容物4の使用量を制限することができる。
【0039】
前述した本実施形態は、本発明の実施形態の一例にすぎず、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0040】
前記の実施形態では、変位可能部31が2つのユニット31a、31bからなっている。しかし、変位可能部31は、3つ以上のユニットからなっていてもよいし、単一のユニットからなっていてもよい。また、案内部35、被案内部36、ベース部42、オフセット部43、前進規制部46、押圧部47、被押圧部48及び内壁53等のユニットの数も、変位可能部31のユニットの数に合わせて変更が可能である。
【0041】
また、前記の実施形態では、ポンプ1は、吐出ヘッド15を備える押下げ操作式のものとして構成されている。しかし、ポンプ1は、トリガーを備える牽曳操作式のものなど、他の操作式のものとして構成されてもよい。また、前記の実施形態では、ポンプ1は、内容物4を液状のまま又は霧状にして吐出するように構成されている。しかし、ポンプ1は、適宜発泡部材を流路内に配置するなどして、内容物4を泡状に吐出するように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 ポンプ
2 容器
2a 口部
2b 胴部
2c 段部
3 吐出容器
4 内容物
5 収容空間
6 固定部
7 作動部
8 吐出口
12 弾性体
13 シリンダ
15 吐出ヘッド
16 ヘッド部材
16a 筒壁
17 袴部材
18 シリンダ部材
18a フランジ
19 封止部材
20 キャップ部材
24 接続部材
25 ステム部材
29 回動部
29a 操作部
30a リング部材
30b カバー部材
31 変位可能部
31a、31b 変位可能部のユニット
32 弾性アーム
33 第1突出部
34 第2突出部
35 案内部
35a、35b 案内部のユニット
36 被案内部
36a、36b 被案内部のユニット
37 周壁
37a 縮径部
38 装着壁
39 内向きフランジ
40 外向きフランジ
41 外周壁
42 ベース部
42a、42b ベース部のユニット
43 オフセット部
43a、43b オフセット部のユニット
44 外壁
45 嵌合凸部
45a、45b 嵌合凸部のユニット
46 前進規制部
46a、46b 前進規制部のユニット
47 押圧部
47a、47b 押圧部のユニット
48 被押圧部
48a、48b 被押圧部のユニット
49 外筒
50 内向きフランジ
51 上壁
53 内壁
53a、53b 内壁のユニット
54a 第1連結壁
54b 第2連結壁
55a 第1垂下壁
55b 第2垂下壁
56 第1壁
57 第2壁
60 部分壁
61 中央壁
62 庇部
63 外側壁
70 外筒壁
71 内向きフランジ壁
O 中心軸線
D1 周方向一方側
D2 周方向他方側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10