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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-17
(45)【発行日】2023-01-25
(54)【発明の名称】圧縮機駆動装置及び上記装置の組立方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20230118BHJP
   F04B 39/00 20060101ALI20230118BHJP
   H02K 3/04 20060101ALI20230118BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20230118BHJP
   H02K 11/30 20160101ALI20230118BHJP
【FI】
H02K5/22
F04B39/00 106C
H02K3/04 J
H02K7/14 B
H02K11/30
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019098063
(22)【出願日】2019-05-24
(65)【公開番号】P2019205341
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2019-05-24
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-08
(31)【優先権主張番号】10 2018 112 424.4
(32)【優先日】2018-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2019 107 523.8
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルント グンターマン
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィッド ヴァリスコ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ヘインリックス
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】窪田 治彦
【審判官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0023166(KR,A)
【文献】国際公開第2014/068914(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の長手方向軸(5)に沿って延在するように配置されたロータとステーター(1)とを含む気体流体の圧縮機を駆動するための装置であって、電気モータのコイル(3)の導線(9)のセグメントとして、前記導線(9)の接続リード線と電気的に接続され、且つプラグコネクタとの電気的接続のために設けられた少なくとも1つの連結要素(14)を受け入れるために設置された少なくとも1つのプラグハウジング(7b)と、
前記ステーター(1)上に、少なくとも1つの接続通路(7a)を備えて少なくとも1つの前記プラグハウジング(7b)のための少なくとも1つの収容要素(7)を有する支持要素(6)と、
を備え、
前記プラグハウジング(7b)が、前記収容要素(7)内に設置され、前記収容要素(7)の前記各接続通路(7a)と前記プラグコネクタを挿入するための前記連結要素(14)とが対応するように前記収容要素(7)内に配置され、前記プラグハウジング(7b)の少なくとも一部の領域は注封部材で充填され、気密シールの下で前記支持要素(6)と接続され、
前記プラグハウジング(7b)は、少なくとも1つの第1室(15)、少なくとも1つの第2室(16)、及び少なくとも1つの第3室(17)を有し、
前記第1室(15)には前記導線(9)の接続リード線のみが配置され、前記第2室(16)で前記導線(9)の接続リード線と前記連結要素(14)とが接続され、
前記第1室(15)が、前記プラグハウジング(7b)を気密封止するための注封材料で充填され、
前記収容要素(7)は前記第1室(15)に対応する位置に、収容要素(7)内にプラグハウジング(7b)が設置された後から注封材料を注入する開口を有し、
前記プラグハウジング(7b)は、第1ハウジング部(10)と第2ハウジング部(11)とから形成され、
前記連結要素(14)は、所定の位置に固定されるように互いに接続される前記第1ハウジング部(10)と第2ハウジング部(11)との間に固定して配置され、
前記第1ハウジング部(10)は前記連結要素(14)に対応する形状を有することを特徴とする圧縮機駆動装置。
【請求項2】
前記連結要素(14)は、第1接続部材(14a)及び第2接続部材(14b)を有し、前記第1接続部材(14a)が前記導線(9)と電気的に接続され、前記第2接続部材(14b)が、前記プラグコネクタと電気的に接続される目的で設けられることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機駆動装置。
【請求項3】
前記プラグハウジング(7b)は、前記収容要素(7)内の所定の移動方向(18)に挿入されるように設置され、前記収容要素(7)の前記各接続通路(7a)と前記連結要素(14)の第2接続部材(14b)とが前記プラグコネクタを挿入するために相互に対応するよう配置されることを特徴とする請求項2に記載の圧縮機駆動装置。
【請求項4】
少なくとも1つの前記プラグハウジング(7b)のための少なくとも1つの前記収容要素(7)を有する前記支持要素(6)は、前記収容要素(7)と前記支持要素(6)とが結合された一体構成要素として形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の圧縮機駆動装置。
【請求項5】
前記第1ハウジング部(10)と第2ハウジング部(11)とは、それらがフォームクロージャ(form closure)状態で互いに接続されることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機駆動装置。
【請求項6】
前記導線(9)の1つの接続リード線が、前記第1室(15)を貫通し、前記第2室(16)に達するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機駆動装置。
【請求項7】
前記プラグハウジング(7b)は、第1ハウジング部(10)と第2ハウジング部(11)とから形成され、
前記導線(9)の接続リード線が、前記第2ハウジング部(11)に設けられた貫通部(13)を通って前記プラグハウジング(7b)の前記第1室(15)に挿入されるように設置されたことを特徴とする請求項6記載の圧縮機駆動装置。
【請求項8】
前記連結要素(14)は、第1接続部材(14a)及び第2接続部材(14b)を有し、
前記第1接続部材(14a)は、前記第2室(16)内に配置され、前記第2接続部材(14b)は、前記第3室(17)内に配置されることを特徴とする請求項1、6、7のいずれか1項に記載の圧縮機駆動装置。
【請求項9】
前記連結要素(14)は、第1接続部材(14a)及び第2接続部材(14b)を有し、
前記第2接続部材(14b)は、前記プラグコネクタを少なくとも部分的に包囲するためのアイレットの形で形成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の圧縮機駆動装置。
【請求項10】
前記支持要素(6)は、半径方向に延在する半径方向環状面(6a)と軸方向に延在する軸方向環状面(6b)とを含み、前記半径方向環状面(6a)及び前記軸方向環状面(6b)は、それぞれの外側端エッジ同士で接触し互いに連結するように配置されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の圧縮機駆動装置。
【請求項11】
前記支持要素(6)は、前記導線(9)の少なくとも1つの接続リード線を案内するために、第1案内部材(19)又は第2案内部材(20)の中の少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の圧縮機駆動装置。
【請求項12】
少なくとも1つの第2案内部材(20)が、半径方向に外側に突出する方式で前記第1案内部材(19)の壁に配置された保持ブラケットの形態で形成されていることを特徴とする請求項11に記載の圧縮機駆動装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第2案内部材(20)が、前記第1案内部材(19)の前記支持要素(6)の半径方向に延在する半径方向環状面(6a)から離隔する方向にある前記壁の上端側に形成され、前記導線(9)の接続リード線が前記第2案内部材(20)と前記支持要素(6)の半径方向に延在する前記半径方向環状面(6a)との間に配置されたことを特徴とする請求項12に記載の圧縮機駆動装置。
【請求項14】
前記支持要素(6)の半径方向に延在する前記半径方向環状面(6a)内の、少なくとも1つの前記第2案内部材(20)とは軸方向に対向する位置に整形部(21)の開口が設けられていることを特徴とする請求項13に記載の圧縮機駆動装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか一項に記載の気体流体の圧縮機を駆動する圧縮機駆動装置を組み立てるための組み立て方法であって、
ロータとステーター(1)とを共通の長手方向軸(5)上に配置し、前記ステーター(1)が前記ロータを半径方向に取り囲む段階と、
前記ステーター(1)の軸方向を向く端部側に支持要素(6)を配置する段階と、
プラグハウジング(7b)の第1ハウジング部(10)上に、導線(9)の連結要素(14)と電気的に接続された接続リード線を有するか、または前記接続リード線なしで少なくとも1つの前記連結要素(14)を配置する段階と、
前記連結要素(14)を配置する段階の後に、前記第1ハウジング部(10)の上に少なくとも1つの前記連結要素(14)が配置された状態で、前記連結要素(14)が互いに接続されるハウジング部(10、11)の間に配置されるようにして前記プラグハウジング(7b)の第2ハウジング部(11)を前記第1ハウジング部(10)に固定する段階と、
前記連結要素(14)を配置する段階で、前記接続リード線なしで少なくとも1つの前記連結要素(14)を配置した場合、前記プラグハウジング(7b)の第2ハウジング部(11)を前記第1ハウジング部(10)に固定する段階の後に前記第2ハウジング部(11)に形成された貫通部(13)を介して前記導線(9)の少なくとも1つの前記接続リード線を前記プラグハウジング(7b)内に導入し、前記接続リード線のない連結要素(14)が前記第1ハウジング部(10)に配置された状態で、前記導線(9)の接続リード線を接続する段階と、
前記プラグハウジング(7b)を前記支持要素(6)上に配置された収容要素(7)に導入し、これにより前記プラグハウジング(7b)を前記支持要素(6)上の定位置に固定する段階と、
注封材料を前記収容要素(7)に設けられた開口を介して、少なくとも1つの第1室(15)、少なくとも1つの第2室(16)、及び少なくとも1つの第3室(17)を有する前記プラグハウジング(7b)の少なくとも1つの第1室(15)に充填し、このようにして前記プラグハウジング(7b)を前記支持要素(6)に接続すると共に前記プラグハウジング(7b)を気密封止する段階と、
を含み、
前記第1室(15)には前記導線(9)の接続リード線のみが配置され、前記第2室(16)で前記導線(9)の接続リード線と前記連結要素(14)とが接続されることを特徴とする圧縮機駆動装置の組み立て方法。
【請求項16】
前記プラグハウジング(7b)を前記支持要素(6)上の定位置に固定する段階は、導線(9)の、特定の連結要素(14)と電気的に接続された少なくとも1つの前記接続リード線を有する前記プラグハウジング(7b)を前記ステーター(1)に配置された前記支持要素(6)の前記収容要素(7)の接続通路(7a)に所定の方向にスライドさせて挿入し固定することを特徴とする請求項15に記載の圧縮機駆動装置の組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体状の流体、特に冷媒を圧縮するための圧縮機を駆動する装置、特に電気モータに関する。圧縮機は、自動車の空調システムの冷媒回路に使用することができる。この装置は、共通の長手方向軸に沿って配置されたロータとステーターとを含む。ステーターは、コイル導線のセグメントとして開発された接続リードを含む。
【背景技術】
【0002】
冷媒圧縮機とも呼ばれる冷媒回路を通る冷媒の搬送のための自動車の空調システムのための先行技術において知られている圧縮機は、しばしば冷媒とは無関係に、可変ストローク変位を有するピストン圧縮機として開発された。また、本明細書における圧縮機は、スクロールコンプレッサーとして、電気的に又はベルトプーリによって駆動される。
【0003】
特定のコンプレッサ機構を駆動するための電気モータとは別に、電気駆動コンプレッサは、電気モータを駆動するためのインバータを備える。インバータは、自動車のバッテリーの直流を電気回路を介して電気モータに供給される交流に変換するのに役立つ。
【0004】
従来の電気駆動コンプレッサの電気モータは、コイルが配置された環状ステーターコアとロータとが設置され、ロータがステーターコア内に配置された。ロータ及びステーターは、共通の対称軸又はロータの回転軸に沿って配置されている。
【0005】
インバータは、電気モータの接続部と電気的に接続するための別途の構成要素、及びピンとして形成されたプラグコネクタの電気接続用のプラグ端子を備え、プラグ接続部は、ステーターのコイルの導線の接続リードと電気的に接続された。電気モータのコネクタは、ステーターの軸方向に配向され、ステーターの端部側に配置されたプラグハウジング内に形成されている。
【0006】
インバータに配置され、ピンとして形成されたプラグコネクタは、圧縮機の組立中にプラグハウジングに設けられた接続部又は接続ポートに挿入され、それぞれ対応する導線と接続された導線の接続リードの端部継手と接触されている。
【0007】
本明細書では、端部継手は、導線の接続リードと電気的及び機械的に接続されているので、インバータのプラグコネクタと導線との間で常に低い接触抵抗が保証される。例えば導線の接続リード線、相リード線とも呼ばれる導線の非絶縁端部の間で高い絶縁抵抗を有する電気的接続を同時に確実にするためには、導線又は接続ラインの絶縁されない端部は互いに密封方式で密閉され、そしてステーターとモーターハウジングの他の伝導性コンポーネントから電気的に絶縁されなければならない。
【0008】
ステーターとインバータの導線の接続リード線に接続された端部取付具は、電気モータとしての、特にプラグコネクタの正確で迅速な組立を確実にするために、ステーター上の予め決められた位置に配置されなければならない。ステーター上の導線の接続リード線の十分に正確な配置でない場合は、接続リード線上の端部取付け部材又は導線の組み立ても、モータハウジングへのステーターの組み立ても不可能である。
【0009】
従来技術の電動圧縮機の電気モータは、導線の接続リード線の端部を受けるためのプラグハウジングは、それをステーター絶縁体に押し付けることによって固定されてた。これにより、プラグハウジングは組み立て中に定位置に固定された。
【0010】
国際公開第2015-146677 A1号パンフレット(特許文献1)は、圧縮アセンブリ、圧縮アセンブリを駆動するための電気モータ、及び電気モータに電力を供給するためのインバータを備えた電動コンプレッサを開示している。上記の電気モータは、ステーターコアの端部に配置された電気絶縁コイル本体を有するロータとステーターと、コイル本体上に配置されたコイルと、コイルとインバータとを電気的に接続するための接続ポートを有するプラグハウジングとを備える。
【0011】
また、プラグハウジングは、ラッチ機構又はスプリングクロージャを用いて、特にスナップフックによってコイル本体の端部側でステーターと機械的に連結されている。
【0012】
プラスチック絶縁された銅線からなるコイルの導線のセグメントとして形成された電気モータの各相のコイルの、特にラッカー銅線で形成された接続リード線は、プラグハウジングがコイル本体に固定される前にプラグハウジングに導入される端部金具と接続されなければならない。
【0013】
例えば、プラグハウジングの内側を外側に向かってシールして、圧縮されるべき気体状の流体がプラグハウジング内に侵入するのを防止し、それによって、通路での絶縁抵抗及び短絡の発生を減少させるために、プラグハウジングへ続く導線の接続リード線の各端部嵌合部の別のシール要素、特にシールリングが提供される。
【0014】
更に、2部品で構成されたプラグハウジングを使用するのには、プラグハウジングをシールするための追加のシールを必要とする。電気モータをを圧縮機に組み立てるとき、端子クランプに固定され、ステーターコアの周りに沿って湾曲されたコネクタワイヤの接続リード線は、半径方向外向きに作用する遠心力を発生させ、それがプラグハウジングの変位を招く。従来の電気モータでは、接続リード線又は導線は、接着テープ又はワックス絶縁テープなどの追加の固定要素を使用して所定の位置に固定されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】WO 2015-146677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、簡単に組み立てることができる気体流体の電気駆動式コンプレッサを駆動するための装置、特に電気モータを提供及び改良することを課題とする。
また本発明は、プラグハウジングならびに導線の接続リード線、特にプラグハウジング内に配置された導線の接続リード線の端部が、相互に及び周囲の導電性構成要素に対して気密封止することを課題とする。
【0017】
更に本発明の装置は、例えば重量及び設置スペースの必要量を減らすために、また、製造コストも最小にするために、構造的に簡単に製造可能であるように、可能な限り少ない数の構成要素及び構造部品を用いることを課題とする。
この問題は、独立特許請求の範囲の特徴を有する主題により解決される。更なる発展は従属特許請求の範囲に明記されている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この問題は、本発明の気体流体の圧縮機を駆動するための装置、特に電気モータによって解決される。この装置は、共通の長手方向軸に沿って延びるロータと静止ステーターとを含む。ステーターは、コイルの導線のセグメントとして開発された接続リードを含み、有利には、ロータを外側から取り囲むように配置される。
【0019】
導線は、コイルの近傍で特定の巻線から引き出された導線の非巻線端を有するラッカー銅線で経営された接続リード線であって、好ましくは合成材料被覆により絶縁されるのが有利である。
【0020】
本発明の概念によれば、少なくとも1つの連結要素を受容するために、少なくとも1つのプラグハウジングが設けられる。連結要素は、導線の接続リードと電気的に接続され、プラグコネクタとの電気接続のために実装されている。少なくとも1つのプラグハウジング用の少なくとも1つの収容要素を有する支持要素が、ステーターの軸方向に向いた端部側に接触して配置されている。収容要素は、プラグコネクタを受けるための少なくとも1つの接続通路を含む。
【0021】
支持要素及び少なくとも1つのプラグハウジング用の少なくとも1つの収容要素は、収容要素が支持要素の構成部分であるように、凝集ユニット及び一体構成要素として有利に実装される。
本明細書では、軸方向とは、ステーターの長手方向軸の方向と理解されるべきであり、これはまた、ロータの長手方向軸と回転軸とにも対応する。軸方向に配向された端部側は、長手方向軸に対して垂直に配向された平面内に配置されている。
【0022】
本発明によれば、プラグハウジングは、収容要素の所定の移動方向に挿入され、収容要素の各接続通路と連結要素の第2接続部材とがプラグコネクタを受け入れるために相互に対応するよう配置される。
【0023】
プラグハウジングは、更に、少なくとも注封材料で充填され、気密シールで支持要素に固定された領域にある。
連結要素は、有利には、第1接続部材と第2接続部材とを含む。
第1接続部材は、導線の接続リードと電気的に接続されている。
第2接続部材はプラグコネクタとの電気的接続のために実施される。
プラグハウジングは、好ましくは、それぞれ収容要素の1つの接続通路と、プラグコネクタを受容するための連結要素の第2接続部材と、が互いに対応するように配置される所定の運動方向で収容要素に挿入される。
【0024】
収容要素の接続通路とプラグハウジングの連結要素の第2接続部材とは、プラグコネクタを受容するために互いに同心に配向されているのが好ましい。
【0025】
本発明の利点の1つは、プラグハウジングが収容要素内及びそれと共に支持要素上の適所に固定されることを含む。プラグハウジングは、長手方向軸に対して垂直な平面内に延びる方向から部材内に滑り込ませるのが好ましい。
【0026】
本発明の一実施例によれば、プラグハウジングは、好ましくは2つの別々に開発された構成要素として、又はリンクされたユニットとして実装される第1ハウジング部及び第2ハウジング部を含む。リンクユニットのハウジング部は、互いの方へ折り畳み可能であるようにヒンジ接続を介して接続される。
【0027】
ハウジング部は、好ましくは、型閉めの下で接続可能であり、従って互いに接続可能であるように実施される。
導線の接続リードと電気的に接続された連結要素は、第1ハウジング部と第2ハウジング部との間の位置に固定されるのが好ましい。
本明細書では、連結要素は完全にハウジング部間に配置されている。
【0028】
本発明の特に好ましい実施例によれば、3つの連結要素を収容するためのプラグハウジングは、それぞれ第1接続用素は接続ライン又は導線に、特に一つの位相の導線に電気接続されている。支持要素に形成された収容要素は結果的に3つの接続通路を有する。
【0029】
本発明の更に好ましい実施例によれば、プラグハウジングは、少なくとも1つの第1室と、少なくとも1つの第2室と、少なくとも1つの第3室と、を備えている。各プラグハウジング内の第1、第2、及び第3の室の数は、プラグハウジング内に配置されている連結要素の数によって決まる。
【0030】
ここで、好ましくは、導線の1本の接続リード線が、第1室を貫通するとともに第1室を貫通して前記第2室に達するように配置され、導線の接続リード線は前記第2室内で終端する。接続リード線は、第2ハウジング部に設けられた貫通部を介してプラグハウジングの第1室内に導入されるのが好ましい。
【0031】
本発明の更なる利点は、各場合における第1室がプラグハウジングを気密封止するための注封材料で充填されることを含む。注封材料は、第1室の全容積を満たすことができる。
連結要素は、第2室内の第1接続部材と第3室内の第2接続部材と共に配置され、その結果、2つの室に重なる。
【0032】
本発明の一実施例によれば、連結要素の第2接続部材は、プラグコネクタを少なくとも部分的に囲むためのアイレットの形で形成される。本明細書では、アイは閉じていても開いていてもよいが溝付きであり、その結果、プラグコネクタ上の配置によって第2接続部材と 連結要素とプラグコネクタとの間の電気接続が確立される。
【0033】
本発明の好ましい実施例によれば、支持要素は、半径方向に配向された環状表面と軸方向に配向された環状表面とを備え、これらは外側端部に接触して配置され互いに連結される。プラグハウジング用の収容要素は、好ましくは、支持要素の半径方向に配向された環状表面の小領域として開発されている。
【0034】
上記支持要素の半径方向に整列された半径方向環状面は好ましくは円形リング形態、特に環の扇状円又は開放環形状のセクション形態を有し、一方で、支持要素の軸方向に整列された軸方向環状面は円筒形、円柱、具体的には中空円柱、特に中空円筒形に形成されている。
支持要素の半径方向に配向された半径方向環状面は、有利には環形、特に環の扇形又は開放環形の形態を有し、支持要素の軸方向に配向された環状面は、特に円筒形の形状を有する。
本発明の他の実施例によれば、支持要素は、導線の少なくとも1つの接続リード線を案内するための少なくとも1つの案内部材を備える。
【0035】
第1案内部材は、好ましくは、軸方向に配向された円筒形、特に中空の円筒形の環状面の円周方向に開いた扇形の形態の壁を有して形成されている。第1案内部材は、好ましくは、支持要素の半径方向に配向された環状表面上で接触して支持要素と、特に半径方向環状表面の内側縁部で接触している下端側と接続されている。
【0036】
導線の少なくとも1つの接続リード線は、有利には、第1案内部材の壁から支持要素の半径方向環状表面への移行領域にあり、第1案内部材と支持要素とに接触している。
本発明の更なる利点は、少なくとも1つの第2案内部材が保持ブラケットの形態で形成され、それが半径方向外向きに突出して第1案内部材の壁に配置されることを含む。
【0037】
少なくとも1つの第2案内部材は、導線の接続リードが第2案内部材と支持要素の半径方向に配向された環状面との間に配置されるように、第1案内部材の壁の上端側に形成されることが好ましい。支持要素の半径方向に配向された環状面内で、特に刻み目又は開口部の形態の外形は、軸方向において少なくとも1つの第2案内部材とは反対側に形成することができる。
【0038】
本発明の更なる変形例によれば、支持要素は、接触領域を有する少なくとも1つの弾性的に変形可能な加圧要素を含む。加圧要素は、実質的に軸方向にある程度の広がりを有して形成することができる。装置の組み立て状態では、加圧要素は、弾性変形下で合わせ面上のその接触領域と接触している。加圧要素の接触領域は、例えば、接触縁としての接触面として、又は点の形で形成することができる。
【0039】
加圧要素の弾性変形によって支持要素に加えられる圧力のために、接続ポートを有するプラグハウジングのための接続通路を有する収容要素を有する支持要素は、ステーターに対向して押圧され、このようにして支持要素のステーターに対する望ましくない相対運動が防止される。
【0040】
本発明の更なる特徴は、収容要素、案内部材、及び任意に少なくとも1つの加圧要素を有する支持要素が、収容要素、案内部材、及び支持要素が連結されるように連結要素及び一体構成要素として実現されることを含む。構造上、加圧要素も支持要素の構成要素である。その結果、支持要素は、特にステーターの多機能部品として配備される。接続ポートを有するプラグハウジングを配置するための加圧要素及び収容要素は、支持要素の軸方向に向いた側に配置される。
【0041】
本発明の更に他の実施例によれば、多数の加圧要素を有する支持要素を実施する場合には、加圧要素は、円周にわたって支持要素上に分布して配置される、少なくとも2つの加圧要素の多重性を理解すべきである。
【0042】
本発明による気体流体の圧縮機を駆動するための装置を組み立てるための方法は、請求項1乃至20のいずれか一項に記載の気体流体の圧縮機を駆動するための装置を組み立てる方法であって、
ロータとステーターとを共通の長手方向軸上に配置し、ステーターがロータを半径方向に取り囲む段階と、
ステーターの軸方向を向く第1端部側に支持要素を配置する段階と、プラグハウジングの第1ハウジング部上に、導線の連結要素と電気的に接続された接続リード線を有するか、又は接続リード線なしで少なくとも1つの連結要素を配置する段階と、プラグハウジングの第2ハウジング部を少なくとも1つの連結要素が配置された状態で第1ハウジング部の上に連結要素がハウジング部の間に配置されるように配置するとともに、第2ハウジング部を第1ハウジング部に固定する段階と、第2ハウジング部に形成された貫通部を介して導線の少なくとも1つの接続リード線をプラグハウジング内に導入し、接続リード線のない連結要素が第1ハウジング部に配置された後、導線の接続リード線を接続する段階と、プラグハウジングを支持要素上に配置された収容要素に導入し、これによりプラグハウジングを支持要素の定位置に固定する段階と、注封コンパウンドをプラグハウジングの少なくとも1つの第1室に充填し、このようにしてプラグハウジングを支持要素に接続すると共にプラグハウジングを気密封止する段階と、を含むことを特徴とする。
【0043】
また本発明は、前記導線の前記特定の連結要素と電気的に接続された前記少なくとも1つの接続リード線を有する前記プラグハウジングを所定の運動方向にスライドさせ、ステーター(1)上に配置されかつ所定の最終位置に固定された支持要素の収容要素内への挿入することが好ましい。
【0044】
本発明の好ましい一実施例によれば、特定の連結要素と電気的に接続された、導線の少なくとも1つの接続リードを有するプラグハウジングは、所定の運動方向に配置された支持要素の収容要素内に挿入される。ステーターは所定の最終位置に固定されている。
【0045】
本発明の有利な構成は、自動車の空調システムの冷媒回路内の冷媒の圧縮機用の気体流体の圧縮のために圧縮機を駆動するための装置、特に電気モータの使用を可能にする。
【発明の効果】
【0046】
最小限の数の必要な構成要素で気体流体の圧縮機を駆動するための本発明による装置及び装置を組み立てるための方法は、更に以下のような多様な特徴を含む。
【0047】
特に接続リード線の所定位置に導線を固定することによって、追加の固定手段なしに、及び追加の封止要素なしに、専ら注封部材による電気的に活性な接続部品の完全気密封止ができる。
可能な限り最良の電気絶縁と導線の接続リード線の長さの最適化による、最小限のコストと最小限の重量が達成できる。
【0048】
特に連結要素の完全かつ完全な密封及び圧縮機を流れる流体の浸透の防止によって、連結要素と導電性の不活性構成要素との間の短絡電流の発生が回避できる。
支持要素の収容要素内にプラグハウジングを配置した後でも、プラグハウジング上の導線の接続リード線の接続を可能にする可変的構成の接続方法ができる。
【0049】
特にプラグハウジング自体と支持要素並びに固定要素上の所定位置に接続ポートを有するプラグハウジング用の収容要素を用て、支持要素の固定の簡単な組み立てが可能となる。
モーターハウジングへの組立て前のプラグハウジング用の収容要素を有する支持要素の明確で明確な位置決めにより、接続ポートを有するプラグハウジングの明確で明確な位置決めができる
【0050】
支持要素と収容要素との相対移動、及びそれに伴う装置への組立中のステーターに対するインバータへの電気的接続としてプラグコネクタを受容するための接続ポートを有するプラグハウジングの相対移動の防止。特にステーターをロータと一緒にモーターハウジング内に配置するとき、ならびに装置の簡単な組み立てができる。
【0051】
ステーターとインバータとの間の接続ポートの界面における振動による破損、特に装置の運転中に電気ピンとも呼ばれるピンとして形成されたプラグコネクタの破損が減少し、それによって圧縮機の寿命が最大化される。
【0052】
本発明の実施形態の更なる詳細、特徴及び利点は、関連する図面を参照しながら実施形態の例に関する以下の説明に基づいて明らかになろう
【図面の簡単な説明】
【0053】
本発明の実施形態の更なる詳細、特徴及び利点は、関連する図面を参照しながら実施形態の例に関する以下の説明に基づいて明らかになろう
図1a】圧縮機構を駆動するための装置として電気モータを備えた電動圧縮機を示す断面図である。
図1b】ステーターコア、コイル、絶縁要素、そしてプラグハウジングのための収容要素を有する支持要素を備えた気体流体の圧縮機を駆動するための装置として電気モータのステーターを示す斜視図である。
図2】第1及び第2ハウジング要素を有するプラグハウジングを示す斜視図である。
図3a】組立過程中に接続ライン又は導線を有するプラグハウジングを示す斜視図である。
図3b】組立過程中に接続ライン又は導線を有するプラグハウジングを示す斜視図である。
図3c】組立過程中に接続ライン又は導線を有するプラグハウジングを示す斜視図である。
図3d】組み立てられた状態で導線の接続ラインを有するプラグハウジングを示す上面図である。
図4a図1bのステーターの端部面の詳細図であって、支持要素無しに、プラグハウジングを有するステーターを示す図である。
図4b図1bのステーターの端部面の詳細図であって、支持要素を備えてプラグハウジングが装着されたステーターを示す図である。
図4c図1bのステーターの端部面の詳細図であって、支持要素を備えてプラグハウジングが装着されたステーターを示す図である。
図4d】支持要素に導線の接続ラインを配置して案内するための第1及び第2案内要素を有する支持要素を示す図である。
図4e】支持要素に導線の接続ラインを配置して案内するための第1及び第2案内要素を有する支持要素を示す図である。
図4f】支持要素に導線の接続ラインを配置して案内するための第1及び第2案内要素を有する支持要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1aは、圧縮機構VMを駆動するための装置として、ハウジングG内に配置された電気モータEを備えた電動圧縮機を断面図で示している。電気モータEにはスイッチング装置SVを介して電力が供給される。電気モータEは、実質的に中空の円筒形のステーターコア2を有するステーター1と、ステーターコア2に巻回されたコイルと、ステーター1内に配置されたロータRとを備える。
【0055】
接続構成VAを介してステーター1のコイルに電力が供給されると、ロータRは回転運動を開始する。接続機構VAは、ステーター1の端部側に設けられており、多数の電気接続部を備えている。ロータRは、ステーター1内に同軸に配置され、回転軸を中心に回転可能である。駆動軸Aは、ロータRと一体的に又は別個の要素として実施することができる。
【0056】
電気モータEならびに静止及び旋回螺旋を有するスクロール圧縮機として実施される圧縮機構VMは、ハウジングGによって囲まれる容積内に配置される。ここで、ハウジングGは、電気を受けるための第1ハウジング部によって実施される。モータEと、圧縮機構VMを受けるための第2ハウジング部と、同様に好ましくは金属製、特にアルミニウム製である。
【0057】
気体流体、具体的には冷媒が圧縮される圧縮機構VMの旋回螺旋は、電気モータEのロータRに接続された駆動軸Aによって駆動される。また、ウォブルプレートを使って実施することもできる。
【0058】
図1bは、ステーターコア、コイル、絶縁要素、そしてプラグハウジングのための収容要素を有する支持要素を備えた気体流体の圧縮機を駆動するための装置として電気モータのステーターを示す斜視図である。
図1bに示すように、ステーター1は、接続構造VAの構成要素として、ステーターコア2と、コイル3と、絶縁要素4と、プラグハウジング7bの収容要素7を有する支持要素6とを備えている。電気モータ、例えば三相交流モータは、図示されていないロータと、ロータの外側でロータの周りで半径方向に配置された鉄心のステーター1とを含む。
【0059】
好ましくは積層シートパッケージとして実装されるステーターコア2、及び電気絶縁材料でとして実装される絶縁要素4は、ステーター1の長手方向軸及びロータの回転軸にも対応する長手方向軸5に沿って延びる。絶縁要素4は、好ましくは、ステーターコア2の被覆として形成されており、したがって一体的構成要素を形成している。
【0060】
コイル3は、ステーターコア2の半径方向内向きに延びる領域の周りに巻かれた線で構成され、それぞれ導線9として示される導電体で構成されている。導線9の巻かれていない端部は、接続線として特定の巻線から引き出される。ステーターコア2の半径方向内側に延びる領域は、それぞれウェブの形態を有し、ステーターコア2の外壁の円周にわたって一様に分布して配置されている。
【0061】
コイル3の導線9とステーターコア2の特定の領域との間には、ステーターコア2とコイル3の導体線9とを互いに電気的に絶縁する絶縁要素4が配置されている。内側にかつ軸方向に向けられたウェブの端部において、絶縁要素4は、それが軸方向に広がるように実施される。このようにして絶縁要素4から突出する端部セグメントは、ステーターコア2のウェブの周りに巻かれたコイル3の導線9を固定するのに役立つ。ステーターコア2、絶縁要素4、及びコイル3は、電動機のステーターユニットを形成する。
【0062】
ステーター1の第1端部側には、接続ポートを有するプラグハウジング7bの接続通路を有する収容要素7を有する支持要素6が配置されている。プラグハウジング7bの接続ポートは、例えば接続通路7aを通って案内される導電性ピン型プラグコネクタを用いて、電気モータのコイル3とインバータとの間の電気接続の構成要素として機能する。支持要素6の収容要素7の端部は、プラグハウジング7bの接続ポートに差し込まれて配置されている。
コイル3の導線9の接続リードと収容要素7に設けられたプラグハウジング7bの接続口とが電気的に接続されている。
【0063】
ステーター1の組み立て状態では、支持要素6は、一方では、特にステーターコア2上で、ステーター1の軸と接触している。支持要素6の外径は、本明細書ではステーターコア2の外径よりも小さい。
一方、プラグハウジング7b用の収容要素7を有する支持要素6は、実質的に軸方向に延びる加圧要素8を備える。収容要素7と加圧要素8とは、支持要素6の、軸方向に配向されかつステーターコア2から離れる方向に向けられた共通の側に配置されている。
【0064】
支持要素6は、更に、半径方向に配向された半径方向環状面6a、特に円環状環状面の扇形部、並びに軸方向に配向された円筒状、特に中空円筒状の環状面を備え、更に外側縁部で互いに接触し、互いに接続されている軸方向環状面6bを有する。
プの収容要素7のプラグハウジング7bは、半径方向に配向された環状表面6aの小領域として、したがって支持要素6の構成要素として設けられる。
【0065】
支持要素6の軸方向環状面6bの中空円筒壁は、ステーターコア2の外壁の外径よりも小さい外径と、ステーターコア2の外壁の内径よりも大きい内径とを有する。
弾性加圧要素8は、半径方向に配向された環状リング状の軸方向環状表面6aの領域、特に内側縁部に配置され、好ましくは円弧又はばねの形態を有する。加圧要素8は、プラグハウジング7b用の収容要素7と同様に、支持要素6の構成要素として設けられる。
【0066】
半径方向環状面6a、軸方向環状面6b、プラグハウジング7bのための接続通路を有する収容要素7、及び接続ポートを有する支持要素6、並びに加圧要素8は、一体射出成形ユニットとして一体的に形成されている。単一部品としての形成はモールディング工程で実現される。加圧要素8は、実質的に軸方向に配向されて配置されたウェブと実質的に半径方向に配向された接触領域とを含む。
【0067】
加圧要素8はウェブの端縁を横切って半径方向環状面6aと接続されている。ウェブの端縁に対して遠位方向に延伸された端部において、加圧要素8は、有利には接触面として形成された接触領域を含む。
【0068】
電気モータの装着状態において、圧力要素8は、電気モータの図示されていないハウジング上の接触面と接触している。支持要素6を有するステーターがモーターハウジング内に装着された後、ステーター1をモーターハウジング内に挿入または「圧入」し、モーターハウジングから加圧要素8の、特にウェブに圧力を加えたとき、加圧要素8は弾性的に変形する。
【0069】
支持要素6の構成要素として、加圧要素8は、支持要素6の幾何学的形状及び機械的寸法に対応する所定の剛性を有する。
ステータ1をモータハウジング内で支持要素6とモータハウジングの閉端として形成された表面との間に取り付けると、実質的に軸方向に作用する力、特にばね力が生じ、このようにして、支持要素6は、加圧要素8の弾性により、ステータ1に向かう方向、特にステータコア2の方向に押圧される。
【0070】
モーターハウジングへの加圧要素8の接触及び加圧要素8の弾性変形により、力は支持要素6に作用する。従って、支持要素6を有するステーター1をモーターハウジング内に結合させ押し込むと、加圧要素8の変形によって、支持要素6に、プラグによる支持要素6又は収容要素7の移動を防止するストレスが発生する。電動機、ひいては圧縮機の作動中にハウジング7bが回転し、収容要素7と収容要素7内に配置されたプラグハウジング7bとを有する支持要素6は、ステーター1上に、具体的には軸方向に固定される。
【0071】
電気モータが装着されている間、プラグハウジング7b内の端子クランプに固定され且つ支持要素6内の曲率で案内された導線9の接続リード線は、半径方向外向きに円周方向に作用する接線力を発生し、この力は、プラグハウジング7b用の受け部材7を有する支持要素6の必要な位置からの変位又は回転を招く可能性がある。
【0072】
独立した構成要素として、且つピンとして開発され、インバータの接続ポートを横切って配置されたプラグコネクタは、一緒に接続通路7aを有する受け部材7をステータ1に対してプラグハウジング7bに形成された接続ポートに係合させるプラグハウジング7bの特定の位置にのみ設置され得て、受け部材7内に配置されたプラグハウジング7bのステータ1に対する位置ずれ又は位置ずれを防止するために、ステータ1が所定の位置でステータ1のモータハウジングに取り付けられる前に、固定子1に対して所定の位置に固定される。
【0073】
ステーター1、特にステーター1の絶縁要素4は、ステーター1の円周方向における支持要素6の移動を阻止するためのシステム、すなわち回転ロックシステムの第1(図示せず)要素で実施される。一方、支持要素6は、回転ロックシステムの第2(これもまた図示されていない)要素を含む。
【0074】
ステーター1の円周方向における支持要素6の移動を阻止するためのシステムは、システムの各第1要素に対してそれに形態に対応する第2要素が設けられるようなフォーム閉鎖要素の実施に基づく。
【0075】
支持要素6と絶縁要素4との間に形成された型閉接続によって、支持要素6、それと共にプラグハウジング7b用の収容要素7、及び結果としてプラグハウジング7b自体は、長手方向軸5を中心とする回転に抗して、特に圧力部材8によって、半径方向に絶縁要素4上の所定位置に固定され、また、電気モータの取付け中にインバータに配置されピンとして形成されたプラグコネクタをプラグハウジング7bに形成された接続ポート内に導入するために、ステータ1に対して常に所望の方法で配向されるように配置される。
【0076】
図2は、第1ハウジング部10と第2ハウジング部11とを有する実質的に2つの部分からなるプラグハウジング7bを斜視図で示している。平坦な支持面を有するように展開された第1ハウジング部10は、
上部カバー構成要素としての第2ハウジング部11を配置するための下部キャリア構成要素として機能する。図示されていない実施形態によれば、2つのハウジング部はそれらが互いに移動可能であるようにに配置されている。本明細書では、ハウジング部をヒンジを横切って、したがって折り畳み機能を介して結合することができる。
【0077】
端面の領域において、第1ハウジング部10の平坦な支持面は、インバータに配置されたプラグコネクタを貫通するためのプラグハウジング7bの接続ポートの貫通開口部12を含む。第2ハウジング部11は、端部側の領域において、プラグハウジング7bの装着状態において、導線9の接続リードを受けるための貫通部13は、貫通開口部12を有する第1ハウジング部10の端部側に遠位方向にそれぞれ1つずつ形成されている。
プラグハウジング7bの装着状態では、第1、第2ハウジング部10、11は互いに固定されている。ハウジング部10、11は、本明細書では、少なくとも1つのヒンジ手段、特にスナップクロージャを介して互いに接続されることが好ましい。図示されていない第1、第2ハウジング部10、11の間には、導線9の接続リード線との接続のために接続部材が配置されている。
【0078】
図3a~図3cは、取り付け工程中の導線9の接続リードを有するプラグハウジング7bをそれぞれ斜視図で示している。図3dにおいて、プラグハウジング7bは、取り付けられた状態の導線9の接続リード線と共に上面図で示される。
取り付け工程中、図3a及び図3bによる連結要素14は、連結要素14と予め接続されている接続リード線又は導線9を伴って、又は伴わずに、キャリア構成要素として第1ハウジング部10上に任意に配置される。
【0079】
第1ハウジング部10は、受け部として開発された適切な形状を備えている。これはまた、第1ハウジング部10上の連結要素14の誤配置を排除する目的で行われる。本明細書における第1ハウジング部10の形状は、連結要素14の形状に対応する。
【0080】
図3b及び図3cに示すように、プラグハウジング7bのカバー構成要素としての第2ハウジング部11は、導線9の接続リードの連結要素14が配置された状態で第1ハウジング部10に配置され、所定位置に固定される。少なくとも1つのスナップロック、特にスナップインロックの実装により、連結要素14は、プラグハウジング7b内の第1ハウジング部10と第2ハウジング部11との間に固定され、常に予め定められた位置に固定される。
【0081】
導線9の接続リード線は、ここでは第2ハウジング部11に設けられた貫通部13を介して供給されるか、又は貫通部13を介して第1ハウジング部10と第2ハウジング部11との間に供給され、連結要素14を用いてプラグハウジング7b内で機械的かつ電気的に接続される。
プラグハウジング7bを2つの部品で形成することにより、連結要素14が第1ハウジング部10上に配置された後、又はハウジング部10、11が互いに接続された後にも接続リード線又は導線9を連結要素14に接続することが可能となる。
【0082】
それとは別に、導線9の接続リード線は、第1ハウジング部10と第2ハウジング部11を組み立てる前に、特定の連結要素14と接続することもできる。連結要素14は、その後、第1ハウジング部10の導線9の上に配置される。
特に図3dに示すように、プラグハウジング7bは、組み立てられた状態において、導線9の接続リード線とプラグハウジング7bとの各接続に対して、異なる機能及び形状を有する3種類の室15、16、17を備える。
【0083】
貫通部13を介してプラグハウジング7b内の第1室15内に供給された導線9の接続リードは、第1室15を横切って第2室16内で終端するように配置されている。
連結要素14には、第2室16内の導線9の接続リードと接続するための第1接続部材14a、並びに第2室16及び第3室17と重なるように第3の室17内に配置されたプラグコネクタとの接続のための第2接続部材14bが配置される。
【0084】
プラグハウジング7bを組み立てた後、第1及び第2ハウジング部10、11の間に配置された連結要素14並びに第1及び第2ハウジング部10、11を導線9の接続リード線を第1接続部材14aに接続した後、連結要素14を第1ハウジング部10の平らな支持面と結合し、第1室15に注封材料を充填して、導電連結要素14の気密封止を行う。 プラグハウジング7b内の導線9の接続リードと連結要素14との電気的接続も同様である。
【0085】
気密封止は、連結要素14又は導線9の接続リード線ならびに電気モータの不活性導電性構成要素間の短絡電流を防止する。更に、電動機によって駆動される圧縮機内の絶縁抵抗が改善される。注封材料は、プラグハウジング7bが支持要素6の収容要素7の第1室15に取り付けられた後に導入されるのが好ましい。
第2室16内には、導線9の接続リード線、特に接続リード線の端部と、連結要素14の第1接続部材14aとの電気接続部が配置されている。
【0086】
プラグハウジング7b又は装置の組み立て方法に応じて、導線9の接続リード線と連結要素14の第1接続部材14aとの恒久的な接続は、例えば圧着、はんだ付け又は溶接によって、連結要素14を配置及び固定する方法ステップの後にのみ確立される。第2室16は、必要な接続工具を挿入するのに十分なスペースを有する。
【0087】
第3室17の壁は、電気モータとインバータとを電気的に接続するための導電性のピン型プラグコネクタを導入するために第1ハウジング部10に設けられた貫通開口部12を有する。それぞれが第3の室17内に配置された連結要素14の第2接続部材14bは、プラグコネクタ、特にピン形プラグコネクタの一端がアイレットの形に形成される。電動機の組立中に、第2接続部材14bが、インバータと結合されたプラグコネクタがプラグハウジング7bの貫通開口部12を通してアイレットの中に挿入される。
【0088】
ここで、プラグコネクタの外側は、導電性を有するように第2接続部材14bのアイレットの形をした壁の内側に接触している。第1接続部材14a及び第2接続部材14bを有する連結要素14はそれぞれ単一の導電性構成要素として形成されているので、結果として、プラグコネクタ及び導線9の接続リードの間の電気的な接続が保証される。
プラグハウジング7bは、任意の所望の数の連結要素14を形成することができる。更に、支持要素6上の収容要素7内に多数のプラグハウジング7bを配置することができる。
【0089】
図4aから図4cは、支持要素6を除いた、図4aによる図1bのステータ1の端部側の詳細図を示す。しかしながら、プラグハウジング7bを有し、図4b及び図4cによれば、それぞれ支持要素6を有し、かつプラグハウジング7bが収容要素7に取り付けられている。
特に図4aに示すように、ステーター1の端部側の絶縁要素4は、ステーターコア2を越えて突出している。固定要素コア2から突出する絶縁要素4の領域は、軸方向に中空で実質的に円筒形の壁を有する。
【0090】
支持要素6は、絶縁要素4の壁の端部側の領域において半径方向に配向された円環状の半径方向環状面6aと共に、その外面において軸方向に配向された円筒状の軸方向環状面6bの絶縁要素4の壁と共に配置されている。
絶縁要素4の壁の外径は、軸方向に配向された中空円筒形の環状表面6bの領域における支持要素6の内径に取り付けのための公差又は間隙を加えたものに実質的に対応する。
【0091】
図4bに示すように、圧縮機、特に電気モータの取り付け工程中に、導線9の連結要素14と及び電気的に接続された接続リード線を有する予め組み立てられたプラグハウジング7bが、ステータコア2に配置された支持要素6の受け部材7内に運動方向18に滑り込まされる。プラグハウジング7bを収容要素7内に滑り込ませることは、引出しを閉じるの同様に行うことができる。
【0092】
本明細書では、プラグハウジング7bは、プラグハウジング7bの接続端子、特に連結要素14の第2接続部材14bのアイレットの開口部、そして第1ハウジング要素10の貫通開口部12が上記収容要素7内に形成された接続通路7aに同軸に配置されるまで収容要素7側に移動され、インバーターにピン型に形成されたプラグコネクターが支持要素6の収容要素7の接続通路7aを経てプラグハウジング7bの連結端子、そしてそれと共に連結要素14の第2接続用素14bのアイレット、に挿入できる。
【0093】
続いて、プラグハウジング7bの第1室15を注封材料で充填する。図4cは、室15が注封部材で充填された状態で収容要素7に差し込まれたプラグハウジング7bを示す。
【0094】
支持要素6の形状に適合された導線9の接続リード線の磁気的に不活性な部分において、プラグハウジング7bは、支持要素6の収容部材7内に挿入することができ、同時に、支持要素6に対して最小化された長さの導線9の接続リードも、接続リードは固定のための追加の構成要素なしに、支持要素6の形状のみによって固定されかつ案内され得る。
【0095】
図4d~図4fのそれぞれにおいて、支持要素6は、支持要素6上の導線9の接続リード線を配置して案内するための第1案内部材19又は第2案内部材20と共に示している。
【0096】
図4bによれば、支持要素6は、有利には丸みを帯びた表面又は縁を有する第1及び第2案内部材19、20を含み、その上に好ましくはラッカーコートされた導線9又は導線9の接続リード線を備える。これは、図4dに特に明確に示している。それによって、装置の取り付け中に、例えば鋭い縁との接触による導線9の損傷が回避される。導線9に対するそのような損傷は、短絡電流を招く可能性があり、また圧縮機の絶縁抵抗の低下を招く可能性がある。
【0097】
半径方環状面6aの領域において、支持要素6の半径方向環状面6aは、第1案内部材19を備えて形成され、上記第1案内部材19は、下部端部側の半径方向環状面6aの内側縁部に配置されている。第1案内部材19は、軸方向に配向された中空の円筒形の環状面の円周方向に開いた扇形の形状を有し、支持要素6の半径方向環状面6aに平行に配置された軸方向に整列された円筒形、特に中空円筒形リング表面の広く開放されたセクション形状を有し、支持要素6の軸方向環状面6bと平行に配置されている。
【0098】
半径方向環状面6aに形成された開口部を通って案内される導線9の接続リードは、特に第1案内部材19の壁の半径方向環状面6aへの移行領域において、支持要素6に接触している。
更に、支持要素6には、半径方向外向きに突出する第1案内部材19の壁に配置された、それぞれ保持ブラケットの形態の追加の第2案内部材20を設けることができる。
【0099】
ここでは、第2案内部材20は、第1案内部材19の壁の上端側で半径方向環状面6aと平行に配向されたクランプ要素として形成されている。その結果、導線9の接続ラインは軸方向に半径方向環表面6aと第2案内要素20の間で案内されるかクランピングされることで、導線9の接続ラインの好ましくない移動が防止される。
【0100】
第2案内要素20の領域で、それぞれ半径方向環表面6aの内部には整形部21の開口が、上記半径方向環表面6aと第2案内要素20の間で軸方向に作用する力によりクランピングされた導線9の接続ラインに加えられる高い機械的圧力を防止するために設けられている。
【0101】
プラグハウジング7bの収容要素7と同様に、第1案内部材19及び第2案内部材20はそれぞれ、支持要素6の構成要素として形成される。軸方向環状面6b、プラグハウジング7bのための接続通路7aを有する収容要素7、及び案内部材19、20は、ユニットとして、特に一体射出成形要素として形成される。
【0102】
更に、図4fでは、図3a~図3d、図4a、図4b及び図4dによる3つの接続部材14を受けるためのプラグハウジング7bの代わりに、1つのみの接続部材を受けるためのプラグハウジング7bを受けるための互いに離間した3つの収容要素7を備える実施形態が示される。。本明細書では、導線9の1つの接続リード線がそれぞれ各プラグハウジング内に収容されている。
【符号の説明】
【0103】
1 ステーター
2 ステーターコア
3 コイル
4 絶縁要素
5 長手方向軸
6 支持要素
6a 半径方向環状面
6b 軸方向環状面
7 収容要素
7a 接続通路
7b プラグハウジング
8 加圧要素
9 導線
10 第1ハウジング部
11 第2ハウジング部
12 貫通開口部
13 貫通部
14 連結要素
14a 第1接続部材
14b 第2接続部材
15 第1室
16 第2室
17 第3室
18 移動方向
19 第1案内部材
20 第2案内部材
21 成形部
A 駆動軸
E 電気モータ
G ハウジング
L プリント基板
R ロータ
SE スイッチング要素
SV スイッチング装置
VA 接続構造
CM 圧縮機構

図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図4f