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特許7212667骨増強片および挿入された(歯科)インプラントを有する骨増強片からなるキット
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  • 特許-骨増強片および挿入された(歯科)インプラントを有する骨増強片からなるキット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-17
(45)【発行日】2023-01-25
(54)【発明の名称】骨増強片および挿入された(歯科)インプラントを有する骨増強片からなるキット
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/28 20060101AFI20230118BHJP
【FI】
A61F2/28
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020501147
(86)(22)【出願日】2018-07-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-31
(86)【国際出願番号】 EP2018068664
(87)【国際公開番号】W WO2019011915
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】102017115404.3
(32)【優先日】2017-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515121597
【氏名又は名称】カール ライビンガー メディツィンテヒニーク ゲーエムベーハー ウント コーカーゲー
【氏名又は名称原語表記】KARL LEIBINGER MEDIZINTECHNIK GMBH & CO. KG
【住所又は居所原語表記】Kolbinger Strasse 10, 78570 Muehlheim, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】リューカー, マーティン
(72)【発明者】
【氏名】エッスィヒ, ハラルド
(72)【発明者】
【氏名】レイナウエル, フランク
(72)【発明者】
【氏名】アクス, アデム
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-511198(JP,A)
【文献】特表2015-507491(JP,A)
【文献】米国特許第05769637(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0155334(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0218282(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨の欠陥領域を充填するための骨増強片であって、隙間なく前記欠陥領域に挿入されるように適合された主要部分を含み、前記主要部分は、ウェブおよびキャビティで作られたトラス型構造のメッシュを含み、生分解性金属材料および/または吸収性ポリマーもしくはセラミック材料を含むか、またはそれらから構成され、前記メッシュが完全に閉じたリムで囲まれ、前記リムはウェブの5倍超の厚さを有することを特徴とする、骨増強片。
【請求項2】
複数のウェブが交差し、交差点で相互接続されることを特徴とする、請求項1に記載の骨増強片。
【請求項3】
前記ウェブが、前記メッシュの大部分が等しい表面積を有するグリッド構造を形成することを特徴とする、請求項1または2に記載の骨増強片。
【請求項4】
前記メッシュが三角形状または長方形状をとることを特徴とする、請求項3に記載の骨増強片。
【請求項5】
前記ウェブが、それらの幾何学形状および/または材料特性に関して同一であることを特徴とする、請求項1に記載の骨増強片。
【請求項6】
前記ウェブが線形/直線状または波形もしくは湾曲状であることを特徴とする、請求項1に記載の骨増強片。
【請求項7】
記メッシュによって画定されたポケットを含むことを特徴とする、請求項1に記載の骨増強片。
【請求項8】
前記ウェブの厚さが、2つの交差点間のウェブの長さの4分の1~10分の1の範囲にあることを特徴とする、請求項2に記載の骨増強片。
【請求項9】
ンプラント及び請求項1に記載の骨増強片からなるキットであって、
前記骨増強片には前記インプラントが挿入されている、キット
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顎骨発育不全の適用分野外であるが、上顎または下顎などの骨の、孔、スリットまたは隙間などの欠陥領域を充填するための骨増強片に関する。
【背景技術】
【0002】
最新の技術からすでに、多くの骨インプラントが知られているが、骨増強片として骨の欠陥領域を充填するものはこれまでのところ知られていない。通常、複数のプレートを骨の外側に当てて孔または欠陥領域のそれぞれの所定位置で固定し、続いて顆粒などの骨充填材料を欠陥領域に導入する。しかし、前記顆粒には、それ自体、寸法安定性がないという欠点が常にある。個々の顆粒化された部分は、欠陥領域に苦労して挿入される必要があり、時間をかけて固められるようにそこで圧縮されなければならない。
【0003】
US2017/014550A1は、生分解性ポリマー材料で作られた骨再生用の移植可能足場マトリックスを開示している。さらに、US6214049B1およびUS6077076Aはそれぞれ、骨に配置されたインプラントを囲み、骨再生を促進するために使用される、生分解性層を備えた異なる格子状または繊維状構造を開示している。さらに、US2006/052873A1は、吸収性材料の繊維状または編み状構造を有するインプラントの製造プロセスを開示している。
【0004】
しかし、手術を行う外科医にとっては、特により速い治癒およびより良い取り扱いの達成が求められる。また、急速に成長して適切な外科的成功を保証する、費用効率の高い骨インプラントの提供することを目的とする。
【0005】
例えば事故、良性または悪性腫瘍の切除、炎症、およびさらなる適応症の枠組内で、歯が生えている歯槽堤の領域での骨が失われた場合、通常は、骨のある歯槽堤の再建(増強)およびその後の歯科インプラントの挿入が必要である。したがって、一般的な処置は、自家骨移植である。この目的のために、(例えば、顔の中央部において/歯を持たない下顎の部分において)骨が、特に腸骨翼から局所的に除去される。ドナー領域におけるその後のドナー欠陥および罹患率を防ぐために、歯槽堤の増強用にアロプラスチック顆粒がますます使用されている。しかし、前記顆粒は寸法的に安定ではなく、追加の膜によって結合組織の望ましくない内殖から保護されなければならない。最近、寸法安定性の欠如という前記欠点に対処する3Dチタンメッシュが開発されたが、予定の歯科インプラントを行う前に再び完全に除去されなければならない。
【0006】
自家骨移植には、ドナー領域における罹患集中、欠陥状況に対する複雑な欠損部修復の必要性、および骨の局所的利用可能性に関する制限という欠点がある。アロプラスチック顆粒は、それ自体、膜特性がなく、統合3Dプランニングを行えないため、寸法安定性がなく、膜を必要とする。残念ながら、3Dチタンメッシュは再吸収可能ではなく、膜特性も示さないため、移植前に必ず除去する必要がある。しかし、複数の介入は特に望ましくない。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明の目的は、前記欠点を排除することである。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、骨の欠陥領域を充填するための骨増強片であって、隙間なく欠陥領域に挿入されるように適合された主要部分を含み、主要部分は、メッシュを画定するウェブおよびキャビティで作られたトラス型構造を含み、生分解性金属材料および/または吸収性ポリマーもしくはセラミック材料を含むか、またはそれらから構成され、ウェブおよびメッシュの外側がリムで囲まれ、リムはウェブの5倍超の厚さを有する骨増強片が提供される。
【0009】
前記目的は、本発明によれば、欠陥領域に充満/充填するための骨増強片が、(できるかぎり)隙間なしに欠陥領域に挿入されるように適合された主要部分を備えるという事実によって達成され、中身のあるまたはマクロ/ミクロ多孔性の主要部分は、ウェブ/ストランドで作られたトラス型構造を有し、それはそして、中身のあるまたはマクロ/ミクロ多孔性であって寸法安定性があるようにメッシュを画定するキャビティで作られるように設計でき、主要部分が生分解性金属材料および/または吸収性ポリマーもしくはセラミック材料を含むか、またはそれらから構成され、ウェブおよびメッシュの外側がリムで囲まれ、リムはウェブの5倍超の厚さを有する。前記初期寸法安定性は、骨増強片の導入に役立つ。
【0010】
さらに、生分解性である材料で作られたトラス型構造は、一方では、インプラント内へと成長する骨材料によるより速い骨形成をサポートし、他方では、インプラントが分解されて骨材料のみが体内に残るため、ほぼ元の自然な構造を作り出すのにそれぞれ役立つ。同様に、骨材料およびインプラントの間で大きな表面接触が実現されるため、グリッド型構造は異物の分解に役立つ。
【0011】
有利な実施形態は、従属請求項に記載されており、以下に詳述される。
【0012】
複数のウェブが交差して、ウェブが交差点で相互接続され、好ましくは一体の構成要素を形成する交差部でそれらが接続されるようにそこで1つの片/1つの材料で相互接続されると有利である。
【0013】
ウェブがグリッド構造を形成していると有用である。そうすることで、メッシュが形成される。前記メッシュのすべてまたは大部分はそして、(ほぼまたは正確に)等しい表面積を有することが意図される。このように、内殖を正確に制御および予測できる。そして、再生骨材料によってグリッド構造が特に均一に成長し、したがって適切な外科的成功を伴う。
【0014】
製造のために、メッシュが三角形、特に正三角形または二等辺三角形の形状をとると、またはメッシュが長方形、特に正四角形/正方形の形状をとると、有利である。そして、ウェブ/ストランドの配置を特に適切に事前決定することができ、これは製造に有益である。
【0015】
初期寸法安定性は、ウェブ、例えばすべてのウェブまたは大部分のウェブが幾何学形状および/または材料特性に関して同等であると、特に効率的に決定可能/設計可能となる。
【0016】
ウェブが線形/直線または波形もしくは湾曲設計を有すると有利である。また、波形および湾曲形状への上流および/または下流移行部を有する部分的線形設計が有利である。また、曲線形状の設計で常に同じ曲率が与えられると、それ自体、証明されている。これに関連して、長さにわたって見たときに曲率が増加する、またはその代わりに、曲率が減少すると、利点が得られ得ることに言及する価値がある。また、ウェブのねじれも想定可能である。
【0017】
有利な例示的実施形態はまた、ウェブおよびメッシュがポケットの形態の壁を画定することを特徴とする。例えば、開口部が、骨スラリー/骨片などの充填物を受容するよう、骨増強片/骨インプラントにて、例えば上部または下部に提供されることができる。
【0018】
主要部分に10μm~700μmの孔/キャビティが含まれていると有利である。多孔性が提供されると、10μm~200μmの平均延長部の空気含有物が、それ自体、証明されている。ポケットは、血液または骨片などの同種移植材料で充填されるように設けられる。
【0019】
ウェブおよびメッシュの外側が完全に閉じたリムまたは部分的に閉じたリムで囲まれていると有利である。リムは、周囲が均一な厚さであっても、異なっていてもよい。リムの存在により、取り扱いが容易になる。最後に、インプラントの計画の際に、インプラントの通路を例えばその壁の領域において修正することができ、ドリル治具として使用できる。インプラントの計画の際に、形成された新しい骨材料よりも治癒中に主要部分がより多く分解されるという事実を考慮して、過剰矯正も提供でき、すなわち、特に挿入状態でも、主要部分が欠陥領域を越えて突出するようにすることができる。これは、審美的に魅力的な解決策を達成するのに役立つ。このように、単に皮膚で覆われているだけで外側から見えてしまうくぼみまたはへこみが回避される。
【0020】
また、ウェブの厚さが2つの交差点間のウェブの長さの4分の1~10分の1の範囲にあると、および/または、ウェブの断面が多角形または円または楕円に設計されていると、特に有利であることが判明した。特に、三角形、長方形、および円形の断面は、それ自体で証明されている。三角形の断面の場合、正三角形の形状が、それ自体、特に証明されている。
【0021】
患者の最終的なケアを適切に確保するために、歯科インプラントなどのインプラントを受容するための少なくとも1つの(貫通/止まり)インプラント受容孔が主要部分に設けられると有利である。そのため、例えば歯科インプラントを先に主要部分に配置することができ、そして手術処置中に前記キットを挿入することができる。もちろん、本発明はまた、骨増強片を骨に挿入すること、および、キットを骨の中または上に挿入することにもそれぞれ関する。
【0022】
インプラント受容孔を画定する孔壁が閉じた/孔のない表面を有すると有利である。そして、例えば歯科インプラントの主要部分における適切なサポートが得られる。
【0023】
主要部分が少なくとも1つの骨固定孔、つまり骨に固定するための骨ネジなどの締結具を受容するための孔を有すると、骨増強片/骨インプラントと骨との間の適切な接続をすでに最初から達成することができる。その後の内殖により、前記初期強度がさらに増加する。
【0024】
主要部分は、マグネシウム、マグネシウム合金、鉄、鉄合金、バリウムもしくはストロンチウムなどの生分解性材料、または、PDLLA、PDLA、PLA、PGA、キトサン繊維/粒子、HAP、CaCO、α-/β-TCP、ヒドロキシアパタイト、および/または二相性リン酸カルシウム(BCP)などの吸収性ポリマー、セラミック材料もしくはその複合材料などの1つの(単一)材料で構成され得、有利にはそれらから構成されるべきである。もちろん、前記材料の混合物も想定可能である。
【0025】
本発明の第2の態様によれば、そこに挿入されたインプラントを含む、本発明の第1の態様による骨増強片からなるキットが提供される。
【0026】
最終的に、本発明はまた、歯科インプラントなどの、そこに挿入されたインプラントを含む、本発明によるタイプの骨増強片からなるキットに関する。
【0027】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第1の態様による骨増強片のドリル治具としての使用が提供される。
【0028】
本発明はまた、本発明によるタイプの骨増強片のドリル治具としての使用に関する。
【0029】
また、本発明は、本発明によるタイプの骨増強片を、例えば哺乳類、特に人間の骨の上/中に挿入する医療プロセスに関する。
【0030】
言い換えれば、いまやアロプラスチック材料(固有材料)による寸法安定性のある取り付けおよびサポートが可能となる。そうすることで、適切な歯科インプラント位置に基づいて3D構造の形状およびサイズを先に最初に決定できるため、要件を満たす処置が可能である。欠損部修復および封じ込めの分野で改善が達成される。再吸収に対する保護が、外側の外形の膜特性によって提供される。これにより、結合組織の内殖が防止される。解剖学的に隣接する構造、特に隣接する歯、隣接する歯根、特に重要なものである下歯槽神経、の損傷が防止される。つまり、残りの骨の事前計画された固定点を利用し、その結果、手術前に手術処置を正確に計画することが可能である。
【0031】
HA、α-TCP、β-TCP、BCP、マグネシウムまたはマグネシウムカルシウム亜鉛合金などの骨置換材料で構成された、中身のあるものおよび/または多孔性の、幾何学的に複雑な、患者固有のカスタマイズされた個別インプラントが使用され、事前に準備される。HA、α-TCP、β-TCP、BCP、マグネシウムおよびMgCaZnなどの骨置換材料で構成された、多孔質で幾何学的に複雑で患者固有の個々のインプラント装置を短期間で製造できる。製造インプラントの強度の増加は、熱の増加によって実現できる。また、骨再生用の吸収性骨腔充填材構造物として骨材料から構成される中身のあるものおよび/または多孔性の幾何学的に複雑で患者固有の個々のインプラントの製造が得られる。骨置換材料の多孔性で幾何学的に複雑で患者固有の個々のインプラントを短期間で製造することができる。インプラントは1つ以上、例えば2つの材料からなり得る。
【0032】
すべての材料は、粉末、顆粒の形態、および、液体から粘性の状態で存在して使用されることができ、異なる量および材料組成を互いに混合することができる。
【0033】
外側に設けられ、特に隣接する骨材料と重なるように遠位方向に突出し得る、突起、耳、延長部、タブまたはプレート拡張部分を、骨増強片が含み得ることが最後に言及される。前記突起には、骨ネジを受容するための孔も設けられ得る。そして、骨増強片から骨へのプレートなしの接続を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
以下、本発明を図面により詳細に説明する。
図1図1は、主要部分に存在する外周リムを有する骨増強片の側面図を示し、その多数のウェブが互いに等距離に配置されてグリッド構造を形成している。
図2図2は、インプラントの下側に骨スラリー/チップを充填するために形成されたポケットと、上部に設けられた開口部とを含む、骨に面する図1の骨増強片の側面の斜視図を示す。
図3図3は、外周リムのない増強片のグリッド構造を示す。
図4図4は、図3のグリッド構造に匹敵するグリッド構造を示すが、外周リムを有する。
図5図5は、図2に示すポケットの概略構造を示す。
図6図6は、ドリル治具としての骨増強片の使用を示す。
図7図7は、骨増強片による所定の過剰矯正を示す。
図8図8は、患者の下顎骨における図1および図2に示す骨増強片の挿入状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図は単なる概略図である。同様の要素には、同様の参照符号が付けられている。個々の例示的実施形態の特徴は交換され得る。
【0036】
図1では、本発明による骨増強片1が、本発明に従って示されている。それは、骨インプラントである。特に、それは、下顎での使用に適した骨インプラントである。それはまた、上顎部でわずかに適合させた後、使用することができる。
【0037】
図8を見越して、骨増強片1が骨3の欠陥領域2を充填することは既に説明されている。それは、スリットなし/隙間なしの止まり孔または貫通孔の形態であり得る欠陥領域2に挿入される。この場合、それは、骨3の表面と面一である。それは、骨3への滑らかな移行、すなわち、一方では骨増強片の表面の、他方では骨3のすなわち内面および外面での当接のために構成される。図7に示されて参照符号4で示されるように、小さな突起(片面または両面のいずれか)がまた設けられ得る。
【0038】
図1に戻ると、骨増強片1が複数の交差するウェブ6から作られた主要部分5を有することが明らかである。ウェブ6はストランドとも呼ばれ得る。メッシュ8を画定する複数のキャビティ7がウェブ6の間に設けられる。
【0039】
ウェブ6は、例えば長方形のトラス型で、グリッド構造を作成するように交差している。
【0040】
図2の代替例示的実施形態から明らかなように、メッシュ8は必ずしも長方形である必要はなく、三角形でもよい。主要部分5はまた、ウェブ6とは別に、ウェブ6により形成されるメッシュ8、閉じたリム9を含む。この場合、リム9は、ウェブ6の5倍超の厚さを有する。リム9がウェブ6の11倍(+/-10~20%)の厚さを有すると有利である。
【0041】
図1および図2では、例として交差点10が参照されている。
【0042】
ウェブ6およびウェブ6により形成されるメッシュ8は、存在する場合にはリム9を含み、壁11または複数の壁11を画定し、それによりポケット12が形成される。
【0043】
2つのインプラント受容孔13が設けられていることは注目に値する。さらに、骨固定孔14も設けられている。インプラント受容孔13に、歯科インプラントなどの別のインプラントが挿入され、骨3におよび/または主要部分5に固定される一方、骨3上の主要部分5を固定するネジ、スプリントまたはボルトを骨固定孔14に導入することができる。骨固定孔14は、少なくとも部分的にまたは完全にすらインプラント受容孔13内に配置され得る。もちろん、それは、その外側にも配置され得る。骨固定孔14は、インプラント受容孔13を画定する孔壁15を部分的に貫通することが特に好ましい。
【0044】
図3および図4では、主要部分5の異なるウェブ配置が示されており、ある場合にはリム9が設けられ(図4を参照)、別の場合には欠落している。
【0045】
図5は、ポケット12の形態の主要部分5を含む骨増強片1を示す。したがって、骨片および骨スラリー16がそれぞれポケット12内へと充填される。さらに、血液製剤が追加され得る。
【0046】
図3では、骨3の欠陥領域2に挿入される骨増強片1が示されている。骨増強片1がドリル治具18として機能するように、ドリル17の強制方向を事前決定するようインプラント受容孔13が挿入されることが明らかである。骨にさらにつながるさら穴19が、歯科インプラント(図示せず)の貫通のために利用される。
【0047】
図7は、骨3の例として下顎骨を断面で示しており、本発明による挿入された骨増強片1は部分的に切断された状態で再現されている。ここで、突起4が提供される。前記突起4は、治癒過程中に患者の身体によって、残りの骨増強片1と同様に分解されるが、しかし、残存領域20として定義することもできる、切断状態で示される領域でのみ、自家骨材料が治癒後に存在するため、審美的に魅力的な結果が得られる。
【符号の説明】
【0048】
1 骨増強片
2 欠陥領域
3 骨
4 突起
5 主要部分
6 ウェブ
7 キャビティ
8 メッシュ
9 リム
10 交差点
11 壁
12 ポケット
13 インプラント受容孔
14 骨固定孔
15 孔壁
16 骨スラリー/骨片
17 ドリル
18 ドリル治具
19 さら穴
20 残存領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8