(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-17
(45)【発行日】2023-01-25
(54)【発明の名称】診断用デバイスおよびシステム
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20230118BHJP
C12Q 1/6825 20180101ALI20230118BHJP
C12Q 1/6876 20180101ALI20230118BHJP
C12M 1/21 20060101ALI20230118BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20230118BHJP
C12Q 1/04 20060101ALI20230118BHJP
C12Q 1/70 20060101ALN20230118BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12Q1/6825 Z
C12Q1/6876 Z
C12M1/21
C12M1/34 B
C12Q1/04
C12Q1/70
(21)【出願番号】P 2020515881
(86)(22)【出願日】2018-09-06
(86)【国際出願番号】 EP2018074058
(87)【国際公開番号】W WO2019057515
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-06-09
(32)【優先日】2017-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2017-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2017-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520086564
【氏名又は名称】アルトラテック・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】オファレル,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】オサリバン,キアン・デスモンド
(72)【発明者】
【氏名】オドリスコル,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】カミンズ,ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】フリー,ポール
(72)【発明者】
【氏名】マッカーシー,モイラ
(72)【発明者】
【氏名】ウォルシュ,ジョン
【審査官】小田 浩代
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-084657(JP,A)
【文献】特表2011-516034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00- 3/10
C12Q 1/00- 3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポータブル診断用デバイスであって、前記ポータブル診断用デバイスは、
ハウジングと、
アッセイステージ(161~164)であって、前記アッセイステージ(161~164)は、チャネル(166、171)によってリンクされたリザーバーをそれぞれ備えており、前記アッセイステージ(161~164)のうちの少なくとも1つは、ターゲット検体を検出するためのセンサー(168、169)を含む、アッセイステージ(161~164)と、
サンプルを受け入れるための入口部(102、120、167
、500)と
を含み、
前記入口部(102、120、167
、500)は、
サンプル溶解剤と、
前記アッセイステージへの出口ポート(122、165)であって、前記出口ポート(122、165)は、ワックスプラグまたは油プラグ
(602)を有しており、当該ワックスプラグまたは油プラグ
(602)は、プローブによるターゲット検体への取り付けのための埋め込まれた磁気ビーズを有している、出口ポート(122、165)と
を含む、ポータブル診断用デバイス。
【請求項2】
前記ポータブル診断用デバイスの入口部の前記出口ポート(122、165)は、漏斗形状になっており、前記ワックスプラグまたは油プラグ
(602)は、前記出口ポート(122、165)の中に摩擦嵌合している、請求項1に記載のポータブル診断用デバイス。
【請求項3】
ペプチド核酸PNAプローブおよび前記磁気ビーズは、前記入口部(102、120、167
、500)のワックスまたは油の中にマイクロカプセル化されており、前記磁気ビーズは、ポリスチレンおよびフェライトナノ粒子の複合体を含む、請求項1または2に記載のポータブル診断用デバイス。
【請求項4】
前記入口部(500)が、チャンバーの中のフィルター(
502)と、前記フィルター(
502)を通して血液を駆動するように配置されているピストン(515)とを含み、
前記フィルター(
502)は、第1のチャンバー(510(a))の中にあり、前記ピストン(515)は、第2のチャンバー(510(b))の中にあり、前記第2のチャンバー(510(b))は、前記フィルター(
502)の上流の前記第1のチャンバー(510(a))の中のボリュームと連通するボリュームを有しており、
前記第2のチャンバー(510(b))は、前記第1のチャンバー(510(a))の横方向にある、請求項1から3のいずれか一項に記載のポータブル診断用デバイス。
【請求項5】
前記入口部は、泡捕集チャンバー(
766)を含み、
前記泡捕集チャンバー(
766)は、
前記第1のチャンバー(510(a))の膜(504)の軸線上に位置合わせされており、前記軸線は、前記ピストン(515)と前記フィルター(
502)との間の軸線に対して所定の角度にあり、
前記泡捕集チャンバー(766)は、サンプル出口ポート(765)に対して実質的に平行になっており、前記ワックスプラグまたは油プラグ(772)は、前記サンプル出口ポート(765)の中への泡の移動を防止する、請求項4に記載のポータブル診断用デバイス。
【請求項6】
前記サンプル溶解剤は、前記サンプルの中の特定のターゲット細胞またはカプシドの中に溶解を引き起こすためだけに調節されており、
前記入口部(102、120、167)は、細胞膜透過性ペプチドを含むプローブを含み、溶解の前に細胞取り込みを促進させ、溶解の前にヌクレアーゼへの核酸ターゲットの露出を制限する、請求項1から5のいずれか一項に記載のポータブル診断用デバイス。
【請求項7】
前記チャネル(166、171)は、前記磁気ビーズを受け入れるために前記出口ポート(165)と連通しているチャネル(171)を含み、前記チャネル(171)は、連続的な柱の中に溶融したワックスを含有しており、前記チャネル(171)は、前記アッセイステージ(161~164)によって形成された複数のリザーバー(161、162、163)に接続されており、界面張力および毛細管力が、前記リザーバー(161、162、163)を互いから隔離された状態に維持するようになっている、請求項1から6のいずれか一項に記載のポータブル診断用デバイス。
【請求項8】
検体がアッセイステージ(161~164)の中へ通過するためにおよびアッセイステージ(161~164)から外へ通過するために、チャネル(166、171)が、少なくとも2つのアッセイステージの横方向に配置されており、
油コンポーネントおよび/またはワックスコンポーネントは、前記チャネル(164、171)の中にあり、前記チャネル(164、171)の中において、前記油コンポーネントおよび/またはワックスコンポーネントは、ビーズがアッセイステージ(161~164)同士の間で搬送されるときに、ビーズの複数のパスのために配置されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のポータブル診断用デバイス。
【請求項9】
前記ポータブル診断用デバイスは、前記センサーの上方の検体の撹拌のための撹拌器をさらに含み、前記撹拌器は、ピストンまたはソニケーションまたは振動性デバイスを含み、
前記撹拌器は、マイクロ流体のチャネルを横切って電圧を印加し、表面を横切って検体の電気浸透フローを発生させるように構成されている、または、前記撹拌器は、マイクロ流体のチャネルの中に動電式デバイスを含み、前記検体の中に乱流を発生させるように配置されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のポータブル診断用デバイス。
【請求項10】
前記センサー(168、169)は、低い誘電定数を有する有機液体のバックグラウンドに対して、その表面のビーズを読み取るように配置されている、請求項1から9のいずれか一項に記載のポータブル診断用デバイス。
【請求項11】
前記ポータブル診断用デバイスは、前記センサー(168、169)における温度を検出するための温度センサーを含むとともに、所望の温度が大気の影響とは無関係に到達されるように、動作の前に動作温度を設定するためのヒーターおよび/または冷却器を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のポータブル診断用デバイス。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のポータブル診断用デバイスと、リーダー(200)とを含むポータブル診断用システムであって、
前記リーダー(200)は、
前記ポータブル診断用デバイスを受け入れるためのサポートと、
前記ポータブル診断用デバイスの前記アッセイステージ(161~164)を通して前記磁気ビーズを搬送するための駆動装置に配置された磁石(203、204)と、
熱源と、
前記ポータブル診断用デバイスの前記センサー(168)と通信するための手段と、
コントローラーと
を含む、ポータブル診断用システム。
【請求項13】
請求項12に記載のポータブル診断用システムによって実施される方法であって、
前記方法は、
前記ポータブル診断用デバイスの入口部(102、120、167)の中へサンプルを導入し、前記入口部(102、120、167)の中の前記サンプルを溶解し、検体を提供するステップ、または、以前に溶解された検体を前記入口部の中へ導入するステップと、
前記ポータブル診断用デバイスの中の前記アッセイステージ(161~164)を通して前記検体を搬送するステップであって、前記アッセイステージ(161~164)の移動および温度が制御されている、ステップと、
前記センサー(168)において検体を検出するステップと
を含む、方法。
【請求項14】
アッセイのためのステップのシーケンスが、前記ポータブル診断用デバイスのプロセッサーによって駆動され、
前記ポータブル診断用デバイスは、前記ポータブル診断用デバイスが受け入れたサンプルの記憶されたまたはエンコードされた識別子を含み、これは、物理的な端末またはワイヤレスのいずれかによって、前記ポータブル診断用デバイスによって前記リーダーに通信される、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間または動物の医療用の診断または健康状態モニタリングに関する。
【背景技術】
【0002】
WO2015086652(Altratech Ltd)は、細胞を溶解することを必要とする核酸サンプルを準備すること、および、細胞の中のRNAを捕獲するためにPNAプローブを使用することを説明している。
【0003】
WO2015091139(Altratech Ltd)は、PNAコーティングされたビーズを繋ぎ止めるステップを必要とする核酸サンプルを準備することを説明している。
【0004】
WO2015086654(Altratech Ltd)は、センサー表面の上方で液体サンプルの中の検体を検出および定量化するように配置された容量センサー(capasitive sensor)を説明している。
【0005】
これらの文献の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0006】
米国特許出願公開第2015/0118743号(Seiko Epson)は、ワックスまたは油、洗浄液体、ワックス、溶出液、およびワックスまたは油を有するチューブを備えた核酸抽出デバイスを説明している。
【0007】
WO2009111316(Northwestern University)は、サンプル分離、精製、および改質において使用されるバリアを説明している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、血液サンプルなどのようなサンプルをテストするための、および、明確な診断用データまたは健康データを提供するための、デバイスおよびシステムを提供することに関し、
デバイスは、わずかなコンポーネントを備えて、コンパクトでポータブルであり、ならびに/または、
レプリケーションおよび適切な制御によって、5つ以上の種から、単一のまたは複数のターゲット核酸、たとえば、RNA(リボ核酸)など、もしくは、他のマイクロ生物学的なエンティティー、たとえば、ウィルスのRNAを検出および定量化するための能力を有しており、ならびに/または、
複数のRNAをアッセイするための能力を有しており、ならびに/または、
デバイスの主要なパーツは、完全に人工のものであり(たとえば、酵素的な試薬がない)、再現性、安定性、および簡単な物流を可能にし、ならびに/または、
使い捨てとなるのに十分に安価であり、ならびに/または、
デバイスリーダーは、サービスエンジニアに対する必要性を回避する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1およびその従属請求項に規定されているようなポータブル診断用デバイスを説明する。また、請求項12において、デバイスとデバイスのためのリーダーとを組み込む診断用システムを説明し、請求項13およびその従属請求項において、それらの動作のための方法を説明する。
【0010】
さまざまな態様において、我々は、好ましくは、0.02mm2から1.5mm2の範囲、より好ましくは、0.05mm2から0.8mm2の範囲にある断面積を有するチャネル(channel)によってリンクされるステージを有する診断用のまたは核酸定量化デバイスを説明する。チャネル壁部は、好ましくは、良好な熱伝導率および磁界の透過を可能にするように薄い(たとえば、3mm未満など)。チャネルおよびステージは、所定の長さのチュービングによって形成されており、チュービングの中において、ステージが液体バリアによって画定されており、または、チャネルは、物理的に個別のステージをリンクする導管であることが可能である。検体(輸送ビーズまたは「Tビーズ」)を捕獲および輸送するために使用される磁気粒子は、初期には、ワックスおよびビーズマトリックスプラグ104の中に含有され得、それは、室温において固体になっている。検体は、プローブ(プローブ1)によってTビーズに捕獲され、プローブ(プローブ1)は、Tビーズに事前に取り付けられているか(たとえば、Tビーズ表面へのプローブ1の共有結合)、または、Tビーズの追加の前にサンプルに追加される(たとえば、その表面にプローブ1および別のリガンドの両方を備えたナノ粒子であり、後者は、Tビーズへの取り付けを調節する)かのいずれかである。チャネルセグメントがステージを形成する場合に、それらは、好ましくは、次のステージへの検体の通過を可能にする油または他のバリア液体もしくはゲルによって終端され、境界を定められている。水分子同士の間の凝集力は、油分子(たとえば、シリコン油またはシクロアルカン)を除外し、水性フェーズ/油フェーズインターフェース、ならびに、親水性の分子および親水性の粒子の移行に対するバリアを生成させる。エントロピーは、インターフェースの表面積が最小に維持されることを決定する。
【0011】
入口部の配置は、検体が液体バリアを通過するときに、他の材料からの検体の集中および分離を提供し、液体バリアは、ワックスまたは油が溶融されているときに形成され得る。ポータブルであり、説明されているような入口部、および、センサーを含むアッセイステージを有するデバイスの態様は、デバイスが自己充足型になることを可能にする。それは、特に、入口部が溶解を実施するように配置されている場合に、事前処理なしにサンプルの範囲のいずれかを受け入れることが可能である。
【0012】
水性フェーズの中に懸濁されている磁気粒子(「Tビーズ」)(すなわち、それらは、親水性の表面を有している)は、たとえば、永久磁石によって外力を印加されるときに力を経験する。粒子が水性/油インターフェースに向けて集中および移動させられるときに、この力が、今ではインターフェースに働かされている。磁石を使用してマイクロ流体のチャネル壁部から離して粒子を維持することによって、および、テフロンコーティングされたマイクロ流体を使用することによって、ボーラスの摩擦力は最小化される。水性ボーラスは、磁力が磁気粒子を油の中へ引っ張り込むときに、磁気粒子の周りで形成する。界面張力が、水(および、それらの中の任意の不純物)のボーラスを磁気粒子の周りに維持する。エントロピーは、この新しい水性/油インターフェースの表面積が最小に維持されることを決定し、したがって、このボーラスは非常に小さい(100~500nl)。これは、液体の体積、および、磁気粒子とともに運搬される不純物の量を最小化し、一方、すべての捕獲された検体が、粒子の表面に維持される。磁気粒子に捕獲された検体は、このボーラスの中に集中させられる。また、それらは、任意の不純物に対して集中させられる。
【0013】
プローブおよび/または輸送ビーズは、ワックスの中に組み込まれる前に、マイクロカプセル化され得る(たとえば、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム)。これは、アッセイの間のより良好な安定性および制御された粒子の解放を提供することが可能である。
【0014】
また、プローブは、細胞膜透過性ペプチド(たとえば、トランス活性化型転写活性化因子TAT)を含有し、溶解の前に細胞取り込みを促進させることが可能である。これは、溶解の前にヌクレアーゼへのNAターゲットの露出を制限する。これは、PNAプローブのケースにおいてとりわけ有益であることとなり、そこにおいて、ヌクレアーゼはPNA-NAデュプレックスを認識しない。プローブは、粒子に結合され得、または、ストレプトアビジンコーティングされたビーズによる捕獲のためにビオチン化され得る。
【0015】
デバイスは、リーダーの中で、手動でまたは自動化された様式でのいずれかでの熱の外部適用によって使用され得、同様に、移動は、手動でまたは自動化された様式でのいずれかで磁気的に引き起こされ得る。
【0016】
第1の洗浄ステージが存在することが可能であり、第1の洗浄ステージでは、輸送ビーズ(「Tビーズ」)が、外部磁石を使用してアクティブに混合され、溶解ステージからワックスバリアを通してボーラスの中で運搬されてきた可能性のある任意の非ターゲット生物学的な材料を解放する。
【0017】
検体の洗浄が完了した後に使用するためのリポータープローブ取り付けステージが存在することが可能である。これは、PNAプローブ(プローブ2)を含有することが可能であり、PNAプローブ(プローブ2)は、オリジナルのプローブ1とは異なるターゲットNAのセクションに相補的になっている。リポータープローブ2は、ビーズ(「R」ビーズ)などのようなリポーターに共有結合され得る。これらのRビーズは、Tビーズよりも直径が小さくなっており、磁気的に影響を受けにくくなっていることが可能である。Tビーズは、このリザーバーの中で混合され得、また、任意のターゲットNAがTビーズに存在している場合には、それらは、RビーズのPNAプローブ2に結合して取り付けられる。同じNAを横切る2つのプローブのこの結合は、NAターゲットが存在している場合にだけ、TビーズおよびRビーズが一緒に繋ぎ止められるということを結果として生じさせる。サンドイッチは、Tビーズ-プローブ1-ターゲットNA-プローブ2-Rビーズを含む。
【0018】
Tビーズは、再度、磁気的に凝集させられ、第2の洗浄ステージの中へ除去され得、第2の洗浄ステージにおいて、それらは、再度混合され、溶液の中へ分離され、今回は、以前の捕獲フェーズから通して運搬されてきた可能性のある任意の取り付けられていないRビーズを解放する。次いで、Tビーズは、再度凝集させられ、油バリア112を通してセンサーの中へ引っ張られ得る。ここで、NAターゲットに対するRビーズの1:1比率が存在している。これは、プローブ1-ターゲットNA-プローブ2サンドイッチによってTビーズに繋ぎ止められている場合には、Rビーズだけが1つのリザーバーから別のリザーバーへ到着することができるからである。
【0019】
Tビーズは、たとえば、センサーの表面の上方に磁気的に移動させられることなどによって、センサーの上方で撹拌され得る。Rビーズは、TビーズおよびNAから分離される。これは、NAへのPNAプローブ2リンクを溶融するために熱を加えることによって、または、NAターゲットを化学的に破壊することによって、したがって、2つのビーズの間の繋ぎ止めを破ることによって達成され得る。磁気的なTビーズは、今では、同じ方向に、または、代替的に、2回目として以前のステージの中へ戻る方のいずれかに、引き離され得る。これは、センサー表面の上方にRビーズを残す。
【0020】
第2のプローブを分離するためのプローブ2加熱温度は、典型的に60℃から85℃であるが、ハイブリダイゼーション強度に影響を与えるその正確なシーケンスに応じて、40℃から99℃であることが可能である。短いプローブが、プローブ2に関して使用され、特異性を失うことなくこの熱分離ステップをより容易にすることが可能である。この温度は、ホットプレートにデバイス基板を設置することによって、「オンチップ」の加熱によって、および/または、誘導コイルを使用することによって実現され得、誘導コイルは、米国特許第5,378,879号に説明されているものなどのような様式で、フェライトRビーズの磁気誘導加熱を可能にする。
【0021】
センサーの隔離されたRビーズの存在は、オリジナルのサンプルの中のターゲットNAの存在を示している。いくつかの例では、複数のNAターゲットが、たとえば、2つのタイプのウィルスを同時に検出することによって(HIV_Tビーズ-HIV_プローブ1-HIV_ターゲットNA-HIV_プローブ2-HIV_Rビーズ;HCV_Tビーズ-HCV_プローブ1-HCV_ターゲットNA-HCV_プローブ2-HCV_Rビーズ)、上記のアプローチを使用して並列にターゲットにされ得る。これは、2つのタイプのRビーズがセンサーに到着することを結果として生じさせる。センサーは、それぞれのタイプのRビーズの量を決定することが可能である。代替的に、Tビーズは、別個のHIV_RビーズおよびHCV_Rビーズ以外に、HIV_プローブ1およびHCV_プローブ1の両方を有することが可能である。
【0022】
ターゲットNAの正確な定量化を可能にするコントロールNAは、18SリボソームRNAなどのような内因性のコントロール、または、SOX21などのようなハウスキーピング遺伝子の発現レベルを含むことが可能である。コントロールNAの処理は、本明細書でのターゲットNAの説明にしたがうこととなる。アーマードRNA HIVなどのような人工的な制御が、内因性の制御と同様にまたはその代わりに使用され得る。SOX21は、真核生物を横切って高度に保存される「ハウスキーピング遺伝子」である。
【0023】
センサーは、PNAプローブを備えた少なくとも2つのセンサー領域を有することが可能であり、PNAプローブは、RビーズのPNAに相補的になっており、それぞれのタイプのRビーズが、正しいセンサーにハイブリダイズ(hybridise)されるようになっている。センサーのPNAプローブは、HIV_プローブ2およびHCV_プローブ2に相補的になっていることが可能である。
【0024】
代替的に、センサーのPNAプローブは、それぞれのタイプのRビーズの標準的なPNAプローブに相補的になっていることが可能である。これらのRビーズは、次いで、HIV_プローブ2およびHCV_プローブ2によって追加的に機能化されることとなる。センサーが標準的なPNAとともに製造されることになるので、このアプローチは、より迅速なアッセイ開発を可能にする。
【0025】
センサーは、高分解能のシグマ-デルタのキャパシタンス-トゥー-デジタルコンバーター(capacitance-to-digital converter)、キャリブレーションメモリー、および、I2Cシリアル通信を含むデジタル処理回路を有するカプセル化されたマイクロ流体の構造体の中に装着された半導体キャパシタンスセンサーチップを含むことが可能である。端末は、外部リーダーまたはコンピューターにチップを接続することが可能である。第1の「ウェットキャパシタンス」読み値が、液体の中のRビーズから、センサーチップによってとられる。これは、ベースライン参照キャリブレーションキャパシタンスを提供する。液体が蒸発した後に、第2の「ドライキャパシタンス」読み値が、Rビーズキャパシタンスからとられる。それらの誘電定数が空気よりも高いことに起因して、センサー表面の任意のRビーズは、WO2015086654の
図19に示されているように、容量信号、たとえば、200ビーズに関するIfF(デルタキャパシタンス-対-乾燥空気)を与える。
【0026】
サンプル処理(たとえば、特定の温度に調節され得るホットプレート)が、サンプルの中の特定のタイプの細胞またはカプシドの溶解だけを引き起こすために実施され得る。そのような調節は、1つの例では、血液サンプルの中のすべての細胞にストレス(このケースでは、熱)を与えることであることが可能であり、そこにおいて、白血球(DNAを含有する)は、溶解を防止するように応答することが可能であり、一方、他の細胞、および、とりわけ、ウィルス粒子は溶解される。これは、白血球がレトロウィルスDNAを含有する場合に有利であり、レトロウィルスDNAは、レトロウィルスRNAに関するアッセイを狂わせる可能性がある。このレトロウィルスDNAは、ここで作り出されるライセートの中で利用可能でないこととなる。
【0027】
溶解バッファーは、サンプルの中の特定のターゲット細胞またはカプシドの中だけに溶解を引き起こすように調節され得る。この調節は、たとえば、膜完全性に損傷を与えるウィルス表面の特定のタンパク質ターゲットに結合するように設計された薬物を必要とする可能性がある。血液は、デバイス(たとえば、Whole Blood Microbeads Miltenyi Biotec)にサンプルを適用する前に、血液の特定の画分を除去するのに適切な免疫磁気ビーズを通過することが可能である。血液は、樹脂ビーズのベッドを通過することが可能であり、樹脂ビーズは、閉塞を防止することを助けるために機能化されているか(たとえば、Chelex)、または、試薬の中にコーティングされ得る(EDTAまたはクエン酸塩などのようなキレート剤)。
【0028】
これらのビーズは、デバイス(Whole Blood Microbeads Miltenyi Biotecの同じ原理にしたがう)にサンプルを適用した後に、血液の特定の画分の選択的な捕獲のためにリガンドによって機能化され得る。ビーズは、高い密度のものであることが可能であり、重力が、これらをインサイチュに保持することとなり、とりわけ、ここで、このセクションは垂直方向になっている。
【0029】
1つの態様では、ポータブル診断用デバイスは、
チャネルによってリンクされているリザーバーそれぞれを備えた一連のアッセイステージと、
随意的にビーズに取り付けられている検体を検出するためのセンサーまたはセンサーへのインターフェースを含むアッセイステージのうちの少なくとも1つと
を含む。
【0030】
デバイスは、サンプルを受け入れるための、および、プローブを備えた磁気ビーズを含有するためのライセートステージと、ライセート薬剤およびアッセイステージへの出口部とをさらに含むことが可能である。好ましくは、ライセートステージは、出口ポートの中に液体-液体精製ステージを含み、精製ステージは、ターゲット検体への取り付けのための埋め込まれた磁気ビーズを含むワックスプラグを含み、検体が液体バリアを通過するときに、他の材料からの検体の集中および分離を提供する。ライセートステージ出口ポートは、漏斗形状になっていることが可能であり、ワックスプラグは、出口ポートにおける溶解ベッセルの中に摩擦嵌合(friction fit)している。
【0031】
磁気ビーズは、ポリスチレンおよびフェライトナノ粒子の複合体を含むワックスプラグの中に埋め込まれ得る。好ましくは、少なくとも1つのアッセイステージは、洗浄を実施するように構成されている。好ましくは、上記洗浄ステージは、水と油/ワックスバリアとの間に界面張力および毛細管力を提供し、水溶液リザーバーを互いから隔離された状態に維持するように配置されている。
【0032】
好ましくは、単一の凝集性の油および/またはワックスコンポーネントが、非シーケンシャルなアッセイステップの中のバリアとして使用される。好ましくは、洗浄ステージは、水溶液などのようなバッファーを備えたリザーバーを含み、リザーバーは、ビーズがバッファーの中で均質化することを促進させるために混合を可能にするように配置されている。
【0033】
好ましくは、洗浄アッセイステージは、チャネルによってリポータービーズ(Rビーズ)アッセイステージに接続されている。好ましくは、リポータービーズアッセイステージは、輸送ビーズよりも小さい磁性を有する磁気的なリポータービーズを含有しており、リポータービーズは、検体のターゲット核酸に相補的な第2のPNAプローブ(「プローブ2」)に取り付けられており、ターゲットNAが輸送ビーズ(Tビーズ)に取り付けられて存在している場合には、Tビーズ-Rビーズの繋ぎ止められたサンドイッチがアッセイステージの中に形成されるようになっている。好ましくは、リポータービーズは、0.1μmから0.5μmの範囲にあるサイズを有している。
【0034】
リポータービーズアッセイステージは、任意の過剰なRビーズを除去するために、チャネルによってリポータービーズ洗浄ステージに接続され得る。好ましくは、リポータービーズ洗浄アッセイステージは、チャネルによって、センサーを含む次のアッセイステージに接続されている。
【0035】
好ましくは、センサーは、関連のリザーバーの内容物のキャパシタンスを検出するように配置された容量センサーを含む。センサーは、キャパシタンスに基づいて検出を実施し、センサー表面のリポータービーズの数を検出するように適合され得、そこにおいて、リポータービーズは、ターゲットNAなどのような検体の量を表している。好ましくは、センサーは、ウェットサンプルの検出を実施するように、および/または、ドライサンプルの検出を実施するように適合されている。好ましくは、デバイスは、センサーの上方の検体の撹拌のための撹拌器をさらに含む。好ましくは、撹拌器は、センサーの上方の検体を押すおよび引っ張るためのピストンを含み、そのようなピストンは、スクリューメカニズムによって駆動され得、ピストンは、センサーの上方の参照流体を押すように配置され得、センサーは、容量センサーであることが可能であり、ピストンは、センサーの上方の既知の誘電定数を有するガスを押すように構成されている。
【0036】
好ましくは、センサーは、プロセッサーを含み、プロセッサーは、随意的に、アクチュエーター移動および温度サイクルに関するインストラクションを含む、リーダーを制御するためにおよびアッセイを実行するために必要とされるインストラクションおよびデータを記憶するように構成されている。好ましくは、上記プロセッサーは、リーダーを駆動するように構成されており、リーダーの中へのデバイスの挿入のときに、アッセイが自動的に実行されるようになっている。センサーは、低い誘電定数を有する有機液体のバックグラウンドに対して、その表面のビーズを読み取るように配置され得る。
【0037】
好ましくは、センサーは、PNAプローブを含み、PNAプローブは、それぞれのタイプのRビーズの標準的なPNAプローブに相補的になっており、Rビーズは、HIV_プローブ2およびHCV_プローブ2によって追加的に機能化される。センサーは、リポータービーズなどのようなビーズのためのトラップとして作用するように配置された電極を含むことが可能である。好ましくは、トラップは、ビーズのフローに対して垂直に配置された電極を含み、電極のピッチを制御し、小さいRビーズだけがそれらの間にフィットすることができるようになっている。
【0038】
好ましくは、デバイスは、ベント領域を備えた廃棄チャンバーを含み、溶融したワックスなどのような変位させられた液体;チップリザーバーバッファー;界面活性剤;および任意のガスが、ベント領域の中へ押し込まれ得る。好ましくは、膨張チャンバーは、所定の体積の無菌ガスを含有しており、無菌ガスは、この液体の前に押され、フィルター付きベントを通して環境へ押され得る。
【0039】
デバイスは、溶解ステージの中のサンプル、および/または、少なくとも1つのアッセイステージの中の検体を加熱するためのヒーターをさらに含むことが可能である。好ましくは、デバイスチャネルは、異種性(heterogeneous)の熱伝導性マトリックスを含み、また、随意的に、疎水性(hydrophobic)のコーティングを含む。
【0040】
好ましくは、デバイスは、センシングシステムを形成するためにリーダーの中へフィットするように構成されており、随意的に、デバイスは、プロセッサーを含み、プロセッサーは、リーダーと通信し、アッセイインストラクションおよびデータを提供するように構成されており、アッセイがデバイスによって制御されるようになっている。好ましくは、チャネルの少なくともいくらかは、磁石によるビーズの磁気的な移動を可能にするように露出されており、随意的に、チャネルの少なくともいくらかは、ヒーターによって加熱されるように露出されており、好ましくは、熱伝達のしやすさのために1mm未満の薄い壁部を有している。デバイスは、プロセッサーを含むことが可能であり、プロセッサーは、サンプルに関する一意の識別子を記憶および通信するように構成されており、随意的に、この識別子は、たとえば、1Dまたは2Dコードリーダーによって読み取るためにデバイスハウジングにプリントされた物理的な識別子と相関付けられている。
【0041】
デバイスは、入口ステージを含むことが可能であり、入口ステージは、チャンバーの中のフィルターと、フィルターを通して血液または他のサンプルを駆動するように配置されたピストンとを含む。好ましくは、フィルターは、第1のチャンバーの中にあり、ピストンは、フィルターの上流の第1のチャンバーの中のボリュームと連通するボリュームを有する第2のチャンバーの中にある。
【0042】
好ましくは、第2のチャンバーは、第1のチャンバーの横方向に位置している。好ましくは、フィルターの上流および下流の両方において、第1および第2のチャンバーの両方のボリュームが、真空下にある。第1のチャンバーは、サンプルを採るために穿孔され得る膜を含むことが可能である。第1のチャンバーは、溶解薬剤を含むことが可能である。好ましくは、入口ステージは、泡捕集チャンバーを含む。好ましくは、泡捕集チャンバーは、膜の軸線上に位置合わせされており、上記軸線は、ピストンとフィルターとの間の軸線に対して所定の角度になっている。好ましくは、上記角度は、おおよそ90°である。
【0043】
また、我々は、任意の実施形態のデバイスと、リーダーとを含むポータブル診断用システムを説明し、
リーダーは、
デバイスを受け入れるためのサポートと、
デバイスのアッセイステージを通してビーズを搬送するための駆動装置に配置された磁石と、
熱源と、
デバイスのセンサー、または、デバイスのセンサーインターフェースと連結するためのセンサーとの接続の手段と、
コントローラーと
を含む。
【0044】
好ましくは、磁石駆動装置は、デバイスに沿って移動するように配置されている少なくとも1つのアームを含む。デバイスの両側で移動するように配置されている少なくとも2つのドライブアームが存在することが可能である。好ましくは、熱源は、デバイスにモールドされた薄いフォイルヒーター(foil heater)および/またはオーバーレイ(overlay)である。好ましくは、磁石は、円錐形状の磁石を含み、磁力線は、磁石の頂点において集中させられている。磁石は、少なくとも1つのアッセイステージに関する磁界の中に急勾配を提供するために、円錐形状などのような形状および/または配向を有するように配置され得る。
【0045】
磁石は、デバイスから5mmから20の範囲にある距離だけ分離されるように装着され得る。磁石は、検体の混合のために、デバイスからの磁石の分離を変化させるための駆動装置を有することが可能である。好ましくは、磁石は、磁石を別の静的な磁石に対して、前後に(back and forth)振動させるための駆動装置を有することが可能である。好ましくは、磁石は、チャネルの一方の側において振動する磁界を生成させるために、磁石を回転させるための駆動装置を有することが可能である。磁石は、一方の側に静的な磁石を備えた駆動装置を有することが可能であり、チャネルの反対側に振動する磁石を有することが可能である。ヒーターは、可動アームのポイントヒーターを含むことが可能である。好ましくは、センサーは、エタノールなどのような有機液体のバックグラウンドに対して、その表面のビーズを読み取るように配置されている。
【0046】
また、我々は、任意の実施形態のシステムによって実施される診断用方法を説明し、
その方法は、
ライセートステージの中へサンプルを導入し、ライセートステージの中のサンプルを溶解し、検体を提供するステップ、または、以前に溶解された検体をデバイスの中へ導入するステップと、
デバイスの中のアッセイステージを通して検体を搬送するステップであって、リーダーユニットのステージの移動および温度は制御されている、ステップと、
センサーにおいて検体を検出するステップと
を含む。
【0047】
好ましくは、ワックスプラグを溶融するために、熱が、ライセートステージに加えられ、ライセートステージの出口ポートが閉塞されない状態になることを結果として生じさせる。好ましくは、ビーズが、ワックスプラグから解放され、ステージ主本体部に進入する。好ましくは、磁気ビーズは、ライセートステージの中において、血液サンプルのターゲットNAと結合および捕獲する。
【0048】
ライセートステージは、輸送磁気ビーズ(Tビーズ)、PNAプローブ、およびターゲット核酸を含有することが可能である。好ましくは、磁気的な駆動装置は、ライセートステージから洗浄アッセイステージへビーズを磁気的に移動させるために移動する。好ましくは、これらの輸送ビーズは、溶解ステージから外へ、連続的な柱の中に溶融したワックスを含有するチャネルマイクロ流体の中へトラベルし、それは、水性リザーバーへの接続を有しており、界面張力および毛細管力は、アッセイステージリザーバーを互いから隔離された状態に維持する。
【0049】
好ましくは、中性の機能化されていない磁気ビーズが含まれており、それは、分子結合において役割を果たさないが、輸送ビーズがそれらのより大きい質量および外部磁界に対する応答性によって界面張力を破ることを助けるための安定性を提供する。好ましくは、洗浄アッセイステージにおいて、任意の細胞破片または汚染物質が、サンプルから除去される。
【0050】
好ましくは、磁気的な駆動装置は、洗浄アッセイステージからリポータービーズアッセイステージへビーズを磁気的に移動させるために移動する。好ましくは、リポータービーズアッセイステージは、より小さい「リポーター」ビーズ(たとえば、0.5μm)を含有しており、それは、ターゲット核酸に相補的な第2のPNAプローブ(「プローブ2」)に取り付けられており、また、ターゲットNAが存在する場合には、Tビーズ-Rビーズの繋ぎ止められたサンドイッチが、リザーバーの中で形成される。
【0051】
好ましくは、磁気的な駆動装置は、リポータービーズアッセイステージからリポータービーズ洗浄アッセイステージへビーズを磁気的に移動させるために移動し、繋ぎ止められた任意のRビーズをそれらとともに持って行く。好ましくは、リポータービーズ洗浄アッセイステージにおいて、任意の過剰なRビーズが除去され、RビーズおよびNAターゲットの1:1比率がこのポイントから移動させられることを結果として生じさせる。
【0052】
センサーは、容量センサーを含むことが可能である。好ましくは、センサーアッセイステージにおいて、熱が、Tビーズを分離するためにリザーバーに加えられる。好ましくは、Tビーズは、センシングの前に廃棄リザーバーに磁気的に移動させられる。過剰な液体は、蒸発させられ、別個のリザーバーに輸送され得る。センサーは、キャパシタンスを検出することが可能である。好ましくは、キャパシタンス読み値は、センサー表面のリポータービーズに対応している。読み値は、たとえば、ウィルスの感染の存在を示すことが可能である。センサーは、たとえばPNAプローブによって機能化され得る。
【0053】
好ましくは、PNAおよび輸送ビーズは、溶解ステージのワックスの中に組み込まれる前に、マイクロカプセル化される(たとえば、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム)。
【0054】
溶解バッファーは、サンプルの中の特定のターゲット細胞またはカプシドの中だけに溶解を引き起こすように調節され得、随意的に、この調節は、膜完全性に損傷を与えるウィルス表面の特定のタンパク質ターゲットに結合するように設計された薬物を必要とする。
【0055】
好ましくは、プローブは、また、細胞膜透過性ペプチド(たとえば、トランス活性化型転写活性化因子TAT)を含有し、溶解の前の細胞取り込みを促進させ、溶解の前に、ヌクレアーゼへのNAターゲットの露出を制限する。
【0056】
ヒーターは、サンプルの中の特定のタイプの細胞またはカプシドの溶解だけを引き起こすために、特定の温度に調節され得る。ポイントヒーターが、より正確な加熱制御のために、可動アームに設置され得る。好ましくは、調節は、血液サンプルの中のすべての細胞を加熱するために、熱などのようなストレスを与えることを含み、そこにおいて、白血球(DNAを含有する)が応答し、溶解を防止することが可能であり、一方、他の細胞、および、とりわけ、ウィルス粒子は溶解される。
【0057】
好ましくは、血液サンプルは、デバイス(たとえば、Whole Blood MicroBeads Miltenyi Biotec)にサンプルを適用する前に、血液の特定の画分を除去するのに適切な免疫磁気ビーズを通過する。
【0058】
好ましくは、血液は、樹脂ビーズのベッドを通過し、樹脂ビーズは、閉塞を防止することを助けるために機能化されているか(たとえば、Chelex)、または、試薬の中にコーティングされ得る(EDTAまたはクエン酸塩などのような他のキレート剤)。好ましくは、これらのビーズは、サンプルをデバイスに適用した後に、血液の特定の画分の選択的な捕獲のためにリガンドによって機能化される。好ましくは、ビーズは、所定の密度を有しており、密度および重力が、これらをインサイチュに保持することとなるようになっており、とりわけ、ここで、このセクションは垂直方向になっている。
【0059】
有機溶媒を使用すると、低密度であるので、Rビーズがアルコール溶液中における低い浮力のために、より速くチップ上を横切って(垂直方向の構成)またはチップ上に降下(水平方向の構成)するのを、重力が助けることができる。これは、いくつかの用途に関して望ましい。複数のターゲットは、アッセイステージにおいて複数のタイプのリポータービーズを提供することによって、並列にターゲットにされ得、センサーに到着する複数の2つのタイプのリポータービーズおよびセンサーが、それぞれのタイプのリポータービーズの量を決定するようになっている。好ましくは、リポータービーズは、流体システムを使用し、二酸化チタンまたはチタン酸バリウムなどのような材料によってドープされるように作り出され、たとえば、強力な信号をキャパシタンスセンサーに与えることなどが可能である。
【0060】
センサーのPNAプローブは、それぞれのタイプのRビーズの標準的なPNAプローブに相補的になっていることが可能であり、Rビーズは、HIV_プローブ2およびHCV_プローブ2によって追加的に機能化される。センサーは標準的なPNAによって製造されることになるので、このアプローチは、より迅速なアッセイ開発を可能にする。好ましくは、磁気的でありおよび水の中で浮力がある輸送ビーズは、水よりも密度の低い溶液(たとえば、20%エタノール)の中で、外部磁界を使用して操作される。
【0061】
好ましくは、方法は、デバイスの中の検体のマルチプレキシングを含む。好ましくは、センサーは、PNAプローブを備えた少なくとも2つのセンサー領域を含み、PNAプローブは、RビーズのPNAに相補的になっており、それぞれのタイプのRビーズが、センサーを補正するためにハイブリダイズ(hybridise)されるようになっている。
【0062】
アッセイのためのステップのシーケンスは、デバイスのプロセッサーによって駆動され得る。好ましくは、デバイスは、それが受け入れたサンプルに関して記憶されたおよび好ましくはエンコードされた識別子を含み、これは、物理的な端末またはワイヤレスのいずれかによって、デバイスによってリーダーに通信される。好ましくは、識別子は、たとえば、1Dコードまたは2Dコードなどのようなコードの中などにおいて、デバイスハウジングに物理的にプリントされたデバイスまたはサンプル識別子と相関付けられる。
【0063】
本発明は、添付の図面を参照して単なる例として与えられているそのいくつかの実施形態の以下の説明から、より明確に理解されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図2(a)】
図2(a)は、輸送ビーズ(Tビーズ)およびそのプローブを図示するダイアグラムである。
【
図2(b)】
図2(b)は、輸送ビーズ(Tビーズ)およびそのプローブがリポータービーズ(Rビーズ)に結合していることを示す図である。
【
図2(c)】
図2(c)は、約2μm幅のセンサー電極、ならびに、センシングステージにおける電極のおよび電極同士の間の約1μm直径のRビーズを示す、2500の倍率によるSEM顕微鏡写真である。
【
図3】別の実施形態のデバイスの入口部ライセートベッセルを示す図である。
【
図4】別の実施形態のデバイスのセンサー、および、どのようにそれがリーダーのソケットに接続するかということを示す1対のダイアグラムである。
【
図5】リーダーの中に垂直方向に装着するためのカートリッジの形態のデバイスの切り欠き斜視図である。
【
図6】代替的なカートリッジの切り欠き斜視図である。
【
図9(a)】
図9(a)は、油-水インターフェースの形状に関して、チャネルに対する疎水性のコーティングの効果を示す図である。
【
図9(b)】
図9(b)は、油-水インターフェースの形状に関して、チャネルに対する疎水性のコーティングの効果を示す図である。
【
図10】本発明のシステムの自動化されたポータブル診断用リーダーの中へ挿入されているカートリッジを図示する図である。
【
図11】使用の間のリーダーの中のカートリッジを示す図である。
【
図12】使用の間のリーダーの中のカートリッジを示す図である。
【
図13】使用の間のリーダーの中のカートリッジを示す図である。
【
図14】使用の間のリーダーの中のカートリッジを示す図である。
【
図16】他の実施形態のカートリッジの入口ステージを示すダイアグラムである。
【
図17】他の実施形態のカートリッジの入口ステージを示すダイアグラムである。
【
図18】他の実施形態のカートリッジの入口ステージを示すダイアグラムである。
【
図20(a)】
図20(a)は、入口部の主本体部の側面図である。
【
図20(b)】
図20(b)は、使用時の入口部の主本体部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
(概説)
診断用デバイスは、リーダーの中に挿入するためのカートリッジの形態になっており、それは、検体の移動および加熱を提供し、リーダーおよびカートリッジは、診断用システムを一緒に提供する。システムは、プロセッサーを有する使い捨てのカートリッジがリーダーユニットを制御し、リーダーユニットおよびそのメンテナンスを簡単化するようになっている。
【0066】
また、デバイスが、検体移動および/または加熱が熟練したオペレーターによって手動で実施される状態で、自動化された作動システムなしにアッセイを完了するために使用され得るということが想定される。しかし、センサーとリンクされたリーダーは、デバイスの一部としてまたは別個のいずれかで必要とされることとなる。
【0067】
1つの例では、デバイスは、血液のサンプルを採るためのものであり、DNA、RNA、タンパク質、または細胞外小胞などのような、検体を解放するためにサンプルを溶解させるためのものであり、および、検体を磁気的な輸送ビーズ(Tビーズ)にタグ付けするためのものである。他の例では、サンプルは、事前に処理または溶解される。
【0068】
全血サンプルは、DIなどのような、適切な希釈剤を追加されることが可能である。以降では、血液サンプルは、全血サンプルまたは希釈された全血サンプルのいずれかを意味するように採られる。
【0069】
1つの例では、Tビーズの共有結合したPNA(ペプチド核酸)プローブ1が、RNA(リボ核酸)ターゲットを捕獲する。これは、デバイスの中の一連のアッセイステージを通して検体を磁気的に移動させる輸送ビーズ(「Tビーズ」)によって実現される。外部磁界が、デバイスに印加され、Tビーズが磁気的に移動しておよび十分に検体を処理するようになっており、診断用の読み値が検体からとられ得るようになっている。
【0070】
図1を参照すると、1つの実施形態のデバイス100が図示されている。以下は、そのコンポーネントである。
101 0.6mmの(より一般的には、好ましくは、0.5mmから1.0mmの範囲にある)内部直径を有するプラスチックアッセイチューブ、
102 血液入口部、
103 溶解チャンバー、
104 固体のワックスおよびビーズマトリックスプラグ
105、106 双極子磁石、
107 第1の洗浄チャンバー、
108 第1の油バリア(166)、
109 PNAプローブ2取り付けチャンバー、
110 第2の油バリア、
111 第2の洗浄チャンバー、
112 第3の油バリア、
113 センシングチャンバー、
114 接触パッドまたはフィンガー、このケースでは、金メッキされている、
115 チップ114のキャパシタンスセンサー、
116 マイクロ流体のカプセル、
117 CMOSチップ、
118 除去可能なゴムプラグ、および、
119 誘導コイルヒーター。
【0071】
より詳細には、デバイスは、一連のアッセイステージを伴う簡単なマイクロ流体のチューブ(101)を含み、一連のアッセイステージは、溶解バッファー103、水性洗浄バッファー107および111、ならびに、油/ワックスバリア108、110、および112を含み、磁気ビーズがそれを通ってトラベルする。
【0072】
(入口部および溶解)
デバイスの下にあるホットプレートは、サンプルの中に存在する全血および/または任意のウィルスのエンベロープもしくはカプシドの溶解を支援するために使用される。また、溶解セクションを加熱するこの行為は、ワックスおよびビーズマトリックスプラグ104を溶融する。このワックス/ビーズマトリックスは、直径が~1μmの磁気ビーズ(「輸送ビーズ」または「Tビーズ」)を含有する。ビーズは、特定のターゲットNA検体を捕獲するために選択されたコーティング、たとえば、共有結合したPNAプローブなどを有している。
図2を参照されたい。
図2では、Tビーズへのプローブ1の取り付けが示されており、捕獲されたNAの2つのストランドが示されている。
【0073】
1つの例では、デバイスは、血液のサンプルを採るためのもの、サンプルを溶解し、DNA、RNA、タンパク質、または細胞外小胞などのような検体を解放するためのもの、および、検体を磁気的な輸送ビーズ(Tビーズ)にタグ付けするためのものである。Tビーズの共有結合したPNA(ペプチド核酸)プローブ1は、RNAターゲットを捕獲する。これは、デバイス100の中の一連のアッセイステージを通して検体を磁気的に移動させる輸送ビーズ(「Tビーズ」)によって実現される。外部磁界が、磁石105および106によってデバイスに印加され、Tビーズが、磁気的に移動し、検体を十分に処理するようになっており、診断用の読み値が、検体からとられ得るようになっている。
【0074】
外部磁界の印加が、Tビーズを収集し、それらが水性ライセートと今では溶融したワックス層との間の界面張力を突破することを引き起こすということが認識されることとなる。磁石のうちの少なくとも1つは、最適な制御のために、円錐形状のフォーカル磁石であるということが好適である。
【0075】
全血の小さい体積(たとえば、10μlから20μlの範囲にある)が、(直接的に、または、ピペットを使用して)入口部102に適用される。小さいプラグが、入口部102の上方に設置され、デバイスをシールする。チューブセグメント103の中の溶解バッファーは、血液と混合し、溶解が起こることを引き起こす。
【0076】
別の実施形態では、PNAおよびTビーズは、ワックスの中に組み込まれる前にマイクロカプセル化される(たとえば、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム)。これは、アッセイの間の粒子のより良好な安定性および制御された解放を提供することが可能である。
【0077】
ワックスプラグが溶融されると、ビーズは、(手動またはロボット運転のいずれかによって)2つの対向する外部磁石105および106によって、
図1に示されているように左に向けて、溶解リザーバー103の中の今では溶解されている血液の中へ、磁気的に引っ張られる。磁気的なTビーズの表面の共有結合したPNAプローブは、
図2に示されているように、ライセートの中のターゲットNAにハイブリダイズし、それを捕獲する。チューブのいずれかの側にある外部磁石の小さい円形の移動は、アクティブ混合ならびにビーズによる結合および捕獲の効率の増加を推進する。したがって、ターゲットNAは、プローブ1に取り付けられるようになり、そして、それは、Tビーズに共有結合される。
【0078】
磁石は、バーもしくはディスク形状になっていることが可能であり、または、形状が円錐状になっていることも可能であり、この形状は、力線が磁石頂点に集中させられるので、チャネルの中の磁気ビーズの正確な操作に非常に適切であるということが見出された。これは、チャネルの中のビーズを小さいエリアの中へ集中させ、水溶液とカートリッジの中のワックス分離プラグまたは油との間の界面張力に対して、それらを効果的に移動させることが可能であり、それらが、磁気的な制御の下で、エンリッチメント、精製、洗浄、テザリング、およびセンシングのアッセイステップを通って「歩く」ようになっている。
【0079】
2つの対向する磁石105および106の使用は、磁界の中の急勾配、および、2つの対向するN極の間の粒子反発力を生成させることによって、ビーズ移動、混合、および分散を大いに支援する。水溶液の中のビーズのこの混合および均質化は、優れたアッセイ動力学、および、良好な全体的なアッセイ時間を提供する。最も急な磁気的な勾配ポイントは、おおよそ6mmから12mmの距離までチャネルから離れるように2つの磁石を移動させることによって実現される。両方の磁石が同時に移動させられ得、または、1つの磁石が一度に移動させられ得る。また、1つの磁石を他の静的な磁石に対して前後に回転または振動させることは、良好な混合を実現する。
【0080】
1つの実施形態では、溶解バッファーは、サンプルの中の特定のターゲット細胞またはカプシドの中だけに溶解を引き起こすために調節され得る。この調節は、たとえば、ウィルス表面の特定のタンパク質ターゲットに結合するように設計されている薬物を必要とする可能性があり、それは、膜完全性に損傷を与える。
【0081】
1つの実施形態では、プローブは、また、細胞膜透過性ペプチド(たとえば、トランス活性化型転写活性化因子TAT)を含有し、溶解の前の細胞取り込みを促進させる。これは、溶解の前に、ヌクレアーゼへのNAターゲットの露出を制限する。これは、PNAプローブのケースにおいてとりわけ有益であることとなり、ヌクレアーゼは、PNA-NAデュプレックスを認識しない。プローブは、ストレプトアビジンコーティングされたビーズによる捕獲のために、粒子に結合されるかまたはビオチン化され得る。
【0082】
1つの実施形態では、ホットプレートは、サンプルの中の特定のタイプの細胞またはカプシドの溶解だけを引き起こすために、特定の温度に調節され得る。1つの例では、そのような温度調節によって誘発されるストレスは、白血球(DNAを含有する)が応答し、それらの溶解を防止することを引き起こすことが可能であり、一方、これらの温度変動に応答することができない他の細胞、および、とりわけ、ウィルスの粒子は溶解される。これは、白血球がレトロウィルスDNAを含有する場合に有利であり、レトロウィルスDNAは、レトロウィルスRNAに関するアッセイを狂わせる可能性がある。このレトロウィルスDNAは、ここで作り出されるライセートの中で利用可能でないこととなる。
【0083】
取り付けられたNAターゲットを伴うTビーズは、ここで、外部磁石を使用して磁気的に凝集させられ、溶融されたワックスプラグ(104)を通して引き戻される。このワックスは、アッセイの残りの部分から生物学的なサンプルを分離するバリアとして作用する。ビーズがワックスの中へ入るときに、それらの界面張力およびエントロピーは、それらがビーズの締まった水性ボール(~0.5mm直径)へと形成することを引き起こし、それによって、ターゲットでない生物学的な汚染物質の量を制限する。このビーズのボールは、油/ワックスの中で容易に移動し、その移動(障害物の周りを含む)の制御はたやすい。
【0084】
(溶解ベッセル)
別の実施形態では、ライセートベッセル(100μl~1ml)が、アッセイチューブの端部に貼り付けられ、チューブセグメント103の代わりにライセートステージを提供することが可能である。これは、たとえば、WO2015086652に説明されているように、たとえば、おおよそ2分から5分の範囲にある時間期間にわたって、60℃から99.5℃の範囲にある温度で加熱することによって、サンプルを溶解させる。
【0085】
図3を参照すると、そのようなライセートベッセル120は、主本体部121および漏斗形状の出口部122を有することが可能であり、漏斗形状の出口部122は、固体のワックスのプラグを保っており、これは、ヒーターによって溶融され、導管の中の第1のステージの中へのライセートの通過を可能にしなければならない。第1のプローブ取り付けは、このチャンバーの中で起こることが可能である。サンプルは、ニードルまたはキャピラリーを使用して、Vacuetteキャップ(167)または埋め込み型膜のスクリューなどのような、自己シーリングゴム膜を通して導入され得る。入口部は、バキュテイナーニードルホルダーなどのような簡単な安全デバイスの使用を可能にするように設計されている。
【0086】
溶解剤は、界面活性剤、たとえば、Tween 20またはTriton Xなど、脂肪酸、たとえば、リノール酸など、レドックス試薬、たとえば、ジチオスレイトール(DTT)など、カオトロピック薬剤、たとえば、グアニジンチオシアン酸塩など、または、浸透圧溶液であることが可能である。
【0087】
1つの実施形態では、溶解剤は、溶解チャンバーの中の溶液の中に貯蔵される。1つの実施形態では、溶解剤は、溶解チャンバーの内部壁部に乾燥または乳化され、ポーチの中に別個に貯蔵されている希釈剤を伴っており、ポーチは、サンプルの導入の間にニードルまたはキャピラリーによって穿孔および解放され得る。
【0088】
(第1の洗浄ステージ)
外部磁石105および106を使用して、Tビーズは、集中させられたおよびエンリッチ化されたNAが取り付けられている状態で、水性洗浄リザーバー107の中へ引っ張り込まれる。ここで、Tビーズは、外部磁石を使用してアクティブに混合され、ワックスバリアを通して運搬された可能性のある任意の非ターゲット生物学的な材料を解放する。次いで、Tビーズは、再度凝集させられ、第1の油相108を通して引っ張られる。
【0089】
洗浄ステージの主目的は、ビーズが磁気的に輸送されるときに典型的にビーズの周りに形成する水性エンベロープからの汚染物質を減少させることである。それらは、エンベロープを溶液の中に分散させ、それによって任意の汚染物質をビーズの周りから引き離す。
【0090】
(リポータープローブ取り付けステージ)
検体の洗浄が完了すると、磁石105および106は、洗浄されたTビーズを、次のアッセイステージへ、第1の油バリア108を通してリザーバー109の中へ移動させる。この油は、シリコンなどのような低粘度油であることが可能であり、低粘度油を通して、ビーズは、とりわけ容易にトラベルすることが可能である。リザーバー109は、PNAプローブ(プローブ2)を含有しており、PNAプローブ(プローブ2)は、オリジナルのプローブ1とは異なるターゲットNAのセクションに相補的になっている。この実施形態では、リポータープローブ2は、リポータービーズ(Rビーズ)に共有結合される。
【0091】
これらのRビーズは、Tビーズよりも直径がはるかに小さくなっていること(0.1μmから0.5μm vs 1.0μm)、または、所与の質量に対してより少ない超常磁性ナノ粒子を含有することのいずれかによって、Tビーズよりも著しく磁気的に影響を受けにくくなっており、または、非磁性材料から作製され得る。
【0092】
Rビーズは、流体システムを使用して、二酸化チタンまたはチタン酸バリウムなどのような材料によってドープされるように作り出され、強力な信号をキャパシタンスセンサーに与えることなどが可能である。これらは、オレイン酸などのような疎水性のコーティングを備えたチタン酸バリウムなどのような高い誘電定数の小さいナノ粒子(30~300nm)の原材料を使用して作り出され得る。ナノ粒子のこれらのエマルジョンの固定された体積が、マイクロ流体の中へ給送され、精密な比率で、他の材料(超常磁性フェライトナノ粒子を含む)の原材料と混合され得る。そして、ナノ粒子のこれらの混合物は、安定性目的(これらの粒子の表面化学の改質のしやすさを含む)のために、シリカまたはポリスチレンのコーティングの中にメッシュ化またはカプセル化され得る。高K材料の単分散粒子を発生させるかまたは商業的に獲得するよりも、これらのRビーズの中の高K誘電材料の量を制御することが容易である。この方式でRビーズをチューニングすることは、センサーに優れたキャパシタンス信号を提供する。
【0093】
外部磁石を使用して、Tビーズは、このリザーバーの中で混合される。任意のターゲットNAがTビーズに存在している場合には、それらは、RビーズのPNAプローブ2に結合し、それに取り付けられるようになる。同じNAを横切る2つのプローブのこの結合は、
図2に示されているように、TビーズおよびRビーズが一緒に繋ぎ止められていることを結果として生じさせる。NAターゲットが存在する場合にのみ、ここで、Tビーズ-Rビーズの繋ぎ止められたサンドイッチが形成される。サンドイッチは、Tビーズ-プローブ1-ターゲットNA-プローブ2-Rビーズを含む。
【0094】
Tビーズは、再度磁気的に凝集させられ、リザーバー109から第2の油バリア110を通して除去され、第2の洗浄ステージを形成する水性リザーバー(たとえば、DI)111の中へ輸送される。
【0095】
文脈およびさらなる図示に関して、
図2(c)は、2500倍率のSEMであり、このケースでは、デバイスを通過してセンサーデバイス電極(長方形アレイ、3μm幅)に載った後の1μmRビーズを示している。
【0096】
別の実施形態では、プローブ2はビオチン化されており、ポジティブな捕獲結果が、ストレプトアビジン共役ホースラディッシュペルオキシダーゼの捕獲を通して観察され得るようになっている。同様の液体-液体精製プロセスを使用して、これらが選択的に輸送され、基質テトラメチルベンジジン(TMB)を提供されるときには、比色分析の変化が観察され、それは、ターゲットNA(たとえば、HIV)の存在を示す。
【0097】
1つの実施形態では、プローブ2は、取り付けられた蛍光性部分または粒子を有しており、それは、プレートリーダーなどを使用して検出され得る。
【0098】
(第2の洗浄ステップ)
Tビーズが外部磁石によってリザーバー111の中へ移動させられると、ビーズは、再度混合され、溶液の中へ分離され、今回は、以前の捕獲フェーズから通して運搬されてきた可能性のある任意の取り付けられていないRビーズを解放する。次いで、Tビーズは、再度凝集され、油バリア112を通して別のリザーバー113の中へ引っ張られ、別のリザーバー113は、チップ114に半導体センサー115を含む。ここで、NAターゲットに対するRビーズの1:1比率が存在している。これは、プローブ1-ターゲットNA-プローブ2サンドイッチによってTビーズが繋ぎ止められている場合には、Rビーズだけがリザーバー111からリザーバー113へ到着することができるからである。
【0099】
ここで、Tビーズは、センサー115の表面の上方を磁気的に移動させられる。PNAプローブ2-NAリンクを溶融し、検体NAからRビーズを分離し、したがって、Tビーズを分離するために、熱が加えられる。ここで、磁気的なTビーズが引き離され、はるかに少ない磁性の(または、非磁性の)Rビーズをセンサー表面の上方に残すことが可能である。Tビーズは、それらがもはや必要とされないので、油バリア112を通して移動して戻され、万が一それらがリザーバー113の中に残っている場合には、半導体チップのキャパシタンス読み値に影響を与える可能性がある。
【0100】
第2のプローブを分離するためのプローブ2加熱温度は、典型的に60℃から85℃であり、または、それは、より一般的には、その正確なハイブリダイゼーションシーケンスに応じて、50℃から100℃の範囲にある可能性がある。この温度は、デバイス基板をホットプレートに設置することによって、および/または、誘導コイル119を使用することによって実現され得、誘導コイル119は、米国特許第5,378,879号に説明されているように、フェライトRビーズの磁気誘導加熱を可能にする。
【0101】
また、Tビーズ-RNA-Rビーズサンドイッチは、核酸の直接的な破壊によって、たとえば、80℃から95℃の温度において水酸化カリウム(または、他の水酸化物)の10ミリモル溶液を使用することによって、化学的に破壊され得る。
【0102】
1つの実施形態では、リザーバー113は、エタノールによって充填されている。リザーバーに取り付けられているのは、フルオロシリコン(または、他の耐エタノール材料)プラグ118であり、プラグ118は、除去されるときには、その中のエタノールが蒸発することを可能にする。
【0103】
(マルチプレキシング)
複数のNAターゲットが、たとえば、2つのタイプのウィルスを同時に検出するために、上記のアプローチを使用して並列にターゲットにされ得るということが理解されることとなる(HIV_Tビーズ-HIV_プローブ1-HIV_ターゲットNA-HIV_プローブ2-HIV_Rビーズ;HCV_Tビーズ-HCV_プローブ1-HCV_ターゲットNA-HCV_プローブ2-HCV_Rビーズ)。これは、2つのタイプのRビーズがセンサーに到着するということを結果として生じさせる。センサーは、それぞれのタイプのRビーズの量を決定することが可能である。
【0104】
センサーは、PNAプローブを備えた少なくとも2つのセンサー領域を有することが可能であり、PNAプローブは、RビーズのPNAに相補的になっており、それぞれのタイプのRビーズが、センサーを補正するためにハイブリダイズされるようになっている。センサーのPNAプローブは、HIV_プローブ2およびHCV_プローブ2に相補的になっていることが可能である。
【0105】
代替的に、センサーのPNAプローブは、それぞれのタイプのRビーズの標準的なPNAプローブに相補的になっていることが可能である。次いで、これらのRビーズは、HIV_プローブ2またはHCV_プローブ2によって、追加的に機能化されることとなる。センサーは標準的なPNAによって製造されることになるので、このアプローチは、より迅速なアッセイ開発を可能にする。理想的には、標準的なPNAは、自然界に見られるNAと相互作用を有さないように設計されるべきであり、また、(たとえば、シーケンスの慎重な設計を通して)ウエハーレベル製造の間に見出される化学的処理および熱処理に対する良好なロバスト性を有するように設計されるべきである。
【0106】
(センシングステージ)
1つの実施形態では、センサーは、多層内部回路を備えたモノリシックICであり、多層内部回路は、データの通信のために、および、パワーを受け取るために、パッドに接続されており、また、容量電極などのようなセンサーに接続されており、すべては、製作プロセスから一体化されている。センサーチップ114は、この例では、CMOS半導体キャパシタンスセンサーチップであり、アッセイチューブ101の端部において、カプセル化されたマイクロ流体の構造体の中に装着されている。それは、高分解能のシグマ-デルタのキャパシタンス-トゥー-デジタルコンバーター、キャリブレーションメモリー、および、I2Cシリアル通信を含むデジタル処理回路を含有している。4つの金フィンガー(VDD、GND、Sclk、SDa)を備えた突出部117が、チップを外部リーダーまたはコンピューターに接続する。ワイヤーボンディング;PCB、UVポリマー;マイクロ流体のチップを電気的接続およびシールするためのスルーチップビアおよび液体金属の使用を含む、マイクロ流体の中のCMOSチップのパッケージングに関するさまざまな方法が知られている(Datta-Chaudhuriら 2014 Lab Chip,14,1753およびその中の参照文献)。そのようなマイクロ流体の開発において、センサーチップ117への電気的接続は、チップ117へのマイクロ流体のチャネルをシールすることが要件であるので問題であり、このプロセスは、ボンドワイヤー接続に損傷を与える可能性があり、または、いくつかの試薬とは不適合である可能性のある材料とのグロビング(globbing)を必要とする可能性がある。センサーエリアから離れるように接続を延在するようにセンサーチップ117を設計することによって、外側の接続が簡単化され、エラストマーコネクター(たとえば、Zebra(登録商標)ストリップ)または異方性接着剤(たとえば、3M 9703)の使用を可能にし、チップを突出しているコネクターに接続する。
【0107】
1つの実施形態では、エラストマー接続は、センサーエリアの周りにガスケットまたはマイクロ流体の壁部を形成する。オーバーモールドされたまたはエラストマーのパーツは、硬質シリコンとより硬質のポリマー材料との間に良好なシールを形成する目的のために、マイクロ流体のコンポーネントの中へ埋め込まれることが多い。エラストマー接続(それは、通常、炭素などのような伝導性材料を含有するシリコンマトリックスである)を使用することによって、材料のこの1つのコンポーネントまたは層は、2つの問題、すなわち、電気的接続およびマイクロ流体のシーリングを解決し、カートリッジの組み立てをより簡単でより安価にする。
【0108】
図4は、所定の構成体を示しており、その構成体において、センサー130は、センシング領域133を備えたセンサーIC 132を有しており、その構成体は、「Zebra(登録商標)」コネクター135を介してインターポーザー134に接続されている。これは、それが好都合な様式でリーダーの中のソケットに接続することを可能にする。インターポーザーへの接続は、はんだ付けによるか、または、任意の他の適切な機械的な方法もしくははんだまたは複合的な方法によるものであることが可能である。
【0109】
第1の「ウェットキャパシタンス」読み値が、液体の中のRビーズから、センサーチップによってとられる。これは、ベースラインの基準キャリブレーションキャパシタンスを提供する。液体が蒸発した後に、第2の「ドライキャパシタンス」読み値が、Rビーズキャパシタンスからとられる。それらの誘電定数が空気よりも高いことに起因して、センサー表面の任意のRビーズは、容量信号、たとえば、200ビーズに関する1fF(デルタキャパシタンス-対(vs)-乾燥空気)を与える。
【0110】
簡単な実施形態では、センサーのインターディジテイティッド電極が、Rビーズのための「スナグトラップ」として作用するように配置され得る。これは、ビーズのフローに対して垂直にそれらを配向させることによって、および、電極のピッチを制御し、小さいRビーズだけがそれらの間にフィットすることができるようにすることによって達成される。
【0111】
また、センサー容量信号は、ターゲットNAに対するRビーズの1:1比率に起因して、サンプルターゲットNAを表すということが認識されることとなる。これは、ターゲットNAのポジティブな定性的な検出を示している。適切な制御によって、これは、臨床的に非常に重要である。その理由は、それが、テストされているサンプルがターゲットRNAウィルスを含有しているかどうかの真または偽のインディケーションを提供するからである。
【0112】
この容量読み値の値は、センサー表面のRビーズの数に対応しており、それは、オリジナルの血液サンプルの中のターゲットRNAの数に比例的に対応している。これは、オリジナルのサンプルの単位体積当たりのRNAのコピーの数の間接的な定量化であり、すなわち、アッセイは、定性的および定量的の両方である。また、RNAコピーのこの数(「ウィルス量」)は、臨床的に非常に重要である。それは、医師が患者の精密な健康条件をより良好に診断すること、および、医師が正しい治療薬物を患者に処方することを可能にする。
【0113】
別の実施形態では、トルエンの液滴の追加は、ビーズのポリスチレンコーティングを劣化させ、それらを変形させ、したがって、高キャパシタンス材料から構築されたコアが、絶縁された電極のより近くに留まり、容量信号およびアッセイ感度のさらなる増加を与える。
【0114】
外部磁界の印加は、Tビーズを収集し、円錐形状のフォーカル磁石が、ビーズのプラグが水性ライセートと今では溶融したワックス層との間の界面張力を突破することを可能にするために使用され得るということが認識されることとなる。
【0115】
このデバイスは、平坦プレート型ヒーター、ならびに、ビーズ移動および制御のための磁石を使用する、迅速なアッセイ開発に関して(簡単なアッセイに関して)非常に適切である。
【0116】
(ウィルス量定量化)
以下は、レトロウィルスDNAの特定の問題を取り扱う簡単な方式からより複雑な方式までのアプローチの範囲を説明している。それらは、すべて液体サンプルを提供し、液体サンプルは、全血から血清にわたることが可能である。
【0117】
いくつかのウィルスのターゲット(たとえば、レトロウィルス)は、自分自身をDNAとして人間の細胞の中に組み込む。ビリオンの中のセルフリーRNAからそのような核酸ターゲットを区別するために、アッセイは、また、DNA-PNAと比較して、RNA-PNAのより高い溶融温度に依存することが可能である。これは、シーケンスに応じて数度高くなることが可能であり、温度の適切な制御によって異なる溶融を可能にし、セルフリーRNAの分離を支援する。
【0118】
いくつかの実施形態は、全血サンプルの分別を含むことが可能である。最も簡単な実施形態は、全血のチューブの遠心分離、および、血清成分を含有するウィルスを入口部に適用することを必要とする。別の実施形態では、白血球(レトロウィルスDNAを含有する)が適用されるために選択的なフィルター(Acrodisc(登録商標)WBC Syringe Filter)が使用され、10~15分のインキュベーションステップの中で重力だけを必要とする。作り出されたウィルス粒子、赤血球、血小板だけを含有する濾液が、デバイスに入力される。
【0119】
代替的な実施形態は、取り付けられたフィルターシステムを備えたシリンジを組み込んでおり、そこでは、シリンジは、すべての血液細胞を濾過し、デバイスのための血清サンプルを提供することが可能である。米国特許第5,139,685号および米国特許第6,391,265号は、デバイスの中に膜フィルターを使用する2つの先行技術の例である。他の実施形態では、血液は、デバイス(たとえば、Whole Blood Microbeads Miltenyi Biotec)にサンプルを適用する前に、血液の特定の画分を除去するのに適切な免疫磁気ビーズを通過する。液体サンプルは、任意の適切なニードルまたはピペット先端部によってデバイスに追加され得る。別の実施形態では、サンプルは、任意の適切なサンプル含有レセプタクル(たとえば、シリンジ、ニードル、キャピラリー、プラスチックドロッパー、ピペット先端部)によって、膜シール167を穿孔することによって適用され得る。
【0120】
別の実施形態では、デバイスの入口部において、血液は、樹脂ビーズの基板またはベッドを通過し、樹脂ビーズは、閉塞を防止するために機能化されているか(たとえば、Chelex)、または、試薬の中にコーティングされ得る(EDTAまたはクエン酸塩などのような他のキレート剤)。また、いくつかの実施形態では、これらのビーズは、サンプルをデバイス(Whole Blood Microbeads Miltenyi Biotecの同じ原理にしたがう)に適用した後に、血液の特定の画分の選択的な捕獲のためにリガンドによって機能化され得る。いくつかの実施形態では、これらのビーズは、高い密度になっており、重力が、これらをインサイチュ(in situ)に保持することとなり、とりわけ、ここで、このセクションは垂直方向になっている。
【0121】
他の実施形態では、血液は溶解され、ライセートは、Tビーズの静的なマトリックスを通過し、ここで、検体が捕獲される。他の実施形態では、ライセートは、溶解ベッセルの中に埋め込まれた簡単なフィルター(<1.0um細孔サイズ)を通過させられ得、それは、検体(たとえば、RNA)を含有する濾液が通過することを可能にしながら、凝集させられた材料(溶解された細胞膜/タンパク質)を濾過して取り除く。検体は、1.0um直径Tビーズに捕獲され、それは、反対側方向にフィルターを通過することができない。埋め込み型フィルターに血液を通過させることは、高い背圧がベッセルに印加されることを必要とする可能性がある。別の実施形態では、Tビーズは、(たとえば、磁界によって)凝集させられた材料から離して保持される。
【0122】
(自動化されたカートリッジおよびリーダーシステム(160))
図5は、デバイス160を示しており、
図6から
図8は、デバイス175を示しており、それらは、
図9から
図14に示されているように、リーダーユニット200の中への挿入のための、射出成形された完全に一体化されたシールされたカートリッジの2つの実施形態である。2つのデバイスの同様のパーツは、同じ参照番号によって示されている。リザーバー161、162、163、164が形成されており、チャネル166および171によって接合されており、チャネル166および171を通ってビーズがトラベルする。チャネルは、垂直方向になっており、それらは、テフロン(商標)によってコーティングされ得る。角部は、丸みを帯びており、滑らかなビーズ移動を促進させる。マイクロ流体のインターフェースは、滑らかな幅の狭くなった垂直方向の入口部および出口部によって設計されており、デバイスが傾けられた場合でもこれらを横切る油/水バリアの完全性を維持する。要約すると、主要なパーツは、
161 第1の洗浄チャンバー、
162 PNAプローブ2取り付けチャンバー、
163 第2の洗浄チャンバー、
164 センサーステージ
165 固体のワックスおよびビーズマトリックスプラグ、
166 第2および第4のワックス/油バリア、
167 血液入口部、
168 CMOSチップ、および、
169 接触パッドまたはフィンガー(このケースでは、金メッキされている)。
171 第1および第3のワックス/油バリア。
【0123】
デバイス175は、以下の追加的なコンポーネントを有している:
149 廃棄領域、
170 空気フィルター、
176 ピストン、
177 ピストンアクチュエーター、
178 洗浄バッファーリザーバー、および、
179 ガス膨張チャンバー。
【0124】
1つの実施形態では、Rビーズは、第1の洗浄フェーズ(161)とプローブ2取り付けチャンバー(162)との間のワックス/油バリア(166)の中の水性エンベロープの中に懸濁されている。Tビーズは、バリアを通って移動している間に、このエンベロープの中へ引っ張り込まれる。穏やかな磁気的操作によって、TビーズおよびRビーズのボーラス全体は、次いで、プローブ2取り付けチャンバー(162)の中へ引っ張り込まれ得、ここで、それらは、外部磁石を使用してアクティブに混合され得る。このアプローチの利点は、それが、Tビーズがインキュベーションの前にRビーズのごく近くに来ることを可能にし、また、Rビーズがチャンバー162の中の溶液から沈降すること、および、再び懸濁されることを必要とすることを防止するということである。
【0125】
上記から留意され得るように、デバイスは、ワックス/油バリア166および171が複数回使用されることを可能にする。これらのワックス/油バリアは、水性洗浄および取り付けチャンバーの側部に沿って走っており、それぞれのアパーチャーにおいてそれらを接続するが隔離もする。これは、有利には、よりコンパクトな設計、より簡単な組み立ておよび動作を可能にする。これを強調するために、デバイス175は、2つの連続的な油/ワックスエリア(165/171および166)を有しており、それは、リニアデバイス100(104、108、110、112)の中の4つのそのようなエリアとは対照的である。
【0126】
機械的な移動および/またはステップのオートメーションを提供するために、カートリッジの精密な位置決めに対する必要性が存在している。これは、カートリッジの設計の中で上記に参照され、システムのロックがリーダーに対するシステムの精密な位置決めを保証することを可能にする設計によってリジッドになるようになっている。
【0127】
いくつかの実施形態では、疎水性のコーティング(たとえば、Aculon(登録商標))が、油/ワックスおよび水のインターフェースの位置における175の中のマイクロ流体のチャネルの表面に適用され、水溶液に対するバリアを強くすることが可能である。
【0128】
チューブの底部に印加される磁界によって(示されているように)、ビーズが油/水メニスカス(
図9(a))に向けて引っ張られるときに、
図9(a)の下部スケッチにおいて、親水性のビーズは水溶液の中に留まることを好むので、ビーズは、このポイントにおいてメニスカスの形状によって上に偏向されるということが留意される。ビーズが磁界から離れるように上向きに移動するので、上記磁界の強度が低減される。これは、ビーズがメニスカスを破ることをより困難にする可能性がある。WO2015/086652A1では、磁界は、油/水メニスカスの中心を通して印加されており、それは、勾配がメニスカスの中心に向けて増加するということを意味しており、ここにおいて、ビーズのボーラスが収集してメニスカスを突破することが最も容易である。
図9(b)に示されているように、他の実施形態では、疎水性のコーティング181が、ワックス(または、油)183の場所において、マイクロ流体の1つの壁部180に適用されている。これは、水がその表面において反発されるので、
図9(b)に図示されているように、油/水インターフェースの形状を変化させる。磁気ビーズ182が接近するにつれて、それらは、疎水性のコーティング181に起因して、より小さい接触角度に出会う。これは、油/水バリアにおけるメニスカスの入射角度を変化させ、磁気ビーズ182のボーラスが未処理のマイクロ流体の壁部に沿って通ることをより容易にする。
【0129】
センサーの中にキャパシタンスチップを伴う好適な実施形態では、チップは、マイクロUSBまたは他の接続を介してリーダーユニットの中へ慎重におよび機械的に挿入される必要がある。好適な実施形態では、カートリッジは、リーダーの中へロックされ、チップは、垂直方向に挿入され、2つのロボットアームおよびヒーターおよび機械的なスクリュードライブのアクセスのしやすさを提供する。簡単な商業的なポイントオブケアシステムは、毛細管作用および/またはラテラルフローストリップなどのような、パッシブフローシステムに依存する。これらは、アッセイおよび流体工学の精密な制御を提供しない点において、複雑なデータの発生に関して本質的な弱さを有している。より複雑なシステムは、エラストマーエレメント、複数の弁、および複雑な外部操作に依存し、複雑な外部操作は、最大で9つのアクチュエーター、および、精密な位置決めのために必要とされる別個のリジッド「外骨格(exoskeleton)」(たとえば、米国特許第7,718,421号)を使用する。
【0130】
デバイスは、ユーザーエラーのリスクを最小化し、大部分が機械的であり、安価である。それは、使用するためのトレーニングをほとんど必要としない。デバイスは、CLIA(Clinical Laboratory Improvement Amendments)免除を実現するために必要とされるものと、ならびに、データ入力および出力の優れた制御を提供するセンサーと非常に良好に整合させられており、さらには、実験室機器に対する改善である可能性があり、ここにおいて、バーコードスキャニング/データレコーディングなどのような、手動エレメントが依然として存在している。
【0131】
また、
図10から
図14を参照すると、リーダー200は、開口部220を有しており、開口部220は、カバー221によって閉じられ得る。カバー221を開けることは、カートリッジ175のためのサポートメカニズムを露わにし、サポートメカニズムは、サポートエレメント210を含み、サポートエレメント210は、概して、カートリッジ175の一部の形状に一致している。リーダー200の中において、磁力が、それぞれ、可動アーム201および202のリーダーユニット磁石203、204、205、および206によって、カートリッジ175に印加される。磁石(1つの特定の例では、ネオジムM12x12CON(商標))は、上記に説明されているアッセイステージにしたがって、ビーズのフォーカル移動のために円錐形状の磁石(203、204)であるか、または、ビーズ混合のためにディスク形状の磁石(205、206)であることが可能である。
【0132】
熱が、薄いヒーターエレメントオーバーレイ210によってカートリッジ175に加えられ、薄いヒーターエレメントオーバーレイ210は、可動アーム201および202とカートリッジ175の外部表面との間のスペースの中でカートリッジ175をカバーしている。例は、Watlow Flexibleシリコンゴムヒーターであり、Watlow Flexibleシリコンゴムヒーターは、迅速な熱伝達、260℃までの動作温度、Watt密度12.5W/cm2、エッチング加工されたフォイルエレメントを備えた0.5mm厚さを有している。これらは、血液分析器およびテストチューブヒーターなどのような、医療用機器に適切である。オーバーレイ210ヒーターエレメントは、デバイス175のステージとともにレジストリの中にあるように組み込まれる。
【0133】
リーダー200は、端末によってリンクされたマイクロプロセッサーによって制御され、端末は、挿入されているときに、デバイス175のセンサー168の端末と係合している。他の実施形態では、ポイント加熱が、また、可動アーム201および202の中へ組み込まれたヒーターエレメントによって適用され得る。また、ベッセルの平坦な部分に隣接して、ライセートベッセル120の下にヒーターエレメントが存在することが可能である。
【0134】
チップ168は、リーダーユニットの中のコネクターと電気的に嵌合するために、4つの金フィンガー(VDD、GND、Sclk、SDa)を備えた、突出しているコネクター169に装着されている。また、ヒーターおよびチップ168の温度センサーは、融点の周りでの精密なアッセイ温度制御のために、温度センサーによるリアルタイムフィードバックおよびアッセイモニタリングによって、リザーバー164の中のプローブ2の加熱および溶融を促進させることが可能である。これは、カートリッジの中に使い捨てのチップを使用する主要な利点である。チップ168は、マイクロ流体のカートリッジの中に浸漬およびシールされる。チップは、複数のセンサーを有しており、この実施形態では、32個のセンサーを有している。
【0135】
32個のセンサーは、チップまたはカートリッジ製造の間にスポッティングによってそれらの表面に不動化された32個のPNAプローブを有している。表面へのRビーズハイブリダイゼーションが、先述のマルチプレックスアッセイに関して説明されているアッセイにしたがって起こるが、しかし、2つというよりもむしろ最大で32個のターゲットが存在している。したがって、アッセイの中に32セットのPNAプローブが存在している。アッセイは、上記のマルチプレキシングアッセイの中で概説されているように進行する。Rビーズ分離の後に、Tビーズが、廃棄エリア149へ除去される。
【0136】
いくつかのアッセイ実施形態では、Rビーズは、非磁性であることが可能であり(たとえば、金ナノ粒子または酸化物ナノ粒子)、それは、また、この分離を促進させる。
【0137】
(機械的なスクリュードライブ)
リザーバー164の中のセンサーチップの上方の液体の柱が、ピストン176の穏やかな振動および圧力によって、センサー表面を横切って何度も穏やかに移動させられ、ピストン176は、スクリューアクチュエーター177によって駆動され、スクリューアクチュエーター177は、外部リーダーユニットと係合している。これは、インキュベーション期間(5~30分)の間にビーズの穏やかな液体混合を引き起こし、32個のセンサーへのビーズテザリングを促進させる。それぞれのセンサーに取り付けられているRビーズの数は、初期には、サンプルの中のRNAの数に比例している。テザリングの後に、液体が、次いで、ピストン176の圧力によって、空気(または、乾燥窒素)を含有する膨張チャンバー179の中へ、センサー表面から除去される。洗浄溶液178が、センサーの上方のガスへ押し進められる。ガスがセンサーの上方にあるときに、「乾燥」キャパシタンス読み値が、前のようにとられ、また、100ビーズよりも小さい定量下限がとられる。この例示的なイメージに関して、
図2(c)を再度参照されたい。
【0138】
1つの実施形態では、混合は、電気浸透フローを発生させるマイクロ流体のチャネルを横切って電圧を印加することによって実現され得、電気浸透フローは、センサー表面を横切ってRビーズを前後に移動させることとなる。1つの実施形態では、センサーチップの上方での混合は、マイクロ流体のチャネルの中への動電式デバイス(electrokinetic device)の追加を通して実現され得、それは、液体の中に乱流を発生させる。
【0139】
廃棄領域149が組み込まれており、その中へ、変位させられた液体(および、溶融したワックス;チップリザーバーバッファー;界面活性剤;および任意のガス)が押し込まれ得る。これは、所定の体積の無菌ガスを含有するように精密に設計されており、無菌ガスは、この液体の前に押され、HEPAフィルター付きベント170を通して環境へ押される。これは、カートリッジの中の圧力を平衡させ、カートリッジの設計および製造の中のより容易な公差を可能にする。
【0140】
環境へのカートリッジの唯一の接続は、フィルター付きになっており、空気だけが、それを通して排出される。すべての生物学的な材料(ターゲットRNAも含む)が中に保たれ、それは、このカートリッジを安全に使い捨て可能にする。リーダーへの任意の流体接続がないことが、本発明の主要な利点である。
【0141】
別の実施形態では、ベントの中のつぶれたエラストマー/膜領域は、圧力平衡を提供し、圧力平衡は、環境への任意の接続を必要とせず、それによって、カートリッジは、使用の間および後に完全にシールされる。
【0142】
図5のデバイス160は、水よりもはるかに低い誘電定数を有する有機液体(たとえば、エタノール)を含有する最終リザーバー164を有している。多数のRビーズが存在しており、Rビーズが磁気的になっている場合、これらは、センサーに移動させられ得、Rビーズは、空気(1の誘電定数)よりもむしろ有機液体に対して測定され得る。乾燥は実施されない。
【0143】
同様に、マルチプレックス実施形態では、カートリッジ160は、エタノール溶液を含有する最終リザーバーを有することが可能である。PNA-PNA結合が、このシナリオにおいて可能であり、そうであるので、マルチプレキシングアッセイが達成され得る。有機溶媒は、蒸発またはアクティブ加熱を可能にすることによって除去され得る。
【0144】
有機溶媒を含有する実施形態では、より低い密度は、有機の溶液の中でのより低い浮力に起因して、Rビーズがチップへ横切って(垂直方向の構成)または下へ(水平方向の構成)より速く落下することを、重力が支援することを可能にするということが明らかになる。これは、いくつかの用途に関して望ましい。
【0145】
別の実施形態では、Tビーズは、磁気的であり、水の中で浮力があるように設計されており、Tビーズは、水よりも密度の低い溶液(たとえば、20%エタノール)の中で、外部磁界を使用して操作され得る。結果的に、Tビーズは、依然として、チップの上方のリザーバーから除去され得る。しかし、Rビーズは、水溶液の中での浮力がより小さく、チップの上方のTビーズから繋ぎ止められておらず、Rビーズは、チップの表面へ沈む傾向の増加を有することとなる。これは、この実施形態では、チップの表面へのRビーズの迅速な沈降を推進することが望ましい。カートリッジを水平方向に支持するリーダーが使用され得る。
【0146】
(作動システム)
再び
図12から
図14を参照すると、作動システムは、外部磁界の係合を調節し、リーダーの中のサブアッセンブリである。1つの実施形態は、X軸、Y軸、およびZ軸におけるアームメカニズムの精密な移動のためのリニアアクチュエーターの使用を伴う。アームは、2つに分岐されており(カートリッジシステムのそれぞれの側に1つ)、それぞれ、カートリッジシステムのLEFT側およびRIGHT側から約2cm離して置かれている。アームには、少なくとも3つの永久磁石が装着されており、それは、たとえば、Neodymium Rare Earth Magnet Apex Magnets M12x12CON;M20Wdg;M121418diamRである。これらの磁石は、それらがカートリッジの中心から等距離のそれらの中立な位置に設定されているときに、カートリッジの正味磁界が最小になるように、アームに装着されている。しかし、アームがX軸においてプラス方向またはマイナス方向に作動させられるときには、一方のまたは他方のアームの磁石が係合され、その磁界の中の任意の磁気ビーズが、それに向けて引き出される。アームはY軸およびZ軸においても移動させられ得るので、ビーズは、マイクロ流体の中で3次元に正確に移動させられ得る。
【0147】
別の実施形態では、少なくとも1つのアクチュエーターのアームは、Philips Sonicare(商標)などのような電動歯ブラシの中で使用されるように、市販の作動システムに接続されている。このソニケーション周波数(200~400Hz)および複雑なスウィーピング移動は、ブラシヘッドと組み合わせて歯の表面の効果的なクリーニングを提供する。しかし、驚くことには、その中に見出される基本的な自動化されたメカニズムは、活性化させられるときには、弱い電磁界を生成させ、または、上記のように、ネオジム磁石と接合されるときには、マイクロ流体の中の磁気ビーズに対して予期しない混合および均質化効果を提供する。また、ターゲット捕獲のための改善された動力学が可能である。この一般的な家庭用品に関するそれらの大量製造に起因して、これらのアクチュエーターのコストは低い。
【0148】
1つの実施形態では、圧電アクチュエーターなどのような小さいソニケーションデバイスが、個々の洗浄および取り付けチャンバーの外側に直接的に適用され、それは、これらのチャンバーの中での粒子の効果的な混合につながる。1つの実施形態では、ソニケーションおよび磁気的な混合の組み合わせが使用される。
【0149】
アーム201および202の移動、ひいては、磁石203および204、ならびに、磁石205および206のヒーターエレメントの移動は、システムのさまざまなステージによって要求されるように、プログラムされたコントローラーによって動的に制御される。これは、血液サンプルが採られると、トレーニングされていないオペレーターによるシステムの完全に自動化された動作を可能にする。
【0150】
磁石205および206の中へ組み込まれたヒーター、および、場合によっては、磁石203および204の中にもあるヒーターが、ポイントヒーターとして動作することが可能である。これらは、ヒーターが過度に磁石を加熱しないことを条件に(それによって、それらは磁性を喪失し始める-キュリー温度)、磁石を通してまたは磁石の周りを加熱することが可能である。別の実施形態では、XYZ駆動装置の磁石の3D配置は、サンプル撹拌のために使用され得る。
【0151】
(カートリッジおよびリーダー電子回路)
1つの例では、カートリッジプロセッサーは、リーダーの動作を駆動し、適当なアッセイを実施する。
【0152】
好適な実施形態では、カートリッジプロセッサーおよびメモリーは、冷却の特定のサイクル、加熱、詳細なX-Y-Zアクチュエーター移動、インキュベーション時間、または、アッセイ(カートリッジはそのために設計されている)を実施するためのリーダーの動作を制御するための他のデータに関する情報のすべてを含有している。この実施形態は、ユーザーがバーコードをスキャンしアッセイを選択しなければならない他のポイントオブケアカートリッジシステムの中に見られる複数のステップを除去する。この実施形態では、グラフィカルユーザーインターフェースに対する必要性が、完全に排除され、テストが成功的に完了したということをユーザーに示す非常に簡単なLED「交通信号システム」によって交換される。
【0153】
1つの実施形態では、バーコードは、冷却の特定のサイクル、加熱、詳細なX-Y-Zアクチュエーター移動、インキュベーション時間、または、システムリーダーが参照することができる他のデータに関する参照IDを含有することが可能である。これは、これらの変数のそれぞれに関する情報の対応するセットへの、リーダーのためのデータベースアクセスを必要とすることとなる。このデータベースは、リーダーで使用され得るそれぞれの潜在的なカートリッジに関して包括的なデータおよびインストラクションを有している。別の実施形態では、カートリッジチップは、参照IDを含有している。
【0154】
(カートリッジ認証)
システムは、AlexaまたはGoogle Homeなどのようなプラットフォームと互換性があることが可能である。これは、遠隔の臨床医が、報告されたデータにデバイスから直接的に正確にアクセスすることを可能にする。これは、遠隔の臨床医が患者によるテストを追跡し、即座にまたは長期にわたってのいずれかに実施されるべきさらなるテストに対するインストラクションを渡すことを可能にすることができる。また、それは、ユーザーに送達されることが必要とされるさらなるテストの自動化された順序付けを可能にすることとなる。また、そのようなプラットフォームへの接続は、音声による命令または視覚的な命令がリーダーデバイスに発行されることを可能にすることができる。
【0155】
1つの実施形態では、ユーザーは、認証ソフトウェアアプリケーション「app」を使用してデバイスと相互作用しなければならず、そこでは、ユーザーに対して個々のスマートフォンまたはタブレットが、カートリッジおよびカートリッジリーダーとともに使用される。この実施形態では、その使い捨てのカートリッジをユーザーにロックする一意のユーザー識別子をカートリッジが受け取らなければ、カートリッジは使用されることができない。1つの実施形態では、ユーザーは、彼らのパーソナルコンピューティングデバイスで走るappにPIN/指紋を提供しなければならず、これは、次いで、このコードをリーダー(または、ワイヤレスシリコンチップのケースでは、カートリッジに直接的に)に送信し、それは、次いで、この個々のコードをチップに書き込む。この通信に適切な技術は、リーダーおよびパーソナルデバイスの近距離無線通信チップであることが可能である。有利には、カートリッジによって発生させられる任意のデータは、自動的にユーザーと関連付けられる。一意の安全な識別子が、使い捨てのカートリッジの中のチップに記憶されている。アッセイの完了のときに、チップは、そのデータを戻すこととならない(それが、個々のユーザーによって使用されるデバイスのマッチングコードによって提示され、(たとえば、NFCを使用して)カートリッジに記憶されているコードを発生させなければ)。チップデータは、ユーザーデバイスに転送され、データのすべての処理(たとえば、出力の発生、または、サードパーティーを含むストレージシステムへのデータの安全な転送)が、ユーザーデバイスのソフトウェアによってハンドリングされる。追加的に、カートリッジを回収するサードパーティーが個々のユーザーデバイスなしではカートリッジを読み取ることができないこととなるので、カートリッジは安全に廃棄され得る。この実施形態は、パーソナルデバイスのセキュリティー特徴、処理パワー、および接続性を安全にレバーオフすることが可能であり、したがって、リーダー自身にあることを必要とする技術を簡単化し、そのデバイスのコストを低く維持する。それは、その移動をプログラムすることができるカートリッジのための「スレーブ」であり、また、ユーザーのためのデータ処理、送信、および解釈をハンドリングする外部パーソナルデバイスのための簡単なインタープリターである。
【0156】
オンチップの不揮発性のメモリーは、日付スタンプおよびGPS場所を取ることが可能であり、いつどこでテストが実施されたかが明確になるようになっている。また、カートリッジを「ロック」し、それが特定の場所または特定の時間のみにおいて使用され得るようになっているということが可能であり得る。弁システムが組み込まれ得、カートリッジがリーダーデバイスの中へ事前挿入することによって時間/場所スタンプを受け取るまでは、サンプルがカートリッジの中へ導入されることができないようになっている。
【0157】
そのようなセキュリティー特徴は、デバイスに提供され得、それは、アッセイステージの異なる配置を有しており、場合によっては、溶解剤を備えた入口部を含まない。
【0158】
(代替的なデバイスの物理的な導管配置)
図15は、3Dプリンティング構造に適切な導管およびリザーバー300の代替的なアッセイカートリッジの物理的な配置を示している。これは、溶解チャンバー302ならびにステージ310、311、312、および314を有しており、ステージ310、311、312、および314は、他の実施形態のアッセイステージと同じ機能を果たしており、3Dプリントされたセンサー電極構造体313において終端している。
【0159】
(血液から結果へのデバイス)
血液サンプルを採るための従来の技法において、バタフライニードルが、患者の手からサンプルを採るために使用され、それは、カテーテルを介して真空にされた収集チューブの中へ送達される。フレボトミストは、複数の続いて起こる実験室テストのために複数の患者サンプルを採るために、いくつかの血液-収集チューブを準備のできた状態にすることが可能である。5mlチューブは、たとえば、13mm直径および100mm長さになっている。静脈穿刺が、患者に貼り付けられているバタフライニードルおよびカテーテルによって実施されると、真空にされたチューブ(たとえば、BD Inc.からの「Vacutainer」)が、次いで、カテーテル安全チューブホルダーに挿入され、それぞれが、カテーテルおよび穿孔されたゴムシールを介して血液を引き出し、ゴムシールは、チューブを引き抜くと、自分自身を再シールする。
【0160】
説明されているデバイスの溶解チャンバーは、たとえば、13mm直径のものであることが可能であり、それは、同じ安全チューブホルダーおよびニードルの中へ迅速および簡単に入り込むように構成されている。それは、たとえば、最大で3mlの合計サンプルに関して、たとえば、60mm長さになっていることが可能である。入口ステージは、チャンバーを有することが可能であり、チャンバーは、製造の間に真空にされており、したがって、ロバストな耐真空材料から構築されている。フィルターは、血漿/血清分離フィルターであることが可能であり、それは、標準的な血液分離膜、たとえば、200μmから400μm厚さのNovilyticまたはIndiraであり、いくつかの層を含み、それぞれ、異なる細孔サイズを備えており、たとえば、全血側において50umから100um細孔、および、血漿/血清側において0.8μmから2μm細孔直径を備えている。これらは、典型的に60%から80%の収率によって、異なる血液細胞および粒子のそれぞれを連続的に濾過して取り除く。
【0161】
さまざまな実施形態では、本発明のデバイスは、血液などのような生のサンプルを、フィルターを通して促すためのピストンを備えた入口ステージを有している。デバイスの残りの部分は、上記に説明されている実施形態のいずれかのものであることが可能である。これは、標準的なフレボトミストワークフローと同様のワークフローを可能にし、簡単で迅速な血液サンプル収集を促進させる。
【0162】
図16を参照すると、入口ステージ500は、環状サポート503においてフィルター502を支持する溶解ハウジング501を含む。膜504が存在しており、膜504は、ボリューム510の中への血液サンプルの注入のために環状サポート505によって支持されており、ボリューム510は、膜504とフィルター502との間のスペースだけでなく、スクリューメカニズム516によって動作させられるピストン515の下流のチャンバー506の中のスペースからも作製されている。
【0163】
より詳細には、膜504は、フレボトミストニードルを介する血液入口部のための自己シーリング膜である。チャンバー506は、全血がその中へ引き込まれる過剰な真空領域を提供する真空チャンバーである。フィルター502の下流の(上方の)スペース520は、使用時に血漿を含有するライセート領域である。ピストン515は、ハウジング501の完全性に影響を与えない様式で、ボリューム510にプラスの圧力を提供する。スクリューメカニズム516は、図示されているように特化されていることが可能である。しかし、溶解チャンバー500がデバイス175のようなデバイスの中に組み込まれたとすれば、それは、代替的に、デバイス175のスクリューメカニズム176/177であることが可能である。したがって、スクリューメカニズムは、2通りの目的を有することとなり、1つは、サンプル入口部のためであり、1つは、センサーの上方のサンプル管理のためである。フィルター502は、機械的なブレース503によって圧力に対抗して適切な場所に保持される血漿を濾過するのに適切な公知のタイプの全血フィルターである。スペース530は、捕獲物、Tビーズを含有するワックスを含有している。デバイス500が175などのようなマイクロ流体のカートリッジデバイスに取り付けられたとすれば、それは、サンプル調製要件なしの、「サンプルから結果への」デバイスとして見なされ得る。患者カテーテルチューブから除去すると、それは、簡単で迅速なNA検出および定量化のためにリーダーユニットの中に即座に設置され得る。
【0164】
使用時に、フレボトミストニードルは、自己シーリング膜504を穿孔し、全血がベッセルに進入することを可能にし、直接隣接するボリューム510(a)および隣のオーバーフロー/過剰な領域510(b)の両方を含むボリューム510を充填する。ニードルが、引き抜かれる。プラスの圧力が、ピストン515によって印加され、ターゲットサンプル血漿ボリューム520が実現されるまで、フィルター502を通して血液を駆動する。自己シーリング膜504は、システムに印加される圧力に耐える。
【0165】
図17を参照すると、入口ステージ600は、ワックス/ビーズプラグ602を備えた溶解チャンバー601を有している。プレフィルター603および血液フィルター604が存在しており、その下流側に、Chelexなどのような溶解性薬剤が存在している。ハウジング壁部610は、自己シーリング膜611によって応じられる真空にされたチャンバー620(a)を形成しており、ニードル612が、自己シーリング膜611を通して挿入され得る。ボリューム620(a)は、メカニズム622によって動作させられるピストン621を有するボリューム620(b)とリンクされている。壁部625は、ピストン621からフィルター603への経路から外れており、泡の捕集のためのサイドボリュームを形成している。
【0166】
使用時に、ニードル612が、90°で挿入され、全血および任意の泡が全体的なボリューム620を充填するようになっている。デバイスは、90°にわたってターンさせられ得、任意の泡がボリューム626の中へ上昇するようになっている。ピストン621によって印加されるプラスの圧力は、溶解性薬剤627およびビーズ602との接触のために、プレフィルター603および血液フィルター604を通して血漿を押す。
【0167】
図18は、ダイレクトインライン入口ステージ700を示しており、ダイレクトインライン入口ステージ700は、ハウジング701を有しており、ハウジング701は、プレフィルター704および血液フィルター705を支持しており、その下流には、溶解のためのチャンバー703、そして、ワックス/ビーズプラグ702が存在している。ピストン706は、フィルター704および705の長手方向軸線の上にある。自己シーリング膜712が、この軸線に対して90°でハウジング701の中に装着されており、泡捕集ボリューム711が存在しており、泡捕集ボリューム711は、膜と整合させられており、膜が水平方向になっている場合には、任意の泡が表面に上昇するときに、トラップ711が任意の泡を捕獲することができるようになっている。これは、フィルターを通してピストン706によって押され得る任意の空気または未充填の真空の存在を低減させる。このダイアグラムは、ニードルNが挿入されていること、周知であるように、保護スリーブSによって取り囲まれていることを示している。また、
図18は、
図1のデバイス100への入口ステージ700の適用を示している。示されているように、ニードルNは、自己シーリング膜712を通して血液を直接的に注入するために使用され、血液から結果への動作がどのように存在しているかをグラフィカルに図示している。
【0168】
熱および/または他の溶解性薬剤の適用は、血漿の中の任意のターゲット(たとえば、HIVウィルス粒子)の溶解、および、ワックスの溶融を引き起こし、HIV DNAを捕獲するPNAコーティングされたTビーズを解放する。磁気ビーズは、ワックスの中へ引っ張り込まれ、他の実施形態に関して処理される。
【0169】
図19および
図20は、代替的な入口ステージ750を示しており、代替的な入口ステージ750は、ハンドル部分(または、「キャップ」)752の上に主本体部751を有しており、ハンドル部分752は、ハンドグリップナール755および丸形の壁部756を備えており、丸形の壁部756は、主本体部751のためのソケットを画定している。また、ハンドル部分752は、サンプルの注入のためのニードルによる穿刺のための膜757弾性材料を有している。主本体部751は、空気トラップ766を有しており、空気トラップ766は、使用時に、泡が集まるための空気トラップをサンプル771の上方に提供する。他の側は、ワックスプラグ772を備えた通路765を有しており、ビーズがワックスプラグ772の中に埋め込まれている。ビーズは、出口部770を通って流れ出る。この入口ステージは、フィルターを有しておらず、したがって、とりわけ、全血サンプルとともに使用するのに適切である。
【0170】
(利点)
本発明は、実験室、冷蔵庫、または、任意の複雑な実験室機器を必要としない。カートリッジは、完全にシールされており、リーダーへの電気的接続だけを伴う。サンプルおよびすべての試薬は、内部に保たれ、非常に安全な使用および廃棄を可能にする。カートリッジの中へ導入される任意のウィルス粒子を溶解する行為は、それらを不活性にし、したがって、万一デバイスが廃棄の間に強制的に損傷を受けたとしても、任意の感染リスクを除去する。リーダーユニットは、再充電可能なバッテリー、たとえば、リチウムイオン、リチウムポリマーで動作することが可能である。これは、RNAウィルス量試験が、実験室に対する必要性なしに小規模地域社会および田舎の診療所(そこでは、多くの場合、それが最も必要とされている)で実施されることを可能にし、病気の発生を迅速に妨害および診断し、迅速なポイントオブケア診断および正しい治療の処方処理を可能にし、さらなるウィルスおよび病気の広がりを止める。
【0171】
アッセイは、人工のPNAプローブ、ビーズ、半導体チップ、油/ワックスバリア、およびDI水を用いる。これらの安定性、ならびに、酵素、タンパク質、およびポリメラーゼの欠如は、カートリッジを非常に製造するのにロバストで簡単なものにする。物流コスト節減は、輸送およびより良好な保存可能期間のためのブルーアイスまたはドライアイスに対する必要性を除去することを含む(たとえば、公衆衛生/バイオディフェンステストのためのPCR試薬の高価な備蓄は必要とされない)。水と油/ワックスバリアとの間の界面張力および毛細管力は、水溶液リザーバーを互いから隔離された状態に維持する。これは、弁装置に取って代わり、カートリッジの設計および製造を大いに簡単化する。
【0172】
また、これは、リーダーの中の複雑さを低減させ、製造コストを節約し、経時的なデバイス故障のリスクを低減させる。また、それは、任意の副作用なしに、アッセイの異なるパートの間のカートリッジの幅広い温度偏移(たとえば、溶解ステップの間に90~95℃;RNAターゲットアニーリングステップの間に37~70℃;RNA溶融ステップまたはPNA-PNA特異性ステップの間に90℃)、ならびに、出荷および分配の間の幅広い温度偏移を可能にする。これは、とりわけ、ドライアイス出荷要件(広範囲のポイントオブケア診断用配備に対する主要なバリア)を排除する際に重要である。
【0173】
有利には、デバイスは、また、ウエハーレベル試験の間のスポッティドセンサーの自己試験およびキャリブレーションを可能にする。人工のPNAプローブの安定性は、標準的なDNAまたはタンパク質マーカーにとって困難であることとなるウエハーレベル処理に関して有利である。これは、下流の試験、キャリブレーション、および処理の前に、チップセンサーのウエハーレベル機能化を可能にする。CMOSセンサーチップの中のコンバーターおよびデジタルキャリブレーション回路が、センサーパッドの下に直接的に位置付けされているので、それが、それぞれのセンサーにスポットされた精密な量のプローブの試験およびキャリブレーションが容易に実施されることを可能にし、ならびに、オンチップの不揮発性のメモリーの中のこれらのキャリブレーションの記録を促進させる。これは、臨床的なエンドユーザーによる捕獲されたターゲットの定量化に関して重要である。
【0174】
この埋め込み型自己試験およびキャリブレーション能力は、光学的なDNAマイクロアレイを上回る主要な利点であり、光学的なDNAマイクロアレイは、光学的なプローブ取り付けによって試験が破壊的であることに起因して、個別にテストおよびキャリブレートされることができない。
【0175】
オンチップの非揮発性のメモリーの中に記憶された機能化およびキャリブレーションデータを有する利点は、機能化のそれぞれのステージにおいて、ならびに、カートリッジ組み立ての間および後に、センサーの上で品質制御チェックを走らせるための能力である。次いで、このQCチェックからのデータは、センサー機能化の間に収集されたオリジナルのキャリブレーションデータと比較され、パッケージングまたは輸送または組み立ての間にセンサーエリアに引き起こされる任意の損傷が存在しているかどうかを決定することが可能である。この特徴は、チップに対する損傷に関係付けされる起こり得る不十分な機能化または製造/輸送に起因して、誤ったマイナスの読み値の可能性を少なくすることを助ける。同様に、そのようなデータは、事前アッセイ品質制御チェックの一部として、エンドユーザーによってカートリッジをリーダーの中へ挿入するときに使用され得る。
【0176】
センサー回路は、CMOS ICを含むことが可能であり、CMOS ICは、組み込まれた温度センサーを有している。内部温度センサーの1つの重要な利点は、使用が始まる前に、カートリッジの温度を決定するために、それが使用され得るということである。異なる環境において異なっている室温に起因して、カートリッジの温度は、大いに変化する可能性がある。アッセイを走らせる前に設定温度(たとえば、35℃)までカートリッジを加熱することは、カートリッジ貯蔵条件を制約することを回避することを助けることとなり、可変の室温における貯蔵を可能にする。設定開始温度は、リーダーユニットの中のヒーターを使用することによって実現され得るが、それは、センサー(たとえば、CMOS ICチップ)の中の温度センサーによってモニタリングされ得る。センサーチップからリーダーへのフィードバックは、大気の影響にかかわらず、所望の設定ポイントの初期温度が到達されることを確保することが可能である。
【0177】
リーダーユニットのバージョンは、高温気候に関して提供され得、それは、Peltierシステムなどのような冷却システムを含み、それは、次いで、所望の設定ポイントの初期温度までカートリッジを冷却することが可能であり得る。
【0178】
(代替例)
さまざまな実施形態では、デバイスは、溶解剤を備えた入口部を有していない。その理由は、これが、外部で行われ得、事前溶解されたサンプルが入口部の中へ注入され得るからである。また、センサーは、容量センサーでなくてもよい。キャパシタンスセンサーの使用は、とりわけ有利である。その理由は、それが、ターゲット検体の量を表すビーズの容量応答のバルク測定によって、ターゲット検体を容易に定量化することができるからである。しかし、センサーは、たとえば、抵抗もしくはインダクタンスなどのような他の電気的な特性に基づいて動作することが可能であり、または、実際には、それは、当技術分野で周知であるように、ビーズの蛍光性に基づいて光学的であることが可能である。
【0179】
また、カートリッジは、「スマート」血液貯蔵コンテナとして働くことが可能である。患者IDは、直接接続またはワイヤレス接続を使用して、チップEEPROMメモリーに記録される。識別子が、カートリッジにプリントされた2Dバーコードとさらにリンクされ得る。
【0180】
即座の分析のためのカートリッジを説明してきたが、さらなる処理の前に、適切な添加剤が入口部の中に血液貯蔵のために含まれることが必要である可能性がある。小さいフォーマットで使い捨てのシステムの中に安定してサンプルを貯蔵する能力は、いくつかのエンドユーザー物流にとって有利である。この実施形態では、収集を実行するユーザーは、カートリッジをデータベースの中の患者にリンクさせることを必要とする。これは、カートリッジの2Dバーコードをスキャンすることによって行われ得、また、カートリッジの中のセンサーチップの中のEEPROMメモリーに患者IDを書き込むことによって行われ得、それは、処理のために別のユーザー/看護師に転送され得る。これは、プライマリーヘルスケア状況において物流的に効率的である可能性があり、プライマリーヘルスケア状況では、血液収集および処理が、両方とも、わずかなトレーニングを受けたスタッフによって同じ施設の中で達成され得る。処理を実行する人は、それが誰のサンプルであるか、または、何のテストが実行されているかということさえも知らない。その理由は、この後者の情報は、また、チップに貯蔵され、自動的にリーダーに転送されるからである。これは、患者プライバシーに関して重要な利点を有している。
【0181】
リザーバーは、エタノールなどのような有機溶媒によって充填され得るということが想定される。リザーバーに取り付けられているのは、フルオロシリコン(または、他の耐エタノール材料)プラグであり、それは、除去されているときには、中のエタノールが蒸発することを可能にする。PNAは、エタノールの存在下において結合することが可能である。
【0182】
デバイスが撹拌器を有する場合、それは、センサーの上方に検体を押すおよび引っ張るためのピストンを含むことが可能であり、そのようなピストンは、スクリューメカニズムまたは線形に移動する部材の任意の構成体、たとえば、小さいソレノイドなどによって駆動され得る。それは、代替的に、デバイスハウジングに内部にまたは外部に装着されている圧電アクチュエーターなどのような、振動アクチュエーターを含むことが可能である。付与されるビーズ移動は、長手方向の移動または回転移動であることが可能である。
【0183】
たとえば、NAへのPNAプローブ2リンクを溶融するために熱を加えることによって、または、NAターゲットを化学的に破壊することによって、したがって、2つのビーズの間の繋ぎ止めを破ることによって、または、解除プローブの使用によって(解除プローブは、リンクの中のプローブのいずれかに相補的になっており、ターゲットではなくプローブに優先的に結合することによってターゲットを自由にする)など、複数のメカニズムのうちの任意の1つまたは複数によって、Rビーズは、TビーズおよびNAから分離され得る。チャネルが加熱される場合に、それは、デバイス本体部を通る伝導によって行われ得、壁部は、厚さが最大で3mmになっていることが可能である。
【0184】
デバイスは、アッセイが効率的に実施していることを保証するために、内部コントロールを含むことが可能である。この制御は、サンプルの中に存在する内因性のリボソームRNAもしくはハウスキーピング遺伝子であるか、または、サンプルに追加される人工的なコントロールであることが可能である。これは、好ましくは、異なるプローブを備えたマルチプレキシング配置の中で実施される。血液の中に存在しており、真核生物を横切ってわずかに変化する、18sなどのようなリボソームRNAに対応するRビーズのセンサーでの検出は、アッセイのすべてのステップおよび検出デバイスが働いていることを保証する。