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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-17
(45)【発行日】2023-01-25
(54)【発明の名称】遠心血液ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/046 20060101AFI20230118BHJP
   A61M 60/117 20210101ALI20230118BHJP
   A61M 60/232 20210101ALI20230118BHJP
   A61M 60/825 20210101ALI20230118BHJP
【FI】
F04D29/046 D
A61M60/117
A61M60/232
A61M60/825
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021503150
(86)(22)【出願日】2019-01-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 US2019014685
(87)【国際公開番号】W WO2020023078
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-03-19
(31)【優先権主張番号】62/702,562
(32)【優先日】2018-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517116670
【氏名又は名称】カーディアックアシスト・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CARDIACASSIST, INC.
【住所又は居所原語表記】240 ALPHA DRIVE, PITTSBURGH, PENNSYLVANIA 15238, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ブッシュ,ダーフィット
(72)【発明者】
【氏名】マルース,ジョン・シー,ザ・サード
(72)【発明者】
【氏名】マッコッピン,アンソニー・エス
(72)【発明者】
【氏名】スビテック,ロバート・ジー
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】特表平08-501366(JP,A)
【文献】特表2009-523488(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103591028(CN,A)
【文献】米国特許第05746575(US,A)
【文献】特開平07-136247(JP,A)
【文献】特開平09-047506(JP,A)
【文献】特開2015-151995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00- 1/38
A61M 60/00-60/90
F04D 1/00-13/16
F04D 17/00-19/02
F04D 21/00-25/16
F04D 29/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンピング室、入口軸線を有する入口、および出口軸線を有する出口を有し、前記入口および前記出口が前記ポンピング室と流体連通している、ハウジングと、
前記ポンピング室内に回転可能に配設されたインペラと、
前記ポンピング室内で前記インペラを支持する軸受機構と、
前記入口で前記ハウジングに接続されて、前記軸受機構の少なくとも一部分を支持する1つの支柱と、を備え、
前記1つの支柱が、前記1つの支柱の主軸および前記出口軸線が前記入口軸線に垂直な断面において所定の角度を規定して、前記1つの支柱の周りを流れる血液に対する損傷を低減または排除するようにして、前記入口軸線を中心にした円周方向位置で、前記入口軸線に垂直な前記断面において前記ハウジングとの単一の接続点を有し、前記1つの支柱が前記入口軸線に向かって半径方向内側に突出する、遠心血液ポンプ。
【請求項2】
前記所定の角度が約15°~約75°である、請求項1に記載の遠心血液ポンプ。
【請求項3】
前記1つの支柱の少なくとも一部分が涙滴形の断面形状を有する、請求項1に記載の遠心血液ポンプ。
【請求項4】
前記インペラが、補助流路を規定する少なくとも1つの通路を有する、請求項1に記載の遠心血液ポンプ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの通路が前記出口軸線に実質的に垂直である、請求項に記載の遠心血液ポンプ。
【請求項6】
前記血液ポンプの動作中、前記インペラが、血流の第1の部分を前記入口から直接前記出口まで送達し、前記血流の第2の部分を、前記少なくとも1つの通路を介して前記入口から前記出口まで送達する、請求項に記載の遠心血液ポンプ。
【請求項7】
前記軸受機構が、
前記インペラと関連付けられた第1の永久磁石、および前記ハウジングと関連付けられた第2の永久磁石を有し、前記第1の永久磁石が前記第2の永久磁石と磁気的に相互作用して、前記ポンピング室内における前記インペラの径方向の位置付けを行う、径方向軸受と、
前記インペラと関連付けられた第1の軸受要素、および前記1つの支柱に接続された第2の軸受要素を備える、軸線方向軸受と、を備える、請求項1に記載の遠心血液ポンプ。
【請求項8】
前記第1の軸受要素がボール形状であり、前記第2の軸受要素が、前記ボール形状の第1の軸受要素の少なくとも一部分を受けるカップ形状であるか、または前記第2の軸受要素がボール形状であり、前記第1の軸受要素が、前記ボール形状の第2の軸受要素の少なくとも一部分を受けるカップ形状である、請求項に記載の遠心血液ポンプ。
【請求項9】
前記第1の軸受要素が宝石軸受である、請求項に記載の遠心血液ポンプ。
【請求項10】
前記第2の軸受要素がセラミック材料から作られた、請求項に記載の遠心血液ポンプ。
【請求項11】
前記第1の永久磁石が、前記インペラを所定の軸線方向力で前記入口に向かう方向に付勢するように、前記第2の永久磁石に対して軸線方向に所定の距離だけオフセットされる、請求項に記載の遠心血液ポンプ。
【請求項12】
前記ポンピング室内で前記インペラを回転させるモータ機構を更に備え、前記モータ機構が、前記インペラと関連付けられた永久磁石ロータと、前記ハウジングと関連付けられた電磁コイルステータとを有する、請求項1に記載の遠心血液ポンプ。
【請求項13】
遠心血液ポンプであって
ポンピング室、入口軸線を有する入口、および出口軸線を有する出口を有し、前記入口および前記出口が前記ポンピング室と流体連通している、ハウジングと、
前記ポンピング室内に回転可能に配設され、前記入口軸線に実質的に平行な方向に延在する補助流路を規定する少なくとも1つの通路を有する、インペラと、
前記ポンピング室内で前記インペラを支持する軸受機構と、
前記入口で前記ハウジングに接続されて、前記軸受機構の少なくとも一部分を支持する1つの支柱であって、前記1つの支柱の主軸および前記出口軸線が前記入口軸線に垂直な断面において所定の角度を規定するようにして、前記入口軸線を中心にした円周方向位置で、前記入口軸線に垂直な前記断面において前記ハウジングとの単一の接続点を有し、前記1つの支柱が前記入口軸線に向かって半径方向内側に突出する、1つの支柱とを備え、
前記血液ポンプの動作中、前記インペラが、血流の第1の部分を前記入口から直接前記出口まで送達し、前記血流の第2の部分を、前記少なくとも1つの通路を介して前記入口から前記出口まで送達する、遠心血液ポンプ。
【請求項14】
前記補助流路を規定する前記少なくとも1つの通路が前記出口軸線に実質的に垂直である、請求項13に記載の遠心血液ポンプ。
【請求項15】
前記所定の角度が約15°~約75°である、請求項13に記載の遠心血液ポンプ。
【請求項16】
前記軸受機構が、
前記インペラと関連付けられた第1の永久磁石、および前記ハウジングと関連付けられた第2の永久磁石を有し、前記第1の永久磁石が前記第2の永久磁石と磁気的に相互作用して、前記ポンピング室内における前記インペラの径方向の位置付けを行う、径方向軸受と、
前記インペラと関連付けられた第1の軸受要素、および前記1つの支柱に接続された第2の軸受要素を備える、軸線方向軸受と、を備える、請求項13に記載の遠心血液ポンプ。
【請求項17】
前記第1の永久磁石が、前記インペラを所定の軸線方向力で前記入口に向かう方向に付勢するように、前記第2の永久磁石に対して軸線方向に所定の距離だけオフセットされる、請求項16に記載の遠心血液ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]関連出願の相互参照
本出願は、2018年7月24日付けの米国仮特許出願第62/702,562号の優先権を主張し、その開示の全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
[0002]本開示は、全体として、回転式血液ポンプに関し、特に、ポンピング室内でインペラを支持する軸受機構と、ポンピング室内でインペラを回転可能に駆動する駆動機構とを有する、回転式血液ポンプに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]回転式血液ポンプは、ヒトの心臓の機能を支援または補助するのに長く使用されてきた。例えば、回転式血液ポンプは、損傷した左心室による、または心臓手術中の一時心臓バイパスのために、心臓の機能を支援する。一般に、回転式血液ポンプは、ポンプハウジングのポンピング室内に配設されたインペラを有する。血液は、ハウジングの軸線方向入口を介して送達され、インペラによって径方向出口まで給送される。インペラは、ハウジング内の電磁石によって回転可能に駆動されるインペラ内の駆動磁石などの駆動機構によって、ポンピング室内で回転可能に駆動される。
【0004】
[0004]ポンプ動作中のインペラの回転速度が速いので(2,000~7,500rpm)、インペラは、剪断またはフローの停滞によって血球が損傷するのを防ぐため、ポンプハウジング内で適切に支持されなければならない。いくつかの既存のポンプ設計では、インペラは、ポンピング室内で完全に磁気的に懸架される。かかるインペラ支持システムは、インペラを懸架するのに使用される磁石の複雑な制御を要する場合が多い。他の設計では、インペラはポンピング室内で流体力学的に懸架されてもよく、その場合、ポンピング室内の血液の流体力が、インペラを支持するとともに、インペラがポンピング室の側壁に接触しないようにするのに使用される。流体力学的なインペラ支持により、インペラは、ポンプの始動中、十分な流体圧力が生まれるまで、ポンピング室の側壁に自由に接触する場合が多い。結果として、ポンプの始動中に血球が損傷することがある。一部の回転式血液ポンプは、インペラをポンプハウジング内で支持する、完全に機械的な軸受を有する。機械軸受の不利な点は、血液に熱が伝わることがあり、結果として血液を凝固させることがある点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]従来の回転式血液ポンプのこれらおよび他の不利な点に鑑みて、既存の回転式血液ポンプの欠点を克服する形で、インペラを支持する軸受機構を有する改善された回転式血液ポンプが、当該分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]本開示は、全体として、回転式血液ポンプに関し、特に、ポンピング室内でインペラを支持する軸受機構と、ポンピング室内でインペラを回転可能に駆動する駆動機構とを有する、回転式血液ポンプに関する。
【0007】
[0007]本開示のいくつかの実施例では、遠心血液ポンプは、ポンピング室と、入口軸線を有する入口と、出口軸線を有する出口とを有し、入口および出口がポンピング室と流体連通している、ハウジングを有してもよい。ポンプは、ポンピング室内に回転可能に配設されたインペラと、入口でハウジングに接続された支柱とを更に有してもよい。支柱は、支柱の主軸および出口軸線が入口軸線に垂直な断面において所定の角度を規定するようにして、入口軸線を中心にした円周方向位置でハウジングに接続されてもよい。出口軸線に対する支柱の円周方向位置は、支柱の周りを流れる血液の血栓形成を低減してもよい。
【0008】
[0008]本開示の他の実施例では、支柱は、入口軸線に垂直な断面において、ハウジングとの単一の接続点を有してもよい。所定の角度は、約45°など、約15°~約75°であってもよい。支柱の少なくとも一部分は、涙滴形の断面形状を有してもよい。インペラは、補助流路を規定する少なくとも1つの通路を有してもよい。少なくとも1つの通路は、出口軸線に実質的に垂直であってもよい。血液ポンプの動作中、インペラは、血流の第1の部分を入口から直接出口まで送達してもよく、血流の第2の部分を、少なくとも1つの通路を介して入口から出口まで送達してもよい。
【0009】
[0009]本開示の他の実施例では、ポンピング室内でインペラを支持する軸受機構は、インペラと関連付けられた第1の永久磁石と、ハウジングと関連付けられた第2の永久磁石とを有する、径方向軸受を含んでもよい。第1の永久磁石は、第2の永久磁石と磁気的に相互作用して、ポンピング室内におけるインペラの径方向の位置付けを行ってもよい。軸受機構は、インペラと関連付けられた第1の軸受要素と、支柱に接続された第2の軸受要素とを備える、軸線方向軸受を更に有してもよい。
【0010】
[0010]本開示の他の実施例では、インペラは、血液ポンプの動作中、インペラが、血流の第1の部分を入口から直接出口まで送達し、血流の第2の部分を、補助流路を介して入口から出口まで送達して軸線方向軸受を冷却するようにして、補助流路を規定する少なくとも1つの通路を有してもよい。第1の軸受要素はボール形状であってもよく、第2の軸受要素は、ボール形状の第1の軸受要素の少なくとも一部分を受け入れるカップ形状であってもよい。あるいは、第2の軸受要素はボール形状であってもよく、第1の軸受要素は、ボール形状の第2の軸受要素の少なくとも一部分を受け入れるカップ形状であってもよい。第1の軸受要素は宝石軸受であってもよい。第2の軸受要素はセラミック材料から作られてもよい。第1の永久磁石は、インペラを所定の軸線方向力で入口に向かう方向に付勢するように、第2の永久磁石に対して軸線方向に所定の距離だけオフセットされてもよい。ポンピング室内でインペラを回転させるモータ機構は、インペラと関連付けられた永久磁石ロータと、ハウジングと関連付けられた電磁コイルステータとを有してもよい。
【0011】
[0011]本開示の他の実施例では、遠心血液ポンプは、ポンピング室と、入口軸線を有する入口と、出口軸線を有する出口とを有し、入口および出口がポンピング室と流体連通している、ハウジングを有してもよい。ポンプは、ポンピング室内に回転可能に配設され、補助流路を規定する少なくとも1つの通路を有するインペラと、ポンピング室内でインペラを支持する軸受機構と、入口でハウジングに接続されて軸受機構の少なくとも一部分を支持する支柱とを更に有してもよい。支柱は、支柱の主軸および出口軸線が入口軸線に垂直な断面において所定の角度を規定するようにして、入口軸線を中心にした円周方向位置でハウジングに接続されてもよい。出口軸線に対する支柱の円周方向位置は、支柱の周りを流れる血液の血栓形成を低減してもよい。
【0012】
[0012]本開示の他の実施例では、支柱は、入口軸線に垂直な断面において、ハウジングとの単一の接続点を有してもよい。所定の角度は、約45°など、約15°~約75°であってもよい。支柱の少なくとも一部分は、涙滴形の断面形状を有してもよい。補助流路を規定する少なくとも1つの通路は、出口軸線に実質的に垂直であってもよい。血液ポンプの動作中、インペラは、血流の第1の部分を入口から直接出口まで送達してもよく、血流の第2の部分を、少なくとも1つの通路を介して入口から出口まで送達してもよい。
【0013】
[0013]本開示の他の実施例では、軸受機構は、インペラと関連付けられた第1の永久磁石と、ハウジングと関連付けられた第2の永久磁石とを有する、径方向軸受を有してもよい。第1の永久磁石は、第2の永久磁石と磁気的に相互作用して、ポンピング室内におけるインペラの径方向の位置付けを行ってもよい。軸受機構は、インペラと関連付けられた第1の軸受要素と、支柱に接続された第2の軸受要素とを有する、軸線方向軸受を更に有してもよい。血液ポンプの動作中、インペラは、血流の第1の部分を入口から直接出口まで送達してもよく、血流の第2の部分を、補助流路を介して入口から出口まで送達して、軸線方向軸受を冷却してもよい。第1の軸受要素はボール形状であってもよく、第2の軸受要素は、ボール形状の第1の軸受要素の少なくとも一部分を受け入れるカップ形状であってもよい。あるいは、第2の軸受要素はボール形状であってもよく、第1の軸受要素は、ボール形状の第2の軸受要素の少なくとも一部分を受け入れるカップ形状であってもよい。第1の軸受要素は宝石軸受であってもよい。第2の軸受要素はセラミック材料から作られてもよい。第1の永久磁石は、インペラを所定の軸線方向力で入口に向かう方向に付勢するように、第2の永久磁石に対して軸線方向に所定の距離だけオフセットされてもよい。
【0014】
[0014]本開示の他の実施例では、遠心血液ポンプは、ポンピング室と、入口軸線を有する入口と、出口軸線を有する出口とを有し、入口および出口がポンピング室と流体連通している、ハウジングを有してもよい。ポンプは、ポンピング室内に回転可能に配設されたインペラと、ポンピング室内でインペラを支持する軸受機構とを更に有してもよい。軸受機構は、インペラと関連付けられた第1の永久磁石と、ハウジングと関連付けられた第2の永久磁石とを有する、径方向軸受を有してもよい。第1の永久磁石は、第2の永久磁石と磁気的に相互作用して、ポンピング室内におけるインペラの径方向の位置付けを行ってもよい。軸受機構は、インペラと関連付けられた第1の軸受要素と、入口においてハウジングに接続された支柱と関連付けられた第2の軸受要素とを有する、軸線方向軸受を更に有してもよい。第1の永久磁石は、インペラを所定の軸線方向力で入口に向かう方向に付勢するように、第2の永久磁石に対して軸線方向に所定の距離だけオフセットされてもよい。
【0015】
[0015]本開示の他の実施例では、第1の軸受要素はボール形状であってもよく、第2の軸受要素は、ボール形状の第1の軸受要素の少なくとも一部分を受け入れるカップ形状であってもよい。あるいは、第2の軸受要素はボール形状であってもよく、第1の軸受要素は、ボール形状の第2の軸受要素の少なくとも一部分を受け入れるカップ形状であってもよい。第1の軸受要素は宝石軸受であってもよい。第2の軸受要素はセラミック材料から作られてもよい。
【0016】
[0016]本開示の他の実施例では、遠心血液ポンプは、ポンピング室と、入口軸線を有する入口と、出口軸線を有する出口とを有し、入口および出口がポンピング室と流体連通している、ハウジングを有してもよい。ポンプは、ポンピング室内に回転可能に配設されたインペラと、ポンピング室内でインペラを支持する軸受機構とを有してもよい。軸受機構は、インペラと関連付けられた第1の永久磁石と、ハウジングと関連付けられた第2の永久磁石とを有する、径方向軸受を有してもよい。第1の永久磁石は、第2の永久磁石と磁気的に相互作用して、ポンピング室内におけるインペラの径方向の位置付けを行ってもよい。軸受機構は、インペラと関連付けられた第1の軸受要素と、入口においてハウジングに接続された支柱と関連付けられた第2の軸受要素とを有する、軸線方向軸受を更に有してもよい。支柱は、支柱の主軸および出口軸線が入口軸線に垂直な断面において所定の角度を規定するようにして、入口軸線を中心にした円周方向位置でハウジングに接続されてもよい。出口軸線に対する支柱の円周方向位置は、支柱の周りを流れる血液に対する損傷を低減または排除してもよい。
【0017】
[0017]本開示の他の実施例では、支柱は、入口軸線に垂直な断面において、ハウジングとの単一の接続点を有してもよい。所定の角度は、約45°など、約15°~約75°であってもよい。支柱の少なくとも一部分は、涙滴形の断面形状を有してもよい。インペラは、補助流路を規定する少なくとも1つの通路を有してもよい。少なくとも1つの通路は、出口軸線に実質的に垂直であってもよい。血液ポンプの動作中、インペラは、血流の第1の部分を入口から直接出口まで送達してもよく、血流の第2の部分を、少なくとも1つの通路を介して入口から出口まで送達してもよい。
【0018】
[0018]本開示の他の実施例では、ポンプは、ポンピング室内でインペラを回転させるモータ機構を有する。モータ機構は、インペラと関連付けられた永久磁石ロータと、ハウジングと関連付けられた電磁コイルステータとを有してもよい。第1の軸受要素はボール形状であってもよく、第2の軸受要素は、ボール形状の第1の軸受要素の少なくとも一部分を受け入れるカップ形状であってもよい。あるいは、第2の軸受要素はボール形状であってもよく、第1の軸受要素は、ボール形状の第2の軸受要素の少なくとも一部分を受け入れるカップ形状であってもよい。第1の軸受要素は宝石軸受であってもよい。第2の軸受要素はセラミック材料から作られてもよい。
【0019】
[0019]本開示の他の実施例では、遠心血液ポンプは、ポンピング室と、入口軸線を有する入口と、出口軸線を有する出口とを有し、入口および出口がポンピング室と流体連通している、ハウジングを有してもよい。ポンプはまた、ポンピング室内に回転可能に配設されたインペラと、ポンピング室内でインペラを支持する軸受機構とを有してもよい。軸受機構は、インペラと関連付けられた第1の永久磁石と、ハウジングと関連付けられた第2の永久磁石とを有する、径方向軸受を有してもよい。第1の永久磁石は、第2の永久磁石と磁気的に相互作用して、ポンピング室内におけるインペラの径方向の位置付けを行ってもよい。軸受機構は、インペラと関連付けられた第1の軸受要素と、入口においてハウジングに接続された支柱と関連付けられた第2の軸受要素とを有する、軸線方向軸受を更に有してもよい。支柱は、入口軸線に垂直な断面において、ハウジングとの単一の接続点を有してもよい。
【0020】
[0020]本開示の他の実施例では、支柱は、支柱の主軸および出口軸線が入口軸線に垂直な断面において所定の角度を規定するようにして、入口軸線を中心にした円周方向位置でハウジングに接続されてもよい。所定の角度は、約45°など、約15°~約75°であってもよい。支柱の少なくとも一部分は、涙滴形の断面形状を有してもよい。インペラは、補助流路を規定する少なくとも1つの通路を有してもよい。少なくとも1つの通路は、出口軸線に実質的に垂直であってもよい。血液ポンプの動作中、インペラは、血流の第1の部分を入口から直接出口まで送達してもよく、血流の第2の部分を、少なくとも1つの通路を介して入口から出口まで送達してもよい。第1の軸受要素はボール形状であってもよく、第2の軸受要素は、ボール形状の第1の軸受要素の少なくとも一部分を受け入れるカップ形状であってもよい。あるいは、第2の軸受要素はボール形状であってもよく、第1の軸受要素は、ボール形状の第2の軸受要素の少なくとも一部分を受け入れるカップ形状であってもよい。第1の軸受要素は宝石軸受であってもよい。第2の軸受要素はセラミック材料から作られてもよい。第1の永久磁石は、インペラを所定の軸線方向力で入口に向かう方向に付勢するように、第2の永久磁石に対して軸線方向に所定の距離だけオフセットされてもよい。
【0021】
[0021]本開示の他の実施例では、遠心血液ポンプのハウジング内でインペラを支持する軸受機構は、インペラに装着するように構成された第1の永久磁石と、ハウジングに装着するように構成された第2の永久磁石とを有する、径方向軸受を有してもよい。第1の永久磁石は、第2の永久磁石と磁気的に相互作用して、ポンピング室内におけるインペラの径方向の位置付けを行ってもよい。第1の永久磁石は、インペラを所定の軸線方向力で軸線方向に付勢するように、第2の永久磁石に対して軸線方向にオフセットされてもよい。軸受機構は、インペラに装着するように構成された第1の軸受要素と、ハウジングの少なくとも一部分に接続するように構成された支柱に装着された第2の軸受要素とを有する、軸線方向軸受を更に有してもよい。軸線方向軸受は、所定の軸線方向力に反作用するように構成されてもよい。支柱は、ハウジングの断面において、ハウジング上の単一の取付点を有してもよい。
【0022】
[0022]本開示の他の実施例では、第1の軸受要素はボール形状であってもよく、第2の軸受要素は、ボール形状の第1の軸受要素の少なくとも一部分を受け入れるカップ形状であってもよい。あるいは、第2の軸受要素はボール形状であってもよく、第1の軸受要素は、ボール形状の第2の軸受要素の少なくとも一部分を受け入れるカップ形状であってもよい。第1の軸受要素は宝石軸受であってもよい。第2の軸受要素はセラミック材料から作られてもよい。
【0023】
[0023]本発明の他の様々な態様が、以下の項の1つまたは複数に列挙される。
[0024]項1:ポンピング室、入口軸線を有する入口、および出口軸線を有する出口を有し、入口および出口がポンピング室と流体連通している、ハウジングと、ポンピング室内に回転可能に配設されたインペラと、入口でハウジングに接続された支柱とを備え、支柱が、支柱の主軸および出口軸線が入口軸線に垂直な断面において所定の角度を規定するようにして、入口軸線を中心にした円周方向位置でハウジングに接続され、出口軸線に対する支柱の円周方向位置が、支柱の周りを流れる血液に対する損傷を低減または排除する、遠心血液ポンプ。
【0024】
[0025]項2:支柱が、入口軸線に垂直な断面において、ハウジングとの単一の接続点を有する、項1の遠心血液ポンプ。
[0026]項3:所定の角度が、約45°など、約15°~約75°である、項1または2の遠心血液ポンプ。
【0025】
[0027]項4:支柱の少なくとも一部分が涙滴形の断面形状を有する、項1~3のいずれかの遠心血液ポンプ。
[0028]項5:インペラが、補助流路を規定する少なくとも1つの通路を有する、項1~4のいずれかの遠心血液ポンプ。
【0026】
[0029]項6:少なくとも1つの通路が出口軸線に実質的に垂直である、項5の遠心血液ポンプ。
[0030]項7:血液ポンプの動作中、インペラが、血流の第1の部分を入口から直接出口まで送達し、血流の第2の部分を、少なくとも1つの通路を介して入口から出口まで送達する、項5または6の遠心血液ポンプ。
【0027】
[0031]項8:ポンピング室内でインペラを支持する軸受機構を更に備え、軸受機構が、インペラと関連付けられた第1の永久磁石、およびハウジングと関連付けられた第2の永久磁石を有し、第1の永久磁石が第2の永久磁石と磁気的に相互作用して、ポンピング室内におけるインペラの径方向の位置付けを行う、径方向軸受と、インペラと関連付けられた第1の軸受要素、および支柱に接続された第2の軸受要素を備える、軸線方向軸受とを備える、項1~7のいずれかの遠心血液ポンプ。
【0028】
[0032]項9:インペラが、補助流路を規定する少なくとも1つの通路を有し、それによって、血液ポンプの動作中、インペラが、血流の第1の部分を入口から直接出口まで送達し、血流の第2の部分を、補助流路を介して入口から出口まで送達して軸線方向軸受を冷却する、項8の遠心血液ポンプ。
【0029】
[0033]項10:第1の軸受要素がボール形状であり、第2の軸受要素が、ボール形状の第1の軸受要素の少なくとも一部分を受け入れるカップ形状であるか、または第2の軸受要素がボール形状であり、第1の軸受要素が、ボール形状の第2の軸受要素の少なくとも一部分を受け入れるカップ形状である、項8または9の遠心血液ポンプ。
【0030】
[0034]項11:第1の軸受要素が宝石軸受である、項8~10のいずれかの遠心血液ポンプ。
[0035]項12:第2の軸受要素がセラミック材料から作られる、項8~11のいずれかの遠心血液ポンプ。
【0031】
[0036]項13:第1の永久磁石が、インペラを所定の軸線方向力で入口に向かう方向に付勢するように、第2の永久磁石に対して軸線方向に所定の距離だけオフセットされる、項8~12のいずれかの遠心血液ポンプ。
【0032】
[0037]項14:ポンピング室内でインペラを回転させるモータ機構を更に備え、モータ機構が、インペラと関連付けられた永久磁石ロータと、ハウジングと関連付けられた電磁コイルステータとを有する、項1~13のいずれかの遠心血液ポンプ。
【0033】
[0038]項15:ポンピング室、入口軸線を有する入口、および出口軸線を有する出口を有し、入口および出口がポンピング室と流体連通している、ハウジングと、ポンピング室内に回転可能に配設され、補助流路を規定する少なくとも1つの通路を有するインペラと、ポンピング室内でインペラを支持する軸受機構と、入口でハウジングに接続されて軸受機構の少なくとも一部分を支持する支柱とを備え、支柱が、支柱および出口軸線が入口軸線に垂直な断面において所定の角度を規定するようにして、入口軸線を中心にした円周方向位置でハウジングに接続され、出口軸線に対する支柱の円周方向位置が、支柱の周りを流れる血液に対する損傷を低減または排除する、遠心血液ポンプ。
【0034】
[0039]項16:支柱が、入口軸線に垂直な断面において、ハウジングとの単一の接続点を有する、項15の遠心血液ポンプ。
[0040]項17:所定の角度が、約45°など、約15°~約75°である、項15または16の遠心血液ポンプ。
【0035】
[0041]項18:支柱の少なくとも一部分が涙滴形の断面形状を有する、項15~17のいずれかの遠心血液ポンプ。
[0042]項19:補助流路を規定する少なくとも1つの通路が出口軸線に実質的に垂直である、項15~18のいずれかの遠心血液ポンプ。
【0036】
[0043]項20:血液ポンプの動作中、インペラが、血流の第1の部分を入口から直接出口まで送達し、血流の第2の部分を、少なくとも1つの通路を介して入口から出口まで送達する、項15~19のいずれかの遠心血液ポンプ。
【0037】
[0044]項21:軸受機構が、インペラと関連付けられた第1の永久磁石、およびハウジングと関連付けられた第2の永久磁石を有し、第1の永久磁石が第2の永久磁石と磁気的に相互作用して、ポンピング室内におけるインペラの径方向の位置付けを行う、径方向軸受と、インペラと関連付けられた第1の軸受要素、および支柱に接続された第2の軸受要素を備える、軸線方向軸受とを備える、項15~20のいずれかの遠心血液ポンプ。
【0038】
[0045]項22:血液ポンプの動作中、インペラが、血流の第1の部分を入口から直接出口まで送達し、血流の第2の部分を、補助流路を介して入口から出口まで送達して軸方向軸受を冷却する、項21の遠心血液ポンプ。
【0039】
[0046]項23:第1の軸受要素がボール形状であり、第2の軸受要素が、ボール形状の第1の軸受要素の少なくとも一部分を受け入れるカップ形状であるか、または第2の軸受要素がボール形状であり、第1の軸受要素が、ボール形状の第2の軸受要素の少なくとも一部分を受け入れるカップ形状である、項21または22の遠心血液ポンプ。
【0040】
[0047]項24:第1の軸受要素が宝石軸受である、項21~23のいずれかの遠心血液ポンプ。
[0048]項25:第2の軸受要素がセラミック材料から作られる、項21~24のいずれかの遠心血液ポンプ。
【0041】
[0049]項26:第1の永久磁石が、インペラを所定の軸線方向力で入口に向かう方向に付勢するように、第2の永久磁石に対して軸線方向に所定の距離だけオフセットされる、項21~25のいずれかの遠心血液ポンプ。
【0042】
[0050]項27:ポンピング室、入口軸線を有する入口、および出口軸線を有する出口を有し、入口および出口がポンピング室と流体連通している、ハウジングと、ポンピング室内に回転可能に配設されたインペラと、ポンピング室内でインペラを支持する軸受機構とを備え、軸受機構が、インペラと関連付けられた第1の永久磁石、およびハウジングと関連付けられた第2の永久磁石を有し、第1の永久磁石が第2の永久磁石と磁気的に相互作用して、ポンピング室内におけるインペラの径方向の位置付けを行う、径方向軸受と、インペラと関連付けられた第1の軸受要素、および入口でハウジングに接続された支柱と関連付けられた第2の軸受要素を備える、軸線方向軸受とを備え、第1の永久磁石が、インペラを所定の軸線方向力で入口に向かう方向に付勢するように、第2の永久磁石に対して軸線方向に所定の距離だけオフセットされる、遠心血液ポンプ。
【0043】
[0051]項28:第1の軸受要素がボール形状であり、第2の軸受要素が、ボール形状の第1の軸受要素の少なくとも一部分を受け入れるカップ形状であるか、または第2の軸受要素がボール形状であり、第1の軸受要素が、ボール形状の第2の軸受要素の少なくとも一部分を受け入れるカップ形状である、項27の遠心血液ポンプ。
【0044】
[0052]項29:第1の軸受要素が宝石軸受である、項27または28の遠心血液ポンプ。
[0053]項30:第2の軸受要素がセラミック材料から作られる、項27~29のいずれかの遠心血液ポンプ。
【0045】
[0054]項31:ポンピング室、入口軸線を有する入口、および出口軸線を有する出口を有し、入口および出口がポンピング室と流体連通している、ハウジングと、ポンピング室内に回転可能に配設されたインペラと、ポンピング室内でインペラを支持する軸受機構とを備え、軸受機構が、インペラと関連付けられた第1の永久磁石、およびハウジングと関連付けられた第2の永久磁石を有し、第1の永久磁石が第2の永久磁石と磁気的に相互作用して、ポンピング室内におけるインペラの径方向の位置付けを行う、径方向軸受と、インペラと関連付けられた第1の軸受要素、および入口でハウジングに接続された支柱と関連付けられた第2の軸受要素を備える、軸線方向軸受とを備え、支柱が、支柱の主軸および出口軸線が入口軸線に垂直な断面において所定の角度を規定するようにして、入口軸線を中心にした円周方向位置でハウジングに接続され、出口軸線に対する支柱の円周方向位置が、支柱の周りを流れる血液に対する損傷を低減または排除する、遠心血液ポンプ。
【0046】
[0055]項32:支柱が、入口軸線に垂直な断面において、ハウジングとの単一の接続点を有する、項31の遠心血液ポンプ。
[0056]項33:所定の角度が、約45°など、約15°~約75°である、項31または32の遠心血液ポンプ。
【0047】
[0057]項34:支柱の少なくとも一部分が涙滴形の断面形状を有する、項31~33のいずれかの遠心血液ポンプ。
[0058]項35:インペラが、補助流路を規定する少なくとも1つの通路を有する、項31~34のいずれかの遠心血液ポンプ。
【0048】
[0059]項36:少なくとも1つの通路が出口軸線に実質的に垂直である、項31~35のいずれかの遠心血液ポンプ。
[0060]項37:血液ポンプの動作中、インペラが、血流の第1の部分を入口から直接出口まで送達し、血流の第2の部分を、少なくとも1つの通路を介して入口から出口まで送達する、項31~36のいずれかの遠心血液ポンプ。
【0049】
[0061]項38:ポンピング室内でインペラを回転させるモータ機構を更に備え、モータ機構が、インペラと関連付けられた永久磁石ロータと、ハウジングと関連付けられた電磁コイルステータとを有する、項31~37のいずれかの遠心血液ポンプ。
【0050】
[0062]項39:第1の軸受要素がボール形状であり、第2の軸受要素が、ボール形状の第1の軸受要素の少なくとも一部分を受け入れるカップ形状である、項31~38のいずれかの遠心血液ポンプ。
【0051】
[0063]項40:第2の軸受要素がボール形状であり、第1の軸受要素が、ボール形状の第2の軸受要素の少なくとも一部分を受け入れるカップ形状である、項31~39のいずれかの遠心血液ポンプ。
【0052】
[0064]項41:第1の軸受要素が宝石軸受である、項31~40のいずれかの遠心血液ポンプ。
[0065]項42:第2の軸受要素がセラミック材料から作られる、項31~41のいずれかの遠心血液ポンプ。
【0053】
[0066]項43:ポンピング室、入口軸線を有する入口、および出口軸線を有する出口を有し、入口および出口がポンピング室と流体連通している、ハウジングと、ポンピング室内に回転可能に配設されたインペラと、ポンピング室内でインペラを支持する軸受機構とを備え、軸受機構が、インペラと関連付けられた第1の永久磁石、およびハウジングと関連付けられた第2の永久磁石を有し、第1の永久磁石が第2の永久磁石と磁気的に相互作用して、ポンピング室内におけるインペラの径方向の位置付けを行う、径方向軸受と、インペラと関連付けられた第1の軸受要素、および入口でハウジングに接続された支柱と関連付けられた第2の軸受要素を備える、軸線方向軸受とを備え、支柱が、入口軸線に垂直な断面において、ハウジングとの単一の接続点を有する、遠心血液ポンプ。
【0054】
[0067]項44:支柱が、支柱の主軸および出口軸線が入口軸線に垂直な断面において所定の角度を規定するようにして、入口軸線を中心にした円周方向位置でハウジングに接続される、項43の遠心血液ポンプ。
【0055】
[0068]項45:所定の角度が、約45°など、約15°~約75°である、項43または44の遠心血液ポンプ。
[0069]項46:支柱の少なくとも一部分が涙滴形の断面形状を有する、項43~45のいずれかの遠心血液ポンプ。
【0056】
[0070]項47:インペラが、補助流路を規定する少なくとも1つの通路を有する、項43~46のいずれかの遠心血液ポンプ。
[0071]項48:少なくとも1つの通路が出口軸線に実質的に垂直である、項47の遠心血液ポンプ。
【0057】
[0072]項49:血液ポンプの動作中、インペラが、血流の第1の部分を入口から直接出口まで送達し、血流の第2の部分を、少なくとも1つの通路を介して入口から出口まで送達する、項47または48の遠心血液ポンプ。
【0058】
[0073]項50:第1の軸受要素がボール形状であり、第2の軸受要素が、ボール形状の第1の軸受要素の少なくとも一部分を受け入れるカップ形状である、項43~49のいずれかの遠心血液ポンプ。
【0059】
[0074]項51:第2の軸受要素がボール形状であり、第1の軸受要素が、ボール形状の第2の軸受要素の少なくとも一部分を受け入れるカップ形状である、項43~50のいずれかの遠心血液ポンプ。
【0060】
[0075]項52:第1の軸受要素が宝石軸受である、項43~51のいずれかの遠心血液ポンプ。
[0076]項53:第2の軸受要素がセラミック材料から作られる、項43~52のいずれかの遠心血液ポンプ。
【0061】
[0077]項54:第1の永久磁石が、インペラを所定の軸線方向力で入口に向かう方向に付勢するように、第2の永久磁石に対して軸線方向に所定の距離だけオフセットされる、項43~53のいずれかの遠心血液ポンプ。
【0062】
[0078]項55:遠心血液ポンプのハウジング内でインペラを支持する軸受機構であって、インペラに装着するように構成された第1の永久磁石、およびハウジングに装着するように構成された第2の永久磁石を有し、第1の永久磁石が第2の永久磁石と磁気的に相互作用して、ハウジング内におけるインペラの径方向の位置付けを行い、第1の永久磁石が、インペラを所定の軸線方向力で軸線方向に付勢するように、第2の永久磁石に対して軸線方向にオフセットされる、径方向軸受と、インペラに装着するように構成された第1の軸受要素、およびハウジングの少なくとも一部分に接続するように構成された支柱に装着された第2の軸受要素を有し、所定の軸線方向力に反作用するように構成された、軸線方向軸受とを備え、支柱が、ハウジングの断面において、ハウジング上の単一の取付点を有する、軸線方向軸受と、を備える、軸受機構。
【0063】
[0079]項56:第1の軸受要素がボール形状であり、第2の軸受要素が、ボール形状の第1の軸受要素の少なくとも一部分を受け入れるカップ形状である、項55の軸受機構。
[0080]項57:第2の軸受要素がボール形状であり、第1の軸受要素が、ボール形状の第2の軸受要素の少なくとも一部分を受け入れるカップ形状である、項55または56の軸受機構。
【0064】
[0081]項58:第1の軸受要素が宝石軸受である、項55~57のいずれかの軸受機構。
[0082]項59:第2の軸受要素がセラミック材料から作られる、項55~58のいずれかの軸受機構。
【0065】
[0083]本明細書に詳細に記載する様々な実施例の更なる詳細および利点は、様々な実施例の以下の詳細な説明を添付図面と併せて検討することによって明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】[0084]本開示の一実施例による回転式血液ポンプの正面斜視断面図である。
図2】[0085]下側ハウジング部分なしで示される図1の回転式血液ポンプの分解側面図である。
図3】[0086]図1に示される回転式血液ポンプの入口ハウジングの斜視図である。
図4A】[0087]図3に示される入口ハウジングの上面図である。
図4B】[0088]図3に示される入口ハウジングの下面図である。
図4C】[0089]支柱を示す図3の入口ハウジングの詳細上面図である。
図5A】[0090]図3に示される入口ハウジングの横断面図である。
図5B】[0091]図4Cの線A-Aに沿った支柱の長手方向断面図である。
図5C】[0092]図4Cの線B-Bに沿った支柱の横方向断面図である。
図6】[0093]図1に示される回転式血液ポンプのインペラの斜視図である。
図7】[0094]図6に示されるインペラの側面図である。
図8】[0095]図6に示されるインペラの上面図である。
図9】[0096]図6に示されるインペラの横断面図である。
図10】[0097]図6に示されるインペラの分解側面図である。
図11】[0098]入口ハウジングの様々な部分における静圧を示す圧力分布図である。
図12】[0099]図11の静圧値に基づいた合力の図を示す入口ハウジングの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
[0100]図面は、概して、本開示の装置および方法の好ましい非限定例を示す。本明細書は装置の様々な態様を提示するが、いかなる形でも本開示を限定するものと解釈されるべきではない。更に、本開示の態様の修正、概念、および適用は、本明細書の図示および説明に包含されるが、それらには限定されないものとして、当業者には解釈されるべきである。
【0068】
[0101]以下の説明は、当業者が本開示を実施するために想到される記載の実施例を作成し使用することができるように、提供されるものである。しかしながら、様々な修正、等価物、変形、および代替物も、当業者には容易に明白となるであろう。あらゆるそのような修正、変形、等価物、および代替物は、本開示の趣旨および範囲内にあるものとする。
【0069】
[0102]以下の説明のため、「上側」、「下側」、「右側」、「左側」、「垂直」、「水平」、「上部」、「下部」、「横方向」、「長手方向」という用語、およびそれらの派生語は、図面において配向されるような形で本開示に関連するものとする。
【0070】
[0103]本明細書で使用するとき、「実質的に平行」という用語は、基準線を含む細長い物体などの2つの物体間における(理論上の交点まで延ばした場合の)相対角度を意味し、つまり、列挙される値を含む、0°~5°、または0°~3°、または0°~2°、または0°~1°、または0°~0.5°、または0°~0.25°、または0°~0.1°である。
【0071】
[0104]本明細書で使用するとき、「実質的に垂直」という用語は、基準線を含む細長い物体などの2つの物体間における(理論上の交点まで延ばした場合の)相対角度を意味し、つまり、列挙される値を含む、85°~90°、または87°~90°、または88°~90°、または89°~90°、または89.5°~90°、または89.75°~90°、または89.9°~90°である。
【0072】
[0105]しかしながら、本開示は、逆のことが明示的に指定される場合を除いて、代替の変形例およびステップシーケンスを取り得るものと理解されるべきである。また、添付図面に示され、以下の説明に記載される特定のデバイスおよびプロセスは、本開示の例示の態様にすぎないことが理解されるべきである。したがって、本明細書に開示される実施例に関連する特定の寸法および他の物理的特性は、限定的と見なされるべきではない。
【0073】
[0106]本明細書において列挙されるいずれの数値範囲も、その中に包含される全ての部分範囲を含むものと理解されるべきである。例えば、「1~10」の範囲は、列挙された最小値1から列挙された最大値10までの間の(かつそれらを含む)全ての部分範囲を含むものとし、つまり、1以上の最小値および10以下の最大値を有するものとする。
【0074】
[0107]本明細書では、別段の具体的な指示がない限り、単数形の使用は複数形を含み、複数形は単数形を包含する。それに加えて、「および/または」は特定の例において明示的に使用されることがあるが、本明細書では、別段の具体的な指示がない限り、「または」の使用は「および/または」を意味する。更に、本明細書では、別段の具体的な指示がない限り、「a」または「an」の使用は「少なくとも1つ」を意味する。「少なくとも」という用語は「~以上」と同義である。本明細書で使用するとき、「~のうちの少なくとも1つ」は「1つまたは複数の~」と同義である。例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」という語句は、A、B、またはCのうちのいずれか1つ、あるいはA、B、またはCのうちのいずれか2つ以上の任意の組合せを意味する。例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」は、1つまたは複数のAのみ、あるいは1つまたは複数のBのみ、あるいは1つまたは複数のCのみ、あるいは1つまたは複数のAおよび1つまたは複数のB、あるいは1つまたは複数のAおよび1つまたは複数のC、あるいは1つまたは複数のBおよび1つまたは複数のC、あるいは1つまたは複数のA、B、およびC全てを含む。
【0075】
[0108]図面を参照すると、図面中、複数の図面全体を通して同様の参照符号は同様の部分を指し、図1は、本発明の一実施例による回転式血液ポンプ10を示す。回転式血液ポンプ10は、例えば、患者の心臓および/または肺の機能を補助する体外回路で使用されてもよい。一般に、回転式血液ポンプ10は、上側または入口ハウジング部分14と、下側または出口ハウジング部分16とを備えた、ポンプハウジング12を有する。入口ハウジング部分14および出口ハウジング部分16は、取外し可能または取外し不能に互いに結合され、間にポンピング室18を規定してもよい。いくつかの実施例では、入口ハウジング部分14は、出口ハウジング部分16に取外し可能または取外し不能に固定される、別個の構成要素として形成される(図2を参照)。ポンピング室18は、中央長手方向軸線26の周りで円周方向に延在する側壁24によって規定される、実質的に円筒状の構造を有してもよい。
【0076】
[0109]引き続き図1を参照すると、入口ハウジング部分14は、ポンピング室18に血液を送達する、ポンピング室18と流体連通している入口20を有する。入口20は、ポンピング室18の中央長手方向軸線26と実質的に平行な入口軸線42を有する、管状の形状を有する。入口20は、円形の断面形状、楕円形の断面形状、または多角形など、他の任意の幾何学形状を有してもよい。いくつかの実施例では、入口軸線42は、中央長手方向軸線26に対して角度を付けられてもよい。入口軸線42は、中央長手方向軸線26と実質的に同軸であってもよい。いくつかの実施例では、入口軸線42は、中央長手方向軸線26に対して径方向にオフセットされてもよい。入口20は、入口チューブ(図示せず)との接続を容易にする、1つもしくは複数の返し30または他の接続要素を有する。
【0077】
[0110]引き続き図1を参照すると、出口ハウジング部分16は、ポンピング室18から血液を送達する、ポンピング室18と流体連通している出口22を有する。出口22は、ポンピング室18の中央長手方向軸線26に対して実質的に垂直な出口軸線44を有する、管状の形状を有する。出口22は、円形の断面形状、楕円形の断面形状、または多角形など、他の任意の幾何学形状を有してもよい。いくつかの実施例では、出口軸線44は、中央長手方向軸線26および/または入口軸線42に対して角度を付けられてもよい。出口22は、出口チューブ(図示せず)との接続を容易にする、1つもしくは複数の返し30または他の接続要素を有する。
【0078】
[0111]引き続き図1を参照すると、インペラ34は、ポンピング室18内で回転可能に支持され、血液を入口20から出口22まで給送するように構成される。インペラ34は駆動機構36によって回転可能に駆動される。本明細書に記載されるように、駆動機構36は、中央長手方向軸線26を中心にしてインペラ34を回転させることによって、インペラ34が血液を入口20から出口22まで給送するように構成される。インペラ34は、ポンピング室18内で軸受機構38によって回転可能に支持される。本明細書に記載されるように、軸受機構38は、インペラ34がポンピング室18の側壁24に触れることなく、中央長手方向軸線26を中心にして回転するように、ポンピング室18内におけるインペラ34の位置付けを支援する。
【0079】
[0112]図3を参照すると、入口ハウジング部分14は、ポンピング室18を封止するカバー40を有する。入口20は、カバー40と一体形成され、そこから入口軸線42の方向に突出する。本明細書に記載されるように、入口軸線42は、中央長手方向軸線26(図2に示す)と実質的に平行であってもよい。カバー40は、実質的に円形の形状を有してもよく、出口22の少なくとも一部分が、カバー40の外周から接線方向で出口軸線44の方向に延在する。本明細書に記載されるように、入口軸線42および出口軸線44は互いに実質的に垂直であってもよい。いくつかの実施例では、カバー40は出口22の第1の部分を有してもよく、一方で出口ハウジング部分16(図1に示す)は出口22の第2の部分を有してもよく、それらが組み合わされると、カバー40および出口ハウジング部分16はともに出口22を規定する。いくつかの実施例では、カバー40は、カバー40を出口ハウジング部分16の上で位置付けるのに、出口ハウジング部分16の対応する突出部と相互作用する、円周溝32(図5に示す)を有してもよい。
【0080】
[0113]図4A~4Bを参照すると、入口ハウジング部分14は、内側壁48に接続され、入口軸線42に向かって径方向内側に延在する、少なくとも1つの支柱46を有する。例えば、支柱46は、入口ハウジング部分14と一体形成されてもよく、あるいは入口20の内側壁48に取外し可能または取外し不能に接続される、別個の構成要素として形成されてもよい。支柱46は、入口軸線42に垂直な断面で見たとき、入口軸線42の周りの円周方向において入口20の内側壁48との単一の接続点を有する。図4Cを参照すると、支柱46は、入口20の内側壁48に接続された第1の径方向端部46aと、第1の径方向端部46aから径方向内側に、入口軸線42に向かって突出する第2の径方向端部46bとを有する。いくつかの実施例では、支柱46の第1の径方向端部46aは、第1の径方向端部46aと第2の径方向端部46bとの間の支柱46の主軸および出口軸線44が、図4A~4Bに示されるような、入口軸線42に垂直な断面において所定の角度αを規定するように、入口軸線42を中心にした円周方向位置で、入口ハウジング部分14の内側壁48に接続される。第1の径方向端部46aと第2の径方向端部46bとの間の支柱46の主軸は、入口軸線42と一致してもよい。いくつかの実施例では、所定の角度αは、約0°~約135°、好ましくは約15°~約90°、より好ましくは約30°~約60°、より好ましくは約40°~約50°、より好ましくは約45°など、約43°~約47°の絶対値を有する。所定の角度αは、支柱46の第2の径方向端部46bが、出口軸線44から離れるのではなく出口軸線44に向かう方向に延在するか、または支柱46の第2の径方向端部46bが、出口軸線44に向かうのではなく出口軸線44から離れる方向に延在する、支柱46の配向に基づく。
【0081】
[0114]図5A~5Cを参照すると、支柱46の第1の径方向端部46aは、入口軸線42と実質的に平行な接続面47に沿って、入口20の内側壁48に接続されてもよい。図5Bに示されるように、支柱46の第1の軸線方向端部49aは、入口軸線42に平行な断面で見たとき、入口軸線42に対して角度βで、入口20(図3に示す)に近接して位置付けられる。角度βは、約15°~約75°、好ましくは約30°~約60°、より好ましくは約45°など、約40°~約50°である。角度βは、第1の軸線方向端部49aによって規定される支柱46の前端において、支柱46の周りの血流を滑らかにするように構成される。支柱46の第2の軸線方向端部49bは、第1の軸線方向端部49aの反対側に位置付けられる。支柱46の第2の軸線方向端部49bは、入口軸線42に平行な断面で見たとき、入口軸線42に対して角度γで、出口22(図3に示す)に近接して位置付けられる。角度γは、約15°~約75°、好ましくは約30°~約60°、より好ましくは約45°など、約40°~約50°である。角度γは、第2の軸線方向端部49bによって規定される支柱46の後端において、支柱46の周りの血流を滑らかにするように構成される。第2の軸線方向端部49bの末端部分50は、入口軸線42と実質的に同軸で位置付けられる。末端部分50は、軸線方向軸受の少なくとも一部分を支持するように構成された軸受支持部材51を有する。本明細書に記載されるように、軸線方向軸受は、入口軸線42に沿って方向付けられたインペラ34に対する軸線方向荷重を支持するように構成される。
【0082】
[0115]図5Cを参照すると、支柱46は、望ましくは、支柱46の周りにおける流れの停滞を低減するように形作られる。いくつかの実施例では、支柱46の少なくとも一部分は、涙滴形またはエアフォイル形の断面形状を有する。かかる実施例では、第1の軸線方向端部49aは前縁または前端を規定し、一方で第2の軸線方向端部49bは後縁または後端を規定する。支柱46は、翼弦線Cに沿って、第1の軸線方向端部49aから最大厚さ地点Tまで徐々に幅が広くなり、次に最大厚さ地点Tから第2の軸線方向端部49bまで徐々に狭くなる。翼弦線Cは入口軸線42と実質的に平行である。最大厚さ地点Tの位置を、第1および第2の軸線方向端部49a、49bの間で変更することによって、支柱46の圧力プロファイルを変化させて、支柱46の周りを流れる血液中の血球に対する損傷を低減または排除することができる。
【0083】
[0116]理論によって束縛されることを意図しないが、所定の角度αで、特に約45°の範囲で支柱46を位置付けることによって、ポンプ動作中に入口20を通って流れる血液による支柱46の動揺または振動が、低減または排除されることが見出されている。支柱46のかかる動揺または振動は、支柱46の周りの血流を乱すことに加えて、支柱46の損傷または故障を早めることがある。支柱46および入口ハウジング14を、ステンレス鋼またはチタンなどの高強度材料から作成することによって、支柱46のかかる振動を低減することが可能であるが、支柱46を所定の角度αで位置付けることによって、支柱46および入口ハウジング14を、医療用プラスチックなど、より低強度の材料から作成することが可能になる。
【0084】
[0117]入口軸線42に対する支柱46の円周方向位置は、入口軸線42に対して径方向に支柱46が偏向、振動、または揺動する原因となることがある、支柱46の静圧を最小限に抑えるかまたは排除するように選ばれる。図11を参照すると、圧力分布図は、3,500rpm~7,500rpmの様々なポンプ回転毎分(rpm)に対する、5L/分のポンプ動作中における、入口ハウジング部分14(図3に示す)の様々な地点における静圧(mmHg)を示す。図中の圧力スポットA~Oは、測定を行った入口ハウジング部分14上の様々な位置を表し、地点A~Hは、入口20の入口軸線42の周囲で出口22に至る位置で静圧を測定する。結果として得られた圧力測定値を、入口ハウジング14の入口軸線42の周りの力ベクトルとしてプロットすることによって、図12で、入口14の内側壁48の様々な円周方向位置が様々な圧力を受けることが分かる。支柱46の主軸および出口軸線44が入口軸線42に垂直な断面において所定の角度αを規定するようにして、入口軸線42を中心にした円周方向位置で支柱46を位置付けることによって、支柱の振動または動揺に結び付く、支柱46の正味の側面荷重もしくは径方向荷重が、最小限に抑えられるかまたは排除される。このようにして、支柱の振動もしくは動揺による血液に対する損傷(血液の血栓形成など)が低減または排除される。
【0085】
[0118]図6~8を参照すると、インペラ34は、ポンピング室18(図1に示す)の形状に対応する、ほぼ円筒状の形状を有する。インペラ34は、その上端に、血液を入口20から出口22に向かって給送するように構成された、複数のブレード52を有する。いくつかの実施例では、インペラ34は、均等または不均等な角度間隔で径方向に離隔された、6つのブレード52を有する。ブレード52は互いに同一であってもよい。いくつかの実施例では、ブレード52の第1の部分集合52aは、ブレード52の第2の部分集合52bとは異なってもよい。ブレード52の第1および第2の部分集合52a、52bは、交互に配置されてもよい(図8を参照)。ブレード52は実質的に平面であってもよい。いくつかの実施例では、ブレード52は曲線状であってもよい。
【0086】
[0119]図9~10を参照すると、インペラ34は、外側シェル56によって取り囲まれた中空中央部分54を有する。中空中央部分54は、外側シェル56の中空内部の中に配設される。いくつかの実施例では、中空中央部分54および外側シェル56は、取外し可能または取外し不能に互いに接続された、別個の構成要素として形成されてもよい。ブレード52を有するキャップ58は、外側シェル56の上端に位置付けられる。キャップ58は、外側シェル56の中空内部の少なくとも一部分を封止する。
【0087】
[0120]特に図9を参照すると、中空中央部分54は、中央長手方向軸線26(図1に示す)と実質的に同軸である、少なくとも1つの通路60を有する。少なくとも1つの通路60は、中空中央部分54の上端における末端部64の1つまたは複数の開口部62を介して、ポンピング室18と流体連通している。少なくとも1つの通路60は、本明細書で考察されるように、補助流路の一部分を規定する。血液ポンプ10の動作中、インペラ34は、血流の第1の部分を入口20から直接出口22まで送達し、血流の第2の部分を、少なくとも1つの通路60および末端部64の1つまたは複数の開口部62を介して、入口20から出口22まで送達する。いくつかの実施例では、少なくとも1つの通路60は、その直径が上端から下端への方向で増加するように形作られる。他の実施例では、少なくとも1つの通路60は、その長さ全体を通して均一な直径を有してもよい。
【0088】
[0121]図9~10を参照すると、インペラ34は、その下端に第1の軸受磁石66を有する。第1の軸受磁石66は、中空中央部分54と外側シェル56との間の第1のキャビティ68内に配設されてもよい。いくつかの実施例では、第1の軸受磁石66は、中空中央部分54の中央ポスト72を取り囲む下側スカート70を係合する。第1の軸受磁石66は望ましくは永久磁石である。いくつかの実施例では、第1の軸受磁石66は、単一の一体形成された要素から構成された環状形状を有する。他の実施例では、第1の軸受磁石66は、複数の別個の磁石セグメントから形成されてもよい。例えば、第1の軸受磁石66は、均等または不均等な角度幅を有する複数の弓状セグメントを有してもよい。第1の軸受磁石66は、本明細書に記載されるように、ポンプハウジング12と関連付けられた第2の軸受磁石と磁気的に相互作用するように構成される。
【0089】
[0122]引き続き図9~10を参照すると、インペラ34は、第1の軸受磁石66から軸線方向に離隔されたロータ磁石74を有する。スペーサ80(図9に示す)は、第1の軸受磁石66をロータ磁石74から軸線方向に分離するために設けられてもよい。いくつかの実施例では、スペーサ80は外側シェル56と一体形成される。他の実施例では、スペーサ80は、外側シェル56の中空内部に取外し可能または取外し不能に挿入可能である。
【0090】
[0123]引き続き図9~10を参照すると、ロータ磁石74は、中空中央部分54と外側シェル56との間の第2のキャビティ76内に配設されてもよい。いくつかの実施例では、ロータ磁石74は、中空中央部分54の中央ポスト70から径方向外側に延在するリップ78上で少なくとも部分的に支持される。ロータ磁石74は望ましくは永久磁石である。いくつかの実施例では、ロータ磁石74は、複数の別個の磁石セグメントから構成された環状形状を有する。例えば、ロータ磁石74は、均等または不均等な角度幅を有する複数の弓状セグメントを有してもよい。いくつかの実施例では、ロータ磁石74は、それぞれ90°離れた4つの磁石セグメントを有する。磁石セグメントは連続形状を形成してもよい。いくつかの実施例では、磁石セグメントは所定の間隔で互いから分離する。
【0091】
[0124]図1を参照すると、ロータ磁石74は、本明細書に記載されるように、ポンプハウジング12と関連付けられた電磁コイル82と磁気的に相互作用して、ポンプハウジング12内でインペラ34を回転可能に駆動するように構成される。ロータ磁石74および電磁コイル82はともに駆動機構36を規定する。ロータ磁石74は、望ましくは、ポンプ動作中に正味の軸線方向力がインペラ34に付与されないように、電磁コイル82の径方向反対側に位置付けられる。いくつかの実施例では、ロータ磁石74と電磁コイル82との間の相互作用による、インペラ34に対する任意の軸線方向力は、本明細書に記載されるような、軸受機構38によって相殺されてもよい。電磁コイル82は、選択的に励磁されて、ロータ磁石74を旋回させ、それによって中央長手方向軸線26を中心にしてインペラ34を回転させる。電磁コイル82が受ける電流および/または電圧などの動作は、コントローラ84によって制御される。コントローラ84は、ロータ磁石74と電磁コイル82との間の相互作用によってインペラ34が回転させられる速度を制御するように動作する。
【0092】
[0125]引き続き図1を参照すると、軸受機構38は、インペラ34と関連付けられた第1の軸受磁石66と、ポンプハウジング12と関連付けられた第2の軸受磁石88とを有する、径方向軸受86を有する。第1の軸受磁石66は、第2の軸受磁石88と同軸であって磁気的に相互作用して、ポンピング室18内におけるインペラ34の径方向の位置付けを行う。特に、第1および第2の軸受磁石66、88は、回転中にインペラ34がポンプハウジング12の側壁24に接触しないようにして、径方向の安定性をインペラ34に提供するように構成される。第2の軸受磁石88は望ましくは永久磁石である。いくつかの実施例では、第2の軸受磁石88は、単一の一体形成された要素から構成された環状形状を有する。他の実施例では、第2の軸受磁石88は、複数の別個の磁石セグメントから形成されてもよい。例えば、第2の軸受磁石88は、均等または不均等な角度幅を有する複数の弓状セグメントを有してもよい。
【0093】
[0126]いくつかの実施例では、第1の軸受磁石66および第2の軸受磁石88は、正味の軸線方向推力が入口20に向かう方向にインペラ34を付勢するようにして位置付けられ、例えば、同軸で配置されるとともに軸線方向にオフセットされる。正味の軸線方向推力は、第1の軸受磁石66と第2の軸受磁石88との間の軸線方向オフセット、第1の軸受磁石66と第2の軸受磁石88との間の、磁気強度などの磁気的性質の差、またはそれらの組合せによって発生してもよい。いくつかの実施例では、第1の軸受磁石66と第2の軸受磁石88との間の軸線方向オフセットは、インペラ34が、十分な大きさの軸線方向推力によって入口20に向かって中央長手方向軸線26に沿った方向に付勢されて、動作中のインペラ34の重量を軸線方向軸受90に対して軸線方向で支持するような、また、血球の損傷を引き起こす場合がある、軸線方向軸受90の周りを流れる血液の過度な加熱(42℃超過など)に結び付くような程度の熱を発生させることがある、軸線方向軸受90の構成要素間の係合をもたらさないような、オフセットであってもよい。
【0094】
[0127]引き続き図1を参照すると、軸線方向軸受90は、第1の軸受磁石66と第2の軸受磁石88との間の磁気的相互作用による、軸線方向推力を吸収するように構成された、機械軸受である。軸線方向軸受90は、インペラ34と関連付けられた第1の軸受要素92と、入口ハウジング部分14に接続された支柱46と関連付けられた第2の軸受要素94とを有する。いくつかの実施例では、第1の軸受要素92はボール形状であり、第2の軸受要素94は、ボール形状の第1の軸受要素92の少なくとも一部分を受け入れるカップ形状である。あるいは、第2の軸受要素94はボール形状であり、第1の軸受要素92は、ボール形状の第2の軸受要素94の少なくとも一部分を受け入れるカップ形状である。第1の軸受要素92および第2の軸受要素94は、ポンプ動作中におけるインペラ34の径方向の心出しを可能にするため、軸線方向軸受90を中心にしてわずかに枢動できるように形作られる。第1の軸受磁石66と第2の軸受磁石88との間の磁気的相互作用によって発生する軸線方向推力は、軸線方向軸受90および支柱46を用いて、ポンプハウジング12に伝達される。
【0095】
[0128]図9を参照すると、第1の軸受要素92は、インペラ34の中空中央部分54の末端部64に接続されたポスト72上で支持されたボールであってもよい。いくつかの実施例では、第1の軸受要素92は、ルビーボールなどの宝石軸受である。
【0096】
[0129]図5を参照すると、第2の軸受要素94は、支柱46の末端50に形成されたカップであってもよい。第2の軸受要素94は、支柱46の末端50に取外し可能または取外し不能に接続されてもよい。いくつかの実施例では、第2の軸受要素94はセラミック材料から作られる。
【0097】
[0130]動作中、ロータ磁石74は、ポンプハウジング12と関連付けられた電磁コイル82と磁気的に相互作用して、ポンプハウジング12内でインペラ34を回転可能に駆動する。入口20を通って流れる血液は、支柱46の周りを流れ、軸線方向軸受90を通り過ぎることによって、軸線方向軸受90を冷却する。本明細書に記載されるように、支柱46は、望ましくは、支柱46の周りにおける流れの停滞を低減するとともに、血液が支柱46の周りを流れる際の動揺または振動を排除するように形作られる。
【0098】
[0131]血液が入口20を通ってポンピング室18に入る際、インペラブレード52は、入口軸線42に対して径方向外側の方向に血液を給送して、血液の大部分を含む血流の第1の部分を、ポンピング室18に入って出口22に向かうように方向付ける。血流の第2の部分は、ポンピング室12の側壁24とインペラ34の円筒部分の外表面との間にある、補助流路としての径方向ギャップ96を通過する。この補助流路によって、血液がポンピング室12の下部98に移動することが可能になる。いくつかの実施例では、ポンピング室12の下部98は、補助流路内の血液を少なくとも1つの通路60へと方向付ける、デフレクタ100を有してもよい。補助流路内の血液は、次に、少なくとも1つの通路60を通って、入口20に向かう方向で軸線方向に流れて、インペラ34の中空中央部分54の末端部64にある1つまたは複数の開口部62を通って、軸線方向軸受90の下部に至る。これにより、血液の停滞、および血栓形成の発生が低減される。補助流路からの血流は、次にポンピング室18に入り、その後、出口22を通ってポンピング室18から出る。
【0099】
[0132]回転式血液ポンプの実施例を上述の説明において提供しているが、当業者は、本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく、これらの実施例に対する修正および変更を行うことができる。したがって、上述の説明は限定ではなく例示であるものとする。上記に記載した開示は添付の特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲の意味および等価範囲内にある本開示に対する全ての変更は、それらの範囲内に包含されるべきである。
(項目1)
ポンピング室、入口軸線を有する入口、および出口軸線を有する出口を有し、前記入口および前記出口が前記ポンピング室と流体連通している、ハウジングと、
前記ポンピング室内に回転可能に配設されたインペラと、
前記ポンピング室内で前記インペラを支持する軸受機構と、
前記入口で前記ハウジングに接続されて、前記軸受機構の少なくとも一部分を支持する支柱と、を備え、
前記支柱が、前記支柱の主軸および前記出口軸線が前記入口軸線に垂直な断面において所定の角度を規定して、前記支柱の周りを流れる血液に対する損傷を低減または排除するようにして、前記入口軸線を中心にした円周方向位置で前記ハウジングに接続される、遠心血液ポンプ。
(項目2)
前記支柱が、前記入口軸線に垂直な前記断面において、前記ハウジングとの単一の接続点を有する、項目1に記載の遠心血液ポンプ。
(項目3)
前記所定の角度が約15°~約75°である、項目1に記載の遠心血液ポンプ。
(項目4)
前記支柱の少なくとも一部分が涙滴形の断面形状を有する、項目1に記載の遠心血液ポンプ。
(項目5)
前記インペラが、補助流路を規定する少なくとも1つの通路を有する、項目1に記載の遠心血液ポンプ。
(項目6)
前記少なくとも1つの通路が前記出口軸線に実質的に垂直である、項目5に記載の遠心血液ポンプ。
(項目7)
前記血液ポンプの動作中、前記インペラが、血流の第1の部分を前記入口から直接前記出口まで送達し、前記血流の第2の部分を、前記少なくとも1つの通路を介して前記入口から前記出口まで送達する、項目5に記載の遠心血液ポンプ。
(項目8)
前記軸受機構が、
前記インペラと関連付けられた第1の永久磁石、および前記ハウジングと関連付けられた第2の永久磁石を有し、前記第1の永久磁石が前記第2の永久磁石と磁気的に相互作用して、前記ポンピング室内における前記インペラの径方向の位置付けを行う、径方向軸受と、
前記インペラと関連付けられた第1の軸受要素、および前記支柱に接続された第2の軸受要素を備える、軸線方向軸受と、を備える、項目1に記載の遠心血液ポンプ。
(項目9)
前記第1の軸受要素がボール形状であり、前記第2の軸受要素が、前記ボール形状の第1の軸受要素の少なくとも一部分を受けるカップ形状であるか、または前記第2の軸受要素がボール形状であり、前記第1の軸受要素が、前記ボール形状の第2の軸受要素の少なくとも一部分を受けるカップ形状である、項目8に記載の遠心血液ポンプ。
(項目10)
前記第1の軸受要素が宝石軸受である、項目8に記載の遠心血液ポンプ。
(項目11)
前記第2の軸受要素がセラミック材料から作られた、項目8に記載の遠心血液ポンプ。
(項目12)
前記第1の永久磁石が、前記インペラを所定の軸線方向力で前記入口に向かう方向に付勢するように、前記第2の永久磁石に対して軸線方向に所定の距離だけオフセットされる、項目8に記載の遠心血液ポンプ。
(項目13)
前記ポンピング室内で前記インペラを回転させるモータ機構を更に備え、前記モータ機構が、前記インペラと関連付けられた永久磁石ロータと、前記ハウジングと関連付けられた電磁コイルステータとを有する、項目1に記載の遠心血液ポンプ。
(項目14)
遠心血液ポンプであって
ポンピング室、入口軸線を有する入口、および出口軸線を有する出口を有し、前記入口および前記出口が前記ポンピング室と流体連通している、ハウジングと、
前記ポンピング室内に回転可能に配設され、前記入口軸線に実質的に平行な方向に延在する補助流路を規定する少なくとも1つの通路を有する、インペラと、
前記ポンピング室内で前記インペラを支持する軸受機構と、を備え、
前記血液ポンプの動作中、前記インペラが、血流の第1の部分を前記入口から直接前記出口まで送達し、前記血流の第2の部分を、前記少なくとも1つの通路を介して前記入口から前記出口まで送達する、遠心血液ポンプ。
(項目15)
前記補助流路を規定する前記少なくとも1つの通路が前記出口軸線に実質的に垂直である、項目14に記載の遠心血液ポンプ。
(項目16)
前記入口で前記ハウジングに接続されて、前記軸受機構の少なくとも一部分を支持する支柱を更に備え、前記支柱が、前記支柱の主軸および前記出口軸線が前記入口軸線に垂直な断面において所定の角度を規定するようにして、前記入口軸線を中心にした円周方向位置で前記ハウジングに接続される、項目14に記載の遠心血液ポンプ。
(項目17)
前記支柱が、前記入口軸線に垂直な前記断面において、前記ハウジングとの単一の接続点を有する、項目16に記載の遠心血液ポンプ。
(項目18)
前記所定の角度が約15°~約75°である、項目16に記載の遠心血液ポンプ。
(項目19)
前記軸受機構が、
前記インペラと関連付けられた第1の永久磁石、および前記ハウジングと関連付けられた第2の永久磁石を有し、前記第1の永久磁石が前記第2の永久磁石と磁気的に相互作用して、前記ポンピング室内における前記インペラの径方向の位置付けを行う、径方向軸受と、
前記インペラと関連付けられた第1の軸受要素、および前記支柱に接続された第2の軸受要素を備える、軸線方向軸受と、を備える、項目14に記載の遠心血液ポンプ。
(項目20)
前記第1の永久磁石が、前記インペラを所定の軸線方向力で前記入口に向かう方向に付勢するように、前記第2の永久磁石に対して軸線方向に所定の距離だけオフセットされる、項目19に記載の遠心血液ポンプ。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12