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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-17
(45)【発行日】2023-01-25
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20230118BHJP
【FI】
H01L21/306 E
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021513486
(86)(22)【出願日】2019-09-12
(86)【国際出願番号】 JP2019035965
(87)【国際公開番号】W WO2021048983
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2021-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】木下 繁
(72)【発明者】
【氏名】松本 州作
(72)【発明者】
【氏名】川野 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤田 博
(72)【発明者】
【氏名】北村 嘉教
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-195338(JP,A)
【文献】特開2009-238802(JP,A)
【文献】特開平07-161677(JP,A)
【文献】特開平07-022371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液を貯留可能な処理槽と、
複数の半導体基板の表面が略水平方向へ向くように該複数の半導体基板を配列し、前記処理槽内に前記複数の半導体基板を搬送可能な搬送部と、
前記処理槽の下方から前記処理槽の内側方向へ向けて前記液を供給可能な複数の液供給部と、
前記複数の半導体基板の配列の一端側または他端側の少なくとも一方に配置された複数の整流板であって、前記複数の半導体基板の配列方向から見たときに、前記搬送部の両側における前記搬送部と前記処理槽の側壁との間の間隙のうち前記半導体基板上方にある第1間隙領域に設けられた複数の整流板と、を備えた基板処理装置。
【請求項2】
前記複数の整流板の上端は、前記処理槽の上端と同じかそれよりも高い位置にある、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記複数の整流板は、前記複数の半導体基板の配列方向から見たときに、前記第1間隙領域を遮るように設けられている、請求項1または請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記複数の整流板は、前記複数の半導体基板の配列の一端側に配置され、
前記複数の半導体基板の配列の一端側で前記複数の整流板と隣接する半導体基板と前記複数の整流板との間の前記複数の半導体基板の配列方向に沿った距離は、前記複数の半導体基板間の間隔から該間隔の2倍までの間の値である、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記複数の整流板は、
前記複数の半導体基板の配列の一端側に配置され、かつ、前記複数の半導体基板の配列方向から見たときに前記搬送部の両側にそれぞれ配置されている第1整流板および第2整流板と、
前記複数の半導体基板の配列の他端側に配置され、かつ、前記複数の半導体基板の配列方向から見たときに前記搬送部の両側にそれぞれ配置されている第3整流板および第4整流板とを含む、請求項1または請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記複数の半導体基板の配列の一端側で前記第1整流板および第2整流板と隣接する半導体基板と前記第1整流板および第2整流板との間の前記複数の半導体基板の配列方向に沿った距離は、前記複数の半導体基板間の間隔から該間隔の2倍までの間の値である、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記複数の半導体基板の配列の他端側で前記第3整流板および第4整流板と隣接する半導体基板と前記第3整流板および第4整流板との間の前記複数の半導体基板の配列方向に沿った距離は、前記複数の半導体基板間の間隔から該間隔の2倍までの間の値である、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記複数の整流板は、略同一形状を有し、略同一高さに設けられている、請求項1または請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記搬送部は、前記複数の半導体基板を上下方向に移動させることによって前記処理槽内に搬入または搬出し、
前記複数の整流板は、前記搬送部および前記半導体基板に接触しない位置に設けられている、請求項1または請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記第1間隙領域は、前記複数の半導体基板の略中心から上方にあり、
前記複数の整流板の下端は、前記複数の半導体基板の中心近傍の高さ位置にある、請求項1または請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記複数の整流板の下端の一部は、前記複数の半導体基板の外縁と対応した略円弧形状を有する、請求項1または請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記搬送部は、前記複数の半導体基板を下方から支持する支持部と、前記支持部に繋がっており前記複数の半導体基板と対向する搬送板とを含み、
前記搬送板は、前記複数の半導体基板の配列方向から見たときに、前記複数の液供給部から供給される前記液の供給方向の交差位置を含むように開口部を有する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記搬送部は、前記複数の半導体基板を下方から支持する支持部と、前記支持部に繋がっており前記複数の半導体基板と対向する搬送板とを含み、
前記複数の半導体基板の配列に対して前記搬送板とは反対側に設けられている第5整流板をさらに備えた、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記第5整流板は、前記複数の半導体基板の配列方向から見たときに、前記複数の整流板の間に配置される、請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記第5整流板の上辺は、前記複数の半導体基板の処理時に、前記処理槽内の液面よりも上方に位置する、請求項13または請求項14に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記複数の半導体基板の配列に対して前記搬送板側に設けられている第6整流板をさらに備えた、請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記第6整流板は、前記複数の半導体基板の配列方向から見たときに、前記複数の整流板の間に配置される、請求項16に記載の基板処理装置。
【請求項18】
前記搬送部は、前記複数の半導体基板の配列方向に対して略水平面内で直交する方向において該複数の半導体基板の側部を開放している、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項19】
前記複数の半導体基板は、隣接する半導体基板のペアが互いに半導体基板の素子形成面を対向させるように配列されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項20】
前記複数の半導体基板の下方から気泡を供給する複数の気体供給部をさらに備えた、請求項1に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バッチ式の基板処理装置は、半導体基板を処理槽内に収容して、その半導体基板を薬液で処理する。このような基板処理装置は、処理槽内の薬液の濃度等を均一に保つためにその薬液を循環させている。薬液を循環させるために、基板処理装置は、処理槽内のノズルから薬液を供給し、処理槽の上端部からあふれた薬液を回収し、不純物の除去等の処理を行った上で、ノズルから処理槽へ再度供給している。
【0003】
このように薬液を循環させているときに、薬液の流速は、処理槽内の位置によってばらつく。薬液の流速のばらつきは、半導体基板の表面におけるエッチング速度等の処理速度のばらつきの原因となる。また、薬液の流速が遅い領域では、シリカのような副生成物が半導体基板の表面に析出するおそれもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-195338号公報
【文献】特開2006-32673号公報
【文献】特開平7-58078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液の流速のばらつきを抑制することができる基板処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態による基板処理装置は、液を貯留可能な処理槽を備える。搬送部は、複数の半導体基板の表面が略水平方向へ向くように該複数の半導体基板を配列し、処理槽内に複数の半導体基板を搬送可能である。複数の液供給部は、処理槽の下方から処理槽の内側方向へ向けて液を供給可能である。複数の整流板が、複数の半導体基板の配列の一端側または他端側の少なくとも一方に配置されている。複数の整流板は、複数の半導体基板の配列方向から見たときに、搬送部の両側における搬送部と処理槽の側壁との間の間隙のうち半導体基板上方にある第1間隙領域に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態による基板処理装置の構成例を示す斜視図。
図2】第1実施形態による基板処理装置の構成例を示す斜視図。
図3】処理槽内部におけるリフタの側面図。
図4図3の破線円4の拡大図。
図5】処理槽およびリフタの正面図。
図6】整流板の無い基板処理装置の構成を示す断面図。
図7】薬液の流速のシミュレーション結果を示すグラフ。
図8】第2実施形態による処理槽およびリフタの正面図。
図9】第3実施形態による処理槽およびリフタの正面図。
図10】第4実施形態による処理槽およびリフタの正面図。
図11】(A)は開口部が設けられていないリフタを用いた場合の薬液の流速分布を示す図、(B)は開口部が設けられたリフタを用いた場合の薬液の流速分布を示す図。
図12】第5実施形態による処理槽およびリフタの正面図。
図13】第6実施形態による処理槽およびリフタの正面図。
図14】第6実施形態による処理槽およびリフタの側面図。
図15】第7実施形態による処理槽およびリフタの正面図。
図16】第2実施形態および第7実施形態を組み合わせた処理槽およびリフタの正面図。
図17】第8実施形態による処理槽およびリフタの側面図。
図18】薬液供給管と半導体基板との配置関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
(第1実施形態)
図1および図2は、第1実施形態による基板処理装置1の構成例を示す斜視図である。基板処理装置(以下、単に、処理装置という)1は、例えば、バッチ式の洗浄装置、ウェットエッチング装置等のように複数の半導体基板Wを薬液Cに浸漬して処理する装置である。例えば、薬液Cは、熱リン酸溶液であり、半導体基板W上に形成された構造のシリコン窒化膜をエッチングするために用いられ得る。
【0010】
処理装置1は、処理槽10と、気体供給管20と、薬液供給管30a、30bと、リフタ40と、駆動部50と、循環槽60と、気体供給ボンベ70と、コントローラ80と、整流板100a~100dとを備えている。
【0011】
処理槽10は、薬液Cを貯留可能であり、複数の半導体基板Wを略鉛直方向に立てた状態で収容可能である。半導体基板Wは、リフタ40に略鉛直方向に立て掛けるように載置され、処理槽10内にリフタ40とともに収容される。半導体基板Wは、処理槽10に収容されることによって、薬液Cに浸漬される。
【0012】
気体供給部としての気体供給管20は、処理槽10の底部近傍に設けられており、処理槽10内に収容された半導体基板Wの下方に位置する。気体供給管20は、半導体基板Wの下方から薬液Cに気泡を供給する。気体供給管20は、薬液Cの攪拌のために設けられている方が好ましい。しかし、気体供給管20は、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0013】
薬液供給部としての薬液供給管30a、30bは、処理槽10の底部近傍に設けられており、処理槽10内に収容された半導体基板Wの下方に設けられる。薬液供給管30a、30bは、処理槽10の下方から処理槽10の内側方向へ向かって薬液Cを吐出する。薬液供給管30a、30bは、内側方向に向けた薬液Cの供給方向が交差するように薬液Cを供給可能である。図18(A)および図18(B)は、薬液供給管30a、30bと半導体基板Wとの配置関係を示す図である。薬液供給管30a、30bは、隣接する半導体基板W間に薬液Cを供給可能なように半導体基板W間の間隔と略等間隔で配列されたノズル孔Hを有している。半導体基板Wと後で説明するリフタ40の搬送板42との間に薬液Cを供給するノズル孔H、および半導体基板Wと処理槽10の内壁との間に薬液Cを供給するノズル孔Hも略等間隔で配置されている。ノズル孔Hの向きは、全て同じ方向を向いていてもよいが、特に限定しない。但し、隣接する半導体基板W間に薬液Cを供給するノズル孔Hは、同じ方向を向いていることが好ましい。
【0014】
搬送部としてのリフタ40は、支持部41と、搬送板42と、支柱44と、接続板48とを備え、処理槽10内に半導体基板Wを搬送可能に構成されている。支持部41は、半導体基板を略鉛直方向に立て掛けるように(半導体基板Wの表面が略水平方向へ向くように)半導体基板Wを配列し、半導体基板Wの側部(下側端部)を下方から支持する。搬送板42は、支持部41に繋がっており、半導体基板Wのうち搬送板42の近くに配列された半導体基板W1の表面または裏面と対向する。搬送板42と半導体基板W1との距離は、例えば、20mm~40mmである。リフタ40の搬送板42は、支柱44に接続されており、駆動部50によって略鉛直方向D1に移動可能となっている。また、接続板48は、搬送板42とは反対側に設けられており、複数の支持部41を接続し、該支持部41を搬送板42とで挟んで固定している。リフタ40の側部は、半導体基板Wの配列方向D2に対して略水平面内で直交する方向D3において半導体基板Wの側部を開放している。従って、リフタ40は、半導体基板の搬送に用いられる通常のキャリアボックスとは構成が異なる。
【0015】
第1および第2整流板としての整流板100a、100bは、半導体基板Wの配列の搬送板42側に配置されており、第3および第4整流板としての整流板100c、100dは、半導体基板Wの配列の接続板48側に配置されている。整流板100a~100dは、処理槽10の内壁に固定されており、リフタ40をD1方向に上下させたときに、リフタ40および半導体基板Wに接触(干渉)しないように配置されている。整流板100a~100dは、例えば、板形状あるいは四角柱の形状を有し、フッ素樹脂、石英等の耐腐食性のある材料で構成されている。整流板100a~100dのさらなる構成および配置は、後で説明する。
【0016】
循環槽60は、処理槽10から溢れた薬液Cを貯留する。半導体基板Wの処理中において、処理槽10は、薬液Cで満たされており、処理槽10から溢れた薬液Cを循環槽60に回収している。循環槽60内の薬液Cは、図示しない配管、ポンプおよびフィルタを介して薬液供給管30a、30bから処理槽10へ戻される。これにより、薬液Cは、フィルタでろ過されながら、処理槽10と循環槽60との間で循環される。
【0017】
気体供給ボンベ70は、気体供給管20へ気体を供給し、気体供給管20から気泡を供給する。気泡は、薬液Cを攪拌し、薬液C内のリン酸濃度やシリカ濃度を均一化させるために供給される。コントローラ80は、駆動部50、循環槽60、気体供給ボンベ70を制御する。
【0018】
図3は、処理槽内部の側面図である。図4は、図3の破線円4の拡大図である。リフタ40は、複数の半導体基板Wを略鉛直方向D1に立て掛け、それらの表面が略水平方向に向くように配列させている。図4に示すように、支持部41は、複数の半導体基板Wを下方から支持し、半導体基板W間の間隔を所定値にするように溝TRを有する。半導体基板Wは、それぞれ溝TRに受容されほぼ等間隔に配列される。搬送板42は、支持部41に接続されており、支持部41からD1方向に延伸している。リフタ40の下方には、薬液供給管30a、30bおよび気体供給管20が配置されている。尚、隣接する半導体基板Wのペアは、互いに表面(素子形成面)を対向させるように配列され、このように互いに表面が対向した半導体基板Wのペアが半導体基板Wの配列方向D2に沿って、隣接するペア間では半導体基板Wが互いに裏面を対向させるような状態で配列されている。しかし、半導体基板Wの向きは、これに限定されない。
【0019】
また、整流板100a、100bは、半導体基板Wの配列の一端側に配置されており、リフタ40の側方(図1のD3方向)から見たときに、搬送板42と半導体基板Wとの間に位置している。整流板100a、100bは、搬送板42および半導体基板Wに接触しないようにそれぞれから離間している。整流板100a、100bとそれに隣接する半導体基板W1との間のD2方向に沿った距離は、互いに隣接する半導体基板W間の間隔とほぼ同じ(例えば、5mm~10mm)であることが好ましい。しかし、整流板100a、100bと半導体基板W1との間の距離は、互いに隣接する半導体基板W間の間隔より幾分広くてもよい。例えば、整流板100a、100bが搬送板42および半導体基板Wに接触しないように、整流板100a、100bとそれに隣接する半導体基板W1との間のD2方向に沿った距離は、半導体基板W間の間隔からその2倍までの値であることが好ましい。
【0020】
整流板100c、100dは、半導体基板Wの配列の他端側に配置されており、リフタ40の側方(図1のD3方向)から見たときに、接続板48と半導体基板Wとの間に位置している。整流板100c、100dは、接続板48および半導体基板Wに接触しないようにそれぞれから離間している。整流板100c、100dとそれに隣接する半導体基板Wn(nは2以上の整数)との間のD2方向に沿った距離は、互いに隣接する半導体基板W間の間隔とほぼ同じ(例えば、5mm~10mm)であることが好ましい。しかし、整流板100c、100dと半導体基板Wnとの間の距離は、互いに隣接する半導体基板W間の間隔より幾分広くてもよい。例えば、整流板100c、100dが搬送板42および半導体基板Wに接触しないように、整流板100c、100dとそれに隣接する半導体基板Wnとの間のD2方向に沿った距離は、半導体基板W間の間隔からその2倍までの値であることが好ましい。
【0021】
図5は、処理槽およびリフタの正面図である。半導体基板Wの配列方向(図1のD2方向)から見たときに、整流板100a~100dは、D3方向におけるリフタ40の両側に設けられている。
【0022】
整流板100a、100cは、処理槽10の側壁10aに固定されており、リフタ40と側壁10aとの間の間隙Gaに設けられている。整流板100a、100cは、間隙Gaに配置され、かつ、図3のように半導体基板Wと搬送板42または接続板48との間に配置されているので、リフタ40が上下に移動したときにリフタ40本体および半導体基板Wに接触(干渉)しない。
【0023】
整流板100b、100dは、処理槽10の側壁10bに固定されており、リフタ40と側壁10bとの間の間隙Gbに設けられている。整流板100b、100dは、間隙Gbに配置され、かつ、図3のように半導体基板Wと搬送板42または接続板48との間に配置されているので、リフタ40が上下に移動したときにリフタ40本体および半導体基板Wに接触(干渉)しない。
【0024】
薬液Cは、リフタ40または半導体基板Wの中心の斜め下方にある薬液供給管30a、30bのノズル孔から半導体基板Wの略中心に向かって斜め上方に吐出される。このとき、薬液Cは、隣接する半導体基板W間、あるいは、搬送板42と半導体基板Wとの間において方向Da、Dbへ流れる。薬液供給管30aから吐出された薬液Cと薬液供給管30bから吐出された薬液Cは、両供給管からの吐出方向の交差位置Xで衝突し、合流し、上方へ上昇しようとする。
【0025】
ここで、薬液Cの流れについて説明する。図6は、整流板100a~100dの無い基板処理装置の構成を示す断面図である。整流板100a~100dが設けられていない場合、搬送板42近傍の薬液Cは、破線矢印Acのように、交差位置Xから上方へ流れ、半導体基板Wの上端近傍(半導体基板Wの上方にある薬液Cの液面付近)まで流れる。さらに、搬送板42近傍において、半導体基板Wの上端近傍まで上昇した薬液Cは、D3方向の両側の領域Ra、Rbへ流れる。第1間隙領域としての領域Ra、Rbは、間隙Ga、Gbのうち半導体基板Wの略中心より上方にある領域である。D2方向から見て、領域Ra、Rbには、搬送板42は設けられておらず、かつ、搬送板42の片側には半導体基板Wが無い。従って、領域Ra、Rbにおいて、薬液Cは、処理槽10から溢れて循環されるか、あるいは、図6の紙面垂直方向(図2のD2方向のうち搬送板42へ向かう方向)へ流れ易くなっている。
【0026】
接続板48近傍においても、搬送板42近傍と同様のことが言える。例えば、接続板48近傍の薬液Cは、破線矢印Acのように、交差位置Xから上方へ流れ、領域Ra、Rbへ流れる。D2方向から見て、領域Ra、Rbには、接続板48は設けられておらず、かつ、接続板48の片側には半導体基板Wが無い。従って、領域Ra、Rbにおいて、薬液Cは、処理槽10から溢れて循環されるか、あるいは、図6の紙面垂直方向(図2のD2方向のうち接続板48へ向かう方)に流れ易くなっている。
【0027】
よって、搬送板42および接続板48の近傍では、領域Ra、Rbにおける薬液Cは、図6の紙面垂直方向(D2方向)へ回避しやすく、側壁10a、10bに沿って略鉛直下方向(D1方向のうち下方向)へ流れる流速が小さくなる。
【0028】
一方、隣接する半導体基板W間を通過する薬液Cは、半導体基板Wの上端を超えると、領域Ra、Rbへ流れるが、D2方向の両側に半導体基板Wが隣接しているため、領域Ra、Rbにおける薬液Cは、D2方向へ回避し難く、側壁10a、10bに沿って略鉛直下方向(D1方向のうち下方向)へ流れ易い。しかも、領域Ra、Rbにおいて、下方向へ向かうと、半導体基板Wと側壁10a、10bとの間の間隙が小さくなっていくため、薬液Cの流速が速まる。
【0029】
このように、処理槽10内の位置によって、薬液Cの流速が異なる。これは、薬液Cのリン酸濃度またはシリカ濃度のばらつきを大きくする原因となる。リン酸濃度またはシリカ濃度のばらつきは、エッチング速度のばらつき、あるいは、堆積物の付着の原因となる。
【0030】
これに対し、本実施形態による基板処理装置は、図5に示すように、領域Ra、Rbに整流板100a~100dが設けられている。整流板100a、100bは、搬送板42の近傍において、D2方向から見たときに、領域Ra、Rbを遮るように配置されている。これにより、整流板100a、100bは、領域Ra、Rbにおいて、図2のD2方向の搬送板42側へ向かう薬液Cをブロックし、半導体基板W側に留める。その結果、搬送板42近傍において、薬液Cは、領域Ra、Rbから側壁10a、10bに沿って略鉛直下方向へ流れる。
【0031】
整流板100c、100dは、接続板48の近傍において、D2方向から見たときに、領域Ra、Rbを遮るように配置されている。これにより、整流板100c、100dは、領域Ra、Rbにおいて、図2のD2方向の接続板48側へ向かう薬液Cをブロックし、半導体基板W側に留める。その結果、接続板48近傍において、薬液Cは、領域Ra、Rbから側壁10a、10bに沿って略鉛直下方向へ流れる。
【0032】
このように、整流板100a~100dは、搬送板42および接続板48の近傍における薬液Cの流れを、半導体基板Wの配列の中間部分における薬液Cの流れに近づけることができる。
【0033】
整流板100a~100dの上端の位置は、処理槽10の上端または薬液Cの上端と等しいかあるいはそれよりも高い位置にあることが好ましい。これにより、整流板100a~100dは、D2方向から見たときに、領域Ra、Rbの全体に設けられ、搬送板42および接続板48の近傍における薬液Cの流れを、中間部分における薬液Cの流れに近づけることができる。一方、整流板100a~100dの下端の位置は、処理槽10の底部まで設けられていてもよく、リフタ40の搬送板42または接続板48の下端まで設けられていてもよい。また、第2実施形態において説明するように、整流板100a~100dの下端の位置は、半導体基板Wの中心の高さまで上昇させてもよい。尚、薬液Cの流れを半導体基板Wの配列において略均等にするために、整流板100a~100dの形状、大きさ、上端および下端の位置は揃えることが好ましい。
【0034】
図7は、薬液Cの流速のシミュレーション結果を示すグラフである。W1は、半導体基板Wの配列のうち搬送板42に最も近い半導体基板Wを示す。Wnは、半導体基板Wの配列のうち接続板48に最も近い半導体基板Wを示す。Wk(1<k<n)は、半導体基板Wの配列のうち中間に配置された半導体基板Wを示す。図7のグラフは、D2方向から見た半導体基板W1,Wk,Wnのそれぞれについて薬液Cの流速分布を示している。Vcは、領域Ra、Rbから処理槽10の側壁10a、10bに沿って下方へ向かう薬液Cが或る流速で流れている領域を示している。
【0035】
整流板100a~100dが無い場合、半導体基板Wkにおいて、薬液Cが流速Vcで流れている領域はあるものの、半導体基板W1,Wnにおいて、薬液Cが流速Vcで流れている領域は非常に少ない。即ち、整流板100a~100dが無いと、領域Ra、Rbから下方へ向かう薬液Cの流速は、半導体基板Wの配列の端部(搬送板42および接続板48の近傍)とその中間部とで大きく相違することが分かる。
【0036】
一方、整流板100a~100dが設けられている場合、半導体基板W1,Wk,Wnにおいて、薬液Cが流速Vcで流れている領域は同程度に分布している。即ち、整流板100a~100dが設けられている場合、領域Ra、Rbから側壁10a、10bに沿って下方へ向かう薬液Cの流速は、半導体基板Wの配列の位置にさほど依存しないことが分かる。
【0037】
このように、本実施形態によれば、整流板100a~100dを搬送板42および接続板48の近傍の領域Ra、Rbに設けることによって、搬送板42および接続板48の近傍における薬液Cの流速を、半導体基板Wの配列の中間部分における薬液Cの流速に近づけることができる。その結果、薬液Cのリン酸濃度またはシリカ濃度のばらつきを抑制し、エッチング速度のばらつき、あるいは、堆積物の付着を抑制することができる。
【0038】
尚、本実施形態において、整流板100a~100dは、全て設けられている必要は必ずしもなく、少なくともその一部が設けられていてもよい。例えば、整流板100a、100bが設けられ、整流板100c、100dが無い場合であっても、基板処理装置は、本実施形態の効果を或る程度得ることができる。逆に、整流板100c、100dが設けられ、整流板100a、100bが無い場合であっても、基板処理装置は、本実施形態の効果を或る程度得ることができる。
【0039】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態による処理槽およびリフタの正面図である。第2実施形態では、整流板100a~100dの下端の位置が第1実施形態のそれらよりも高い位置にある。整流板100a~100dは、D2方向から見たときに、図6の領域Ra、Rbに設けられていればよい。従って、整流板100a~100dは、半導体基板Wの中心から上方に存在していればよい。即ち、整流板100a~100dの下端は、半導体基板Wの中心近傍の高さ位置にあればよい。
【0040】
整流板100a~100dの下端は、半導体基板Wの中心よりも高い位置にあっても、或る程度、本実施形態の効果は得られる。しかし、本実施形態の効果を充分に発揮するために、整流板100a~100dは、D2方向から見たときに、図6の領域Ra、Rbの全体に設けられることが好ましい。
【0041】
(第3実施形態)
図9は、第3実施形態による処理槽およびリフタの正面図である。第3実施形態では、整流板100a~100dの形状が、D2方向から見たときに、図6の領域Ra、Rbと略等しく形成されている。即ち、整流板100a~100dの下端の一部は、半導体基板Wの外縁に沿って略円弧形状に成形されている。このような形状であっても、整流板100a~100dは、D2方向から見たときに、図6の領域Ra、Rbを塞ぐことができる。従って、第3実施形態も、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0042】
(第4実施形態)
図10は、第4実施形態による処理槽およびリフタの正面図である。第4実施形態では、D2方向から見たときに、交差位置Xを含む搬送板42の中心部に開口部43が設けられている。開口部43を有することによって、搬送板42と半導体基板Wとの間に流れる薬液Cの一部が開口部43を通過して搬送板42の外側へ流れ、搬送板42と半導体基板Wの間を上方向に流れる薬液Cの流速は抑制される。従って、搬送板42と半導体基板Wとの間を上へ通過する薬液Cの流速は抑制される。その結果、搬送板42と半導体基板Wとの間を上へ通過する薬液Cの流速は半導体基板W間を通過する薬液Cの流速とあまり変わらなくなる。これにより、薬液Cのリン酸濃度またはシリカ濃度のばらつきを抑制し、エッチング速度のばらつき、あるいは、堆積物の付着を抑制することができる。
【0043】
図11(A)は、開口部43が設けられていないリフタ40を用いた場合の薬液Cの流速分布を示す図である。図11(A)および図11(B)において、白色に近い部分は、薬液Cの流速が遅いことを示し、黒色に近い部分は、薬液Cの流速が速いことを示している。尚、図11(A)および図11(B)は、D3方向の半導体基板Wの中心部における薬液Cの様子を示す。
【0044】
図11(A)の円CAで示されているように、開口部43が設けられていない場合、半導体基板W1の上端部近傍において、薬液Cの流速が他の部分よりも非常に速くなっている。これは、半導体基板W1と搬送板42との間に流入する薬液Cの逃げ場が少ないため、その薬液Cが半導体基板W1の上端部に達すると、半導体基板W1の上端部の上方を搬送板42とは逆方向へ勢いよく流れるためである。これにより、薬液Cは、矢印A1のように流れる。これは、薬液Cのリン酸濃度またはシリカ濃度のばらつきを大きくする原因となる。
【0045】
図11(B)は、開口部43が設けられたリフタ40を用いた場合の薬液Cの流速分布を示す図である。
【0046】
図11(B)の円CBで示されているように、開口部43が設けられている場合、半導体基板W1の上端部近傍において、薬液Cの流速は、さほど速くなっていない。これは、半導体基板W1と搬送板42との間に流入する薬液Cの一部が開口部43を通ってリフタ40の外側へ流出しているからである。従って、半導体基板W1の上端部の上方を流れる薬液Cの流速は、比較的遅くなり、他の部分における流速と同等になっている。これにより、薬液Cのリン酸濃度またはシリカ濃度のばらつきを抑制し、半導体基板の処理速度(例えば、エッチングレート)のばらつきを抑制することができる。このように、本実施形態によるリフタ40は、搬送板42に開口部43を有していてもよい。
【0047】
第4実施形態は、第2または第3実施形態による整流板100a~100dと組み合わせてもよい。
【0048】
(第5実施形態)
図12は、第5実施形態による処理槽およびリフタの正面図である。第5実施形態では、整流板100cと整流板100dとの間に、第5整流板としての整流板110が設けられている。整流板110は、半導体基板Wの配列において搬送板42とは反対側に設けられている。整流板110は、リフタ40の支持部41に接続されていてもよく、あるいは、処理槽10の壁面に固定されていてもよい。整流板110は、半導体基板Wと同様にリフタ40の支持部41上に載置されていてもよい。整流板110の下端は、半導体基板Wと同様の略円弧形状を有し、半導体基板Wの下部に沿った形状を有する。整流板110の両側辺は略鉛直方向に直線状に延伸している。整流板110のD3方向の幅は整流板100cと整流板100dとの間の間隔と同じかそれよりも幾分狭くなっている。これにより、整流板110は、整流板100c、100dと干渉することなく、リフタ40とともに移動することができる。さらに、整流板110の上辺は、略水平方向に直線状に延伸している。整流板110の上辺の高さは、処理槽10の上端の高さまたは薬液Cの液面の高さと等しいかそれよりも低くてもよい。
【0049】
整流板110は、D3方向から見たときに、整流板100a~100dよりも半導体基板Wに近い位置に配置してもよく、整流板100a~100dとほぼ同じ位置に配置されてもよい。
【0050】
整流板110は、半導体基板Wの配列において、搬送板42と対向する位置に配置される。これにより、搬送板42近傍の半導体基板W1と整流板110近傍の半導体基板Wnとの間で、薬液Cの流れの状態を近づけることができる。また、第5実施形態は、整流板100a~100dを有するので、第1実施形態の効果も得ることができる。整流板110は、整流板100a~100dと同様に間隙Ga、Gbを遮るので、間隙Ga、Gbを貫くD2方向の薬液Cの流れをさらに抑制することができる。
【0051】
尚、整流板110の下端の形状は、特に限定されず、略直線状等であってもよい。また、第5実施形態は、第2または第3実施形態による整流板100a~100dと組み合わせてもよい。さらに、第5実施形態は、第4実施形態による開口部43を搬送板42に設けてもよい。これにより、第5実施形態は、第2~第4実施形態のいずれかの効果をさらに得ることができる。
【0052】
(第6実施形態)
図13は、第6実施形態による処理槽およびリフタの正面図である。図14は、第6実施形態による処理槽およびリフタの側面図である。第6実施形態では、整流板100cと整流板100dとの間に、第5整流板としての整流板115が設けられている。図14に示すように、整流板115は、半導体基板Wの配列において搬送板42とは反対側に設けられている。整流板115は、処理槽10の壁面に固定されている。整流板115は、D3方向から見たときに、接続板48と処理槽10の壁面との間に位置する。整流板115の下辺は、半導体基板Wの処理時において、半導体基板Wよりも下方に位置している。また、整流板115は、半導体基板Wの処理時において、処理槽10内の薬液Cの液面よりも高い位置まで延伸しており、その上辺は、搬送板42の上辺と同様に薬液Cの液面より上方に位置している。
【0053】
整流板115の上辺は、整流板100cの近傍から整流板100dの近傍までD3方向のほぼ全体にわたって薬液Cの液面より上方に位置している。即ち、整流板115の上辺は、間隙Ga、Gbの間のほぼ全体において、薬液Cの液面より上方に位置している。
【0054】
整流板115のD3方向の幅は、整流板100cと整流板100dとの間の間隔と同じかそれよりも幾分狭くなっている。整流板115のD3方向の幅は、搬送板42のそれとほぼ同じでよい。図13に示すように、図14のD2方向から見たときに整流板115は、整流板100cと整流板100dとの間に配置されている。
【0055】
整流板115は、半導体基板Wの配列において、搬送板42と対向する位置に配置される。図14に示すように、整流板115と整流板100c、100dとの間の間隔または整流板115と半導体基板Wnとの間の間隔は、搬送板42と整流板100a、100bとの間の間隔または搬送板42と半導体基板W1との間の間隔とほぼ同じである。これにより、搬送板42近傍の半導体基板W1と整流板115近傍の半導体基板Wnとの間で、薬液Cの流れの状態をほぼ等しくすることができる。
【0056】
また、整流板115は、間隙Ga、Gbの間の全体において、薬液Cの液面より上方に位置しているので、整流板115、100c、100dは、薬液Cが処理槽10から図14の左方向へ溢れ出ることを抑制する。一方、搬送板42、100a、100bは、薬液Cが処理槽10から図14の右方向へ溢れ出ることを抑制する。これにより、半導体基板W1~Wnの上端近傍(半導体基板Wの上方にある薬液Cの液面付近)において、図14のD2方向の薬液Cの流れを抑制することができる。また、第6実施形態は、整流板100a~100dを有するので、第1実施形態の効果も得ることができる。
【0057】
尚、第6実施形態は、第2または第3実施形態による整流板100a~100d、あるいは、第5実施形態の整流板110と組み合わせてもよい。さらに、第6実施形態は、第4実施形態による開口部43を搬送板42に設けてもよい。これにより、第6実施形態は、第2~第5実施形態のいずれかの効果をさらに得ることができる。
【0058】
(第7実施形態)
図15は、第7実施形態による処理槽およびリフタの正面図である。第7実施形態は、整流板115の下辺が第6実施形態のそれよりも高い位置にある点で第6実施形態と異なる。整流板115は、図示しないが、処理槽10の壁面に固定されていればよい。第7実施形態のその他の構成は、第6実施形態の対応する構成と同様でよい。
【0059】
第7実施形態による整流板115であっても、整流板115は、間隙Ga、Gbの間のほぼ全体において、薬液Cの液面より上方に位置しているので、整流板115、100c、100dは、薬液Cが処理槽10から半導体基板Wの配列方向の一方側方向へ溢れ出ることを抑制し、半導体基板Wの上端近傍において、半導体基板Wの配列方向の薬液Cの流れを抑制することができる。第7実施形態は、その他、第6実施形態の効果も得ることができる。また、第7実施形態は、整流板100a~100dを有するので、第1実施形態の効果も得ることができる。
【0060】
尚、第7実施形態も、第2または第3実施形態による整流板100a~100d、あるいは、第5実施形態の整流板110と組み合わせてもよい。さらに、第7実施形態は、第4実施形態による開口部43を搬送板42に設けてもよい。これにより、第7実施形態は、第2~第5実施形態のいずれかの効果をさらに得ることができる。
【0061】
例えば、第7実施形態による整流板115を第2実施形態に適用した場合、図16に示す構成となる。図16は、第2実施形態および第7実施形態を組み合わせた処理槽およびリフタの正面図である。整流板115の下辺は、整流板100c、100dの下端とほぼ等しい高さでもよい。このような構成であっても、第7実施形態の効果は失われない。
【0062】
(第8実施形態)
図17は、第8実施形態による処理槽およびリフタの側面図である。第8実施形態では、図17のD2方向から見て整流板100aと整流板100bとの間に、第6整流板としての整流板120がさらに設けられている。第8実施形態のその他の構成は、第5実施形態と同様でよい。従って、図17のD2方向から見て整流板100cと整流板100dとの間に、整流板110が設けられている。
【0063】
整流板120は、半導体基板Wの配列において搬送板42側に設けられている。整流板120は、リフタ40の支持部41に接続されていてもよく、あるいは、半導体基板Wと同様にリフタ40の支持部41上に載置されていてもよい。D2方向から見たときに、整流板120の形状は、例えば、図12に示す整流板110の形状と同じでよい。従って、整流板120の下端は、半導体基板Wと同様の略円弧形状を有し、半導体基板Wの下部に沿った形状を有する。整流板120の両側辺は略鉛直方向に直線状に延伸している。整流板120のD3方向の幅は整流板100aと整流板100bとの間の間隔と同じかそれよりも幾分狭くなっている。さらに、整流板120の上辺は、略水平方向に直線状に延伸している。整流板120の上辺の高さは、処理槽10の上端の高さまたは薬液Cの液面の高さと等しいかそれよりも低くてもよい。
【0064】
整流板120は、半導体基板Wの配列において、搬送板42と半導体基板Wとの間に配置される。整流板120とそれに近接する半導体基板W1との間の距離は、整流板110とそれに近接する半導体基板Wnとの間の距離にほぼ等しい。これにより、整流板120近傍の半導体基板W1と整流板110近傍の半導体基板Wnとの間で、薬液Cの流れの状態をほぼ等しくすることができる。また、第8実施形態は、整流板100a~100dを有するので、第1実施形態の効果も得ることができる。整流板110は、整流板100a~100dと同様に間隙Ga、Gbを遮るので、間隙Ga、Gbを貫くD2方向の薬液Cの流れをさらに抑制することができる。
【0065】
尚、整流板120の下端の形状は、特に限定されず、略直線状等であってもよい。また、第8実施形態は、第6または第7実施形態と組み合わせてもよい。即ち、第6または第7実施形態において、整流板120が、半導体基板Wの配列において搬送板42側に設けられてもよい。この場合、D2方向から見たときに、整流板120の形状および取付け方法は、第6または第7実施形態それぞれの整流板110の形状および取付け方法とほぼ同じにすることが好ましい。これにより、D2方向における薬液Cの流れの対称性が向上するからである。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0067】
1 処理装置、10 処理槽、20 気体供給管、30a,30b 薬液供給管、40 リフタ、50 駆動部、60 循環槽、70 気体供給ボンベ、80 コントローラ、100a~100d,110,120 整流板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図18