(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-17
(45)【発行日】2023-01-25
(54)【発明の名称】スクリーン印刷装置、及び、方法
(51)【国際特許分類】
A61F 5/443 20060101AFI20230118BHJP
【FI】
A61F5/443
(21)【出願番号】P 2021531542
(86)(22)【出願日】2020-03-10
(86)【国際出願番号】 GB2020050566
(87)【国際公開番号】W WO2020201690
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-06-02
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516159043
【氏名又は名称】トリオ ヘルスケア リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TRIO HEALTHCARE LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ピアース,ロイド
(72)【発明者】
【氏名】リー,スチュワート
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-117543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/443
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン材料を有して粘着性の皮膚接触可能な多層の構成要素の層を製造する方法であって、
前記シリコーン材料が、液体、又は、流動性ゲルである間に、前記シリコーン材料を、貯蔵器から印刷ヘッドの分配用ノズルへ配送し、
前記貯蔵器は、第1貯蔵器、及び、別個の第2貯蔵器を含み、前記第1貯蔵器、及び、第2貯蔵器の両方共が、混合用本体へ接続され、前記シリコーン材料が、前記第1貯蔵器、及び、第2貯蔵器から、前記混合用本体を介して、前記分配用ノズルへ流れるように、前記混合用本体が前記分配用ノズルに接続され、
前記シリコーン材料は、ビニルシロキサンポリマーを含む第1部分、及び、架橋剤を含む水素化ケイ素(Si-H)を含む第2部分から形成され、前記第1貯蔵器、及び、第2貯蔵器内にそれぞれ貯蔵されること、
前記シリコーン材料が、テンプレートの通過を可能にするように、少なくとも1つの開口部を有する前記テンプレート上に、前記シリコーン材料を分配し、前記シリコーン材料が、所定の投与量で前記ノズルへ配送され、前記ノズルから分配されること、
前記シリコーン材料を、ワイパーブレードを使用して、前記テンプレート上に広げ、前記シリコーン材料を、前記開口部から基板上に堆積させ、前記シリコーン材料が、前記テンプレート上に分配され、前記開口部を通過することができるときに、前記基板を前記印刷ヘッドの下に、実質的に静止状態に維持し、前記基板は、前記印刷ヘッドに対して、前記基板を直線的に移動することを可能にするように、コンベヤー構成部に提供されるか、又は、コンベヤー構成部の一部分であること、
前記基板上に堆積された前記シリコーン材料を、前記印刷ヘッドの下の位置から、加熱ジャケット/オーブンに直線的に搬送することと、及び、
前記シリコーン材料を、前記基板上に硬化させて接着して前記粘着性の皮膚接触可能な多層の構成要素を形成するために、前記加熱ジャケット/オーブンの前記基板上の前記シリコーン材料を、前記シリコーン材料の硬化温度又は前記硬化温度以上の温度に加熱すること、
を包含する
上記方法。
【請求項2】
前記シリコーン材料が、前記開口部を通過することを可能にする工程が、前記開口部を横切って延在する網目スクリーンを介して、前記シリコーン材料を通過させること、を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記網目スクリーンの網目サイズは、x方向、及び、y方向の両方において、直線的(リニア)にcm当たり20~100、30~90、30~80、30~70、又は、40~60本の糸の範囲にある、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記シリコーン材料を、前記ノズルから前記テンプレート上に分配する間に、前記テンプレート、及び、前記スクリーンを、前記基板に対して上下させること、を包含する、請求項2、又は、3に記載の方法。
【請求項5】
前記テンプレートが、前記基板に対して持ち上げられた後、前記印刷ヘッドの下の位置から、前記基板上に線形的に堆積された、前記シリコーン材料を搬送すること、を更に包含する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記シリコーン材料を、30秒~5分、1分~5分、2分~5分、又は、2分~4分の範囲の硬化時間の間、ゲル温度より上に維持すること、を包含する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
乾燥時間の間、硬化シリコーン材料を、乾燥器内で前記硬化温度より低く、且つ、20℃を超える温度で乾燥させること、を更に包含する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記シリコーン材料を乾燥する工程の後に、張力印加装置を用いて、前記基板に張力を生じさせること、を包含する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記基板に張力をかける工程の後に、前記基板上に置かれた前記シリコーン材料の露出面に、剥離ライナーを施与する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記基板に張力をかける工程の後に、前記シリコーン材料と接触する表面と反対側の前記基板の露出面に、支持層を施与すること、を更に包含する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
多層積層ディスクを作成するために、前記粘着性の皮膚接触可能な多層の構成要素を、切断すること、トリミングすること、スタンピングすること、又は、パンチングすること、を更に包含する、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記基板は、ポリウレタン(PU)フィルムであり、前記方法は、前記粘着性の皮膚接触可能な多層の構成要素を形成する為に、前記切断すること、トリミングすること、スタンピングすること、又は、パンチングすること、の前に、
・前記シリコーンの露出した層の表面に剥離ライナー層を付着すること又は積層すること、
・前記ポリウレタン(PU)フィルムの下側表面にポリエチレン(PE)2次基板層を付着すること又は積層すること、
を更に包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記コンベヤ
ー構成部は、基板供給ローラー、及び、基板収集ローラーを含む一対のローラーの間に延在する前記基板から形成される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記加熱ジャケット/オーブンは、前記各ローラー間に延在する基板の少なくとも一部分を取り囲むように構成されている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
シリコーン材料を有して粘着性の皮膚接触可能な多層の構成要素の層を製造する装置であって、
第1貯蔵器、及び、別個の第2貯蔵器であり、前記第1貯蔵器、及び、第2貯蔵器の両方共が、混合用本体へ接続され、前記混合用本体が、印刷ヘッドに置かれ、且つ、前記シリコーン材料を分配するために、前記前記第1貯蔵器、及び、第2貯蔵器へ、前記混合用本体を介して接続され
た液体の分配用ノズルに接続され、前記第1貯蔵器は、ビニルシロキサンポリマーを含む前記シリコーン材料の第1部分を含み、前記第2貯蔵器は、架橋剤を含む水素化ケイ素(Si-H)を含む第2部分を含む、前記第1貯蔵器、及び、第2貯蔵器と、
前記シリコーン材料を分配するために、印刷ヘッドに配置され、前記第1貯蔵器、及び、第2貯蔵器に接続された液体の分配用ノズル、
前記シリコーン材料が、テンプレートを通って流れることを可能にするための、少なくとも1つの開口部を有し、前記シリコーン材料が、所定の投与量で前記ノズルへ配送でき、前記ノズルから分配できる、前記テンプレート、
前記シリコーン材料を、前記テンプレート上に広げるワイパーブレードであり、前記シリコーン材料を、前記開口部から基板上に堆積させ、前記基板は、前記印刷ヘッドに対して、前記基板を直線的に移動することを可能にするように、コンベヤー構成部に提供されるか、又は、コンベヤー構成部の一部分である、ワイパーブレード、及び、
前記基板上の前記シリコーン材料を、前記シリコーン材料の硬化温度又は前記硬化温度以上の温度に加熱し、前記基板に硬化させて接着し、前記粘着性の皮膚接触可能な多層の構成要素を形成させる、加熱ジャケット/オーブン、
を備えている
上記装置
【請求項16】
前記基板に対して、前記印刷ヘッドを上下させるための作動機構、を更に備えている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記シリコーン材料の前記ノズルへの配送速度、及び/又は、体積を制御するために、前記第1貯蔵器に結合された第1のポンプ、及び、前記第2貯蔵器に結合された第2のポンプ、を備えている、請求項15又は16に記載の装置。
【請求項18】
前記コンベヤー構成部は、前記基板の第1の供給ロール、及び、空間的に分離された前記基板の第2の収集ロール、及び、
少なくとも前記第1、又は、第2のロールに結合された駆動手段であって、前記基板の直線的部分が、前記第1と第2のロールとの間に延在し、且つ、前記印刷ヘッド、及び、前記テンプレートは、前記直線的部分の領域に隣接して配置されている、前記駆動手段、
を含む、請求項15~17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの開口部を横切って延在する網目スクリーンを、更に備えている、請求項15~18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記網目スクリーンの穴、又は、開口部のサイズは、200~1500μm、300~1400μm、400~1300μm、500~1200μm、600~1000μm、700~1000μm、800~900μmの範囲内である、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
請求項1~14のいずれか1項に記載の方法、又は、請求項15~20のいずれか1項に記載の装置、によって製造された、シリコーン材料層。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーン材料の層を製造するための方法、及び、装置、特に、しかし他を除外する意図でなく、シリコーン材料を基板上にスクリーン印刷するための装置、及び、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病状、例えば、オストミー(ostomy:人工排泄口などの造設手術)、床擦れ、瘻孔、慢性、及び、急性の創傷、滲出性の高い創傷、並びに便失禁などは、体液と老廃物の管理を必要とする。そのような管理は、創傷の治癒ために、及び、オストミーや便失禁の場合に生活の質を維持するために重要である。そのような状態を管理するために用いられる器具、又は、装具は、皮膚接着剤を用いて身体に固定されうる。この皮膚接着剤はまた、静脈流体ラインを固定する用途も見出しており、インスリンポンプもこれにより身体に固定される。
【0003】
オストミーの場合、収集バッグと接着ウエハー(別々の物品、又は、組み合わせた物品として)が、ストーマ(人口排泄口)廃棄物を管理するために、接着ウエハーを介してストーマ周囲の皮膚に取り付けられる。解剖学的輪郭、皮膚のひだ、又は、しわ、不規則な形状のストーマ、外科的瘢痕などのために、オストミー器具又は装具を腹部ストーマにしっかりと取り付けることは困難である。接着剤の接着性は、器具の使用中、確実に維持されなければならない一方、器具の交換、又は、取り外し時には、接着剤は外傷を引き起こすことなく皮膚から除去される必要がある。非外傷性の除去が行えることと確実な接着との間のこのバランスは、病状の管理を成功させるのに重要である。ストーマ流出物からストーマ周囲の皮膚を保護するために、オストメイト(ostomate:造設手術を受けた人)は、ストーマ周囲の皮膚の周りに堰き止め(dam)、又は、ガスケットを形成する接着ディスク(例えば、粘着シール、又は、成形可能リング)を用いる。これらの接着ディスクは、ストーマの周りに適合するように引き伸ばされ、皮膚に接着するように押し下げられる。次に、オストミーウエハー、又は、バッグをこの接着ガスケットの上に配置する。したがって、そのような接着リングの重要な特性には、低い弾性で伸び、それらの形状を維持し、皮膚への高い付加性、及び、接着性を備え、並びにオストミー装具によく接着する能力が含まれる。
【0004】
創傷ケアの場合、包帯は滲出液を管理し、創傷の治癒を促進するために用いられる。傷は体のどの部分にも発生する可能性があり、場所によっては、傷に包帯を付けるのが難しいことがよくある。同様の問題は、瘻孔、肛門周囲の皮膚、及び、便失禁の管理においても発生し、身体の解剖学的構造により、滲出液管理装置をしっかりと接着、又は、取り付けることが困難になる。多量に滲出する創傷に使用される陰圧閉鎖療法(NPWT:negative pressure wound therapy)システムにおいては、真空吸引が包帯に適用されて、滲出液を創傷床、及び、包帯から移動させる。そのような包帯を創傷周囲領域に固定することは、負圧勾配を達成するために重要である。
【0005】
皮膚接着剤として使用されるいくつかの市販の粘着剤(PSA:pressure sensitive adhesives)があり、それらは、スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、ポリエチレン、ポリ(エチレン酢酸ビニル)(EVA:ethylene-vinyl acetate)、アクリル、及び、ポリウレタン化学に基づく。PSAは一般に、弾性であるよりも粘弾性である。弾性‐粘弾性特性のバランスにより、皮膚粘着剤として、また装具を身体に固定するのに役立つ。シリコーンベースの皮膚適合装具の例は、米国特許US 8,439,884号、US 7,842,752号、US 8,124,675号、US 8,545,468号、国際特許出願公開 WO 2012/003028、米国特許US 7,071,268号、及び、米国出願2013/0096522号に開示されている。
【0006】
シリコーン粘着剤の従来の製造方法は、通常、シリコーン材料の比較的大きな層を硬化し、次いで、大きな硬化シリコーン層から所望の形状に切断、及び/又は、打ち抜くという多段階プロセスである。すでに硬化したシリコーン材料は再利用できないため、このプロセスには通常無駄がある。これは、代替の親水コロイドベースのシステムの製造とは対照的である。したがって、必要とされるのは、これらの問題に対処するシリコーンベースの皮膚接触可能装具を製造する方法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、粘着性の皮膚接触可能な構成要素を製造するための装置、及び、方法を提供することであり、特に、限定的ではないが、皮膚の所定の位置に取り付けられたときに向上した湿気管理を示すように構成されたオストミー結合要素、又は、構成を提供することである。さらなる目的は、処理時間、使用される材料、及び、エネルギー消費に関して効率的なシリコーンベースの皮膚接触可能構成要素の製造方法、及び、装置を提供することである。
【0008】
さらに具体駅な目的は、典型的には1mmオーダーの薄いシリコーンベースの材料層を製造するための製造方法、及び、装置を提供することである。さらなる目的は、多層積層構造を提供するために、類似、又は、異なる材料の追加層に結合、又は、積層することができるシリコーン層材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、スクリーン印刷製造方法、及び、装置であって、液相、又は、ゲル相のシリコーン材料が印刷ヘッド、及び、基板上に配送されこの基板上で硬化させることができるものを介して実現される。この方法、及び、装置は、流動性シリコーン材料が配送されて、所定の形状(例えば、環状ディスク、円形ディスクなど)の基板上に所定の体積のシリコーン材料を堆積させるテンプレートを含む。本発明の方法、及び、装置は、凝縮硬化性材料、及び、付加硬化性材料を含む様々な異なるタイプのポリマー材料と互換性がある。本装置、及び、方法は、好ましくは、ビニル官能化シロキサンポリマーを含む第1部分、及び、架橋剤を含む水素化ケイ素を含む第2部分を有し、金属触媒の存在下で硬化可能な2つの部分を有する2つの部分の付加硬化シリコーン材料に適合される。任意選択的に、そのようなシリコーンポリマー材料は、超吸収性微粒子(SAP:superabsorbent particulate)と、さらなる添加剤(例えば、シリコーン層の水蒸気透過率(MVTR:moisture vapour transmission rate)を選択的に調整するための透過性修飾ポリマー、及び、添加剤)を含みうる。好ましくは、本装置、及び、方法は、熱硬化されたシリコーン材料の処理に適合されている。任意選択的に、本装置、及び、方法は、赤外線、又は、紫外線を介して硬化可能な放射線硬化性シリコーン材料の処理のために構成されうる。
【0010】
本発明の第1の形態によれば、シリコーン材料の層を製造する方法であって:上記シリコーン材料が液体、又は、流動性ゲルである間に、上記シリコーン材料を貯蔵器から印刷ヘッドの分配用ノズルに配送すること;上記シリコーン材料がテンプレートを通過することを可能にするように、少なくとも1つの開口部を有する上記テンプレート上に上記シリコーン材料を分配すること;上記シリコーン材料を上記開口部から基板上に堆積させること;及び、上記シリコーン材料が層として上記基板上で硬化することを可能にすること;を包含する上記方法が提供される。
【0011】
本仕様内での「印刷ヘッド」への言及は、流体分配用構成部であって、その内部で分配用ノズルが接続チューブなどを介して貯蔵器から供給され、いくつかの異なる方向に、そして任意選択的には、1つ、2つ、又は、3つの面内で、移動可能である印刷ヘッドを有するもの、を包含する。
【0012】
本仕様内での「スクリーン、又は、スクリーンアセンブリ」への言及は、液体、又は、流動性ゲル、又は、液相材料を受け取るように、且つ、スクリーン、及び、テンプレート配置を介して印刷ヘッドから基板上にこの材料の堆積を可能にするように適合された配置を包含する。
【0013】
本方法は、所定の量のシリコーンを印刷ヘッドを介してスクリーンアセンブリに配送し、続いて、基板上に所定の形状、及び、厚さに従って堆積させるのに有利である。ポンプ構成、ポンプ、又は、好ましくは複数のギアポンプは、所定の投与量、及び、速度に従って、少なくとも1つの貯蔵器からノズルへの液体シリコーン材料の流れを制御するように動作可能である。上記印刷ヘッドは、堆積した流動性シリコーン材料をテンプレート上で拭くためのワイパーブレードを含み、又は、携行できる。任意選択的に、上記ワイパーブレードは、装置の独立した構成要素であり得、少なくとも1つのアクチュエータ(例えば、電気機械式の、又は、水圧電気式のアクチュエータ)を介して独立して制御可能でありうる。
【0014】
本発明の方法、及び、そのための形態は、理解されるように、従来のコンピュータシステム、プリント回路板、マイクロプロセッサなどを介して完全な自動化、及び、電子制御が可能である。本方法、及び、装置は、適切な通信ポート/モジュール、及び、データ転送コンポーネント、及び、管理システムを介して、ローカルに、又は、遠隔で制御することができる。シリコーン材料の層を製造する方法は、好ましくは、ワイパーブレードを使用してテンプレート上にシリコーン材料を広げることをさらに含む。この方法は、1、又は、複数のワイパーブレードを使用することを含みうる。ブレードと印刷ヘッドは、基板上の印刷されたシリコーン層の体積と厚さを制御することができる。本発明の方法、及び、装置は、100μm~2mm、100μm~1.5mm、200μm~1500μm、500μm~1500μm、又は、600μm~1400μmの範囲でありうる様々な厚さのシリコーンベースの材料層を印刷することができる。
【0015】
任意選択的に、上記貯蔵器は、第1貯蔵器、及び、別個の第2貯蔵器を含み、第1、及び、第2貯蔵器の両方共に、分配用ノズルに接続されている混合用本体に接続され、上記混合用本体を介してシリコーン材料が上記第1、及び、第2貯蔵器から上記分配用ノズルへ流れる。上記第1、及び、第2貯蔵器からのシリコーン材料の配送は、印刷ヘッドに分配される第1、及び、第2部分のシリコーン材料の相対量を制御するように独立して動作することができる1、又は、複数のポンプによって提供される。
【0016】
任意選択的に、混合用本体は、スタティックミキサー(静止型混合器)、及び、任意選択的にらせん式スタティックミキサーを含み、そこでは均質な(単相)液体、又は、ゲルを分配するように、少なくとも2つの流体が上記ミキサー本体内で混合されうる。好ましくは、上記ミキサーは、ポンプを介して貯蔵器から直接供給される。好ましくは、上記シリコーン材料は、上記第1、及び、第2貯蔵器内にそれぞれ貯蔵された第1部分、及び、第2部分から形成される。好ましくは、上記第1部分は、ビニル官能化シロキサンポリマー、及び、触媒を含み、第2部分は、架橋剤を含む水素化シリコーンを含む。任意選択的に、上記第1、及び、第2部分は、さらなる成分、及び、添加剤(例えば、透過性修飾ポリマー、MVTR修飾成分、有機ケイ素樹脂、MQ樹脂、粘着性強化剤、及び/又は、充填剤)を含みうる。
【0017】
好ましくは、上記シリコーン材料は、アルケニル置換ポリジオルガノシロキサン(好ましくは、シリコン結合ビニル、アリル、又は、ヘキセニル基を有するポリジメチルシロキサン)と、シリコン結合水素原子を含むオルガノシロキサン、及び、SiH基のSi-アルケニル(SiVi)基との反応のための触媒(例えば、白金金属、又は、その化合物若しくはその錯体)とを反応させることによって得られる加硫シリコーンポリマーである。SiVi:SiHの比率は10:1から1:10にすることができる。SiVi:SiHの好ましい比率は、1:1である。反応するシリコーンの比率を1:1の比率から変更すると、層の粘着特性が変わりうる。より固く、より低い粘着性のゲルが必要な場合、SiH成分はSiViよりも高く、より高い粘着性を有するより柔らかい層が必要な場合、SiVi成分はSiHよりも高くなりうる。シリコーン組成物は、周囲温度で硬化されうるが、硬化時間は、約40℃~約150℃の高温にさらすことによって短縮できる。そのようなシリコーンポリマー前駆体の非限定的な例には、Dow Corning Corporation(ダウコーニング社)のソフトスキン接着剤Soft Skin Adhesives SSAMG-7--1010、SSA 7-9900、7-9950、Wacker Chemicals Corporation(ワッカー化学社)のSilpuran(商標)2114、2117、2122、2130、2140、2142、及び、それらの組み合わせ、SilGel(商標)612、が含まれる。本開示によれば、親水性基を含有するシリコーンは、ポリジメチルシロキサン骨格上に、極性基(例えば、酸、アミド、アミノ、スルホニル、カルボキシル、ホスフェート、ホスホネートなど)を含みうる。これらの基はイオン形態で存在しうる。
【0018】
好ましくは、有機シリコーン樹脂は、添加硬化の前に上記第1、又は、第2部分に含まれる。好ましくは、有機シリコーン樹脂は、MQ樹脂である。有機シリコーン樹脂と特にMQ樹脂とは、接着性の粘性と剥離/除去特性の間の望ましいバランスを提供するのに有利である。任意選択的に、MQ樹脂は、少なくとも1つの反応性基(例えば、ヒドロキシル、アルコキシ、水素化物、又は、ビニル官能基)を有する。シリコーン樹脂は、RnSiXmOyの一般式を有するケージ状オリゴシロキサンを含み得る。ここで、Rは非反応性置換基、通常は、Me、又は、Phであり、Xは官能基、H、OH、ビニル、又は、ORである。これらの基はさらに凝縮されて、得られる架橋ポリシロキサンネットワークを強化、又は、寄与する。商業的に入手可能なMQ樹脂の非限定的な例は、Wacker Chemical Corporation(ワッカー化学社)のMQ-RESIN POWDER 803 TF、Gelest Inc.(ゲレスト社)のVQM-135、VQM-146、HQM-105、HQM-107、SQO-299、及び、SQD-255、SiVance LLCのProsil 9932、MQOH-7である。
【0019】
好ましくは、粘着性強化剤は、添加硬化の前に第1の部分、又は、第2の部分に含まれる。任意選択的に、粘着性強化剤は、以下のセット:ヒュームドシリカ、ヒュームドアルミナ、コロイド状シリカ、ナノクレイ、ケイ酸塩、シラン処理有機ポリマー、高分子金属酸化物、及び、非高分子金属酸化物、内のいずれか1つ、又は、組み合わせを含む。好ましくは、粘着性強化剤は、ヒュームドシリカを含む。上記強化剤は、構成物質の粘着力特性に寄与し、SAPによる吸湿、及び、透過性修飾ポリマー添加剤の水分-蒸気遷移管理に応じてシリコーン接着剤層の完全性を維持するのに役立つ。特に、粘着性強化剤は、皮膚から一度剥がれた層の残存物を最小限にし、且つ、排除するのにさらに有利である。上記強化剤は、基質内のSAP、及び、透過性修飾ポリマー添加剤の分布を容易にするためにさらに有利である。さらに、粘着性強化剤は、シリコーン層の周囲縁部での完全性、及び、粘着強度をさらに改善して、「縁部出血(edge bleed)」を低減する。本開示の粘着性強化剤の非限定的な例は、シリカを含み、それはヒュームドシリカ、又は、沈降シリカ(例えば、それぞれEvonik Industries(エボニック工業社)発売のAEROSIL(商標)、及び、SIPERNAT(商標)グレード)でありうる。シリカ粉末は、親水性、又は、疎水性、例えば、AEROSIL(商標)300、AEROSIL(商標)255、AEROSIL(商標)R 812、AEROSIL(商標)R 812 S、SIPERNAT(商標)120、SIPERNAT(商標)218など、でありうる。別の粘着性強化剤の非限定的な例は、ヒュームドアルミナ、コロイダルシリカ、ナノクレイ、シリケート、シラン処理有機ポリマー、高分子金属酸化物、非高分子金属酸化物などを含む。
【0020】
好ましくは、本方法は、シリコーン材料の硬化温度より低い温度で第1、及び、第2部分を混合用本体へ配送することを含む。任意選択的に、この方法は、ほぼ室温(すなわち、20~25℃、より好ましくは、20~22℃の範囲)で、シリコーン材料を基板上に配送すること、分配すること、及び、堆積させることを含む。シリコーン材料の硬化温度、又は、ゲル温度は、110~120℃の範囲でありうる。本発明のシリコーン材料の硬化/加硫は、第1、及び、第2部分内の相対濃度、及び、成分に応じて変化しうる。
【0021】
好ましくは、シリコーン材料が開口部を通過することを可能にする工程は、シリコーン材料が開口部を横切って延在する網目スクリーンを通過することを含む。
【0022】
任意選択的に、網目スクリーンの穴、又は、開口部のサイズは、200~1500μm、300~1400μm、400~1300μm、500~1200μm、600~1000μm、700~1000μm、800~900μmの範囲でありうる。穴、又は、開口部のサイズは、網目の糸(即ち縦糸と横糸)によって定義されるような、網目の各開口部の最大の幅、長さ、又は、直径を指す。そのようなサイズは、直径1000μmの粒子、ビーズ、又は、球体の通過を支持、及び、阻止するのに適している。
【0023】
任意選択的に、網目はサイズ12/140、即ち、x方向とy方向(横糸と縦糸)の両方でリニアインチ(linear inch)当たり140本の糸(リニアcm当たり55本の糸)がある、で構成される。任意選択的に、網目は、x方向とy方向(横糸と縦糸)の両方で、リニアcm当たり20~100、30~90、30~80、30~70、又は、40~60本の糸の範囲のサイズを含む。任意選択的に、網目スクリーンの密度は、20~100T、30~90T、30~80T、30~70T、又は、40~60Tの範囲でありうる。ここで、網目への言及は、「センチメートル当たりの糸」を含む。
【0024】
そのようなサイズは、直径1000μmの粒子、ビーズ、又は、球体の通過を支持し、及び、阻止するのに適している。
【0025】
好ましくは、網目スクリーンは金属材料を含む。任意選択的に、網目スクリーンはポリマー材料を含みうる。好ましくは、網目スクリーンは、シリコーン材料が周囲のプレートを通らずに網目を通って流れるように構成されるように、中実のプレートに取り付けられ、及び/又は、中実のプレートによって囲まれうる。
【0026】
好ましくは、シリコーン材料は、ノズルに配送され、且つ、所定の配分量でノズルから分配される。任意選択的に、所定の配分量は、5~50cm3、5~45cm3、又は、5~40cm3の範囲の体積を含みうる。
【0027】
任意選択的に、この方法は、ノズルからテンプレート上にシリコーン材料を分配する間、基板に対してテンプレート、及び、スクリーンを上下させることを包含しうる。テンプレート、及び、スクリーンは、1つ、又は、複数のアクチュエータ(例えば、電気機械式の、又は、電気油圧式のアクチュエータ)によって移動可能に制御されるスクリーンアセンブリに取り付けられうる。テンプレートとスクリーンとを含むスクリーンアセンブリは、シリコーン材料が基板上に堆積される印刷動作の間、垂直に上下させることができる。
【0028】
好ましくは、この方法は、テンプレートが基板に対して持ち上げられた後、印刷ヘッドの下の位置から基板上に堆積されたシリコーン材料を直線的に搬送することを包含する。好ましくは、この方法は、シリコーン材料がテンプレート上に分配され、開口部を通過させられる間、印刷ヘッドの下で基板を実質的に静止状態に維持することを更に包含する。
【0029】
この方法は、好ましくは、基板上のシリコーン材料を、シリコーン材料の硬化温度以上の温度に加熱することを更に包含する。この加熱工程は、基板を搬送することができる、平床ヒーター、オーブン、又は、加熱ジャケット内で実施されうる。好ましくは、基板は、コンベヤーベルト構成部としての加熱ジャケット/オーブン内に搬送され、そのコンベヤーベルト構成部において基板は一対のローラー(基板供給ローラー、及び、基板収集ローラーを含む)の間に延在している。適切な張力印加装置が、上記ローラーで、又は、上記複数のローラーの間で、基材に対して働かされうる。したがって、加熱ジャケット、又は、オーブンは、上記複数のローラー間に延在している基板の少なくとも一部分を取り囲むように構成されている。加熱オーブン、又は、ジャケットは、好ましくは、局所的、又は、遠隔的にサーモスタット制御され、且つ、平床乾燥機を含みうる。適切な制御装置が、シリコーン材料の液相、又は、ゲル相から固化したゲル、ゴム、又は、固相への移行である硬化を与えるために所定の時間、基板を加熱ジャケット、又は、オーブン内で静止状態に維持するために、提供される。任意選択的に、この方法は、シリコーン材料を、30秒~10分、1分~8分、1分~6分、2分~5分、又は、2分~4分の範囲の硬化時間の間、ゲル温度より上に維持することを包含する。
【0030】
任意選択的に、この方法は、硬化されたシリコーン材料を、硬化温度より低く、且つ、20℃を超える温度で、或る乾燥時間の間、乾燥機内で乾燥させることを更に包含しうる。任意選択的に、乾燥工程は、水平乾燥機、又は、タワー乾燥機(その中では、基板がハウジング内のローラーの組の周りで実質的に垂直に(垂直面内で)搬送される)を使用することを包含しうる。好ましくは、タワー乾燥機は、加熱オーブンに関して説明したようにサーモスタット制御される。
【0031】
任意選択的に、シリコーン材料を乾燥させる工程の後、この方法は、張力印加装置を用いて基板に張力を作り出すことを包含する。好ましくは、基板に張力をかける工程の後、この方法は、基板上に配置されたシリコーン材料の露出面に剥離ライナーを施与することを包含する。好ましくは、この方法は、基板に張力をかける工程の後に、シリコーン材料と接触する表面とは反対側の基板の露出面に支持層を施与することを更に包含する。
【0032】
本発明の第2の形態によれば、シリコーン材料の層を製造する装置であって、上記シリコーン材料の少なくとも一部分を液相、又は、ゲル相において貯蔵するための少なくとも1つの貯蔵器、印刷ヘッドに置かれ、上記シリコーン材料を分配するための上記貯蔵器に接続された流体分配ノズル、上記シリコーン材料がテンプレートを通って流れることを可能にするための少なくとも1つの開口部を有するテンプレート、及び、上記シリコーン材料を上記テンプレートの上記開口部から受け入れるように配置可能な基板、を含む上記装置が提供される。
【0033】
好ましくは、上記基板は、この基板が印刷ヘッドに対して直線的に移動することを可能にするように、コンベヤー構成部で提供されるか、又は、コンベヤー構成部の一部分である。本仕様内で、印刷ヘッドに対して直線的に移動するように構成された基板への言及は、コンベヤーベルト構成部であって、そこでは、基板が、基板(例えば、基板のロール)の供給(、又は、供給源)ユニットと収集ユニット(任意選択的に、供給ロールからの基板がそれに載って搬送されるところのロール形態における)との間で直線的に駆動可能なベルトとして提供されるものを含む。任意選択的に、第1、及び、第2のロールの一方、又は、両方は、好ましくは、速度、及び、トルクに関して電子的に制御されうるモーターを用いて駆動可能でありうる。そのような構成部は、堆積されたシリコーン材料を硬化前に水平方向に運ぶために基板内の張力を維持するための一体型張力印加装置を含みうる。
【0034】
好ましくは、上記装置は、基板に対して印刷ヘッドを上下させるための作動機構を含む。上記作動機構は、PC、携帯情報端末(PDA)、マイクロプロセッサ、プリント回路板などを介して電子的に、及び/又は、局所的、又は、遠隔的に制御される適切な電子的、機械的、又は、油圧式のアクチュエータを含みうる。
【0035】
好ましくは、少なくとも1つの貯蔵器は、第1貯蔵器、及び、第2貯蔵器を含み、それぞれは混合用本体に接続されており、上記混合用本体は分配ノズルに接続されている。上記第1、及び、第2貯蔵器は、流体の流れを可能にするホース、又は、他の適切な導管を介して印刷ヘッドに接続された、容器、ドラム、又は、器を含みうる。上記貯蔵器は、独立して制御可能な適切なポンプを備えていてもよい。好ましくは、上記装置は、上記ノズルへの上記シリコーン材料の配送速度、及び/又は、体積を制御するために、第1貯蔵器に結合された第1のポンプと第2貯蔵器に結合された第2のポンプとを含む。好ましくは、上記ポンプはギアポンプである。
【0036】
任意選択的に、上記第1貯蔵器は、シリコーン材料の第1の部分を含み、上記第2貯蔵器は、シリコーン材料の第2の部分を含み、第1、及び、第2の部分は、基板上にシリコーン層を形成するように、組み合わせ可能且つ、硬化可能である。好ましくは、第1の部分は、シリコーンポリマー、及び、触媒を含み、第2の部分は、シリコーンポリマー(水素化ケイ素を含む)、及び、架橋剤を含む。第1、又は、第2の部分は、例えば、ポリアクリレートを含む超吸収性微粒子などの水分制御粒子を含みうる。第1、又は、第2の部分は、シラノール樹脂(例えば、MQ樹脂)をさらに含みうる。第1、及び、第2の部分は、粘着性強化剤(例えば、ヒュームドシリカ)をさらに含み得る。
【0037】
好ましくは、上記装置は、基板から形成されたコンベヤー構成部を含み、上記コンベヤー構成部は、基板の第1の供給ロール、及び、空間的に分離された基板の第2の収集ロールを含み、さらに上記装置は、少なくとも上記第1、又は、第2のロールに結合された駆動手段を含む。ここで、上記基板の直線的部分が上記第1、及び、第2のロールの間に延在し、且つ、印刷ヘッド、及び、テンプレートは上記直線的部分の領域に近接して配置されている。
【0038】
好ましくは、上記装置は、基板上に堆積されたシリコーン材料を、上記シリコーン材料の硬化温度、及び/又は、ゲル温度以上の温度に加熱するための加熱器ユニットを含む。
【0039】
好ましくは、上記装置は、少なくとも1つの開口部を横切って延在する網目スクリーンを含む。上記網目スクリーンは、シリコーン材料の貫流を可能にするのに効果的であるが、望ましくない基板上の「溢れ」、及び、テンプレート開口部に起因し、且つ、それによって決定される、堆積されたシリコーン層の予め定義された所望の形状プロファイルの喪失を防止する。任意選択的に、上記網目スクリーンの穴、又は、開口部のサイズは、200~1500μm、300~1400μm、400~1300μm、500~1200μm、600~1000μm、700~1000μm、800~900μmの範囲である。そのような構成は、標準円すい、及び、平板粘度試験(例えば、国際規格BS EN ISO/IEC 17025、及び、ISO17034)を用いて測定した場合、室温付近で1,000~80,000 mPa・sの粘度を有する予備硬化シリコーン材料の所望のフロー制御を提供することがわかっている。
【0040】
本発明の別の形態によれば、本明細書に記載された方法、及び、装置によって製造されたシリコーン層、ディスク、フランジ、環状ガスケット、ウェハー、又は、リングが提供される。
【0041】
本発明のさらに別の形態によれば、本明細書に記載された方法、及び、装置によって製造されたシリコーン材料層を含む、哺乳動物の皮膚に付着可能な皮膚適合性成分が提供される。上記成分は、オストミー結合装具の一部分、及び、特にオストミー結合装具の皮膚適合性成分を形成しうる。
【0042】
これ以降、本発明の具体的な実装について、単なる例示として以下の添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】スクリーン印刷プロセスを介してシリコーン材の層を製作するためのスクリーン印刷装置の側面図である。
【
図2】本発明の特定の実施形態による印刷ヘッド、及び、印刷ステーションの透視図である。
【
図3】
図2の印刷ヘッド、及び、印刷ステーションの別の透視図である。
【
図4】本発明の一形態によるスクリーン印刷プロセスの流れ図である。
【
図5A】シリコーン材料を受け取るためのコンベヤーアセンブリを形成する基板を貫く断面図である。
【
図5B】基板の上側表面に堆積されたシリコーン材料を含む、
図5Aの基板の断面図である。
【
図5C】追加の層で積層されたシリコーン材料を含む、
図5Bの基板の断面図である。
【
図6A】本発明の特定の実装によるオストミー装具結合部の平面図である。
【
図6B】
図6Aのオストミー結合部のA-Aを貫く断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
シリコーン材料の層の自動化、又は、半自動化された製造のための装置、及び、方法であって、1000μm以下、任意選択的に200μm~1500μmのオーダーの比較的薄く均一な層厚を実現するように制御可能である装置、及び、方法が提供される。本発明の方法は、スクリーン印刷を利用する。このスクリーン印刷においては、流動状態のシリコーン材料が、コンベヤーアセンブリを形成するところの基板上に配送され、その基板上でシリコーン材料は、連続自動化、又は、半自動化プロセスとして硬化される。
【0045】
図1を参照すると、スクリーン印刷装置は、紙担体上に提供されるポリウレタン(PU)フィルムである基板材料の供給源ロール10を含む。PUフィルム、及び、紙担体は、供給源ロール10から参照符号23によって図示された、本装置の終点に存在する収集ロールに引き出される。PUフィルム、及び、紙担体は、本装置の様々なステーションを通って、且つ、上記ロール10と23との間に延在するぴんと張られたテープ状(taut webbing)基板(フィルム)11を提供するように、上記ロール10、23の間で張力をかけられている。
【0046】
本装置は、スクリーン印刷ステーション12を備えている。
図2、及び、3を参照すると、印刷ステーション12は、印刷ヘッド16、及び、印刷ヘッド16とぴんと張られたPUフィルム11との間の垂直面に配置されたスクリーンアセンブリ34を備える。印刷ヘッド16は、印刷ヘッド本体33の下部領域から延びる傾斜板24を備える。ブレード25はまた、傾斜板24の下部領域と対向して印刷ヘッド本体33の下側から延びている。ノズル26は、印刷ヘッド本体33から下向きに延び、傾斜板24に対向して配置された分配用端部を有している。印刷ヘッド16は、スクリーンアセンブリ34に対してほぼ水平面内で印刷ヘッド16を前後に動かすように適合された機械的アクチュエータ搭載ユニット35に設けられている。
【0047】
図3を参照すると、スクリーンアセンブリ34は、フレーム31を備え、このフレーム31はその周囲内部に中央開口部32を有する中実基盤プレート27を搭載する。テンプレート28のような一般的プレートは、中央開口部32内に取り付けられる。テンプレート28は、一対の円形開口部30を備えている。網目スクリーン29は、テンプレート28を横切り、且つ、その下側に延在する。印刷ヘッド16は、シリコーン材料の流れがノズル26から分配されて傾斜板24をテンプレート28上に流れ落ちて、開口部32の領域でテンプレート28を溢れさせることができるように、テンプレート28の真上に取り付けられている。印刷ヘッド16は、基盤プレート27上を前後に水平面内において横断するように適合されているので、ブレード25は、テンプレート28の上を、且つ、テンプレート開口部30を横切って延在している網目スクリーン29を横切って、シリコーン材料を拭くように適合されている。
【0048】
再び
図1を参照すると、装置は、第1、及び、第2貯蔵器13、14をさらに備え、それらはそれぞれ二液型付加硬化性シリコーン調合物であるシリコーン調合物の第1、及び、第2部分を含む。それぞれのギアポンプ(図示せず)は、各々の貯蔵器13、14に結合されて、導管網17を介して各貯蔵器13、14からスタティックミキサー(静止型混合器)15へポンプで送られる各シリコーン部分の体積、及び、速度を制御する。スタティックミキサー15は、アルキメデス型のスクリューミキサーから形成されている。次に、均質な混合シリコーン調合物は、適切なチューブ(17)を介して印刷ヘッド16に供給され、テンプレート28、及び、テンプレート開口部30を介して露出された網目スクリーン29に配送される。PUフィルム11は、スクリーン印刷ステーション12を通して供給され、テンプレート28、及び、網目スクリーン29の真下を通過する。予備硬化された調合物は、印刷ヘッド16によってスクリーンアセンブリ34を介して、堆積されたシリコーン層19としてPUフィルム11上に堆積される。
【0049】
平床乾燥機18は、PUフィルム11上に堆積された予備硬化シリコーン層19を受け取るように、スクリーン印刷ステーション12の搬送方向下流に配置されている。乾燥機18は、シリコーン調合物の硬化、及び/又は、ゲル温度に対応する110~120℃の範囲の温度にサーモスタット制御される。駆動モーターは、シリコーン層19が平床乾燥機18を通過する速度を制御するように、ロール10、23の一方、又は、両方に結合される。任意選択で、堆積されたシリコーン層19は、乾燥機ユニット18内で所定の時間、静止してもよい。典型的には、シリコーン19の層は、乾燥機18内で2~4分間留め置かれうる。タワー乾燥機20は、平床乾燥機18の下流に配置され、PUフィルム11に接着した硬化した、又は、部分的に硬化したシリコーン層19を受け入れる。「少量取り出し(nip out-feed)」、且つ、張力印加機ユニット21は、PUフィルム11上の完全に硬化し乾燥したシリコーン層19を受け入れるたように、タワー乾燥機20の搬送方向下流に配置される。積層ステーション22は、少量取り出し生地張力印加機ユニット21の搬送方向下流に配置される。積層ステーション22は、
図5A~5Cを参照して説明するように多層積層構造を作成するために、PUフィルム11、及び、シリコーン層19と共に積層されるべき追加の材料のロールを含むか、又は、ロールによって供給されうる。得られた積層は、次に、切断、トリミング、スタンピング、又は、パンチング操作を含みうる補足的な下流の手順に従ってさらに処理されうる。
【0050】
製造プロセスの概要は、
図4を参照して説明される。
図4において、ステージ40で、二つの部分からなる流動性シリコーン調合物が、最初に貯蔵器13、14からスタティックミキサー15に配送される。次にステージ41で、均質なシリコーン材料が、スタティックミキサー15から印刷ヘッド16へ供給される。次にステージ42で、流動性シリコーン調合物は、ノズル26から、スクリーン印刷ステーション12内のテンプレート28、及び、スクリーン29上に堆積される。次にステージ43で、シリコーン材料は、下にあるPU基板11上に堆積されるように、テンプレート28上を行き来するワイパーブレード25を介して網目29を通過するよう強制される。網目スクリーン29のサイズは、テンプレート28からその下にあるPU基板11へのシリコーン材料の流れの速さを制御するように具体的に構成されている。具体的な実装によれば、網目スクリーン29は、600~1000μmの範囲の開口部サイズを有する。そのような構成は、シリコーン材料による十分な貫流とシリコーン材料によるPU基板上の溢れを回避する必要性との間の適切なバランスをもたらす。この溢れは、回避されなければテンプレート開口部30に対応する所定の堆積形状を破壊する。
【0051】
次にステージ44で、堆積されたシリコーン層19は、PU基板11を介して平床乾燥機へ運ばれる。次にステージ45で、このシリコーン層19は、所定の時間、そのゲル点(110~120℃)の周りで加熱される。次にステージ46で、硬化された、又は、部分的に硬化されたシリコーン層19は、少量取出し生地張力印加機ユニット21に供給される前に(タワー乾燥機20を介して)乾燥される。次にステージ47で、シリコーン層、及び、PU層は、多層積層構造を作成するように、積層ステーション22内で積層される。任意選択的に、得られた構造は、次に、ステージ48でのロール23上への収集の前、又は、後の様々な下流での仕上げプロセス(例えばステージ48での切断、及び、トリミング)に従って仕上げられうる。
【0052】
図5A~5Cを参照すると、1実施形態によるPUフィルム11は、露出した上向き表面55を有するポリウレタン(PU)の細長いシート50を含む。担体紙のシート51は、PU層の下側表面54に接着されている。紙担体層51は、
図1の装置内の任意の位置で除去されうるが、好都合には、積層ステーション22での処理中、又は、処理前に除去される。
図5Bに示されるように、シリコーン材料は、シリコーン材料の円形層/ディスク19としてPU層50の表面55に堆積される。各シリコーン層は、対応する上向き表面53を含む。
図5Cを参照すると、積層ステーション22を出た後、完全にアセンブルされた複合構造は、露出したシリコーン表面53に付着された剥離ライナー層52を有するシリコーン層19、及び、PU層50の下側表面54に付着されたポリエチレン(PE)2次基板56層(担体紙層51の代わりの)を含む。理解されるように、PE2次基板56との積層の前に、紙担体層51は表面54から除去される。次に、上記4層構造は、
図6A、及び、6Bに示されるような多層積層ディスクを作成するように、切断、及び、トリミングされる。ここで
図6Bは、
図6AのA-Aを通る断面図である。
図6A、及び、6Bの多層構造61は、皮膚接触可能なオストミー結合として特に適合しており、そこでは、シリコン層19がストーマを取り巻くストーマ周囲の皮膚と直接接触して配置されることに適合している。多層構造は、ストーマとの位置合わせ、及び、仲介のために中央開口部64を備えている。図示されたように、層52、19、50、及び、56の各々は、環状であり、これらの層の全て、又は、ほとんどを通して提供される中央開口部64を有する、ほぼ円形のディスク状の形状プロファイルを有している。
【0053】
具体的な実装によれば、シリコーン層19は100~1500μmの範囲の厚さを備え、PU層50は20~50μmの範囲の厚さを備え、PE基板層56は80~150μmの範囲の厚さを備え、100~250μmの範囲の厚さを有する剥離ライナー層52を伴っている。PE層56は、熱処理、超音波溶接によって、又は、接着剤を介してPU層50に固定されうる。PE層56は、オストミー装具結合機構(図示せず)の第1の部分63が、オストミー装具(特にオストミーバッグ)に設けられた結合機構の第2の部分と解放可能に係合するための取付け具を提供する。第1の部分63は、好ましくは、オストミーバッグ(図示せず)と多層構造61との間に密封結合を提供するように、結合機構第2の部分と摩擦的に統合し、解放可能にロックすることができる環状フランジとして形成される。剥離ライナー52は、シリコーン層表面53上に配置された厚さ100~250μmの低密度ポリエチレン(LDPE)を含み、多層構造61をシリコーン表面53を介して人の皮膚と接触するように取り付ける前に都合よく取り外すことができる。