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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-17
(45)【発行日】2023-01-25
(54)【発明の名称】バイオベースの液化石油ガスの生成
(51)【国際特許分類】
   C10L 3/12 20060101AFI20230118BHJP
   C07C 9/08 20060101ALI20230118BHJP
   C07C 9/10 20060101ALI20230118BHJP
   C07C 1/22 20060101ALI20230118BHJP
   B01J 21/04 20060101ALI20230118BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20230118BHJP
   C12P 7/06 20060101ALN20230118BHJP
   C12P 7/16 20060101ALN20230118BHJP
   C12P 7/04 20060101ALN20230118BHJP
【FI】
C10L3/12
C07C9/08
C07C9/10
C07C1/22
B01J21/04 M
C07B61/00 300
C12P7/06
C12P7/16
C12P7/04
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021543244
(86)(22)【出願日】2020-01-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 US2020015300
(87)【国際公開番号】W WO2020159911
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-07-30
(31)【優先権主張番号】62/798,264
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/860,369
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/887,125
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518403425
【氏名又は名称】ランザテク,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100194423
【弁理士】
【氏名又は名称】植竹 友紀子
(72)【発明者】
【氏名】コカル,ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ギレスピー,ラルフ
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0284307(US,A1)
【文献】特表2011-522563(JP,A)
【文献】特表2011-512869(JP,A)
【文献】特開平03-133937(JP,A)
【文献】特開昭58-116427(JP,A)
【文献】特開2013-159576(JP,A)
【文献】特開昭54-138505(JP,A)
【文献】国際公開第2004/074411(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10L 3/12
C07C 9/08
C07C 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化石油ガスを生成する方法であって、
(a)脱水反応器において、イソプロパノール、1-プロパノール、ブタノールまたはブタノールの異性体の少なくとも一つから選択される供給流を、脱水触媒と接触させて、C3アルケンおよび/またはC4アルケンを含む流出物流を生成することと;
(b)水素化反応器において、前記C3アルケンおよび/または前記C4アルケンを含む前記流出物流を水素および水素化触媒と接触させて、プロパンおよび/またはブタンを含む生成物流を生成することを含み、
前記供給流が、ガス状基質の微生物発酵の生成物である、方法。
【請求項2】
前記脱水触媒が、酸性アルミナ、リン酸アルミニウム、シリカ-アルミナホスフェート、アモルファスシリカ-アルミナ、アルミノケイ酸塩、ジルコニア、硫酸化ジルコニア、タングステン酸化ジルコニア、炭化タングステン、炭化モリブデン、チタニア、硫酸化炭素、リン酸化炭素、リン酸化シリカ、リン酸化アルミナ、酸性樹脂、ヘテロポリ酸、無機酸、およびそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記水素化触媒が、Ni-アルミナ、Pd-C、ラネー-Ni、Co、もしくはPt触媒、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
(a)前記C3アルケンが、プロペンを含み、
(b)前記C4アルケンが、ブテン、ブテンの異性体、および/またはブタジエンを含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記脱水反応器が、100℃~500℃350℃~450℃、または375℃~425℃の温度で作動する、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記脱水反応器が、0.2MPa~2MPa、0.2MPa~1MPa、または0.2MPa~0.7MPaの圧力で作動する、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記脱水反応器が、1-1 ~10h-1 、2-1 ~8-1、または0.5h-1 ~2-1の重量時間空間速度(whsv)で作動する、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記水素化反応器が、400℃未満、250℃未満、または100℃~150℃の温度で作動する、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記水素化反応器が、1.7MPa超、0.7MPa~8.2MPa、0.7MPa~2.0MPa、または1.0MPa~2.0MPaの圧力で作動する、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年1月29日、2019年6月12日、および2019年8月15日にそれぞれ提出された米国仮出願第62/798,264号、同第62/860,369号、および同第62/887,125号の利益を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
エネルギーや化学製品の生成に再生可能資源を使用することへの関心が高まっている。二酸化炭素(CO)は人間の活動による世界の温室効果ガス排出の約76%を占め、メタン(16%)、亜酸化窒素(6%)、およびフッ素化ガス(2%)が残りを占めている(United States Environmental Protection Agency)。工業および林業の施業も大気中にCOを放出するが、COの大部分は化石燃料を燃焼させてエネルギーを生成することに由来する。温室効果ガス排出、特にCOの削減は、地球温暖化の進行ならびにそれに伴う気候および天候の変化を止めるのに重要である。
【0003】
フィッシャー-トロプシュ法などの触媒過程を使用して、産業廃棄物ガスまたは合成ガス等の二酸化炭素(CO)、一酸化炭素(CO)、および/または水素(H)を含むガスを、様々な燃料および化学物質へ変換し得ることが長い間認識されている。しかしながら、最近、ガス発酵がそのようなガスの生物学的固定のための代替プラットフォームとして浮上している。特に、C1固定微生物は、CO、CO、CH、および/またはHを含有するガスを、エタノールおよび2,3-ブタンジオールなどの生成物に変換することが示されている。
【0004】
液化石油ガス(LPG)は、主に約98%のプロパンおよび/またはブタンと、許容量のプロピレンまたはブテンなどのオレフィン、エタンなどの他の軽質炭化水素、および/またはより重い成分で構成されている。正確な組成は、地域によって異なる。例えば、米国のLPGは主にプロパンであるが、ヨーロッパでは最大80%のブタンに達する可能性があり、国によってかなりのばらつきがある。LPGのエネルギー含有量は、約49~50MJ/kgまたは25~28MJ/リットルの範囲である。
【0005】
典型的に、LPGは、ガス井、油井からの副産物ガス、および製油所プロセスからのオフガスから生成される(図1)。
【0006】
現在のバイオベースのLPG生成方法(図2)では、水素化処理されたエステルおよび脂肪酸(HEFA)プロセスを使用して、トリグリセリドを一次ディーゼルレンジ材料に変換する。トリグリセリドの骨格は、3炭素のトリアルコールであるグリセロールである。HEFAプロセスの最初の水素化分解ステップ中に、グリセロール骨格が副産物としてプロパンに変換される。このプロパンは廃油から生成されているため、バイオベースのLPGとして適格であるが、利用可能な廃棄物または持続可能な方法で生成されるオイルの量が制限されているため、この形態で生成することができるLPGの量が大幅に制限される(典型的に、開始炭素の約5%しか相当しない)。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、廃ガス、都市固形廃棄物(MSW)、または製油所/化学プラントの廃棄物流などのバイオベースまたは持続可能な原料から生成されるアルコールから液化石油ガスを生成するための方法を提供する。
【0008】
本発明の第1の態様では、本開示は、イソプロパノールおよび/または1-プロパノールなどのC3アルコール、および/またはブタノールまたはブタノールの異性体などのC4アルコールを含む供給流を1つ以上の触媒と接触させてプロパンおよび/またはブタンを含む生成物流を生成することを含む液化石油ガスを生成する方法を提供し、脱水供給流は、ガス状基質の微生物発酵の生成物である。いくつかの実施形態では、1つ以上の触媒は、脱水触媒および/または水素化触媒を含む。いくつかの実施形態では、脱水触媒は、酸性アルミナ、リン酸アルミニウム、シリカ-アルミナホスフェート、アモルファスシリカ-アルミナ、アルミノケイ酸塩、ジルコニア、硫酸化ジルコニア、タングステン酸化ジルコニア、炭化タングステン、炭化モリブデン、チタニア、硫酸化炭素、リン酸化炭素、リン酸化シリカ、リン酸化アルミナ、酸性樹脂、ヘテロポリ酸、無機酸、およびそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、水素化触媒は、Ni-アルミナ、Pd-C、ラネー-Ni、Co、もしくはPt触媒、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0009】
第1の態様のいくつかの実施形態では、1つの反応器は、脱水触媒および/または水素化触媒を含む。第1の態様のいくつかの実施形態では、1つの触媒は、脱水触媒の機能性および水素化触媒の機能性を含む。第1の態様のいくつかの実施形態では、脱水反応器は、脱水触媒を含み、水素化反応器は、水素化触媒を含む。
【0010】
第1の態様のいくつかの実施形態では、方法は、(a)脱水反応器において、C3アルコールおよび/またはC4アルコールを含む供給流を脱水触媒と接触させて、プロペンなどのC3アルケン、および/またはブテン、ブテンの異性体またはブタジエンなどのC4アルケンを含む流出物流を生成することと、(b)水素化反応器において、プロペンおよび/またはブテンを含む流出物流を水素および水素化触媒と接触させて、プロパンおよび/またはブタンを含む生成物流を生成することと、を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、脱水反応器は、約100℃~約500℃、約350℃~約450℃、または約375℃~約425℃の温度で作動する。いくつかの実施形態では、脱水反応器は、約0.2MPa~約2MPa、約0.2MPa~約1MPa、または約0.2MPa~約0.7MPaの圧力で作動する。いくつかの実施形態では、脱水反応器は、約1h-1~約10h-1、約2h-1~約8h-1、または約0.5h-1~約2h-1の重量時間空間速度(whsv)で作動する。
【0012】
第1の態様のいくつかの実施形態では、水素化反応器は、約400℃未満、約250℃未満、または約100℃~約150℃の温度で作動する。いくつかの実施形態では、脱水反応器は、約1.7MPa(約17barg)を超える圧力で作動する。いくつかの実施形態では、水素化反応器は、約1.7MPa超、約0.7MPa~約8.2MPa、約0.7MPa~約2.0MPa、または約1.0MPa~約2.0MPaの圧力で作動する。
【0013】
本発明の第2の態様では、本開示は、(a)脱水反応器において、エタノールを含む脱水供給流を触媒と接触させて、エチレンを含む第1の反応器流出物流を生成することであって、脱水供給流は、ガス状基質の微生物発酵の生成物である、生成することと、(b)二量体化反応器において、第1の反応器流出物流を触媒と接触させて、ブテンを含む第2の反応器流出物流を生成することと、(c)水素化反応器において、第2の反応器流出物流および水素を触媒と接触させて、ブタンを含む生成物流を生成することと、を含む液化石油ガスを生成する方法を提供する。
【0014】
いくつかの実施形態では、脱水反応器は、約100℃~約500℃、約350℃~約450℃、または約375℃~約425℃の温度で作動する。いくつかの実施形態では、脱水反応器は、約0.2MPa~約2MPa、約0.2MPa~約1MPa、または約0.2MPa~約0.7MPaの圧力で作動する。いくつかの実施形態では、脱水反応器は、約1h-1~約10h-1、約2h-1~約8h-1、または約0.5h-1~約2h-1のwhsvで作動する。いくつかの実施形態では、脱水反応器は、酸性アルミナ、リン酸アルミニウム、シリカ-アルミナホスフェート、アモルファスシリカ-アルミナ、アルミノケイ酸塩、ジルコニア、硫酸化ジルコニア、タングステン酸化ジルコニア、炭化タングステン、炭化モリブデン、チタニア、硫酸化炭素、リン酸化炭素、リン酸化シリカ、リン酸化アルミナ、酸性樹脂、ヘテロポリ酸、無機酸、およびそれらの任意の組み合わせから選択される脱水触媒を含む。
【0015】
第2の態様のいくつかの実施形態では、二量体化反応器は、約10℃~約150℃、約24℃~約135℃、約38℃~約121℃、または約50℃~約60℃の温度で作動する。いくつかの実施形態では、二量体化反応器は、約0.7MPa~約6.9MPa、約2.4MPa~約4.8MPa、約2.8MPa~約3.4MPa、または約2.0MPa~約2.7MPaの圧力で作動する。いくつかの実施形態では、二量体化反応器は、イオン液体触媒を含む。いくつかの実施形態では、二量体化反応器は、助触媒または促進剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、二量体化反応器は、Ti(IV)/AlEt触媒を含む。
【0016】
第2の態様のいくつかの実施形態では、水素化反応器は、約400℃未満、約250℃未満、または約100℃~約150℃の温度で作動する。いくつかの実施形態では、脱水反応器は、約1.7MPa(約17bar)を超える圧力で作動する。いくつかの実施形態では、水素化反応器は、約1.7MPa超、約0.7MPa~約8.2MPa、約0.7MPa~約2.0MPa、または約1.0MPa~約2.0MPaの圧力で作動する。いくつかの実施形態では、水素化反応器は、Ni-アルミナ、Pd-C、ラネー-Ni、Co、もしくはPt触媒、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0017】
本発明の第3の態様では、本開示は、(a)カルボニル化反応器において、エタノールを含むカルボニル化供給流および一酸化炭素を触媒と接触させて、プロピオン酸を含む第1の反応器流出物流を生成することであって、カルボニル化供給流は、ガス状基質の微生物発酵の生成物である、生成することと、(b)水素化反応器において、第1の反応器流出物流および水素を触媒と接触させて、プロパンを含む生成物流を生成することと、を含む液化石油ガスを生成する方法を提供する。
【0018】
第3の態様のいくつかの実施形態では、カルボニル化供給流は、1~75重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、カルボニル化反応器は、約150℃~約250℃、または約180℃~約225℃の温度で作動する。いくつかの実施形態では、カルボニル化反応器は、約0.2MPa~約3.0MPa、約0.2MPa~約1.0Mpa、または約0.2MPa~約0.3MPaの一酸化炭素分圧で作動する。いくつかの実施形態では、カルボニル化反応器は、エチルおよびヨウ化物配位子を有するRhカルボニル触媒を含む。
【0019】
第3の態様のいくつかの実施形態では、水素化反応器は、約130℃~約200℃、約140℃~約190℃、約150℃~約180℃、または約150℃~約170℃の温度で作動する。いくつかの実施形態では、水素化反応器は、約2.0MPa~4.0MPa、約2.5MPa~約3.5MPa、または約2.7~約3.3MPaの圧力で作動する。いくつかの実施形態では、水素化反応器は、Pd/Re/C触媒を含む。
【0020】
本発明はさらに、本明細書に開示される方法によって生成される液化石油ガス生成物を提供する。
【0021】
本開示の特定の実施形態は、特定の実施形態および特許請求の範囲の以下のより詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】LPG生成への従来の経路を示し、LPGは典型的に、石油または「ウェット」天然ガスの精製によって調製されるため、化石燃料源から得られ、石油(原油)の精製中に製造されるか、石油または天然ガス流が地面から出てくるときに抽出される。場合によっては、化石燃料源から精製されたC2-C4流は、クリーンアップ前に非常に汚染されている。
図2】従来のバイオベースのLPG生成を示しており、この生成では、脂肪酸がグリセロール骨格から切断されるときに、トリグリセリド分解の副産物としてプロパンが生成される(例えば、植物油/獣脂源の)。典型的に、この方法で生成された場合、プロパンは、出発炭素の約5%にしか相当しない。
図3A】単一反応器内でのC3-C4アルコールの脱水/水素化による本開示のLPG生成の一態様を示している。
図3B図3Bは2つの別個の反応器におけるC3-C4アルコールの脱水/水素化による本開示のLPG生成の一態様を示している。
図4】エタノールの脱水/二量体化/水素化による本開示のLPG生成の一態様を示す。
図5】エタノールのカルボニル化/水素化による本開示のLPG生成の一態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
いくつかの実施形態では、廃ガス、都市固形廃棄物(MSW)、または製油所/化学プラント廃棄物流などのバイオベースまたは持続可能な原料から生成されるアルコールから液化石油ガス(LPG)を生成するための方法が本明細書に提供される。開示された方法は、いくつかの実施形態では、温室効果ガス(GHG)排出を有利に低減しながら、LPG生成への経路を提供する。
【0024】
図3Aおよび図3Bに概略的に示されている第1の経路では、C3アルコール(例えば、イソプロパノール)およびC4アルコール(例えば、ブタノール)がガス発酵によって生成される。C3-C4アルコールは、個別に、または1つ以上のバイオリアクターを使用して組み合わせて生成することができる。この方法で生成されたアルコールは、分別、抽出、膜分離、または任意の他の一般的に使用される分離技術を使用して精製することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、液化石油ガスを生成するための方法は、C3-C4アルコールを含む供給流を触媒または触媒の組み合わせと接触させて、プロパンおよび/またはブタンを含む反応器流出物流を生成することを含む。水素化反応器は、約300℃の温度、約0.5MPaの圧力、および約1h-1の液体毎時空間速度で作動することができる。水素化触媒は、NiまたはPd触媒であり得る。例えば、Grabowski et al.,Applied Catalysis A:General 125:129-144,1995を参照されたい。
【0026】
いくつかの実施形態では、C3-C4アルコールは、アルミナなどの好適な触媒を使用して、1つ以上の脱水反応器に供給される。いくつかの実施形態では、脱水は、例えば、約400℃および約0.5MPaの圧力で実施される。いくつかの実施形態では、プロペン(プロピレン)および/またはブテンが生成されると、それらは、任意の好適な触媒、例えば、BASFまたはCriterion KL6565からのNi-0750EなどのNi/アルミナ触媒、またはJM10R39などのPd/C触媒で水素化することができる。このプロセスは、液相、気相、またはトリクルベッド反応器で実行することができる。いくつかの実施形態では、このプロセスは、トリクルベッドおよび/または気相反応器で実行される。いくつかの実施形態では、水素化は、約115℃および約1.0MPaの圧力で実施される。しかしながら、反応は任意の好適な圧力で実行することができ、いくつかの実施形態では、水素化速度を最大化するために、250psigを超える圧力が採用される。反応は、飽和反応に好ましい平衡、一般に400℃未満、およびより好ましくは250℃未満で、任意の好適な温度で実行することができる。最後のステップは、生成物LPGから任意の残りの水素と未反応のオレフィンを分離し、水素/オレフィン流を水素化反応にリサイクルすることである。
【0027】
したがって、第1の態様では、本開示は、イソプロパノール、1-プロパノール、および/またはブタノールなどのC3アルコールおよび/またはC4アルコールを含む供給流を1つ以上の触媒と接触させてプロパンおよび/またはブタンを含む生成物流を生成することを含む液化石油ガスを生成する方法を提供し、脱水供給流は、ガス状基質の微生物発酵の生成物である。第1の態様はさらに、(a)脱水反応器において、C3アルコールおよび/またはC4アルコールを含む脱水供給流を触媒と接触させて、プロペンおよび/またはブテンを含む第1の反応器流出物流を生成することと、(b)水素化反応器において、第1の反応器流出物流および水素を触媒と接触させて、プロパンおよび/またはブタンを含む生成流を生成することと、を含む液化石油ガスを生成する方法を提供する。
【0028】
図4に概略的に示されている第2の経路を使用して、エタノールをエチレンに変換し、二量体化してブテンにした後、水素化してブタンにすることができる。エタノールは様々な方法で生成することができるが、最も一般的な方法は発酵経路である。エタノールのエチレンへの脱水は、400℃、0.5MPa、および0.5~2h-1whsvなどの条件で、アルミナまたはゼオライト材料などの市販の触媒を使用する周知の商業プロセスである。生成されたエチレンは、分別、抽出、膜分離、または別の方法によって精製して、二量体化するのに十分な純度の生成物を生成することができる。二量体化は、周知のアルファブトール(Alphabutol)プロセスなどの均一系システムで行われるか、または参照によりその全体が本明細書に組み込まれているMetzger et al.,ACS Central Science 2:148-153、2016に記載されているような不均一系触媒を使用して行われ得る。1-ブテン(または他のブテン異性体)が生成されると、上記の経路1で説明したように、NiまたはPd触媒を用いて100℃および1.0MPaで水素化することができる。有利なことに、この経路は、容易に入手可能である持続可能なエタノール原料を消費するように適合させることができる。
【0029】
したがって、第2の態様では、本開示は、(a)脱水反応器において、エタノールを含む脱水供給流を触媒と接触させて、エチレンを含む第1の反応器流出物流を生成することであって、脱水供給流は、ガス状基質の微生物発酵の生成物である、生成することと、(b)二量体化反応器において、第1の反応器流出物流を触媒と接触させて、ブテンを含む第2の反応器流出物流を生成することと、(c)水素化反応器において、第2の反応器流出物流および水素を触媒と接触させて、ブタンを含む生成物流を生成することと、を含む液化石油ガスを生成する方法を提供する。
【0030】
図5に概略的に示されている第3の経路では、前の経路について説明したようにエタノールを生産することができる。次に、エタノールは、COを使用して0.2~0.3MPa(2~3barg)の圧力(より高い圧力も可能)、150~250℃および2500h-1ガス時空間速度(ghsv)で、Rhカルボニル触媒をエチルおよびヨウ化物配位子とともに使用してカルボニル化することができる。反応は、静水圧または機械的混合を伴う反応器を通してCOを散布する均一反応で実行される。生成物はプロピオン酸であり、抽出、相分離、および分別に限定されない方法で精製することができる。このようにして生成されたプロピオン酸は、水素化されてプロパンおよび水を生成することができ、水を凝縮するか、または分別を使用することによって容易に分離することができる。最終ステップの条件の例は、Pt-Re/Carbon不均一系触媒を用いた3.0MPa水素で160℃である。例えば、Ullrich and Breit,2018,ACS Catal.8:785-89を参照されたい。
【0031】
したがって、第3の態様では、本開示は、(a)カルボニル化反応器において、エタノールを含むカルボニル化供給流を触媒と一緒に一酸化炭素と接触させて、プロピオン酸を含む第1の反応器流出物流を生成することであって、カルボニル化供給流は、ガス状基質の微生物発酵の生成物である、生成することと、(b)水素化反応器において、第1の反応器流出物流および水素を触媒と接触させて、プロパンを含む生成物流を生成することと、を含む液化石油ガスを生成する方法を提供する。
【0032】
開示された態様のいずれかについて、供給流および/または流出物流のいずれかは、例えば、抽出、膜分離、分別、分別蒸留、蒸発、パーベーパレーション、ガスストリッピング、相分離、および抽出発酵を含む、当技術分野で知られている任意の方法または方法の組み合わせを使用して、所望の成分のいずれかで精製または濃縮され得る。いくつかの実施形態では、特に除去された画分が反応器内で消費される試薬を含む場合、除去された画分は、流出物流が由来する反応器にリサイクルされる。
【0033】
脱水
開示された態様のいくつかの実施形態では、生化学的および/または熱化学的生成経路によって得られるエタノール、プロパノール、およびブタノールは、適切な条件下でアルコールを脱水触媒と接触させることによってそれらの対応するオレフィンに変換される。エタノール、イソプロパノール、およびブタノールなどのアルコールをエチレン、プロピレン、およびブテン(複数可)に変換する典型的な脱水触媒には、様々な酸処理および未処理のアルミナ(例:γ-アルミナ)およびシリカ触媒、ならびにゼオライトを含む粘土(例えば、β型ゼオライト、ZSM-5またはY型ゼオライト、フッ化物処理されたβ-ゼオライト触媒、フッ化物処理された粘土触媒など)、スルホン酸樹脂(例:Amberlyst(登録商標)15などのスルホン化スチレン系樹脂)、リン酸および硫酸などの強酸、三フッ化ホウ素および三塩化アルミニウムなどのルイス酸、ならびに金属酸化物(例えば、酸化ジルコニウムまたは二酸化チタン)および金属塩化物を含む多くの異なるタイプの金属塩が含まれる。
【0034】
中性のアルミナおよびゼオライトは、アルコールをアルケンに脱水することができるが、一般に、酸性の対応物よりも高い温度および圧力になる。
【0035】
いくつかの実施形態では、脱水触媒は、酸性アルミナ、リン酸アルミニウム、シリカ-アルミナホスフェート、アモルファスシリカ-アルミナ、アルミノケイ酸塩、ジルコニア、硫酸化ジルコニア、タングステン酸化ジルコニア、炭化タングステン、炭化モリブデン、チタニア、硫酸化炭素、リン酸化炭素、リン酸化シリカ、リン酸化アルミナ、酸性樹脂、ヘテロポリ酸、無機酸、または前述の任意の2つ以上の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、脱水触媒は、Ce、Y、Sc、La、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、P、B、Bi、および前述の任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される修飾剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、脱水触媒は、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Mo、Cr、W、Mn、Re、Al、Ga、In、Fe、Co、Ir、Ni、Si、Cu、Zn、Sn、Cd、P、または前述の任意の2つ以上の組み合わせの酸化物をさらに含む。いくつかの実施形態では、脱水触媒は、Cu、Ag、Au、Pt、Ni、Fe、Co、Ru、Zn、Cd、Ga、In、Rh、Pd、Ir、Re、Mn、Cr、Mo、W、Sn、Os、前述の任意の2つ以上の合金、または前述の任意の2つ以上の組み合わせである金属をさらに含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、脱水触媒は、アルミノケイ酸塩ゼオライトを含む。いくつかの実施形態では、脱水触媒は、Ga、In、Zn、Fe、Mo、Ag、Au、Ni、P、Sc、Y、Ta、ランタニド、または前述の任意の2つ以上の組み合わせである修飾剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、脱水触媒は、Cu、Ag、Au、Pt、Ni、Fe、Co、Ru、Zn、Cd、Ga、In、Rh、Pd、Ir、Re、Mn、Cr、Mo、W、Sn、Os、前述の任意の2つ以上の合金、または前述の任意の2つ以上の組み合わせである金属をさらに含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、脱水触媒は、二官能性ペンタシル環含有アルミノケイ酸塩ゼオライトを含む。いくつかの実施形態では、脱水触媒は、Ga、In、Zn、Fe、Mo、Ag、Au、Ni、P、Sc、Y、Ta、ランタニド、または前述の任意の2つ以上の組み合わせである修飾剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、脱水触媒は、Cu、Ag、Au、Pt、Ni、Fe、Co、Ru、Zn、Cd、Ga、In、Rh、Pd、Ir、Re、Mn、Cr、Mo、W、Sn、Os、前述の任意の2つ以上の合金、または前述の任意の2つ以上の組み合わせである金属をさらに含む。
【0038】
脱水反応は、熱力学が良好な温度および圧力で行われる。脱水反応は、多くの異なる反応器構成で不均一系と均一系との両方の触媒系を用いて、気相と液相との両方で実行することができる。脱水反応では水が大量に発生するため、一般的に水に強い脱水触媒を使用する。典型的に、水は、生成物との反応ゾーンから除去される。生成物アルケン(複数可)は、反応器の状態に応じて、気相または液相で反応器を出る。脱水反応によって生成された水は、未反応のアルコールおよびアルケン生成物(複数可)とともに反応器を出る場合があり、蒸留または相分離によって分離することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、水が脱水素反応を阻害する可能性があるため、脱水反応の原料は、含水量が比較的少ない。好ましい実施形態では、原料中の含水量は、50重量%以下、30重量%以下、または10重量%以下である。脱水反応の原料が50重量%を超える水、例えば60重量%を超える、70重量%を超える、80重量%を超える、または90重量%を超える水を含む場合、脱水素反応の前に水除去ステップを使用することができる。例えば、ストリッパーを使用して、含水量を約50重量%以下に低減することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、固定床反応器を使用して、触媒の分離を容易にする。いくつかの実施形態では、二相流動床または三相流動床などが使用される。いくつかの実施形態では、脱水反応は、反応の過程で生成される水に対して安定である固体触媒を使用して行われる。
【0041】
いくつかの実施形態では、脱水反応で生成されたアルケン(複数可)は、脱水ステップの後に単離されてから、後続のプロセスステップ(例えば、二量体化、水素化など)の原料として使用される。プロセスの特定の構成に応じて、脱水反応器での形成後のアルケンの単離は、例えば、脱水が気相で実行され、後続のプロセスステップが液相で実行される場合など、特定の利点を提供することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、アルケンは、単離することなく脱水反応器の生成物流から直接使用することができる(例えば、脱水および後続のプロセスステップが同様の温度および圧力条件下で実行される場合、および/またはそのような後続のステップが比較的水に鈍感な場合)。
【0042】
エチレンは、エタノールの脱水によって生成され、プロピレンは、プロパノールまたはイソプロパノールの脱水によって生成される。しかしながら、1-ブタノール、2-ブタノール、またはイソブタノールを脱水すると、4つのC4オレフィン-1-ブテン、シス-2-ブテン、トランス-2-ブテン、およびイソブテンの混合物が形成される可能性がある。各ブテン異性体の生成物流中の正確な濃度は、各異性体の形成の熱力学によって決定される。したがって、使用される反応条件および触媒は、生成物流中のブテン異性体の分布に影響を与えるように操作することができる。したがって、特定の異性体が濃縮されたブテン混合物を得ることができる。非限定的な例として、イソブタノール脱水反応条件(例えば、反応器温度、圧力、滞留時間、触媒の同一性など)を調整して、脱水生成物流中の2-ブテンの相対量を増加させることができる
【0043】
本発明の様々な態様のいくつかの実施形態では、脱水反応のアルコール原料は、エタノールおよびイソプロパノールを含むアルコールの混合物を含む。次に、この混合物は、適切な条件下でアルコールを脱水触媒と接触させることにより、対応するオレフィンの混合物に変換することができる。アルコール混合物が対応するオレフィンの混合物に変換されると、結果として得られたオレフィンを互いに分離し、生成物流に単離することができ、当該生成物流は、プロピレン、エチレン、または他の変換されたオレフィンを含む。
【0044】
本開示のこれおよび他の態様に関連する脱水反応の例には、以下が含まれる;
OH→CH=CH+HO、
OH→CH-CH=CH+HO、および
OH→CH-CH=CH-CH+CH-CH-CH=CH+(その他)+HO。
【0045】
本開示の様々な態様のいくつかの実施形態では、脱水反応は、約100~500℃、または約350~450℃、または約375~425℃、または400℃の温度で実行される。いくつかの実施形態では、脱水反応は、約0.2~2MPa(2~20barg)、または約0.2~1MPa(2~10barg)、または約0.2~0.7MPa(2~7barg)または約0.5MPa(約5barg)の全内部反応器圧力で実行される。いくつかの実施形態では、脱水反応は、約1~10h-1、または約2~8h-1、または0.5~2h-1の、触媒の質量に対するアルコール(例えば、エタノール、イソプロパノール、またはブタノール)の質量流量の比として定義されるwhsvを用いて実行される。いくつかの実施形態では、脱水反応におけるアルコールの変換は、90%を超えるか、または95%を超えるか、または99%を超える。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Lepore et al.,2017,Industrial&Engineering Chemistry Research 56(15):4302-4308に開示されているような1-プロパノールのプロペンへの脱水を参照されたい。
【0046】
二量体化
本明細書に開示される方法の特定の態様では、エチレン(例えば、エタノールの脱水によって生成される)は、二量体化反応器においてさらに反応されて、ブテンを含む流れを生成する。
【0047】
ブテンは、均一系触媒、例えば、アルファブトールプロセスを使用してエチレンから(例えば、Forestiere et al.,2009,Oil&Gas Sci.and Tech.6:649-67を参照、全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる)、またはMetzger et al.,ACS Central Science 2:148-153,2016(すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように不均一系触媒を使用することによって調製することができる。
【0048】
アルファブトールプロセスは、比較的高純度の1-ブテンとエチレンの二量体化にTi(IV)/AlEtの液相独自の可溶性触媒系を採用している。エチレンは、連続液相二量体化反応器に供給される。ポンプアラウンドシステムは、反応器から発熱反応熱を除去する。
【0049】
アルファブトール触媒は、チタンベースの活性金属を含む触媒前駆体混合物と、1-ブテンで希釈された助触媒との2つの成分間の反応媒体中での反応の生成物である。これらの2つの成分は、別々に連続的に反応ループに注入され、その場で反応して触媒を生成する。主要な触媒ステップは、活性チタン中心で2分子のエチレンをカップリングしてチタン(IV)複素環を形成することを伴い、分子内β水素移動によって1-ブテンに分解する。この化学的メカニズムは、高い二量体選択性を説明している。水素化物種が存在しないため、1~2-ブテンへの異性化が少なくなり、100ppm未満の内部ブテンが達成される。条件が最適化されると、アルファブトールプロセスを使用して約93%の1-ブテンの選択性を達成することができる。
【0050】
例示的なアルファブトールプロセスでは、エチレンの二量体化は、穏やかな条件(例えば、50~55℃)で、制御された触媒およびエチレン濃度の下で液相で起こる。発熱反応熱は、外部冷却によって除去される。反応は、反応物と生成物との混合物中で直接行われるため、特定の溶媒は必要ない。反応器流出物は、使用済み触媒分離システムのために反応ループを出る。使用済みの触媒は除去され、廃棄前に無毒の材料に変換される。炭化水素部分は気化され、蒸留セクションに送られる。いくつかの実施形態では、第1の蒸留カラムが未変換のエチレンを分離し、これは反応セクションにリサイクルされ、第2のカラムは、高純度の1-ブテンとC6+ガソリンカットとを回収する。
【0051】
いくつかの実施形態では、本明細書のプロセスで使用される供給流は、少なくとも10重量%のエチレンを含む。いくつかの実施形態では、供給流は、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80重量%以上のエチレンを含む。いくつかの実施形態では、供給流は、少なくとも20重量%のエチレンを含む。いくつかの実施形態では、供給流は、少なくとも40重量%のエチレンを含む。いくつかの実施形態では、供給流は、少なくとも50重量%のエチレンを含む。いくつかの実施形態では、供給流は、少なくとも60重量%のエチレンを含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、二量体化反応は、Ti(IV)/AlEtの可溶性触媒系を採用する。いくつかの実施形態では、二量体化反応は、複合体を形成する少なくとも2つの成分を含むイオン液体触媒を採用する。いくつかの実施形態では、イオン液体触媒は、第1の成分および第2の成分を含む。いくつかの実施形態では、イオン液体触媒の第1の成分はルイス酸を含む。いくつかの実施形態では、ルイス酸は、ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化アルキルアルミニウム、ハロゲン化ガリウム、およびハロゲン化アルキルガリウムを含む、第13族金属のルイス酸性化合物などの成分から選択される金属ハロゲン化物化合物である。いくつかの実施形態では、ルイス酸性化合物は、第3、第4、または第5族の金属ハロゲン化物である。例示的な化合物には、ZrCl、HfCl、NbCl、TaCl、ScCl、Ycl、およびそれらの混合物が含まれる。
【0053】
いくつかの実施形態では、イオン液体触媒の第2の成分は、有機塩または塩の混合物である。これらの塩は、一般式Q+A-によって特徴付けることができ、ここで、Q+は、アンモニウム、ホスホニウム、またはスルホニウムカチオンであり、A-は、Cl、Br、ClO 、NO3、BF 、BCl 、PF 、SbF 、AlCl 、TaF 、CuC 、FeCl 、HSO 、RSO 、SOCF 、アルキル-アリールスルホネート、およびベンゼンスルホネート(例えば、3-スルフルトリオキシフェニル)などの負に帯電したイオンであり、ここで、Rは、1~12個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの実施形態では、第2の成分は、例えば、トリメチルアミン塩酸塩、メチルトリブチルアンモニウムハライドなどの、約1~約12個の炭素原子を有する1つ以上のアルキル部分を含む第四級アンモニウムハライド、または例えば、1-ブチルピリジニウムハライド、ベンジルピリジニウムハライドなどの、ヒドロカルビル置換ハロゲン化ピリジニウム化合物などの置換複素環式ハロゲン化アンモニウム化合物、または例えば、1-エチル-3-メチル-イミダゾリウムクロリドなどのヒドロカルビル置換イミダゾリウムハライドを有するものから選択される。
【0054】
いくつかの実施形態では、イオン液体触媒は、ヒドロカルビル置換ピリジニウムクロロアルミネート、ヒドロカルビル置換イミダゾリウムクロロアルミネート、第四級アミンクロロアルミネート、トリアルキルアミン塩化水素クロロアルミネート、アルキルピリジン塩化水素クロロアルミネート、およびそれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、イオン液体触媒は、アルキル置換ピリジニウムクロロアルミネートまたはアルキル置換イミダゾリウムクロロアルミネートなどの酸性ハロアルミネートイオン液体である。
【0055】
いくつかの実施形態では、液体触媒は、反応物の総体積に基づいて約5~30体積%で使用される。いくつかの実施形態では、イオン液体触媒は、反応物の総体積に基づいて約5~25体積%で使用される。いくつかの実施形態では、イオン液体触媒は、反応物の総体積に基づいて、約5、10、15、20、25、または30体積%で使用される。
【0056】
いくつかの実施形態では、二量体化触媒は、例えば、HClまたは有機塩化物またはハロゲン化水素またはハロゲン化物がCl、Br、およびIイオンを含む有機ハロゲン化物を含む助触媒または促進剤を含む。いくつかの実施形態では、助触媒は、無水HClである。有機塩化物がイオン液体触媒との助触媒として使用される場合、二量体化プロセス中に反応器内でHClがその場で形成される可能性がある。いくつかの実施形態では、助触媒または促進剤は、ブレンステッド酸である。ブレンステッド酸は、Hイオンを塩基に供与することができる任意の物質である。ブレンステッド酸は、Hイオンまたはプロトン供与体である。ブレンステッド酸の例は、HCl、HBr、HI、HF、硫酸、およびそれらの混合物である。いくつかの実施形態では、助触媒は、イオン液体触媒の活性を増強し、炭化水素生成物の収率を改善する。
【0057】
いくつかの実施形態では、オレフィン供給物中のエチレンに対する助触媒の比率は、炭化水素生成物画分の沸点分布をシフトするように調整される。いくつかの実施形態では、二量体化条件は、助触媒に対するエチレンのモル比が約5~約75、約10~約50、または約10~約45であることを含む。いくつかの実施形態では、助触媒に対するエチレンのモル比は、約10、約13、約15、約20、約22、約25、約30、約35、約38、約40、約41、または約45である。
【0058】
いかなる理論にも拘束されることなく、イオン液体触媒のルイス酸性度は、HCl助触媒のブレンステッド酸性度によって強化されると考えられている。ブレンステッド酸によって促進される強化されたルイス酸性度の触媒の組み合わせにより、イオン液体触媒システムはエチレン分子を活性化することができ、二量体化反応を進行させることができる。鎖の長さは、および炭化水素生成物の沸点分布同様、炭素数の分布も下にシフトさせる。
【0059】
二量体化プロセスは、セミバッチまたは連続モードで行うことができる。連続とは、中断または停止することなく作動する(または作動することを意図した)プロセスを指す。例えば、連続プロセスは、反応物(エチレン供給物、イオン液体触媒、および助触媒など)が1つ以上の反応器に継続的に導入され、オレフィン二量体を含む生成物供給物が継続的に回収されるプロセスである。セミバッチとは、定期的に中断して作動する(または作動するように意図されている)システムを意味する。例えば、オレフィン二量体を生成するためのセミバッチプロセスは、反応物が1つ以上の反応器に継続的に導入され、生成物供給物が断続的に回収されるプロセスであろう。
【0060】
二量体化反応は、炭化水素生成物を得るために、イオン液体触媒の存在下で原料中のエチレンの二量体化の目的に好適な任意の反応器で行うことができる。使用することができる反応器の例は、連続撹拌槽反応器(CTSR)、ノズル反応器(ノズルループ反応器を含む)、管状反応器(連続管状反応器を含む)、固定床反応器(固定床接触反応器を含む)、およびループ反応器(静的ミキサーループリアクターを含む)が使用され得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、二量体化反応条件は、約10℃~約149℃、または約24℃~約135℃、または約38℃~約121℃、または約50℃~約60℃の温度を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、二量体化反応は、約0.7MPa~6.9MPa(7~69barg)、または約2.4MPa~4.8MPa(2.4~4.8barg)、または約2.7MPa~3.4MPa(27~34barg)の圧力下で行われる。いくつかの実施形態では、二量体化反応は、約2.0MPa~2.7MPA(20~27barg)の圧力下で行われる。いくつかの実施形態では、二量体化反応は、約2.7MPa(28barg)、3.1MPa(31barg)、3.2MPa(32barg)、または3.4MPa(34barg)の圧力下で行われる。
【0063】
カルボニル化
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、カルボニル化反応器において、エタノールを含むカルボニル化供給流を触媒と接触させて、プロピオン酸を含む反応器流出物流を生成することを含むいくつかの実施形態では、方法は、ステップ(a)の前に、バイオリアクター内でガス状基質を発酵させて、カルボニル化供給流を生成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、水素化反応器において、第1の反応器流出物流を触媒と接触させて、液化石油ガスの生成に向けてプロパンを含む生成物流を生成することをさらに含む。
【0064】
カルボニル化の例示的な方法では、第1のエタノール含有供給流および第2の一酸化炭素含有供給流は、液相カルボニル化反応器に向けられ、そこでカルボニル化反応が起こり、プロピオン酸を形成する。
【0065】
いくつかの実施形態では、カルボニル化反応温度は、約150~250℃または約180~225℃である。反応器内の一酸化炭素分圧は大きく変動する可能性があるが、典型的には約0.2~約3.0MPa(約2~約30バール)、例えば約0.2~約1.0MPa(約2~約10バール)、または約0.2~約0.3MPa(約2~約3バール)である。例えば、Dake et al.,1984,J.Molecular Catalysis 24:99-113(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)のkinetics of ethanol carbonylationを参照されたい。
【0066】
いくつかの実施形態では、カルボニル化反応器は、機械的に攪拌された容器、抽出またはポンプアラウンド混合を備えた容器、または攪拌機を備えたもしくは備えていない気泡塔タイプの容器であり、その中で反応する液体またはスラリーの内容物は所定のレベルに維持され、これは通常の作動中は実質的に一定のままである。
【0067】
いくつかの実施形態では、カルボニル化触媒は、第VIII族金属を含む金属触媒である。好適な第VIII族触媒には、ロジウムおよび/またはイリジウム触媒が含まれる。ロジウム触媒を使用する場合、ロジウムは、[Rh(CO)]-アニオンを含む平衡混合物としてロジウムが触媒溶液中に存在するように、任意の好適な形態で添加することができる。本明細書に記載のプロセスのカルボニル化反応混合物中に任意選択で維持されるヨウ化物塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の可溶性塩、第四級アンモニウム、ホスホニウム塩、またはそれらの混合物の形態であり得る。いくつかの実施形態では、触媒共促進剤は、ヨウ化リチウム、酢酸リチウム、またはそれらの混合物である。塩共促進剤は、ヨウ化物塩を生成する非ヨウ化物塩として添加することができる。ヨウ化物触媒安定剤は、反応系に直接導入することができる。代替的に、反応系の作動条件下で、広範囲の非ヨウ素添加塩前駆体が反応媒体中のヨウ化メチルまたはヨウ化水素酸と反応して、対応する共促進剤ヨウ化物塩安定剤を生成するので、ヨウ化物塩をその場で生成することができる。ロジウム触媒作用およびヨウ化物塩生成に関する追加の詳細については、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、米国特許第5,001,259号、同第5,026,908号、同第5,144,068号、および同第7,005,541号を参照されたい。
【0068】
いくつかの実施形態では、カルボニル化触媒系のハロゲン含有触媒促進剤は、有機ハロゲン化物を含むハロゲン化合物を含む。したがって、アルキル、アリール、および置換アルキルまたはアリールハライドを使用することができる。いくつかの実施形態では、ハロゲン含有触媒促進剤は、ハロゲン化アルキルの形態で存在する。いくつかの実施形態では、ハロゲン含有触媒促進剤は、アルキルラジカルが、炭化されている供給アルコールのアルキルラジカルに対応するハロゲン化アルキルの形態で存在する。したがって、エタノールのプロピオン酸へのカルボニル化において、ハロゲン化物促進剤は、ハロゲン化エチル、およびヨウ化エチルなどを含み得る。
【0069】
反応媒体の成分は、プリオピオン酸の十分な生成を確実にするために定義された制限内に維持される。反応媒体は、ある濃度の金属触媒、例えば、ロジウムとして100~3000wppmの量、例えば、400~2000wppm、または400~1500wppmのロジウム触媒を含む。反応媒体中の水の濃度は、14重量%未満、例えば、0.1重量%~14重量%、0.2重量%~10重量%、または0.25重量%~5重量%に維持される。好ましくは、反応は低水条件下で行われ、反応媒体は4重量%未満、例えば、3.5重量%未満、3重量%未満、または2重量%未満の水を含む。範囲に関して、反応媒体は、0.1~3.5重量%、例えば、0.1~3重量%または0.5~2.8重量%の水を含む。反応媒体中のヨウ化エチルの濃度は、1~25重量%、例えば、5~20重量%、4~13.9重量%に維持される。反応媒体中のヨウ化物塩、例えばヨウ化リチウムの濃度は、1~25重量%、例えば、2~20重量%、3~20重量%に維持される。反応媒体中の酢酸エチルの濃度は、0.5~30重量%、例えば、0.3~20重量%、0.6~4.1重量%に維持される。前述の量は、反応媒体の総重量に基づく。この出願で開示されている範囲には、エンドポイント、サブ範囲、および個々の値が含まれる。
【0070】
反応媒体中のプロピオン酸の濃度は、一般に、30重量%を超え、例えば、40重量%を超えるか、または50重量%を超える。
【0071】
いくつかの実施形態では、反応速度は、反応媒体中に、所望のカルボン酸のエステルおよびカルボニル化に使用されるアルコールなどのアルコール、ならびにヨウ化水素として存在するヨウ化物イオンに加えて追加のヨウ化物イオンを維持することによって、低水濃度でさえ得られる。いくつかの実施形態では、エステルは、酢酸エチルである。追加のヨウ化物イオンは、いくつかの実施形態では、ヨウ化物塩であり、特定の実施形態では、ヨウ化リチウム(LiI)が使用されている。米国特許第5,001,259号に記載されているように、低水濃度では、酢酸エチルおよびヨウ化リチウムは、これらの成分の各々が比較的高濃度で存在する場合にのみ速度促進剤として作用し、これらの成分の両方が、同時に存在する場合に促進がより高くなることがわかっている。
【0072】
エタノールのプロピオン酸生成物へのカルボニル化反応は、カルボニル化生成物を形成するのに好適な温度および圧力の条件で、エタノール供給物を、ロジウム触媒、ヨウ化エチル(EtI)促進剤、酢酸エチル(EtAc)、および追加の可溶性ヨウ化物塩を含む溶媒反応媒体を通してバブリングしたガス状一酸化炭素と接触させることによって実行することができる。重要であり、ヨウ化物に関連付けられるカチオンではない触媒系におけるヨウ化物イオンの濃度であり、ヨウ化物の所与のモル濃度では、カチオンの性質はヨウ化物濃度の効果ほど重要ではないことが一般に認識されるであろう。任意の金属ヨウ素添加塩、または任意の有機カチオンの任意のヨウ素添加塩、またはアミンもしくはホスフィン化合物に基づくものなどの他のカチオン(任意選択的に四級カチオン)は、塩が反応媒体に十分に可溶して所望のレベルのヨウ化物を提供するという条件で、反応媒体中に維持することができる。ヨウ化物が金属塩である場合、好ましくは、IUPAC周期表の第1族および第2族の金属からなる群のメンバーのヨウ素添加塩である。特に、アルカリ金属ヨウ化物が有用であり、ヨウ化リチウムが特に好適である。
【0073】
低水カルボニル化プロセスでは、ヨウ化水素として存在するヨウ化物イオンに加えて追加のヨウ化物イオンが、一般に、総ヨウ化物イオン濃度が1~25重量%であり、酢酸エチルが、一般に0.5~30重量%の量で存在し、ヨウ化エチルが、一般に1~25重量%の量で存在するような量で一般に触媒溶液中に存在する。ロジウム触媒は、一般に200~3000wppmの量で存在する。
【0074】
水素化
開示された態様の各々では、本明細書に記載の方法は、C3-C4オレフィンまたはプロピオン酸を触媒で水素化して、プロパンおよび/またはブタンを含む生成物流(すなわち、液化石油ガス生成物流)を生成することを含む。
【0075】
オレフィン(すなわち、プロピレンおよび/またはブテン)水素化(複数可)は、わずかに高い温度および圧力(すなわち、比較的穏やかな反応条件)で、周知のおよび/または容易に入手可能な市販の水素化触媒(複数可)を使用して実施することができる。反応は、約0.7~約8.2MPa(約7~約82barg)、または約0.7~2.0MPa、または約1.0~2.0MPaの範囲など、任意の好適な圧力で実行することができる。いくつかの実施形態では、水素化速度を最大化するために、反応は、1.7MPa(約17barg)を超えて実行される。
【0076】
オレフィン水素化反応は、飽和反応に有利な平衡状態で、一般に約400℃未満の任意の好適な温度で実行することができる。いくつかの実施形態では、水素化反応は、250℃未満の温度で実行される。
【0077】
C3-C4オレフィンの水素化(例えば、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,482,767号を参照)の場合、一般的な水素化触媒には、パラジウム(Pd-Cの形態など)、白金、ニッケル(ラネー-Niまたはニッケル-アルミナの形態など)、コバルト、またはこれらの金属の混合物などの不溶性金属が含まれる。オレフィンの水素化のための触媒の他の非限定的な例には、Ni-0750E(BASF)、珪藻土に担持されたニッケル、Criterion KL6565、またはJM10R39が含まれる。
【0078】
いくつかの実施形態では、オレフィン水素化は、液相、気相、および/またはトリクルベッド反応器で実行される。いくつかの実施形態では、オレフィン水素化は、トリクルベッドまたは気相で実行される。いくつかの実施形態では、オレフィン含有プロセス流は、気相流として水素化触媒の固定床を下向きに通過する。
【0079】
オレフィン水素化ゾーンを通過した後、いくつかの実施形態では、次のステップは、生成物LPGから任意の残りの水素および未反応のオレフィンを分離し、試薬を水素化反応にリサイクルすることである。
【0080】
いくつかの実施形態では、オレフィン水素化は、化学量論的に必要な量の水素の約110~約130モルパーセントに等しい水素の存在下で実行される。いくつかの実施形態では、供給ガス流中に存在する水素で十分である。いくつかの実施形態では、追加の水素が通過して水素化反応器に入る。他の実施形態では、供給ガス水素の利用を最大化するために、追加の水素は、通過して水素化反応器に入らない。追加の水素が水素化反応器に通過して入る実施形態では、水素または水素を生成するために使用される電気は、好ましくは、風力、太陽、地熱、またはバイオマスなどの再生可能資源から取得される。
【0081】
本開示のいくつかの態様では、プロピオン酸は水素化されてプロパンおよび水を生成し、これらは分別または水を凝縮することによって容易に分離することができる。プロピオン酸などのカルボン酸のプロパンなどのアルカンへの水素化は、例えば、グラファイトに担持されたレニウム-パラジウムの触媒(Pd/Re/C触媒)などの二金属触媒を使用して実施することができる(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるUllrich and Breit,2018,ACS Catal.8:785-89を参照)。
【0082】
いくつかの実施形態では、カルボン酸(例えば、プロピオン酸)水素化反応は、対応するアルコール(例えば、プロパノール)および対応するアルカン(例えば、プロパン)の両方を反応の初期段階における主要生成物であるアルコールとともに生成するが、特に出発カルボン酸材料が消費されると反応の後の段階で、アルコールを水素化してアルカンを供給する。いくつかの実施形態では、より高い温度および/または圧力は、アルコール生成物に対するアルカン生成物の選択性の増加をもたらす。したがって、いくつかの実施形態では、カルボン酸のアルカンへの水素化は、約130℃~約200℃、または約140℃~約190℃、または約150℃~約180℃、または約150℃~約170℃の反応温度で実施される。いくつかの実施形態では、カルボン酸水素化反応は、約130℃、または140℃、または150℃、または160℃、または170℃、または180℃、または190℃、または200℃の温度で実施される。いくつかの実施形態では、カルボン酸水素化反応は、約160℃の温度で実施される。いくつかの実施形態では、カルボン酸のアルカンへの水素化は、約2.0MPa~4.0MPa、または約2.5MPa~約3.5MPa、または約2.7~約3.3MPa、または約2.0MPa、または2.2MPa、または2.4MPa、または2.5MPa、または2.6MPa、または2.7MPa、または2.8MPa、または2.9MPa、または3.0MPa、または3.1MPa、または3.2MPa、または3.3MPa、または3.4MPa、または3.5MPa、または3.6MPa、または3.8MPa、または4.0MPaの反応圧力で実施される。いくつかの実施形態では、カルボン酸水素化反応は、約3.0MPaの圧力で実施される。
【0083】
水素化ゾーンの流出物流は、好ましくは、間接熱交換器を通過し、そこで、この流に存在する炭化水素の部分凝縮をもたらすのに十分に冷却される。水素、窒素、メタン、および二酸化炭素などの軽質ガスは、この時点では凝縮されていない。本質的にすべての飽和アルカン(すなわち、プロパンおよび/またはブタン)は、好ましくは凝縮されている。凝縮したプロパン/ブタンは、オレフィン含有量の少ないLPG流として除去される。オレフィン含有量がLPGの品質指標の1つであるという事実によって証明されるように、そのような低いオレフィン含有量は、LPG流において望ましい。生成物LPGは、他の流と組み合わされ得るか、または生成された状態で販売もしくは使用され得る。
【0084】
発酵
LPGの生成に使用されるエタノール、C3アルコール、およびC4アルコールなどのアルコールは、ガス発酵によって生成されることが好ましい。例えば、本開示の発酵の態様に関連する微生物は、エタノール(US2009/0203100)、イソプロパノール(US2013/0224838)、ブタノール(US2010/0105115およびUS2011/0236941)、および2-ブタノール(US2013/0330809)を生成するか、または生成するように操作され得、これらの各々は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0085】
「発酵」という用語は、基質に化学変化をもたらす代謝プロセスとして解釈されるべきである。例えば、発酵プロセスは、1つ以上の基質を受け取り、1つ以上の微生物を利用することによって1つ以上の生成物を生成する。「発酵」、「ガス発酵」などの用語は、ガス化によって生成された合成ガスなどの1つ以上の基質を受け取り、1つ以上のC1固定微生物を利用して1つ以上の生成物を生成するプロセスとして解釈されるべきである。好ましくは、発酵プロセスは、1つ以上のバイオリアクターの使用を含む。発酵プロセスは、「バッチ」または「連続」のいずれかとして説明することができる。「バッチ発酵」は、バイオリアクターが原材料、例えば微生物に加えて炭素源で満たされる発酵プロセスを説明するために使用され、発酵が完了するまで生成物はバイオリアクターに残る。「バッチ」プロセスでは、発酵が完了した後に、生成物を抽出し、次の「バッチ」が始まる前にバイオリアクターを洗浄する。「連続発酵」は、発酵プロセスがより長期間にわたって延長され、発酵中に生成物および/または代謝物が抽出される発酵プロセスを説明するために使用される。好ましくは、発酵プロセスは連続的である。
【0086】
「微生物」は、顕微鏡生物、特に、細菌、古細菌、ウイルス、または真菌である。本開示の発酵の態様に関連する微生物は、典型的には細菌である。本明細書で使用される場合、「微生物」の引用は、「細菌」を網羅するものと解釈されるべきである。
【0087】
本開示の発酵の態様に関連する微生物は、機能的特徴に基づいて分類され得る。例えば、本開示の発酵の態様に関連する微生物は、C1固定微生物、嫌気性菌、アセトゲン、エタノロゲン、カルボキシド栄養生物、および/またはメタン資化性菌であり得るか、またはそれらに由来し得る。表1は、微生物の代表的なリストを提供し、微生物の機能特徴を特定する。
【表1】
【0088】
「Wood-Ljungdahl」とは、例えば、Ragsdale,Biochim Biophys Acta,1784:1873-1898,2008に記載されている炭素固定のWood-Ljungdahl経路を指す。「Wood-Ljungdahl微生物」は、予想通り、Wood-Ljungdahl経路を含む微生物を指す。一般に、本開示の発酵の態様に関連する微生物は、天然のWood-Ljungdahl経路を含む。本明細書では、Wood-Ljungdahl経路は、天然の未修飾のWood-Ljungdahl経路であってもよく、またはCO、CO、および/もしくはHをアセチル-CoAに変換するように依然として機能する限り、ある程度の遺伝子修飾(例えば、過剰発現、異種発現、遺伝子欠損など)を有するWood-Ljungdahl経路であってもよい。
【0089】
「C1」は、1炭素分子、例えば、CO、CO、CH、またはCHOHを指す。「C1酸素化物」は、少なくとも1つの酸素原子も含む1炭素分子、例えば、CO、CO、またはCHOHを指す。「C1炭素源」は、本開示の発酵の態様に関連する微生物の部分的または唯一の炭素源として機能する1つの炭素分子を指す。例えば、C1炭素源は、CO、CO2、CH、CHOH、またはCHのうちの1つ以上を含み得る。好ましくは、C1炭素源は、COおよびCOのうちの1方または両方を含む。「C1固定微生物」は、C1炭素源から1つ以上の生成物を生成する能力を有する微生物である。典型的には、本開示の発酵の態様に関連する微生物は、C1固定細菌である。いくつかの実施形態では、本開示の発酵の態様に関連する微生物は、表1に特定されたC1固定微生物に由来する。
【0090】
「嫌気性細菌」は、増殖のために酸素を必要としない微生物である。嫌気性細菌は、酸素が特定の閾値を超えて存在する場合、負の反応を起こし得るか、もしくは死滅し得る。しかしながら、いくつかの嫌気性細菌は、低レベルの酸素(例えば、0.000001~5%の酸素)を許容可能である。典型的には、本開示の発酵の態様に関連する微生物は、嫌気性菌である。いくつかの実施形態では、本開示の発酵の態様に関連する微生物は、表1に特定されるような嫌気性菌に由来する。
【0091】
「アセトゲン」は、エネルギー節約のため、およびアセテート等のアセチル-CoAおよびアセチル-CoA由来生成物の合成のためのその主要機構としてWood-Ljungdahl経路を使用する、偏性嫌気性細菌である(Ragsdale,Biochim Biophys Acta,1784:1873-1898,2008)。特に、アセトゲンはWood-Ljungdahl経路を、(1)COからのアセチルCoAの還元的合成のメカニズム、(2)末端電子受容、エネルギー節約プロセス、(3)セル炭素の合成におけるCOの固定(同化)のメカニズム(Drake、Acetogenic Prokaryotes、In:The Prokaryotes、3rd edition、p.354、New York、NY、2006)として使用する。天然に存在するすべてのアセトゲンは、C1固定、嫌気性、独立栄養性、および非メタン資化性である。典型的には、本開示の発酵の態様に関連する微生物は、アセトゲンである。いくつかの実施形態では、本開示の発酵の態様に関連する微生物は、表1に特定されるようなアセトゲンに由来する。
【0092】
「エタノロゲン(ethanologen)」は、エタノールを生成する、または生成することが可能である微生物である。典型的には、本開示の発酵の態様に関連する微生物は、エタノロゲンである。いくつかの実施形態では、本開示の発酵の態様に関連する微生物は、表1に特定されるようなエタノロゲンに由来する。
【0093】
「独立栄養生物」は、有機炭素がなくても増殖することが可能な微生物である。代わりに、独立栄養生物は、COおよび/またはCOなどの無機炭素源を使用する。典型的には、本開示の発酵の態様に関連する微生物は、独立栄養生物である。いくつかの実施形態では、本開示の発酵の態様に関連する微生物は、表1に特定されるような独立栄養生物に由来する。
【0094】
「カルボキシド栄養生物」は、炭素およびエネルギーの唯一の供給源としてCOを利用することが可能な微生物である。典型的には、本開示の発酵の態様に関連する微生物は、カルボキシド栄養生物である。いくつかの実施形態では、本開示の発酵の態様に関連する微生物は、表1に特定されるようなカルボキシド栄養生物に由来する。
【0095】
「メタン資化性菌」は、炭素とエネルギーの唯一の供給源としてメタンを利用することが可能な微生物である。いくつかの実施形態では、本開示の発酵の態様に関連する微生物は、メタン資化性菌であるか、またはメタン資化性菌に由来する。他の実施形態では、本開示の発酵の態様に関連する微生物は、メタン資化性菌ではないか、またはメタン資化性菌に由来しない。
【0096】
より広義には、本開示の発酵の態様に関連する微生物は、表1に特定された任意の属または種に由来し得る。例えば、微生物は、Acetobacterium、Alkalibaculum、Blautia、Butyribacterium、Clostridium、Eubacterium、Moorella、Oxobacter、Sporomusa、およびThermoanaerobacterからなる群から選択される属のメンバーであり得る。具体的には、微生物は、Acetobacterium woodii、Alkalibaculum bacchii、Blautia producta、Butyribacterium methylotrophicum、Clostridium aceticum、Clostridium autoethanogenum、Clostridium carboxidivorans、Clostridium coskatii、Clostridium drakei、Clostridium formicoaceticum、Clostridium ljungdahlii、Clostridium magnum、Clostridium ragsdalei、Clostridium scatologenes、Eubacterium limosum、Moorella thermautotrophica、Moorella thermoacetica、Oxobacter pfennigii、Sporomusa ovata、Sporomusa silvacetica、Sporomusa sphaeroides、およびThermoanaerobacter kiuviからなる群から選択される親細菌に由来し得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、本開示の発酵の態様に関連する微生物は、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ljungdahlii、およびClostridium ragsdaleiの種を含むClostridiaのクラスターに由来する。これらの種は、Abrini,Arch Microbiol,161:345-351,1994(Clostridium autoethanogenum)、Tanner,Int J System Bacteriol,43:232-236,1993(Clostridium ljungdahlii)、およびHuhnke,WO2008/028055(Clostridium ragsdalei)によって初めて報告され、かつ特徴付けられた。Clostridium autoethanogenumの単離物および突然変異体には、JA1-1(DSM10061)(Abrini,Arch Microbiol,161:345-351,1994)、LBS1560(DSM19630)(WO2009/064200)、およびLZ1561(DSM23693)(WO2012/015317)が含まれる。Clostridium ljungdahliiの分離株および変異体としては、ATCC49587(Tanner,Int J Syst Bacteriol,43:232-236,1993)、PETCT(DSM13528、ATCC55383)、ERI-2(ATCC55380)(US5,593,886)、C-01(ATCC55988)(US6,368,819)、O-52(ATCC55989)(US6,368,819)、およびOTA-1(Tirado-Acevedo,Production of bioethanol from synthesis gas using Clostridium ljungdahlii,PhD thesis,North Carolina State University,2010)が挙げられる。Clostridium ragsdaleiの単離物および突然変異体には、PI 1(ATCC BAA-622、ATCC PTA-7826)(WO2008/028055)が含まれる。
【0098】
Clostridiaなどの微生物の代謝工学は、多くの重要な化学分子を生成する能力を大幅に拡大することができる。しかしながら、最近まで、Clostridiaは、遺伝的に扱いにくいと考えられていたため、一般的に広範な代謝工学の取り組みは禁止されていた。近年、イントロンベースの方法(ClosTron)(Kuehne、Strain Eng:Methods and Protocols、389-407、2011)、対立遺伝子交換法(ACE)(Heap、Nucl Acids Res、40:e59、2012;Ng、PLoS One、8:e56051、2013)、Triple Cross(Liew、Frontiers Microbiol、7:694、2016)、I-SceIを介して仲介される方法(Zhang、Journal Microbiol Methods、108:49-60、2015)、MazF(Al-Hinai、Appl Environ Microbiol、78:8112-8121、2012)、またはその他(Argyros、Appl Environ Microbiol、77:8288-8294、2011)、Cre-Lox(Ueki、mBio、5:e01636-01614、2014)、およびCRISPR/Cas9(Nagaraju、Biotechnol Biofuels、9:219、2016)を含むClostridiaのゲノム工学のためのいくつかの異なる方法が開発された。しかしながら、遅くて骨の折れるサイクリング時間と種間でのこれらの遺伝的手法の移転可能性の制限とのために、いくつかの遺伝的変化を繰り返し導入することは非常に困難なままである。さらに、ClostridiaのC1代謝は、C1の取り込み、変換、および生成物合成に向けた炭素/エネルギー/酸化還元の流れを最大化する修飾を確実に予測するには、まだ十分によく理解されていない。したがって、Clostridiaへの標的経路の導入は、退屈で時間のかかるプロセスのままである。
【0099】
「ガス状基質」および「基質」は、本開示の発酵の態様に関連する微生物のための炭素および/またはエネルギー源を指す。一般に、基質は、ガス状であり、C1炭素源、例えば、CO、CO、および/またはCHを含む。好ましくは、基質は、COまたはCO+COのC1炭素源を含む。基質は、H、N、または電子などの他の非炭素構成要素をさらに含み得る。
【0100】
微生物発酵ステップのための基質は、概して、約1、2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100モル%のCOなどの少なくともいくらかの量のCOを含む。基質は、約20~80、30~70、または40~60モル%のCOなど、ある範囲のCOを含み得る。好ましくは、基質は、約40~70モル%のCO(例えば、製鋼または高炉ガス)、約20~30モル%のCO(例えば、塩基性酸素高炉ガス)、または約15~45モル%のCO(例えば、合成ガス)を含む。いくつかの実施形態では、基質は、約1~10または1~20モル%のCOなどの比較的低い量のCOを含み得る。本発明の発酵の態様に関連する微生物は、典型的には、基質中のCOの少なくとも一部分を生成物に変換する。いくつかの実施形態では、基質は、COを含まないか、または実質的に含まない(1モル%未満)。
【0101】
基質は、いくらかの量のHを含み得る。例えば、基質は、約1、2、5、10、15、20、または30モル%のHを含み得る。いくつかの実施形態では、基質は、約60、70、80、または90モル%のHなど、比較的多量のHを含み得る。さらなる実施形態では、基質は、Hを含まないか、または実質的に含まない(1モル%未満)。
【0102】
基質は、いくらかの量のCOを含み得る。例えば、基質は、約1~80または1~30モル%のCOを含み得る。いくつかの実施形態では、基質は、約20、15、10、または5モル%未満のCOを含み得る。いくつかの実施形態では、基質は、COを含まないか、または実質的に含まない(1モル%未満)。
【0103】
基質は典型的にはガス状であるが、基質はまた、代替的な形態で提供されてもよい。例えば、基質は、マイクロバブル分散物発生装置を使用して、CO含有ガスで飽和した液体中に溶解されてもよい。さらなる例として、基質は、固体支持体上に吸着されてもよい。
【0104】
基質および/またはC1炭素源は、自動車の排出ガスまたはバイオマスガス化からなど、産業プロセスの副産物として得られる、または何らかの他の源からの廃ガスであってもよい。いくつかの実施形態では、工業プロセスは、製鉄所製造、非鉄製品製造、石油精製、石炭ガス化、電力製造、カーボンブラック製造、アンモニア生成、メタノール生成、およびコークス製造などの鉄金属製品製造からなる群から選択される。これらの実施形態では、基質および/またはC1炭素源は、任意の簡便な方法を使用して、それが大気中に放出される前に産業プロセスから捕捉されてもよい。
【0105】
基質および/またはC1炭素源は、石炭もしくは精錬残渣のガス化、バイオマスもしくはリグノセルロース物質のガス化、または天然ガスの改質によって得られる合成ガスなど、合成ガスであってもよい。別の実施形態では、合成ガスは、一般廃棄物または産業廃棄物のガス化から得てもよい。
【0106】
合成ガスの組成を改善して、所望のまたは最適なH:CO:CO比を提供することができる。合成ガスの組成を、ガス化プロセスに供給される原料を調整することによって改善してもよい。望ましいH:CO:CO比は、発酵プロセスの所望の発酵生成物に依存する。エタノールの場合、最適なH:CO:CO比は、
【数1】
のようになり、ここでx>2yであり、エタノール生成の化学量論を満たすために、以下のようになる。
【数2】
【0107】
水素の存在下で発酵プロセスを操作することには、発酵プロセスによって生成されるCOの量が低減されるというさらなる利点がある。例えば、最小限のHを含むガス状基質は、一般に、以下の化学量論[6CO+3HO→COH+4CO]に従って、エタノールおよびCOを生成するであろう。C1固定細菌によって利用される水素の量が増加すると、生成されるCOの量は減少する[例えば、2CO+4H→COH+HO]。
【0108】
COがエタノール生成の唯一の炭素およびエネルギー源である場合、以下のように炭素の一部がCOに失われる:
6CO+3HO→COH+4CO (ΔG°=-224.90kJ/モルエタノール)
【0109】
基質で利用可能なHの量が増加すると、生成されるCOの量は減少する。化学量論比が2:1(H:CO)の場合、COの生成は完全に回避される。
5CO+1H+2HO→1COH+3CO(ΔG°=-204.80kJ/molエタノール)
4CO+2H+1HO→1COH+2CO(ΔG°=-184.70kJ/molエタノール)
CO+3H→1COH+1CO(ΔG°=-164.60kJ/モルエタノール)
【0110】
ガス状基質の組成は、反応の効率および/または費用に著しい影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、ガス状基質は、化学反応の速度を低下させるか、または化学反応を防止する汚染物質などの汚染物質を含み得る。汚染物質は、微生物または触媒の活性を阻害し得る。汚染物質には、限定されないが、硫黄化合物、芳香族化合物、アルキン、アルケン、アルカン、オレフィン、窒素化合物、リン含有化合物、粒子状物質、固体、酸素、ハロゲン化化合物、シリコン含有化合物、カルボニル、金属、アルコール、エステル、ケトン、過酸化物、アルデヒド、エーテル、およびタールが含まれる。特定の実施形態では、汚染物質には、シアン化水素(HCN)、アセチレン(C)、BTEX(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン)、硫化水素(HS)、および硫化カルボニル(COS)が含まれる。酸素の存在は、嫌気性発酵プロセスの効率を低減させ得る。基質の組成に応じて、ガス状基質を処理、スクラブ、または濾過して、任意の望ましくない汚染物質を除去し、および/または望ましい成分の濃度を高めることが望ましい場合がある。
【0111】
典型的には、培養はバイオリアクター中で実施される。「バイオリアクター」という用語は、連続撹拌槽型反応器(CSTR)、固定化セル反応器(ICR)、トリクルベッド反応器(TBR)、バブルカラム、ガスリフト発酵槽、スタティックミキサー、または気液接触に好適な他の容器もしくは他の装置などの1つ以上の容器、塔、または配管構成からなる発酵装置を含む。いくつかの実施形態では、バイオリアクターは、第1の増殖反応器および第2の発酵反応器を含んでもよい。基質は、これらの反応器のうちの1つまたは両方に提供され得る。
【0112】
培養物は概して、微生物の増殖を可能にするのに十分な栄養素、ビタミン、および/または無機物を含有する水性培地中で維持される。好ましくは、水性培地は、最小嫌気性微生物増殖培地などの嫌気性微生物培地である。好適な培地は、当該技術分野において周知である。
【0113】
発酵は、望ましくは、標的生成物の生成に適切な条件下で実行されるべきである。考慮すべき反応条件は、圧力(または分圧)、温度、ガス流速、液体流速、培地pH、培地酸化還元電位、撹拌速度(連続撹拌槽反応器を使用する場合)、接種レベル、液相中のガスが制限的にならないことを確実にするための最大ガス基質濃度、および生成物阻害を回避するための最大生成物濃度を含む。特に、基質の導入速度は、生成物がガス制限条件下での培養によって消費され得るため、液相中のガスの濃度が制限的にならないことを確実にするように制御されてもよい。
【0114】
標的生成物は、例えば、分留蒸留、蒸発、浸透蒸発、ガスストリッピング、相分離、および例えば、液-液抽出を含む抽出発酵を含む、任意の方法または当該技術分野において既知の方法の組み合わせを使用して、発酵ブロスから分離または精製することができる。いくつかの実施形態では、標的生成物は、バイオリアクターからブロスの一部を連続的に除去し、微生物細胞をブロスから分離し(便宜的には濾過によって)、ブロスから1つ以上の標的生成物を回収することによって発酵ブロスから回収される。アルコールは、例えば、蒸留によって回収され得る。
【0115】
本開示は様々な実施形態に関して説明されてきたが、当業者には変更および修正が行われることが理解される。したがって、添付の特許請求は、特許請求された本開示の範囲内に入るそのような同等の変更のすべてを覆うことが意図されている。加えて、本明細書で使用されているセクションの見出しは、組織的な目的のみであり、説明されている主題を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0116】
本明細書に記載の各実施形態は、反対に明確に指示されない限り、他の任意の実施形態(複数可)と組み合わせることができる。特に、好ましいまたは有利であると表示される任意の特徴または実施形態は、反対に明確に表示されない限り、好ましいまたは有利であると表示される任意の他の特徴(複数可)または実施形態(複数可)と組み合わせることができる。
【0117】
この出願で引用されたすべての参考文献は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。

以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[請求項1]
液化石油ガスを生成する方法であって、C3アルコールおよび/またはC4アルコールを含む供給流を1つ以上の触媒と接触させて、プロパンおよび/またはブタンを含む生成物流を生成することを含み、
前記供給流が、ガス状基質の微生物発酵の生成物である、方法。
[請求項2]
(a)前記C3アルコールが、イソプロパノールおよび/または1-プロパノールを含み、
(b)前記C4アルコールが、ブタノールまたはブタノールの異性体を含む、請求項1に記載の方法。
[請求項3]
前記1つ以上の触媒が、脱水触媒および/または水素化触媒を含む、請求項1に記載の方法。
[請求項4]
前記脱水触媒が、酸性アルミナ、リン酸アルミニウム、シリカ-アルミナホスフェート、アモルファスシリカ-アルミナ、アルミノケイ酸塩、ジルコニア、硫酸化ジルコニア、タングステン酸化ジルコニア、炭化タングステン、炭化モリブデン、チタニア、硫酸化炭素、リン酸化炭素、リン酸化シリカ、リン酸化アルミナ、酸性樹脂、ヘテロポリ酸、無機酸、およびそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項3に記載の方法。
[請求項5]
前記水素化触媒が、Ni-アルミナ、Pd-C、ラネー-Ni、Co、もしくはPt触媒、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項3に記載の方法。
[請求項6]
脱水反応器が、前記脱水触媒を含み、水素化反応器が、前記水素化触媒を含む、請求項3に記載の方法。
[請求項7]
前記触媒が、脱水触媒の機能性および水素化触媒の機能性を含む、請求項1に記載の方法。
[請求項8]
前記方法が、
(a)前記脱水反応器において、前記C3アルコールおよび/または前記C4アルコールを含む前記供給流を前記脱水触媒と接触させて、C3アルケンおよび/またはC4アルケンを含む流出物流を生成することと、
(b)前記水素化反応器において、前記C3アルケンおよび/または前記C4アルケンを含む前記流出物流を水素および前記水素化触媒と接触させて、前記プロパンおよび/またはブタンを含む前記生成物流を生成することと、を含む、請求項6に記載の方法。
[請求項9]
(a)前記C3アルケンが、プロペンを含み、
(b)前記C4アルケンが、ブテン、ブテンの異性体、および/またはブタジエンを含む、請求項8に記載の方法。
[請求項10]
前記脱水反応器が、約100℃~約500℃、約350℃~約450℃、または約375℃~約425℃の温度で作動する、請求項8に記載の方法。
[請求項11]
前記脱水反応器が、約0.2MPa~約2MPa、約0.2MPa~約1MPa、または約0.2MPa~約0.7MPaの圧力で作動する、請求項8に記載の方法。
[請求項12]
前記脱水反応器が、約1h -1 ~約10h -1 、約2h -1 ~約8h -1 、または約0.5h -1 ~約2h -1 の重量時間空間速度(whsv)で作動する、請求項8に記載の方法。
[請求項13]
前記水素化反応器が、約400℃未満、約250℃未満、または約100℃~約150℃の温度で作動する、請求項8に記載の方法。
[請求項14]
前記水素化反応器が、約1.7MPa超、約0.7MPa~約8.2MPa、約0.7MPa~約2.0MPa、または約1.0MPa~約2.0MPaの圧力で作動する、請求項8に記載の方法。
[請求項15]
液化石油ガスを生成する方法であって、
(a)脱水反応器において、エタノールを含む脱水供給流を脱水触媒と接触させて、エチレンを含む第1の反応器流出物流を生成することであって、
前記脱水供給流が、ガス状基質の微生物発酵の生成物である、生成することと、
(b)二量体化反応器において、前記第1の反応器流出物流を二量体化触媒と接触させて、ブテンを含む第2の反応器流出物流を生成することと、
(c)水素化反応器において、前記第2の反応器流出物流および水素を水素化触媒と接触させて、ブタンを含む生成物流を生成することと、を含む、方法。
[請求項16]
前記脱水反応器が、約100℃~約500℃、約350℃~約450℃、または約375℃~約425℃の温度で作動する、請求項15に記載の方法。
[請求項17]
前記脱水反応器が、約0.2MPa~約2MPa、約0.2MPa~約1MPa、または約0.2MPa~約0.7MPaの圧力で作動する、請求項15に記載の方法。
[請求項18]
前記脱水反応器が、約1h -1 ~約10h -1 、約2h -1 ~約8h -1 、または約0.5h -1 ~約2h -1 のwhsvで作動する、請求項15に記載の方法。
[請求項19]
前記脱水触媒が、酸性アルミナ、リン酸アルミニウム、シリカ-アルミナホスフェート、アモルファスシリカ-アルミナ、アルミノケイ酸塩、ジルコニア、硫酸化ジルコニア、タングステン酸化ジルコニア、炭化タングステン、炭化モリブデン、チタニア、硫酸化炭素、リン酸化炭素、リン酸化シリカ、リン酸化アルミナ、酸性樹脂、ヘテロポリ酸、無機酸、およびそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項15に記載の方法。
[請求項20]
前記二量体化反応器が、約10℃~約150℃、約24℃~約135℃、約38℃~約121℃、または約50℃~約60℃の温度で作動する、請求項15に記載の方法。
[請求項21]
前記二量体化反応器が、約0.7MPa~約6.9MPa、約2.4MPa~約4.8MPa、約2.8MPa~約3.4MPa、または約2.0MPa~約2.7MPaの圧力で作動する、請求項15に記載の方法。
[請求項22]
前記二量体化触媒が、イオン液体触媒を含む、請求項15に記載の方法。
[請求項23]
前記二量体化触媒が、助触媒または促進剤を含む、請求項15に記載の方法。
[請求項24]
前記二量体化触媒が、Ti(IV)/AlEt 触媒を含む、請求項15に記載の方法。
[請求項25]
前記水素化反応器が、約400℃未満、約250℃未満、または約100℃~約150℃の温度で作動する、請求項15に記載の方法。
[請求項26]
前記水素化反応器が、約1.7MPa超、約0.7MPa~約8.2MPa、約0.7MPa~約2.0MPa、または約1.0MPa~約2.0MPaの圧力で作動する、請求項15に記載の方法。
[請求項27]
前記水素化触媒が、Ni-アルミナ、Pd-C、ラネー-Ni、Co、もしくはPt触媒、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項15に記載の方法。
[請求項28]
液化石油ガスを生成する方法であって、
(a)カルボニル化反応器において、エタノールを含むカルボニル化供給流を一酸化炭素およびカルボニル化触媒と接触させて、プロピオン酸を含む第1の反応器流出物流を生成することであって、
前記カルボニル化供給流が、ガス状基質の微生物発酵の生成物である、生成することと、
(b)水素化反応器において、前記第1の反応器流出物流および水素を触媒と接触させて、プロパンを含む生成物流を生成することと、を含む、方法。
[請求項29]
前記カルボニル化反応器が、約150℃~約250℃、または約180℃~約225℃の温度で作動する、請求項28に記載の方法。
[請求項30]
前記カルボニル化反応器が、約0.2MPa~約3.0MPa、約0.2MPa~約1.0Mpa、または約0.2MPa~約0.3MPaの一酸化炭素分圧で作動する、請求項28に記載の方法。
[請求項31]
前記カルボニル化触媒が、エチルおよびヨウ化物配位子を有するRhカルボニル触媒を含む、請求項28に記載の方法。
[請求項32]
前記水素化反応器が、約130℃~約200℃、約140℃~約190℃、約150℃~約180℃、または約150℃~約170℃の温度で作動する、請求項28に記載の方法。
[請求項33]
前記水素化反応器が、約2.0MPa~約4.0MPa、約2.5MPa~約3.5MPa、または約2.7MPa~約3.3MPaの圧力で作動する、請求項28に記載の方法。
[請求項34]
前記水素化触媒が、Pd/Re/C触媒を含む、請求項28に記載の方法。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5