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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-18
(45)【発行日】2023-01-26
(54)【発明の名称】採便キット
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/04 20060101AFI20230119BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
G01N1/04 G
G01N1/04 V
G01N1/04 J
G01N33/48 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018197561
(22)【出願日】2018-10-19
(65)【公開番号】P2020064028
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】515316517
【氏名又は名称】株式会社ビケンバイオミクス
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】辻野 泰充
(72)【発明者】
【氏名】深草 俊輔
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-091772(JP,A)
【文献】実開平06-004667(JP,U)
【文献】実開昭56-062559(JP,U)
【文献】特開平11-037999(JP,A)
【文献】特開平06-148178(JP,A)
【文献】特開2003-014733(JP,A)
【文献】特開2016-070820(JP,A)
【文献】特開2004-317481(JP,A)
【文献】特開2007-170997(JP,A)
【文献】特開平11-316222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00-1/44
G01N 33/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部、該軸部の一端側に配置されて便を採取するための採便部を有する先端部、及び該軸部の他端側に配置された基端部を含む採便棒と、
前記採便棒の前記基端部が嵌合可能な内径を有する長尺状で且つ両端が開口した筒部、及び該筒部内を摺動可能な径を有する長尺状の押出部を含む延長部材とを備え、
前記押出部は、前記筒部の長さ以上の長さを有し、
前記採便棒の前記基端部が前記筒部の一端側に嵌合された状態において、前記押出部が前記筒部の他端側から突出した状態から一端側に押し込まれることによって、前記基端部を前記筒部外へ押し出して前記採便棒を前記筒部から脱離できるように構成されていることを特徴とする採便キット。
【請求項2】
前記延長部材は、水溶性の材料からなることを特徴とする請求項1に記載の採便キット。
【請求項3】
前記採便棒を収容できて且つ前記延長部材は収容できない大きさの蓋付き容器をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の採便キット。
【請求項4】
前記採便棒の前記基端部は、扁平状であることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の採便キット。
【請求項5】
前記採便棒の前記基端部は、表面略矩形状であり、基端側の幅方向両端が面取りされた形状であることを特徴とする請求項に記載の採便キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便を採取するための採便キットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、検査用の生体試料としての便を採取するための器具として、採便の際に手が便に触れないようにするために棒状の器具(採便棒)が用いられている。採便棒を用いた採便は、採便棒の先端を便に突き刺して、それを便から引き抜くことで行われる。また、先端がスプーン形状の採便棒であれば掬う操作で便を採取する。通常、その後に採便棒を蓋付きの容器内に収容して、検査機関に送付し、検査機関にて検査が行われる。
【0003】
これまでに、種々の採便棒が開発されており、例えば特許文献1には、採便棒と、該採便棒を収容するための容器の蓋とが一体に構成された採便棒が開示されている。具体的に、扁平状でその表面に凹凸部からなるすべり止めが形成された蓋の下部から採便棒が延びており、採便者がつかみやすい構成となっている。
【0004】
この他に、特許文献2には、収容する容器の蓋に着脱可能に構成された採便棒が開示されている。特許文献2の採便棒は、採便時には蓋に取り付けられた状態で採便棒を用い、採便後に容器に蓋を取り付けて採便棒を収容し、蓋を押し込むことにより容易に採弁棒が蓋から脱落して容器下部に落とすことができる構成となっている。このような構成により、採便時には採便棒をつかみやすく、採便後に容易に蓋から採便棒を外すことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平6-148178号公報
【文献】実開平6-4667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1及び2に記載の採便棒は、採便者がつかみやすく取り扱いやすい形状となっているが、採便棒が容器に収容できるような長さであるため、比較的短く、採便時に採便者の手を便にかなり近づける必要があり、手に便が付着するおそれがある。また、便が手に付着しなくても、採便者に不快感を与えるおそれがある。
【0007】
このような問題を解決するために、採便棒をより長くして採便時における便と採便者の手との距離を大きくすることが考えられるが、このようにすると、採便棒を収容する容器も大きくする必要が生じ、容器の取り扱いや容器の輸送コスト等の観点から好ましくない。
【0008】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、採便棒自体を長くすることなく、採便時における採便者に与える不快感を低減でき、取り扱いが容易な採便棒を含む採便キットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明では、採便キットにおいて、長尺状で両端が開口した筒部と該筒部内を摺動可能な径を有する長尺状の押出部からなる延長部材を採便棒に取り付けることができる構成とした。
【0010】
具体的に、本発明に係る採便キットは、軸部、該軸部の一端側に配置されて便を採取するための採便部を有する先端部、及び該軸部の他端側に配置された基端部を含む採便棒と、前記採便棒の前記基端部が嵌合可能な内径を有する長尺状で且つ両端が開口した筒部、及び該筒部内を摺動可能な径を有する長尺状の押出部を含む延長部材とを備え、前記採便棒の前記基端部が前記筒部の一端側に嵌合された状態において、前記押出部が前記筒部の他端側から突出した状態から一端側に押し込まれることによって、前記基端部を前記筒部外へ押し出して前記採便棒を前記筒部から脱離できるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る採便キットによると、採便棒の基端部を延長部材の筒部に嵌合させることにより採便棒を長尺状の延長部材に取り付けることができるため、採便棒を実質的に延長することができるので、採便時における採便者の手と便との距離を大きくすることができる。また、本発明に係る採便キットでは、採便棒の基端部が筒部の一端側に嵌合された状態において、押出部が筒部の他端側から突出した状態から一端側に押し込まれることによって、基端部を筒部外へ押し出すことができるため、採便後に採便棒に触れることなく容易に延長部材から採便棒を取り外すことができる。その結果、採便者の手に便が付着することを防止でき、採便者に不快感を与えることを抑制できる。また、採便棒を収容するための容器を大きくする必要性も生じない。
【0012】
本発明に係る採便キットにおいて、前記押出部は、前記筒部の長さ以上の長さを有することが好ましい。
【0013】
このようにすると、採便棒の基端部が筒部の一端側に嵌合された状態において、押出部を筒部の他端側から突出した状態から一端側に押し込むことによって、確実に採便棒を筒部から脱離させることができる。
【0014】
本発明に係る採便キットにおいて、前記延長部材は、水溶性の材料からなることが好ましい。
【0015】
このようにすると、採便後に延長部材から採便棒を取り外した後に、延長部材をトイレに流すことができるため、延長部材を容易に処分することができる。
【0016】
本発明に係る採便キットは、前記採便棒を収容できて且つ前記延長部材は収容できない大きさの蓋付き容器をさらに備えていることが好ましい。
【0017】
このようにすると、採便棒を収容するための容器の大きさを極力小さくすることができるため、輸送コストを低減することができる。
【0018】
本発明に係る採便キットにおいて、前記採便棒の前記基端部は、扁平状であることが好ましい。
【0019】
このようにすると、採便棒がつかみ易くなり、取扱性が向上する。
【0020】
この場合、前記採便棒の前記基端部は、表面略矩形状であり、基端側の幅方向両端が面取りされた形状であることが好ましい。
【0021】
このようにすると、採便棒の基端部は基端側に向かって先細り形状となるため、基端部を筒部に嵌合させる際に、基端部を筒部に挿入し易くすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る採便キットによると、その取り扱いが容易であり、また、採便時における採便者に与える不快感を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る採便キットの採便棒を示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る採便キットの採便棒を示す側面図である。
図3】(a)は本発明の一実施形態に係る採便キットの採便棒の先端部を先端側から見た図であり、(b)はその一変形例を示す図である。
図4】(a)は本発明の一実施形態に係る採便キットの延長部材を構成する筒部及び押出部をそれぞれ示す正面図であり、(b)はそれらを組み合わせた状態の正面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る採便キットにおいて、採便棒の基端部に延長部材を装着した状態を示す断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る採便キットにおいて、延長部材が装着された採便棒を脱離させて容器内に入れる方法を説明するための断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る採便キットにおいて、採便棒を容器に収容した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用方法或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0025】
本実施形態に係る採便キットは、便を採取するための採便棒10と、採便棒10に取付可能な延長部材20とを備えている。なお、採便キットには採便棒10を収容可能な蓋31付き容器30も含まれていることが好ましい。それぞれの構成について図面を参照しながら以下に説明する。
【0026】
図1及び図2に示すように採便棒10は棒状であり、軸部11と、該軸部11の一端側に位置し、採便時に便に突き刺される先端部12と、軸部11の他端側に配置された基端部13とを含む。図1図2及び図3(a)に示すように、先端部12は、軸部11と連続するように延びる平面略楕円状の板状部14と、該板状部14の両面から軸部11の軸方向に対して垂直な方向に突設された略半円状の凸部15とを含む。具体的には、板状部14はその長軸が軸部11の軸方向と同一方向に延びる平面略楕円状であり、凸部15は板状部14の両面から該面に対して垂直な方向に突設されている。凸部15は軸部11の軸方向に互いに離間するように複数設けられており、これにより凸部15同士の間には空間としての溝部16が構成されている。具体的に、本実施形態では、板状部14を挟んで対称となるように5組の凸部15が設けられており、このため4組の溝部16が存在することとなる。
【0027】
5組の凸部15を先端側から第1の凸部15a、第2の凸部15b、第3の凸部15c、第4の凸部15d及び第5の凸部15eとすると、中央に位置する第3の凸部15cの突出長さLが最も長くなるように形成されている。本実施形態において、凸部15の突出長さLとは、図2及び図3に示すように、板状部14との接続部分における中央から、凸部15の先端までの長さをいう。複数の凸部15のそれぞれの突出長さは、第3の凸部15cから先端側及び基端側に向かって、順次短くなるように形成されている。すなわち、第2の凸部15b及び第4の凸部15dの突出長さは第3の凸部15cの突出長さよりも短く、第1の凸部15a及び第5の凸部15eの突出長さは第2の凸部15b及び第4の凸部15dの突出長さよりも短い。また、図1に示すように、凸部15は板状部14を横断するように形成されており、図3に示すように、板状部14を挟んで対称に配置された各組の凸部15によって、それらが平面略円状となるように形成されている。
【0028】
なお、本実施形態において、複数の凸部15は板状部14の両面に5つずつ形成されているが、これに限らず、例えば3つずつ、4つずつ、6つずつ又は7つずつでも構わない。また、凸部15は、板状部14に別体として接着されていてもよいが、板状部14と一体に成形されていてもよい。また、本実施形態では板状部14を平面略楕円状としたが、これに限らず、例えば平面略円状、又は平面略四角形状若しくは平面略六角形状等の平面略多角形状であってもよい。また、本実施形態では、板状部14の両面に形成される複数の凸部15を平面略半円状としたが、これに限らず、例えば平面略多角形状であってもよい。
【0029】
また、本実施形態では、板状部14に複数の凸部15を設けることにより、複数の溝部16を形成したが、これに限らず、例えば楕円体や直方体等の形状に成形された先端部12の外周に、例えば切削加工等によって複数の溝部16を形成することによって、結果的に複数の凸部15が形成されてもよい。
【0030】
また、本実施形態では、図3(a)に示すように1つの板状部14の両面に複数の凸部15を設けたが、図3(b)に示すように、2つの板状部14を断面十字状に交差させて、それらの間の4箇所の空間に複数の凸部15を設けてもよい。このとき、複数の凸部15はそれぞれ、例えば扇形状に形成され、2つの板状部14同士の間の4箇所に形成された凸部15が組み合わさって略円形状に形成されることが好ましい。なお、2つの板状部14を断面十字状に交差させる代わりに、同様の形状を一体的に形成しても構わない。
【0031】
上述のように、本実施形態では、先端部12に設けられた板状部14と複数の凸部15と複数の溝部16とにより採便棒10の採便部が構成されている。採便の際には、当該採便部を便に突き刺して抜き取ることにより便が採取される。本実施形態の採便棒10では、採便部が上記構成であるため、採便棒10の便への突き刺し時と、便からの抜き取り時との両方において便を効率的に採取できるので、十分な採便量を確保できる。具体的に説明すると、採便棒10の便への突き刺し時においては、複数の凸部15のうち先端側の第1の凸部15a、第2の凸部15b及び中央に配置された第3の凸部15cまでが順次便と接触しながら便をそれらの間の溝部16内に引き込む。また、採便棒10の便からの抜き取り時においては、複数の凸部15のうち基端側の第5の凸部15e、第4の凸部15d及び中央に配置された第3の凸部15cまでが順次便と接触しながら便をそれらの間の溝部16内に引き込む。従って、本実施形態に係る採便棒10の構成によると、上述の通り、採便棒10の便への突き刺し時と、便からの抜き取り時との両方において便を効率的に採取できる。
【0032】
以上のように、先端部12の構成について詳細に説明したが、これはあくまでも例であって、先端部12の構成は便を採取できるような構成であれば上記のような構成に限られない。例えば、便を掬うことができるスプーン形状であっても構わない。
【0033】
図1及び図2に示すように、軸部11には、先端部12(採便部)に隣接する位置に、軸部11の他の部分よりも細い細部11aが設けられている。採便時に採便棒10を便に突き刺すが、通常、その際に先端部12のみならず軸部11の先端部側まで突き刺すこととなる。このため、軸部11の径が先端部12の凸部15の径よりも大きいと、採便棒10の抜き取り時に第5の凸部15e、第4の凸部15d及び第3の凸部15cと便とが接触し難くなるおそれがある。従って、軸部11の径は、凸部15のそれぞれの径よりも小さいほうが好ましいが、軸部11全体を細くすると強度が小さくなって折れ等の破損のおそれがあるため、採便時に便と接触する軸部11の先端側の一部のみに細部11aが設けられることが好ましい。
【0034】
また、軸部11には、細部11aよりも基端側に軸部11の軸方向に対して垂直な方向に突設された液止め部11bが設けられている。液止め部11bは後に詳説するが、採便棒10を収容する容器30の内径と同等の径を有する。
【0035】
基端部13は、図1及び図2に示すように、軸部11よりも幅方向に拡大された表面略矩形状の扁平状に形成されており、基端部13の表面には凹凸部13aが形成されている。また、図2に示すように、基端部13の基端側は、基端側に向かうに従ってその厚みが大きくなっている。これらのような構成により、基端部13はつかみ易い構成となっている。また、基端部13の基端側の両端は、面取り加工されており、基端側に向かって先細り形状に形成されている。
【0036】
図4(a)及び(b)に示すように、延長部材20は、両端が開口した長尺状の筒部21と、筒部21の内部を摺動可能な径を有する長尺状の押出部22とにより構成されている。押出部22の径は、筒部21の内部を摺動可能とするために筒部21の内径と同等又はわずかに小さくなるように形成されている。また、押出部22の長さは筒部21の長さと同等又はそれよりも長く形成されている。押出部22は、空洞を有する筒状であっても、空洞が無い棒状であっても構わない。
【0037】
図5に示すように、採便時において、採便棒10は延長部材20に取り付けられて使用される。具体的に、採便棒10の基端部13が延長部材20の筒部21の一端側の開口から挿入されて筒部21内に嵌合される。この際に、基端部13のみを筒部21に挿入してもよいが、先端部12が露出していれば軸部11の中央付近まで挿入してもよい。そうすることにより、より安定に採便棒10を延長部材20に取り付けることができる。また、採便棒10の上記液止め部11bの径が筒部21の内径よりも大きくなるように構成されていれば、図5に示すように、筒部21の一端を液止め部11bに当接するようにでき、これにより、筒部21がより安定に採便棒10を保持でき、さらに採便棒10の先端部12まで筒部21に挿入されることを防止できる。なお、基端部13は、上述の通り、基端側の両端が面取り加工されており、基端側に向かって先細り形状に形成されているため、筒部21に挿入しやすい形状となっている。
【0038】
筒部21の内径は、基端部13が嵌合されるように基端部13の幅W(図1参照)と同等の大きさに構成されていることが好ましい。基端部13の凹凸部13aは、基端部13が延長部材20の中に挿入されたときに、延長部材20が基端部13から容易に外れないように滑り止めの役割を果たす。筒部21が樹脂や紙等の変形可能な材料からなる場合は、筒部21の内径は、基端部13の幅Wよりもわずかに小さくても構わない。また、筒部21の材料は、後にも説明するが、トイレに流すことができるように水溶性の紙からなることが好ましい。
【0039】
図5に示すように、押出部22は、筒部21の他端側、すなわち採便棒10が挿入されている側の反対側に挿入される。押出部22は、採便棒10よりも先に筒部21に挿入されていてもよいし、採便棒10の後に筒部21に挿入されてもよい。
【0040】
採便は、図5に示すように延長部材20に採便棒10が装着された状態で、上記の通り、採便棒10の先端部12にも受けられた採便部を便に突き刺して抜き取ることによって行われる。このように、延長部材20を基端部13に装着することにより、採便棒10の長さを実質的に長くすることができるため、採便時に便が手に触れることを防止することができる。
【0041】
この後、採便棒10は、採便棒10を収容可能な容器30に収容される。容器30は、例えば透明な樹脂製であり、蓋31を有し、便を溶かすための液体32を含む。採便棒10の容器30への収容は、図6に示すように、採便棒10の先端部12を容器30内に入れた状態で、押出部22を採便棒10側に押し込むことによって行われる。このようにすると、押出部22によって採便棒10が筒部21から押し出されて、容器30内に入ることとなる。押出部22によって、採便棒10を筒部21から確実に押し出すために、上述のように押出部22の長さは筒部21の長さと同等又はそれよりも長いことが好ましい。採便棒10を容器30に収容した後、図7に示すように、容器30の開口に蓋31を付けることにより、採取した便を、安全且つ清潔に運搬可能となる。
【0042】
このとき、上述の通り、軸部11に、容器30の内径と同等の径を有する液止め部11bが設けられているため、採便棒10が容器30内に収容されると、液止め部11bは液体32が外部に漏れることを防ぐ内蓋として機能する。また、採便棒10を容器30に収容した後、延長部材20を処分することができるが、上述の通り、延長部材20が紙等の水溶性材料で構成されていれば、使用後にトイレに流すことができて、採便者に負担がなく、衛生面においても優れる。
【0043】
以上に説明したとおり、本実施形態に係る採便キットによると、採便棒を延長部材に容易に着脱することが可能であって、採便時における採便者への便の付着を防止できて採便者に与える不快感を低減することができる。
【符号の説明】
【0044】
10 採便棒
11 軸部
12 先端部
13 基端部
14 板状部
15 凸部
16 溝部
20 延長部材
21 筒部
22 押出部
30 容器
31 蓋

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7