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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-18
(45)【発行日】2023-01-26
(54)【発明の名称】食品用粉付け装置
(51)【国際特許分類】
   A21C 9/04 20060101AFI20230119BHJP
   A23P 20/13 20160101ALI20230119BHJP
【FI】
A21C9/04
A23P20/13
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021154487
(22)【出願日】2021-09-22
【審査請求日】2022-10-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516245139
【氏名又は名称】株式会社工揮
(74)【代理人】
【識別番号】100114498
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100222243
【弁理士】
【氏名又は名称】庄野 友彬
(72)【発明者】
【氏名】川上 信行
【審査官】武市 匡紘
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-165229(JP,A)
【文献】特開2001-299315(JP,A)
【文献】特公昭34-008897(JP,B1)
【文献】実開昭51-006199(JP,U)
【文献】米国特許第05937744(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C 9/04
A23P 20/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
玉状に成型した食品玉の表面に対して粉体を付着させる粉付け装置であって、
上方から粉体を降りかけられた食品玉を受け入れて、当該食品玉が自重によって下方に転走する傾斜通路を有し、
前記傾斜通路は、前記食品玉が中空部を転がる円筒状に形成されると共に周方向への回転が与えられた第一ドラムと、前記第一ドラムと直列に配置されると共に前記第一ドラムと逆向きの周方向回転が与えられ、前記第一ドラムを通過した食品玉が中空部を転がる円筒状に形成された第二ドラムと、を備え、
前記第一ドラム及び/又は前記第二ドラムの内周面には、前記傾斜通路を転走する食品玉が乗り越えると共に回転中心軸から傾斜した1又は複数の突条部が設けられていることを特徴とする粉付け装置。
【請求項2】
請求項1に記載の粉付け装置であって、
前記突条部は、前記第一ドラム及び/又は前記第二ドラムの内周面に螺旋状に設けられており、前記突条部の螺旋が、前記食品玉の進行する方向に傾斜している。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の粉付け装置であって、
前記複数の突条部は、前記第一ドラム及び/又は前記第二ドラムの内周面の周方向に沿って等間隔に設けられている。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の粉付け装置であって、
前記突条部は三個設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば業務用の製パン機械において、パン生地を小分けにした生地玉の表面に満遍なく打ち粉を付着させる際に使用する食品用粉付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製パン工程においては、混錬されたパン生地を分割機によって分割した所定サイズの生地玉に小分けにした後、かかる分割機で不整形となった生地玉を丸め機によって1個ずつ丸め直して表皮を形成し、焼成工程前の中間発酵へと工程を進めている。業務用の製パン機械は1時間当たりの生地玉の生産個数も多く、前記分割機及び丸め機はベルトコンベアで繋がれて、生地玉を連続的に生産している。
【0003】
前記丸め機から次々に排出される生地玉は1個ずつ搬送バケットに載せられ、次工程の中間発酵を担うオーバーヘッドプルファーに送られる。その際、生地玉が搬送バケットに粘着しないよう、個々の生地玉の表面に打ち粉を付着させることが必要となる。
【0004】
このため、従来から前記丸め機の生地玉排出口には粉付け装置が設けられている。この粉付け装置は、生地玉が転がり落ちる傾斜通路を有しており、この傾斜通路の入口には、生地玉に対して上方から打ち粉をふりかける粉ふり器が設けられている。また、前記傾斜通路は周方向へ一定の速度で回転する円筒状のドラムから構成されており、生地玉は前記ドラムの上方開口に設けられた受入口から進入して当該ドラムの内周面を転がり、下方開口から排出される。
【0005】
このような従来の粉付け装置では、前記丸め機から排出された生地玉は降りかけられた打ち粉と共に前記ドラムの内部に進入し、当該ドラム内を転がり落ちて当該粉付け装置から排出される。前記ドラムは回転しているため、生地玉は前記ドラム内を蛇行しながら下方に転がり落ち、その際に生地玉の表面に打ち粉が広く付着するようになっている。
【0006】
特許文献1で開示されている粉付け装置は、傾斜通路のドラム内にバッフル部材が設けられており、生地玉が傾斜通路を転がり落ちる過程で前記バッフル部材が生地玉の進行を遮ることで、前記生地玉は前記バッフル部材を迂回するように回転方向を変化させながら転がり落ち、前記生地玉の表面に対して満遍なく打ち粉を付着させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-165229
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
製パン工程は複数の工程で構成され、焼き上がりまでに多くの時間を必要とすることから、単位時間当たりの生産個数を増加させ、生産効率を向上させるというニーズがある。この点について、特許文献1の粉付け装置は、ドラム内のバッフル部材により生地玉の表面に対し薄く満遍なく打ち粉を付着させることができるものの、傾斜通路における生地玉の転走が前記バッフル部材で遮られることにより傾斜通路からの排出に遅延が生じるため、粉付け装置に対して連続的に進入させる生地玉の進入間隔を、生地玉同士が接触しないように調節する必要があった。そのため、特許文献1の粉付け装置は、生産効率を向上させるというニーズに対して課題が生じていた。特に、大きいサイズの生地玉を生産する際には、小さいサイズの生地玉を生産する場合に比して、バッフル部材を大きく迂回しなければならないため、バッフル部材付近での時間ロスが顕著であり、生産効率を向上させるという点においては不向きであった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、その目的は、パンの生地玉のような玉状の食品の表面に対して粉体を薄く満遍なく付着させることができると共に、傾斜通路における当該食品の通過を円滑にし、生産効率を向上させることが可能な粉付け装置を提供することにある。
【0010】
すなわち、本発明は、玉状に成型した食品玉の表面に対して粉体を付着させる粉付け装置であって、上方から粉体を降りかけられた食品玉を受け入れて、当該食品玉を下方に向けて転走させる傾斜通路を有し、前記傾斜通路は、前記食品玉が中空部を転がる円筒状に形成されると共に周方向への回転が与えられた第一ドラムと、前記第一ドラムと直列に配置されると共に前記第一ドラムと逆向きの周方向回転が与えられ、前記第一ドラムを通過した食品玉が中空部を転がる円筒状に形成された第二ドラムと、を備え、前記第一ドラム及び/又は前記第二ドラムの内周面には、回転中心軸から傾斜した1又は複数の突条部が設けられていることを特徴とする粉付け装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明の粉付け装置よれば、傾斜通路を構成する第一ドラム及び/又は第二ドラムの内周面に設けられた突条部により当該傾斜通路を通過する玉状の食品が蛇行しながら転走することで前記食品の表面に対して薄く満遍なく粉体を付着させることができると共に、従来の粉付け装置に比して前記食品の転走を円滑にし、生産効率を向上させることができる。
【0012】
また、傾斜通路内に滞留する粉体が、第一ドラム及び/又は第二ドラムの回転に伴って、傾斜通路内で前記食品の上方から降りかかることとなり、この点においても前記食品の表面に薄く満遍なく粉体を付着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態にかかる粉付け装置を示す図である。
図2】本発明の一実施形態にかかる粉付け装置の装置ハウジングを解放した状態を示す図である。
図3】本発明の一実施形態にかかる第二ドラムを示す斜視図である。
図4】本発明の一実施形態にかかる第一ドラム及び第二ドラムを展開した状態を示す模式図である。
図5】本発明の一実施形態にかかる粉付け装置の内部における生地玉の転走状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を用いて本発明の粉付け装置を詳細に説明する。
【0015】
図1に本発明の実施形態にかかる粉付け装置100を示す。粉付け装置100は、玉状の食品に対して粉体を付着させるためのものであって、玉状の食品としては、パン生地が挙げられる。前記粉付け装置100は、当該パン生地に対し粉体である打ち粉を付着させる。粉付け装置100には、中間発酵の前工程である丸め工程で使用する丸め機200が装着されている。前記丸め機200は、パン生地の分割機(図示せず)と組み合わせて使用されるものであり、当該分割機により所定の大きさの生地玉に分割されて、分割機からベルトコンベアで次々に排出される生地玉を受入れ、これら生地玉に対して丸め工程を施した後に排出されるように構成されている。なお、本実施形態では、玉状の食品としてパン生地を例に説明するが、玉状の食品はパン生地に限定するものではなく、クッキー、麺類等の生地、揚げ物等であってもよい。粉体は、玉状の食品に応じて、打ち粉、片栗粉、パン粉等に適宜変更するとよい。
【0016】
丸め機200は、略矩形状に形成された装置フレーム210と、この装置フレーム210の中央に搭載されて所定の回転数が与えられる搬送ドラム201と、この搬送ドラム201の周囲に螺旋状の生地丸め溝202を形成する生地案内部材203とを備えている。図1に示す丸め機200においては、前記生地丸め溝202は前記搬送ドラム201の周囲を1+1/4周だけ巡っている。前記装置フレーム210は、4本の柱を複数の梁で結合したものであり、中心には前記搬送ドラム201が収められている。
【0017】
前記分割機からベルトコンベアで運ばれた生地玉は、前記生地案内部材203の最下端、すなわち前記搬送ドラム201の周囲に螺旋状に設けられた生地丸め溝202に供給される。この状態において、生地玉は、前記生地案内部材203と前記搬送ドラム201との間に挟まれており、前記生地案内部材203から押圧されている。また、前記搬送ドラム201の回転方向は、この丸め機200を上方から観察したときに右回りになるように設定されている。従って、前記生地案内部材203に供給された生地玉は、前記生地玉に対して搬送ドラム201と逆方向の回転が発生し、かかる生地玉は前記生地丸め溝202内を前記搬送ドラム201の回転方向と同一方向へ進行する。
【0018】
前記生地丸め機200の入口は出口に比べて低い位置に存在しており、この丸め機200に供給された生地玉は前記搬送ドラム201の回転に伴って、前記生地丸め溝202内を入口から出口に向かって登っていく。分割機から排出されて不整形であった生地玉は、前記生地丸め溝202内を転がりながら進行することによって丸め直されて表皮が形成される。そして、当該生地丸め溝202の出口に到達すると、自重によって排出樋101から転がり出る。
【0019】
前記装置フレーム210の上部には、打ち粉の収納ボックス205が設けられており、前記生地丸め溝202の出口付近には前記収納ボックス205から打ち粉が定量ずつ落とされ、当該出口から排出樋101に進入する生地玉に対して上方から打ち粉が降りかかる。また、前記生地丸め溝202の出口には生地玉の通過を検出するセンサ(図示せず)が設けられており、このセンサの検出結果に基づいて打ち粉の投下が制御されている。
【0020】
粉付け装置100は、取付けブラケット104によって前記丸め機200の装置フレーム210に取り付けられる。前記取付けブラケット104は、長さ調節可能なコンロッド103を有しており、当該コンロッド103の長さを調節することで、前記粉付け装置100の装置フレーム210に対する傾斜角度を自在に変更することができる。
【0021】
図2は、粉付け装置100の装置ハウジングを解放した状態を示す図である。粉付け装置100は、生地玉130が自重によって転がり落ちる傾斜通路を有しており、前記生地丸め溝202の出口において打ち粉が降りかけられた生地玉130は、前記傾斜通路内で一定の処理がなされ、表面に打ち粉が満遍なく付着した状態で当該粉付け装置100の下方から排出される。通常、前記丸め機200による生地玉130の丸め工程の次工程は中間発酵であり、前記粉付け装置100から排出された生地玉130は、オーバーヘッドプルファーの搬送バケットに収容される。
【0022】
前記粉付け装置100は、前記排出樋101から排出された生地玉130を受入れ、当該生地玉130を下方へと転走させる傾斜通路を備える。傾斜通路は、前記排出樋101から排出された生地玉130を受け入れる円筒状の第一ドラム110と、前記第一ドラム110の外形よりもわずかに大きい内径を有して当該第一ドラム110と直列に配置された円筒状の第二ドラム120とから構成されている。また、粉付け装置100は、これら第一ドラム110及び第二ドラム120を保持すると共に前記取付けブラケット104に固定された装置ハウジング105と、前記第二ドラム120から転がり出た生地玉130を受け止めて次工程へ送り出す案内プレート102とを備えている。生地玉130は前記第一ドラム110及び前記第二ドラム120の中空部を転走し、前記案内プレート102に達する。また、前記第一ドラム110の長手方向の一端は、前記第二ドラム120の中空部に挿入されており、当該第一ドラム110の内部を転走した生地玉130が円滑に前記第二ドラム120に乗り移れるようになっている。
【0023】
前記装置ハウジング105は駆動部ケース105aと蓋部材105bとをヒンジを介して開閉自在に結合したものであり、これら駆動部ケース105aと蓋部材105bとの間に前記第一ドラム110及び前記第二ドラム120が保持されている。また、前記取付けブラケット104は前記駆動部ケース105aに固定されている。
【0024】
図2に示す図は、前記粉付け装置100を前記取付けブラケット104から取り外し、更に前記蓋部材105bを開いて、前記第一ドラム110及び第二ドラム120を露出させた状態を示す平面図である。前記駆動部ケース105aの内部には前記第一ドラム110及び第二ドラム120を回転自在に支承するローラ機構(図示せず)が設けられる一方、前記蓋部材105bには前記第一ドラム110及び第二ドラム120を前記ローラ機構に向けて押圧するピンチローラ109が設けられている。従って、前記駆動部ケース105a及び前記蓋部材105bの間に前記第一ドラム110及び第二ドラム120が回転自在に保持された状態となる。
【0025】
前記第一ドラム110及び第二ドラム120のそれぞれの外周面には、周方向に沿って従動ギア107a,108aが形成されており、前記駆動部ケース105aの内部にはこれら従動ギア107a,108aと噛合う駆動ギア107b,108bがそれぞれ設けられている。また、前記駆動部ケース105aの内部には、駆動モータ(図示せず)が設けられており、この駆動モータの回転が各駆動ギアに伝達されている。従って、前記駆動モータを回転させると、前記第一ドラム110及び前記第二ドラム120が前記装置ハウジング105に保持された状態で周方向へ回転することになる。ただし、前記第二ドラム120の回転方向は、前記第一ドラム110の回転方向と逆方向に設定されており、前記案内プレート102の側から前記第一ドラム110及び前記第二ドラム120を観察した場合に、前記第一ドラム110は左回り、前記第二ドラム120は右回りに設定されている。
【0026】
前記第一ドラム110及び前記第二ドラム120の内周面には、前記第一ドラム110及び前記第二ドラム120の回転中心軸から傾斜した1又は複数の突条部140が設けられている。すなわち、突条部140は、第一ドラム110及び第二ドラム120の内周面に対して、いわゆる螺旋状に設けられている。図3は、第二ドラム120を示す斜視図であり、前記第二ドラム120の内周面には、突条部140が三個設けられている。前記突条部140は、ビス等により前記第二ドラム120の内周面に固定されている。図4は第一ドラム110及び第二ドラム120を展開した模式図であって、前記突条部140は、前記第一ドラム110及び前記第二ドラム120の周方向(図4の紙面上下方向)に沿って等間隔に設けられている。図4において、生地玉130は、矢印α方向に向かって転走する。第一ドラム110に設けられた突条部は、第二ドラム120に設けられた突条部の構成と同一の構成である。なお、本実施形態では突条部140が三個設けられた例を説明するが、前記突条部140は三個に限定するものではなく、一個の突条部、四個以上の突条部等、適宜設計の変更が可能である。
【0027】
突条部140は、第二ドラム120の回転に伴って、前記突条部140の螺旋が、前記生地玉130の進行する方向に傾斜している。そのため、第一ドラム110又は第二ドラム120に進入した生地玉130は、突条部140に衝突すると第一ドラム110又は第二ドラム120の回転方向と同一の方向に移動し、一定の高さまで移動したところで、前記突条部140を乗り越える。突条部140の傾斜角度は、自由に設計することができるものの、当該傾斜角度が第一ドラム110又は第二ドラム120の回転中心軸から45度よりも大きくなると、突条部140による生地玉130の減速効果が増大し、生地玉130の円滑な転走の妨げになってしまう。そのため、突条部140の回転中心軸からの傾斜角度は45度以下であることが好ましい。
【0028】
前記第一ドラム110及び第二ドラム120の内周面は無数の突起がついた樹脂シートで覆われており、生地玉130の表面からふるい落とされた打ち粉は、当該樹脂シートの窪みに滞留する。このことから、生地玉130は第一ドラム110及び第二ドラム120の内周面に滞留する打ち粉に接触しながら転走するため、生地玉130に対する打ち粉の付着効率が向上し、粉付け装置100による打ち粉の使用量が軽減される。
【0029】
図5は、前記第一ドラム110及び前記第二ドラム120を回転中心に沿って半分に切断した状態を示す図であり、前記粉付け装置100の内空部における生地玉130の転走状態を模式化して示している。丸め機200により丸め工程が完了し、丸め機200の排出樋101から排出されて打ち粉を降りかけられた生地玉130は、表面に付着した打ち粉と共に粉付け装置100の上方に配置されている第一ドラム110に進入する。前記第一ドラム110は、前記第一ドラム110を案内プレート102の側から観察した場合に、左回りであるY方向に回転している。そして、前記第一ドラム110内に進入した生地玉130は、前記第一ドラム110の突条部140に衝突すると当該Y方向の回転に伴って前記第一ドラム110内でY方向に移動する。Y方向に移動した生地玉130は、第一ドラム110内で一定の高さまで移動すると、突条部140を乗り越える。したがって、前記生地玉130は、第一ドラム110の内周面に設けられた三個の突条部140により、前記第一ドラム110内を蛇行しながら転走する。
【0030】
このように、生地玉130は第一ドラム110内を蛇行しながら粉付け装置100の下方に向かって進行するため、生地玉130の表面には、前記打ち粉が薄く満遍なく付着する。また、生地玉130が蛇行しながら粉付け装置100の下方に進行することによって、生地玉130に厚く付着した余分な打ち粉を落とすことができる。
【0031】
前述のとおり、第一ドラム110内には、生地玉130の表面からふるい落とされた打ち粉が滞留する。当該打ち粉は、特に突条部140の淵に滞留している。第一ドラム110内に滞留する打ち粉は、前記第一ドラム110の回転に伴ってY方向に移動し、前記第一ドラム110の上方まで移動すると、自重により落下する。落下した打ち粉は、第一ドラム110内を転走する生地玉130に対して、前記第一ドラム110内の上方から降りかかる。これにより、第一ドラム110内の突条部140の淵に滞留する打ち粉は、生地玉130の表面に薄く満遍なく打ち粉を付着させることに寄与する。
【0032】
第一ドラム110内を進行した生地玉130は、第一ドラム110と直列に配置されると共に前記第一ドラム110の一部が挿入されている第二ドラム120に進入する。
【0033】
第二ドラム120は、第一ドラム110の回転方向Yと逆向きであるX方向に回転している。生地玉130が第二ドラム120内に進入した後は、第一ドラム110内における一定の動作と同様である。第二ドラム120に進入した生地玉130は、当該X方向の回転に伴って前記第二ドラム120内でX方向に移動する。そして、前記生地玉130は、前記第二ドラム120内で一定の高さまで移動すると、第二ドラム120の内周面に設けられた突条部140を乗り越える。これにより、生地玉130は、第二ドラム120内を蛇行しながら転走する。
【0034】
そして、このようにして前記第二ドラム120内を転走した生地玉130は、その表面に薄く満遍なく打ち粉が付着した状態で前記第二ドラム120から排出され、前記案内プレート102を経て次工程へと送られる。
【0035】
以上説明してきたように、本発明の粉付け装置100によれば、打ち粉が降りかけられた生地玉130が、傾斜通路を構成するドラム内に設けられた突条部140により、前記ドラム内に進入した生地玉130が蛇行しながら転走することで前記生地玉130の表面に対して薄く満遍なく打ち粉を付着させることができる。更に、当該粉付け装置100は、突条部140を乗り越えることで生地玉130が蛇行しながら転走することから、生地玉130の転走速度を最大限落とすことなくドラム内を通過するため、従来の粉付け装置に比して、生地玉130の転走を円滑にすることができる。これにより、単位時間あたりにドラム内を通過することが可能な生地玉の個数を増加させ、生産効率を向上させることができる。
【0036】
更に、粉付け装置100は、生地玉130をドラム内で蛇行しながら転走させ、生地玉130の表面に薄く満遍なく打ち粉を付着させることができる結果、生地玉130に対する打ち粉の付着効率が向上し、使用する打ち粉の量を大幅に軽減することができる。
【0037】
加えて、傾斜通路内を通過する生地玉130は、一定の高さまで移動すると突条部140を乗り越えるため、小さいサイズの生地玉130は勿論のこと、大きいサイズの生地玉130であっても、前記傾斜通路を円滑に転走することができる。
【0038】
なお、図を用いて説明してきた本発明の粉付け装置の具体例では、突条部140が第一ドラム110及び第二ドラム120の双方に設けられているが、前記突条部140は、必ずしも第一ドラム110及び第二ドラム120の双方に設けられている必要はなく、第一ドラム110のみ又は第二ドラム120のみに設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0039】
100…粉付け装置、110…第一ドラム、120…第二ドラム、130…生地玉、140…突条部
【要約】
【課題】
パンの生地玉のような玉状の食品の表面に対して粉体を薄く満遍なく付着させることができると共に、傾斜通路における当該玉状の食品の通過を円滑にし、生産効率を向上させることが可能な粉付け装置を提供する。
【解決手段】
玉状に成型した食品玉の表面に対して粉体を付着させる粉付け装置であって、上方から粉体を降りかけられた食品玉を受け入れて、当該食品玉を下方に向けて転走させる傾斜通路を有し、前記傾斜通路は、前記食品玉が中空部を転がる円筒状に形成されると共に周方向への回転が与えられた第一ドラムと、前記第一ドラムと直列に配置されると共に前記第一ドラムと逆向きの周方向回転が与えられ、前記第一ドラムを通過した食品玉が中空部を転がる円筒状に形成された第二ドラムと、を備え、前記第一ドラム及び/又は前記第二ドラムの内周面には、回転中心軸から傾斜した1又は複数の突条部が設けられていることを特徴とする。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5