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特許7212986直進フィーダ用のトラフ及びこれを備えた組合せ秤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-18
(45)【発行日】2023-01-26
(54)【発明の名称】直進フィーダ用のトラフ及びこれを備えた組合せ秤
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/387 20060101AFI20230119BHJP
   B65G 27/16 20060101ALI20230119BHJP
   B65G 47/72 20060101ALI20230119BHJP
   B65G 47/24 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
G01G19/387 C
G01G19/387 E
B65G27/16
B65G47/72
B65G47/24 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019038329
(22)【出願日】2019-03-04
(65)【公開番号】P2020143906
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】菊池 孝平
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-111629(JP,U)
【文献】実用新案登録第2579347(JP,Y2)
【文献】登録実用新案第3185732(JP,U)
【文献】実用新案登録第2514812(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G
B65G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された物品を振動搬送する直進フィーダ用のトラフであって、
底板部及び該底板部の両側から立設された対向する一対の側板部によって形成された搬送通路と、
前記一対の側板部の一方の側板部の上端から前記搬送通路の外方へ延出された平坦な載置面を有する載置案内部と、
前記物品の搬送方向の下手側において、前記一方の側板部の前記上端から前記搬送通路の外方の斜め下方へ延出された補助側板部と前記一方の側板部とによって形成された振分け案内部とを備え、
前記振分け案内部は、断面形状が山形であって、前記搬送方向に向けて次第に高くなっている、
ことを特徴とする直進フィーダ用のトラフ。
【請求項2】
前記載置案内部の前記底板部に対する高さを、前記一対の側板部の他方の側板部の前記底板部に対する高さよりも高くしている、
請求項1に記載の直進フィーダ用のトラフ。
【請求項3】
前記載置案内部は、前記一方の側板部の上端から水平又は略水平に延出されると共に、前記物品の搬送方向の上手側の領域では、前記搬送方向に向けて前記載置面の面積が次第に増加する、
請求項1または2に記載の直進フィーダ用のトラフ。
【請求項4】
前記載置案内部の前記載置面は、前記搬送方向の上手側の前記一方の側板部の前記上端に連なると共に、前記搬送方向の下手側の前記補助側板部の前記斜め下方の延出端に連なっている、
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の直進フィーダ用のトラフ。
【請求項5】
前記振分け案内部の前記搬送方向の終端部には、物品受止め用の堰き止め壁が立設され、前記載置案内部の前記載置面の前記搬送方向の終端部は、前記搬送方向に向けて開放されている、
請求項1または4に記載の直進フィーダ用のトラフ。
【請求項6】
供給される物品を周縁部へ搬送する分散フィーダと、前記分散フィーダの周囲に放射状に配設され、前記分散フィーダによって供給された物品を外方へ振動搬送する複数の直進フィーダと、前記各直進フィーダにそれぞれ対応して設けられ、前記直進フィーダからの前記物品を一時保持して排出する複数の供給ホッパと、前記各供給ホッパにそれぞれ対応して設けられ、前記供給ホッパから排出された物品を一時保持して物品の重量を計量する複数の計量ホッパとを備え、前記計量ホッパで計量される物品の計量値に基づいて組合せ演算を行う組合せ秤であって、
前記複数の直進フィーダの少なくとも一部の直進フィーダは、前記請求項1ないし5のいずれか一項に記載のトラフを備えている、
ことを特徴とする組合せ秤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、菓子などの物品を振動によって直進搬送する直進フィーダ用のトラフ及びこれを備えた組合せ秤に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、組合せ秤においては、分散フィーダで分散搬送した物品を、その周囲に配備した複数の直進フィーダに送り込み、直進フィーダで振動搬送した物品を、供給ホッパを介して計量ホッパに送り込んで計量し、計量ホッパの計量値に基づいて組合せ演算を行って、所定重量となる複数の計量ホッパを選択し、選択した複数の計量ホッパから物品を排出し、排出された物品を包装機によって包装するようにしている。
【0003】
上記のような組合せ秤において、計量対象の物品が、自重で変形するような柔軟で細長いような物品である場合には、分散フィーダから直進フィーダに送り込まれた物品が、隣合う直進フィーダの隣接するトラフの境界部位に跨って停滞し易い。
【0004】
このため、例えば、特許文献1では、分散フィーダにおける外周部近くの上方に環状の枠体を配備すると共に、この枠体から棒状に形成された多数の物品接触部材を分散フィーダの上面近くまで垂下している。前記枠体を周方向に往復回動させることで、分散フィーダの外周近くの物品を物品接触部材で撹拌分散させるようにしている。これによって、隣合う直進フィーダの隣接するトラフの境界部位にまとまって物品が送り込まれないようにしている。
【0005】
また、特許文献2では、隣合う直進フィーダにおける始端側の隣接するトラフとの境界部位に、分散フィーダの半径方向に軸心を沿わせたローラを正逆に回転駆動可能に配備している。前記直進フィーダにおける始端側の隣接するトラフとの境界部位に跨ってくる物品を、正逆に回転するローラによって強制的に振分け分散させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開昭62-146929号公報
【文献】実開平4-34633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1,2は、いずれも、枠体やローラなどの可動部材をアクチュエータによって駆動することで強制的に物品を分散させるものであるため、構造が複雑で製造コストが高くなるのみならず、メンテナンスに手間がかかるものとなる。特に、物品が食品である場合、比較的頻繁に物品に触れる構成部材を取り外して洗浄、等を行うことになるが、上記特許文献1,2では、構成部材の着脱に多大な手間と時間を要することになる。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであって、洗浄等が容易であって、隣接するトラフの境界部位に、物品が跨って停滞するのを抑制できる直進フィーダ用のトラフ、及び、これを備える組合せ秤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では、次のように構成している。
【0010】
(1)本発明に係る直進フィーダ用のトラフは、供給された物品を振動搬送する直進フィーダ用のトラフであって、底板部及び該底板部の両側から立設された対向する一対の側板部によって形成された搬送通路と、前記一対の側板部の一方の側板部の上端から前記搬送通路の外方へ延出された平坦な載置面を有する載置案内部と、前記物品の搬送方向の下手側において、前記一方の側板部の前記上端から前記搬送通路の外方の斜め下方へ延出された補助側板部と前記一方の側板部とによって形成された振分け案内部とを備え、前記振分け案内部は、断面形状が山形であって、前記搬送方向に向けて次第に高くなっている
【0011】
本発明によると、隣接するトラフとの境界部位となる、一対の側板部の一方の側板部には、平坦な載置面を有する載置案内部が設けられているので、供給される柔軟で細長い物品は、隣接するトラフとの境界部位に至ると、本来の搬送通路に直接送り込まれる物品を除いて、少なくともその一部が、平坦な載置面に乗り掛かることになる。乗り掛かった物品は、平坦な載置面からの振動を受けて、前記一方の側板部の内方側の前記本来の搬送通路側、すなわち、当該トラフの搬送通路側、又は、載置案内部の載置面側に振分けられて、それぞれ搬送される。
【0012】
このように柔軟で細長い物品は、隣接するトラフとの境界部位に跨って停滞する前に、少なくともその一部が、平坦な載置面に乗り掛かって、載置面から振動作用を受けて搬送されるので、柔軟で細長い物品が、隣接するトラフとの境界部位に跨って停滞するのを抑制することができる。
【0013】
しかも、トラフの形状の改造によって、物品が境界部位に跨って停滞するのを抑制するので、上記特許文献1,2のような駆動部を有する複雑な構造が不要になると共に、洗浄等が容易である。
本発明によると、物品の搬送方向の上手側において、載置案内部の載置面に乗り掛かった物品の内、本来の搬送通路側、又は、載置案内部の載置面側に完全に振分けられなかった物品は、搬送方向に向けて次第に高くなる断面形状が山形の振分け案内部に跨ってせり上がるように搬送される。
この振分け案内部に跨ってせり上がるように搬送される物品は、振動作用を受けて横方向への重量バランスが崩れ、これに伴って物品は、山形の両側に振分けられ易くなる。載置案内部側に振分けられた物品は、載置面に載置されて搬送される。また、載置案内部と反対側に振分けられた物品は、前記一方の側板部の内面に沿って滑落して、本来の搬送通路、すなわち、当該トラフの搬送通路に送り込まれる。
この場合、載置面は平坦となっているので、登り傾斜している振分け案内部に比べて搬送作用が大きく、振分け案内部の山形斜面と載置面に亘って載置されているような物品は、載置面の大きい搬送作用を受けることで、速やかに振分け案内部から載置面側へ降ろされる。
【0014】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記載置案内部の前記底板部に対する高さを、前記一対の側板部の他方の側板部の前記底板部に対する高さよりも高くしている。
【0015】
当該トラフに、他のトラフが隣接して配置される場合には、当該トラフの一方の側板部側に、隣接する前記他のトラフにおける他方の側板部側が位置することになる。
【0016】
この実施態様によると、当該トラフの前記一方の側板部には、上記のように平坦な載置面を有する載置案内部が設けられ、この載置案内部は、他方の側板部の高さよりも高い、すなわち、隣接する前記他のトラフの他方の側板部よりも高いので、当該トラフの載置案内部の載置面を、隣接する前記他のトラフの他方の側板部の上方に位置させることができる。これによって、載置面に載置されて搬送される物品を、隣接する前記他のトラフの搬送通路へ搬出することが可能となる。
【0017】
(3)本発明の他の実施態様では、前記載置案内部は、前記一方の側板部の上端から水平又は略水平に延出されると共に、前記物品の搬送方向の上手側の領域では、前記搬送方向に向けて前記載置面の面積が次第に増加する。
【0018】
この実施態様によると、載置案内部は、水平又は略水平に延出されているので、供給される柔軟で細長い物品は、少なくともその一部が、載置案内部の載置面に円滑に乗り掛かる。この場合、載置面の面積が、搬送方向に向けて次第に増加しているので、乗り掛かった物品は、載置面を搬送されるにつれて、大きな振動作用を受けて、一方の側板部の内方側の本来の搬送通路側、又は、載置案内部の載置面側に円滑に振分けられる。
【0023】
)本発明の一実施態様では、前記載置案内部の前記載置面は、前記搬送方向の上手側の前記一方の側板部の前記上端に連なると共に、前記搬送方向の下手側の前記補助側板部の前記斜め下方の延出端に連なっている。
【0024】
この実施態様によると、物品の搬送方向の上手側において、柔軟で細長い物品は、その少なくとも一部が載置面に乗り掛かって搬送され、搬送方向の下手側において、補助側板部と一方の側板部とによって構成される山形の振分け案内部に至ると、この振分け案内部で、効率よく振分けられる。
【0025】
)本発明の他の実施態様では、前記振分け案内部の前記搬送方向の終端部には、物品受止め用の堰き止め壁が立設され、前記載置案内部の前記載置面の前記搬送方向の終端部は、前記搬送方向に向けて開放されている。
【0026】
この実施態様によると、載置案内部の載置面に載置されて搬送される物品のうち、載置面の側端辺から落ちるものは隣接するトラフの搬送通路に送り込まれ、振分け案内部の搬送方向の終端部にまで至った物品は、隣接するトラフにおける搬送通路の終端位置付近、あるいは、これから外れた位置で落下し、隣接するトラフに対応する供給ホッパに直接供給される。
【0027】
)本発明に係る組合せ秤は、供給される物品を周縁部へ搬送する分散フィーダと、前記分散フィーダの周囲に放射状に配設され、前記分散フィーダによって供給された物品を外方へ振動搬送する複数の直進フィーダと、前記各直進フィーダにそれぞれ対応して設けられ、前記直進フィーダからの前記物品を一時保持して排出する複数の供給ホッパと、前記各供給ホッパにそれぞれ対応して設けられ、前記供給ホッパから排出された物品を一時保持して物品の重量を計量する複数の計量ホッパとを備え、前記計量ホッパで計量される物品の計量値に基づいて組合せ演算を行う組合せ秤であって、
前記複数の直進フィーダの少なくとも一部の直進フィーダは、上記(1)ないし()のいずれかのトラフを備えている。
【0028】
前記複数の直進フィーダの全ての直進フィーダを、上記(1)ないし(6)のいずれかのトラフを備える構成とするのが好ましいが、例えば、ミックス計量を行う場合に、物品の品種によっては、前記複数の直進フィーダの一部の直進フィーダを、上記(1)ないし(6)のいずれかのトラフを備える構成としてもよい。
【0029】
本発明によると、柔軟で細長い物品が、複数の直進フィーダの隣接するトラフの境界部位に跨って停滞するのを抑制することができるので、かかる柔軟で細長い物品を円滑に計量することができる。
【0030】
更に、トラフの形状の改造によって、物品が隣接するトラフの境界部位に跨って停滞するのを抑制するので、従来のトラフと同様に、着脱が容易であり、上記特許文献1,2のような駆動部を有する複雑な構造が不要となり、洗浄等が容易である。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る直進フィーダ用のトラフによれば、柔軟で細長い物品は、隣接するトラフとの境界部位に跨って停滞する前に、少なくともその一部が、平坦な載置面に乗り掛かって、載置面から振動作用を受けて搬送されるので、柔軟で細長い物品が、隣接するトラフとの境界部位に跨って停滞するのを抑制することができる。
【0032】
また、本発明に係る組合せ秤によれば、柔軟で細長い物品は、複数の直進フィーダの隣接するトラフの境界部位に跨って停滞することなく、供給ホッパへ搬送することができるので、柔軟で細長い物品を円滑に計量することができる。
【0033】
しかも、トラフの形状の改造によって、物品が停滞するのを抑制するので、従来のトラフと同様に、着脱が容易であり、上記特許文献1,2のような駆動部を有する複雑な構造が不要となり、洗浄等が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は本発明の一実施形態に係る組合せ秤の概略構成を示す模式図である。
図2図2図1の組合せ秤の上部を示す斜視図である。
図3図3図1の組合せ秤の上部を示す平面図である。
図4図4図1の直進フィーダのトラフの斜視図である。
図5図5は分散フィーダと直進フィーダのトラフを示す斜視図である。
図6図6は直進フィーダのトラフの平面図である。
図7図7は直進フィーダのトラフを搬送終端部側から見た正面図である。
図8図8は直進フィーダのトラフの側面図である。
図9図9は直進フィーダのトラフを反対側から見た側面図である。
図10図10図6における各部の切断端面図であり、(a)はA-A切断端面図、(b)はB-B切断端面図、(c)はC-C切断端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態の組合せ秤の概略構成を示す模式図であり、図2は、図1の組合せ秤の上部を示す斜視図であり、図3は、図1の組合せ秤の上部を示す平面図である。
【0037】
この実施形態の組合せ秤は、菓子などの物品を所定重量になるように計量して袋詰めする計量包装ラインなどに利用される。
【0038】
この実施形態の組合せ秤の上部中央には、図示しない供給装置によって搬送されて落下供給された物品を振動によって放射状に分散搬送する円錐状のトップコーン5を有する分散フィーダ1が設けられている。分散フィーダ1の周囲には、分散フィーダ1の周縁から搬出された物品を更に外方に向けて直線的に搬送する多数台(この例では14台)の直進フィーダ2が放射状に配設されている。
【0039】
更に、各直進フィーダ2の搬送終端部の下方には、ゲート3aが開閉制御される供給ホッパ3が配設されると共に、各供給ホッパ3の下方には、ゲート4aが開閉制御される計量ホッパ4がそれぞれ配設されている。
【0040】
分散フィーダ1のトップコーン5は、加振機構6によって振動駆動される。
【0041】
直進フィーダ2は、物品を載置して搬送するトラフ7と、このトラフ7を振動駆動する加振機構8とを備えている。
【0042】
供給ホッパ3は、直進フィーダ2の終端から落下排出された物品を受け取って一時保持し、その下方に配置された計量ホッパ4が空になると、物品を落下排出して計量ホッパ4へ投入する。また、各計量ホッパ4には、ホッパ内の物品の重量を計測するロードセル等の重量センサ9が連結され、各重量センサ9による計量データは制御装置16へ出力される。
【0043】
計量ホッパ4から排出された物品は、集合シュート10によって装置中心下方へ案内され、そのシュート下端に配備された集合ファネル11を介して集合ホッパ12に集められ、一時保持される。
【0044】
各部を制御する制御装置16は、計量ホッパ4で計量される物品の重量に基づいて、組合せ演算を行って、所定重量範囲となる複数の計量ホッパ4を選択し、選択された計量ホッパ4から物品が集合ホッパ12へ排出されて一旦保持される。図示しない包装機から制御装置16へ排出要求信号の入力があると、集合ホッパ12のゲート12aが開放制御され、保持されている物品が排出されて包装機へ投入される。
【0045】
この実施形態では、細長く自重で変形するような柔軟な物品、例えば、紐状のグミ(ガミーワーム)や生パスタのような、主として細長くて柔軟な物品を計量の対象としている。かかる物品が、隣合う直進フィーダ2の隣接するトラフ7の境界部位に跨って停滞するのを抑制するために、トラフ7を、以下のように構成している。
【0046】
図4は直進フィーダ2のトラフ7の斜視図であり、図5は分散フィーダ1と直進フィーダ2のトラフ7を示す斜視図であり、図6は直進フィーダ2のトラフ7の平面図であり、図7は直進フィーダ2のトラフ7を搬送終端部側から見た正面図である。また、図8は直進フィーダ2のトラフ7の側面図であり、図9は直進フィーダ2のトラフ7の反対側から見た側面図であり、図10図6における各部の切断端面図であり、(a)はA-A切断端面図、(b)はB-B切断端面図、(c)はC-C切断端面図である。
【0047】
以下においては、説明の便宜上、トラフ7の物品の搬送方向と直交する水平方向を、左右方向あるいは横方向と呼称する。
【0048】
この実施形態のトラフ7は、図4及び図6の矢符Dで示される物品の搬送方向の全長に亘って一定横幅に形成された底板部7aと、底板部7aの左右両側端から斜め上方に立設された一対の側板部7b,7cと、底板部7aの搬送始端部に立設された背板部7dとを備えている。
【0049】
このトラフ7は、底板部7aと、対向する一対の側板部7b,7cとによって、縦断正面形状が逆台形の搬送通路Fを備えた樋状に構成されている。また、トラフ7の外底面には、図7図9に示されるように、加振機構8への着脱用の支持板13が備えられている。
【0050】
上拡がりに対向する一対の側板部7b,7cの内の一方(図6図7における右側)の側板部7cは、搬送方向の上手側領域Ga、この例では、搬送通路長さの3分の1程度の領域Gaにおいて、図8図9に示すように、他方(図6図7における左側)の側板部7bより少し高く立設されると共に、それ以降の搬送方向の下手側領域Gbでは、搬送方向の下手側ほど高く立設されている。これに対して、前記他方の側板部7bは、搬送方向の全長に亘って略一定の高さに立設されている。
【0051】
また、搬送方向の下手側領域Gbでは、一方の側板部7cの上端辺から斜め外下方に向けて補助側板部7eが延出されている。この搬送方向の下手側領域Gbにおいては、側板部7cの上部と補助側板部7eとによって、縦断正面形状が山形の振分け案内部14が、物品の搬送方向に向けて緩く登り傾斜するよう隆起形成されている。この振分け案内部14は、柔軟で細長い物品wを効果的に振分けて、振分け案内部14で停滞することがないように、図8に示される、水平面に対する登りの傾斜角度θを、例えば、5°以上であって、40°以下とするのが好ましい。
【0052】
搬送方向の上手側領域Gaにおいて、一方の側板部7cには、その上端辺から略水平に延出された平坦な載置面7fを有する載置案内部15が設けられている。この載置面7fは、振分け案内部14に至るまでは、その面積が、搬送方向に向けて次第に広くなっている。
【0053】
この平坦な載置面7fを有する載置案内部15は、搬送方向の上手側領域Gaにおける側板部7cの上端辺と、振分け案内部14の補助側板部7eの延出端である外側下端辺とに亘って一連に設けられている。
【0054】
ここで、補助側板部7eの外側下端辺は、搬送方向の上手側領域Gaにおける側板部7cの上端辺を延長した高さに設定されている。上記のように、一方の側板部7cは、他方の側板部7bより少し高く立設されているので、搬送方向の上手側領域Gaにおける側板部7cの上端辺と補助側板部7eの外側下端辺とに亘って連設される載置案内部15の載置面7fは、その全長に亘って、他方の側板部7bの上端辺より少し高い位置となる。
【0055】
載置案内部15の載置面7fは、図7図10等に示すように、少なくともその一部が、隣接されたトラフ7'の搬送通路F´の上方に位置するように設定されている。
【0056】
また、縦断正面形状が山形に形成された振分け案内部14における物品の搬送方向の終端部には、堰き止め壁7gが立設されると共に、載置案内部15の載置面7fの搬送方向の終端部は、搬送方向に向けて開放されている。また、底板部7aの搬送方向の終端部からは、先上がり傾斜した係止部7hが延出されている。
【0057】
本実施形態の直進フィーダ用のトラフ7、及び、組合せ秤は以上のように構成されている。分散フィーダ1の周囲に、複数の直進フィーダ2を放射状に配置した状態では、各トラフ7における他方の側板部7bが、他方側に隣接するトラフ7´における載置案内部5の下方に潜り込むと共に、一方の側板部7cの載置案内部15の載置面7fの搬送方向の終端部が、一方側に隣接するトラフ7´における搬送通路Fの終端部付近に臨む状態となる。
【0058】
次に、上記直進フィーダ2による物品の搬送作動について説明する。
【0059】
分散フィーダ1で分散搬送され、直進フィーダ2に送り込まれた自重で変形するような柔軟で細長い物品wは、その多くが搬送通路Fの始端部に落ち込んで振動搬送されてゆくが、隣接するトラフ7´との境界部位に送り込まれた物品wは、先ず、搬送方向の上手側領域Gaにおいて、載置案内部15の載置面7fの始端部に乗り掛かる。
【0060】
載置案内部15の載置面7fの始端部に乗り掛かった物品wの一部は、振動搬送されるうちに重量バランスの崩れによって左右に移動し、左方に移動した物品wは、側板部7bに沿って本来の搬送通路Fに落とし込まれ、右方に移動した物品wは、載置面7fによって搬送されてゆく。
【0061】
載置案内部15の載置面7fに乗り掛かって搬送方向の下手側領域Gbに至った物品wの内、載置面7f側に偏っているものは、加振されているうちに載置面7fの側端から外れて隣接するトラフ7'の搬送通路F´に送り込まれたり、あるいは、載置面7fの長手方向に沿って搬送されて、載置面7fの搬送方向の終端部から排出され、隣接するトラフ7'に対応する供給ホッパ3'に直接送り込まれる。
【0062】
搬送方向の下手側領域Gbに至った物品wの一部は、振分け案内部14に乗り掛かり、跨った状態で振分け案内部14をせり上がってゆく。この際、振分け案内部14に跨った物品wの重量バランスによっては、側板部7b側に移動して本来の搬送通路Fに落ち込むものや、載置案内部15の載置面7f側に移動して隣接するトラフ7´の搬送通路F'に落ち込む。また、振分け案内部14に乗り掛かる物品wの一部は、載置案内部15の載置面7f上を移動する物品wに引きずられて搬送され、隣接するトラフ7´の搬送通路F'、あるいは、隣接するトラフ7´に対応する供給ホッパ3'に導かれる。
【0063】
左右に振分けられることなく振分け案内部14の最高部にまでせり上がった物品wは、堰き止め壁7gで受止められ、隣接するトラフ7´の間に落ち込むことが阻止される。振分け案内部14に跨って堰き止め壁7gで受止められた物品wは、振動を受けているうちに、重量バランスを崩して、左右いずれかに滑落移動する。
【0064】
上記のように、隣接するトラフ7´との境界部位となる、一方の側板部7cには、平坦な載置面7fを有する載置案内部15が設けられているので、供給される柔軟で細長い物品wは、隣接するトラフ7´との境界部位に至ると、本来の搬送通路Fに直接送り込まれる物品wを除き、少なくともその一部が、平坦な載置面7fに乗り掛かることになる。乗り掛かった物品wは、平坦な載置面7fからの振動を受けて、本来の搬送通路F側、又は、載置案内部15の載置面7f側に振分けられて、それぞれ搬送される。
【0065】
載置面に載置されて搬送される物品の内、本来の搬送通路F側、又は、載置案内部15の載置面7f側に完全に振分けられなかった物品が、搬送方向に向けて次第に高くなる断面形状が山形の振分け案内部に至ると、振動作用を受けて横方向への重量バランスが崩れ、山形の両側、すなわち、本来の搬送通路側又は載置面7f側に効率よく振分けられる。
【0066】
載置面7f側に振分けられた物品wは、載置面7fの側端辺から隣接するトラフ7´の搬送通路F´に搬出され、搬送方向の終端部にまで至った物品wは、隣接するトラフ7´における搬送通路F´の終端位置付近、あるいは、これから外れた位置で落下し、隣接するトラフ7´に対応する供給ホッパ3´に直接供給される。
【0067】
以上のように本実施形態によれば、柔軟で細長い物品wが、隣接するトラフ7´との境界部位に跨って停滞するのを抑制することができるので、かかる柔軟で細長い物品wを円滑に計量することができる。
【0068】
したがって、柔軟で細長い物品wが、隣接するトラフ7´の境界部位に跨って停滞した場合に、作業者が、境界部位に跨って停滞している物品を、いずれかのトラフ7,7´に手作業で振分ける必要がない。また、柔軟で細長い物品wが、隣接するトラフ7´との境界部位に、多量に跨って停滞したときのように、組合せ秤の運転を一旦停止させて、作業者が、境界部位に跨って停滞している多量の物品wを、いずれかのトラフ7,7´に手作業で振分ける必要がない。
【0069】
更に、トラフ7の形状の改造によって、柔軟で細長い物品wが隣接するトラフ7´との境界部位に跨って停滞するのを抑制するので、従来のトラフと同様に、着脱が容易であり、上記特許文献1,2のような駆動部を有する複雑な構造が不要となり、洗浄等が容易である。
【0070】
[その他の実施形態]
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0071】
(1)載置案内部15の載置面7fを、その外端辺が基端より低くなるように若干外下がりに傾斜させて配備し、載置され振動搬送される物品wが外端側に流下案内されるようにしてもよい。
【0073】
)載置案内部7fを搬送方向の下手側ほど幅広に形成し、隣接するトラフ7´の搬送通路F’上での載置案内部15のせり出しを搬送方向の下手側ほど大きくするようにしてもよい。
【0074】
)上記の搬送方向の上手側領域Gaと、搬送方向の下手側領域Gbとの境界は、上記実施形態に限らず、前記境界を、上手側あるいは下手側にずらしてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 分散フィーダ
2 直進フィーダ
3 供給ホッパ
4 計量ホッパ
7 トラフ
7a 底板部
7b,7c 側板部
7e 補助側板部
7f 載置面
14 振分け案内部
15 載置案内部
F 搬送通路
Ga 搬送方向の上手側領域
Gb 搬送方向の下手側領域
w 物品
図1
図2
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図10