(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-18
(45)【発行日】2023-01-26
(54)【発明の名称】ファンがギフティングを行うための装置、方法及びそのためのプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230119BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2021078137
(22)【出願日】2021-04-30
【審査請求日】2022-04-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519147382
【氏名又は名称】エンゲート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003605
【氏名又は名称】弁理士法人六本木通り特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100174078
【氏名又は名称】大谷 寛
(72)【発明者】
【氏名】城戸 幸一郎
(72)【発明者】
【氏名】南 蔵人
(72)【発明者】
【氏名】田村 憲志朗
【審査官】小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-011070(JP,A)
【文献】特開2005-252546(JP,A)
【文献】岩竹 隆史,公営競技場/スタジアム大型映像表示制御システム,三菱電機技報,三菱電機エンジニアリング株式会社,2004年05月25日,第78巻 第5号 ,第39-43頁
【文献】スポーツ特化型ギフティングサービス「エンゲート」が、エンゲートポイント付きJリーグチケットを販売開始!,2020年11月20日,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000035012.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンがギフティングを行うための方法であって、
装置が、前記ファンに対してギフト購入のためのポイントを発行するステップと、
前記装置が、前記ファンが用いるスマートフォンである第1の端末から、
試合中の所定時間内に、チーム又は前記チームの選手を指定した、前記ポイントを用いたギフトの購入要求を受信するステップ
であって、前記ギフトはデジタルコンテンツであるステップと、
前記装置が、
前記試合が行われるスタジアムに設置された大型ディスプレイに接続された第2の端末に、前記所定時間内
に購入された1又は複数のギフト
の1又は複数のギフト画像を含むギフト情報を送信するステップと、
前記第2の端末が、その表示画面に、前記ギフト情報に基づいて、前記所定時間内で変化する背景映像の上に
、前記ギフト情報に含まれる
前記1又は複数のギフト画像を重ねて表示するステップと、
前記第2の端末が、前記表示画面に対する出力を前記大型ディスプレイにミラーリングするステップと
を含む。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、
前記所定時間は、前記試合のプレイ中以外の時間を含む。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、
前記表示は、ウェブブラウザ上でフルスクリーン表示により行う。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の方法であって、
前記表示は、前記1又は複数のギフトのそれぞれを購入したファンの識別子又はそれに対応づけられた名称の表示を含む。
【請求項5】
装置及び第2の端末を備えるシステムに、ファンがギフティングを行うための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、
前記装置が、前記ファンに対してギフト購入のためのポイントを発行するステップと、
前記装置が、前記ファンが用いるスマートフォンである第1の端末から、
試合中の所定時間内に、チーム又は前記チームの選手を指定した、前記ポイントを用いたギフトの購入要求を受信するステップ
であって、前記ギフトはデジタルコンテンツであるステップと、
前記装置が、
前記試合が行われるスタジアムに設置された大型ディスプレイに接続された第2の端末に、前記所定時間内
に購入された1又は複数のギフト
の1又は複数のギフト画像を含むギフト情報を送信するステップと、
前記第2の端末が、その表示画面に、前記ギフト情報に基づいて、前記所定時間内で変化する背景映像の上に
、前記ギフト情報に含まれる
前記1又は複数のギフト画像を重ねて表示するステップと、
前記第2の端末が、前記表示画面に対する出力を前記大型ディスプレイにミラーリングするステップと
を含む。
【請求項6】
ファンがギフティングを行うための装置
及び第2の端末を備えるシステムであって、
前記装置が、
前記ファンに対してギフト購入のためのポイントを発行し、
前記ファンが用いるスマートフォンである第1の端末から、
試合中の所定時間内に、チーム又は前記チームの選手を指定した、前記ポイントを用いたギフトの購入要求を受信し、
前記試合が行われるスタジアムに設置された大型ディスプレイに接続された第2の端末に、前記所定時間内
に購入された1又は複数のギフト
の1又は複数のギフト画像を含むギフト情報を送信し、
前記ギフトは、デジタルコンテンツであり、
前記第2の端末が、
その表示画面に、前記ギフト情報に基づいて、前記所定時間内で変化する背景映像の上に
、前記ギフト情報に含まれる
前記1又は複数のギフト画像を重ねて表示して、前記表示画面に対する出力を前記大型ディスプレイにミラーリングする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンがギフティングを行うための装置、方法及びそのためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スポーツチームは、スタジアムで行われる試合の入場料のほか、スポンサーからの広告収入、試合を放送又は配信するための放映権収入及びチーム又は所属選手に関するグッズの物販収入を主な収益源としており、このようにして得られた収益が選手の報酬、選手の育成等に当てられている。
【0003】
上記収益源のうち、物販は、入場料とは異なり、試合の有無にかかわらずいつでも可能であり、スポーツチームの運営基盤を強固にする手段として有望であるところ、出願人は、ギフトと呼ぶデジタルコンテンツを販売し、チーム又はその選手に贈ることのできる「ギフティング」という仕組みをスポーツファンに提供している。出願人が提供するウェブサイト「Engate(登録商標)」において、チームごとのウェブページが閲覧可能であり、そこで、チーム又はその選手を贈り先として指定してギフトを贈ることができる。ギフティングが行われると、当該ページにおいて、誰が誰にどのギフトを贈ったかが表示される。たとえば、ファンは、試合中にギフティングを行うことで、試合内容について感じている感情を伝えることができ、試合の前後にギフティングを行うことで、チーム又はその選手への期待、応援等の気持ちを伝えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ファンがギフティングを行う動機はさまざまあるところ、チーム又はその選手に対する自分の熱量を試合中により強く表現する手法があれば、チームは、当該手法を可能とする機能を有するギフティングサービスを利用することで、より豊かな試合観戦体験をファンに提供することが可能となる。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ファンがギフティングを行うための装置、方法又はそのためのプログラムにおいて、試合中にファンがギフティングを行うための新たな手法を提供することにある。
【0006】
なお、本明細書において「試合中」とは、試合観戦のためにスタジアムにファンが入場可能な期間をいい、試合のプレイ中以外の時間も含む。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明の第1の態様は、ファンがギフティングを行うための方法であって、装置が、前記ファンに対してギフト購入のためのポイントを発行するステップと、前記装置が、前記ファンが用いる第1の端末から、チーム又は前記チームの選手を指定した、前記ポイントを用いたギフトの購入要求を受信するステップと、前記装置が、試合中の所定時間内に、スタジアムに設置された大型ディスプレイに接続された第2の端末に、前記所定時間内に前記チームに関連づけて購入された1又は複数のギフトに関するギフト情報を送信するステップと、前記第2の端末が、その表示画面に、前記ギフト情報に基づいて、背景映像の上に前記ギフト情報に含まれる1又は複数のギフトの1又は複数のギフト画像を重ねて表示するステップと、前記第2の端末が、前記表示画面に対する出力を前記大型ディスプレイにミラーリングするステップとを含む。
【0008】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様の方法であって、前記第1の端末は、スマートフォンである。
【0009】
また、本発明の第3の態様は、第1の態様の方法であって、前記第1の端末は、前記所定時間は、前記試合のプレイ中以外の時間を含む。
【0010】
また、本発明の第4の態様は、第1から第3のいずれかの態様の方法であって、前記背景映像は、前記所定時間内で変化する。
【0011】
また、本発明の第5の態様は、第1の態様の方法であって、前記表示は、前記1又は複数のギフトのうち、購入位置に関する位置情報が前記スタジアム内の位置に対応するもののみについて行う。
【0012】
また、本発明の第6の態様は、第1から第5のいずれかの態様の方法であって、前記表示は、ウェブブラウザ上でフルスクリーン表示により行う。
【0013】
また、本発明の第7の態様は、第1から第6のいずれかの態様の方法であって、前記ギフト画像は、前記背景映像に含まれる表現と同一形式の表現により表示される。
【0014】
また、本発明の第8の態様は、第1から第7のいずれかの態様の方法であって、前記表示は、前記1又は複数のギフトのそれぞれを購入したファンの識別子又はそれに対応づけられた名称の表示を含む。
【0015】
また、本発明の第9の態様は、コンピュータに、ファンがギフティングを行うための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、装置が、前記ファンに対してギフト購入のためのポイントを発行するステップと、前記装置が、前記ファンが用いる第1の端末から、チーム又は前記チームの選手を指定した、前記ポイントを用いたギフトの購入要求を受信するステップと、前記装置が、試合中の所定時間内に、スタジアムに設置された大型ディスプレイに接続された第2の端末に、前記所定時間内に前記チームに関連づけて購入された1又は複数のギフトに関するギフト情報を送信するステップと、前記第2の端末が、その表示画面に、前記ギフト情報に基づいて、背景映像の上に前記ギフト情報に含まれる1又は複数のギフトの1又は複数のギフト画像を重ねて表示するステップと、前記第2の端末が、前記表示画面に対する出力を前記大型ディスプレイにミラーリングするステップとを含む。
【0016】
また、本発明の第10の態様は、ファンがギフティングを行うための装置であって、前記ファンに対してギフト購入のためのポイントを発行し、前記ファンが用いる第1の端末から、チーム又は前記チームの選手を指定した、前記ポイントを用いたギフトの購入要求を受信し、試合中の所定時間内に、スタジアムに設置された大型ディスプレイに接続された第2の端末に、前記所定時間内に前記チームに関連づけて購入された1又は複数のギフトに関するギフト情報を送信し、前記第2の端末が、その表示画面に、前記ギフト情報に基づいて、背景映像の上に前記ギフト情報に含まれる1又は複数のギフトの1又は複数のギフト画像を重ねて表示して、前記表示画面に対する出力を前記大型ディスプレイにミラーリングする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によれば、スポーツの種類に応じて、試合中の適切な所定時間内にファンが行ったギフティングが当該試合の行われているスタジアムに設置された大型ディスプレイに背景映像とともに表示され、ファンに対し、スマートフォン等の自らの端末に閉じた体験ではなく、スタジアムと一体となったより豊かな観戦体験を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる装置を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態にかかるギフティングを行うための方法の流れを示す図である。
【
図3A】本発明の一実施形態にかかるギフト情報の一例を示す図である。
【
図3B】本発明の一実施形態にかかるギフト情報の一例の続きを示す図である。
【
図4A】本発明の一実施形態にかかるギフト表示を説明するための図である。
【
図4B】本発明の一実施形態にかかるギフト表示を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0020】
図1に、本発明の一実施形態にかかる装置を示す。装置100は、ファンが用いるファン端末110とインターネット等のIPネットワークを介して通信し、ギフティングサービスを提供する。また、装置100は、スタジアムに設置されたオーロラビジョン(登録商標)等の大型ディスプレイ120に接続され、大型ディスプレイ120に映像を表示するための表示端末130とIPネットワークを介して通信する。以下では、ファン端末110を第1の端末、表示端末130を第2の端末と呼ぶことがある。ファン端末110は、スマートフォン、タブレット等の携帯端末とすることができる。また、表示端末130は、PC等とすることができる。また、本明細書において「大型ディスプレイ」とは、120インチ以上のディスプレイを指し、スタジアム又はスポーツに応じて、130インチ以上、200インチ以上、300インチ以上又は500インチ以上が好ましい。より具体的には、800インチ、1011インチ、1170インチ等のディスプレイが挙げられる。
【0021】
装置100は、通信インターフェースなどの通信部101と、プロセッサ、CPU等の処理部102と、メモリ、ハードディスク等の記憶装置又は記憶媒体を含む記憶部103とを備え、各処理を行うためのプログラムを実行することによって構成することができる。装置100は、1又は複数の装置、コンピュータないしサーバを含むことがある。また、当該プログラムは、1又は複数のプログラムを含むことがあり、また、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録して非一過性のプログラムプロダクトとすることができる。当該プログラムは、記憶部103又は装置100からIPネットワークを介してアクセス可能なデータベース104等の記憶装置又は記憶媒体に記憶しておき、処理部102において実行することができる。以下で記憶部103に記憶されるものとして記述されるデータはデータベース104に記憶してもよく、またその逆も同様である。表示端末130について、図示はしないが、装置100と同様の構成とすることができる。
【0022】
図2に、本発明の一実施形態にかかるギフティングを行うための方法の流れを示す。まず、ファン端末110から、ポイントの発行要求を受信する(S201)。装置100は、発行要求に応じて、ファン端末110を用いるファンに対して、当該発行要求に含まれる対価の数量に応じたポイントを発行し、装置100により提供されるギフティングサービスにおける当該ファンのファン識別子と関連づけて記憶部103に記憶する(S202)。ここでは、ポイントについて、対価を支払うことで発行される財産的価値を有する支払手段として説明したが、対価の支払いを要さずに発行されるものとしてもよい。
【0023】
次いで、装置100は、ファン端末110から、チーム又はその選手を指定した、ギフトの購入要求を受信する(S203)。購入要求は、装置100からファン端末110に、ギフティングを行うための画面を表示するためのギフティング画面表示情報を送信して、ファン端末110の表示画面にウェブブラウザ上で表示されるギフティング画面から行ったり、ファン端末110にインストールされたアプリを動作させ、当該アプリ上で表示されるギフティング画面から行ったりすることができる。いずれにおいても、ギフティング画面には、ギフトを贈るチーム又はその選手の選択欄及び購入するギフトの選択欄を含み、ギフティングに当たってのコメントを入力するコメント欄をさらに含んでもよい。なお、「ギフティング画面」とは、ウェブブラウザ上で表示される場合にはウェブページ、モーダルウィンドウ、ポップアップウィンドウ等のさまざまな形式を採用することができ、アプリ上で表示される場合にはアプリの一画面とすることができる。いずれにおいても、ギフティングを行うための入力欄を有する領域を含む画面であれば、ギフティング画面に該当する。
【0024】
ギフトの購入要求を受信した装置100は、購入対象として選択されたギフトに必要なポイントが、ファン端末110を用いるファンに付与されたポイント以下であるか否かを判定する(S204)。当該ファンに付与されたポイントが十分にあれば、購入処理として、当該ギフトのギフト識別子を当該ファンのファン識別子と関連づけて記憶部103に記憶するとともに、当該ファンのファン識別子と関連づけて記憶されたポイントの残高を更新する。残高更新は、一例として、当該ファンのファン識別子と関連づけて記憶されたポイントから当該ギフトの購入に要するポイントを減算することによって行うことができる。
【0025】
そして、装置100は、表示端末130から、ギフト情報取得要求を受信する(S205)。ギフト情報取得要求は、装置100に対するHTTP GETリクエストにより行うことができ、より詳細には、一例として、以下のURLに対するHTTP GETリクエストとしてもよい。
https://api.xxxx.jp/v1/communities/{community id}/timeline
【0026】
ここで「api.xxxx.jp」は装置100のドメイン名であり、パラメータとして「community id」を指定してAPIを呼び出している。ここでは、「timeline」を指定することがギフト情報を取得することを意味している。「community id」は、たとえば、あるチームのファンコミュニティの識別子を表すことができ、当該チーム又はその選手に対してギフトが送られた場合にそれらのギフトをcommunity idと関連づけて記憶部103に記憶することで、上記リクエストによって、関連づけられた1又は複数のギフトに関する情報を取得することができる(S206)。community idはチームの場合にはteam id、選手の場合にはplayer idと呼ぶこともできる。また、ギフティングを試合等のイベントに対して行うことができる場合には、event idに関連づけて贈られたギフトを記憶部103に記憶し、event idを指定したHTTP GETリクエストにより、当該イベントに関連づけられた1又は複数のギフトに関する情報の取得が可能となる。ここではギフト情報取得要求が表示端末130から送信され、それに応じてギフト情報が装置110から送信されるものとして記述したが、装置100から表示端末130へプッシュ通知としてギフト情報を送信することもできる。
【0027】
図3A及び3Bに、ギフト情報の一例を示す。これは、「team id」として2を指定したギフト情報取得要求の結果として得られたギフト情報であり、この例では「id」が92848のギフティング1件のみが含まれている。ギフティングを行ったファン、すなわち、ギフティングサービスのユーザーの識別子「id」が26654であり、誰が誰にどのギフトを贈ったかを表示する際に使用可能な画像のURLが「avatar」として記述されている。ギフティングの対象として選択された選手の識別子「id」が23147であり、誰が誰にどのギフトを贈ったかを表示する際に使用可能な画像のURLが「avatar」として記述されている。また、当該選手は「team id」が2のチームに属することが記述されている。続いて、購入されたギフトの識別子「id」が238であり、当該ギフトの名称「name」、購入に必要なポイント「point」が記述され、さらに当該ギフトを表示する際に使用可能な画像のURLが「image」として記述されている。
【0028】
図2においては、簡単のため、ギフトの購入処理(S204)の後にギフト情報取得要求(S205)がなされるように図示しているが、表示端末130において、試合中の定められた所定時間に渡って、連続的又は断続的にギフト情報取得要求を装置100に送信し、要求ごとにギフト情報を取得することができる。
図2において、表示端末130について示した上下方向の矩形領域は当該所定時間を表している。あるいは、試合中の定められた所定時間に渡って、連続的又は断続的に装置100からプッシュ通知としてギフト情報を表示端末130に送信することもできる。
【0029】
所定時間は、一例として、表示端末130の記憶部に、上述したようなギフト情報取得要求を予め定められた規則に従って送信するプログラムを記憶しておき、これを実行することによって開始することができる。当該プログラムにギフト情報取得要求の送信を行う期間を定めておけば、当該期間の経過によって所定時間は終了する。また、当該プログラムを停止することによって、所定時間を終了させてもよい。あるいは、ギフト情報取得要求を予め定められた時間間隔で送信するプログラムを実行しておき、装置100から所定時間の開始を通知し、これを表示端末130において受信することによって、ギフト情報取得要求の送信を開始するようにしてもよく、同様に装置100からの所定時間の終了の通知を受信することによって、ギフト情報取得要求の送信を停止してもよい。
【0030】
ギフト情報を受信した表示端末130は、表示端末130の記憶部に記憶された映像をその表示画面に表示し、当該ギフト情報に基づいて、当該映像の上に、前回受信したギフト情報に含まれていなかった1又は複数のギフトを重ねて表示する(S207)。そして、表示端末130は、その表示画面に対する出力を大型ディスプレイ120にミラーリングする(S208)。ギフトの表示にかかる詳細は後述する。
【0031】
表示端末130において、背景映像の上に1又は複数のギフトを重ねて表示するための表示プログラムは、ギフト情報取得のための取得プログラムと同一プログラムとしてもよく、別個のプログラムとしてもよい。上述の説明では、所定時間に渡ってギフト情報取得要求を送信する例を挙げたが、ギフト情報の取得は所定時間を超えて行い、表示プログラムにおいて、ギフトの表示を所定時間に渡って行うようにすることにしてもよい。また、ギフト情報の取得及びギフトの表示を所定時間を超えて行い、表示プログラムにおいて、ミラーリングを所定時間に渡って行うようにしてもよい。また、上述の説明では、表示端末130における表示プログラムの中でギフト情報の差分を特定しているところ、装置100から表示端末130に送信されるギフト情報自体を差分のみとすることもできる。
【0032】
このように、本発明の一実施形態にかかる装置100及び表示端末130を備えるシステムによって、スポーツの種類に応じて、試合中の適切な所定時間内にファンが行ったギフティングが当該試合の行われているスタジアムに設置された大型ディスプレイに背景映像とともに表示され、ファンに対し、スマートフォン等の自らの端末に閉じた体験ではなく、スタジアムと一体となったより豊かな観戦体験を提供することができる。
【0033】
背景映像を所定時間内で変化するものとすることによって、スタジアムにいるファンが大型ディスプレイに注意を向ける可能性が高まり、ギフティングを行うファンが感じるスタジアムとの一体感を高めることができる。追加的又は代替的に、所定時間を試合中のプレイ中以外の時間を含むようにすることで、プレイ中は観戦に集中しているファンも、大型ディスプレイに注意を向ける可能性が高いため、ギフティングを行うファンが感じるスタジアムとの一体感を高めることができる。所定時間を試合中のプレイ中以外の時間のみを含むようにすることで、さらに効果が高められる。また、場合によってはプレイ中は試合に集中している選手も大型ディスプレイに注意を向けることが期待できる。
【0034】
大型ディスプレイ120へのギフト画像411の表示は、ギフティングを行うファンに熱量の新たな表現機会を提供することに加えて、スタジアムにいる他のファンがギフティングという手段を認知する機会にもなり、ギフティングの総量増大による一体感のさらなる向上に繋がる。
【0035】
また、上述のようにファンの注意が向けられる大型ディスプレイ120に表示される背景画像に、試合のスポンサーを表すロゴ等の視覚的要素を含めれば、ファンが当該スポンサーを認知する機会をスポンサーに対して提供することになり、スポンサーの獲得が促進される。
【0036】
プレイ中以外の時間にギフト画像のオーバーレイが行われる場合、当該試合の放送又は配信において、プレイ中以外の時間の映像、特に大型ディスプレイ120の映像は含まれないことが多いため、大型ディスプレイ120にギフティングの結果が表示されることを知ってギフティングを行うファンは、実質的にはスタジアムにいる人であると想定される。上述のようにギフト情報に含まれる1又は複数のギフトを表示する場合には、スタジアムにいないファンによるギフティングも対象となるところ、ギフトの購入処理において、購入したファンが用いるファン端末110の位置情報を取得し、これをギフト情報に含めることにより、表示端末130は、位置情報が所定の条件を満たすギフトのギフト画像411のみを表示するようにしてもよい。所定の条件としては、購入位置に関する位置情報が試合が行われているスタジアム内の位置に対応することが挙げられる。あるいは、ギフト情報取得要求において位置情報を指定してギフト情報を取得するようにしてもよい。また、装置100がギフト情報をプッシュ通知する場合には、ギフト情報は、位置情報が上述の所定の条件を満たすギフトのギフト画像411のみを含むようにしてもよい。
【0037】
また、大型ディスプレイ120に表示するギフト画像411は、ギフト購入に必要なポイントが所定の値以上のものとしてもよい。この場合、位置情報と同様に表示端末130において各ギフティングのポイントが所定の値以上であるか否かは判定したり、ポイントをギフト情報取得要求において指定してギフト情報を取得したり、装置100において各ギフティングのポイントが所定の値以上であるか否かは判定するようにしてもよい。
【0038】
また、ギフティング画面において、コメント欄にコメントが入力された場合、ギフト情報は当該コメントを含むことができるものの、所定時間内に行われたギフティングをリアルタイムに大型ディスプレイ120に表示していくことを考えると、スタジアム全体から閲覧可能な環境において不適切なコメントがなされるおそれがある。そのような不適切なコメントの有無の確認を行うことは現実的には困難であるため、コメントは大型ディスプレイ120に表示しないことが好ましい。
【0039】
ギフトの表示にかかる詳細
図4A及び4Bに、ギフト表示の一例を示す。
図4Aは、表示端末130が、その記憶部に記憶された映像400を表示画面に表示した状態を示している。映像400は、所定時間内で変化するものであり、この例では、花火401が上がる様子の描写がなされている。また、花火を模した表現で文字402が描写されている。
図4Bでは、時間の進行とともに映像400は次の場面に切り替わっており、表示端末130が取得したギフト情報に含まれるギフトが画像411により背景映像400の上に重ねて表示されている。ギフト画像411は、ギフト表示の一部として受信してもよく、また、
図3Bに示す例のように画像のURLがギフト情報に含まれる場合には当該URLにアクセスして取得してもよい。また、
図4Bには、ギフトを購入したファンの識別子又はそれに対応づけられた名称412である「THREE_3」も表示されている。ファンの名称をギフト情報の一部として受信してもよく、
図3Bに示す例のようにファンの識別子がギフト情報に含まれる場合には当該識別子に基づいて装置100から当該識別子に対応付けて記憶された名称を取得してもよい。ファンの識別子に対応づけられたファン画像をさらに表示してもよい。加えて、ギフティングの対象として選択された選手の識別子又はそれに対応づけられた選手名、当該当該識別子に対応づけられた選手画像等を表示してもよい。ファン画像及び選手画像はギフト画像411と同様に取得することができ、ギフト画像411、ファン画像及び選手画像のうちの2つ以上を近接させて表示することによって、誰が誰にどのギフトを贈ったかを直観的に伝えることができる。
【0040】
ギフト画像411は、上下方向又は左右方向に移動表示させたり、フェードイン又はフェードアウトにより表示したりしてもよい。また、
図4において花火を模した表現が採用されているように、ギフト画像411は、背景映像400に含まれる表現と同一形式の表現により表示してもよい。
【0041】
ギフト画像411は、一例において、ギフトの購入処理が完了した時間順で表示してもよい。1秒間又は数秒間程度は表示を継続させることから、友人と同時に購入した場合には、ギフト情報取得要求が1秒未満、より好ましくは0.1秒未満の間隔で装置100に送信されていれば、それぞれの購入したギフトのギフト画像411が表示される期間が少なくとも一部において重複し、友人との観戦体験の一体感を高めることができる。購入処理時刻は、
図3Aにおいては「created_at」により示され、ギフト情報の一部として取得可能である。
【0042】
なお、上述の実施形態において、「××のみに基づいて」、「××のみに応じて」、「××のみの場合」というように「のみ」との記載がなければ、本明細書においては、付加的な情報も考慮し得ることが想定されていることに留意されたい。また、一例として、「aの場合にbする」という記載は、明示した場合を除き、「aの場合に常にbする」こと、「aの直後にbする」ことを必ずしも意味しないことに留意されたい。また、「Aを構成する各a」という記載は、必ずしもAが複数の構成要素によって構成されることを意味するものではなく、構成要素が単数であることを含む。
【0043】
また、念のため、なんらかの方法、プログラム、端末、装置、サーバ又はシステム(以下「方法等」)において、本明細書で記述された動作と異なる動作を行う側面があるとしても、本発明の各態様は、本明細書で記述された動作のいずれかと同一の動作を対象とするものであり、本明細書で記述された動作と異なる動作が存在することは、当該方法等を本発明の各態様の範囲外とするものではないことを付言する。
【符号の説明】
【0044】
100 装置
101 通信部
102 処理部
103 記憶部
104 データベース
110 ファン端末(「第1の端末」に相当)
120 大型ディスプレイ
130 表示端末(「第2の端末」に相当)
400 背景映像
401 花火
402 文字
411 ギフト画像
412 名称