(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-18
(45)【発行日】2023-01-26
(54)【発明の名称】水力発電装置用の流路規制装置
(51)【国際特許分類】
F03B 3/18 20060101AFI20230119BHJP
F03B 3/04 20060101ALI20230119BHJP
F03B 7/00 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
F03B3/18 B
F03B3/04
F03B7/00
(21)【出願番号】P 2017183368
(22)【出願日】2017-09-25
【審査請求日】2020-08-26
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【氏名又は名称】中尾 真二
(72)【発明者】
【氏名】向井 浩氣
【合議体】
【審判長】佐々木 芳枝
【審判官】田合 弘幸
【審判官】関口 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-120050(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104343619(CN,A)
【文献】特開2014-156796(JP,A)
【文献】特開2009-114937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 1/00-11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水力発電装置用の流路規制装置であって、前記水力発電装置および前記流路規制装置が流路に設置され、前記水力発電装置が、水力を回転力に変換する翼車、およびこの翼車の回転により発電する発電機を備え、当該流路規制装置が、
前記翼車に対して前記流路の所定距離だけ上流側に配置され、かつ、前記流路の幅方向に互いに間隔を空けて対向して配置される少なくとも2つの集水板と、
前記少なくとも2つの集水板の前記間隔を設定する間隔設定機構であって、前記間隔を前記流路の上流側から下流側にかけて狭くなるように設定自在である間隔設定機構とを備え、
前記水力発電装置と前記流路規制装置が別体であり、
前記流路規制装置は、両端部が前記流路の側壁の上面に設置された流路規制装置用梁部材を介して前記流路
の側壁に支持され、
前記少なくとも2つの集水板が、それぞれ、略鉛直方向に延び、
前記間隔設定機構が、前記少なくとも2つの集水板にそれぞれ対応した少なくとも2つの集水板調整機構を有し、各集水板調整機構によって、対応する集水板の前記流路に対する向きが任意の向きに調整されてその向きに前記集水板が固定され、
前記2つの集水板調整機構は、前記流路規制装置用梁部材の延在方向の両端側に対称に設けられ、
前記各集水板調整機構は、
前記流路規制装置用梁部材に支持されて流路方向に延び、前記流路の幅方向に移動可能な棒状の第1の幅方向移動棒体と、
前記流路規制装置用梁部材に直交して鉛直方向に延び、その上端部で前記第1の幅方向移動棒体に着脱自在に固定されるとともに、前記集水板が取付角度可変に取り付けられた棒状の第2の幅方向移動棒体と、
を備えた水力発電装置用流路規制装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水力発電装置用流路規制装置において、
前記少なくとも2つの集水板が、前記流路の幅方向の左右両側に1つずつ配置された2つの集水板である水力発電装置用流路規制装置。
【請求項3】
請求項2に記載の水力発電装置用流路規制装置において、
前記2つの集水板の前記流路の上流側の側端が、互いに対向して前記流路を構成する壁面にそれぞれ当接するように前記2つの集水板が配置される水力発電装置用流路規制装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の水力発電装置用流路規制装置において、
前記少なくとも2つの集水板が、それぞれ、略鉛直方向に延び、
前記間隔設定機構が、前記少なくとも2つの集水板にそれぞれ対応した少なくとも2つの集水板調整機構を有し、各集水板調整機構によって、対応する集水板の前記流路に対する向きが任意の向きに調整されてその向きに前記集水板が固定される水力発電装置用流路規制装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の水力発電装置用流路規制装置において、
前記少なくとも2つの集水板が、それぞれ、略鉛直方向に延び、
前記間隔設定機構が、前記少なくとも2つの集水板にそれぞれ対応した少なくとも2つの集水板調整機構を有し、各集水板調整機構が、前記流路の状況に応じて、対応する集水板の前記流路に対する向きを自動的に調整する集水板自動調整機構を含む水力発電装置用流路規制装置。
【請求項6】
請求項5に記載の水力発電装置用流路規制装置において、
前記少なくとも2つの集水板が、それぞれ、前記流路の水力を受けて動くことで、その集水板の前記流路に対する向きが変化するものであり、前記集水板自動調整機構が、それぞれ、前記水力を受ける方向とは反対の方向に力を加えて前記集水板を方向付ける反力付加手段を有する水力発電装置用流路規制装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の水力発電装置用流路規制装置において、さらに、
前記少なくとも2つの集水板をそれぞれ鉛直方向に案内する案内手段を備えた水力発電装置用流路規制装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の水力発電装置用流路規制装置において、
前記少なくとも2つの集水板の上側端がそれぞれ、前記流路の上端よりも下側に位置するように設置される水力発電装置用流路規制装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の水力発電装置用流路規制装置において、
前記少なくとも2つの集水板が、それぞれ、均一な厚みを有する水力発電装置用流路規制装置。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の水力発電装置用流路規制装置において、
前記2つの集水板それぞれの断面形状が、上流側の厚みが大きく下流側の厚みが小さい、略流線形状である水力発電装置用流路規制装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の水力発電装置用流路規制装置と、
前記水力発電装置とを備えた水力発電システム。
【請求項12】
請求項11において、前記翼車が、前記翼車の回転軸が前記流路の方向と平行なプロペラ型である水力発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水路などに設置される水力発電装置用の流路規制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、水路などに設置される水力発電装置は、水流の運動エネルギを電気エネルギに変換するものであり、その出力は流速の3乗に比例する。また、そのような水力発電装置の中でも軸流式、つまり装置の回転軸と水の流れる方向が平行である水力発電装置の場合、出力は翼車の回転によって作られる円の面積に比例する。
【0003】
エネルギ変換効率を高めるために、翼車付近の流速を高める水力発電装置が提案されている。例えば、
図18に示すように、特許文献1に開示の水力発電装置110は、支柱111によって支持されるギヤボックス112に取り付けられた翼車113が流路2内で回転するものであるが、翼車113の全周を覆うケーシング120が設けられている。このケーシング120は、ギヤボックス112に沿って延び、その内側の横断面積は流路2の上流側から下流側に向けて大きくなるように構成されている。ここで、ケーシング120内の圧力は外部よりも低いため、上流側が狭く下流側が広いケーシング120により、流路2の上流側の水がケーシング120内に引き込まれて翼車113が位置するケーシング120の入口における流速が増大する。これは、風力発電装置における公知の風増速装置と同様の原理を基本とする。なお、このような風増速装置は、ケーシング下流側に渦を発生させ、ケーシング内の圧力を外部よりも低くすることで、流入する流速を増大させる構造である。
【0004】
しかしながら、周囲に空気が存在する風増速装置とは異なり、水力発電装置110は水路2内でしか使用できず、水路2内に十分な水量がなければ増速効果が得られない。そのため、水路2内の水位が変動してケーシング120の上端よりも水位が低くなると、安定した出力が得られない。
図18の水力発電装置110におけるケーシング120は、上流側から下流側に向かって横断面積が徐々に拡大する形状(円錐台形状)を有しており、下流側端部120aの外径が大きくなる。その一方、ケーシング120は水没している必要があるため、ケーシング120の上流側端部120b付近においてその内部に配置される翼車113の大きさは必然的に小さくなる。その結果、水路2に対して得られる出力が小さくなってしまう。
【0005】
特許文献2に開示の水力発電装置は、そのケーシングの幅寸法のみを上流側から下流側に向けて大きくし、高さ寸法は上流側から下流側まで略一定である。したがって、ある程度水位が低い水路内に設置されても、翼車を小さくせずにケーシング全体を水没させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-145347号公報
【文献】特開2013-130110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ケーシング全体が水没していなければ流速を増速させる効果が得られず、そのため水位が変動する場合に安定した出力を得られない。
【0008】
この発明の目的は、水路内の水位の影響をほとんど受けずに流速を高める効果が得られる水力発電装置用流路規制装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の水力発電装置用流路規制装置は、前記水力発電装置および前記流路規制装置が流路に設置され、前記水力発電装置が、水力を回転力に変換する翼車、およびこの翼車の回転により発電する発電機を備え、当該流路規制装置が、前記翼車に対して前記流路の所定距離だけ上流側に配置され、かつ、前記流路の幅方向に互いに間隔を空けて対向して配置される少なくとも2つの集水板と、前記少なくとも2つの集水板の前記間隔を設定する間隔設定機構であって、前記間隔を前記流路の上流側から下流側にかけて狭くなるように設定自在である間隔設定機構とを備える。
【0010】
この構成によれば、間隔設定機構が、少なくとも2つの集水板が翼車に対して流路の所定距離だけ上流側に配置され、少なくとも2つの集水板の間隔を流路の上流側から下流側にかけて狭くなるように設定自在であるため、翼車に向けて流路の水を集めて加速させることができる。これら集水板により加速された流水が翼車に衝突するため、流路規制装置を設けない場合に比べて水力発電装置の発電効率が向上する。このように、集水板は翼車を覆うものではなく翼車よりも流路の上流側に配置されるため、翼車を覆うケーシングとは異なり、翼車が水没している限り流速を高める効果が得られる。
【0011】
前記所定距離は、少なくとも2つの集水板が翼車から離れすぎず翼車付近の流速を高めることができる程度の距離である。この所定距離は、流路の大きさやその水量などに応じて決定される。所定距離は、例えば、少なくとも2つの集水板の中で翼車に一番近い箇所と翼車のブレードとの流路方向の距離である。
【0012】
前記少なくとも2つの集水板の前記間隔は、最も狭い下流側の側端においても、翼車の幅方向最大寸法(外径)よりも大きい。これにより、集水板で集めた流路の水を翼車全体に向けることができる。
【0013】
前記少なくとも2つの集水板が、前記流路の幅方向の左右両側に1つずつ配置された2つの集水板であってもよい。2つの集水板は流路の中心に対して左右対称であってもよい。
【0014】
前記2つの集水板の前記流路の上流側の側端が、互いに対向して前記流路を構成する壁面にそれぞれ当接するように前記2つの集水板が配置されてもよい。この構成によれば、流路は集水板の外側つまり壁面と集水板との間をほとんど通らずに集水板の間を通るため、より多くの水を翼車に向けて集めることができ、発電電力を大きくできる。この構成は、流路を流れる水量が少ない場合に特に効果的である。
【0015】
前記少なくとも2つの集水板が、それぞれ、略鉛直方向に延び、前記間隔設定機構が、前記少なくとも2つの集水板にそれぞれ対応した少なくとも2つの集水板調整機構を有し、各集水板調整機構によって、対応する集水板の前記流路に対する向きが任意の向きに調整されてその向きに前記集水板が固定されてもよい。この構成によれば、各集水板調整機構によって、集水板の流路に対する向きを自在に変更できる。例えば、流路の水量が少ない場合には、流れに対してより大きい抵抗となるように集水板は流路に対して垂直な向きに近づけられる一方、流路の水量が多い場合には、溢水などの事態を抑制するために集水板は流路方向に近づけられてもよい。このように、水力発電装置が設置される水路の状況に応じて集水板の向きが設定自在であるため、安全で効率良い発電が可能となる。
【0016】
前記少なくとも2つの集水板が、それぞれ、略鉛直方向に延び、前記間隔設定機構が、
前記少なくとも2つの集水板にそれぞれ対応した少なくとも2つの集水板調整機構を有し、各集水板調整機構が、前記流路の状況に応じて、対応する集水板の前記流路に対する向きを自動的に調整する集水板自動調整機構を含んでもよい。この構成によれば、各集水板調整機構の集水板自動調整機構が、流路の状況に応じて、対応する集水板の流路に対する向きを自動的に調整するため、上述の流路の水量に応じた集水板の向きが、自動的に設定される。そのため、水路周辺に作業者がいなくても効率良い発電が可能となる。
【0017】
前記少なくとも2つの集水板が、それぞれ、前記流路の水力を受けて動くことで、その集水板の前記流路に対する向きが変化するものであり、前記集水板自動調整機構が、それぞれ、前記水力を受ける方向とは反対の方向に力を加えて前記集水板を方向付ける反力付加手段を有してもよい。この構成によれば、集水板が、水力を受けて動くことで、その集水板の流路に対する向きが変化するが、反力付加手段が反力を加えて集水板を方向付けるため、集水板の向きは適切な方向に自動的に調整される。このようにして、上述の流路の水量に応じた集水板の向きが、自動的に設定される。そのため、水路周辺に作業者がいなくても安全で効率良い発電が可能となる。反力付加手段は、ばねであってもよい。
【0018】
さらに、前記少なくとも2つの集水板をそれぞれ鉛直方向に案内する案内手段を備えてもよい。この構成によれば、案内手段によって、集水板の高さ位置を容易に調整できる。また、集水板を容易に流路規制装置に装備できる。なお、集水板には、案内手段による案内を促進するために、作業者が握る把手のような補助手段が設けられてもよい。さらに、前記間隔設定機構が、案内手段を動かす機構を有し、この機構によって案内手段に連動する集水板の間隔が設定されてもよい。
【0019】
前記少なくとも2つの集水板の上側端がそれぞれ、前記流路の上端よりも下側に位置するように設置されてもよい。この構成によれば、集水板の上側端よりも上方を流れる水は集水板の影響を受けないが、このように流れる水を確保することで、水量が増加したときの溢水の事態を抑制できる。
【0020】
前記少なくとも2つの集水板が、それぞれ、均一な厚みを有してもよい。この構成によれば、平板によって容易に集水板を作製でき、コストを低減できる。
【0021】
前記2つの集水板それぞれの断面形状が、上流側の厚みが大きく下流側の厚みが小さい、略流線形状であってもよい。この構成によれば、水の流れに対する集水板の抵抗を抑制しながら増速効果を高めることができる。
【0022】
本発明の水力発電システムは、前記水力発電装置用流路規制装置と、前記水力発電装置とを備える。前記翼車が、前記翼車の回転軸が前記流路の方向と平行なプロペラ型であってもよい。
【発明の効果】
【0023】
この発明の水力発電装置用流路規制装置によれば、翼車が水没している限り流速を高める効果が得られ、流路規制装置を設けない場合に比べて水力発電装置の発電効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1の実施形態にかかる水力発電システムの斜視図である。
【
図2】
図2の水力発電システムにおける水力発電装置の正面図である。
【
図3】
図2の水力発電システムにおける水力発電装置の側面図である。
【
図4】
図1の水力発電システムをIV-IV線に沿った断面図である。
【
図5】
図4に対応する断面図であって、この水力発電システムを説明するための図である。
【
図7】
図4に対応する断面図であって、この水力発電システムを説明するための別の図である。
【
図8】
図7の水力発電システムの流路規制装置の部分拡大図であって、(a)は流路の水量が少ない場合、(b)は流路の水量が多い場合の図である。
【
図9】
図4に対応する断面図であって、本発明の第2の実施形態にかかる水力発電システムの断面図である。
【
図10】
図9の水力発電システムの流路規制装置の部分拡大図であって、(a)は流路の水量が少ない場合、(b)は流路の水量が多い場合の図である。
【
図11】
図4に対応する断面図であって、本発明の第3の実施形態にかかる水力発電システムの断面図である。
【
図12】
図11の水力発電システムの部分正面図であって、(a)は流路の水量が少ない場合、(b)は流路の水量が多い場合の図である。
【
図13】本発明の第4の実施形態にかかる水力発電システムの正面図である。
【
図16】本発明の第5の実施形態にかかる水力発電システムの部分斜視図である。
【
図17】流速分布の例であって、(a)は本発明の一実施形態にかかる水力発電システムにおける流速分布の例、(b)は従来の水力発電システムにおける流速分布の例である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
この発明の各実施形態に係る水力発電システムについて図面を参照しながら説明する。なお、各図において、簡単化のために、説明に必要ではない要素の図示を適宜省略している。
【0026】
<水力発電システム全体の概略構成>
図1~
図8(a)および(b)に第1実施形態に係る水力発電システムを示す。水力発電システム1は、
図1に示すように、水力発電装置10および水力発電装置用の流路規制装置30を備える。本実施形態において、水力発電装置10と流路規制装置30とは別体である。したがって、水力発電システム1は、例えば、用水路のような一定の流水量がある水路2に設置されるが、水力発電装置10と流路規制装置30は個別に設置可能である。ただし、水力発電装置10と流路規制装置30は連結されて一体に設置されてもよい。なお、簡単化のために、
図1には水力発電装置10の一部のみが図示されている。
【0027】
<水力発電装置>
水力発電装置10は、その全体を
図2および
図3に示すように、翼車13と、水上に設置される発電装置本体14と、この発電装置本体14を支持する発電機台15とを備える。発電装置本体14は、発電機台15の上に設置された発電機19を備える。発電機台15は、翼車用梁材16と、翼車13を発電機台15に支持する支柱11とを有する。翼車用梁材16の両側端部は、水路2の側壁21の上面21aに設置される。なお、水路2は、例えば農業用水路である。
【0028】
図3に示すように、支柱11を介してギヤボックス12が発電機台15に連結されている。支柱11の内部には、ギヤボックス12と発電装置本体14とを連結して翼車13の回転力を発電機19に伝達する連結軸17が挿入されている。
図2に示すように、翼車13は、水路2の流水中に全没する状態で配置され、流水からの水力を回転力に変換する。
この翼車13は、回転軸心L1が流路方向Fと平行なプロペラ型である。翼車13は、回転軸心L1に設けられるハブ13aと、このハブ13aの外周面から半径方向外方に放射状に延びる複数(例えば5枚)のブレード13bとを有する。各ブレード13bは、
図3に示すように、その先端部がウイングレット状に上流側に向けて若干傾斜するように形成されている。これにより、翼端渦を減少あるいは発生方向を翼先端側に移動させることで水抵抗を減らし、結果として発電トルクを向上させる効果がある。なお、翼車13には、例えば、アルミニウム等の軽量金属や、繊維等によって強化された強化樹脂(FRP)等の実質的に剛体とみなされる材料が用いられるが、ウレタン樹脂等のある程度の変形を許容する材料が用いられていてもよい。
【0029】
<流路規制装置>
図1を参照して、流路規制装置30は、流路規制装置用梁部材31と、翼車13よりも流路2の上流側において、流路2の幅方向に互いに間隔を空けて対向して配置される2つの集水板33,33と、2つの集水板33,33の間隔を設定する間隔設定機構34を有する。流路規制装置用梁部材31は、水力発電装置10の翼車用梁材16(
図2)と平行に、その両側端部31aが水路2の側壁21の上面21aに設置される。このようにして、流路規制装置30が水力発電装置10よりも流路2の上流側に設置される。なお、本明細書中において「流路」の語は「水路」と同義に用いられる。ただし、「流路方向」の語は、水路の流れの方向を意味する。
【0030】
間隔設定機構34は、集水板33,33の間隔を流路2の上流側から下流側にかけて狭くなるように設定自在である。間隔設定機構34は、また、2つの集水板33,33にそれぞれ対応した少なくとも2つの集水板調整機構35,35を有する。後述するように、各集水板調整機構35によって、対応する集水板33の流路2に対する向きが任意の向きに調整されてその向きに集水板33が固定される。
【0031】
図4は、
図1のIV-IV線から見た図である。2つの集水板33,33は、流路規制装置30が設置されると、翼車13に対して流路2の所定距離だけ上流側において、流路2の幅方向Wに互いに間隔を空けて対向して配置される。これら集水板33,33は、同一の材料および同一の形状から構成されてもよい。各集水板33は、例えば、厚みが均一で鉛直方向に延びた長方形状の鋼製の板から構成される。このような板は、鋼材を切断して得られるため、容易に作製でき、コストを低減できる。代わりに、各集水板33は、その断面形状が、上流側の厚みが大きく下流側の厚みが小さい、略流線形状であってもよい。このような断面形状により、水の流れに対する集水板33の抵抗を抑制することができる。
【0032】
図1に戻って、2つの集水板調整機構35,35は、細長い流路規制装置用梁部材31の延在方向の両端側に対称に設けられている。各集水板調整機構35は流路規制装置用梁部材31上に載置される棒状の第1の幅方向移動棒体35aを流路2の幅方向Wに間隔を空けて2つ備える。これら第1の幅方向移動棒体35aは、それぞれ、流路規制装置用梁部材31に直交して流路規制装置用梁部材31と同様に水平方向、つまり流路方向Fに延びる。これら第1の幅方向移動棒体35aは、流路規制装置用梁部材31に支持されて、流路2の幅方向Wに移動可能である。
【0033】
各集水板調整機構35は、また、流路規制装置用梁部材31に直交して鉛直方向に延びる棒状の第2の幅方向移動棒体35bを4つ備える。これら4つの第2の幅方向移動棒体35bのうち2つはそれぞれ、同一の第1の幅方向移動棒体35aに、流路規制装置用梁部材31を挟んで流路2の方向に間隔を空けて取り付けられている。各第2の幅方向移動棒体35bの上端部が、第1の幅方向移動棒体35aに、例えばクランプ37によって固定されている。このため、第1の幅方向移動棒体35aの任意の位置において第2の幅方
向移動棒体35bを締付固定できる。これら4つの第2の幅方向移動棒体35bのうち、流路規制装置用梁部材31の同一側つまり流路2の上流側または下流側に位置する2つの第2の幅方向移動棒体35bが、対応する集水板33を支持する。具体的には、
図4に示すように、これら2つの第2の幅方向移動棒体35bが、それぞれ、1つの集水板33の一方の主面の各側端部に図示しない連結具により取付角度可変に取り付けられている。このようにして、2つの集水板支持棒体35bが1つの集水板33を支持している。
【0034】
図1に戻って、各集水板調整機構35は、さらに、2つの第1の幅方向移動棒体35aの鉛直下方に、これら第1の幅方向移動棒体35aと平行な2つの第3の幅方向移動棒体35cを備える。これら2つの第3の幅方向移動棒体35cそれぞれに、第2の幅方向移動棒体35bの下端部が2つずつ、例えばクランプ37によって固定されている。このため、第3の幅方向移動棒体35cの任意の位置において第2の幅方向移動棒体35bを締付固定できる。なお、第2の幅方向移動棒体35bが鉛直方向に延びるように、第2の幅方向移動棒体35bの上端における第1の幅方向移動棒体35aに対する固定位置と下端における第3の幅方向移動棒体35cに対する固定位置とは鉛直線上に設定されるのが望ましい。これら第1~第3の幅方向移動棒体35aは、例えば鋼管から構成される。
【0035】
図5は
図4に対応し、
図6は水力発電システム1の正面図であるが、簡単化のために説明に必要な構成要素のみを示している。これら
図5および
図6に示すように、2つの集水板33,33の流路2の上流側の側端33a,33aは、互いに対向して流路2を構成する側壁面(内壁面)21b,21bにそれぞれ当接するように配置されてもよい。これは、
図1の流路規制装置用梁部材31を設置した後に、集水板調整機構35,35を流路規制装置用梁部材31に対して移動調整するだけで実現できる。すなわち、作業者が流路規制装置用梁部材31に対して側壁面21b側の第2の幅方向移動棒体35bが側壁面21bに当接するように(、つまり集水板33の流路2の上流側の側端33aが側壁面21bに当接するように)移動させるだけでよい。なお、稼動中は水力によって幅方向Wの外側に力を受けて、集水板33,33が側壁面21b,21bに接触するので、集水板調整機構35の位置がずれることはない。
【0036】
2つの集水板33,33の流路2の上流側の側端33aが側壁面21b,21bにそれぞれ当接すると、流路2は集水板33,33の外側をほとんど通らずに集水板33,33の間を通る。このため、より多くの水を翼車13に向けて集めることができ、発電電力を大きくできる。この構成は、流路2を流れる水量が少ない場合に特に効果的である。
【0037】
<水力発電システムの動作>
次に、
図1の本水力発電システム1の動作について説明する。
上述したように、水力発電システム1は、水力発電装置10と流路規制装置30とが個別または一体に設置される。ただし、個別に設置されるか一体に設置されるかに係わらず、流路規制装置30の集水板33,33は、水力発電装置10の翼車13に対して流路2の所定距離だけ上流側であって、翼車13から離れすぎず翼車13付近の流速を高めることができる程度の位置に配置される。
【0038】
流路規制装置30は、まず流路規制装置用梁部材31が水路2の側壁21,21の上面21a,21aに設置されてから、2つの集水板調整機構35,35が流路規制装置用梁部材31に設けられる。2つの集水板調整機構35,35は、それぞれ、予め、集水板33,33が流路2に対して所定の向きとなるように調整されていてもよい。例えば、
図7に示すように、翼車13を含む水力発電装置10に対して、集水板33,33を含む集水板調整機構35,35が配置されて、流路規制装置30が設置される。
【0039】
ここで、
図8(a)に拡大して示すように、集水板33は、流路方向Fに垂直に近い向
きに設定されている。すなわち、集水板33と流路方向Fとのなす角度θが大きくなるように設定されている。この設定によって、流路2の水量が少ない場合に、集水板33がダムのように流路2を堰き止めようと働くことで、翼車13(
図13)に向かう水の流速を高めることができ、発電電力を大きくできる。なお、集水板33の外側端を延長して側壁面21bに接触させてもよい。その一方、
図8(b)に示すように、集水板33は、流路方向Fに近い向きに設定可能である。すなわち、集水板33と流路方向Fとのなす角度θが小さくなるように設定可能である。この設定によって、流路2の水量が多い場合に、集水板33の集水の機能を低くして流路2に大きな影響を及ぼさないことで、溢水の事態を抑制できる。集水板33のこれら向きの設定は、上述したように、
図1のクランプ37を開放して第2の幅方向移動棒体35bの第1の幅方向移動棒体35aおよび第3の幅方向移動棒体35cに対する位置を調整すると共に、第1の幅方向移動棒体35aおよび第3の幅方向移動棒体35cの流路規制装置用梁部材31に対する位置を調整することで実現できる。位置を調整した後にクランプ37で第2の幅方向移動棒体35bを第1の幅方向移動棒体35aおよび第3の幅方向移動棒体35cに再度締付固定すれば、設定した集水板33の向きが固定される。
【0040】
図1の水力発電装置1は、集水板33,33の設定に係わらず、流路2において水力により翼車13が回転する。翼車13の回転により、発電機19(
図2,3)が発電する。ここで、集水板33,33が
図8(a)に示すように流路方向Fとのなす角度θが大きくなるように設定されている場合、翼車13付近の流速が大きくなるため、集水板33,33がない場合と比較して発電機19の発電電力が大きくなる。その一方、集水板33,33が
図8(b)に示すように流路方向Fとのなす角度θが小さくなるように設定されている場合、集水板33,33がない場合に対して発電電力はほとんど変わらない。このため、集水板33,33の向きが水量に応じて適切に設定されれば、水量に左右されずに、水量が多い場合にほぼ等しい発電電力が常に発電機19(
図2)から出力される。
【0041】
<その他の実施形態>
以下の説明においては、各実施の形態で先行して説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成は同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0042】
第2の実施形態に係る発電システム1について説明する。
図9に示すように、本実施形態においては、2つの集水板調整機構35,35はそれぞれ、第1の幅方向移動棒体35a(
図1)を1つ、第2の幅方向移動棒体35bを2つ、第3の幅方向移動棒体35cを1つしか有さないものとする。各集水板33は、そのため、外側の側端部が第1の実施形態と同様に第2の幅方向移動棒体35bに図示しない連結具により取付角度可変に支持されているが、内側の側端部は第1の実施形態とは異なり押圧用ばね(反力付加手段)38の一端38aを取付けている。この押圧用ばね38の他端38bは、ばね固定部材39に取り付けられている。ばね固定部材39は、図示しないが、流路規制装置用梁部材31に連結されている。このように集水板33の下流側の側端部33bは押圧用ばね38に接続されているだけであるため、流路2の水力を受けると集水板33のこの部分が下流側に押圧され、押圧用ばね38の押圧反力とつり合う位置に集水板が設定される。したがって、適切なばね定数のばねを用いれば、この押圧用ばね38によって、集水板33の向きは適切な方向に自動的に調整される。
【0043】
図10(a)に示すように、ばね38は、流路2の水量が少ない場合、集水板33が受ける水力が小さいため自由状態に近く、集水板33と流路方向Fとのなす角度θが大きく
なる。その一方、
図10(b)に示すように、流路2の水量が多い場合に、集水板33が大きい力を受けてばね38を圧縮し、集水板33と流路方向Fとのなす角度θが小さくなる。
【0044】
第3の実施形態に係る発電システム1について説明する。
図11に示すように、本実施形態においては、集水板調整機構35の第2の幅方向移動棒体のうち、2つの第2の幅方向移動棒体35b,35b(
図1)が、集水板33を直接支持せず、代わりに集水板33を鉛直方向に案内する案内手段35bA,35bAとして機能する。案内手段35bA,35bAは、それぞれ、長手方向に延びる溝40を有する。これら溝40に、集水板33の両側端部がそれぞれ嵌挿されている。水力発電システム1(
図1)の稼動中に集水板33は上下方向の力をほとんど受けないため動くことはない。作業者が集水板33を手作業で動かすことで、集水板33は上下方向に移動される。
図12(a)に示すように、流路2の水量が少ない場合は集水板33を下方に位置決めし、
図12(b)に示すように、流路2の水量が多い場合は集水板33を上方に位置決めする。なお、集水板33には、案内手段35bA,35bAによる案内を促進するために、作業者が握る把手のような補助手段(図示せず)が設けられてもよい。
【0045】
この実施形態に係る発電システム1の流路規制装置30は、第1の実施形態に関して説明したように集水板33の向きを水量に応じて変更するとともに集水板33の上下方向の位置も同時に変更できるため、より効率良い発電が可能となる。
【0046】
第4の実施形態に係る水力発電システムについて説明する。
図13および
図14に示すように、集水板調整機構35Aは、集水板の水平方向の角度を調整するものである。集水板調整機構35Aは、
図15に示すように、操作手段41と、第1のプーリ42と、第2のプーリ43と、これら第1および第2のプーリ43に巻回されたベルト44と、第1および第2のプーリを回転可能に支持するプーリ固定部材45と、集水板支持部材46(
図13)とを有する。操作手段41は、例えば作業者が操作するハンドルからなり、第1のプーリ42の回転角度を設定する。プーリ固定部材45は、上面に第1のプーリ42が取り付けられた部分の下面が、流路2の側壁21の上面21aなどに固定されている。プーリ固定部材45のその他の部分は流路2(
図13)の上方に張り出している。プーリ固定部材45のこの張り出した部分の上面に第2のプーリ43が取り付けられている。
【0047】
図13に戻って、各集水板支持部材46は、その上端が対応する第2のプーリ43の下側部分に取り付けられている。各集水板支持部材46は、第2のプーリ43の回転に連動する。
【0048】
本実施形態にかかる水力発電システム1の流路規制装置30は、さらに、
図14に示すように流路設置用部材50を備える。流路設置用部材50は、流路2の底面において流路2を横切る方向に設置される板状の第1の連結片51を有する。第1の連結片51は、その両端部分であって2つの第2のプーリ43の回転軸上において、2つの集水板支持部材46をそれぞれ回転可能に支持する。
【0049】
流路設置用部材50は、また、2つの第2の連結片53および2つの第3の連結片55を有する。第2の連結片53,53は、流路方向Fの逆方向つまり翼車13とは反対側に向かって第1の連結片51の両端から延びる。各第3の連結片55は、対応する第2の連結片53の第1の連結片51に連結された端とは反対側の端から対応する集水板調整機構35Aのプーリ固定部材45の下面に延びて取り付けられている。第1の連結片51、2つの第の連結片53,53、2つの第3の連結片55,55、および2つの集水板調整機構35A,35Aは、一体に構成されて設置されてもよい。代わりに、流路規制装置30の設置時に互いに連結されてもよい。また、第3の連結片55,55は省略可能である。
ただし、第3の連結片55,55があれば、これらがそれぞれ対応する第2の連結片53と対応するプーリ固定部材45とを接続するため、流路設置用部材50が補強される。なお、第2の連結片53,53は、流路2の底面に固定されるか、流路2の上流側から鎖などによって引っ張り固定されてもよい。第2の連結片53,53が固定されると、第1の連結片51が安定するため、この第1の連結片51が支持する集水板支持部材46,46の位置がずれることを防止できる。
【0050】
集水板支持部材46,46は、それぞれ、集水板33を、第2のプーリ43の径方向に沿い、かつ鉛直方向に延在するように保持する。本実施形態においては、集水板33はその一側端においてのみ集水板支持部材46に固定されて片持ち支持される。集水板支持部材46は、第3の実施形態で説明したように、集水板33を鉛直方向に案内する案内手段であってもよい。すなわち、集水板支持部材46は、長手方向に延びる溝(図示せず)を有し、この溝に、集水板33の一側端部が嵌挿されてもよい。
【0051】
本実施形態に係る水力発電システム1の流路規制装置30の集水板調整機構35Aでは、操作手段41を介した操作で設定された角度に応じて第1のプーリ42が回転し、その回転はベルト44を介して第2のプーリ43に伝達される。第2のプーリ43が回転すると、集水板33の流路2に対する向きが変化する。これにより、操作手段41で設定した角度に応じて、集水板33の向きが設定される。操作手段41が操作されない間、集水板33の向きは固定されている。集水板調整機構35Aは、第1のプーリ42、第2のプーリ43、およびベルト44からなる伝達手段に代えて、例えば、ウォームおよびギヤなどからなる動力伝達手段を備えてもよい。
【0052】
第5の実施形態に係る水力発電システムについて説明する。
図16に示すように、本実施形態に係る水力発電システム1の流路規制装置30は、第4の実施形態に関して説明した各構成要素に加えて、自動調整用装置60を備える。自動調整用装置60は、それぞれ第2のプーリ43に設けられた2つのモータ61,61と、流路2の水位を検出する水位センサ63と、プロセッサなどによって以下に説明する制御処理を実行する制御装置65とを有する。制御装置65は、2つのモータ61,61および水位センサ63との間で、有線または無線により通信可能である。
【0053】
水位センサ63は、流路2の水位を検出すると、その水位に関する情報を制御装置65に送信する。制御装置65は、この水位に関する情報を受信すると、集水板33,33がこの水位に応じた向きとなるように、モータ61,61へ指令信号を送信する。各モータ61は、受信した指令信号に応じて対応する第2のプーリ43を回転駆動する。このようにして集水板33,33の向きが調整される。具体的には、制御装置65からの指令信号に応答して、各モータ61は、流路2の水位が低い場合には、集水板33が流路方向Fの垂直方向に近い向きになるように集水板33を自動調整し、流路2の水位が高い場合には、集水板33は流路方向Fに近い向きになるように集水板33を自動調整する。なお、制御装置65は、水位に所定範囲以上の変化が生じた場合にのみモータ61,61へ指令信号を送信してもよい。
【0054】
流路2の水位と、水位に適切な集水板の向き(水平方向角度)との関係は、予め定められて、制御装置65が記憶している。この関係は、例えば水位の離散値それぞれに対する集水板の向きを、テーブルとして制御装置65が記憶する。制御装置65は、水位センサ63から水位に関する情報を受信すると、このテーブルを参照して適切な集水板の向きを抽出し、モータ61,61へ指令信号を送信する。
【0055】
水位センサ63は、図示のようにレーザセンサのような非接触式の水位センサであってもよいが、水位を検出できるものであればいかなるセンサであってもよい。なお、水位セ
ンサ63に高い精度は要求されない。
【0056】
本実施形態において、操作手段41、第1のプーリ42およびベルト44を図示しているが、集水板調整機構35Aはこれらを備えなくてもよい。この場合、集水板33,33の調整は必ず自動で行われる。その一方、図示の例では、集水板33,33は自動と手動の両方で調整可能である。
【0057】
<流速分布例>
各実施形態で説明したように水力発電システム1が流路規制装置30を設けた場合と、水力発電システム1が流路規制装置30を設けない場合とにおける流速分布の例を、
図17(a)および(b)にそれぞれ示す。
【0058】
図17(a)から明らかなように、翼車13の先端付近の流速が速くなっている。これは、集水板33,33により、水が流路2の中央に集められているからである。これに対して、
図17(b)に示すように、集水板33,33がない場合、翼車13の先端付近の流速は、
図17(a)に比較して遅いことが分かる。
【0059】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1…水力発電システム
2…流路
10…水力発電装置
13…翼車
19…発電機
30…流路規制装置
33…集水板
34…間隔設定機構
35…集水板調整機構