(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-18
(45)【発行日】2023-01-26
(54)【発明の名称】温調装置
(51)【国際特許分類】
F24F 5/00 20060101AFI20230119BHJP
F24F 1/0093 20190101ALI20230119BHJP
F24F 11/80 20180101ALI20230119BHJP
【FI】
F24F5/00 101B
F24F1/0093
F24F11/80
(21)【出願番号】P 2018203051
(22)【出願日】2018-10-29
【審査請求日】2021-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】390002886
【氏名又は名称】株式会社長府製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【氏名又は名称】清井 洋平
(72)【発明者】
【氏名】村田 光
(72)【発明者】
【氏名】西田 旭
(72)【発明者】
【氏名】原田 英司
【審査官】村山 美保
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-105547(JP,A)
【文献】特開2002-277021(JP,A)
【文献】特開平06-257835(JP,A)
【文献】特開2017-198393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 5/00
F24F 1/0093
F24F 11/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、膨張弁と、室外機に設けられた第1の熱交換器と、熱交換により室内空気を加熱又は冷却する第2の熱交換器とを接続して、冷媒を循環させる冷媒循環回路を有する温調装置であって、
室内に配置された輻射部材が設けられ、ポンプの作動によって熱媒水が循環する熱媒水循環回路と、前記冷媒循環回路に接続されたバイパス路を流れる前記冷媒と前記熱媒水循環回路を循環する前記熱媒水とを熱交換する第3の熱交換器と、設定温度を基に前記圧縮機、前記膨張弁及び前記ポンプの動作を制御する制御手段と
、室内温度を計測する温度計とを備え
、
前記輻射部材は、前記第3の熱交換器により熱交換され前記熱媒水循環回路を循環する前記熱媒水と室内空気の熱交換によって、室内空気を加熱又は冷却
し、
前記制御手段は、前記第2の熱交換器による室内空気の冷却を行っている際に、前記温度計の計測温度が前記設定温度に所定温度Jを加えた温度以下であるのを検知して、1)前記輻射部材による室内空気の冷却を行っていなかった場合、前記第2の熱交換器による室内空気の冷却を停止し又は冷却レベルを下げて継続し、前記輻射部材による室内空気の冷却を開始し、2)前記輻射部材による室内空気の冷却を行っていた場合、前記第2の熱交換器による室内空気の冷却を停止し又は冷却レベルを下げて継続し、前記輻射部材による室内空気の冷却レベルを上げ、
前記輻射部材による室内空気の冷却を行っている際に、前記温度計の計測温度が前記設定温度に所定温度P(但し、P≧J)を加えた温度以上であるのを検知して、1)前記第2の熱交換器による室内空気の冷却を行っていなかった場合、前記輻射部材による室内空気の冷却を停止し又は継続しつつ、前記第2の熱交換器による室内空気の冷却を開始し、2)前記第2の熱交換器による室内空気の冷却を行っていた場合、前記輻射部材による室内空気の冷却を停止し又は継続しつつ、前記第2の熱交換器による室内空気の冷却レベルを上げることを特徴とする温調装置。
【請求項2】
請求項1記載の温調装置において、前記制御手段は、前記第2の熱交換器による室内空気の加熱又は冷却を、前記輻射部材による室内空気の加熱又は冷却より優先して、室内の温度調整を開始させることを特徴とする温調装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の温調装置において
、前記制御手段は、前記第2の熱交換器による室内空気の加熱を行っている際に、前記温度計の計測温度が前記設定温度から所定温度Kを差し引いた温度以上であるのを検知して、1)前記輻射部材による室内空気の加熱を行っていなかった場合、前記第2の熱交換器による室内空気の加熱を停止し又は加熱レベルを下げて継続し、前記輻射部材による室内空気の加熱を開始し、2)前記輻射部材による室内空気の加熱を行っていた場合、前記第2の熱交換器による室内空気の加熱を停止し又は加熱レベルを下げて継続し、前記輻射部材による室内空気の加熱レベルを上げることを特徴とする温調装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載の温調装置において
、前記制御手段は、前記輻射部材による室内空気の加熱を行っている際に、前記温度計の計測温度が前記設定温度から所定温度Lを差し引いた温度以下であるのを検知して、1)前記第2の熱交換器による室内空気の加熱を行っていなかった場合、前記輻射部材による室内空気の加熱を停止し又は継続しつつ、前記第2の熱交換器による室内空気の加熱を開始し、2)前記第2の熱交換器による室内空気の加熱を行っていた場合、前記輻射部材による室内空気の加熱を停止し又は継続しつつ、前記第2の熱交換器による室内空気の加熱レベルを上げることを特徴とする温調装置。
【請求項5】
請求項1又は2記載の温調装置において
、前記第2の熱交換器は、熱交換による室内空気の除湿が可能であり、前記制御手段は、前記第2の熱交換器による室内空気の除湿を行っている際に、前記温度計の計測温度が前記設定温度に所定温度Mを加えた温度以下であるのを検知して、1)前記輻射部材による室内空気の冷却を行っていなかった場合、前記第2の熱交換器による室内空気の除湿を停止し又は除湿レベルを下げて継続し、前記輻射部材による室内空気の冷却を開始し、2)前記輻射部材による室内空気の冷却を行っていた場合、前記第2の熱交換器による室内空気の除湿を停止し又は除湿レベルを下げて継続し、前記輻射部材による室内空気の冷却レベルを上げることを特徴とする温調装置。
【請求項6】
請求項1又は2記載の温調装置において
、前記第2の熱交換器及び前記輻射部材はそれぞれ、熱交換による室内空気の除湿が可能であり、前記制御手段は、前記輻射部材による室内空気の除湿を行っている際に、前記温度計の計測温度が前記設定温度に所定温度Nを加えた温度以上であるのを検知して、1)前記第2の熱交換器による室内空気の除湿を行っていなかった場合、前記輻射部材による室内空気の除湿を停止し又は継続しつつ、前記第2の熱交換器による室内空気の除湿を開始し、2)前記第2の熱交換器による室内空気の除湿を行っていた場合、前記輻射部材による室内空気の除湿を停止し又は継続しつつ、前記第2の熱交換器による室内空気の除湿レベルを上げることを特徴とする温調装置。
【請求項7】
請求項1又は2記載の温調装置において、室内湿度を計測する湿度計を更に備え、前記制御手段は、前記第2の熱交換器による室内空気の冷却を行っている際に、前記湿度計の計測湿度が設定湿度に所定湿度Cを加えた湿度以下であるのを検知して、1)前記輻射部材による室内空気の冷却を行っていなかった場合、前記第2の熱交換器による室内空気の冷却を停止し又は冷却レベルを下げて継続し、前記輻射部材による室内空気の冷却を開
始し、2)前記輻射部材による室内空気の冷却を行っていた場合、前記第2の熱交換器による室内空気の冷却を停止し又は冷却レベルを下げて継続し、前記輻射部材による室内空気の冷却レベルを上げることを特徴とする温調装置。
【請求項8】
請求項1又は2記載の温調装置において、室内湿度を計測する湿度計を更に備え、前記制御手段は、前記第2の熱交換器による室内空気の加熱を行っている際に、前記湿度計の計測湿度が設定湿度に所定湿度Dを加えた湿度以下であるのを検知して、1)前記輻射部材による室内空気の加熱を行っていなかった場合、前記第2の熱交換器による室内空気の加熱を停止し又は加熱レベルを下げて継続し、前記輻射部材による室内空気の加熱を開始し、2)前記輻射部材による室内空気の加熱を行っていた場合、前記第2の熱交換器による室内空気の加熱を停止し又は加熱レベルを下げて継続し、前記輻射部材による室内空気の加熱レベルを上げることを特徴とする温調装置。
【請求項9】
請求項1又は2記載の温調装置において、室内湿度を計測する湿度計を更に備え、前記制御手段は、前記輻射部材による室内空気の冷却を行っている際に、前記湿度計の計測湿度が設定湿度に所定湿度Eを加えた湿度以上であるのを検知して、1)前記第2の熱交換器による室内空気の冷却を行っていなかった場合、前記輻射部材による室内空気の冷却を停止し又は継続しつつ、前記第2の熱交換器による室内空気の冷却を開始し、2)前記第2の熱交換器による室内空気の冷却を行っていた場合、前記輻射部材による室内空気の冷却を停止し又は継続しつつ、前記第2の熱交換器による室内空気の冷却レベルを上げることを特徴とする温調装置。
【請求項10】
請求項1又は2記載の温調装置において、室内湿度を計測する湿度計を更に備え、前記制御手段は、前記輻射部材による室内空気の加熱を行っている際に、前記湿度計の計測湿度が設定湿度に所定湿度Fを加えた湿度以上であるのを検知して、1)前記第2の熱交換器による室内空気の加熱を行っていなかった場合、前記輻射部材による室内空気の加熱を停止し又は加熱レベルを下げて継続し、前記第2の熱交換器による室内空気の加熱を開始し、2)前記第2の熱交換器による室内空気の加熱を行っていた場合、前記輻射部材による室内空気の加熱を停止し又は加熱レベルを下げて継続し、前記第2の熱交換器による室内空気の加熱レベルを上げることを特徴とする温調装置。
【請求項11】
請求項1又は2記載の温調装置において、室内湿度を計測する湿度計を更に備え、前記第2の熱交換器は、熱交換による室内空気の除湿が可能であり、前記制御手段は、前記第2の熱交換器による室内空気の除湿を行っている際に、前記湿度計の計測湿度が設定湿度に所定湿度Gを加えた湿度以下であるのを検知して、1)前記輻射部材による室内空気の冷却を行っていなかった場合、前記第2の熱交換器による室内空気の除湿を停止し又は除湿レベルを下げて継続し、前記輻射部材による室内空気の冷却を開始し、2)前記輻射部材による室内空気の冷却を行っていた場合、前記第2の熱交換器による室内空気の除湿を停止し又は除湿レベルを下げて継続し、前記輻射部材による室内空気の冷却レベルを上げることを特徴とする温調装置。
【請求項12】
請求項1又は2記載の温調装置において、室内湿度を計測する湿度計を更に備え、前記第2の熱交換器は、熱交換による室内空気の除湿が可能であり、前記制御手段は、前記輻射部材による室内空気の冷却を行っている際に、前記湿度計の計測湿度が設定湿度に所定湿度Hを加えた湿度以上であるのを検知して、1)前記第2の熱交換器による室内空気の除湿を行っていなかった場合、前記輻射部材による室内空気の冷却を停止し又は継続しつつ、前記第2の熱交換器による室内空気の除湿を開始し、2)前記第2の熱交換器による室内空気の除湿を行っていた場合、前記輻射部材による室内空気の冷却を停止し又は継続しつつ、前記第2の熱交換器による室内空気の除湿レベルを上げることを特徴とする温調装置。
【請求項13】
請求項1~
12のいずれか1項に記載の温調装置において、前記輻射部材による室内空気の加熱又は冷却が行われる際に作動するファンが、室内に設けられていることを特徴とする温調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の温度を調整する温調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内の温度調整には、室内機及び室外機を接続した循環回路を流れる冷媒と室内空気とを熱交換して室内を温度調整する装置(特許文献1参照)や、ヒートポンプサイクル等を用いて加熱又は冷却した熱媒水を室内に設置された輻射部材に流して室内を温度調整する装置(特許文献2参照)が利用されている。前者の装置は、急速な温度調整が可能であるが、温度調整した空気を室内機から吹き出し風を発生させるので、風が当たる利用者に不快感を与えることがある。一方、後者の装置は温度調整のために風を生じさせないが、急速な温度調整ができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-132210号公報
【文献】特開2016-57040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、熱交換器による室内空気と冷媒の熱交換によって行う温度調整と、輻射部材に熱媒水を流して行う温度調整とを連動させることが可能な温調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う本発明に係る温調装置は、圧縮機と、膨張弁と、室外機に設けられた第1の熱交換器と、熱交換により室内空気を加熱又は冷却する第2の熱交換器とを接続して、冷媒を循環させる冷媒循環回路を有する温調装置であって、室内に配置された輻射部材が設けられ、ポンプの作動によって熱媒水が循環する熱媒水循環回路と、前記冷媒循環回路に接続されたバイパス路を流れる前記冷媒と前記熱媒水循環回路を循環する前記熱媒水とを熱交換する第3の熱交換器と、設定温度を基に前記圧縮機、前記膨張弁及び前記ポンプの動作を制御する制御手段と、室内温度を計測する温度計とを備え、前記輻射部材は、前記第3の熱交換器により熱交換され前記熱媒水循環回路を循環する前記熱媒水と室内空気の熱交換によって、室内空気を加熱又は冷却し、前記制御手段は、前記第2の熱交換器による室内空気の冷却を行っている際に、前記温度計の計測温度が前記設定温度に所定温度Jを加えた温度以下であるのを検知して、1)前記輻射部材による室内空気の冷却を行っていなかった場合、前記第2の熱交換器による室内空気の冷却を停止し又は冷却レベルを下げて継続し、前記輻射部材による室内空気の冷却を開始し、2)前記輻射部材による室内空気の冷却を行っていた場合、前記第2の熱交換器による室内空気の冷却を停止し又は冷却レベルを下げて継続し、前記輻射部材による室内空気の冷却レベルを上げ、前記輻射部材による室内空気の冷却を行っている際に、前記温度計の計測温度が前記設定温度に所定温度P(但し、P≧J)を加えた温度以上であるのを検知して、1)前記第2の熱交換器による室内空気の冷却を行っていなかった場合、前記輻射部材による室内空気の冷却を停止し又は継続しつつ、前記第2の熱交換器による室内空気の冷却を開始し、2)前記第2の熱交換器による室内空気の冷却を行っていた場合、前記輻射部材による室内空気の冷却を停止し又は継続しつつ、前記第2の熱交換器による室内空気の冷却レベルを上げる。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る温調装置は、圧縮機、膨張弁、室外機に設けられた第1の熱交換器、及び、熱交換により室内空気を加熱又は冷却する第2の熱交換器を接続して、冷媒を循環させる冷媒循環回路と、室内に設置された輻射部材が設けられ、ポンプの作動によって熱媒水が循環する熱媒水循環回路と、冷媒循環回路に接続されたバイパス路を流れる冷媒と熱媒水循環回路を循環する熱媒水とを熱交換する第3の熱交換器と、設定温度を基に圧縮機、膨張弁及びポンプの動作を制御する制御手段とを備え、輻射部材が、第3の熱交換器により熱交換され熱媒水循環回路を循環する熱媒水によって、室内空気を加熱又は冷却するので、制御手段によって、第2の熱交換器の熱交換を利用した室内空気の加熱又は冷却と、輻射部材を利用した室内空気の加熱又は冷却とのいずれか一方又は双方を担う圧縮機、膨張弁及びポンプの動作の制御が可能であり、第2の熱交換器による熱交換によって行う温度調整と輻射部材に熱媒水を流して行う温度調整とを連動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る温調装置の回路図である。
【
図2】第2の熱交換器の熱交換によって室内空気を加熱する様子を示す説明図である。
【
図3】第2の熱交換器の熱交換によって室内空気を冷却する様子を示す説明図である。
【
図5】輻射部材に熱媒水を流すことによって室内空気を加熱する様子を示す説明図である。
【
図6】輻射部材に熱媒水を流すことによって室内空気を冷却する様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る温調装置10は、圧縮機11、膨張弁14、室外機12に設けられた熱交換器13(第1の熱交換器)、及び、熱交換により室内空気を加熱又は冷却する熱交換器15(第2の熱交換器)を接続して、冷媒を循環させる冷媒循環回路16を有し、更に、熱媒水が循環する熱媒水循環回路17を有し、室内を温度調整する装置である。以下、詳細に説明する。
【0009】
冷媒循環回路16内には冷媒が充填されており、冷媒は、圧縮機11の作動により、冷媒循環回路16を循環する。圧縮機11は冷媒を高圧状態にして吐出し、熱交換器13は熱交換器13を通過する冷媒と外気を熱交換する。膨張弁14は冷媒を減圧し、室内機18に設けられた熱交換器15は熱交換器15を通過する冷媒と室内空気を熱交換する。室内機18の設置場所は、リビングルームやベッドルーム等、人の居住空間であってもよいし、屋根裏空間や、床下空間や、壁内に設けた空間等であってもよい。
【0010】
冷媒循環回路16に設けられた四方弁19は冷媒が循環する方向を切り替える。圧縮機11から吐出された冷媒が、
図2に示すように、四方弁19、熱交換器15、膨張弁14、熱交換器13及び四方弁19を順に通過して圧縮機11に流入することによって、冷媒が熱交換器15を通過中に凝縮して(熱交換器15による冷媒と室内空気の熱交換器によって)室内空気を加熱する暖房運転となる。そして、圧縮機11から吐出された冷媒が、
図3に示すように、四方弁19、熱交換器13、膨張弁14、熱交換器15及び四方弁19を順に通過して圧縮機11に流入することによって、冷媒が熱交換器15を通過中に蒸発して(熱交換器15による冷媒と室内空気の熱交換器によって)室内空気を冷却する冷房運転となる。
【0011】
また、本実施の形態では、冷房運転時に熱交換器15表面で生じる結露(結露水)が外部に排出される設計を室内機18に採用している。よって、熱交換器15は熱交換により室内空気を除湿することもできる。以下、熱交換器15による熱交換によって行う室内空気の加熱を、熱交換器15による室内空気の加熱と言い、熱交換器15による熱交換によって行う室内空気の冷却を、熱交換器15による室内空気の冷却と言い、熱交換器15による熱交換によって行う室内空気の除湿を、熱交換器15による室内空気の除湿と言う。なお、本実施の形態では、熱交換器15による室内空気の冷却と除湿とが同時に行われるが、熱交換器15による室内空気の冷却と除湿とをそれぞれ別個に行うようにしてもよいことは言うまでもない。
【0012】
本実施の形態では、
図1に示すように、室外機12に熱交換器13の熱交換を促進するプロペラファン20が設けられ、室内機18に室内機18内に取り込んだ空気を室内機18外に送り出すクロスフローファン21が設けられている。
そして、圧縮機11、膨張弁14、四方弁19、プロペラファン20及びクロスフローファン21は、
図4に示すように、マイクロコンピュータ等によって構成される制御手段22に接続されている。制御手段22は、圧縮機11、膨張弁14、四方弁19、プロペラファン20及びクロスフローファン21に対し指令信号を送信してそれらの動作を制御する。なお、冷媒循環回路16には、
図1に示すように、四方弁19と圧縮機11の冷媒の流入側の間にアキュムレータ26が設けられている。
【0013】
また、冷媒循環回路16には、熱交換器23(第3の熱交換器、本実施の形態では水熱交換器)を接続するバイパス路24が接続されている。バイパス路24は、一端が冷媒循環回路16の四方弁19と熱交換器15の間の領域に連結され、他端が冷媒循環回路16の膨張弁14と熱交換器13の間の領域に連結されている。バイパス路24には、
図1、
図4に示すように、制御手段22に接続された膨張弁25が設けられている。
【0014】
膨張弁25は、制御手段22からの指令信号の送信によって、冷媒が膨張弁25を通過できないようにする閉状態と、膨張弁25を通過する冷媒を減圧する減圧状態とが切り替えられる。膨張弁25が閉状態になると、バイパス路24に冷媒が流入せず、膨張弁25が減圧状態になると、バイパス路24に冷媒が流入してバイパス路24の一端から他端に向かって冷媒が流れる。
膨張弁14は、制御手段22から指令信号が送信されて、冷媒が膨張弁14を通過できないようにする閉状態と、膨張弁14を通過する冷媒を減圧する減圧状態とが切り替えられる。熱交換器15による熱交換によって冷房運転や暖房運転を行う際、膨張弁14は減圧状態にされる。
【0015】
また、熱交換器23には、冷房が可能な放熱器(輻射部材の一例)28に接続された熱媒水循環回路17が接続されている。放熱器28は、室内に配置されており、平行配置された複数のパイプを有し、これらのパイプ内を熱媒水が流れることによって、室内温度を低下させ、又は、室内温度を上昇させる。
熱媒水循環回路17には、水又は不凍液からなる熱媒水が注入されており、熱媒水循環回路17に設けられたポンプ29の作動により、熱媒水が熱媒水循環回路17を循環する。
【0016】
ポンプ29は、
図4に示すように、制御手段22に接続されており、制御手段22は、指令信号の送信により、必要に応じてポンプ29を作動させ、あるいは、停止させる(即ち、制御手段22はポンプ29の動作を制御する)。なお、熱媒水循環回路17には、熱媒水を蓄えるタンク30が設けられている。
【0017】
熱交換器23は、バイパス路24を冷媒が流れ、熱媒水循環回路17を熱媒水が循環している状態で、冷媒と熱媒水を熱交換する。
膨張弁25が減圧状態であり、圧縮機11から吐出された冷媒が、
図5に示すように、四方弁19、熱交換器23、膨張弁25、熱交換器13及び四方弁19を順に通過して圧縮機11に流入し、かつ、熱媒水が熱媒水循環回路17を循環している際、熱媒水循環回路17を循環する熱媒水は、熱交換器23を通過中にバイパス路24を流れている冷媒から熱エネルギーを吸収して温度が上昇し、放熱器28を通過中に室内空気を加熱して温度が下がり、熱交換器23に向かって流れる。
【0018】
膨張弁25が減圧状態であり、圧縮機11から吐出された冷媒が、
図6に示すように、四方弁19、熱交換器13、膨張弁25、熱交換器23及び四方弁19を順に通過して圧縮機11に流入し、かつ、熱媒水が熱媒水循環回路17を循環している際、熱媒水循環回路17を循環する熱媒水は、熱交換器23を通過中にバイパス路24を流れている冷媒へ熱エネルギーを与えて温度が低下した後、放熱器28に送られ、放熱器28を通過中に室内空気を冷却して温度上昇し、熱交換器23に向かって流れる。
【0019】
従って、放熱器28は、熱媒水循環回路17を循環する熱媒水が流れて室内空気を加熱又は冷却することとなる。以下、放熱器28に熱媒水を流して行う室内空気の加熱を、放熱器28による室内空気の加熱とも言い、放熱器28に熱媒水を流して行う室内空気の冷却を、放熱器28による室内空気の冷却とも言う。
また、本実施の形態では、熱媒水の放熱器28の通過によって室内空気を冷却する際に放熱器28の表面に結露(結露水)が生じる設計、及び、その結露を外部に排出する設計が採用されている。よって、放熱器28は、熱媒水循環回路17を循環する熱媒水によって室内空気の除湿を行う。即ち、放熱器28による室内空気の冷却によって、室内空気の除湿も行われる。
【0020】
そして、本実施の形態では、1)膨張弁14を減圧状態にし、膨張弁25を閉状態にして、熱交換器23を冷媒が通過せず、冷媒が熱交換器15を通過するようにすることによって、放熱器28による室内空気の冷却及び除湿(又は加熱)を行わず、熱交換器15による室内空気の冷却及び除湿(又は加熱)を行うことや、2)膨張弁14を閉状態にし、膨張弁25を減圧状態にして、冷媒が熱交換器23を通過し、冷媒が熱交換器15を通過しないようにすることによって、熱交換器15による熱交換によって室内空気の冷却及び除湿(又は加熱)をせず、放熱器28による室内空気の冷却及び除湿(又は加熱)を行うことができる。
【0021】
更に、3)膨張弁14、25をいずれも減圧状態にして冷媒が熱交換器15、23の双方を流れるようにし、放熱器28による室内空気の冷却及び除湿(又は加熱)を行っている状態で、熱交換器15による室内空気の冷却及び除湿(又は加熱)を行うことが可能である。よって、本実施の形態において、冷房運転、暖房運転及び除湿運転それぞれには、1)熱交換器15の熱交換のみによるもの、2)放熱器28に熱媒水を流すことのみによるもの、3)熱交換器15の熱交換及び放熱器28に熱媒水を流すことによるものの3種類が存在する。
【0022】
また、制御手段22には、
図4に示すように、室内の温度及び湿度を計測する温湿度センサ(温度計及び湿度計の一例)31及び温調装置10の利用者が温度調整や湿度調整の各入力操作(例えば、室内の設定温度や設定湿度を決定する入力操作)を行う操作盤32が有線接続又は無線接続されている。制御手段22は温湿度センサ31の計測値(計測温度及び計測湿度)を得ることができ、操作盤32に対してなされた入力操作に従って、圧縮機11、膨張弁14、25、四方弁19、ポンプ29等の動作を制御する。
【0023】
制御手段22は、操作盤32で冷房運転(除湿運転についても同様)を開始する入力操作がなされたのを検知すると、放熱器28による室内空気の冷却(除湿)に比べて、室内空気の冷却レベル(除湿レベル)が高い熱交換器15による室内空気の冷却(除湿)を、放熱器28による室内空気の冷却(除湿)より優先して室内空気の冷却(即ち、温度調整)を開始させる。本実施の形態では、このとき、熱交換器15による室内空気の冷却(除湿)のみが開始されるが、膨張弁25、14の双方を減圧状態にして、熱交換器15による室内空気の冷却(除湿)と共に放熱器28による室内空気の冷却(除湿)を行うようにしてもよい。即ち、冷房運転(除湿運転)の開始時は、放熱器28による室内空気の冷却(除湿)のみを行うようにはしない。
【0024】
冷房の設定温度をT1として、制御手段22は、熱交換器15による室内空気の冷却を行っている際、温湿度センサ31の計測温度が、設定温度T1に予め定められた所定温度Jを加えた温度(T1+J)以下であるの(になったの)を検知すると、1)放熱器28による室内空気の冷却を行っていなかった場合、熱交換器15による室内空気の冷却を冷却レベルを下げて継続しつつ又は停止し、放熱器28による室内空気の冷却を開始し、2)放熱器28による室内空気の冷却を行っていた場合、熱交換器15による室内空気の冷却を冷却レベルを下げて継続しつつ又は停止し、放熱器28による室内空気の冷却レベルを上げる。
【0025】
これによって、室内に風が生じるのを抑制した状態、あるいは、室内に風が生じない状態で室内を冷房できるようになる。
Jは例えば1~3℃である。
【0026】
そして、制御手段22は、放熱器28による室内空気の冷却を行っている際に、温湿度センサ31の計測温度が設定温度T1に予め設定された所定温度Pを加えた温度(T1+P)以上であるのを検知して、1)熱交換器15による室内空気の冷却を行っていなかった場合、放熱器28による室内空気の冷却を停止し又は継続しつつ、熱交換器15による室内空気の冷却を開始し、2)熱交換器15による室内空気の冷却を行っていた場合、放熱器28による室内空気の冷却を停止し又は継続しつつ、熱交換器15による室内空気の冷却レベルを上げる。Pは、P≧Jで、例えば5~10℃である。なお、冷暖房を行っている室内に人が入室すること等によって、室内温度が大きく変化することがある。
【0027】
また、設定湿度をQとして、制御手段22は、熱交換器15による室内空気の冷却を行っている際に、温湿度センサ31の計測湿度が設定湿度Qに予め設定された所定湿度Cを加えた湿度(Q+C)以下であるのを検知して、1)放熱器28による室内空気の冷却を行っていなかった場合、熱交換器15による室内空気の冷却を停止し又は冷却レベルを下げて継続し、放熱器28による室内空気の冷却を開始し、2)放熱器28による室内空気の冷却を行っていた場合、熱交換器15による室内空気の冷却を停止し又は冷却レベルを下げて継続し、放熱器28による室内空気の冷却レベルを上げるようにしてもよい。放熱器28による室内空気の冷却によって室内空気の除湿も行えるため、室内に風が生じるのを抑制した状態、あるいは、室内に風が生じない状態で冷房と共に除湿を行えるようになる。Cは例えば3~10%である。
【0028】
そして、制御手段22は、放射器28による室内空気の冷却(即ち、除湿を伴った冷却)を行っている際に、温湿度センサ31の計測湿度が設定湿度Qに予め設定された所定湿度Eを加えた湿度(Q+E)以上であるのを検知して、1)熱交換器15による室内空気の冷却を行っていなかった場合、放熱器28による室内空気の冷却を停止し又は継続しつつ、熱交換器15による室内空気の冷却(即ち、除湿を伴った冷却)を開始し、2)熱交換器15による室内空気の冷却を行っていた場合、放熱器28による室内空気の冷却を停止し又は継続しつつ、熱交換器15による室内空気の冷却レベル(即ち、除湿レベル)を上げるようにしてもよい。これによって、室内の湿度を早急に下げて設定湿度Qに近付くようにすることができる。Eは、E≧Cで、例えば5~20%である。
【0029】
更に、制御手段22は、熱交換器15による室内空気の除湿を行っている際に、温湿度センサ31の計測温度が設定温度T1に予め設定された所定温度Mを加えた温度(T1+M)以下であるのを検知して、1)放熱器28による室内空気の冷却(即ち、除湿)を行っていなかった場合、熱交換器15による室内空気の除湿を停止し又は除湿レベルを下げて継続し、放熱器28による室内空気の冷却(即ち、除湿)を開始し、2)放熱器28による室内空気の冷却(即ち、除湿)を行っていた場合、熱交換器15による室内空気の除湿を停止し又は除湿レベルを下げて継続し、放熱器28による室内空気の冷却レベル(即ち、除湿レベル)を上げる。これによって、室内に風が生じるのを抑制した状態、あるいは、室内に風が生じない状態で除湿を行えるようになる。Mは例えば1~3℃である。
【0030】
そして、制御手段22は、熱交換器15による室内空気の除湿を行っている際に、温湿度センサ31の計測湿度が設定湿度Qに予め設定された所定湿度Gを加えた湿度(Q+G)以下であるのを検知して、1)放熱器28による室内空気の冷却(即ち、除湿)を行っていなかった場合、熱交換器15による室内空気の除湿を停止し又は除湿レベルを下げて継続し、放熱器28による室内空気の冷却(即ち、除湿)を開始し、2)放熱器28による室内空気の冷却(即ち、除湿)を行っていた場合、熱交換器15による室内空気の除湿を停止し又は除湿レベルを下げて継続し、放熱器28による室内空気の冷却レベル(即ち、除湿レベル)を上げるようにしてもよい。これによって、室内に風が生じるのを抑制した状態、あるいは、室内に風が生じない状態で除湿を行えるようになる。Gは例えば3~10%である。
【0031】
また、制御手段22は、放熱器28による室内空気の除湿(冷却に伴った除湿)を行っている際に、温湿度センサ31の計測温度が設定温度T1に予め設定された所定温度Nを加えた温度(T1+N)以上であるのを検知して、1)熱交換器15による室内空気の除湿を行っていなかった場合、放熱器28による室内空気の除湿(冷却に伴った除湿)を停止し又は継続しつつ、熱交換器15による室内空気の除湿(即ち、冷却)を開始し、2)熱交換器15による室内空気の除湿(即ち、冷却)を行っていた場合、放熱器28による室内空気の除湿(冷却に伴った除湿)を停止し又は継続しつつ、熱交換器15による室内空気の除湿レベル(即ち、冷却レベル)を上げる。これによって、室内の温度を早急に下げて設定温度T1に近付くようにすることができる。Nは例えば5~10℃である。
【0032】
制御手段22は、放射器28による室内空気の冷却(即ち、除湿を伴った冷却)を行っている際に、温湿度センサ31の計測湿度が設定湿度Qに予め定められた所定湿度Hを加えた湿度(Q+H)以上であるのを検知して、1)熱交換器15による室内空気の除湿を行っていなかった場合、放射器28による室内空気の冷却(即ち、除湿を伴った冷却)を停止し又は継続しつつ、熱交換器15による室内空気の除湿を開始し、2)熱交換器15による室内空気の除湿を行っていた場合、放射器28による室内空気の冷却(即ち、除湿を伴った冷却)を停止し又は継続しつつ、熱交換器15による室内空気の除湿レベルを上げる。これによって、室内の湿度を早急に下げて設定湿度Qに近付くようにすることができる。Hは例えば5~20%である。
【0033】
また、制御手段22は、操作盤32で暖房運転を開始する入力操作がなされたのを検知すると、放熱器28による室内空気の加熱に比べて、室内空気の加熱レベルが高い熱交換器15による室内空気の加熱を、放熱器28による室内空気の加熱より優先して、室内の加熱(即ち、温度調整)を開始させる。本実施の形態では、このとき、熱交換器15による室内空気の加熱のみが開始されるが、熱交換器15による室内空気の加熱と共に放熱器28による室内空気の加熱を行うようにしてもよい(即ち、放熱器28による室内空気の加熱のみを行うようにはしない)。
【0034】
暖房の設定温度をT2として、制御手段22は、熱交換器15による室内空気の加熱を行っている際に、温湿度センサ31の計測温度が設定温度T2から予め定められた所定温度Kを差し引いた温度(T2-K)以上であるのを検知して、1)放熱器28による室内空気の加熱を行っていなかった場合、熱交換器15による室内空気の加熱を停止し又は加熱レベルを下げて継続し、放熱器28による室内空気の加熱を開始し、2)放熱器28による室内空気の加熱を行っていた場合、熱交換器15による室内空気の加熱を停止し又は加熱レベルを下げて継続し、放熱器28による室内空気の加熱レベルを上げる。これによって、室内に風が生じるのを抑制した状態、あるいは、室内に風が生じない状態で暖房を行えるようになる。Kは例えば1~3℃である。
【0035】
そして、制御手段22は、放熱器28による室内空気の加熱を行っている際に、温湿度センサ31の計測温度が設定温度T2から予め定められた所定温度Lを差し引いた温度(T2-L)以下であるのを検知して、1)熱交換器15による室内空気の加熱を行っていなかった場合、放熱器28による室内空気の加熱を停止し又は継続しつつ、熱交換器15による室内空気の加熱を開始し、2)熱交換器15による室内空気の加熱を行っていた場合、放熱器28による室内空気の加熱を停止し又は継続しつつ、熱交換器15による室内空気の加熱レベルを上げる。これによって、室内の温度を早急に上げて設定温度T2に近付くようにすることができる。Lは、L≧Kで、例えば5~10℃である。
【0036】
更に、制御手段22は、熱交換器15による室内空気の加熱を行っている際に、温湿度センサ31の計測湿度(温湿度センサ31によって計測される相対湿度)が設定湿度Qに所定湿度Dを加えた湿度(Q+D)以下であるのを検知して、1)放熱器28による室内空気の加熱を行っていなかった場合、熱交換器15による室内空気の加熱を停止し又は加熱レベルを下げて継続し、放熱器28による室内空気の加熱を開始し、2)放熱器28による室内空気の加熱を行っていた場合、熱交換器15による室内空気の加熱を停止し又は加熱レベルを下げて継続し、放熱器28による室内空気の加熱レベルを上げるようにしてもよい。これによって、室内に風が生じるのを抑制した状態、あるいは、室内に風が生じない状態で暖房を行えるようになる。室内の湿度(相対湿度)は室内空気の加熱により低下することから、このケースでは、計測温度を基にする代わりに計測湿度を基にして暖房運転の制御を行う。Dは例えば3~10%である。
【0037】
そして、制御手段22は、放熱器28による室内空気の加熱を行っている際に、温湿度センサ31の計測湿度が設定湿度Qに所定湿度Fを加えた湿度(Q+F)以上であるのを検知して、1)熱交換器15による室内空気の加熱を行っていなかった場合、放熱器28による室内空気の加熱を停止し又は加熱レベルを下げて継続し、熱交換器15による室内空気の加熱を開始し、2)熱交換器15による室内空気の加熱を行っていた場合、放熱器28による室内空気の加熱を停止し又は加熱レベルを下げて継続し、熱交換器15による室内空気の加熱レベルを上げるようにしてもよい。Fは、F≧Dで、例えば5~20%である。
【0038】
また、上記の所定温度J、K、P、L、M、Nを、室内の湿度の高低によって変わる変数にして、室内の湿度に応じて適した値を所定温度J、K、P、L、M、Nに適用するように設計してもよいし、上記の所定湿度C、E、G、H、D、Fを、室内の温度の高低によって変わる変数にして、室内の温度に応じて適した値を所定湿度C、E、G、H、D、Fに適用するように設計してもよい。
【0039】
そして、本実施の形態では、クロスフローファン21の作動により、放熱器28が設置されている室内空間に風を生じさせることができる。放熱器28による室内空気の加熱又は冷却が行われる際、クロスフローファン21を作動して、室内に風を生じさせ、放熱器28による室内空気の温度調整を促進するようにしている。なお、放熱器28による室内空気の温度調整を促進するファンは、放熱器28が設置されている室内空間に風を生じさせるものであれば、クロスフローファン21に限定されない。
【0040】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、平行配置された複数のパイプを有する輻射部材の代わりに、1本のパイプを有する輻射部材を採用してもよい。
また、制御手段は、室内の温度調整が開始される際、第2の熱交換器の熱交換による室内空気の加熱又は冷却を、輻射部材に熱媒水を流して行う室内空気の加熱又は冷却より優先させなくてもよい。
【0041】
そして、輻射部材に熱媒水を流して室内空気の冷却又は加熱を行っている際に、温度計の計測温度と設定温度の関係に応じて、輻射部材に熱媒水を流して行う室内空気の冷却又は暖房を停止する必要はない。
更に、第2の熱交換器は室内空気の加熱及び冷却の一方のみを行うものであってもよい。第2の熱交換器が室内空気の加熱のみを行う場合、輻射部材は室内空気の加熱のみを行うものであってもよく、第2の熱交換器が室内空気の冷却のみを行う場合、輻射部材は室内空気の冷却のみを行うものであってもよい。
【0042】
更に、第2の熱交換器は屋外に設置されている筺体内に設けられていてもよく、その場合、当該筺体内にダクトを介して取り込まれた室内空気を加熱又は冷却し、ダクトを介して室内に送り込むように設計される。また、圧縮機及び膨張弁は室外機内に設ける必要はなく、例えば、室内機内に設けてもよい。
また、制御手段に温湿度センサを接続する代わりに、室内温度のみを計測する温度計及び室内湿度のみを計測する湿度計を制御手段に接続するようにしてもよい。
そして、第2の熱交換器又は輻射部材が除湿を行わない場合、室内湿度を計測するための設計は不要である。
【符号の説明】
【0043】
10:温調装置、11:圧縮機、12:室外機、13:熱交換器、14:膨張弁、15:熱交換器、16:冷媒循環回路、17:熱媒水循環回路、18:室内機、19:四方弁、20:プロペラファン、21:クロスフローファン、22:制御手段、23:熱交換器、24:バイパス路、25:膨張弁、26:アキュムレータ、28:放熱器、29:ポンプ、30:タンク、31:温湿度センサ、32:操作盤