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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-18
(45)【発行日】2023-01-26
(54)【発明の名称】身体支持システム
(51)【国際特許分類】
   A47C 29/00 20060101AFI20230119BHJP
   A47C 17/86 20060101ALI20230119BHJP
   A47C 19/02 20060101ALI20230119BHJP
   A61G 7/05 20060101ALI20230119BHJP
   A61G 7/043 20060101ALN20230119BHJP
【FI】
A47C29/00 H
A47C17/86
A47C19/02 A
A61G7/05
A61G7/043
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018239828
(22)【出願日】2018-12-21
(65)【公開番号】P2020099525
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】390039985
【氏名又は名称】パラマウントベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】岡本 滉平
(72)【発明者】
【氏名】渋川 翔太
(72)【発明者】
【氏名】島田 開
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-199871(JP,A)
【文献】特開平09-253213(JP,A)
【文献】米国特許第05266070(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0025566(KR,A)
【文献】中国実用新案第204467539(CN,U)
【文献】国際公開第2017/047810(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 29/00
A47C 17/86
A47C 19/02
A61G 7/05
A61G 7/043
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
背ボトムを備えるベッドにおいて、
可視光線の透過率を調節できる第1部材と、
前記第1部材の内側に配置され、前記背ボトムに取り付けられている第2部材と、を備える光線遮蔽器具を備え、
前記光線遮蔽器具は、
前記背ボトムが上がると、前記背ボトムに追従して上がり、
さらに、前記光線遮蔽器具は、前記第2部材に対して前記第1部材を前記背ボトムから離間するように回転でき、
前記第1部材は、前記使用者の頭部を覆い、
さらに、前記背ボトムは、平坦な状態まで下げることができ、
前記背ボトムが前記平坦な状態まで下がった場合、前記光線遮蔽器具は、前記ベッドの一端部の側面に沿うように配置される、
身体支持システム。
【請求項2】
前記第1部材は、前記透過率を、第1の値と、前記第1の値よりも大きい第2の値との間で連続的に調節できる請求項1に記載の身体支持システム。
【請求項3】
さらに、前記使用者が睡眠状態にあるか覚醒状態にあるかを検出する検出部を備え、
前記第1部材は、前記透過率を、第1の値と、前記第1の値よりも大きい第2の値との間で連続的に調節でき、
前記第1部材は、前記使用者が前記覚醒状態から前記睡眠状態になったことが前記検出部により検出された場合、前記透過率を前記第1の値まで連続的に小さくする請求項1に記載の身体支持システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体支持システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者の身体を支持する装置に、シェード(光線遮蔽器具)が取付けられた身体支持システムが知られている(例えば、特許文献1から5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭59-159371号公報
【文献】実開昭60-013055号公報
【文献】実開昭61-191030号公報
【文献】実開昭62-120853号公報
【文献】実開平02-038922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
病院や介護施設等の、身体支持システムが複数設けられる多床室において、部屋の明るさは基本的に一律である。このため、身体支持システムを、身体支持システムを使用する使用者にとって最適な明るさに調節することは困難である。すなわち、シェードの装置側の明るさを調節することは困難である。
従来技術であるカバー等によるシェードを用いることで、光(可視光線)を遮断した真っ暗な環境を作ることはできるが、明るさの調節は困難である。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、装置側の明るさを調節できる身体支持システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る身体支持システムは、使用者の身体を支持する装置と、前記装置に取付けられ、可視光線の透過率を調節できる第1部材を備える光線遮蔽器具と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態のベッドシステムにおいて、ベッドの背ボトムを下げた状態を模式的に示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態のベッドシステムにおいて、ベッドの背ボトムを下げた状態を模式的に示す縦断面図である。
図3】本発明の一実施形態のベッドシステムのブロック図である。
図4】本発明の一実施形態のベッドシステムにおいて、ベッドの背ボトムを上げて第1部材を遮光状態にした状態を模式的に示す縦断面図である。
図5】本発明の一実施形態のベッドシステムにおいて、ベッドの背ボトムを上げて第1部材を中間状態にした状態を模式的に示す要部の断面図である。
図6】本発明の一実施形態のベッドシステムの動作の第1の例を示すフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態のベッドシステムの動作の第2の例を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施形態の変形例のベッドシステムにおいて、ベッドの背ボトムを上げた状態を模式的に示す縦断面図である。
図9】本発明の一実施形態のベッドシステムのフィルムの一例を示す斜視図である。
図10】本発明の一実施形態のベッドシステムのフィルムの他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る身体支持システムの一実施形態を、身体支持システムがベッドシステムである場合を例にとって、図1から図10を参照しながら説明する。
【0009】
図1及び図2に示す本実施形態のベッドシステム1は、例えば床面上に設置されている。ベッドシステム1は、シェード(光線遮蔽器具)11と、シェード11が取付けられるベッド(装置)31と、を備えている。
なお、図1及び図2を含む各図において、符号Xはベッド31の長手方向に沿った第1方向を示す。符号Yはベッド31の幅方向に沿った第2方向を示し、符号Zは上下方向に沿った第3方向を示す。第2方向Yは、第1方向Xに直交する方向である。第3方向Zは、第1方向X及び第2方向Yにそれぞれ直交する方向である。第1方向X及び第2方向Yは、水平面に沿う方向である。
【0010】
ベッド31の第1方向Xの長さは、ベッド31の第2方向Yの長さよりも長い。第1方向Xは、ベッド31上に横たわり、ベッド31により支持される使用者の全身に沿う方向である。
ベッド31の構成は、特に限定されない。図1から図3に示すように、本実施形態では、ベッド31は、使用者の身体を支持するボトム36と、ボトム36を支持する架台(本体)46と、架台46を制御するベッド制御部51と、を備えている。ベッド31は、電力を動力源として動作する電動ベッドである。
なお、ベッドは手動のベッドでもよい。また、ベッドは背上げ及び膝上げができない平ベッドでもよい。
【0011】
図1及び図2に示すように、ボトム36は、背ボトム(Back section)37と、腰ボトム(Seat section)38と、脚ボトム(Leg section)39と、を備えている。これら背ボトム37、腰ボトム38、及び脚ボトム39は、第1方向Xに沿ってこの順で並んでいる。背ボトム37は、使用者の身体の内の背を支える。腰ボトム38は、使用者の腰を支える。脚ボトム39は、使用者の脚を支える。
なお、図1及び図2では、後述する背上げ機構及び膝上げ機構により、背ボトム37及び脚ボトム39を下げた状態を示している。
【0012】
脚ボトム39は、膝ボトム(Upper leg section)40と、足ボトム(Lower leg section)41と、を備えている。これら膝ボトム40及び足ボトム41は、第1方向Xに沿ってこの順で並んでいる。膝ボトム40は、足ボトム41よりも腰ボトム38の近くに配置されている。膝ボトム40は、使用者の膝から腰を支える。足ボトム41は、使用者の膝から足先を支える。
ボトム36上には、マットレス43が配置されている。マットレス43上に、使用者が横たわる。
【0013】
架台46は、床面に設置されボトム36を支持するフレーム47と、背ボトム37をフレーム47に対して移動させる背上げ機構(不図示)と、膝ボトム40をフレーム47に対して移動させる膝上げ機構(不図示)と、を備えている。
ベッド制御部51は、背上げ機構及び膝上げ機構を制御するコントロールボックスである。ベッド制御部51は、AC(Alternating Current)100V電源52に接続される(図3参照)。
【0014】
図1から図3に示すように、シェード11は、第1部材12と、第2部材13と、検出部14と、シェード制御部(制御部)15と、計測部16と、入力部17と、を備えている。
第1部材12は、可視光線の透過率(以下、単に透過率とも言う)を調節できれば、特に限定されない。ここでいう透過率とは、物体へ入射する可視光線の強度に対する、その物体を透過する可視光線の強度の比率のことを意味する。透過率が大きいほど、可視光線が物体を透過しやすくなる。
図1及び図9に示すように、本実施形態では、第1部材12は、フィルム24と、フィルム24を支持する第3部材25と、を備えている。なお、図1では、フィルム24にハッチングを付して示す。
【0015】
フィルム24は、例えば配向粒子方式のフィルムである。図9に示すように、フィルム24は、第1電極24aと、第1電極24aに対向するように配置された第2電極24bと、第1電極24aと第2電極24bとの間に配置された配向粒子24cと、を備えている。なお、図9及び後述する図10では、配向粒子24cの個々の形状までは示していない。
第1電極24a及び第2電極24bは、所定の方向に長く形成されている。
第1電極24aの前記所定の方向の一方側の端部に、ケーブル26が接続されている。第2電極24bの前記所定の方向の他方側の端部に、ケーブル27が接続されている。ケーブル26,27は、電極24a,24bにおける互いに反対側となる端部にそれぞれ接続されている。ケーブル26,27は、シェード制御部15の後述する変圧器21に接続されている(図3参照)。
なお、図10に示すフィルム24Aのように、ケーブル27が第2電極24bの前記所定の方向の一方側の端部に接続され、ケーブル26,27は、電極24a,24bにおける同じ側となる端部にそれぞれ接続されていてもよい。このように、電極24a,24bにケーブル26,27が接続される位置は、ケーブル26が第1電極24aに接続され、ケーブル27が第2電極24bに接続されてれば、任意に設定できる。
【0016】
フィルム24は、電極24a,24b間に交流電圧(交流電流)が印加されるか否かにより、配向粒子24cの配向の向きが変化して可視光線の透過率を調節できる。フィルム24は、可視光線の透過率を第1の値と、第1の値よりも大きい第2の値と、に調節できる。本実施形態のフィルム24は、さらに可視光線の透過率を、第1の値と第2の値との間で連続的に調節できる。ここで、第1の値はフィルム24の透過率の下限値であり、第2の値はフィルム24の透過率の上限値である。
第3部材25は、アクリル等の無色透明な板材等により、図1に示すようにU字状に形成されている。フィルム24は、第3部材25の表面に固定されている。
この例では、第1部材12は使用者の上半身を覆う程度の大きさである。なお、第1部材12は使用者の全身を覆う程度の大きさでもよい。
図1及び図2に示す第1部材12は、透過率が大きい第2の値になっていて、可視光線を充分に透過する透光状態P1である。
【0017】
なお、フィルムとして、液晶分子を用いた液晶方式のフィルム、酸化・還元反応を利用したエレクトロクロミック方式のフィルム等を用いてもよい。
【0018】
第2部材13は、U字状に形成されている。第2部材13は、図示はしないが、樹脂等の比較的剛性の高い材料で形成された本体と、ウレタン等の柔軟な材料で形成されたクッションと、を備えている。クッションは、本体の外面を覆っている。
第2部材13は、第1部材12の内側に配置されている。第1部材12は、図示しない軸受け等により、第2部材13に対して相対的に回転移動できるように第2部材13に支持されている。そして、例えば、第2部材13と第1部材12との間に作用する摩擦力により、第2部材13に対する第1部材12の位置が保持される。
なお、第2部材13に対して第1部材12がワイヤ等により手動で動くようにしてもよいし、モータ等により電動で動くようにしてもよい。第1部材12は、第2部材13に対して相対的に平行移動できるように支持されていてもよい。
【0019】
第2部材13は、ベッド31の背ボトム37の側面を囲った状態で背ボトム37に固定され(取付けられ)ている。第2部材13は、背ボトム37における腰ボトム38とは反対側の端部を囲っている。
第2部材13は、背ボトム37から上方に突出している。第2部材13には、シェード制御部15が内蔵され、第2部材13の外面には入力部17が取付けられている。
図1及び図2では、第1部材12は、回転移動できる範囲で、背ボトム37に最も近い位置に配置されている。
【0020】
検出部14は、例えば眠りSCAN(登録商標)である。検出部14は、公知の方法により、ベッド31上の使用者が眠っている睡眠状態か、使用者が目を覚ましている覚醒状態かを検出する。例えば、検出部14は、背ボトム37とマットレス43との間に配置されている。検出部14は、検出結果を定期的にシェード制御部15の後述する制御装置22に送る。
シェード制御部15は、図3に示すDC/ACインバータ20と、変圧器21と、制御装置22と、を備えている。
DC/ACインバータ20は、ベッド31のベッド制御部51から供給される直流電流を交流電流に変換する。
変圧器21は、可変抵抗器等を備えている。変圧器21は、DC/ACインバータ20から供給される交流電流の電圧を変化させる。変圧器21は、電圧を変化させた交流電流をケーブル26,27を介して第1部材12のフィルム24に供給する。
【0021】
計測部16は、例えばタイマーである。計測部16は、現在の時刻を測定する。計測部16は、測定結果を定期的に制御装置22に送る。
例えば、入力部17はボタン17a,17bを備えている(図1参照)。入力部17は、制御装置22に電気配線等により接続されている。ボタン17a,17bが操作されると、電気配線を介して制御装置22に指示が送られる。
【0022】
制御装置22は、ベッド31のベッド制御部51から直流電流を供給される。制御装置22は、検出部14の検出結果、入力部17から送られた指示、計測部16の測定結果に基づいて、変圧器21を制御する。制御装置22は、変圧器21を制御することにより、第1部材12の透過率を制御する。
なお、シェード制御部15は、AC100V電源52に直接接続されてもよい。その場合は、変圧器21にはAC100V電源52が直接接続され、制御装置22にはAC100V電源52がAC/DCインバータを介して接続される。
使用者がボタン17aを操作すると、ボタン17aから制御装置22に指示が送られ、制御装置22は、変圧器21を駆動して第1部材12の透過率を大きくする。一方で、使用者がボタン17bを操作すると、ボタン17bから制御装置22に指示が送られ、制御装置22は、変圧器21を駆動して第1部材12の透過率を小さくする。
【0023】
なお、入力部17は、制御装置22と無線通信により接続されてもよい。無線通信には、赤外線等が用いられる。無線通信の規格としては、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等が用いられる。
【0024】
以上のように構成されたベッドシステム1において、背上げ機構を駆動すると、図4に示すように背ボトム37が上がる。シェード11は、背ボトム37に追従して上がる。さらに、シェード11では、第2部材13に対して第1部材12を背ボトム37から離間するように回転できる。このとき、第1部材12は使用者Pの頭部(目)を覆う。
図4に示す第1部材12は、透過率が小さい第1の値になっていて、透光状態P1に比べて可視光線を透過し難い遮光状態P2である。
なお、図5に示すように、第1部材12は、透光状態P1の透過率と遮光状態P2の透過率との間の透過率である中間状態P3にすることができる。
【0025】
次に、以上のように構成されたベッドシステム1の動作について説明する。
ベッドシステム1の動作の第1の例として、検出部14を用いて第1部材12の透過率を制御する場合について説明する。図6は、ベッドシステム1の動作の第1の例を示すフローチャートである。
まず、ステップS11において、使用者Pをベッド31上に寝かせる。このとき、使用者Pは覚醒状態であり、第1部材12の透過率は第1の値以外の任意の値である。ステップS11が終了すると、ステップS13に移行する。
【0026】
次に、ステップS13において、検出部14による使用者Pの状態の検出を行い、ステップS15に移行する。
次に、ステップS15において、制御装置22は、使用者Pが覚醒状態から睡眠状態になったか否かを判断する。このとき、使用者Pは覚醒状態であるため、ステップS15でNoと判断され、ステップS13に移行する。
ステップS13及びステップS15を組にして繰り返すうちに、使用者Pが覚醒状態から睡眠状態になったとする。このとき、ステップS15でYesと判断され、ステップS17に移行する。
【0027】
次に、ステップS17において、制御装置22は、第1部材12の透過率を第1の値まで小さくする。そして、第1部材12の透過率を第1の値で維持する。第1部材12の透過率を小さくすると、第1部材12が曇っていき、可視光線が第1部材12を通して使用者Pに当たり難くなる。これにより、ベッド31により支持されて睡眠状態になった使用者Pが、眠った状態を続けやすくなる。
なお、ステップS17において、制御装置22は第1部材12の透過率を第1の値まで小さくしなくてもよい。
【0028】
次に、ベッドシステム1の動作の第2の例として、計測部16を用いて第1部材12の透過率を制御する場合について説明する。図7は、ベッドシステム1の動作の第2の例を示すフローチャートである。使用者Pは、所望の時刻を予め定め、制御装置22に記憶させておく。この記憶させた時刻は、使用者Pが起きたい時刻でもよいし、使用者Pが起きたい時刻よりも所定の時間だけ前の時刻であってもよい。
まず、ステップS11において、使用者Pをベッド31上に寝かせる。このとき、使用者Pは睡眠状態であり、第1部材12の透過率は第1の値であるとする。
【0029】
次に、ステップS21において、計測部16による現在の時刻の測定を行い、ステップS23に移行する。
次に、ステップS23において、制御装置22は、計測部16の測定結果が記憶された時刻になったか否かを判断する。このとき、計測部16の測定結果は記憶された時刻になっていないとすると、ステップS23でNoと判断され、ステップS21に移行する。
ステップS21及びステップS23を組にして繰り返すうちに、計測部16の測定結果が記憶された時刻になったとする。このとき、ステップS23でYesと判断され、ステップS25に移行する。
【0030】
次に、ステップS25において、制御装置22は、第1部材12の透過率を第2の値まで大きくする。そして、第1部材12の透過率を第2の値で維持する。第1部材12の透過率を大きくすると、第1部材12が透明になっていき、可視光線が第1部材12を通して使用者Pに当たりやすくなる。これにより、ベッド31により支持されて睡眠状態である使用者Pが、目を覚ましやすくなる。
なお、ステップS25において、制御装置22は第1部材12の透過率を第2の値まで大きくしなくてもよい。
【0031】
また、計測部16による測定と検出部14による検出とを組み合わせて、第1部材12の透過率を制御してもよい。
例えば、制御装置22に記憶された時刻の0からx分(所定の時間)前の時点であることを、計測部16により測定する。その時点において、検出部14により使用者Pが覚醒状態に近いことを検出したときに、第1部材12の透過率を第2の値まで大きくしてもよい。
ベッドシステム1をこのように動作させることにより、記憶された時刻の前であっても、使用者Pの睡眠の状態に応じて、使用者Pが目を覚ましやすくすることができる。
【0032】
なお、使用者P等が入力部17のボタン17a,17bを操作することにより、第1部材12の透過率を手動で調節してもよい。
【0033】
以上説明したように、本実施形態のベッドシステム1によれば、第1部材12の透過率を調節して大きくすると、第1部材12を可視光線が透過しやすくなり、第1部材12のベッド31側の部分が明るくなる。一方で、第1部材12の透過率を調節して小さくすると、第1部材12を可視光線が透過し難くなり、第1部材12のベッド31側の部分が暗くなる。従って、シェード11のベッド31側の明るさを調節することができる。
第1部材12の透過率を、使用者Pの好みの値に調節することができる。
特許文献1から5に開示された従来の身体支持システムでは、シェード内を完全に遮光してしまうと、使用者によっては閉塞感を感じる場合もある。これに対して、本実施形態のベッドシステム1では、第1部材12の透過率が調節できることにより、使用者Pがシェード11内で閉塞感を感じ難くなる。さらに、シェード11内で、タブレットの操作や読書、モニターの鑑賞等の作業のための明るさを調節することができる。
【0034】
第1部材12は、透過率を、第1の値と第2の値との間で連続的に調節できる。これにより、シェード11のベッド31側の明るさを連続的に調節することができる。
シェード11が第2部材13を備え、第1部材12は、第2部材13に対して相対的に回転移動できる。ベッド31に第2部材13を固定した状態で、第2部材13に対して第1部材12を移動させることにより、ベッド31に対する第1部材12の位置を安定させることができる。
第1部材12が使用者Pの頭部を覆う。このため、シェード11の外部からの可視光線が使用者Pの頭部の目に入射するのを抑制することができる。
【0035】
ベッドシステム1が、検出部14及びシェード制御部15を備えている。検出部14の検出結果が覚醒状態から睡眠状態になったときに、第1部材12の透過率を小さくすることにより、可視光線が第1部材12を透過し難くなる。これにより、ベッド31により支持されて睡眠状態になった使用者が、眠った状態を続けやすくすることができる。
ベッドシステム1が、計測部16及びシェード制御部15を備えている。計測部16の測定結果が予め定められた時刻になったときに、第1部材12の透過率を大きくすることにより、可視光線が第1部材12を透過しやすくなる。従って、ベッド31により支持されている使用者が可視光線を受けて目を覚ましやすくすることができる。
【0036】
なお、本実施形態では、図8に示すベッドシステム2のように、シェード61が複数の第1部材62,63,64を備えてもよい。この変形例では、シェード61は3枚の第1部材62,63,64を備えている。図示はしないが、第1部材62,63,64のそれぞれは、本実施形態の第1部材12のように、フィルム24と、フィルム24を支持する第3部材25と、を備えている。各フィルム24は、第1電極24aと、第2電極24bと、配向粒子24cと、を備えている。
第1部材62,63,64は、第1部材62,63,64の厚さ方向に交差する方向に並べて配置されている。第2部材13に対して第1部材62,63,64を背ボトム37から離間するように回転したシェード61では、上方から下方に向かって第1部材62、第1部材63、第1部材64の順で配置されている。
図示はしないが、シェード61は変圧器21を複数備えている。そして、複数の変圧器21の1つが第1部材62に接続され、複数の変圧器21の他の1つが第1部材63に接続され、複数の変圧器21の別の他の1つが第1部材64に接続されている。複数の第1部材62,63,64は、互いに独立して透過率を調節できる。
【0037】
例えば、第1部材62は透光状態P1であり、第1部材63は中間状態P3であり、第1部材64は遮光状態P2である。第1部材64は、ベッドシステム2を使用する使用者Pの目の高さに配置されている。これにより、使用者Pの目の高さで、外部から使用者Pの顔を見え難くすることができる。
【0038】
この変形例のベッドシステム2によれば、第1部材62,63,64毎に透過率を変えた状態でシェード61を用いることができる。
なお、シェードが備える第1部材の枚数に制限はなく、2枚でもよいし、4枚以上でもよい。シェードにおける複数の第1部材の配置も、この例に限定されない。第1部材62,63,64のそれぞれの透過率も、この例に限定されない。
【0039】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、第1部材12は、透過率を、第1の値、第2の値にだけ調節できてもよい。
シェード11は、第2部材13、検出部14、シェード制御部15、計測部16、及び入力部17を備えなくてもよい。
身体支持システムはベッドシステム1に限定されず、椅子システム、ソファシステム等でもよい。例えば、身体支持システムが椅子システムである場合には、装置は椅子である。身体支持システムは、夜行バス用、飛行機用、人工透析用等としても用いることができる。
【符号の説明】
【0040】
1,2 ベッドシステム(身体支持システム)
11,61 シェード(光線遮蔽器具)
12,62,63,64 第1部材
13 第2部材
31 ベッド(装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10