(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-18
(45)【発行日】2023-01-26
(54)【発明の名称】身体支持システム
(51)【国際特許分類】
A47C 29/00 20060101AFI20230119BHJP
A47C 7/72 20060101ALI20230119BHJP
A47C 17/86 20060101ALI20230119BHJP
A61G 7/05 20060101ALI20230119BHJP
A61G 7/043 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
A47C29/00 H
A47C7/72
A47C17/86
A61G7/05
A61G7/043
(21)【出願番号】P 2018240317
(22)【出願日】2018-12-21
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】390039985
【氏名又は名称】パラマウントベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】島田 開
(72)【発明者】
【氏名】岡本 滉平
(72)【発明者】
【氏名】渋川 翔太
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-005746(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0004632(US,A1)
【文献】特開平09-253213(JP,A)
【文献】米国特許第05266070(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0025566(KR,A)
【文献】中国実用新案第204467539(CN,U)
【文献】国際公開第2017/047810(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 29/00
A47C 7/72
A47C 17/86
A61G 7/05
A61G 7/043
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明付き外部光線遮断器具と、
使用者の身体を支持し、背ボトムにより前記使用者の背を上げる背上げ機構を有する前記照明付き外部光線遮断器具が取付けられる装置と、
を備え、
前記照明付き外部光線遮断器具は、
可視光線の少なくとも一部を遮断でき、前記装置の背上げ機構に取付けられる第1部材と、
前記第1部材に取付けられ、前記第1部材と前記装置との間の空間を照らす照明部と、
前記第1部材の内側に配置され、前記背ボトムに取り付けられている第3部材と、
を備え、
前記照明付き外部光線遮断器具は、
前記背ボトムが上がると、前記背ボトムに追従して上がり、
さらに、前記照明付き外部光線遮断器具は、前記第3部材に対して前記第1部材を前記背ボトムから離間するように回転でき、
前記第1部材は、前記使用者の頭部を覆
い、
さらに、前記背ボトムは、平坦な状態まで下げることができ、
前記背ボトムが前記平坦な状態まで下がった場合、前記照明付き外部光線遮断器具は、前記装置の一端部の側面に沿うように配置される身体支持システム。
【請求項2】
さらに、前記使用者が睡眠状態にあるか、覚醒状態にあるかを検出する検出部、
を備え、
前記照明部は、前記検出部により前記使用者が前記睡眠状態から前記覚醒状態になることが検出された場合、前記使用者を照らす請求項1に記載の身体支持システム。
【請求項3】
さらに、前記第1部材よりも遮音性が高く、前記第1部材に設けられた第2部材、
を備える請求項1又は2に記載の身体支持システム。
【請求項4】
前記照明部は、前記装置により支持される前記使用者の手元のみを照らす請求項1から3のいずれか一項に記載の身体支持システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体支持システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者の身体を支持する装置に、シェード(外部光線遮断器具)が取付けられた身体支持システムが知られている(例えば、特許文献1から5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭59-159371号公報
【文献】実開昭60-013055号公報
【文献】実開昭61-191030号公報
【文献】実開昭62-120853号公報
【文献】実開平02-038922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の身体支持システムでは、外部からの可視光線を遮断しつつ、使用者の好みに応じて装置とシェードとの間を明るく照らすことは困難である。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、外部からの可視光線を遮断しつつ、装置との間を明るく照らすことができる身体支持システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る身体支持システムは、照明付き外部光線遮断器具と、使用者の身体を支持し、前記照明付き外部光線遮断器具が取付けられる装置と、を備え、前記照明付き外部光線遮断器具は、可視光線の少なくとも一部を遮断でき、前記装置に取付けられる第1部材と、前記第1部材と前記装置との間の空間を照らす照明部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態のベッドシステムにおいて、ベッドの背ボトムを下げた状態を模式的に示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態のベッドシステムのブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態のベッドシステムにおいて、ベッドの背ボトムを上げて第1部材を遮断状態にした状態を模式的に示す縦断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態のベッドシステムの動作の第1の例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態のベッドシステムの動作の第2の例を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態の変形例のベッドシステムにおいて、ベッドの背ボトムを上げて第1部材を遮断状態にした状態を模式的に示す縦断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態の変形例のベッドシステムにおいて、ベッドの背ボトムを下げた状態を模式的に示す斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態の変形例のベッドシステムにおいて、フィルムの一例を示す斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態の変形例のベッドシステムにおいて、フィルムの他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る身体支持システムの一実施形態を、身体支持システムがベッドシステムである場合を例にとって、
図1から
図9を参照しながら説明する。
【0009】
図1に示す本実施形態のベッドシステム1は、例えば床面上に設置されている。ベッドシステム1は、照明付きシェード(照明付き外部光線遮断器具)11と、照明付きシェード11が取付けられるベッド(装置)31と、を備えている。
なお、
図1を含む各図において、符号Xはベッド31の長手方向に沿った第1方向を示す。符号Yはベッド31の幅方向に沿った第2方向を示し、符号Zは上下方向に沿った第3方向を示す。第2方向Yは、第1方向Xに直交する方向である。第3方向Zは、第1方向X及び第2方向Yにそれぞれ直交する方向である。第1方向X及び第2方向Yは、水平面に沿う方向である。
【0010】
ベッド31の第1方向Xの長さは、ベッド31の第2方向Yの長さよりも長い。第1方向Xは、ベッド31上に横たわり、ベッド31により支持される第1使用者(使用者)の全身に沿う方向である。
ベッド31の構成は、特に限定されない。
図1及び
図2に示すように、本実施形態では、ベッド31は、第1使用者の身体を支持するボトム36と、ボトム36を支持する架台(本体)46と、架台46を制御するベッド制御部51と、を備えている。ベッド31は、電力を動力源として動作する電動ベッドである。
なお、ベッドは手動のベッドでもよい。また、ベッドは背上げ及び膝上げができない平ベッドでもよい。
【0011】
図1に示すように、ボトム36は、背ボトム(Back section)37と、腰ボトム(Seat section)38と、脚ボトム(Leg section)39と、を備えている。これら背ボトム37、腰ボトム38、及び脚ボトム39は、第1方向Xに沿ってこの順で並んでいる。背ボトム37は、第1使用者の身体の内の背を支える。腰ボトム38は、第1使用者の腰を支える。脚ボトム39は、第1使用者の脚を支える。
なお、
図1では、後述する背上げ機構及び膝上げ機構により、背ボトム37及び脚ボトム39を下げた状態を示している。
【0012】
脚ボトム39は、膝ボトム(Upper leg section)40と、足ボトム(Lower leg section)41と、を備えている。これら膝ボトム40及び足ボトム41は、第1方向Xに沿ってこの順で並んでいる。膝ボトム40は、足ボトム41よりも腰ボトム38の近くに配置されている。膝ボトム40は、第1使用者の膝から腰を支える。足ボトム41は、第1使用者の膝から足先を支える。
ボトム36上には、マットレス43が配置されている。マットレス43上に、第1使用者が横たわる。
【0013】
架台46は、床面に設置されボトム36を支持するフレーム47と、背ボトム37をフレーム47に対して移動させる背上げ機構(不図示)と、膝ボトム40をフレーム47に対して移動させる膝上げ機構(不図示)と、を備えている。
ベッド制御部51は、背上げ機構及び膝上げ機構を制御する。ベッド制御部51は、AC(Alternating Current)100V電源52に接続される(
図2参照)。
【0014】
図1及び
図2に示すように、照明付きシェード11は、第1部材12と、第3部材13と、照明部14と、駆動部15と、検出部16と、計測部17と、入力部18と、シェード制御部(制御部)19と、を備えている。なお、照明付きシェード11は、可視光線を完全には遮断できず、可視光線の一部だけを遮断できてもよい。
第1部材12は、可視光線を遮断できる遮光部である。第1部材12は、有色で非透明な板材等によりU字状に形成されている。なお、第1部材12は、液晶等により可視光線の透過率を調節できてもよい。
第3部材13は、U字状に形成されている。第3部材13は、図示はしないが、樹脂等の比較的剛性の高い材料で形成された本体と、ウレタン等の柔軟な材料で形成されたクッションと、を備えている。クッションは、本体の外面を覆っている。
第3部材13は、第1部材12の内側に配置されている。第1部材12は、図示しない軸受け等により、第3部材13に対して相対的に回転移動できるように第3部材13に支持されている。
【0015】
第3部材13は、ベッド31の背ボトム37の側面を囲った状態で背ボトム37に固定され(取付けられ)ている。第3部材13は、背ボトム37における腰ボトム38とは反対側の端部を囲っている。第3部材13は、背ボトム37から上方に突出している。なお、第3部材13には、シェード制御部19が内蔵され、第3部材13の外面には入力部18が取付けられている。
第1部材12では、U字に沿った長手方向の中間部12aが、ベッド31の背ボトム37から離間した状態に配置されている。なお、
図1では、第1部材12の移動範囲の中で、第1部材12が背ボトム37の上面を含む基準面に最も近づいた退避状態を示している。
【0016】
照明部14は、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro Luminescence)、蛍光灯等を有している。照明部14は、交流電圧が印加されると可視光線を発する。
照明部14は、第1部材12の中間部12aにおける背ボトム37側の面に取付けられている。照明部14は、交流電圧が印加されたときにベッド31の背ボトム37に向かって可視光線を発する。この例では、照明付きシェード11は照明部14を複数(本実施形態では2つ)備えていて、複数の照明部14は、第2方向Yに互いに離間した状態で並べて配置されている。
照明部14は、第1部材12の中間部12aとベッド31との間の空間を照らす。
【0017】
駆動部15は、図示はしないが例えば、アクチュエータと、ワイヤと、を備えている。アクチュエータは、交流電圧が印加されると、アクチュエータから突出するワイヤの長さを調節できる。また、アクチュエータは、交流電圧が印加されないときには、アクチュエータから突出するワイヤの長さを保持できる。
アクチュエータは、第3部材13に固定されている。ワイヤは、第1部材12に固定されている。駆動部15は、アクチュエータから突出するワイヤの長さを調節することにより、第3部材13に対して第1部材12を軸受け周りに回転移動させる。
【0018】
検出部16は、例えば眠りSCAN(登録商標、パラマウントベッド株式会社製)である。検出部16は、公知の方法により、第1使用者によるベッド31の利用状況を検出する。ここで言う、第1使用者によるベッド31の利用状況とは、睡眠状態、覚醒状態等である。睡眠状態は、第1使用者がベッド31上で横たわって眠っている状態を意味する。覚醒状態は、第1使用者がベッド31上で横たわっているが、目を覚ましている状態を意味する。
例えば、検出部16は、背ボトム37とマットレス43との間に配置されている。検出部16は、検出結果を定期的にシェード制御部19に送る。
【0019】
計測部17は、例えばタイマーである。計測部17は、現在の時刻を測定する。計測部17は、測定結果を定期的にシェード制御部19に送る。
【0020】
例えば、入力部18はボタン18aと、ダイヤル18bと、を備えている(
図1参照)。ボタン18aは、予め、内部の一対の接点が互いに離間したOFF状態になっているとする。ボタン18aは押し込まれる毎に、ON状態(一対の接点が互いに接触した状態)、OFF状態、ON状態、‥と交互に切り替わる。ボタン18aの状態は、シェード制御部19で定期的に検出される。
ダイヤル18bは、ダイヤル18bの軸線周りに回転できる。ダイヤル18bを基準位置から軸線周りの一方側に回転させると、ダイヤル18bは、シェード制御部19に対して、第3部材13に対して第1部材12を基準面から離間する(上昇する)ように回転移動させる指示を与える。一方で、ダイヤル18bを基準位置から軸線周りの他方側に回転させると、ダイヤル18bは、シェード制御部19に対して、第3部材13に対して第1部材12を基準面に近づく(下降する)ように回転移動させる指示を与える。
【0021】
なお、入力部18のボタン18a及びダイヤル18bは、ベッド31により身体を支持されている第1使用者により操作されてもよいが、第1使用者とは異なる第2使用者により操作されてもよい。
【0022】
シェード制御部19は、ベッド31のベッド制御部51から交流電圧を供給される。シェード制御部19は、検出部16の検出結果、計測部17の測定結果、ボタン18aの状態、及び入力部18のダイヤル18bにより与えられた指示に基づいて、照明部14、駆動部15を制御する。
【0023】
以上のように構成されたベッドシステム1において、背上げ機構を駆動すると、
図3に示すように背ボトム37が上がる。ダイヤル18bを軸線周りの一方側に回転させると、シェード制御部19は、駆動部15により第3部材13に対して第1部材12を基準面から離間するように回転移動させる。これにより、第1部材12は、外部から第1使用者P1の頭部に向かう可視光線L1を遮断する遮断状態になる。なお、遮断状態とは、第1使用者P1が仰向けで寝た状態で、視線が第1部材12によって遮られる状態をいう。
このとき、第1使用者P1が入力部18のボタン18aを押し込んでON状態にすると、シェード制御部19は、照明部14に交流電圧を印加し、照明部14を点灯する。照明部14から発せられた可視光線L2は、第1部材12の中間部12aとベッド31との間の空間を照らし、この可視光線L2が第1使用者P1の周囲を明るく照らす。
【0024】
次に、以上のように構成されたベッドシステム1の動作について説明する。
ベッドシステム1の動作の第1の例として、検出部16を用いて照明部14を制御する場合について説明する。
図4は、ベッドシステム1の動作の第1の例を示すフローチャートである。
予め
図3に示すように、ベッド31の背ボトム37が上がり、第1部材12は遮断状態になっている。照明部14は、消灯している。
まず、ステップS11(
図4参照)において、第1使用者P1がベッド31上で眠る。このとき、背ボトム37は上がっていても、下がっていてもよい。第1使用者P1は睡眠状態である。背ボトム37の状態に関わらず、第1部材12の遮断状態は続いており、外部から第1使用者P1の頭部に向かう可視光線L1が第1部材12により遮断され、第1使用者P1は眠った状態を続けやすくなる。
ステップS11が終了すると、ステップS13に移行する。
【0025】
次に、ステップS13において、検出部16による第1使用者P1の利用状態の検出を行い、ステップS15に移行する。このとき、第1使用者P1が眠っているため、検出部16は睡眠状態を検出し、検出結果をシェード制御部19に送る。
次に、ステップS15において、シェード制御部19は、第1使用者P1が睡眠状態から覚醒状態になったか否かを判断する。このとき、第1使用者P1は睡眠状態であるため、ステップS15でNoと判断され、ステップS13に移行する。
ステップS13及びステップS15を組にして繰り返すうちに、第1使用者P1が睡眠状態から覚醒状態になったとする。このとき、ステップS15でYesと判断され、ステップS17に移行する。
【0026】
次に、ステップS17において、シェード制御部19は、照明部14に交流電圧を印加し、照明部14を点灯する。第1部材12により、外部から第1使用者P1に向かう可視光線L1が遮断されるが、照明部14から発せられた可視光線L2が第1使用者P1に当たり、第1使用者P1は目を覚ましやすくなる。
【0027】
次に、ベッドシステム1の動作の第2の例として、計測部17を用いて照明部14及び駆動部15を制御する場合について説明する。
図5は、ベッドシステム1の動作の第2の例を示すフローチャートである。第1使用者P1は、所望の時刻を予め定め、シェード制御部19に記憶させておく。この記憶させた時刻は、第1使用者P1が起きたい時刻でもよいし、第1使用者P1が起きたい時刻よりも所定の時間だけ前の時刻であってもよい。
予め
図3に示すように、ベッド31の背ボトム37が上がり、第1部材12は遮断状態になっている。照明部14は、消灯している。
【0028】
まず、ステップS11において、第1使用者P1がベッド31上で眠る。
次に、ステップS21において、計測部17による現在の時刻の測定を行い、ステップS23に移行する。
次に、ステップS23において、シェード制御部19は、計測部17の測定結果が記憶された(予め定められた)時刻になったか否かを判断する。このとき、計測部17の測定結果は記憶された時刻になっていないとすると、ステップS23でNoと判断され、ステップS21に移行する。
ステップS21及びステップS23を組にして繰り返すうちに、計測部17の測定結果が記憶された時刻になったとする。このとき、ステップS23でYesと判断され、ステップS25に移行する。
【0029】
次に、ステップS25において、シェード制御部19は、照明部14に交流電圧を印加し、照明部14を点灯させる。さらに、シェード制御部19は、駆動部15に交流電圧を印加し、駆動部15により第3部材13に対して第1部材12を移動させ、第1部材12を退避状態にする。これにより、外部から第1使用者P1に向かう可視光線L1が第1使用者P1に当たりやすくなるとともに、照明部14から発せられた可視光線L2により第1使用者P1の周囲がさらに明るくなる。従って、第1使用者P1はさらに目を覚ましやすくなる。
【0030】
なお、第1使用者P1等が入力部18のボタン18aを押し込むと、ボタン18aの状態がON状態に切り替わり、シェード制御部19は照明部14を点灯させる。さらに、第1使用者P1等が入力部18のボタン18aを押し込むと、ボタン18aの状態がOFF状態に切り替わり、シェード制御部19は照明部14を消灯させる。
なお、第1使用者P1等が入力部18のダイヤル18bを回転させると、シェード制御部19は駆動部15により第1部材12を回転移動させる。
【0031】
背ボトム37及び脚ボトム39を下げてボトム36の上面を平坦にした状態で、ベッド31上で第1使用者P1が眠ってもよい。この場合、第1使用者P1の上方から第1使用者P1に向かう照明等が第1使用者P1の頭部に当たらないように、第1部材12を第1使用者P1の頭部の上方の位置まで移動させてもよい。
【0032】
以上説明したように、本実施形態のベッドシステム1によれば、第1部材12は可視光線を遮断でき、照明部14は第1部材12の中間部12aとベッド31との間の空間を照らす。従って、第1部材12により外部からの可視光線を遮断しつつ、照明部14により照明付きシェード11とベッド31との間を明るく照らすことができる。
一般的に、身体支持システムを複数有する多床室において、部屋の明るさは部屋の場所によらず一律である。夜間や早朝等には、多床室の使用者同士で生活の時間を合わせる必要があるため、同じ時間に入眠したり、起床したりすることがある。これにより、使用者が生活リズムを乱し、使用者の生活の質が下がるという問題がある。例えば、早朝や夜間の読書、テレビ鑑賞、趣味作業等が、使用の制限を受けていた。本実施形態の身体支持システム1では、第1部材12により外部からの可視光線L1を遮断しつつ、照明部14により照明付きシェード11とベッド31との間を明るく照らすことができるため、多床室の他の使用者に及ぼす影響を抑えて、身体支持システム1内を所望の明るさにすることができる。
【0033】
従来は、ベッドの背上げや高さの調節により、身体支持システムの照明器具と使用者との距離が変化する。このため、この照明器具にはより高い輝度や照射域が必要になり、共同スペースにおいて個々の使用者が使用する照明器具が、他の使用者の利用スペースに影響を及ぼしていた。これに対して本実施形態の身体支持システム1における照明部14は、第1部材12に取付けられている。これにより、照明部14と第1部材12とが一体に回転移動し、第1部材12を回転移動させたときに第1使用者P1の頭部の位置における明るさが変化することを抑えることができる。
【0034】
シェード制御部19は、入力部18により与えられた指示に基づいて、駆動部15により第3部材13に対して第1部材12を回転移動させる。従って、第1使用者P1自身が第1部材12を移動させるという第1使用者P1の作業負担を軽減した状態で、第1部材12を回転移動させることができる。
【0035】
シェード制御部19は、ベッド31の利用状況を検出する検出部16の検出結果に基づいて照明部14を制御する。これにより、ベッド31の利用状況に基づいて、照明部14により照明付きシェード11とベッド31との間を明るく照らすことができる。
シェード制御部19は、計測部17の測定結果が予め定められた時刻になったときに、照明部14を点灯させ、駆動部15により第3部材13に対して第1部材12を移動させる。外部から第1使用者P1に向かう可視光線L1が第1使用者P1に当たりやすくなるとともに、照明部14から発せられた可視光線L2により第1使用者P1の周囲がさらに明るくなり、第1使用者P1がさらに目を覚ましやすくなる。
なお、この動作において照明部14を点灯させなくてもよい。
【0036】
なお、
図6に示すベッドシステム2のように、照明付きシェード61の照明部62が、ベッド31により支持される第1使用者P1の手元のみを照らすように構成してもよい。照明部62による可視光線L3の照射角は、前述の照明部14による可視光線L2の照射角より小さい。言い換えれば、照明部62の指向性は、照明部14の指向性よりも大きい。
この変形例のように構成することにより、照明部62による可視光線L3が第1使用者P1の手元以外の部分を明るく照らすのを抑制することができる。
さらに、ベッドシステム2は、第1部材12よりも遮音性が高く、第1部材12に設けられた第2部材64を備える。ここで言う遮音性は、空気伝達音及び固体伝達音を遮断する性能のことを意味する。
第2部材64は、例えばウレタン、ゴムやグラスウール等で形成できる。なお、第3部材13は第2部材64と同様にウレタン等で形成されているため、第3部材13は第1部材12よりも遮音性が高くなる。
第2部材64は、例えば第1部材12における背ボトム37とは反対側の面に取付けられている。
ベッドシステム2が第2部材64を備えることにより、第2部材64を介して音が伝達され難くなる。これにより、ベッド31上の空間を、第1使用者P1の好みにより適した、パーソナル性のより高いものにすることができる。
【0037】
なお、入力部18を操作することにより、照明部14に印加される交流電圧が変化して照明部14が発する可視光線の明るさが変化するように構成してもよい。
検出部16により第1使用者P1が覚醒状態から睡眠状態になったことを検出したときに、第1部材12を退避状態から遮断状態にするように制御してもよい。
照明部は、ベッド31に取付けられていてもよい。この場合であっても、照明部は、第1部材12に向かって可視光線を発することにより、第1部材12の一部とベッド31との間の空間を照らす。照明部が発した可視光線は、第1部材12により遮断される。
【0038】
また、
図7に示すベッドシステム3のように、本実施形態のベッドシステム1の第1部材12に代えて、可視光線の透過率を調節できる第1部材71を備えてもよい。第1部材71は、フィルム72と、フィルム72を支持する第4部材73と、を備えている。なお、
図7では、フィルム72にハッチングを付して示す。
第4部材73は、アクリル等の無色透明な板材等によりU字状に形成されている。この例では、第4部材73は第1使用者P1の上半身を覆う程度の大きさである。なお、第4部材73は第1使用者P1の全身を覆う程度の大きさでもよい。一対の照明部14は、第4部材73における背ボトム37側の面に、互いに第2方向Yに離間して取付けられている。
【0039】
フィルム72は、第4部材73の背ボトム37側の面における一対の照明部14の間に取付けられている。フィルム72は、例えば配向粒子方式のフィルムである。
図8に示すように、フィルム72は、第1電極72aと、第1電極72aに対向するように配置された第2電極72bと、第1電極72aと第2電極72bとの間に配置された配向粒子72cと、を備えている。なお、
図8及び後述する
図9では、配向粒子72cの個々の形状までは示していない。
第1電極72a及び第2電極72bは、一対の照明部14を結ぶ所定の方向に長く形成されている。
第1電極72aの前記所定の方向の一方側の端部に、ケーブル74が接続されている。第2電極72bの前記所定の方向の他方側の端部に、ケーブル75が接続されている。ケーブル74,75は、電極72a,72bにおける互いに反対側となる端部にそれぞれ接続されている。
図7に示すように、ケーブル74,75は、シェード制御部19に接続されている。フィルム72には、シェード制御部19からケーブル74,75を介して電圧を調節した交流電圧が供給される。
【0040】
なお、
図9に示すフィルム72Aのように、ケーブル75が第2電極72bの前記所定の方向の一方側の端部に接続され、ケーブル74,75は、電極72a,72bにおける同じ側となる端部にそれぞれ接続されていてもよい。このように、電極72a,72bにケーブル74,75が接続される位置は、ケーブル74が第1電極72aに接続され、ケーブル75が第2電極72bに接続されてれば、任意に設定できる。
なお、フィルムとして、液晶分子を用いた液晶方式のフィルム、酸化・還元反応を利用したエレクトロクロミック方式のフィルム等を用いてもよい。
【0041】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
例えば、前記実施形態では、第1部材12は、可視光線の全てを遮断できなくても、可視光線の少なくとも一部を遮断できればよい。ここで言う可視光線の少なくとも一部とは、可視光線のうちの一部の波長、可視光線の所定の波長のうちの一部等を意味する。
ベッドシステムの照明部が、ベッド31により支持される第1使用者P1の頭部を照らすように構成してもよい。ベッド31により支持された状態で眠っていた第1使用者P1は、頭部を照らされることにより目が覚める。このように構成することにより、ベッドシステムを目覚ましとして用いることができる。
【0042】
シェードは、第3部材13、駆動部15、検出部16、計測部17、入力部18、及びシェード制御部19を備えなくてもよい。照明付きシェードが第3部材13を備えない場合には、第1部材がベッド31に直接取り付けられる。
身体支持システムはベッドシステム1に限定されず、椅子システム、ソファシステム等でもよい。例えば、身体支持システムが椅子システムである場合には、装置は椅子である。身体支持システムは、夜行バス用、飛行機用、人工透析用等としても用いることができる。
【符号の説明】
【0043】
1,2,3 ベッドシステム(身体支持システム)
11,61 照明付きシェード(照明付き外部光線遮断器具)
12,71 第1部材(遮光部)
14,62 照明部
31 ベッド(装置)
64 第2部材
P1 第1使用者