(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-18
(45)【発行日】2023-01-26
(54)【発明の名称】タンク及びそれを用いた洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/02 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
D06F39/02 A
(21)【出願番号】P 2020014334
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2021-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】柴田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】門傳 陽平
(72)【発明者】
【氏名】中澤 健次
(72)【発明者】
【氏名】野上 洋登
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0345661(US,A1)
【文献】特開2019-107309(JP,A)
【文献】特開2019-037356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯液を補充可能なタンクであって、
洗濯液を投入する投入口を覆い、
閉塞時に表面が前下がりの傾斜面を有するタンク蓋と、
前記傾斜面の一部に設けられ、
タンク蓋閉塞時に洗濯液の残量を視認可能な窓部と、
タンク蓋閉塞時に前記窓部
下方には、洗濯液の残量を視認可能な視認部と、を有し、
前記視認部は、洗濯液面に対して垂直方向に、洗濯液の残量を視認可能な目盛り部が設けられた、ことを特徴とするタンク。
【請求項2】
請求項1記載のタンクであって、
前記タンク内の洗濯液を吐出するノズル部を有し、
前記視認部は、前記ノズル部上方、もしくは、前記ノズル部と前記投入口との間、に配置された、ことを特徴とするタンク。
【請求項3】
洗濯液を補充可能なタンクであって、
洗濯液を投入する投入口を覆い、表面に傾斜面を有するタンク蓋と、
前記傾斜面の一部に設けられ、洗濯液の残量を視認可能な窓部と、
前記窓部内には、洗濯液の残量を視認可能な視認部と、を有し、
前記視認部は、洗濯液面に対して垂直方向に、洗濯液の残量を視認可能な目盛り部が設けられ、
前記視認部の底面は、傾斜面であって、且つ反射面であることを特徴とするタンク。
【請求項4】
筐体と、
洗濯物を投入する投入口を覆う蓋体と、
前記洗濯物を投入する洗濯兼脱水槽と、
洗濯液を補充可能なタンクと、を有し、
前記タンクは、
洗濯液を投入する投入口を覆い、
閉塞時に表面が前下がりの傾斜面を有するタンク蓋と、
前記傾斜面の一部に設けられ、
タンク蓋閉塞時に洗濯液の残量を視認可能な窓部と、
タンク蓋閉塞時に前記窓部
下方には、洗濯液の残量を視認可能な視認部と、を有し、
前記視認部は、洗濯液面に対して垂直方向に、洗濯液の残量を視認可能な目盛り部が設けられた、ことを特徴とする洗濯機。
【請求項5】
請求項4記載の洗濯機であって、
前記タンクは、第1洗濯液を補充可能な第1タンクと、前記第1タンクの長手方向に隣接して配置され、前記第1洗濯液と異なる第2洗濯
液を補充可能な第2タンクと、を有し、
前記第1タンクは、一方端部に第1窓部を有し、
前記第2タンクは、他方端部に第2窓部を有し、
前記第1窓部と前記第2窓部は、向き合う側設けられた、ことを特徴する洗濯機。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の洗濯機であって、
前記タンクは、前記蓋体の奥側に有し、
前記蓋体は、閉塞時に表面が前下がりの傾斜面を有し、
前記タンク蓋の傾斜面と前記蓋体の傾斜面は平行である、ことを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗濯液を補充するタンクと洗濯物を洗濯する洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タンクに収容された洗剤や柔軟剤(仕上剤)等の洗濯処理液を計量して、適量の洗濯処理液を水槽(洗濯兼脱水層)に自動で投入できる洗濯処理液投入装置を搭載した洗濯機が知られている。
【0003】
その際、タンクに収容された洗濯処理液の残量を検知する手段として、特許文献1に記載のように、タンクのフロート内の磁石などを用いるものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、フロートなどの部材を必要とするため、コストアップにつながったり、タンクの高さの制約でフロートの可動域がない場合は、残量検知ができない場合がある。また、洗濯液が足りているか否かという情報しか使用者に報知されないため、使用者が洗濯液の残量を把握し、洗濯液の不足を予測することは難しい。
【0006】
本発明の目的は、タンク容量に関係なく、コストの増加を抑止可能であって、且つタンク内の残量を視認し易い、タンクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明のタンクは、洗濯液を補充可能なタンクであって、洗濯液を投入する投入口を覆い、表面に傾斜面を有するタンク蓋と、傾斜面の一部に設けられ、洗濯液の残量を視認可能な窓部と、窓部内には、洗濯液の残量を視認可能な視認部と、を有し、視認部は、洗濯液面に対して垂直方向に、洗濯液の残量を視認可能な目盛り部が設けられた構成とする。
【0008】
また、本発明の洗濯機は、筐体と、洗濯物を投入する投入口を覆う蓋体と、洗濯物を投入する洗濯兼脱水槽と、洗濯液を補充可能なタンクと、を有し、前記タンクは、洗濯液を投入する投入口を覆い、表面に傾斜面を有するタンク蓋と、傾斜面の一部に設けられ、洗濯液の残量を視認可能な窓部と、窓部内には、洗濯液の残量を視認可能な視認部と、を有し、視認部は、洗濯液面に対して垂直方向に、洗濯液の残量を視認可能な目盛り部が設けられた構成とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、タンク容量に関係なく、コストの増加を抑止可能であって、且つタンク内の残量を視認し易い、洗濯機用のタンクを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】
図2のタンクのタンク蓋を開けた際の俯瞰図である。
【
図6】利用者が残量を視認する際のタンクの縦断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。
【0012】
図1は、本発明のタンクを備えた洗濯機の斜視図、
図2は、本発明のタンクを備えた洗濯機の縦断面図である。
【0013】
図1及び
図2において、筐体1には洗濯物の投入口を覆う蓋体2があり、蓋体2の下方に、洗濯物が投入される洗濯兼脱水槽3があり、洗濯液を補充可能なタンク4(4a、4b)があり、タンク4に充填された洗濯液を、前記洗濯兼脱水槽3へ吐出する(投入する)ことができる洗濯液自動投入ユニット9がある。
【0014】
また、タンク4には表面に傾斜面を備え、洗濯液を投入する投入口8a(
図4参照)を覆うタンク蓋6(
図3参照)が設けられており、蓋体2は閉塞時に表面が前下がりの傾斜面を設けており、この2つの傾斜面は略平行に設けられ、清掃性及び意匠性を向上させている。そのタンク4は、傾斜面の一部に、洗濯液の残量を視認可能な窓部5を備えている。タンク4に洗濯液が補充されたとき、窓部5の下部は洗濯液に浸かる。使用者は窓部5を通して、タンク4内の洗濯液の残量を確認する(視認する)ことができる。
【0015】
タンク4の詳細を説明する。タンク4は第1洗濯液を補充可能なタンク4aと、第2洗濯液を補充可能なタンク4bと、を設けている。なお、第1洗濯液と第2洗濯液は、洗剤と柔軟剤のように異なる洗濯液を充填させても良いし、異なる洗剤を充填させても良いし、同じ洗剤を充填させても良い。タンク4bは、タンク4aの長手方向に隣接して並置される。タンク4aは、一方端部に窓部5(第1の窓部)を有し、タンク4bは、他方端部に窓部5(第2の窓部)を有し、タンク4aおよびタンク4bが有する窓部5(第1の窓部と第2の窓部)は、向き合う側に設けられている。このように2つの窓部5間の距離が狭いため、使用者は一目で、第1洗濯液と第2洗濯液の残量を視認できる。なお、タンク4は着脱可能であり、筐体1より取り外すことができ、タンク4への洗濯液の補充を、容易とすることができる。
【0016】
図3は、タンク4aの俯瞰図、
図4は、タンク蓋6を開けたときのタンク4aの俯瞰図である。
【0017】
図3において、タンク4aは、タンク蓋6を備え、タンク蓋6は、窓部5を備えるため、使用者はタンク蓋6が閉じた状態でも、窓部5からタンク4a内の洗濯液の残量を視認できる。また、タンク4aは、タンク4a内の洗濯液を吐出するノズル部7を備え、ノズル部7からタンク4a内の洗濯液を吐出することができる。さらに、タンク4aは、一方端部に少なくとも1つのタンク足10を備え、タンク4aは、一方端部にタンク足10と他方端部にノズル部7を設けて支持することで、自立することができる。
【0018】
図4において、タンク4aは、タンク4aに充填された洗濯液を覆うタンク内蓋8を備え、タンク内蓋8は、タンク4a内に洗濯液を投入するための投入口8aを備え、投入口8aは、タンク蓋6の傾斜面に沿った高さのリブ8bを備え、リブ8bは投入口8aの四方を囲う。このため、リブ8bは、洗濯液が補充される際に、洗濯液が投入口8aの外へ飛び散ること、を抑制できる。タンク内蓋8は、表面に洗濯液の種類を示す刻印、例えば
図4では「柔軟剤」と刻印され、使用者はその刻印により、タンク4aに投入可能な洗濯液を間違いなく投入することができる。
図4ではタンク内蓋8に刻印したが、タンク蓋6の裏面に刻印しても良い。また、洗濯液の種類が刻印されたタンク内蓋8は、その洗濯液の種類に対応した色にしても良く、例えば、洗剤なら青色、柔軟剤ならピンク色のタンク内蓋8とする。なお、リブ8bの四方の奥側面に、どこまで洗濯液を充填できるかが一目で分かるように、「これ以下」との刻印や矢印を表記している。
【0019】
また、タンク蓋6は、投入口8aを覆う蓋であり、タンク蓋6は、リブ8bに沿った形状で、リブ8aに対応した位置にリブ6aを備え、リブ6aとリブ8aは、タンク蓋6を閉めた際に、タンク4a内の洗濯液がタンク4a外へ飛び散ることを抑制できる。
【0020】
さらに、窓部5内のタンク内蓋8には、洗濯液の残量を視認可能な視認部5aを備える。視認部5aは、洗濯液の残量を出来るだけ視認出来るように、ノズル部7上方、もしくは、ノズル部7と投入口8aとの間、に配置されており、タンク4a内は、ノズル部7が底であるため、視認部5aが他方にあるときと比べ、より少ない洗濯液の残量を視認することができる。なお、以上タンク4aについて説明したが、タンク4bにおいても上記と同等の構造および位置関係である。
【0021】
【0022】
図5において、視認部5aは無色透明あるいは有色透明の材質であるため、使用者は視認部5aを通して、タンク4内の洗濯液の残量を視認することができる。
【0023】
また、視認部5aの下部は洗濯液に浸かるが、視認部5aの底面5cが斜めになっていることで、タンク4の洗濯液容量を大きくできる。なお、視認部5aは、中空、中実、あるいは上方が開放の、いずれの形態でも効果を発揮する。しかし、上方が開放されていると使用者は間違って洗濯液を投入してしまったり、塵が入ってしまい、洗濯液を視認しづらくなる可能性があり、上方は閉じていることが望ましい。
【0024】
また、視認部5aは、液面に対して垂直方向に、洗濯液の残量を視認可能な目盛りが記された目盛り部5bを備え、目盛り部5bにより、洗濯液の残量を視認することができる。この目盛り部5bは、容易に視認しやすいよに視認部5aの背面に設けている。タンク4内に洗濯液が補充されているとき、視認部5aの下部は洗濯液に浸かり、視認部5aには、洗濯液と空気の境界面が映る。そのため使用者は、視認部5aを見ることで、タンク4内の洗濯液の残量を視認することができる。
【0025】
また、視認部5aの底面5cに、白色などの反射板(反射シート)を設ける、又は塗布する、つまり底面5cは傾斜面であって、且つ反射面とすることで、光源反射が強調でき、また再帰性反射も強調でき、透明な場合と比べて目盛り部5bの視認性が更に向上出来る。これはコーナーキューブの再帰性反射によるものである。
【0026】
上記のように、視認部5aと目盛り部5bは簡便な構造であり、コストの増加を抑制でき、タンクの容量に影響されない。なお、洗濯液の残量を確認するための目盛り部5bは、視認部5aだけではなく、タンク4の壁面等の、窓部5から見える位置に設けることでも、効果を発揮する(図示せず)。また、視認部5aの背面部と目盛り部5bは、液面に対して完全に垂直方向でない場合でも、効果を発揮する。
【0027】
図6は、筐体1がタンク4を有する状態で、使用者が視認部5aを通して、タンク4内の洗濯液の残量を確認する際の、タンク4の縦断面の模式図であり、
図3のX-X断面である。
【0028】
図6において、矢印は一般成人女性が目盛り部5bを見る目線である。目線は遮られずに目盛り部5bに到達するため、一般成人は不自由なくタンク4内の液体残量を視認できる。
【0029】
以上のように、本発明の実施の形態を、タテ型洗濯機を用いて説明したが、ドラム式洗濯機でも同様に実施することができる。また、上記の実施の形態の要素を省略したり、組み合わせたりした場合でも、各要素に対応した効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0030】
1 筐体
2 蓋体
3 洗濯兼脱水槽
4 タンク
5 窓部
5a 視認部
5b 目盛り部
5c 底面
6 タンク蓋
7 ノズル部
8 タンク内蓋
8a 投入口
9 洗濯液自動投入ユニット
10 タンク足