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特許7213245内視鏡用光源装置、内視鏡用光源の制御方法および内視鏡システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-18
(45)【発行日】2023-01-26
(54)【発明の名称】内視鏡用光源装置、内視鏡用光源の制御方法および内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/06 20060101AFI20230119BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
A61B1/06 612
G02B23/26 B
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020527190
(86)(22)【出願日】2019-02-21
(86)【国際出願番号】 JP2019006610
(87)【国際公開番号】W WO2020003601
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2020-10-26
(31)【優先権主張番号】P 2018119759
(32)【優先日】2018-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保井 徹
(72)【発明者】
【氏名】北村 裕明
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-178180(JP,A)
【文献】国際公開第2012/105446(WO,A1)
【文献】特開2011-224043(JP,A)
【文献】特開2012-245349(JP,A)
【文献】特開平10-333057(JP,A)
【文献】特開2003-116783(JP,A)
【文献】特開2007-252686(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0185414(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
G02B 23/24-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光を出射する第1の発光部と、
前記第1の発光部に対して相対的に固定された位置に配置される複数の光源を有し、前記第1の光と同じ色成分である第2の光を出射する第2の発光部と、
前記第1の発光部に前記第1の光を出射させた後、該第1の発光部に前記第1の光を出射させた状態で、設定された光量に応じて前記第2の発光部に前記第2の光を出射させる照明制御部と、
を備え
前記第2の発光部は、前記第1の発光部よりも調光分解能が低い、
ことを特徴とする内視鏡用光源装置。
【請求項2】
前記複数の光源は、前記第1の発光部が有する光源を中心として、該光源の周囲に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項3】
前記第1の発光部は、前記第1の光をそれぞれ出射する第1および第2の光源を有し、
前記照明制御部は、前記第1および第2の光源の少なくとも一方の光源を点灯させて前記第1の光を出射させる
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項4】
前記第2の発光部は、互いに異なる複数の部分発光部を有し、
前記照明制御部は、光を供給する際には、前記第1の発光部に前記第1の光を出射させた後、設定された光量に応じて、予め設定された順に、前記部分発光部の光源を点灯させて前記第2の光を出射させ、光の供給を停止する際には、点灯順とは逆の順に、前記部分発光部の光源を消灯させた後、前記第1の発光部に前記第1の光を消灯させる
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項5】
前記照明制御部は、各部分発光部における光源の点灯時間が平準化する順に、各光源の点灯および消灯を制御する
ことを特徴とする請求項に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項6】
前記第1の発光部は、前記第1の光を出射する複数の半導体レーザーを有し、
前記第2の発光部は、各々が前記第2の光を出射する半導体レーザーを有する
ことを特徴とする請求項に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項7】
前記第2の発光部は、互いに異なる複数の部分発光部を有し、
前記照明制御部は、光を供給する際、前記第1の発光部に前記第1の光を出射させた後、前記複数の部分発光部における稼動率に応じて当該複数の部分発光部における点灯順を入れ替えた前記第2の光を出射させる
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項8】
前記第2の発光部は、互いに異なる複数の部分発光部を有し、
前記複数の部分発光部は、同心円状に配置され、
前記第1の発光部は、前記同心円状の内側である中心部に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項9】
前記照明制御部は、設定された光量に応じて、予め設定された順に、前記部分発光部の光源を点灯させて前記第2の光を出射させ、
前記第2の光の光量が前記設定された光量を満たした場合、未だ点灯していない前記部分発光部の点灯を中止する、
ことを特徴とする請求項に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項10】
前記第2の発光部は、互いに異なる複数の部分発光部を有し、
前記照明制御部は、前記第1の発光部に前記第1の光を出射させた後、前記複数の部分発光部の稼働率に応じて当該複数の部分発光部における点灯順を入れ替えた前記第2の光を出射させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項11】
第1の発光部が、第1の光を出射し、
該第1の発光部が前記第1の光を出射した状態で、前記第1の発光部に対して相対的に固定された位置に配置された複数の光源を有し、かつ前記第1の発光部よりも調光分解能が低い第2の発光部が、設定された光量に応じて、前記第1の光と同じ色成分である第2の光を出射する、
ことを特徴とする内視鏡用光源の制御方法。
【請求項12】
内視鏡へ光を供給する際には、前記第1の発光部が前記第1の光を出射した後、前記第2の発光部が、設定された光量に応じて、予め設定された順に、各光源を点灯させて前記第2の光を出射し、
前記内視鏡への光の供給を停止する際には、前記第2の発光部が、点灯順とは逆の順に、前記複数の光源を消灯させた後、
前記第1の発光部が、前記第1の光を消灯する、
ことを特徴とする請求項11に記載の内視鏡用光源の制御方法。
【請求項13】
内視鏡へ光を供給する際には、前記第1の発光部が前記第1の光を出射した後、前記第2の発光部が、前記複数の光源の稼働率に応じて当該複数の光源における点灯順を入れ替えて前記第2の光を出射する、
ことを特徴とする請求項11に記載の内視鏡用光源の制御方法。
【請求項14】
前記第2の発光部が、設定された光量に応じて、予め設定された順に、前記複数の光源を点灯させて前記第2の光を出射し、
前記第2の光の光量が、前記設定された光量を満たした場合、未だ点灯していない光源の点灯を中止する、
ことを特徴とする請求項12に記載の内視鏡用光源の制御方法。
【請求項15】
前記第1の発光部が前記第1の光を出射した後、前記第2の発光部が、前記複数の光源の稼働率に応じて当該複数の光源における点灯順を入れ替えて前記第2の光を出射する、
ことを特徴とする請求項12に記載の内視鏡用光源の制御方法。
【請求項16】
内視鏡と、
前記内視鏡に供給する第1の光を出射する第1の発光部と、前記第1の発光部に対して相対的に固定された位置に配置される複数の光源を有し、前記第1の光と同じ色成分である第2の光を出射する第2の発光部と、前記第1の発光部に前記第1の光を出射させた後、該第1の発光部に前記第1の光を出射させた状態で、設定された光量に応じて前記第2の発光部に前記第2の光を出射させる照明制御部とを有する光源装置と、
を備え
前記第2の発光部は、前記第1の発光部よりも調光分解能が低い、
ことを特徴とする内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡用光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野においては、被検体内部の観察のために内視鏡システムが用いられている。内視鏡は、一般に、患者等の被検体内に細長形状をなす可撓性の挿入部を挿入し、この挿入部先端から光源装置によって供給された照明光を照明し、この照明光の反射光を挿入部先端の撮像部で受光することによって体内画像を撮像する。内視鏡の撮像部によって撮像された体内画像は、内視鏡システムの処理装置において所定の画像処理を施された後に、内視鏡システムのディスプレイに表示される。医師等のユーザは、ディスプレイに表示される体内画像に基づいて、被検体の臓器を観察する。
【0003】
照明光を出射する光源装置において、光量制御のダイナミックレンジを拡大するために、同じ光を発する光源を複数個設けた光源装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。また、特許文献1では、各光源の累積発光時間に基づいて光源の発光順を決定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-245349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、内視鏡は、被検体内に挿入され、その被検体内の外光が届かない暗いシーンを撮像するため、シーンに応じて照明光の光量を切り替えている。上述した特許文献1では、累積発光時間によって、発光する光源の配置、特に最初に発光する光源が変わる。このため、光源の配置や、光源の光特性の個体差によって、照明光の光特性が都度変化してしまうおそれがあった。特に、外光が届かない暗いシーンでは、この照明光の光特性の変化は、画像に与える影響が大きい。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、暗いシーンにおける照明光の光特性の変化を抑制しつつ、照明光の光量を制御することができる内視鏡用光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる内視鏡用光源装置は、内視鏡に供給する第1の光を出射する第1の発光部と、前記第1の光と同じ色成分、かつ第1の発光部よりも調光分解能が低い第2の光を出射する第2の発光部であって、前記第1の光とともに前記内視鏡に供給する第2の光を出射する第2の発光部と、前記内視鏡に光を供給する際、前記第1の発光部に前記第1の光を出射させた後、該第1の発光部に前記第1の光を出射させた状態で、設定された光量に応じて前記第2の発光部に前記第2の光を出射させる照明制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる内視鏡用光源装置は、上記発明において、前記第1の発光部は、前記第1の光をそれぞれ出射する第1および第2の光源を有し、前記照明制御部は、前記第1および第2の光源の少なくとも一方の光源を点灯させて前記第1の光を前記内視鏡に供給することを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる内視鏡用光源装置は、上記発明において、前記第2の発光部は、互いに異なる複数の部分発光部を有し、前記照明制御部は、前記内視鏡に光を供給する際には、前記第1の発光部に前記第1の光を出射させた後、設定された光量に応じて、予め設定された順に、前記部分発光部の光源を点灯させて前記第2の光を出射させ、前記内視鏡への光の供給を停止する際には、点灯順とは逆の順に、前記部分発光部の光源を消灯させた後、前記第1の発光部に前記第1の光を消灯させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる内視鏡用光源装置は、上記発明において、前記照明制御部は、各部分発光部における光源の点灯時間が平準化する順に、各光源の点灯および消灯を制御することを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる内視鏡用光源装置は、上記発明において、前記第1の発光部は、前記第1の光を出射する複数の半導体レーザーを有し、前記第2の発光部は、各々が前記第2の光を出射する半導体レーザーを有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる内視鏡用光源装置は、上記発明において、前記第2の発光部は、互いに異なる複数の部分発光部を有し、前記照明制御部は、前記内視鏡に光を供給する際、前記第1の発光部に前記第1の光を出射させた後、前記複数の部分発光部における稼動率に応じて当該複数の部分発光部における点灯順を入れ替えた前記第2の光を出射させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる内視鏡用光源装置は、内視鏡に供給する第1の光を出射する第1の発光部と、前記第1の光と同じ色成分の第2の光を出射する、互いに異なる複数の部分発光部を有し、前記第1の光とともに前記第2の光を前記内視鏡に供給する第2の発光部と、前記内視鏡に光を供給する際、前記第1の発光部に前記第1の光を出射させた後、前記複数の部分発光部における稼動率に応じて当該複数の部分発光部における点灯順を入れ替えた前記第2の光を出射させる照明制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、暗いシーンにおける照明光の光特性の変化を抑制しつつ、照明光の光量を制御することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施の形態1にかかる内視鏡システムの概略構成を示す図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1にかかる内視鏡システムの概略構成を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の実施の形態1にかかる内視鏡システムが備える光源装置の光源の配置を説明する図である。
図4図4は、本発明の実施の形態1にかかる内視鏡システムが備える光源装置の光源の点灯順を説明する図である。
図5図5は、本発明の実施の形態1にかかる内視鏡システムが備える光源装置の光源の消灯順を説明する図である。
図6図6は、本発明の実施の形態2にかかる内視鏡システムが備える光源装置の光源の配置を説明する図である。
図7図7は、本発明の実施の形態2にかかる内視鏡システムが備える光源装置の第1の点灯モードにおける光源の点灯順を説明する図である。
図8図8は、本発明の実施の形態2にかかる内視鏡システムが備える光源装置の第1の点灯モードにおける光源の消灯順を説明する図である。
図9図9は、本発明の実施の形態2にかかる内視鏡システムが備える光源装置の第2の点灯モードにおける光源の点灯順を説明する図である。
図10図10は、本発明の実施の形態2にかかる内視鏡システムが備える光源装置の第2の点灯モードにおける光源の消灯順を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。実施の形態では、本発明にかかる内視鏡用光源装置を含むシステムの一例として、患者等の被検体内の画像を撮像して表示する医療用の内視鏡システムについて説明する。また、この実施の形態により、この発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる内視鏡システムの概略構成を示す図である。図2は、本実施の形態1にかかる内視鏡システムの概略構成を示すブロック図である。
【0018】
図1および図2に示す内視鏡システム1は、被検体内に先端部を挿入することによって被検体の体内画像を撮像する内視鏡2と、内視鏡2の先端から出射する照明光を発生する光源装置3と、内視鏡2が撮像した撮像信号に所定の信号処理を施すとともに、内視鏡システム1全体の動作を統括的に制御する処理装置4と、処理装置4の信号処理により生成された体内画像を表示する表示装置5と、を備える。
【0019】
内視鏡2は、可撓性を有する細長形状をなす挿入部21と、挿入部21の基端側に接続され、各種の操作信号の入力を受け付ける操作部22と、操作部22から挿入部21が延びる方向と異なる方向に延び、光源装置3および処理装置4に接続する各種ケーブルを内蔵するユニバーサルコード23と、を備える。
【0020】
挿入部21は、光を受光して光電変換することにより信号を生成する画素が2次元状に配列された撮像素子244を内蔵した先端部24と、複数の湾曲駒によって構成された湾曲自在な湾曲部25と、湾曲部25の基端側に接続され、可撓性を有する長尺状の可撓管部26と、を有する。挿入部21は、被検体の体腔内に挿入され、外光の届かない位置にある生体組織などの被写体を撮像素子244によって撮像する。
【0021】
先端部24は、グラスファイバ等を用いて構成されて光源装置3が発光した光の導光路をなすライトガイド241と、ライトガイド241の先端に設けられた照明レンズ242と、集光用の光学系243と、光学系243の結像位置に設けられ、光学系243が集光した光を受光して電気信号に光電変換して所定の信号処理を施す撮像素子244(撮像部)とを有する。
【0022】
光学系243は、一または複数のレンズを用いて構成され、画角を変化させる光学ズーム機能および焦点を変化させるフォーカス機能を有する。
【0023】
撮像素子244は、光学系243からの光を光電変換して電気信号(画像信号)を生成する。具体的には、撮像素子244は、光量に応じた電荷を蓄積するフォトダイオードや、フォトダイオードから転送される電荷を電圧レベルに変換するコンデンサなどをそれぞれ有する複数の画素がマトリックス状に配列され、各画素が光学系243からの光を光電変換して電気信号を生成する受光部244aと、受光部244aの複数の画素のうち読み出し対象として任意に設定された画素が生成した電気信号を順次読み出して、画像信号として出力する読み出し部244bとを有する。撮像素子244は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサや、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを用いて実現される。
【0024】
なお、内視鏡2は、撮像素子244が各種動作を実行するための実行プログラム及び制御プログラムや、内視鏡2の識別情報を含むデータを記憶するメモリを有する(図示せず)。識別情報には、内視鏡2の固有情報(ID)、年式、スペック情報、および伝送方式等が含まれる。また、メモリは、撮像素子244が生成した画像データ等を一時的に記憶してもよい。
【0025】
操作部22は、湾曲部25を上下方向および左右方向に湾曲させる湾曲ノブ221と、被検体の体腔内に生検鉗子、電気メスおよび検査プローブ等の処置具を挿入する処置具挿入部222と、処理装置4に加えて、送気手段、送水手段、画面表示制御等の周辺機器の操作指示信号を入力する操作入力部である複数のスイッチ223と、を有する。処置具挿入部222から挿入される処置具は、先端部24の処置具チャンネル(図示せず)を経由して開口部(図示せず)から表出する。
【0026】
ユニバーサルコード23は、ライトガイド241と、一または複数の信号線をまとめた集合ケーブル245と、を少なくとも内蔵している。集合ケーブル245は、撮像信号を伝送するための信号線や、撮像素子244を駆動するための駆動信号を伝送するための信号線、内視鏡2(撮像素子244)に関する固有情報などを含む情報を送受信するための信号線を含む。なお、本実施の形態では、信号線を用いて電気信号を伝送するものとして説明するが、光信号を伝送するものであってもよいし、無線通信により内視鏡2と処理装置4との間で信号を伝送するものであってもよい。
【0027】
続いて、光源装置3の構成について説明する。光源装置3は、光源部31と、照明制御部32と、を備える。
【0028】
光源部31は、互いに異なる波長帯域を有する複数の照明光を出射する複数の光源や、複数のレンズ等を用いて構成され、各光源の駆動によって所定の波長帯域の光を含む照明光を出射する。具体的に、光源部31は、光源ドライバ310と、390~495nmの波長帯域の光(青色照明光)を出射する第1光源群311Bと、495~590nmの波長帯域の光(緑色照明光)を出射する第2光源群311Gと、590~750nmの波長帯域の光(赤色照明光)を出射する第3光源群311Rと、各光源が出射する照明光をそれぞれ集光する第1レンズ(第1レンズ312B、312G、312R)と、第1レンズを通過した照明光の光量をそれぞれ検出する光量センサ(光量センサ313B、313G、313R)と、光量センサを通過した照明光をそれぞれ集光する第2レンズ(第2レンズ314B、314G、314R)と、第1光源群311Bが出射する波長帯域の光を折り曲げるとともに、他の波長帯域の光を透過するダイクロイックミラー315と、第2光源群311Gが出射する波長帯域の光を折り曲げるとともに、他の波長帯域の光を透過するダイクロイックミラー316と、各光源が出射した波長をライトガイド241に導光するレンズ317とを有する。各光源群は、複数の半導体レーザーや、複数のLED光源等を用いて実現される。ダイクロイックミラー315、316は、光源群からの光を折り曲げて、同じ光軸上を進行させる。
各光量センサには、拡散板が設けられ、入射した照明光を拡散して出射する。光量センサでは、拡散板を通過する前(または後)の光の一部を取得して、その光量値を出力するか、取得した光の光量値から、光源が出射した光の光量を推定した値を出力する。
なお、光源には、駆動時に発生した熱を冷却する冷却機構が設けられる。冷却機構は、ペルチェ素子や、ヒートシンクなどを用いて構成される。
【0029】
光源ドライバ310は、照明制御部32の制御のもと、各光源群に対して電流を供給することにより、光源に光を出射させる。
光源部31では、第1光源群311B、第2光源群311G、第3光源群311Rにそれぞれ異なるタイミングで照明光を出射させて、単一の色の照明光を外部に出射させるか、すべての光源から光を出射させて白色の照明光を外部に出射させる。
【0030】
照明制御部32は、制御部44からの制御信号(調光信号)に基づいて、各光源に供給する電力量を制御するとともに、各光源の駆動タイミングを制御する。
【0031】
次に、処理装置4の構成について説明する。処理装置4は、画像処理部41と、同期信号生成部42と、入力部43と、制御部44と、記憶部45と、を備える。
【0032】
画像処理部41は、内視鏡2から、撮像素子244が撮像した各色の照明光の画像データを受信する。画像処理部41は、内視鏡2からアナログの画像データを受信した場合はA/D変換を行ってデジタルの撮像信号を生成する。また、画像処理部41は、内視鏡2から光信号として画像データを受信した場合は光電変換を行ってデジタルの画像データを生成する。
【0033】
画像処理部41は、内視鏡2から受信した画像データに対して所定の画像処理を施して画像を生成して表示装置5へ出力する。ここで、所定の画像処理とは、同時化処理、階調補正処理および色補正処理等である。同時化処理は、光源部31がR照明光の照射時に撮像素子244が生成した画像データに基づくR画像データ、光源部31がG照明光の照射時に撮像素子244が生成した画像データに基づくG画像データ、および光源部31がB照明光の照射時に撮像素子244が生成した画像データに基づくB画像データの各々を同時化する処理である。階調補正処理は、画像データに対して階調の補正を行う処理である。色補正処理は、画像データに対して色調補正を行う処理である。画像処理部41は、上述した画像処理により生成された体内画像を含む処理後の撮像信号(以下、単に撮像信号ともいう)を生成する。なお、画像処理部41は、画像の明るさに応じてゲイン調整してもよい。画像処理部41は、CPU(Central Processing Unit)等の汎用プロセッサやASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の機能を実行する各種演算回路等の専用プロセッサを用いて構成される。
【0034】
また、画像処理部41は、R画像データ、G画像データおよびB画像データを保持するフレームメモリを有する構成としてもよい。
【0035】
同期信号生成部42は、処理装置4の動作の基準となるクロック信号(同期信号)を生成するとともに、生成した同期信号を光源装置3や、画像処理部41、制御部44、内視鏡2へ出力する。ここで、同期信号生成部42が生成する同期信号は、水平同期信号と垂直同期信号とを含む。
このため、光源装置3、画像処理部41、制御部44、内視鏡2は、生成された同期信号によって、互いに同期をとって動作する。
【0036】
入力部43は、キーボード、マウス、スイッチ、タッチパネルを用いて実現され、内視鏡システム1の動作を指示する動作指示信号等の各種信号の入力を受け付ける。なお、入力部43は、操作部22に設けられたスイッチや、外部のタブレット型のコンピュータなどの可搬型端末を含んでいてもよい。
【0037】
制御部44は、撮像素子244および光源装置3を含む各構成部の駆動制御、および各構成部に対する情報の入出力制御などを行う。制御部44は、記憶部45に記憶されている撮像制御のための制御情報データ(例えば、読み出しタイミングなど)を参照し、集合ケーブル245に含まれる所定の信号線を経由して駆動信号として撮像素子244へ送信する。制御部44は、CPU等の汎用プロセッサやASIC等の特定の機能を実行する各種演算回路等の専用プロセッサを用いて構成される。
【0038】
記憶部45は、内視鏡システム1を動作させるための各種プログラム、および内視鏡システム1の動作に必要な各種パラメータ等を含むデータを記憶する。また、記憶部45は、処理装置4の識別情報を記憶する。ここで、識別情報には、処理装置4の固有情報(ID)、年式およびスペック情報等が含まれる。また、記憶部45は、光源装置3が備える光源の配置等に関する情報を記憶する照明情報記憶部451を有する。照明情報記憶部451には、例えば、設定される光量(この場合は光源装置3が発する照明光の光量)に応じた光源の発光順が記憶されている。
【0039】
また、記憶部45は、処理装置4の画像取得処理方法を実行するための画像取得処理プログラムを含む各種プログラムを記憶する。各種プログラムは、ハードディスク、フラッシュメモリ、CD-ROM、DVD-ROM、フレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して広く流通させることも可能である。なお、上述した各種プログラムは、通信ネットワークを経由してダウンロードすることによって取得することも可能である。ここでいう通信ネットワークは、例えば既存の公衆回線網、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などによって実現されるものであり、有線、無線を問わない。
【0040】
以上の構成を有する記憶部45は、各種プログラム等が予めインストールされたROM(Read Only Memory)、および各処理の演算パラメータやデータ等を記憶するRAM(Random Access Memory)やハードディスク等を用いて実現される。
【0041】
表示装置5は、映像ケーブルを経由して処理装置4(画像処理部41)から受信した画像信号に対応する表示画像を表示する。表示装置5は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)等のモニタを用いて構成される。
【0042】
続いて、光源装置3が備える光源の構成について、図3を参照して説明する。図3は、本発明の実施の形態1にかかる内視鏡システムが備える光源装置の光源の配置を説明する図である。各光源群は、それぞれ同じ配置で複数の光源が設けられている。以下、第1光源群311Bにおける光源の配置について、図3を参照して説明する。なお、第2光源群311Gおよび第3光源群311Rについても同様に光源が配置されている。
【0043】
第1光源群311Bは、一つの光源からなる第1光源331(第1の発光部)と、二つの光源を一組として構成される第2光源332~第5光源335とを有する。第2光源332~第5光源335は、第1光源331を中心とする同心円に配置される。第2光源332~第5光源335は、それぞれが部分発光部に相当し、全体として第2の発光部を構成する。第1光源331から発せられる光は、第1の光に相当する。また、第2光源332~第5光源335が発する光は、第2の光に相当する。なお、第2の光は、第2光源332~第5光源335のうちの少なくとも一つの光源から発せられた光によって構成され、一つの光源(例えば第2光源332のみ)が発する光によって構成される場合もあれば、複数の光源(例えば第2光源332~第5光源335すべて)がそれぞれ発する光を合わせて構成される場合もある。
【0044】
第1光源331は、半導体レーザーを用いて構成される。第1光源331は、最大発光量が、第2光源332~第5光源335の最大発光量よりも小さく、微調整用の光源として機能する。
【0045】
第2光源332は、半導体レーザーを用いて構成される二つの光源(光源332A、332B)を有する。光源332A、332Bは、第1光源331を通過する直線上にそれぞれ配置される。この直線は、第1光源331を中心とする円の径方向に延びる直線である。図3では、第1光源331側から光源332A、332Bの順に配置される。
【0046】
第3光源333は、半導体レーザーを用いて構成される二つの光源(光源333A、333B)を有する。光源333A、333Bは、第1光源331を通過する直線上にそれぞれ配置される。この直線は、第1光源331を中心とする円の径方向に延びる直線であって、第2光源332が配置される直線とは直交する直線である。図3では、第1光源331側から光源333A、333Bの順に配置される。
【0047】
第4光源334は、半導体レーザーを用いて構成される二つの光源(光源334A、334B)を有する。光源334A、334Bは、第1光源331を通過する直線上にそれぞれ配置される。この直線は、第1光源331を中心とする円の径方向に延びる直線であって、第2光源332を通過する直線である。換言すれば、第4光源334は、第1光源331に対して、第2光源332の反対側に設けられている。図3では、第1光源331側から光源334A、334Bの順に配置される。
【0048】
第5光源335は、半導体レーザーを用いて構成される二つの光源(光源335A、335B)を有する。光源335A、335Bは、第1光源331を通過する直線上にそれぞれ配置される。この直線は、第1光源331を中心とする円の径方向に延びる直線であって、第3光源333を通過する直線である。換言すれば、第5光源335は、第1光源331に対して、第3光源333の反対側に設けられている。図3では、第1光源331側から光源335A、335Bの順に配置される。
【0049】
第1光源群311Bでは、光源332A、333A、334A、335Aが同心円状に配置され、光源332B、333B、334B、335Bが同心円状に配置される。
【0050】
また、第1光源群311Bでは、第1光源331の調光分解能が、第2光源332~第5光源335の調光分解能よりも高い。逆にいうと、第2光源332~第5光源335は、二つの光源が同時に点灯する構成のために、第2光源332~第5光源335の調光分解能が、第1光源331の調光分解能よりも低い。ここでいう調光分解能とは、制御回路における調光値の刻み幅が同じ場合の明るさをさし、明るさが小さいほど分解能が高い。第1光源331の方が、第2光源332~第5光源335よりも、明るさの調節幅が小さく、微調整することができる。
【0051】
照明制御部32は、予め設定された順に、各光源を点灯、消灯する。本実施の形態1において、照明制御部32は、第1光源331、第2光源332、第3光源333、第4光源334、第5光源335の順に点灯し、第5光源335、第4光源334、第3光源333、第2光源332、第1光源331の順に消灯する。照明制御部32は、点灯順とは逆の順に光源を消灯する。なお、設定される光量によって、後段の光源が点灯されない場合がある。
【0052】
図4は、本発明の実施の形態1にかかる内視鏡システムが備える光源装置の光源の点灯順を説明する図である。図4は、すべての光源が点灯する場合を示している。図4では、色抜きの丸が点灯している状態を示し、ハッチングがかかっている丸が消灯している状態を示している。照明制御部32の制御のもと、まず、第1光源331が点灯する(図4の(a)参照)。続いて、第2光源332が点灯する(図4の(b)参照)。次に、第3光源333が点灯し(図4の(c)参照)、その後、第4光源334が点灯する(図4の(d)参照)。最後に、第5光源335が点灯する(図4の(e)参照)。
【0053】
図5は、本発明の実施の形態1にかかる内視鏡システムが備える光源装置の光源の消灯順を説明する図である。図5は、図4に示した順ですべての光源が点灯した場合の消灯順を示している。図5では、図4と同様に、色抜きの丸が点灯している状態を示し、ハッチングがかかっている丸が消灯している状態を示している。照明制御部32の制御のもと、まず、すべての光源が点灯した状態(図5の(a)参照)から、第5光源335が消灯する(図5の(b)参照)。続いて、第4光源334が消灯する(図5の(c)参照)。次に、第3光源333が消灯し(図5の(d)参照)、その後、第2光源332が消灯する(図5の(e)参照)。最後に、第1光源331が消灯する(図5の(f)参照)。
【0054】
以上説明した実施の形態1では、同心円状に配置される八つの光源と、その中心に配置される一つの光源とを有し、一つの色成分の照明光を出射する構成において、八つの光源を4つの群に分け、設定される光量に応じて点灯を制御するようにした。本実施の形態1によれば、最初に点灯する光源が第1光源331に固定されているため、暗いシーンにおける照明光の光特性の変化を抑制しつつ、照明光の光量を制御することができる。また、本実施の形態1によれば、第2光源332~第5光源335における各光源を一括で制御しているため、制御単位を削減でき、その結果、複数の光源を有する構成において、光源にかかる回路規模の大型化を抑制することができる。
【0055】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について、図6を参照して説明する。本実施の形態2に係る内視鏡システムは、上述した内視鏡システム1の光源装置3における光源の配設態様を変えた以外は、同じ構成である。以下、実施の形態1とは構成が異なる光源の配設態様、およびそれに伴う照明制御について説明する。図6は、本発明の実施の形態2にかかる内視鏡システムが備える光源装置の光源の配置を説明する図である。以下、第1光源群311Bにおける光源の配置について、図6を参照して説明する。なお、実施の形態1と同様、第2光源群311Gおよび第3光源群311Rについても同様に光源が配置されている。
【0056】
本実施の形態2に係る第1光源群311Bは、二つの光源を一組として構成される第1光源336(第1の発光部)と、二つの光源を一組として構成される第2光源332~第5光源335とを有する。第2光源332~第5光源335は、第1光源336を中心とする同心円に配置される。以下、実施の形態1とは構成が異なる第1光源336について説明する。
【0057】
第1光源336は、半導体レーザーを用いて構成される二つの光源(光源336A、336B)を有する。第1光源336では、光源336A、336Bのうちのいずれか一方の光源のみが点灯する。第1光源336では、光源336Aまたは光源336Bから第1の光が出射される。このため、第1光源336は、最大発光量が、第2光源332~第5光源335の最大発光量よりも小さく、微調整用の光源として機能する。
光源336A、336Bは、第2光源332~第5光源335が配置される円の中心を通過し、かつ第3光源333および第5光源335が配置される直線上にそれぞれ配置される。なお、光源336A、336Bは、第2光源332および第4光源334が配置される直線上に配置されてもよいし、第2光源332~第5光源335が配置される直線とは異なる直線に配置されてもよい。
【0058】
第1光源群311Bでは、二つの光源(光源336A、336B)のうちの一方の光源のみが点灯するため、第1光源の調光分解能が、第2光源332~第5光源335の調光分解能よりも高い。
【0059】
照明制御部32は、予め設定された順に、各光源を点灯、消灯する。具体的に、照明制御部32は、二つの点灯モードのうちのいずれかのモードに応じて光源を点灯、消灯する。例えば、第1の点灯モードは、光源336A、第2光源332、第3光源333、第4光源334、第5光源335の順に点灯し、第5光源335、第4光源334、第3光源333、第2光源332、光源336Aの順に消灯する。
【0060】
図7は、本発明の実施の形態2にかかる内視鏡システムが備える光源装置の第1の点灯モードにおける光源の点灯順を説明する図である。図7は、すべての光源が点灯する場合を示している。以下、色抜きの丸が点灯している状態を示し、ハッチングがかかっている丸が消灯している状態を示している。照明制御部32の制御のもと、まず、第1光源336の光源336Aが点灯する(図7の(a)参照)。続いて、第2光源332が点灯する(図7の(b)参照)。次に、第3光源333が点灯し(図7の(c)参照)、その後、第4光源334が点灯する(図7の(d)参照)。最後に、第5光源335が点灯する(図7の(e)参照)。なお、第1の点灯モードでは、第1光源336の光源336Bは点灯しない。
【0061】
図8は、本発明の実施の形態2にかかる内視鏡システムが備える光源装置の第1の点灯モードにおける光源の消灯順を説明する図である。図8は、図7に示した順ですべての光源が点灯した場合の消灯順を示している。照明制御部32の制御のもと、まず、図7に示す点灯順ですべての光源が点灯した状態(図8の(a)参照)から、第5光源335が消灯する(図8の(b)参照)。続いて、第4光源334が消灯する(図8の(c)参照)。次に、第3光源333が消灯し(図8の(d)参照)、その後、第2光源332が消灯する(図8の(e)参照)。最後に、光源336Aが消灯する(図8の(f)参照)。
【0062】
これに対し、第2の点灯モードは、光源336B、第5光源335、第4光源334、第3光源333、第2光源332の順に点灯し、第2光源332、第3光源333、第4光源334、第5光源335、光源336Bの順に消灯する。なお、設定される光量によって、後段の光源が点灯されない場合がある。
【0063】
図9は、本発明の実施の形態2にかかる内視鏡システムが備える光源装置の第2の点灯モードにおける光源の点灯順を説明する図である。図9は、すべての光源が点灯する場合を示している。照明制御部32の制御のもと、まず、第1光源336の光源336Bが点灯する(図9の(a)参照)。続いて、第5光源335が点灯する(図9の(b)参照)。次に、第4光源334が点灯し(図9の(c)参照)、その後、第3光源333が点灯する(図9の(d)参照)。最後に、第2光源332が点灯する(図9の(e)参照)。なお、第2の点灯モードでは、第1光源336の光源336Aは点灯しない。
【0064】
図10は、本発明の実施の形態2にかかる内視鏡システムが備える光源装置の第2の点灯モードにおける光源の消灯順を説明する図である。図10は、図9に示した順ですべての光源が点灯した場合の消灯順を示している。照明制御部32の制御のもと、まず、図9に示す点灯順ですべての光源が点灯した状態(図10の(a)参照)から、第2光源332が消灯する(図10の(b)参照)。続いて、第3光源333が消灯する(図10の(c)参照)。次に、第4光源334が消灯し(図10の(d)参照)、その後、第5光源335が消灯する(図10の(e)参照)。最後に、光源336Bが消灯する(図10の(f)参照)。
【0065】
ここで、第1の点灯モードで継続して光源を点灯させると、第2光源332~第5光源335の稼働率は、大きい方から順に、第2光源332、第3光源333、第4光源334、第5光源335となる。例えば、第1光源336(光源336Aまたは光源336B)の稼働率を100%とし、第1光源331~第5光源335が均等なタイミングで点灯、消灯した場合の第2光源332の稼働率を80%、第3光源333の稼働率を60%、第4光源334の稼働率を40%、第5光源稼働率を20%とみなす。この場合、最も稼働率の高い第2光源332と、最も稼働率の低い第5光源335とを組とし、中間の稼働率の第3光源333および第4光源334を組として、第2の点灯モードでは、第1の点灯モードに対して、組ごとに点灯順を入れ替える。点灯順を入れ替えた第2の点灯モードと、第1の点灯モードとを適宜切り替えることによって、各組において光源の稼働率が平準化される。その結果、第2光源332~第5光源335の稼働率(点灯時間)を平準化するこができる。
【0066】
第1および第2の点灯モードは、制御部44の制御のもとで切り替えられるが、照明制御に要した時間や、駆動日数、光源336A(または光源336B)の寿命のいずれかがトリガとなる。切替制御する条件は、予め照明情報記憶部451に記憶される。
【0067】
以上説明した実施の形態2では、実施の形態1と同様、同心円状に配置される八つの光源と、その中心に配置される一つの光源とを有し、一つの色成分の照明光を出射する構成において、八つの光源を4つの群に分け、設定される光量に応じて点灯を制御するようにした。本実施の形態2によれば、最初に点灯する光源が第1光源336に固定されているため、暗いシーンにおける照明光の光特性の変化を抑制しつつ、照明光の光量を制御することができる。また、本実施の形態2によれば、第2光源332~第5光源335における各光源を一括で制御しているため、制御単位を削減でき、その結果、回路規模の大型化を抑制することができる。
【0068】
また、実施の形態2では、第1光源336において光源を二つ設けて、点灯する光源を所定のタイミングで切り替えるとともに、最大稼働率に応じて組とした光源(ここでは第2光源332および第5光源335、第3光源333および第4光源334)の点灯順を入れ替えるようにした。上述した点灯モードの切り替えによって、光源装置における光源全体としての寿命を長くすることができる。
【0069】
さらに、実施の形態2では、稼働率に応じて、最大と最小の稼働率の光源を組として点灯順を制御する構成としたので、光源間の稼働率差を最小にした光源の点灯制御となり、光源の長寿命化をはかることができる。
ここで、駆動の都度、ランダムに抽出可能な機能(乱数)を用いて光源の組み合わせを決定してもよい。ランダムに組み合わせを決定する場合であっても、駆動回数を重ねることによって稼働率が平準化される。
【0070】
なお、上述した実施の形態2では、第1光源群311Bにおいて、第1光源336の一方の光源(光源336Aまたは光源336B)のみから光を出射するものとして説明したが、光源336A、336Bの両方から光を出射させてもよい。この場合、例えば、各光源から出射される光は、第1光源336として出射する光の光量の1/2ずつとする。
【0071】
また、上述した実施の形態2では、第1の点灯モードにおける稼働率に応じて、光源を組み合わせ、点灯順を入れ替えることによって、光源の長寿命化をはかっていたが、点灯する光源の優先を循環させてもよい。例えば、第2光源332を最優先に点灯させる点灯順、第3光源333を最優先に点灯させる点灯順、第4光源334を最優先に点灯させる点灯順、第5光源335を最優先に点灯させる点灯順を循環させる。優先する光源の切り替えは、例えば、上述した実施の形態2において説明した条件とする。
【0072】
また、上述した実施の形態2において、光源336A、336Bの両方から同時に光(第1の光)を出射させてもよい。この場合、第1光源336と、第2光源332~第5光源335とは、調光分解能が同じになる。この場合であっても、最初に点灯する光源が第1光源336に固定され、10個の光源に対して2個を一組として制御するため、暗いシーンにおける照明光の光特性の変化を抑制しつつ、制御単位を減らすことができる。さらに、求められる光量の光を出射できれば、第1光源336、第2光源332~第5光源335の各々の光源の数を一つとしてもよい。
【0073】
また、上述した実施の形態1、2では、第1光源群311Bが、第1光源331(または336)と、その周囲に設けられる四つの光源(第2光源332~第5光源335)を有するものとして説明したが、例えば、第1光源よりも最大発光量が大きく、第1光源よりも調光分解能の低いものであれば、第1光源(第2の発光部)の周囲に設ける光源(第1の発光部)は一つであってもよい。また、第2光源332~第5光源335は、二つの光源を有するものとして説明したが、一つの光源を有するものであってもよいし、三つ以上の光源を有するものであってもよい。さらに、ライトガイドに供給できれば、第1光源~第5光源の配置は、上述した図3、4に示す配置に限らない。
【0074】
また、上述した実施の形態1、2では、光源装置3が内視鏡2とは別体で構成されているものとして説明したが、例えば、内視鏡2の先端に半導体レーザーを設けるなど、光源装置を内視鏡2に設けた構成であってもよい。さらに、内視鏡2に処理装置4の機能を付与してもよい。
【0075】
また、上述した実施の形態1、2では、光源装置3が、処理装置4、3Aとは別体であるものとして説明したが、光源装置3および処理装置4が一体であって、例えば処理装置4の内部に光源部31および照明制御部32が設けられているものであってもよい。
【0076】
また、上述した実施の形態1、2において、光源装置3は、半導体レーザーに換えて、LED光源を用いて構成してもよいし、白色光源(例えばキセノンランプやハロゲンランプ)と、白色光源が照射する照明光の光路上に、赤色の波長帯域、緑色の波長帯域および青色の波長帯域の各々を透過させる3つの透過フィルタを有する回転フィルタと、を設け、回転フィルタを回転させることによって、赤色、緑色および青色の各々の波長帯域を含む照明光を照射するようにしてもよい。
【0077】
また、上述した実施の形態1、2では、本発明にかかる内視鏡システムが、観察対象が被検体内の生体組織などである軟性の内視鏡2を用いた内視鏡システム1であるものとして説明したが、硬性の内視鏡や、材料の特性を観測する工業用の内視鏡、カプセル型の内視鏡、ファイバースコープ、光学視管などの光学内視鏡の接眼部にカメラヘッドを接続したものを用いた内視鏡システムであっても適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上のように、本発明にかかる内視鏡用光源装置は、暗いシーンにおける照明光の光特性の変化を抑制しつつ、照明光の光量を制御するのに有用である。
【符号の説明】
【0079】
1 内視鏡システム
2 内視鏡
3 光源装置
4 処理装置
5 表示装置
21 挿入部
22 操作部
23 ユニバーサルコード
24 先端部
25 湾曲部
26 可撓管部
31 光源部
32 照明制御部
41 画像処理部
42 同期信号生成部
43 入力部
44 制御部
45 記憶部
311B 第1光源群
311G 第2光源群
311R 第3光源群
331、336 第1光源
332 第2光源
333 第3光源
334 第4光源
335 第5光源
332A、332B、333A、333B、334A、334B、335A、335B、336A、336B 光源
451 照明情報記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10