(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-18
(45)【発行日】2023-01-26
(54)【発明の名称】安全装置、少なくとも1つの安全装置を備えたウェハ輸送容器、安全装置を備えた安全システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20230119BHJP
B65D 85/30 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B65D85/30 500
(21)【出願番号】P 2020541995
(86)(22)【出願日】2018-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2018057347
(87)【国際公開番号】W WO2019179628
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】593030945
【氏名又は名称】バット ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】エールネ、フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ネッツァー、マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ホーファー、アンドレアス
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-053137(JP,A)
【文献】特開2004-356478(JP,A)
【文献】特開2015-197221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B65D 85/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全装
置であって、
閉鎖機構(12)によって閉鎖位置に保持される、ウェハ輸送容器(16)のウェハ輸送容器開口要素(14)を少なくとも保護するように構成されている少なくとも1つのポジティブフィットユニット(10)を備えて
おり、前記ポジティブフィットユニット(10)が、前記ウェハ輸送容器開口要素(14)に設けられた少なくとも1つのポジティブフィット凹部(18)と、該ポジティブフィット凹部(18)に部分的に収容される少なくとも1つのポジティブフィット要素(20)と、を含む、安全装置
において、
閉鎖位置にある前記ウェハ輸送容器開口要素(14)を保護する保護状態において、前記ポジティブフィット要素(20)が、前記ポジティブフィット凹部(18)の壁に接触することなく、該ポジティブフィット凹部(18)によって形成される空洞内に配置されるように構成されており、
少なくとも1つのチャンバ(24)であって、基準圧力に対する該チャンバ(24)の内圧の変動を許容するように構成された圧力接続チャネル(26)を含む少なくとも1つのチャンバ(24)をさらに備えており、
前記チャンバ(24)の内圧と基準圧力との間の差圧が減少することによって、前記ポジティブフィット要素(20)が移動することで、安全装置が、前記ウェハ輸送容器開口要素(14)の前記保護状態へ移行する、安全装置。
【請求項2】
安全装置が、少なくとも部分的
に前記ウェハ輸送容器(16)と一体
に形成されている、請求項
1に記載の安全装置。
【請求項3】
前記ポジティブフィットユニット(10)を少なくとも部分的に
前記ウェハ輸送容器開口要素(14)を保護
する保護位置に再偏向させ、かつ/または、該ポジティブフィットユニット(10)を
前記保護位置に保持するように構成された少なくとも1つのリセット要素(22)を
さらに備えている、請求項1
または2に記載の安全装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのリセット要素(22)が、少なくとも
その大部分において、前記チャンバ(24)の内部に配置され
ている、請求項
3に記載の安全装置。
【請求項5】
前記差圧が増加することによって、前記ポジティブフィット要素(20)が前記ポジティブフィット凹部(18)によって形成される空洞内から移動することで、安全装置が、前記ウェハ輸送容器開口要素(14)の前記保護状態を解除する非保護状態へ移行する、請求項
1に記載の安全装置。
【請求項6】
前記保護状態および非保護状態において、周囲圧力と同じ内圧を有する少なくとも1つのさらなるチャンバ(30)を
さらに備えている、請求項1~
5のいずれか一項に記載の安全装置。
【請求項7】
少なくとも部分的に前記チャンバ(24)および前記さらなるチャンバ(30)を区切る、少なくとも1つの移動可能に支持された設定要素(32)を
さらに備えている、請求項
1~6のいずれか一項に記載の安全装置。
【請求項8】
前記設定要素(32)が、前記チャンバ(24)および前記さらなるチャンバ(30)の内圧の圧力差に応じて、前記チャンバ(24)の内部容積(34)および/または前記さらなるチャンバ(30)の内部容積(36)を変化させるように構成され
ている、請求項
7に記載の安全装置。
【請求項9】
少なくとも1つの動作状態において、周囲圧力とは異なる内圧を有するように構成された、少なくとも1つの追加のさらなるチャンバ(38)を
さらに備えている、請求項
1に記載の安全装置。
【請求項10】
前記ポジティブフィットユニット(10)の並進運動を可能にするように構成された線形軸受(40)を
さらに備えている、請求項1~
9のいずれか一項に記載の安全装置。
【請求項11】
前記圧力接続チャネル(26)が、少なくとも前記チャンバ(24)を装填および/または取出しステーション(44)の真空クランプ装置(42)と結合するように構成され
ており、装填および/または取出しステーション(44)が、少なくとも1枚のウェハ(46)をウェハ輸送容器(16)に装填および/またはウェハ輸送容器(16)から取り出すように構成されている
、請求項
1に記載の安全装置。
【請求項12】
安全装置の手動の緊急保護および/または手動の緊急解放用に構成された少なくとも1つの緊急保護および/または緊急解放要素(48)を
さらに備えている、請求項1~
11のいずれか一項に記載の安全装置。
【請求項13】
前記緊急保護および/または緊急解放要素(48)が少なくとも部分的に前記さらなるチャンバ(30)内に配置され
ている
、請求項
12に記載の安全装置。
【請求項14】
前記ポジティブフィット要素(20)の位置を感知するように構成された少なくとも1つの状態センサ(50)を
さらに備えている、請求項1~1
3のいずれか一項に記載の安全装置。
【請求項15】
請求項1~1
4のいずれか一項に記載の少なくとも1つの安全装置を備えるウェハ輸送容器(16)であって、
ウェハ輸送容器開口要素(14)を保護する保護状態において、ウェハ輸送容器(16)の本体(52)からウェハ輸送容器開口要素(14)が完全に取り除かれることを防止するように構成されている、ウェハ輸送容器(16)。
【請求項16】
少なくとも1つの安全装置が、ウェハ輸送容器(16)の本体(52)と一体的に
形成され
ている、請求項
15に記載のウェハ輸送容器(16)。
【請求項17】
ウェハ輸送容器(16)が、少なくとも1つのポジティブフィット凹部(18)を含み、ポジティブフィット凹部(18)が、安全装置の追加のさらなるチャンバ(38)を排気するように構成されるさらなる圧力接続チャネル(54)を
備えている、請求項
15または
16に記載のウェハ輸送容器(16)。
【請求項18】
安全システム(56
)であって、
請求項1~
14のいずれか一項に記載の少なくとも1つの安全装置と、請求項
15~
17のいずれか一項に記載のウェハ輸送容器(16)と、ウェハ(46)をウェハ輸送容器(16)に装填および/またはウェハ輸送容器(16)から取り出すように構成されている装填および/または取出しステーション(44)と、を備えている、安全システム(56)。
【請求項19】
少なくとも、装填および/または取出し位置における装填および/または取出しステーション(44)上のウェハ輸送容器(16)を真空クランプするために、およびチャンバ(24)の内圧を変化させるために、構成された真空ポンプユニット(58)を
備えている、請求項
18に記載の安全システム。
【請求項20】
請求項1~
14のいずれか一項に記載の安全装置と、請求項
15~
17のいずれか一項に記載のウェハ輸送容器(16)と、および/または請求項
18または
19に記載の安全システム(56)と、少なくとも1つのポジティブフィットユニット(10)と、を備える方法であって、
ウェハ輸送容器(16)のウェハ輸送容器開口要素(14)が、閉鎖機構(12)によってその閉鎖位置に保持され、前記ポジティブフィットユニット(10)によって保護される、方法。
【請求項21】
前記
ウェハ輸送容器開口要素(14)の保護が、安全装置のチャンバ(24)の内圧の変化によって
行われる、請求項
20に記載の方法。
【請求項22】
閉鎖機構(12)の故障のない通常の動作において、
前記ポジティブフィット要素(20)が、前記ポジティブフィット凹部(18)の壁に接触することなく、該ポジティブフィット凹部(18)によって形成される空洞内に配置されることによって、前記ウェハ輸送容器開口要素(14)
が前記ポジティブフィットユニット(10)によって保護され、
閉鎖機構(12)の機能不全の場合、前記ウェハ輸送容器開口要素(14)を閉鎖位置の近くに保持するために、前
記ポジティブフィット要素(20)
が、前記ポジティブフィット凹部(18)の壁に接触して該ポジティブフィット凹部(18)によって形成される空洞内に配置される、請求項
20または
21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の安全装置、請求項15に記載の少なくとも1つの安全装置を備えたウェハ輸送容器、請求項18に記載の安全システム、および請求項20に記載の安全装置を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
安全装置は従来技術から知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、特に、有利な保護特性を有する汎用的な装置を提供することである。目的は、本発明によれば、請求項1、15、18および20に記載の特徴によって達成されるが、本発明の有利な実装およびさらなる発展は、従属請求項から見いだすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
安全装置、特にウェハ輸送容器用の安全装置が提案され、少なくとも1つのポジティブフィットユニットが、ウェハ輸送容器のウェハ輸送容器開口要素の保護のために少なくとも構成され、ウェハ輸送容器開口要素は閉鎖機構によって閉鎖位置に保持される。
【0005】
本発明による安全装置を実装することにより、特にフェイルセーフ動作に関して、有利な保護特性が達成可能である。これは、特にウェハ輸送容器の高度なフェイルプルーフ性能、機能安全性および/または動作安全性を有利に達成することを可能にする。有利には、ウェハ輸送容器の不注意による開放、したがって特にウェハ輸送容器の内容物が、例えば、特にウェハ輸送容器の閉鎖機構が故障した場合に落下して損傷することを回避できる。また有利には、落下した部品がぶつかる可能性のあるウェハ輸送容器、特にウェハ輸送容器開口要素および/または外部要素の損傷を回避することを可能にする。さらに、ウェハウェハ輸送容器の内容物がウェハ輸送容器の周囲の雰囲気に曝される範囲を有利に低減することが可能であり、その結果、特に周囲の雰囲気に含まれる粒子が少なくとも部分的にウェハ輸送容器の内部に進入するのを防ぐことができる。有利には、ウェハ輸送容器の内容物の損傷、ウェハ輸送容器自体の損傷、および/または外部要素の損傷により生じるコストを回避することができる。特に高度に自動化されたウェハ製造環境では、部品が不正確に配置されたり、制御なしに落下したりすると、製造の中断時間が発生し、機械や搬送経路の損傷や遮断によって莫大なコストが発生する。そのようなコストは安全装置によって実行される適切な保護によって回避可能である。
【0006】
「安全装置」とは、特に、少なくとも1つの閉鎖機構を保護するように構成された装置であり、閉鎖機構と安全装置は、好ましくは互いに別々に実装される。特に、安全装置は、特に閉鎖機構が故障した場合に、予期しないおよび/または不注意による開放に対して閉鎖機構によって既に閉鎖されているウェハ輸送容器を保護するように構成されている。特に、安全装置の安全要素は、閉鎖機構が故障した場合、特に完全に故障した場合にのみ作動する。閉鎖機構および安全装置、特にポジティブフィットユニットは、閉鎖位置にあるウェハ輸送容器開口要素を保護するために、異なる機能および/または異なる物理的力、例えば圧力および/または摩擦力を使用する。特に、安全装置、特に安全装置のポジティブフィットユニットは、閉鎖機構に関して冗長性のある閉鎖機構を実装する。安全装置、特に安全装置のポジティブフィットユニットは、閉鎖機構に関して少なくとも部分的に多様な冗長性を実現する。安全装置、特に安全装置のポジティブフィットユニットは、受動的冗長性および/または待機冗長性によって閉鎖機構を保護するように構成されている。あるいは、安全装置、特に安全装置のポジティブフィットユニットは、閉鎖機構に関して少なくとも部分的に均一な冗長性を実装することもできる。「構成される」とは、特に、プログラム、設計、および/または装備されていることを意味する。対象を特定の機能のために構成することによって、その対象は、少なくとも1つのアプリケーション状態および/または動作状態において特定の機能を実行および/または実装する。
【0007】
「ウェハ輸送容器」は、特に、閉鎖可能な内部空間を有する輸送容器を意味し、内部空間は、少なくとも1つのウェハを収容するように構成される。特に、ウェハ輸送容器は、少なくとも200mm、好ましくは少なくとも300mm、優先的には少なくとも450mmの直径を有するウェハの輸送のために構成される。ウェハ輸送容器は、少なくとも1枚のウェハ、好ましくは少なくとも3枚のウェハ、有利には少なくとも5枚のウェハ、特に有利には少なくとも10枚のウェハ、好ましくは少なくとも25枚のウェハ、特に好ましくは100枚を超えないウェハの輸送用に構成される。ウェハ輸送容器は、携帯可能であるように具体化される。ウェハ輸送容器は、真空気密に密閉可能であるように具体化される。ウェハ輸送容器は、真空ウェハ輸送容器であることが好ましく、これは、特に、容器の内部に真空雰囲気を生成および/または維持するように構成されている。特に、ウェハ輸送容器は、ウェハを真空雰囲気で保管するように構成される。「真空雰囲気」とは、その圧力が300hPa未満、好ましくは1hPa未満、優先的には10-3hPa未満、特に好ましくは10-6hPa未満である。ウェハ輸送容器は、真空雰囲気下で高い気密性を有し、特に、ウェハ輸送容器の漏洩率は、10-4mbar*l/s未満、好ましくは、10-5mbar*l/s未満であり、有利には10-6mbar*l/s未満、特に有利には10-7mbar*l/s未満、優先的には10-8mbar*l/s未満、特に好ましくは10-9mbar*l/s未満である。あるいは、ウェハ輸送容器は、ウェハを標準雰囲気および/または特別に構成された雰囲気、例えば窒素雰囲気で保管および/または保持するように構成されてもよい。閉鎖機構は、特に真空閉鎖機構として実装される。適切に閉鎖された状態では、ウェハ輸送容器開口要素は、大気圧の力によって閉鎖位置に保持される。適切に閉鎖された状態では、圧力は、ウェハ輸送容器の外部よりもウェハ輸送容器の内部の方が小さく、そのため、特にウェハ輸送容器を閉じる閉鎖力は、ウェハ輸送容器の内部と外部雰囲気との差圧に依存する。あるいは、閉鎖機構は、機械的閉鎖機構および/または磁気的閉鎖機構として具体化されてもよい。「閉鎖位置」は、位置決め区域、特に、ウェハ輸送容器開口要素の位置を意味し、その位置において、ウェハ輸送容器の本体の開口部の近くにウェハ輸送容器開口部要素を配置することによって、および/または、本体の開口部にウェハ輸送容器開口部要素を当接させることによって、ウェハ輸送容器開口要素が、ウェハ輸送容器の内部を少なくとも実質的に、好ましくは完全に閉鎖する。ウェハ輸送容器開口要素は、特にカバーとして具体化され、カバーは、ウェハ輸送容器の基体から完全に分離可能および/または取り外し可能であるように特に実装される。あるいは、ウェハ輸送容器開口要素は、フラップとして、および/またはスライド要素として具体化されてもよい。優先的には、ウェハ輸送容器開口要素は、ウェハ輸送容器の底板を形成する。ウェハ輸送容器が2つ以上のウェハ輸送容器開口要素を備えることが考えられ、好ましくは、ウェハ輸送容器開口要素のすべての閉鎖機構は、安全装置によって保護される。
【0008】
「ポジティブフィットユニット(Formschlusseinheit)」とは、特に、安全装置を介した保護のためのポジティブフィット接続を行うように構成されているユニットである。「ポジティブフィット接続」は、特に、好ましくは力伝達のために、2つの構造部品、特にポジティブフィットユニットの2つの構造部品の少なくとも部分的な幾何学的係合を意味する。ポジティブフィットユニットは、特に、ロックバーユニットとして具体化され、好ましくは、少なくとも1つのロックバー要素および少なくとも1つのロックバー凹部を含み、特に、ポジティブフィット接続の実装および/または準備を目的として、ロックバー要素は、ロックバー凹部に係合し得る。「ポジティブフィット接続を用意する」とは、特に、ロックバー要素が、ロックバー凹部の壁に接触することなく、ロックバー凹部によって形成される空洞内に配置されることである。「ポジティブフィット接続を実施する」とは、特に、ロックバー要素が、ロックバー凹部の壁と接触するように、ロックバー凹部によって形成される空洞内に配置されることである。ポジティブフィットユニットは、ウェハ輸送容器開口要素の緊急ロックを実施し、特に、閉鎖機構が故障した場合にウェハ輸送容器開口要素を閉鎖位置に保持するように構成される。
【0009】
ポジティブフィットユニットが、少なくとも1つのポジティブフィット凹部および少なくとも1つのポジティブフィット要素を備えることがさらに提案され、ポジティブフィット凹部およびポジティブフィット要素は、適切な保護の場合、特に安全装置の保護状態および安全装置の非保護状態の場合に、非接触式に互いに結合するように構成される。これにより、ウェハ輸送容器の高度なフェイルプルーフ性能、機能安全性、および/または操作安全性をもたらすことができると同時に、摩擦などによる粒子の発生を回避する有利な保護特性をもたらすことができる。特にクリーンルーム環境および/または真空環境では、粒子の数を最小限に抑えることで、ウェハなどの繊細なワークピースへの損傷および/または真空シールなどのシール漏れを回避できるため、大きな利点がある。有利には、ポジティブフィット凹部とポジティブフィット要素とが接触し、したがって、粒子の潜在的な生成が、保護状態においてのみ発生し、その場合には閉鎖機構が機能せず、安全装置が機能する。
【0010】
ポジティブフィット凹部は特に、ロックバー凹部、ロックバー開口部および/またはロックバー係合部を実装する。ポジティブフィット要素は、特に突起を実装する。突起は、保護のためにポジティブフィット凹部に係合するように構成されている。特に、ポジティブフィット要素は、ロックバー要素を実装する。ポジティブフィット要素は、特にポジティブフィット凹部に対して、特にポジティブフィット接続を確立および/または解放するように具体化される。あるいは、ポジティブフィット凹部は、特にポジティブフィット接続を確立および/または解放するために、ポジティブフィット要素に対して可動であるように具体化されてもよい。「適切な保護」とは、特に保管段階および/または輸送段階での閉鎖機構によるウェハ輸送容器開口要素の安定したおよび/または真空気密な固定を意味する。「保護状態の適切な解放」とは、特に、所与のパターンに従って実施された、ウェハ輸送容器開口要素の、ウェハ輸送容器の本体からの制御された解放を意味する。保護状態の適切な解放は、ウェハ輸送容器が装填および/または取出しステーションと結合されている状態で優先的に実行される。ポジティブフィット凹部とポジティブフィット要素によって、「非接触方式で相互に結合」することは、ポジティブフィットユニットによって保護が確立されるとき、および/または保護がポジティブフィットユニットによって維持されるときに、ポジティブフィット凹部とポジティブフィット要素には、相互接触点がない。
【0011】
安全装置が、少なくとも部分的にウェハ輸送容器、特にウェハ輸送容器の本体と一体に形成されている場合、特に安全装置の紛失および/または設置忘れを回避できるため、高度の安全性を有利に達成できる。「一体的に具現化された」とは、特に、例えば、溶接プロセス、接着プロセス、射出成形プロセス、および/または当業者によって適切であると見なされる別のプロセスを介して、および/または、例えば、1つの鋳造品からの製造および/または1要素か多要素射出成形プロセスでの製造によって、および有利には単一のブランクから一体で形成されことによって、少なくとも物質対物質結合によって接続されることを意味する。
【0012】
さらに、安全装置は、ポジティブフィットユニット、特にポジティブフィット要素を少なくとも部分的に保護位置に再偏向するように、および/またはポジティブフィットユニットを保持するように、特にポジティブフィットユニットを保護位置に保持するように構成された、少なくとも1つのリセット要素を含む。これは有利には、特にフェイルセーフ機能に関して、安全装置の高度の安全性を達成することを可能にする。特に、このようにして、保護された状態がベース状態として有利に実装される。さらに有利には、このようにして、保護状態の解放に続いて、および/または能動的解放の終了に続いて、保護位置が自律的に確立される。リセット要素は、好ましくは、弾性的に変形可能な要素、例えば、ばねとして具体化され、ばねは特に、柔軟なばね、圧縮ばね、皿ばね、ねじりばね、空気ばねおよび/またはガス圧縮ばね等のばねとして具体化され得る。代替的または追加的に、リセット要素は、ばねとは異なるリセット要素、例えば相互反発磁石および/または弾性変形可能な材料、例えばゴムでできた要素をさらに含んでもよい。さらに、リセット要素、ポジティブフィット要素および/またはポジティブフィット凹部は、代わりに、作動モーターを介して移動可能、制御可能および/または調節可能であり得る。「保護位置」は、特に、ポジティブフィットユニットの位置、特にポジティブフィット要素の位置として実装され、この位置で、閉鎖機構が保護され、および/または、ポジティブフィット要素が特に非接触式で、ポジティブフィット凹部に係合する。
【0013】
さらに、安全装置は、少なくとも1つのチャンバを含み、このチャンバは、特に環境から気密に隔離可能であり、基準圧力に対するチャンバ内の圧力の変動を可能にするように構成された圧力接続チャネルを含む。差圧は、チャンバの内圧と基準圧力から計算され、ポジティブフィットユニットの保護状態に影響を与えるように構成される。このようにして、特に有利な保護特性が達成可能である。さらに、特に機械的駆動部品がなく、それにより、複雑さを低減する、ポジティブフィットユニットを設定する特に有利な方法を創出することができる。さらに有利には、ポジティブフィットユニットを操作するために既存の真空システムを使用することが可能であり、それにより複雑さを低減することが可能になる。「チャンバ」は、特に安全装置において、構造部品の少なくとも大部分が閉じられた中空空間として具体化される。「大きく」とは、特に、少なくとも51%、優先的には少なくとも88%、有利には少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%、特に優先的には少なくとも95%を意味する。特に、圧力接続チャネルを除いて、チャンバは真空気密である。特に、チャンバは、安全装置の少なくとも1つの動作状態で真空になるように構成される。圧力接続チャネルは、少なくともチャンバの内部と、チャンバの外部の環境および/または雰囲気との接続部として構成される。圧力接続チャネルは、特に、チャンバの壁の穴として、チャンバの壁の突破口として、チャンバの開口部として、ダクトとして、可撓性チューブとして、および/または、チャンバの内部と外部との間の接続を形成する別のチャネルとして具体化される。好ましくは、圧力接続チャネルは、真空ポンプユニットの接続要素に向けられており、特に、垂直方向下向きである。安全装置と真空ポンプユニットとの結合、特にウェハ輸送容器と装填および/または取出しステーションとの結合では、圧力接続チャネルは真空ポンプユニットの吸引要素と真空気密に結合するように構成される。圧力接続チャネルと吸引要素との結合は、好ましくは、ウェハ輸送容器と装填および/または取出しステーションとの結合と同時におよび/または自動的に行われる。特に、吸引要素は、装填および/または取出しステーションの真空クランプ装置と一体的に具体化され、負圧を介して装填および/または取出しステーションでウェハ輸送容器に張力をかけるように構成される。吸引要素は、優先的に、真空クランプ装置のチャネルの開口部として具体化される。特に、圧力接続チャネルは、真空ポンプユニットと結合するための結合要素、特に別個の結合要素を含まない。特に、圧力接続チャネルの吸引要素との結合は、圧力接続チャネルの開口部と吸引要素の開口部との直接の接触によってもたらされる。別個の結合要素を省くことは、有利には、複雑さの低減を可能にする。「チャンバの内圧の変動」は、特に、チャンバ内圧の少なくとも80%の低下および/または増加を意味する。「基準圧力」は、特に周囲圧力、好ましくは標準大気圧、例えば1013.25hPa、好ましくはクリーンルーム大気圧、例えば1013.35hPaを意味する。保護状態は、特に、安全装置の保護状態として、および/または安全装置、特にポジティブフィットユニットの非保護状態として実装される。「差圧によって影響を受ける保護状態」とは、特に、安全装置の保護状態および/または安全装置の非保護状態が、差圧に応じて生じることであり、特に、基準圧力の80%を優先的に超える大きな差圧の場合、非保護状態は、特に自動的に、および/または特に差圧が80%未満の低い差圧の場合に生じ、自動的に保護状態になる。
【0014】
少なくとも1つのリセット要素の少なくとも大部分がチャンバの内部に配置される場合、コンパクトな構造を可能にする。「少なくとも大部分が内部」とは、特に少なくとも51%、好ましくは少なくとも66%、有利には少なくとも75%、特に有利には少なくとも85%、好ましくは少なくとも95%、特に好ましくは100%が内部にあることを意味する。
【0015】
さらに、ポジティブフィットユニットは、移動可能に支持されたポジティブフィット要素を少なくとも1つ含み、チャンバの少なくとも1つのチャンバ壁、特にリセット要素が支持されるチャンバ壁に対するポジティブフィット要素の位置は、差圧に依存する。このようにして、特に閉鎖機構を保護する目的で、ポジティブフィットユニットの作動を有利に達成することができ、この作動には機械的作動要素がない。これは、粒子生成を低レベルに維持することを有利に可能にする。あるいは、差圧に応じて移動可能であるように、ポジティブフィット凹部を支持してもよい。特に、少なくとも2つの安定位置を含み、第1の安定位置では、ポジティブフィット要素は、少なくとも部分的におよび/または非接触でポジティブフィット凹部に係合し、第2の安定位置では、ポジティブフィット要素は、ポジティブフィット凹部と係合していない。第1の安定位置と第2の安定位置との間の移動は、特に連続的におよび/または安定した中間位置なしで実施される。
【0016】
差圧が限界差圧を超えた場合に、ポジティブフィットユニット、特にポジティブフィット要素が非保護位置をとるように構成されている場合、ポジティブフィットユニットの通常の状態、特に、圧力接続チャネルが環境に向かって開いている場合に確立される、自動的にもたらされるポジティブフィットユニットの通常の状態は、安全装置の保護状態として実現される。これは、特に安全装置、特にウェハ輸送容器が保管状態および/または輸送状態にある間、特に高度な安全を可能にする。「限界差圧」は、特に、チャンバ内の圧力と基準圧力との間の圧力差によりポジティブフィット要素に作用する圧力が、少なくとも実質的に同じ値を有する差圧として実現され、この値は、リセット要素のリセット力、特にばね弾性力である。特に、限界差圧は、好ましくは標準大気圧である周囲圧力の少なくとも80%超、好ましくは少なくとも90%超、優先的には少なくとも95%超、特に好ましくは少なくとも99%超であり、標準大気圧は1013.25hPaであり、クリーンルーム大気圧は1013.35hPaである。
【0017】
加えて、安全装置は、安全装置の保護状態および安全装置の非保護状態において、周囲圧力と同じ値を有する内圧を有する少なくとも1つのさらなるチャンバを含む。これにより、安全装置内で内圧差を生成できるという利点がある。さらに、真空にされるチャンバの容積は有利に小さく保たれ、その結果、ポジティブフィットユニットの保護および/またはポジティブフィットユニットの保護の解除のための高い調整速度を得ることができる。特に、チャンバおよびさらなるチャンバは、真空気密および/または可動であるように優先的に具体化される少なくとも1つの共有チャンバ壁を有する。特に、チャンバおよび/またはさらなるチャンバの1つまたは複数の内部容積は、特に、チャンバとさらなるチャンバとの間の可動チャンバ壁の位置に応じて可変である。さらなるチャンバは、特に、環境に向かって恒久的に開いている。特に、さらなるチャンバの内圧は、基準圧力に対応する。
【0018】
安全装置は、チャンバおよびさらなるチャンバを少なくとも部分的に区切る少なくとも1つの移動可能に支持された設定要素を含む。これは、有利には、特に電気的および/または機械的駆動要素とは関係なく、チャンバおよびさらなるチャンバのそれぞれの内圧に依存する動きを可能にする。特に、設定要素は、チャンバおよびさらなるチャンバの共有チャンバ壁を実装する。設定要素は、特に気密に移動できるように支持されている。設定要素は、特に、気密に封止された並進移動可能なピストンとして具体化される。安全装置内の設定要素の位置、したがってチャンバとさらなるチャンバの容積は、チャンバおよびさらなるチャンバ間の差圧に依存する。
【0019】
設定要素が変化するように構成されている場合、チャンバおよびさらなるチャンバの内圧の圧力差、チャンバの内部容積および/またはさらなるチャンバの内部容積に応じて、既存の真空システムは、ポジティブフィットユニットの操作に使用でき、その結果、複雑さを軽減できるという利点がある。
【0020】
安全装置は、少なくとも1つの追加のさらなるチャンバを備え、このチャンバは、少なくとも1つの動作状態、特に安全装置の非保護状態において、周囲圧力、特に基準圧力とは異なる内圧を有するように構成される。これにより、安全装置内の圧力分布を最適化できるという利点がある。
【0021】
安全装置が、ポジティブフィットユニット、特にポジティブフィット要素および/またはポジティブフィット凹部の並進運動を可能にするように構成された線形軸受を含む場合、有利には、ポジティブフィットユニットの少なくとも一部の高度な移動性が可能になる。さらに、線形軸受によって粒子生成を抑制することができる。線形軸受は、特に、スライド軸受および/または玉軸受として実装される。線形軸受が、ポジティブフィットユニットと、特に少なくともポジティブフィット要素を案内するガイド要素、特に支持ロッドと少なくとも部分的に一体化されていることも考えられる。
【0022】
さらに、圧力接続チャネルが、特に気密に、可撓性チューブなしで、および/または別個の結合要素なしで結合するように構成されている場合、少なくともチャンバが、装填および/または取出しステーションの真空クランプ装置を備えており、少なくとも1枚のウェハをウェハ輸送容器に装填および/またはウェハ輸送容器から取り出すように構成されており、ポジティブフィットユニットを操作するために既存の真空システムを使用できるため有利であり、したがって複雑さの低減を有利に促進できる。
【0023】
さらに、安全装置は、特にカム機構を実装し、かつ、安全装置、特にポジティブフィットユニットの手動緊急保護および/または緊急解除用に構成された、少なくとも1つの緊急保護および/または緊急解除要素を備える。このようにして、安全装置の手動操作が可能になり、それにより、例えば緊急事態の場合に、オペレータによる容易な介入を可能にする。
【0024】
緊急保護および/または緊急解放要素が少なくとも部分的にさらなるチャンバ内に配置されている場合、これはコンパクトな構造を可能にする。特に、緊急保護および/または緊急解放要素は、さらなるチャンバから完全に取り外し可能ではない。特に、緊急解放の場合、緊急保護および/または緊急解放要素は、少なくとも部分的にさらなるチャンバの外に移動する。緊急保護および/または緊急解放要素は、特に安全装置の外側から見ることができる。特に、手動で非保護状態を確立する目的で緊急保護および/または緊急解放要素が作動している場合、外部から容易に認識できる。これにより、意図しない継続的な手動解放を回避できるという利点がある。緊急保護および/または緊急解放要素が「少なくとも部分的にさらなるチャンバ内に配置される」ことによって、特に、緊急保護および/または緊急解放要素が、安全装置、特にポジティブフィットユニットの手動解放のために引き出されていない、通常の状態において、容量の少なくとも50%、好ましくは容量の少なくとも65%、優先的に容量の少なくとも75%、好ましくは少なくとも75%、特に優先的には、緊急保護および/または緊急解放要素の体積の90%以下が、さらなるチャンバのチャンバ壁によって囲まれている、および/または、緊急保護および/または緊急解放要素を引き出すことによって引き起こされる、安全装置、特にポジティブフィットユニットの非保護状態では、緊急保護および/または緊急解放要素の体積の少なくとも35%、好ましくは体積の少なくとも50%、優先的に体積の少なくとも65%、および好ましくは体積の80%以下が、さらなるチャンバのチャンバ壁に包囲される。
【0025】
安全装置が、安全装置の保護状態、特に安全装置のポジティブフィットユニットのポジティブフィット要素の位置を感知するように構成された少なくとも1つの状態センサを備える。これは有利なことに、保護状態の自動化されたおよび/または電子的な読出しを可能にし、その結果、特に遠隔監視を容易にする。さらに、高度な操作安全性が実現可能であり、特に、例えば、安全装置、特にポジティブフィットユニットの保護状態の自動チェックが、装填および/または取出しステーションによるウェハ輸送容器開口要素の取外しおよび/または開放前に可能になる。これは、安全装置の誤動作によって引き起こされる損傷による危険の低減を可能にする。状態センサは、特に磁気センサとして実装される。あるいは、またはさらに、状態センサは、少なくとも1つの光学センサ、例えば、カメラおよび/または光バリア、および/または接触センサを備えてもよい。
【0026】
さらに、保護状態の場合、特にウェハ輸送容器の閉鎖機構が故障した場合、ウェハ輸送容器開口部要素がウェハ輸送容器の本体から完全に外れるのを防止するように構成された少なくとも1つの安全装置を備えたウェハ輸送容器が提案される。本発明によるウェハ輸送容器の実施により、特にフェイルセーフ動作に関して、特に有利な保護特性が達成可能である。このようにして、特にウェハ輸送容器の高度なフェイルプルーフ性能、機能安全性および/または動作安全性が有利に達成可能である。安全装置は、ウェハ輸送容器開口要素の部分的な除去を可能にし、および/またはウェハ輸送容器開口要素がウェハ輸送容器の本体に押し付けられる圧力を低減することを可能にする。特に、ウェハ輸送容器の安全装置は、それぞれがウェハ輸送容器開口要素の閉鎖機構を保護する少なくとも1つのポジティブフィットユニットを備えた、複数の別々に具現化された保護モジュールを含み得る。特に、安全装置の別々に実装された保護モジュールは、好ましくは規則的に間隔をあけて、ウェハ輸送容器開口要素の周りおよび/またはウェハ輸送容器の本体の周りに円周方向に配置される。保護の場合、特に、ウェハ輸送容器が装填および/または取出しステーションとの連結がない動作状態において、閉鎖機構はウェハ輸送容器を閉鎖位置に保持および/または保持できない。
【0027】
少なくとも1つの安全装置が、ウェハ輸送容器の本体と一体に具現化される場合、単純な構造が有利に促進され得る。
さらに、ウェハ輸送容器、特に少なくともウェハ輸送容器開口要素は、少なくとも1つのポジティブフィット凹部を含み、ポジティブフィット凹部は、安全装置の追加のさらなるチャンバの排気のために構成されるさらなる圧力接続チャネルを実装することが提案される。これにより、安全装置の少なくとも1つのチャンバ、特に安全装置の追加のさらなるチャンバと真空ポンプシステムとの単純な結合を容易にすることが有利に可能になる。
【0028】
さらに、安全システム、特に、少なくとも1つの安全装置、ウェハ輸送容器、および少なくともウェハをウェハ輸送容器から装填および/または取り出すように構成された装填および/または取出しステーションを備えた真空安全システムが提案される。本発明による安全システムの実装は、特にフェイルセーフ動作に関して、有利な安全特性を達成することを特に可能にする。このようにして、特にウェハ輸送容器の高度なフェイルプルーフ性能、機能安全性および/または動作安全性を有利に達成することができる。
【0029】
安全システムが、少なくとも、装填および/または取出し位置において装填および/または取出しステーションでウェハ輸送容器を真空クランプし、チャンバ内の圧力を変化させるために構成された真空ポンプユニットを含む場合、特に有利には1つの真空システムのみが必要であり、2つの別個の真空システムは必要がないので、複雑さを低減することができる。さらに、有利には、チャンバ内の圧力を変化させるために、および互いに真空クランプするために、それぞれの吸引速度を容易に調整することが可能である。これにより、安全装置の安全要素、特にポジティブフィットユニットが、真空クランプ装置によってウェハ輸送容器が装填および/または取出しステーションに正常および/または正しく固定された場合にのみ解放される。特に、真空ポンプユニットとチャンバの圧力接続チャネルとの結合は、ウェハ輸送容器が装填および/または取出しステーションに正常および/または正しく固定されている場合にのみ確立される。特に、真空ポンプユニットは、両方のタスク、特に真空クランプのタスクと、特にポジティブフィットユニットの安全装置を解放するタスクの両方を実行するように構成された単一のポンプを備える。あるいは、真空ポンプユニットは、異なるタスクのための複数のポンプを含み得る。
【0030】
これに加えて、少なくとも1つのポジティブフィットユニットを備えた安全装置を使用する方法が提案されており、閉鎖機構によって閉鎖位置に保持されているウェハ輸送容器のウェハ輸送容器開口要素が、ポジティブフィットユニットによって保護される。本発明による方法の実施は、特に、特にフェイルセーフ動作に関して、有利な保護特性を達成することを可能にする。このようにして、特にウェハ輸送容器の高度なフェイルプルーフ性能、機能安全性および/または動作安全性が有利に達成可能である。
【0031】
さらに、ポジティブフィットユニットの保護および/または保護の解除が、安全装置のチャンバの内圧の変化によって実現されることが提案されている。このようにして、特に別個の機械的および/または電気的駆動ユニットを省くことができるので、複雑さを有利に低いレベルに保つことができる。
【0032】
さらに、閉鎖機構の故障のない通常の動作では、ウェハ輸送容器開口要素は、接触しない方法でポジティブフィットユニットによって保護され、閉鎖の機能不全の場合には、閉鎖位置の近くにあるウェハ輸送容器開口要素を保持するために、ポジティブフィットユニット、特にポジティブフィットユニットのポジティブフィット要素と、ウェハ輸送容器開口要素との接触が確立される。これにより、特に、故障のない通常の動作およびポジティブフィットユニットの保護および/または解放において表面摩擦が回避されるので、故障のない通常の動作における粒子の発生を回避できるという利点がある。特に、閉鎖機構が故障した場合、ウェハ輸送容器開口要素は、ウェハ輸送容器の本体から取り外される。この結果として、例えば重力により、ウェハ輸送容器開口要素はウェハ輸送容器の開口から離れるように移動する。ウェハ輸送容器開口要素の動きは、ポジティブフィットユニットのポジティブフィット要素とウェハ輸送容器開口要素のポジティブフィット凹部との接触をもたらし、結果としてウェハ輸送容器開口部要素が元の位置の近くに保持される。近接とは、特に、閉鎖位置でのウェハ輸送容器開口要素を含む領域として実現され、閉鎖位置からの偏差は、少なくとも一方向において、好ましくはウェハ輸送容器開口要素の主延長面に垂直な方向において、最大10mm、好ましくは最大5mm、有利には最大3mm、好ましくは2mm未満、特に好ましくは少なくとも0.5mmである。構造単位の「主延長面」とは、特に、この構造単位を囲んでいる最小の想像上の直方体の最も大きい面に平行であり、特に、直方体の中心点を通って延びる面である。
【0033】
本発明による安全装置、本発明によるウェハ輸送容器、本発明による安全システム、および本発明による方法は、本明細書では、上述の用途および実施形態に限定されない。特に、本明細書に記載の機能を実現するために、本発明による安全装置、本発明によるウェハ輸送容器、本発明による安全システムおよび本発明による方法は、いくつかのそれぞれの要素、構造、ここに記載されている数とは異なる部品とユニット、および方法ステップを含んでもよい。
【0034】
さらなる利点は、以下の図面の説明から明らかになるであろう。図面には、本発明の例示的な実施形態が示されている。図面、明細書および請求項は、複数の特徴の組み合わせを含んでいる。当業者は、意図的に特徴を個別に検討し、さらなる好都合な組み合わせを見出すであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明による安全システムの概略図であり、本発明による安全装置、ウェハ輸送容器、ならびに装填および/または取出しステーションを有する。
【
図3】安全装置が保護状態にある安全システムの断面図。
【
図4】安全装置が非保護状態にある安全システムの断面図。
【
図5】安全装置の緊急保護要素および/または緊急解放要素によってもたらされた非保護状態の安全装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、安全装置を備えた安全システム56を示す。安全システム56は、真空安全システムとして実施される。安全装置は、ウェハ輸送容器用の安全装置として実施される。安全装置は、3つの安全モジュール60(
図2も参照のこと)を含む。あるいは、安全装置は、3つとは異なる複数の保護モジュール60を備えていてもよい。安全システム56は、ウェハ輸送容器16を備える。ウェハ輸送容器16は、ウェハ46の保管および/または輸送するように構成されている。ウェハ輸送容器16は、ウェハ46を真空で輸送するように構成されている。ウェハ輸送容器16は、真空気密に閉鎖可能であるように具体化される。ウェハ輸送容器16は、真空ウェハ輸送容器として具体化される。
【0037】
ウェハ輸送容器16は、本体52を備える。本体52は、ウェハ輸送容器16の内部の大部分を包囲している。本体52は、開口部62を有する(
図3を参照)。ウェハ輸送容器16に収納されたウェハ46は、ウェハ輸送容器16から取り出すことができ、および/または開口部62からウェハ輸送容器16に導入することができる。開口部62は、ウェハ46の直径よりも大きい直径を有する。ウェハ輸送容器16は、ウェハ輸送容器開口要素14(
図3を参照)を備える。ウェハ輸送容器開口要素14は、ウェハ輸送容器16の開口部62を閉じるように構成される。ウェハ輸送容器開口要素14は、本体52から取り外し可能であるように具体化される。安全装置は、保護の場合に、ウェハ輸送容器開口要素14がウェハ輸送容器16の本体52から完全に取り外されないように構成されている。
【0038】
安全システム56は、装填および/または取出しステーション44を備える。装填および/または取出しステーション44は、ウェハ46をウェハ輸送容器16におよび/またはウェハ輸送容器16から装填および/または取り出すように構成される。ウェハ46の装填および/または取出しのために、装填および/または取出しステーション44は、本体52からウェハ輸送容器開口要素14を解放することにより、ウェハ輸送容器16を開く。ウェハ輸送容器16を開くために、装填および/または取出しステーション44は、装填および/または取出し方向64にウェハ輸送容器開口要素14を動かす。装填および/または取出し方向64は、ウェハ輸送容器開口要素14の主延長面に対して少なくとも実質的に直交する方向に延びる。開いた状態において、ウェハ輸送容器開口要素14は、装填および/または取出しステーション44によって装填および/または取出しステーション44の内部へ下降させられる。ウェハ輸送容器16の装填および/または取出しにおいて、本体52の内部空間は、装填および/または取出しステーション44の内部空間と真空気密に接続される。装填および/または取出しステーション44は、ウェハ輸送容器16から取り出されたウェハ46を少なくとも1つの処理モジュール(図示せず)および/または少なくとも1つの移送モジュール(図示せず)に輸送するように構成される。
【0039】
安全システム56は、真空ポンプユニット58を含む。真空ポンプユニット58は、装填および/または取出し位置にある装填および/または取出しステーション44上のウェハ輸送容器16を真空クランプするように構成される。真空ポンプユニット58は、真空ポンプ66を備える。真空ポンプユニット58は、真空クランプ装置42を備える。真空ポンプ66は、真空クランプ装置42の負圧を生成するように構成される。真空クランプ装置42は、負圧により、ウェハ輸送容器16を、装填および/または取出しステーション44の表面68に対して意図された装填および/または取出し位置に固定して保持するように構成される。
【0040】
図2は、安全システム56の上面図を示している。真空クランプ装置42は、真空クランプ要素70を含む。真空クランプ装置42は、対応する真空クランプ要素72を含む。真空クランプ要素70は、装填および/または取出しステーション44に配置される。真空クランプ要素70は、装填および/または取出しステーション44の表面68の溝状の窪みとして具体化される。対応する真空クランプ要素72は、ウェハ輸送容器16上に配置される。対応する真空クランプ要素72は、本体52から水平に突出する耳形の平らな膨らみとして具体化される。装填および/または取出し位置では、対応する真空クランプ要素72は真空クランプ要素70を完全に覆う。真空クランプにおいて、真空ポンプユニット58は、真空クランプ要素70、72間に負圧を生成し、その結果、対応する真空クランプ要素72を真空クランプ要素70に押し付ける周囲圧力によって引き起こされる押圧力が生じる。真空クランプ要素70、72間の負圧により、本体52は、装填および/または取出しステーション44の表面68に強く押し付けられる。
【0041】
安全システム56は、位置合わせ機構74を含む。位置合わせ機構74は、装填および/または取出しステーション44に対してウェハ輸送容器16を整列させるように構成される。位置合わせ機構74は、ボルトのような態様で具体化される複数の突起76を備える。突起76は、ウェハ輸送容器16の本体52に配置される。位置合わせ機構74は、複数の中空部78を含み、中空部78はそれぞれ、突起76を収容するように構成される。中空部78は、装填および/または取出しステーション44の表面68に配置される。
【0042】
図3は、保護モジュール60の中心を通って延在する断面に沿った安全システム56の断面を示し、
図2では参照符号Aで示されている。
図3に示される状態では、ウェハ輸送容器16および装填および/または取出しステーション44は、非結合状態にある。
図3に示す状態では、安全装置は保護状態にある。ウェハ輸送容器16は、閉鎖機構12を備える。閉鎖機構12は、ウェハ輸送容器開口要素14を閉鎖位置に保持するように構成される。閉鎖機構12は、真空閉鎖機構として具体化される。閉鎖位置では、ウェハ輸送容器開口要素14は、ウェハ輸送容器16の本体52の開口部62を閉鎖する。ウェハ輸送容器16の内部空間における真空により、ウェハ輸送容器開口要素14は、外部圧力によってウェハ輸送容器16の本体52に押し付けられる。閉鎖機構12は、シール要素80を備える。閉鎖機構12のシール要素80は、閉鎖機構12を少なくとも実質的に気密に封止するように構成される。閉鎖機構12のシール要素80は、Oリングとして具体化される。代替的または追加的に、閉鎖機構12のシール要素80は、リップシールおよび/または加硫シールを含むことができる。
【0043】
安全装置は、ポジティブフィットユニット10を備える。ポジティブフィットユニット10は、閉鎖機構12によって閉鎖位置に保持されているウェハ輸送容器16のウェハ輸送容器開口要素14を保護するように構成される。
【0044】
ポジティブフィットユニット10は、ポジティブフィット凹部18を含む。ポジティブフィット凹部18は、ポジティブフィットユニット10のポジティブフィット要素20を部分的に収容するように構成される。ポジティブフィット凹部18は、ウェハ輸送容器開口要素14の溝として形成される。あるいは、ポジティブフィット凹部18は、任意の他の形状、好ましくはポジティブフィット要素20の形状に適合された形状であってもよい。ウェハ輸送容器16が装填および/または取出しステーション44と結合した状態では、ポジティブフィット凹部18は装填および/または取出しステーション44の内部空間に向かって開いている。ポジティブフィットユニット10は、ポジティブフィット要素20を備える。ポジティブフィット要素20は、ポジティブフィット凹部18に部分的に係合するように構成される。ポジティブフィット要素20は、部分的にロッド形状のロックバーとして具体化される。ポジティブフィット凹部18およびポジティブフィット要素20は、適切な保護の場合に非接触方式で互いに結合するように構成される。ポジティブフィット凹部18およびポジティブフィット要素20は、閉鎖機構12の意図しない故障の場合に、接触様式で互いに結合するように構成される。
【0045】
保護モジュール60は、モジュール本体82を含む。モジュール本体82は、保護モジュール60の外側の境界の一部を形成する。ポジティブフィット要素20は、部分的にモジュール本体82内に配置される。ポジティブフィット要素20は、モジュール本体82によって部分的に包囲されている。モジュール本体82は、開口部84を含む。ポジティブフィット要素20は、モジュール本体82の開口部84を通って部分的に延びる。ポジティブフィット要素20は、モジュール本体82の開口部84との接触がない。このようにして、ポジティブフィット要素20が移動する場合には、粒子生成は、有利には、低いレベルに維持され得る。
【0046】
安全装置は部分的に、ウェハ輸送容器16と一体的に具体化されている。安全装置は、ウェハ輸送容器16の本体52と一体的に具体化される。モジュール本体82は、ウェハ輸送容器16の本体52と一体的に具体化される。ポジティブフィット要素20は、モジュール本体82に対して移動可能であるように支持される。安全装置は、ガイド要素90を含む。ガイド要素90は、ポジティブフィット要素20の動きを導くように構成される。ガイド要素90は、丸みを帯びたガイドロッドとして具体化される。ガイド要素90およびポジティブフィット要素20は、一体的に具体化される。安全装置は、線形軸受40を備えている。線形軸受40は、ポジティブフィットユニット10の並進運動を可能にするように構成される。線形軸受40は、ポジティブフィット要素20の並進運動を可能にするように構成される。線形軸受40は、2つの軸受要素86、88を含む。軸受要素86、88は、滑り軸受として実装される。軸受要素86、88は、スライドブッシュを形成する。ポジティブフィット要素20の動きにおいて、軸受要素86、88は、ウェハ輸送容器16に対して静止したままである。軸受要素86、88は、プラスチック材料またはプラスチック被覆金属で形成される。あるいは、線形軸受40は、2つとは異なるいくつかの軸受要素86、88、例えば1つの軸受要素86、88または3つの軸受要素86、88を備えることができる。さらに、線形軸受40は、代替的または追加的に、少なくとも1つの玉軸受を備えることができる。さらに、ポジティブフィット要素20、特にガイド要素90は、例えば、少なくともガイド要素90が特にコーティングによって形成されるスライド面を含むように、線形軸受40と一体に具体化することもできる。
【0047】
安全装置は、チャンバ24を含む。チャンバ24は、保護モジュール60の内部に中空空間を形成する。チャンバ24は、圧力接続チャネル26を含む。圧力接続チャネル26は、チャンバ24を真空クランプ装置42と結合するように構成される。真空クランプ装置42は、吸引チャネル100を備える。吸引チャネル100は、真空ポンプ66に流体接続されている。圧力接続チャネル26と真空クランプ装置42との結合において、吸引チャネル100は、圧力接続チャネル26と気密に接続される。圧力接続チャネル26の吸引チャネル100への接続は、装填および/または取出しステーション44の表面68上の保護モジュール60の密着によってのみ、結合要素および可撓性チューブなしで実施される。
【0048】
圧力接続チャネル26を除いて、チャンバ24は、気密な方法で環境から封止されるように実装される。チャンバ24は内部容積34を有する。圧力接続チャネル26は、基準圧力に対するチャンバ24内の内圧の変動を可能にするように構成される。圧力接続チャネル26は、真空ポンプユニット58のための接続要素を形成する。圧力接続チャネル26によってチャンバ24を排気することが可能である。圧力接続チャネル26は、チャンバ24のチャンバ壁28の穴として実装される。圧力接続チャネル26は、保護モジュール60の下側に配置される。圧力接続チャネル26は、ウェハ輸送容器16がその本体52と結合されている状態で、少なくともウェハ輸送容器の開口要素14の主延長面に対して実質的に垂直である方向に延びる。圧力接続チャネル26は、保護状態にあり、かつ、チャンバ24に向かって開いている非保護状態にある。チャンバ24を区切るチャンバ壁28は、モジュール本体82とは別に形成される。チャンバ24を区切るチャンバ壁28は、モジュール本体82とねじ止めされる。これは、有利には保護モジュール60の簡単な組立ておよび/または保守を可能にする。チャンバ24を区切るチャンバ壁28は、非破壊的に取り外し可能であるように形成される。あるいは、チャンバ24を区切るチャンバ壁28の少なくとも一部は、ウェハ輸送容器16と一体的に形成されてもよい。
【0049】
チャンバ24の内圧と基準圧力との差が差圧となる。差圧は、ポジティブフィットユニット10の保護状態に影響を与えるように設定されている。チャンバ24の不動のチャンバ壁28に対するポジティブフィット要素20の位置は、差圧に依存する。ポジティブフィットユニット10は、差圧が限界差圧を超える場合に非保護位置を取るように構成される。差圧が限界差圧未満である場合、ポジティブフィット要素20は、ポジティブフィット凹部18と係合していない。ポジティブフィットユニット10は、差圧が限界差圧を下回る場合に保護位置を取るように構成される。差圧が限界差圧を超える場合、ポジティブフィット要素20は、ポジティブフィット凹部18と係合している。限界差圧は、差圧の限界値である。
【0050】
安全装置はリセット要素22を含む。リセット要素22は、ポジティブフィットユニット10を保護位置に再偏向させるように構成される。リセット要素22は、ポジティブフィットユニット10を保護位置に保持するように構成される。リセット要素22は、圧縮ばねとして具体化される。リセット要素22のリセット力は、ポジティブフィット要素20の主延在方向と平行に延びる方向に作用する。対象の「主延長方向」とは、本明細書では特に、対象を完全に囲んでいる最小の幾何学的な直方体の最長辺に平行に延びる方向である。リセット要素22のリセット力は、ポジティブフィット要素20に少なくとも間接的に作用する。リセット要素22のリセット力は、ポジティブフィット要素20を保護位置に押す。リセット要素22は、チャンバ24内に配置される。リセット要素22は、ウェハ輸送容器16とは反対側を向くチャンバ壁28の内面に当接する。リセット要素22は、ガイド要素90の周りに部分的に係合する。ウェハ輸送容器16とは反対側のチャンバ壁28は、突出部92を含む。突出部92は、円筒形状を有する。突出部92は、リセット要素22を部分的に収容するように構成される。突出部92は、例えば、ウェハ輸送容器16の移動の場合に、リセット要素22の滑りを有利に防止するように構成される。
【0051】
安全装置は、さらなるチャンバ30を含む。さらなるチャンバ30は、内部容積36を有する。安全装置の保護状態および非保護状態では、さらなるチャンバ30は、周囲圧力と同一の内圧を有する。周囲圧力は、大気圧またはクリーンルームの大気圧である。ウェハ輸送容器16から見て、さらなるチャンバ30は、チャンバ24の前に配置される。ガイド要素90は、さらなるチャンバ30内に配置される。線形軸受40は、さらなるチャンバ30内に配置される。安全装置は、移動可能に支持された設定要素32を含む。移動可能に支持された設定要素32は、可動ピストンとして具体化される。移動可能に支持された設定要素32は、チャンバ24を部分的に区切る。移動可能に支持された設定要素32は、さらなるチャンバ30を部分的に区切る。チャンバ24およびさらなるチャンバ30は、移動可能に支持された設定要素32によって互いに気密に封止されている。移動可能に支持された設定要素32は、シール要素94を含む。移動可能に支持された設定要素32のシール要素94は、Oリングとして具体化される。代替的または追加的に、移動可能に支持された設定要素32のシール要素94は、リップシールおよび/または加硫シールを含むことができる。
【0052】
ガイド要素90は、移動可能に支持された設定要素32を通って案内される。ガイド要素90は、固定装置98を介して移動可能に支持された設定要素32に固定して接続される。固定装置98はベンジン(Benzing(登録商標))止め輪を含む。代替的または追加的に、固定装置98は、シーガー(Seeger(登録商標))止め輪、ワイヤロックおよび/またはねじを含んでもよい。移動可能に支持された設定要素32は、さらなるシール要素96を備える。移動可能に支持された設定要素32のさらなるシール要素96は、気密な方法で、チャンバ24を通過するガイド要素90を封止するように構成される。移動可能に支持された設定要素32のさらなるシール要素96は、Oリングとして具体化される。代替的または追加的に、移動可能に支持された設定要素32のさらなるシール要素96は、リップシールおよび/または加硫シールを含むことができる。移動可能に支持された設定要素32は、チャンバ24とさらなるチャンバ30の内圧の圧力差に応じて、チャンバ24の内部容積34を変化させるように構成される。移動可能に支持された設定要素32は、チャンバ24とさらなるチャンバ30の内圧の圧力差に応じて、さらなるチャンバ30の内部容積36を変化させるように構成される。
【0053】
安全装置は、状態センサ50を含む。状態センサ50は、安全装置の保護状態を感知するように構成されている。状態センサ50は、装填および/または取出しステーション44に配置される。状態センサ50は、安全装置の保護状態を、装填および/または取出しステーション44に伝達するように構成される。このようにして、安全装置、特にポジティブフィットユニットの安全を確保しながら、装填および/または取出しステーション44によってウェハ輸送容器開口要素14を開くための開口プロセスの開始を防ぐことが有利に可能であり、そのため、ウェハ輸送容器16への損傷を有利に回避することができる。状態センサ50は、安全センサモジュール60の構成要素、特にガイド要素90および/またはポジティブフィット要素20の構成要素の動きおよび/または位置を捕捉することができる磁気センサを含む。
【0054】
安全装置は、追加のさらなるチャンバ38を含む。追加のさらなるチャンバ38は、少なくとも1つの動作状態において、周囲圧力とは異なる内圧を有するように構成される。ウェハ輸送容器16から見て、追加のさらなるチャンバ38は、さらなるチャンバ30の前に配置される。ウェハ輸送容器16から見て、追加のさらなるチャンバ38は、チャンバ24の前に配置される。追加のさらなるチャンバ38は、さらなるチャンバ30に対して気密に封止される。安全装置は、追加のシール要素102を含む。安全装置の追加のシール要素102は、さらなるチャンバ30および追加のさらなるチャンバ38を互いに気密に隔離するように構成される。安全装置の追加のシール要素102は、圧縮可能であるように具体化される。安全装置の追加のシール要素102は、ポジティブフィット要素20および/またはガイド要素90の移動時に圧縮および/または拡張されるように構成される。安全装置は、移送要素104を含む。移送要素104は、ガイド要素90および/またはポジティブフィット要素20の動きを安全装置の追加のシール要素102に伝達するように構成される。移送要素104は、ガイド要素90と一体的に形成される。移送要素104は、ポジティブフィット要素20と一体的に形成される。安全装置の追加のシール要素102は、縁溶接されたベローズ要素として具体化される。縁溶接されたベローズ要素は金属製である。ポジティブフィット要素20は、追加のさらなるチャンバ38内に部分的に配置される。追加のさらなるチャンバ38は、モジュール本体82の開口部84によって外部に開放される。ウェハ輸送容器16の非結合状態では、追加のさらなるチャンバ38の内圧は、周囲圧力と同じである。
【0055】
図4は、
図3と同様に、保護モジュール60の中心を通って延在する断面に沿った安全システム56の断面を示し、
図2では参照符号Aで示されている。
図4に示す状態では、ウェハ輸送容器16および装填および/または取出しステーション44は結合された状態にある。
図4に示す状態では、安全装置は非保護状態にある。非保護状態では、チャンバ24は圧力接続チャネル26を介して排気され、その結果、移動可能に支持された設定要素32がウェハ輸送容器16から離れる方向に押される。これにより、チャンバ24の内部容積34は減少し、追加のさらなるチャンバ38の内部容積130は増加する。さらに、このために、ポジティブフィット要素20は、追加のさらなるチャンバ38内に大幅に引き込まれるように配置される。安全装置の追加のシール要素102は圧縮されている。
【0056】
ウェハ輸送容器16に実装されたポジティブフィット凹部18は、さらなる圧力接続チャネル54を形成する。さらなる圧力接続チャネル54は、安全装置の追加のさらなるチャンバ38を排気するように構成される。さらなる圧力接続チャネル54による追加のさらなるチャンバ38の排気の可能性は、ウェハ輸送容器16が装填および/または取出しステーション44と結合されるときの状態に限られる。ウェハ輸送容器16と装填および/または取出しステーション44との結合状態では、圧力接続チャネル54は、ウェハ輸送容器開口要素の下側と装填および/または取出しステーション44の上側との間の気密に隔離された隙間106への追加のさらなるチャンバ38の接続を実現する。隙間106の内圧は、チャンバ24の内圧と結合される。チャンバ24の内圧および隙間106の内圧、したがって追加のさらなるチャンバ38の内圧も、真空ポンプユニット58の真空ポンプ66によって生成される。真空ポンプユニット58は、チャンバ24内の内圧を変化させるように構成されている。
【0057】
安全装置は、緊急保護および/または緊急解放要素48を備える。緊急保護および/または緊急解放要素48は、安全装置の手動の緊急保護および/または手動の緊急解放のために構成される。緊急保護および/または緊急解放要素48は、少なくとも部分的にさらなるチャンバ30内に配置される。緊急保護および/または緊急解放要素48は、さらなるチャンバ30内で移動可能に支持される。緊急解放の場合、オペレータは、緊急保護および/または緊急解放要素48を追加のチャンバ30から引き出す。緊急保護および/または緊急解放要素48は、保護モジュール60から突出する引出しレバーとして具体化される。
【0058】
図5は、保護モジュール60を通って延び、
図2において参照符号Bで示される別の断面に沿った安全システム56の別の断面を示す。
図5に示す状態では、安全装置の安全要素は、緊急保護および/または緊急解放要素48を介して解放されている。緊急保護および/または緊急解放要素48は、緊急解放において、移動可能に支持された設定要素32をチャンバ24に向かって変位させるように構成される。緊急保護および/または緊急解放要素48は、緊急解放において、ポジティブフィット要素20をチャンバ24に向かって押すように構成される。緊急保護および/または緊急解放要素48は、緊急解放において、ポジティブフィット要素20とポジティブフィット凹部18との係合を解除するように構成される。緊急保護および/または緊急解放要素48は、カム機構108を備える。カム機構108は、緊急保護および/または緊急解放要素48の動きを、緊急保護および/または緊急解放要素48の動きに対して垂直な、移動可能に支持された設定要素32および/またはポジティブフィット要素20の動きに変換するように構成される。カム機構108は、傾斜面110およびピン112を備える。傾斜面110は、緊急保護および/または緊急解放要素48上に配置される。傾斜面110は、材料の厚みが小さい緊急保護および/または緊急解放要素48の部分を、材料の厚みが大きい緊急保護および/または緊急解放要素48の部分と接続する。ピン112は、移動可能に支持された設定要素32上に配置される。安全装置の保護状態では、ピン112は、材料の厚みが小さい緊急保護および/または緊急解放要素48の部分に当接する。緊急保護および/または緊急解放要素48が垂直方向に引き出されると、傾斜面110は、垂直方向に動かないピン112に沿って動く。緊急保護および/または緊急解放要素48の材料の厚さは、傾斜面110に沿って増加し、したがって、ピン112は、必然的に水平に偏向される。安全装置の緊急解除の状態では、ピン112は、より大きな材料厚さを有する緊急保護および/または緊急解除要素48の部分に当接する。次いで、緊急保護および/または緊急解放要素48がさらなるチャンバ30内に戻されると、リセット要素22は、移動可能に支持された設定要素32および/またはポジティブフィット要素20を元の保護状態の位置に戻す。
【0059】
図6は、安全装置を使用する方法のフローチャートを示している。少なくとも1つの方法ステップ114では、ウェハ輸送容器16が輸送および/または保管される。この輸送および/または保管中に、少なくとも1つの方法ステップ116において、閉鎖機構12によって閉鎖位置に保持されるウェハ輸送容器開口要素14は、ポジティブフィットユニット10によって保護される。閉鎖機構12の故障のない通常の動作では、少なくとも1つの方法ステップ120で、ウェハ輸送容器開口要素14は、無接触方式でポジティブフィットユニット10によって保護される。閉鎖機構12の機能不全の場合、少なくとも1つの方法ステップ118において、ポジティブフィットユニット10とウェハ輸送容器開口要素14とのタッチ接触が確立される。ここで、ポジティブフィットユニット10とウェハ輸送容器開口要素14とのタッチ接触は、閉鎖位置の近傍でのウェハ輸送容器開口要素14の保持を確実にする。少なくとも1つの方法ステップ122において、ウェハ輸送容器16は、装填および/または取出しステーション44と結合される。少なくとも1つの方法ステップ124では、ポジティブフィットユニット10の保護および/または解放が、安全装置のチャンバ24内の内圧の変化によってもたらされる。ウェハ輸送容器開口要素14を保護するために、少なくとも1つの方法ステップ128において、ポジティブフィット要素20は、チャンバ24とさらなるチャンバ30との間の差圧を減少させることにより、保護位置に移動する。ウェハ輸送容器開口要素14の保護を解除するために、少なくとも1つの方法ステップ126において、ポジティブフィット要素20は、チャンバ24とさらなるチャンバ30との間の差圧の増加によって非保護位置に移動する。
【符号の説明】
【0060】
10…ポジティブフィットユニット、12…閉鎖機構、14…ウェハ輸送容器開口要素、16…ウェハ輸送容器、18…ポジティブフィット凹部、20…ポジティブフィット要素、22…リセット要素、24…チャンバ、26…圧力接続チャネル、28…チャンバ壁、30…さらなるチャンバ、32…設定要素、34…内部容積、36…内部容積、38…追加のさらなるチャンバ、40…線形軸受、42…真空クランプ装置、44…装填および/または取出しステーション、46…ウェハ、48…緊急保護および/または緊急解放要素、50…状態センサ、52…本体、54…さらなる圧力接続チャネル、56…安全システム、58…真空ポンプユニット、60…保護モジュール、62…開口部、64…装填および/または取出し方向、66…真空ポンプ、68…表面、70…真空クランプ要素、72…対応する真空クランプ要素、74…位置合わせ機構、76…突起、78…中空部、80…シール要素、82…モジュール本体、84…開口部、86…軸受要素、88…軸受要素、90…ガイド要素、92…突出部、94…シール要素、96…さらなるシール要素、98…固定装置、100…吸引チャネル、102…追加のシール要素、104…移送要素、106…間隙、108…カム機構、110…傾斜面、112…ピン、114…方法ステップ、116…方法ステップ、118…方法ステップ、120…方法ステップ、122…方法ステップ、124…方法ステップ、126…方法ステップ、128…方法ステップ、130…内部容積、A…断面、B…断面。