(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-18
(45)【発行日】2023-01-26
(54)【発明の名称】使い捨てプリンタカートリッジのための拡張モジュールおよびプリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
B41J2/165 301
B41J2/165 101
(21)【出願番号】P 2020568276
(86)(22)【出願日】2019-06-04
(86)【国際出願番号】 NL2019050325
(87)【国際公開番号】W WO2019235916
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-03-14
(32)【優先日】2018-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】520474174
【氏名又は名称】メファム ベー フェー
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デ グルート、メインデート
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-538157(JP,A)
【文献】特開平05-162320(JP,A)
【文献】特開平04-211972(JP,A)
【文献】特開2007-125882(JP,A)
【文献】特開2004-066539(JP,A)
【文献】特開平09-150522(JP,A)
【文献】特開2016-097597(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0118438(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットノズルが備えられている使い捨てプリンタカートリッジ(2)を受けて保持するのに適した拡張モジュール(1)であり、使い捨てプリンタカートリッジ(2)はプリンタに据えるために備え付けられているものにおいて、
拡張モジュール(1)は、使い捨てであるとともにプリンタの構造部分を形成しない独立した要素であり、拡張モジュール(1)が、蓋手段(3)と拭き取り手段(4)と
を備え、これら蓋手段(3)と拭き取り手段(4)とは、それぞれプリンタカートリッジ(2)の前記インクジェットノズルの蓋をし、拭き取りを行なうよう構成され
、蓋手段(3)および拭き取り手段(4)が、フレーム(5)に取り付けられている移動式の扉(7、8)に備えられ、
蓋手段(3)は、この蓋手段(3)を支持する扉(7)に取り付けられた、シリコンキャップにて構成されたノズルシールであり、
拭き取り手段(4)は、この拭き取り手段(4)を支持する扉(8)に取り付けられた、スポンジにて構成された廃インクコレクタの構成であることを特徴とする拡張モジュール。
【請求項2】
拡張モジュール(1)が使い捨てプリンタカートリッジ(2)を受けることができるフレーム(5)を備えていることを特徴とする請求項
1記載の拡張モジュール。
【請求項3】
使い捨てプリンタカートリッジ(2)と一緒に組み立てられた場合に、フレーム(5)が、このフレーム(5)の中に、使い捨てプリンタカートリッジ(2)の往復運動のための空間を残していることを特徴とする請求項1
または2記載の拡張モジュール。
【請求項4】
蓋手段(3)および
拭き取り手段(4)が、フレーム(5)に移動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項
1から3までのいずれか1項記載の拡張モジュール。
【請求項5】
蓋手段(3)および
拭き取り手段(4)のための扉(7、8)が、第1の蝶番(9)と第2の蝶番(10)とによってそれぞれフレーム(5)に接続されていることを特徴とする請求項1から
4までのいずれか1項記載の拡張モジュール。
【請求項6】
第1の蝶番(9)および、または第2の蝶番(10)は、ばね負荷を掛けられたものであることを特徴とする請求項
5記載の拡張モジュール。
【請求項7】
蓋手段(3)および
拭き取り手段(4)を動作位置と非動作位置との間で変更することが、フレーム(5)に対する使い捨てプリンタカートリッジ(2)の運動によりもたらされるものであることを特徴とする請求項
3から
6までのいずれか1項記載の拡張モジュール。
【請求項8】
拭き取り手段(4)は、扉(8)における拡張モジュール(1)のフレーム(5)との蝶番(10)から距離をおいた位置に設けられた膨出部(11)を備えていることを特徴とする請求項
1から7までのいずれか1項記載の拡張モジュール。
【請求項9】
インクジェットノズルが備えられている使い捨てプリンタカートリッジ(2)を受けるように構成されたプリンタ(6)であって、前記使い捨てプリンタカートリッジ(2)と、請求項1から
8までのいずれか1項記載の拡張モジュール(1)とを受けて収納するよう構成されていることを特徴とするプリンタ。
【請求項10】
拡張モジュール(1)のフレーム(5)の中で使い捨てプリンタカートリッジ(2)を動かすための、使い捨てプリンタカートリッジ(2)を作動するアクチュエータ(12)を有することを特徴とする請求項
9記載のプリンタ。
【請求項11】
レール(13)を有し、アクチュエータ(12)が、使い捨てプリンタカートリッジ(2)に接続することができるアクチュエータアーム(14)を有し、このアクチュエータアーム(14)がプリンタ(6)の中のレール(13)に沿って移動可能であることを特徴とする請求項
10記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨てインクジェットノズルが備えられているプリンタカートリッジを受けて保持するのに適した拡張モジュールに関する。使い捨てプリンタカートリッジはプリンタの中に据えるために備え付けられ、そのプリンタカートリッジは非多孔性基板に印刷するよう備え付けられている。
【背景技術】
【0002】
非多孔性基板(例えばガラス、金属、プラスチック等)に印刷を付着させるためには、揮発性有機化合物(VOC′s)中に懸濁しているインク/着色剤を使用する必要がある。インクジェットノズルで印刷した後、揮発性有機化合物は空気にさらされ、蒸発する。揮発性有機化合物が蒸発した時点で、インク/着色剤は非多孔性基板に残され、印刷をその上に付着させる。
【0003】
揮発性有機化合物の蒸発が早いほど、基板上のインクもまた早く乾燥する。問題はこれと同じ効果がインクジェットカートリッジのプリンタヘッドのノズルの中においても発生することである。ノズルは開放されているため、ノズルの中のインクは空気にさらされ、揮発性有機化合物が蒸発する。結果として、プリンタが待機状態となる時、インクもまたノズルの中で乾燥し、固まる。
【0004】
ノズルの中のインクからの揮発性有機化合物の望ましくない蒸発による問題は、連続的な印刷においては発生しない。なぜなら、インクがノズルから噴出し、揮発性有機化合物が乾燥する時間が経過する前に新しいインクにすぐに置き換わるためである。しかし最小の印刷待機時間でさえただちに乾燥してしまう特定のインクでは、ノズルを(部分的に)詰まらせる可能性がある。
【0005】
したがって問題は、揮発性有機化合物が早く蒸発するほど、基板の上で印刷がより早く乾燥するだけではなく、印刷が中断された時のノズルの詰まりもより早く起こることにある。これにより、印刷が中断した後に再開した時の、最初の印刷において、印刷のドットが失われる可能性がある。またはインクジェットノズルがあまりにも長い時間露出状態/アイドル状態とされた時には、ノズルに完全なつまりが生じる可能性がある。欠陥なしに印刷を再開するためには、それゆえノズルの中でインクがすでに乾燥している程度に応じて、ノズルをフラッシング(パージングまたはスピッチングと呼ばれる)する必要があり、また(付着したインクまたは汚れを清掃するため)ノズルを拭き取りする必要がある。最悪の場合、ノズルが回復できる程度を越えて詰まっている場合は、カートリッジそのものを交換しなければならない必要が生じる可能性さえある。これにより、カートリッジに残されたインクを完全に廃棄することが生じるだけでなく、費用のかかる生産休止期間をも生じさせる可能性がある。
【0006】
上述のパージングまたはスピッチングは、基本的には、一定の時間間隔で各ノズルから少量のインクを空気中に放出することで、乾いたインクをノズルから除去させる動作である。インクが乾く早さに応じて、それぞれのスピッチング/印刷の間の間隔も短くすることができる、または短くしなければならない。スピッチングまたはパージングにより、印刷が中断された期間に続く印刷の再開後の最初の印刷で、1つ(または複数)の詰まったノズルにより印刷のドットが失われることが防止される。基本的に、パージングまたはスピッチングの技術によって、印刷が再開される直前に、全てのノズルは乾燥したインクが吹き飛ばされて清掃される。したがって印刷の前に行われるスピッチングのタイミングの周期をより短くすることで、どのドットも失われずに最初の印刷が完璧に行われる公算がより大きくなる。このことは、プリンタヘッドのノズルが蓋をされていた場合においても、全てのノズルが開口されていることを確実にするために、蓋を外した後かつ印刷を再開する直前にスピッチングを行うことがやはり適切であろうことも意味する。
【0007】
本発明は、上述の課題や目的に簡単な解決策を提供することを目標とする。
【0008】
特許文献1(米国特許第7461919号明細書)は、複数のプリンタヘッド集積回路を縦方向に支持する細長い支持部材と、この支持部材の縦方向の一端に蓋をする要素とを有する少なくとも一つのプリンタヘッドモジュールに取り外し自在に取り付けられた筐体を有するインクジェットプリンタヘッドアセンブリを公開している。支持部材は、プリンタヘッド集積回路のインクジェットノズルへインクを運んで供給するための、複数の縦方向のチャネルを備える。細長い支持部材における縦方向の両端部は、互いに異なった構造であり、そして互いに相補的に構成されている。蓋をする要素は、チャネルをシールするために、縦方向の両端部のいずれかに蓋をするように構成されている。
【0009】
特許文献2(米国特許第9221261号明細書)は、インクジェットプリンタヘッドアセンブリを有するプリンタを開示している。当該プリンタは、プリンタヘッドアセンブリに対してスライド可能な関係で配置されているスレッドを有する。スレッドは、プラテンモジュールと、蓋モジュールと、拭き取りモジュールとを支持している。当該プリンタは、プラテンと蓋モジュールと拭き取りモジュールとのうちの一つを選択的にプリンタヘッドアセンブリに配列させるために、プリンタヘッドアセンブリに対してスレッドをスライドさせるためのスライド機構を有する。そして当該プリンタは、配列されたモジュールを直線的にスレッドから離しプリンタヘッドアセンブリに向けて持ち上げる持ち上げ機構を有する。プラテンモジュールは、スレッドの蓋モジュールと拭き取りモジュールとの間に据えられて、蓋モジュールと拭き取りモジュールとが印刷時にプリンタヘッドアセンブリのそれぞれ反対側に位置するようにされている。
【0010】
使い捨てプリンタカートリッジを操作しないプリンタであるゆえに、使い捨てプリンタカートリッジに関連する本発明のプリンタから離れた関係にあるプリンタが、特許文献3(米国特許出願公開第2006/119657号明細書)、特許文献4(米国特許第9233541号明細書)、特許文献5(米国特許出願公開第2017/173959号明細書)によって知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第7461919号明細書
【文献】米国特許第9221261号明細書
【文献】米国特許出願公開第2006/119657号明細書
【文献】米国特許第9233541号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/173959号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述の課題や目的に簡単な解決策を提供することを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によると、プリンタカートリッジの拡張モジュールが提案され、その拡張モジュールは、プリンタの構造部分を形成しない、使い捨てで独立した要素であって、蓋手段と拭き取り手段との少なくとも1つを構成し、それらがそれぞれプリンタカートリッジの前記インクジェットノズルの蓋をし、拭き取りを行なうよう構成されている。本発明の使い捨て拡張モジュールは、既存の使い捨てプリンタカートリッジにおいて費用対効果を高く使用することができ、以降はこの目的のためのさらなる改造を必要としない。
【0014】
本発明の使い捨て拡張モジュールは、好ましくは蓋手段と拭き取り手段との両方を備える。これは、蓋をしかつ拭き取りを行う手段を有するプリンタに関する先行技術よりも大きな利点を備える。本発明の使い捨て拡張モジュールでは、拭き取り手段は、ただ1つの使い捨てプリンタカートリッジの使用期間における余剰インクを吸収するのに十分な容量を要求されるのみである。このプリンタカートリッジを使い切った時は、拡張モジュールはプリンタカートリッジと一緒に廃棄することができ、そして本発明による別の拡張モジュールと一緒に組み立てられた新しいプリンタカートリッジをプリンタに据えることができる。これ以降、プリンタの動作の品質に途方もなく大きな利益が与えられる。
【0015】
本発明は、インクジェットノズルが設けられている使い捨てプリンタカートリッジが備え付けられているプリンタにも関連し、本発明によると、プリンタが、さらに、本発明の拡張モジュールを備えた使い捨てプリンタカートリッジの組立品を受けて収納するよう構成される。
【0016】
好ましくは、拡張モジュールが、使い捨てプリンタカートリッジを受けることができるフレームを有する。
【0017】
拡張モジュールが使い捨てプリンタカートリッジを受け、したがって使い捨てプリンタカートリッジと一緒に組み立てられたときに、フレームが、使い捨てプリンタカートリッジの往復運動のための空間を、この拡張モジュールのフレームの中に依然として残すことが好ましい。
【0018】
拡張モジュールのフレームの中での使い捨てプリンタカートリッジの往復運動は、拡張モジュールのフレーム内のプリンタカートリッジを移動させるために、プリンタ中に受けられた使い捨てプリンタカートリッジを作動させるアクチュエータをプリンタが有するという、本発明のプリンタの好ましい特徴に相当する。この特徴の利点は、蓋手段および、または拭き取り手段を動作位置と非動作位置との間で位置変更することが、拡張モジュールのフレームに対する使い捨てプリンタカートリッジの移動によりもたらされるという、本発明の使い捨て拡張モジュールの好ましい実施の形態によって、特に達成される。この特徴の利点は、プリンタがレールを備え、そしてアクチュエータが使い捨てプリンタカートリッジに接続することができるアクチュエータアームを有し、そしてアクチュエータアームがプリンタの中のレールに沿って移動可能であることで、好ましく達成することができる。
【0019】
ここに述べたプリンタの態様に対応して、蓋手段および、または拭き取り手段が拡張モジュールのフレームに移動可能に取り付けられているという特徴を拡張モジュールが有することが好ましい。
【0020】
好ましい実施の形態においては、蓋手段および、または拭き取り手段が、フレームに取り付けられた可動式の扉に設けられる。
【0021】
好ましくは、蓋手段および、または拭き取り手段のための扉が、第1の蝶番と第2の蝶番とによって、それぞれ、使い捨て拡張モジュールのフレームに接続される。
【0022】
さらに好ましくは、第1の蝶番および、または第2の蝶番に、ばね負荷が掛けられている。
【0023】
蓋手段および、または拭き取り手段が拡張モジュールのフレームに移動可能に装着されていること、および特にこれら蓋手段と拭き取り手段とが、蝶番にて支持された扉に据え付けられていることによって、使い捨てプリンタカートリッジを拡張モジュールのフレーム内において休止位置から印刷位置まで移動させ、それによって、プリンタカートリッジは、第一に蓋手段をその非動作位置に位置させ、第二に、実際の印刷を始める前に、拭き取り手段を、インクジェットノズルを清掃するための動作が可能なようにさせる。反対に、印刷した後は、プリンタカートリッジが、拡張モジュールのフレーム内において、印刷位置から休止位置に後退するように引き込められ、使い捨てプリンタカートリッジは、第一に拭き取り手段を次の拭き取り動作のための準備完了状態に戻し、そして第二に、使い捨てプリンタカートリッジのインクジェットノズルを閉じるために蓋部材を動作状態とさせる。拭き取り手段を準備完了状態へ戻すことと、蓋手段を再び動作位置に位置させるさせることとは、これらそれぞれの手段が取り付けられ、ばね負荷が掛けられた扉により補助される。
【0024】
望ましくは、蓋手段は、この蓋手段を支持する扉に装着された好ましくはシリコン蓋であるところのノズルシールにて構成される。
【0025】
さらに、望ましくは、拭き取り手段は、この拭き取り手段を支持する扉に装着された、好ましくはスポンジである廃インクコレクタにて構成される。
【0026】
さらに、好ましくは、拭き取り手段が、扉におけるフレームとの蝶番から距離をおいた位置に設けられた膨出部を有する。使い捨てプリンタカートリッジが拡張モジュールのフレームの中を移動して、拭き取り手段が設けられた扉を開くときに、前記の膨出部は、使い捨てプリンタカートリッジのインクジェットノズルを効果的に清掃する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1A】本発明の使い捨て拡張モジュールを使い捨てプリンタカートリッジとの組み合わせで示す上面図である。
【
図1B】本発明の使い捨て拡張モジュールを使い捨てプリンタカートリッジとの組み合わせで示す側面図である。
【
図2A】本発明の使い捨て拡張モジュールが使い捨てプリンタカートリッジとの組み合わせ状態で本発明のプリンタの中に取り付けられ動作中であることを示す上面図である。
【
図2B】本発明の使い捨て拡張モジュールが使い捨てプリンタカートリッジとの組み合わせ状態で本発明のプリンタの中に取り付けられ動作中であることを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
特許請求の範囲を限定しないところの、本発明のいくつかの例示的な実施形態の図面を参照して、以下において本発明を詳細に説明する。
【0029】
複数の図において、同一の参照番号が使用されている場合、それらは同一の部材を示す。
【0030】
まず
図1Aと
図1Bとを参照すると、これらの図は、使い捨てプリンタカートリッジ2のための使い捨て拡張モジュール1を示す。使い捨てプリンタカートリッジ2には、インクジェットノズルが公知の方法によって備えられている。ノズルは、当業者にとっては完全に自明であるため、図には示されていない。さらに、インクジェットノズルは、本発明の一部分を形成するものではなない。使い捨て拡張モジュール1は、蓋手段3および、または拭き取り手段4を備え、好ましくは蓋手段3と拭き取り手段4との両者を備える。これらは、それぞれ、使い捨てプリンタカートリッジ2の前記インクジェットノズルに蓋をし、および、または前記インクジェットノズルを拭くように構成されている。
【0031】
図1Aと
図1Bとは、使い捨て拡張モジュール1が、プリンタカートリッジ2を受けることができるフレーム5を有することを示す。
【0032】
図1Aと
図1Bとは、さらに蓋手段3および、または拭き取り手段4が、使い捨て拡張モジュール1のフレーム5に移動可能に取り付けられていることを示す。特に、蓋手段3および、または拭き取り手段4が、フレーム5に設けられた移動式の扉7、8に取り付けられていることを示す。蓋手段3および、または拭き取り手段4を支持する扉7、8は、第1の蝶番9および第2の蝶番10によって、それぞれ使い捨て拡張モジュール1のフレーム5に接続されている。好ましくは、第1の蝶番9および、または第2の蝶番10は、ばね負荷を掛けられている。
【0033】
図1Aと
図1Bとの右手側の部分には、蓋手段3が、使い捨てプリンタカートリッジ2のインクジェットノズルに蓋をするよう作動することが示されている。以下で説明されるように、拭き取り手段4は、プリンタカートリッジ2のインクジェットノズルに対する、後における拭き取り動作のための準備が完了した状態である。
【0034】
適切な動作のために、蓋手段3は、この蓋手段3を支持する扉7に取り付けられたノズルシールにて、好ましくはシリコンキャップにて、構成されている。そしてさらに、拭き取り手段4は、この拭き取り手段を支持する扉8に取り付けられた、好ましくはスポンジである廃インクコレクタにて構成されている。さらに特筆すべきは、拭き取り手段4が、扉8における拡張モジュール1のフレーム5への蝶番10から距離をおいた位置に設けられた膨出部11を備えている。
【0035】
図2Aと
図2Bは、使い捨て拡張モジュール1と使い捨てプリンタカートリッジ2との組み立て品が、プリンタ6の中に据えられていることを示す。
図2Aと
図2Bの左手側を右手側と比べると、拡張モジュール1が使い捨てプリンタカートリッジ2と一緒に組み立てられた時に、拡張モジュール1のフレーム5が、このフレーム5の中に、使い捨てプリンタカートリッジ2の往復運動のための空間を残していることが示されている。それに関連して、拡張モジュール1のフレーム5の中で使い捨てプリンタカートリッジ2を動かすために、プリンタ6が、使い捨てプリンタカートリッジ2を作動するアクチュエータ12を有することが示されている。プリンタはさらにレール13を有し、そしてアクチュエータ12は、使い捨てプリンタカートリッジ2に接続することができるアクチュエータアーム14を有する。アクチュエータアーム14は、プリンタ6の中のレール13に沿って移動可能であり、したがってプリンタカートリッジ2を動かすことができる。
【0036】
図2Aと
図2Bの左手側において、プリンタカートリッジ2は休止位置にあり、そこでは、蓋手段3がプリンタカートリッジ2のインクジェットを閉じている。
図2Aと
図2Bの右手側に描かれているように、プリンタカートリッジ2が、前記休止位置から印刷位置まで移動する時に、プリンタカートリッジ2が、第一に蓋手段3を非動作位置に据えさせ、第二に、実際の印刷が始まる前に、拭き取る手段4によるインクジェットノズルの清掃のための動作を可能とさせる。
【0037】
反対に、印刷した後に、プリンタカートリッジ2は、
図2A/2Bの右手側の印刷位置から拡張モジュール1のフレーム5の中に後退されて、
図2A/2Bの左手側の休止位置に戻される。その時に、プリンタカートリッジ2は、第一に、拭き取り手段4を、次の拭き取り動作のための準備状態に戻させ、そして第二に、プリンタカートリッジ2のインクジェットノズルを閉じるために、蓋手段3を作動させる。準備状態への拭き取り手段4の戻りと、作動するとみなす位置への蓋手段3の戻りとの両方は、これらそれぞれの手段が取り付けられかつばね負荷を掛けられた扉7、8により補助される。よって、蓋手段3および、または拭き取り手段4を動作位置と非動作位置との間で位置変更することは、使い捨て拡張モジュール1のフレーム5に対する使い捨てプリンタカートリッジ2の動きに影響されることを、
図2A/2Bは例示する。
【0038】
本発明のプリンタカートリッジと拡張モジュールとプリンタについて、いくつかの例示的な実施形態を参照して説明したが、本発明はこれらの特定の実施形態に限定されない。これらの特定の実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなしに、さらに多くの方法にて変化を加えることができる。したがって、ここに説明された例示的な実施形態は、この実施形態にしたがって添付の特許請求の範囲を厳密に解釈するために使用されるべきではない。一方で、これらの実施形態は、添付の特許請求の範囲をこれらの例示的な実施形態に限定することを意図せずに、同特許請求の範囲の文言を説明することのみを意図するものである。したがって、本発明の保護の範囲は、添付の特許請求の範囲にしたがってのみ解釈されるべきものであり、特許請求の範囲における曖昧な可能性がある文言について、これらの例示的な実施形態を使用して解決されるものとする。