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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-18
(45)【発行日】2023-01-26
(54)【発明の名称】電気化学反応セルスタック
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/2465 20160101AFI20230119BHJP
   H01M 8/12 20160101ALI20230119BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20230119BHJP
   C25B 9/65 20210101ALI20230119BHJP
【FI】
H01M8/2465
H01M8/12 101
H01M8/12 102A
C25B9/00 A
C25B9/65
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021002525
(22)【出願日】2021-01-12
(65)【公開番号】P2022107872
(43)【公開日】2022-07-25
【審査請求日】2022-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】519322392
【氏名又は名称】森村SOFCテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】特許業務法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星子 琢也
(72)【発明者】
【氏名】山本 享史
(72)【発明者】
【氏名】大橋 駿太
【審査官】高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-076890(JP,A)
【文献】特開2019-114430(JP,A)
【文献】特開2004-178860(JP,A)
【文献】特開2003-331816(JP,A)
【文献】特開2016-213121(JP,A)
【文献】特開2016-167372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/24
H01M 8/12
C25B 9/00
C25B 9/65
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質層と前記電解質層を挟んで互いに対向する空気極および燃料極とを有する単セルをそれぞれ含む複数の電気化学反応単位が並べて配置された電気化学反応ブロックと、
前記電気化学反応ブロックと電気的に接続された一対の内部端子部材と、
前記一対の内部端子部材のそれぞれについて設けられ、一端部において前記内部端子部材と接合部を介して接合され、他端部に外部端子との接続部が設けられた接続部材と、
を備える電気化学反応セルスタックにおいて、
前記一対の内部端子部材の少なくとも一方である特定内部端子部材と前記接続部材との間は、前記接合部である特定接合部を介して電気的に接続されており、
前記特定接合部における電流通過断面積は、前記特定内部端子部材と接続された前記接続部材における、前記特定接合部より前記外部端子との前記接続部側であり、かつ、前記外部端子との前記接続部より前記特定接合部側である特定部分の最小断面積より大きいことを特徴とする、電気化学反応セルスタック。
【請求項2】
請求項1に記載の電気化学反応セルスタックにおいて、
前記特定接合部は、互いに離間した複数の小接合部の集合であることを特徴とする電気化学反応セルスタック。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電気化学反応セルスタックにおいて、
前記特定接合部は、前記接続部材の前記一端部から前記他端部に向かう延伸方向に沿って並び、前記特定接合部の前記延伸方向の両端までの前記延伸方向に沿った距離が等しい前記延伸方向に直交する中心線を境に区分される第1の部分および第2の部分を有し、
前記第1の部分および前記第2の部分の、前記内部端子部材と前記接続部材とが対向する方向に直交する少なくとも1つの断面について、前記接続部材に作用する曲げモーメントに起因する前記接続部材と前記特定内部端子部材とを引き剥がす力が前記第1の部分より大きく作用する前記第2の部分の断面積が、前記第1の部分の断面積より大きいことを特徴とする電気化学反応セルスタック。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電気化学反応セルスタックにおいて、
前記電気化学反応セルスタックの運転温度は500℃以上であることを特徴とする電気化学反応セルスタック。
【請求項5】
請求項4に記載の電気化学反応セルスタックにおいて、
前記電気化学反応セルスタックは固体酸化物形の電気化学反応セルスタックであることを特徴とする電気化学反応セルスタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、電気化学反応セルスタックに関する。
【背景技術】
【0002】
水素と酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池の種類の1つとして、固体酸化物形の燃料電池(以下、「SOFC」という。)が知られている。SOFCは、一般に、燃料電池スタックの形態で利用される。燃料電池スタックは、それぞれ燃料電池単セル(以下、単に「単セル」という。)を有する複数の燃料電池発電単位(以下、単に「発電単位」という。)が所定の方向に並べて配置された構造体である発電ブロックを備える。単セルは、固体酸化物を含む電解質層と、電解質層を挟んで上記所定の方向に互いに対向する空気極および燃料極とを備える。
【0003】
燃料電池スタックは、各発電単位で発電した電気を集めて取り出すための部材として、一対の内部端子部材と、一対の内部端子部材のそれぞれについて設けられた接続部材(例えば、バスバー)とを備える(例えば、特許文献1参照)。一対の内部端子部材は、発電ブロックと電気的に接続されている。各接続部材は、一端部において内部端子部材と接合され、他端部に外部端子との接続部が設けられている。内部端子部材と接続部材とは、両者の接合部を介して電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-167372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の燃料電池スタックの構成では、発電運転の際に、内部端子部材と接続部材との接合部に電流が集中し、これにより該接合部の温度が上昇して電気的ロスが増大する、という課題がある。
【0006】
なお、このような課題は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形の電解セル(以下、「SOEC」という。)の一形態である電解セルスタックにも共通の課題である。なお、電解セルスタックは、それぞれ電解単セルを有する複数の電解セル単位が所定の方向に並べて配置された構造体である電解ブロックを備える構造体である。本明細書では、燃料電池単セルと電解単セルとをまとめて電気化学反応単セルと呼び、燃料電池発電単位と電解セル単位とをまとめて電気化学反応単位と呼び、発電ブロックと電解ブロックとをまとめて電気化学反応ブロックと呼び、燃料電池スタックと電解セルスタックとをまとめて電気化学反応セルスタックと呼ぶ。また、このような課題は、SOFCやSOECに限らず、他のタイプの電気化学反応セルスタックにも共通の課題である。
【0007】
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0009】
(1)本明細書に開示される電気化学反応セルスタックは、電解質層と前記電解質層を挟んで互いに対向する空気極および燃料極とを有する単セルをそれぞれ含む複数の電気化学反応単位が並べて配置された電気化学反応ブロックと、前記電気化学反応ブロックと電気的に接続された一対の内部端子部材と、前記一対の内部端子部材のそれぞれについて設けられ、一端部において前記内部端子部材と接合部を介して接合され、他端部に外部端子との接続部が設けられた接続部材と、を備える電気化学反応セルスタックにおいて、前記一対の内部端子部材の少なくとも一方である特定内部端子部材と前記接続部材との間は、前記接合部である特定接合部を介して電気的に接続されており、前記特定接合部における電流通過断面積は、前記特定内部端子部材と接続された前記接続部材における、前記特定接合部より前記外部端子との前記接続部側であり、かつ、前記外部端子との前記接続部より前記特定接合部側である特定部分の最小断面積より大きい。本電気化学反応セルスタックによれば、内部端子部材と接続部材との接合部における電流通過断面積が比較的大きいため、該接合部における電流集中を緩和することができ、該接合部の温度上昇による電気的ロスの発生を抑制することができる。
【0010】
(2)上記電気化学反応セルスタックにおいて、前記特定接合部は、互いに離間した複数の小接合部の集合である構成としてもよい。本電気化学反応セルスタックによれば、内部端子部材と接続部材との接合部における電流集中を効果的に緩和することができ、該接合部の温度上昇による電気的ロスの発生を効果的に抑制することができる。
【0011】
(3)上記電気化学反応セルスタックにおいて、前記特定接合部は、前記接続部材の前記一端部から前記他端部に向かう延伸方向に沿って並び、前記特定接合部の前記延伸方向の両端までの前記延伸方向に沿った距離が等しい前記延伸方向に直交する中心線を境に区分される第1の部分および第2の部分を有し、前記第1の部分および前記第2の部分の、前記内部端子部材と前記接続部材とが対向する方向に直交する少なくとも1つの断面について、前記接続部材に作用する曲げモーメントに起因する前記接続部材と前記特定内部端子部材とを引き剥がす力が前記第1の部分より大きく作用する前記第2の部分の断面積が、前記第1の部分の断面積より大きい構成としてもよい。本電気化学反応セルスタックによれば、内部端子部材と接続部材との接合部の不良(破損や剥離)の発生を抑制することができる。
【0012】
(4)上記電気化学反応セルスタックにおいて、前記電気化学反応セルスタックの運転温度は500℃以上である構成としてもよい。本電気化学反応セルスタックによれば、比較的高温で運転されるために部材の劣化(異常酸化等)が発生しやすい電気化学反応セルスタックにおいて、内部端子部材と接続部材との接合部における電流集中を緩和することができ、該接合部の温度上昇による部材の劣化を抑制することができる。
【0013】
(5)上記電気化学反応セルスタックにおいて、前記電気化学反応セルスタックは固体酸化物形の電気化学反応セルスタックである構成としてもよい。本電気化学反応セルスタックによれば、さらに高温で運転されるために部材の劣化(異常酸化等)が特に発生しやすい電気化学反応セルスタックにおいて、内部端子部材と接続部材との接合部における電流集中を緩和することができ、該接合部の温度上昇による部材の劣化を抑制することができる。
【0014】
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、電気化学反応セルスタック(燃料電池スタックまたは電解セルスタック)およびその製造方法等の形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図
図2図1のII-IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図
図3図1のIII-IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図
図4図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図
図5図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図
図6】第1実施形態の燃料電池スタック100における下側バスバー70と集電板18との接合部80の詳細構成を示す説明図
図7】第2実施形態の燃料電池スタック100aにおける下側バスバー70と集電板18との接合部80aの詳細構成を示す説明図
図8】第3実施形態の燃料電池スタック100bにおける下側バスバー70と集電板18との接合部80bの詳細構成を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
A.第1実施形態:
A-1.燃料電池スタック100の構成:
図1は、第1実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図であり、図2は、図1のII-IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図であり、図3は、図1のIII-IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向と呼び、Z軸負方向を下方向と呼ぶものとするが、燃料電池スタック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。燃料電池スタック100は、特許請求の範囲における電気化学反応セルスタックの一例である。
【0017】
燃料電池スタック100は、複数の(本実施形態では7つの)燃料電池発電単位(以下、「発電単位」という。)102と、上側エンドプレート104と、下側エンドプレート106と、集電板18と、上側バスバー60と、下側バスバー70とを備える。7つの発電単位102は、所定の配列方向(本実施形態ではZ軸方向)に並べて配置されている。上側エンドプレート104および集電板18の組は、7つの発電単位102から構成される集合体(以下、「発電ブロック101」という。)を上下から挟むように配置されている。下側エンドプレート106は、集電板18の下側に配置されている。発電単位102は、特許請求の範囲における電気化学反応単位の一例であり、発電ブロック101は、特許請求の範囲における電気化学反応ブロックの一例であり、上側エンドプレート104および集電板18の組は、特許請求の範囲における一対の内部端子部材の一例であり、上側バスバー60および下側バスバー70は、特許請求の範囲における一対の接続部材の一例である。
【0018】
燃料電池スタック100を構成する各層(発電単位102、上側エンドプレート104および下側エンドプレート106、集電板18)のZ軸方向回りの周縁部には、上下方向に貫通する複数の(本実施形態では8つの)孔が形成されており、各層に形成され互いに対応する孔同士が上下方向に連通して、上側エンドプレート104から下側エンドプレート106にわたって上下方向に延びる貫通孔108を構成している。以下の説明では、貫通孔108を構成するために燃料電池スタック100の各層に形成された孔も、貫通孔108という場合がある。
【0019】
各貫通孔108には上下方向に延びるボルト22が挿入されており、ボルト22とボルト22の両側に嵌められたナット24とによって、燃料電池スタック100は締結されている。なお、図2および図3に示すように、ナット24と各エンドプレート104,106(または後述するガス通路部材27)との間には、絶縁シート26が介在している。
【0020】
各ボルト22の軸部の外周面と各貫通孔108の内周面との間には、空間が確保されている。図1および図2に示すように、1つのボルト22(ボルト22A)と該ボルト22Aが挿入された貫通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から酸化剤ガスOG(例えば空気)が導入され、その酸化剤ガスOGを各発電単位102の空気室166に供給するガス流路である空気極側ガス供給マニホールド161として機能し、他の1つのボルト22(ボルト22B)と該ボルト22Bが挿入された貫通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の空気室166から排出されたガスである酸化剤オフガスOOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する空気極側ガス排出マニホールド162として機能する。また、図1および図3に示すように、他の1つのボルト22(ボルト22D)と該ボルト22Dが挿入された貫通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から燃料ガスFG(例えば水素リッチなガス)が導入され、その燃料ガスFGを各発電単位102の燃料室176に供給する燃料極側ガス供給マニホールド171として機能し、他の1つのボルト22(ボルト22E)と該ボルト22Eが挿入された貫通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の燃料室176から排出されたガスである燃料オフガスFOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する燃料極側ガス排出マニホールド172として機能する。
【0021】
燃料電池スタック100には、4つのガス通路部材27が設けられている。各ガス通路部材27は、中空筒状の本体部28と、本体部28の側面から分岐した中空筒状の分岐部29とを有している。分岐部29の孔は本体部28の孔と連通している。各ガス通路部材27の本体部28の孔は、各ガス通路部材27の設置位置に設けられた各マニホールド161,162,171,172に連通している。
【0022】
(エンドプレート104,106の構成)
上側エンドプレート104および下側エンドプレート106は、平板形状の導電性部材であり、例えばステンレスにより形成されている。上側エンドプレート104は、発電ブロック101の上側に配置され、発電ブロック101と電気的に接続されている。上側エンドプレート104は、Z軸方向視で発電ブロック101に重なる本体部13と、本体部13からZ軸方向に直交する方向(本実施形態ではX軸負方向)に突出する突出部14とを有する。上側エンドプレート104(の突出部14)は、燃料電池スタック100のプラス側の出力端子として機能する。
【0023】
(集電板18の構成)
集電板18は、平板形状の導電性部材であり、例えばステンレスにより形成されている。集電板18は、発電ブロック101の下側に配置され、発電ブロック101と電気的に接続されている。集電板18は、Z軸方向視で発電ブロック101に重なる本体部15と、本体部15からZ軸方向に直交する方向(本実施形態ではX軸正方向)に突出する突出部16とを有する。集電板18の(突出部16)は、燃料電池スタック100のマイナス側の出力端子として機能する。集電板18と下側エンドプレート106との間には、マイカ等の絶縁材57が介在している。絶縁材57には、上記各貫通孔108に対応する位置に孔が形成されている。絶縁材57によって、集電板18と下側エンドプレート106とが電気的に絶縁されている。
【0024】
(バスバー60,70の構成)
上側バスバー60および下側バスバー70は、平板形状の導電性部材であり、例えばステンレスにより形成されている。なお、図1および図2では、上側バスバー60および下側バスバー70の一部分の図示を省略している。上側バスバー60の一端部は、上側エンドプレート104の突出部14の上面に接しており、突出部14と接合部90を介して接合されている。また、下側バスバー70の一端部は、集電板18の突出部16の上面に接しており、突出部16と接合部80を介して接合されている。バスバー60,70と上側エンドプレート104または集電板18との接合箇所の構成については、後に詳述する。
【0025】
(発電単位102の構成)
図4は、図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図であり、図5は、図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。
【0026】
図4および図5に示すように、発電単位102は、単セル110と、セパレータ120と、空気極側フレーム部材130と、空気極側集電体134と、燃料極側フレーム部材140と、燃料極側集電体144と、一対のインターコネクタ150とを備えている。セパレータ120、空気極側フレーム部材130、燃料極側フレーム部材140、インターコネクタ150の周縁部には、上述したボルト22が挿通される貫通孔108に対応する孔が形成されている。
【0027】
インターコネクタ150は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばステンレスにより形成されている。インターコネクタ150は、発電単位102間の電気的導通を確保すると共に、発電単位102間での反応ガスの混合を防止する。なお、本実施形態では、2つの発電単位102が隣接して配置されている場合、1つのインターコネクタ150は、隣接する2つの発電単位102に共有されている。すなわち、ある発電単位102における上側のインターコネクタ150は、その発電単位102の上側に隣接する他の発電単位102における下側のインターコネクタ150と同一部材である。また、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えておらず、最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていない(図2および図3参照)。
【0028】
単セル110は、電解質層112と、電解質層112を挟んで上下方向に互いに対向する空気極(カソード)114および燃料極(アノード)116とを備える。電解質層112は、略矩形の平板形状部材であり、緻密な層である。電解質層112は、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)等の固体酸化物により形成されている。このように、本実施形態の単セル110は、電解質として固体酸化物を用いる固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。空気極114は、略矩形の平板形状部材であり、多孔質な層である。空気極114は、例えば、ペロブスカイト型酸化物(例えばLSCF(ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物))により形成されている。燃料極116は、略矩形の平板形状部材であり、多孔質な層である。燃料極116は、例えば、Niと酸化物イオン伝導性セラミックス粒子(例えば、YSZ)とからなるサーメットにより形成されている。
【0029】
セパレータ120は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔121が形成されたフレーム状の部材であり、例えばステンレスにより形成されている。セパレータ120における孔121を取り囲む部分は、例えばロウ材を含むロウ付け部124により、単セル110(電解質層112)の周縁部と接合されている。セパレータ120により、空気極114に面する空気室166と燃料極116に面する燃料室176とが区画される。
【0030】
空気極側フレーム部材130は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の空気室用孔131が形成されたフレーム状の部材であり、例えばマイカ等の絶縁体により形成されている。空気極側フレーム部材130によって、発電単位102に含まれる一対のインターコネクタ150間が電気的に絶縁される。空気極側フレーム部材130には、空気極側ガス供給マニホールド161と空気室166とを連通する酸化剤ガス供給連通流路132と、空気室166と空気極側ガス排出マニホールド162とを連通する酸化剤ガス排出連通流路133とが形成されている。
【0031】
燃料極側フレーム部材140は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の燃料室用孔141が形成されたフレーム状の部材であり、例えばステンレスにより形成されている。燃料極側フレーム部材140には、燃料極側ガス供給マニホールド171と燃料室176とを連通する燃料ガス供給連通流路142と、燃料室176と燃料極側ガス排出マニホールド172とを連通する燃料ガス排出連通流路143とが形成されている。
【0032】
空気極側集電体134は、空気室166内に配置されている。空気極側集電体134は、複数の略四角柱状の集電体要素135から構成されており、例えばステンレスにより形成されている。空気極側集電体134は、空気極114とインターコネクタ150とを電気的に接続する。ただし、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102における空気極側集電体134は、空気極114と上側エンドプレート104とを電気的に接続する(図2および図3参照)。
【0033】
燃料極側集電体144は、燃料室176内に配置されている。燃料極側集電体144は、インターコネクタ対向部146と、電極対向部145と、電極対向部145とインターコネクタ対向部146とをつなぐ連接部147とを備えており、例えば、ニッケルやニッケル合金、ステンレス等により形成されている。電極対向部145は、燃料極116の表面に接触しており、インターコネクタ対向部146は、インターコネクタ150の表面に接触しており、その結果、燃料極側集電体144は、燃料極116とインターコネクタ150とを電気的に接続する。ただし、燃料電池スタック100において最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102における燃料極側集電体144は、燃料極116と集電板18とを電気的に接続する(図2および図3参照)。なお、電極対向部145とインターコネクタ対向部146との間には、例えばマイカにより形成されたスペーサ149が配置されている。
【0034】
A-2.燃料電池スタック100の動作:
図2および図4に示すように、酸化剤ガスOGは、空気極側ガス供給マニホールド161の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)から、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28を介して空気極側ガス供給マニホールド161に供給され、空気極側ガス供給マニホールド161から各発電単位102の酸化剤ガス供給連通流路132を介して空気室166に供給される。また、図3および図5に示すように、燃料ガスFGは、燃料極側ガス供給マニホールド171の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)から、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28を介して燃料極側ガス供給マニホールド171に供給され、燃料極側ガス供給マニホールド171から各発電単位102の燃料ガス供給連通流路142を介して燃料室176に供給される。
【0035】
各発電単位102の空気室166に酸化剤ガスOGが供給され、燃料室176に燃料ガスFGが供給されると、各発電単位102の単セル110において酸化剤ガスOGに含まれる酸素と燃料ガスFGに含まれる水素との電気化学反応による発電が行われる。この発電反応は発熱反応である。各発電単位102において、単セル110の空気極114は空気極側集電体134を介して一方のインターコネクタ150に電気的に接続され、燃料極116は燃料極側集電体144を介して他方のインターコネクタ150に電気的に接続されている。また、燃料電池スタック100に含まれる複数の発電単位102は、電気的に直列に接続されている。そのため、燃料電池スタック100の出力端子として機能する上側エンドプレート104および集電板18から、各発電単位102において生成された電気エネルギーが取り出される。なお、SOFCは、比較的高温(例えば700℃から1000℃)で発電が行われることから、起動後、発電により発生する熱で高温が維持できる状態になるまで、燃料電池スタック100が加熱器(図示せず)により加熱されてもよい。
【0036】
図2および図4に示すように、各発電単位102の空気室166から酸化剤ガス排出連通流路133を介して空気極側ガス排出マニホールド162に排出された酸化剤オフガスOOGは、空気極側ガス排出マニホールド162の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)から燃料電池スタック100の外部に排出される。また、図3および図5に示すように、各発電単位102の燃料室176から燃料ガス排出連通流路143を介して燃料極側ガス排出マニホールド172に排出された燃料オフガスFOGは、燃料極側ガス排出マニホールド172の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示しない)から燃料電池スタック100の外部に排出される。
【0037】
A-3.下側バスバー70と集電板18との接合部80の詳細構成:
図6は、第1実施形態の燃料電池スタック100における下側バスバー70と集電板18との接合部80の詳細構成を示す説明図である。図6には、下側バスバー70と集電板18との接合部80付近の上面(XY平面)構成が示されている。図6では、下側バスバー70の一部分の図示を省略している。本実施形態では、下側バスバー70は、Z軸方向に直交する方向(より具体的にはX軸方向)に延伸する平板形状の部材である。下側バスバー70の一端部(図6における右端部)には、外部端子(不図示)との接続部72が設けられている。本実施形態では、接続部72は、略円形の貫通孔である。
【0038】
また、下側バスバー70の他端部(図6における左端部)は、集電板18の突出部16と、接合部80を介して接合されている。本実施形態では、接合部80は、スポット溶接による溶接部であり、Z軸方向視で略円形である。また、本実施形態では、下側バスバー70の表面に、接合部80が形成されている部分を除いて、アルミナなどの電気抵抗の高い被膜が形成されている。そのため、下側バスバー70と集電板18との間は、接合部80を介して電気的に接続されている。
【0039】
本実施形態の燃料電池スタック100では、接合部80における電流通過断面積S1は、下側バスバー70における特定部分SPの最小断面積S2より大きい。ここで本実施形態において、接合部80における電流通過断面積S1は、Z軸方向視での接合部80の面積に等しい。また、下側バスバー70における特定部分SPは、接合部80より接続部72側であり、かつ、接続部72より接合部80側の部分である。本実施形態では、下側バスバー70は、X軸方向に延伸する平板形状の部材であるため、下側バスバー70における特定部分SPの最小断面積S2は、特定部分SPにおけるYZ断面の面積の最小値である。集電板18は、特許請求の範囲における特定内部端子部材の一例であり、接合部80は、特許請求の範囲における特定接合部の一例である。
【0040】
なお、図示しないが、本実施形態の燃料電池スタック100では、上側バスバー60と上側エンドプレート104とを接合する接合部90の構成も、下側バスバー70と集電板18とを接合する接合部80の構成と同様である。すなわち、上側バスバー60と上側エンドプレート104との接合部90における電流通過断面積は、上側バスバー60における特定部分(接合部90より外部端子との接続部側であり、かつ、該接続部より接合部90側の部分)の最小断面積より大きくなっている。上側エンドプレート104は、特許請求の範囲における特定内部端子部材の一例であり、接合部90は、特許請求の範囲における特定接合部の一例である。
【0041】
A-4.第1実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の燃料電池スタック100は、発電ブロック101と、上側エンドプレート104および集電板18と、上側バスバー60および下側バスバー70とを備える。発電ブロック101は、電解質層112と電解質層112を挟んで互いに対向する空気極114および燃料極116とを有する単セル110をそれぞれ含む複数の発電単位102が並べて配置された構造体である。上側エンドプレート104および集電板18は、発電ブロック101と電気的に接続された一対の内部端子部材である。上側バスバー60および下側バスバー70は、それぞれ、上側エンドプレート104および集電板18について設けられ、一端部において上側エンドプレート104または集電板18と、接合部90または接合部80を介して接合され、他端部に外部端子との接続部が設けられている。上側エンドプレート104または集電板18と上側バスバー60または下側バスバー70との間は、接合部90または接合部80を介して電気的に接続されている。集電板18と下側バスバー70との接合部80における電流通過断面積S1は、下側バスバー70における、接合部80より外部端子との接続部72側であり、かつ、該外部端子との接続部72より接合部80側である特定部分SPの最小断面積S2より大きい。また、上側エンドプレート104と上側バスバー60との接合部90における電流通過断面積は、上側バスバー60における、接合部90より外部端子との接続部側であり、かつ、該外部端子との接続部より接合部90側である特定部分の最小断面積より大きい。
【0042】
このように、本実施形態の燃料電池スタック100では、集電板18と下側バスバー70との接合部80における電流通過断面積S1が比較的大きいため、該接合部80における電流集中を緩和することができ、該接合部80の温度上昇による電気的ロスの発生を抑制することができる。同様に、上側エンドプレート104と上側バスバー60との接合部90における電流通過断面積が比較的大きいため、該接合部90における電流集中を緩和することができ、該接合部90の温度上昇による電気的ロスの発生を抑制することができる。
【0043】
また、本実施形態の燃料電池スタック100は、固体酸化物形の燃料電池スタックである。固体酸化物形の燃料電池スタックは、非常に高温(例えば700℃以上)で運転されるために部材の劣化(異常酸化等)が特に発生しやすいが、本実施形態の燃料電池スタック100では、集電板18と下側バスバー70との接合部80や上側エンドプレート104と上側バスバー60との接合部90における電流集中を緩和することができるため、該接合部80,90の温度上昇による部材の劣化を抑制することができる。
【0044】
B.第2実施形態:
図7は、第2実施形態の燃料電池スタック100aにおける下側バスバー70と集電板18との接合部80aの詳細構成を示す説明図である。以下では、第2実施形態における接合部80aの構成のうち、上述した第1実施形態における接合部80と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
【0045】
第2実施形態では、第1実施形態と同様に、下側バスバー70と集電板18との接合部80aにおける電流通過断面積S1は、下側バスバー70における特定部分SPの最小断面積S2より大きい。そのため、第2実施形態の燃料電池スタック100aによれば、接合部80aにおける電流集中を緩和することができ、該接合部80aの温度上昇による電気的ロスの発生を抑制することができる。
【0046】
第2実施形態における接合部80aは、Z軸方向視での形状が、第1実施形態における接合部80と異なっている。具体的には、第2実施形態における接合部80aのZ軸方向視での形状は、下側バスバー70の延伸方向(本実施形態ではX軸方向)に沿って外部端子との接続部72に近い側ほど、該延伸方向に直交する方向(本実施形態ではY軸方向)の幅が小さい略三角形状である。換言すれば、接合部80aは、該延伸方向に沿って並び、接合部80aの延伸方向の両端までの延伸方向に沿った距離が等しい延伸方向に直交する中心線CLを境に区分される第1の部分P1および第2の部分P2(ただし、第1の部分P1は第2の部分P2より接続部72に近い)を有しており、第1の部分P1および第2の部分P2の、集電板18と下側バスバー70とが対向する方向(本実施形態ではZ軸方向)に直交する少なくとも1つの断面について、第2の部分P2の断面積A2が第1の部分P1の断面積A1より大きくなっている。なお、このような形状の接合部80aは、例えばプロジェクション溶接により形成することができる。
【0047】
ここで、第2実施形態の燃料電池スタック100aでは、下側バスバー70の接続部72に接続される外部端子から、下側バスバー70における接続部72の位置を下方向に押すような力を受ける。そのため、この力によって下側バスバー70に作用する曲げモーメントに起因して、接合部80aの第2の部分P2には、第1の部分P1と比べて、下側バスバー70と集電板18とを引き剥がす力がより大きく作用する。従って、第2実施形態の燃料電池スタック100aでは、接合部80aを構成する第1の部分P1および第2の部分P2のうち、下側バスバー70と集電板18とを引き剥がす力がより大きく作用する第2の部分P2の断面積A2が、第1の部分P1の断面積A1より大きくなっていると言える。そのため、第2実施形態の燃料電池スタック100aによれば、集電板18と下側バスバー70との接合部80aの不良(破損や剥離)の発生を抑制することができる。
【0048】
なお、図示しないが、第2実施形態の燃料電池スタック100aでは、上側バスバー60と上側エンドプレート104との接合部も同様の構成であるため、上側エンドプレート104と上側バスバー60との接合部の不良(破損や剥離)の発生を抑制することができる。
【0049】
C.第3実施形態:
図8は、第3実施形態の燃料電池スタック100bにおける下側バスバー70と集電板18との接合部80bの詳細構成を示す説明図である。以下では、第3実施形態における接合部80bの構成のうち、上述した第1実施形態における接合部80と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
【0050】
第3実施形態の燃料電池スタック100bでは、下側バスバー70と集電板18との接合部80bが、互いに離間した複数の小接合部82の集合となっている。本実施形態では、接合部80bは、Z軸方向視で略円形の3つの小接合部82の集合である。3つの小接合部82のうち、2つの小接合部82は、下側バスバー70の延伸方向(本実施形態ではX軸方向)に直交する方向(本実施形態ではY軸方向)に並んで位置しており、残りの1つの小接合部82は、それら2つの小接合部82に対して外部端子との接続部72に近い側(X軸正方向側)に位置している。第3実施形態の燃料電池スタック100bでは、第1実施形態の燃料電池スタック100と同様に、下側バスバー70と集電板18との接合部80bにおける電流通過断面積S1、すなわち、各小接合部82における電流通過断面積Sa,Sb,Scの合計は、下側バスバー70における特定部分SPの最小断面積S2より大きい。そのため、第3実施形態の燃料電池スタック100bによれば、接合部80bにおける電流集中を緩和することができ、該接合部80bの温度上昇による電気的ロスの発生を抑制することができる。特に、第3実施形態の燃料電池スタック100bでは、接合部80bが互いに離間した複数の小接合部82の集合であるため、下側バスバー70と集電板18との接合部80bにおける電流集中を効果的に緩和することができ、該接合部80bの温度上昇による電気的ロスの発生を効果的に抑制することができる。
【0051】
また、第3実施形態における接合部80bは、第2実施形態における接合部80aと同様に、下側バスバー70の延伸方向(本実施形態ではX軸方向)に沿って並び、接合部80bの延伸方向の両端までの延伸方向に沿った距離が等しい延伸方向に直交する中心線CLを境に区分される第1の部分P1(1つの小接合部82)と第2の部分P2(2つの小接合部82の集合)とを有しており、第1の部分P1および第2の部分P2の、集電板18と下側バスバー70とが対向する方向(本実施形態ではZ軸方向)に直交する少なくとも1つの断面について、第2の部分P2の断面積A2が第1の部分P1の断面積A1より大きくなっている。第3実施形態の燃料電池スタック100bでも、第2実施形態の燃料電池スタック100aと同様に、下側バスバー70に作用する曲げモーメントに起因して、接合部80bの第2の部分P2には、第1の部分P1と比べて、下側バスバー70と集電板18とを引き剥がす力がより大きく作用している。従って、第3実施形態の燃料電池スタック100bでは、接合部80bを構成する第1の部分P1および第2の部分P2のうち、下側バスバー70と集電板18とを引き剥がす力がより大きく作用する第2の部分P2の断面積A2が、第1の部分P1の断面積A1より大きくなっていると言える。そのため、第3実施形態の燃料電池スタック100bによれば、集電板18と下側バスバー70との接合部80bの不良(破損や剥離)の発生を抑制することができる。
【0052】
なお、図示しないが、第3実施形態の燃料電池スタック100bでは、上側バスバー60と上側エンドプレート104との接合部も同様の構成であるため、該接合部の温度上昇による電気的ロスの発生を効果的に抑制することができると共に、上側エンドプレート104と上側バスバー60との接合部の不良(破損や剥離)の発生を抑制することができる。
【0053】
D.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0054】
上記実施形態における燃料電池スタック100の構成や燃料電池スタック100を構成する各部分の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、下側バスバー70と集電板18との接合部80と、上側バスバー60と上側エンドプレート104との接合部90との両方について、接合部における電流通過断面積は下側バスバー70または上側バスバー60における特定部分の最小断面積より大きいとしているが、接合部80と接合部90との一方のみについて、そのような構成が採用されていてもよい。
【0055】
上記実施形態では、上側エンドプレート104がプラス側の出力端子として機能しているが、上側エンドプレート104とは別に、発電ブロック101と電気的に接続されてプラス側の出力端子として機能する別部材を設けてもよい。この場合には、該別部材が、特許請求の範囲における内部端子部材の一例となる。また、上記実施形態では、集電板18がマイナス側の出力端子として機能しているが、下側エンドプレート106をマイナス側の出力端子として機能させ、集電板18を省略してもよい。この場合には、下側エンドプレート106が、特許請求の範囲における内部端子部材の一例となる。
【0056】
上記実施形態では、接合部80や接合部90が、スポット溶接やプロジェクション溶接により形成されているが、接合部80や接合部90の形成方法はこれに限られない。例えば、接合部80や接合部90は、他の種類の溶接(例えばレーザー溶接や抵抗溶接)、拡散接合、導電性ペースト(例えば、Ag、Ni等を含む導電性ペーストや、MnおよびCoを含むスピネル型酸化物を含む導電性ペースト)を用いた接合といった他の接合方法により形成されてもよい。また、上記実施形態における接合部80や接合部90の形状は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、接合部80や接合部90のZ軸方向視での形状が略矩形であってもよい。また、接合部80や接合部90が複数の小接合部82の集合である場合において、各小接合部82のZ軸方向視での形状が略矩形や略三角形であってもよいし、各小接合部82の形状や大きさが互いに異なっていてもよい。また、接合部80や接合部90が上述した接合方法により形成されている限りにおいて、ボルト締結が併用されていてもよい。
【0057】
上記実施形態では、下側バスバー70や上側バスバー60が、一端から他端まで一方向(X軸方向)に延伸した形状であるが、下側バスバー70や上側バスバー60の形状はこれに限られない。例えば、下側バスバー70や上側バスバー60が、一端から一方向に延伸し、途中で屈曲して他の方向に延伸して他端に至る形状であってもよい。
【0058】
上記実施形態では、燃料ガスに含まれる水素と酸化剤ガスに含まれる酸素との電気化学反応を利用して発電を行う固体酸化物形燃料電池(SOFC)を対象としているが、本明細書に開示される技術は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形電解セル(SOEC)の構成単位である電解セル単位を複数備える電解セルスタックにも同様に適用可能である。なお、電解セルスタックの構成は、例えば特開2016-81813号に記載されているように公知であるためここでは詳述しないが、概略的には上述した実施形態における燃料電池スタック100と同様の構成である。すなわち、上述した実施形態における燃料電池スタック100を電解セルスタックと読み替え、発電ブロック101を電解ブロックと読み替え、発電単位102を電解セル単位と読み替え、単セル110を電解単セルと読み替えればよい。ただし、電解セルスタックの運転の際には、空気極114がプラス(陽極)で燃料極116がマイナス(陰極)となるように両電極間に電圧が印加されると共に、貫通孔108を介して原料ガスとしての水蒸気が供給される。これにより、各電解セル単位において水の電気分解反応が起こり、燃料室176で水素ガスが発生し、貫通孔108を介して電解セルスタックの外部に水素が取り出される。このような構成の電解セル単位および電解セルスタックにおいても、上記実施形態と同様の構成を採用することにより、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0059】
上記実施形態では、固体酸化物形燃料電池(SOFC)を例に説明したが、本明細書に開示される技術は、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)といった他のタイプの燃料電池(または電解セル)にも適用可能である。なお、本明細書に開示される技術は、運転温度が500℃以上である燃料電池または電解セルに適用されることが好適である。このような燃料電池または電解セルのスタックでは、500℃以上の高温で運転されるために部材の劣化(異常酸化等)が特に発生しやすいが、本明細書に開示される技術を適用すれば、接合部における電流集中を緩和することができるため、該接合部の温度上昇による部材の劣化を抑制することができる。
【符号の説明】
【0060】
13:本体部 14:突出部 15:本体部 16:突出部 18:集電板 22:ボルト 24:ナット 26:絶縁シート 27:ガス通路部材 28:本体部 29:分岐部 57:絶縁材 60:上側バスバー 70:下側バスバー 72:接続部 80:接合部 82:小接合部 90:接合部 100:燃料電池スタック 101:発電ブロック 102:発電単位 104:上側エンドプレート 106:下側エンドプレート 108:貫通孔 110:単セル 112:電解質層 114:空気極 116:燃料極 120:セパレータ 121:孔 124:ロウ付け部 130:空気極側フレーム部材 131:空気室用孔 132:酸化剤ガス供給連通流路 133:酸化剤ガス排出連通流路 134:空気極側集電体 135:集電体要素 140:燃料極側フレーム部材 141:燃料室用孔 142:燃料ガス供給連通流路 143:燃料ガス排出連通流路 144:燃料極側集電体 145:電極対向部 146:インターコネクタ対向部 147:連接部 149:スペーサ 150:インターコネクタ 161:空気極側ガス供給マニホールド 162:空気極側ガス排出マニホールド 166:空気室 171:燃料極側ガス供給マニホールド 172:燃料極側ガス排出マニホールド 176:燃料室 FG:燃料ガス FOG:燃料オフガス OG:酸化剤ガス OOG:酸化剤オフガス P1:第1の部分 P2:第2の部分 SP:特定部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8