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特許7213332厚紙トレー上にトップシールホイルを配置する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-18
(45)【発行日】2023-01-26
(54)【発明の名称】厚紙トレー上にトップシールホイルを配置する方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/44 20060101AFI20230119BHJP
   B65D 5/28 20060101ALI20230119BHJP
   B65D 5/56 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
B65D5/44 F
B65D5/28
B65D5/56 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021500338
(86)(22)【出願日】2019-03-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2019056684
(87)【国際公開番号】W WO2019179930
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】18163496.5
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520364462
【氏名又は名称】スタックパック・ベスローテン・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】STACKPACK B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】ローナルト・ズワガ
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02965997(EP,A1)
【文献】米国特許第02944721(US,A)
【文献】特開2000-118523(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0130028(US,A1)
【文献】特開2004-099088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00-5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚紙トレー上にトップシールホイルを配置する方法であって、
トップシーラを準備する工程と、
展開された厚紙のシートから折られる厚紙トレーを準備する工程と、
を有し、
前記厚紙トレーは、
偶数個の直線状の縁部が構成する周縁部を有した底壁部と、
前記底壁部の前記直線状の縁部に対してそれぞれ配置された壁部と、
前記底壁部の前記直線状の縁部のそれぞれに対向する前記壁部の縁部に対して配置され、前記周縁部に沿った前記壁部に続いて交互に配置された第1フランジパーツと、
を備え、
前記第1フランジパーツは、長尺縁部に沿って互いに平行に接続された細長い第1のフランジパーツ部と、細長い第2のフランジパーツ部と、細長い第3のフランジパーツ部とを少なくとも有し、
細長い前記第1のフランジパーツ部は、各壁部に対して配置され、
細長い前記第3のフランジパーツ部は、長尺縁部に沿って、細長い前記第2のフランジパーツ部に平行に接続され、
細長い前記第3のフランジパーツ部は、各壁部の外面に接合し、
前記第2のフランジパーツ部は、前記第1のフランジパーツ部に対して二つ折りにされ、
細長い前記第1のフランジパーツ部は、細長い前記第2のフランジパーツ部に向かって下向きに傾斜し、
前記方法は、
細長い前記第1フランジパーツを水平姿勢にプレスするように、前記厚紙トレーを前記トップシーラ内に配置する工程と、
前記厚紙トレーの上方に前記トップシールホイルを設ける工程と、
前記トップシールホイルをフランジパーツにシールする工程と、
を有する方法。
【請求項2】
厚紙トレー上にトップシールホイルを配置する方法であって、
トップシーラを準備する工程と、
展開された厚紙のシートから折られる厚紙トレーを準備する工程と、
を有し、
前記厚紙トレーは、
偶数個の直線状の縁部が構成する周縁部を有した底壁部と、
前記底壁部の前記直線状の縁部に対してそれぞれ配置された壁部と、
前記底壁部の前記直線状の縁部のそれぞれに対向する前記壁部の縁部に配置され、前記周縁部に沿った前記壁部に続いて交互に配置された第1フランジパーツおよび第2フランジパーツと、
を備え、
前記第1フランジパーツは、長尺縁部に沿って、互いに平行に接続された細長い第1のフランジパーツ部と、細長い第2のフランジパーツ部とを少なくとも有し、
細長い前記第1のフランジパーツ部は、各壁部に対して配置され、
前記第2のフランジパーツ部は、前記第1のフランジパーツ部に対して二つ折りにされ、
前記第2のフランジパーツ部は、両端部において、前記第1のフランジパーツ部を超えて長手方向に延び、隣接する前記壁部の前記第2フランジパーツと重なり合い、
細長い前記第1のフランジパーツ部は、細長い前記第2のフランジパーツ部に向かって下向きに傾斜し、
前記方法は、
細長い前記第1フランジパーツを水平姿勢にプレスするように、前記厚紙トレーを前記トップシーラ内に配置する工程と、
前記厚紙トレーの上方に前記トップシールホイルを設ける工程と、
前記トップシールホイルをフランジパーツにシールする工程と、
を有する方法。
【請求項3】
前記第1フランジパーツは、細長い第3のフランジパーツ部をさらに有し、
細長い前記第3のフランジパーツ部は、長尺縁部に沿って、細長い前記第2のフランジパーツ部に平行に接続され、
細長い前記第3のフランジパーツ部は、各壁部の外面に接合されている、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のフランジパーツ部の延長部が、隣接する前記壁部の前記第2フランジパーツに接合されている、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
細長い前記第1のフランジパーツ部の幅は、細長い前記第2のフランジパーツ部の幅よりも大きい、請求項1~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
隣接する前記壁部は、少なくとも1つの重なり合う接合フラップによって、互いに接続され、
前記少なくとも1つの重なり合う接合フラップは、隣接する2つの前記壁部の一方に配置され、隣接する2つの前記壁部の他方に接合されている、
請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
隣接する2つの前記壁部のそれぞれと前記底壁部との間に、角部が配置され、
前記角部は、二つ折りにされ、隣接する2つの前記壁部の一方に接合されている、
請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
展開された前記シート上に、プラスチックライナーが配置され、
二つ折りにされた前記角部は、前記プラスチックライナーによって、隣接する2つの前記壁部の一方にそれぞれシールされている、
請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、展開された厚紙のシートから折られた厚紙トレーに関する。
【背景技術】
【0002】
包装産業では、包装に使用されるプラスチックの量を減少させる動向がある。現在もまだ、大量のプラスチックトレーが、野菜、果物、および調理済み食品を包装するために使用されている。一部のプラスチックトレーは、ホイルによってフローパックされた(flow packed)厚紙トレーに交換されている。
【0003】
包装の外観および使い勝手は、フローパックされた厚紙トレーを使用してもなお、厚紙トレーよりもプラスチックトレーに似ている。その結果として、厚紙トレーをトップシール(top seal)して、厚紙トレーの開口部のみをシールホイルによって閉鎖する試みがなされている。
【0004】
厚紙トレーをトップシールするために、トレーのアクセス開口部に沿って、水平な周縁フランジが設けられる。一般的に、厚紙トレーは、展開されたシートから折られる。このようなトレーのフランジは、水平面へ折られたシート部材であり、水平な周縁フランジを提供する。このフランジ上にホイルがトップシールされたとき、ホイルは、トップシールホイルに張力がかからないように、フランジを互いに向かって引っ張る傾向がある。このため、トップシールホイルに張力がかからなくなる。トップシールホイルに張力がかかっていないので、トップシールされた厚紙トレーを互いの上に積み重ねることはできない。
【0005】
フランジが互いに向かって引っ張られることのさらなる欠点は、厚紙トレーが剛性を失い、包装の外観および使い勝手を損なうことにある。
【0006】
厚紙トレーのフランジパーツを接続することは、現在の円錐接合システム(conical gluing systems)(例えば、Heiber and Schroeder社が販売しているもの)では実質的に不可能である。接合システムのマガジンは、上向きに折り戻される傾向がある弱いフランジのために、折られたトレーのフランジパーツを接合され得るような位置に保持することができない。
【0007】
さらに、フランジパーツが重なり合うことは、フランジパーツ自体の厚さと、2倍の厚さであるフランジの重なり部の厚さとの違いより、一般的に平坦で水平な周縁フランジを必要とするホイルのトップシーリング(top sealing)には不利である。
【0008】
米国特許第2944721号明細書では、展開された厚紙のシートから折られた厚紙トレーが開示されている。厚紙トレーは、互いに平行に接続し、壁部の上縁に接続した4つの細長い部材から構成された上縁部を備えている。
【0009】
第1、第2および第3の細長い部材は、断面に三角形を提供する。一方、第4の細長い部材は、壁部に接合され、三角形を所定の位置に固定している。
【0010】
三角形の断面、および、上端部がトレーの全周に沿って延在していることにより、隆起し、柔軟性のない上縁部が設けられている。さらに、三角形の断面を有する上縁部がトップシーラ(top sealer)内に配置するのに適さないので、上縁部は、トップシールが設けられるのに適さない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、上述の欠点が低減または除去された厚紙トレーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1に記載の厚紙トレーによって、本発明により達成される。
【0013】
例えば、果物や野菜を包装するためのトレーでは、トップシールホイルを周縁フランジに接合する必要はない。ホイルが第1フランジパーツにのみ接合され、第1、第2および第3のフランジパーツ部によってトップシールホイルに張力がかけられると、積み重ねが可能で、果物や野菜を収容するのに適したトレーが得られる。
【0014】
目的は、請求項2に記載の厚紙トレーによって、本発明によりさらに達成される。
【0015】
第1フランジパーツが二つ折りにされたフランジパーツ部であるので、強度が追加される。さらに、第2のフランジパーツ部は、第1のフランジパーツ部に対して折られる。また、第2のフランジパーツ部が両端部において延び、延長部は、隣接する壁部の第2フランジパーツと重なり合う。その結果、第2フランジパーツと第1フランジパーツの第1のフランジパーツ部との交互により、周縁フランジが形成される。二つ折りにされたことにより、少なくとも厚紙の厚さ以上にオフセットされた第2のフランジパーツ部の延長部は、隣接する壁部の第2フランジパーツとの接続部を提供する。このことにより、高さの差がない平坦な周縁フランジが得られ、そこにトップホイルがより確実にシールされ得る。トップホイルを配置することにより、トレーの強度がより確実に得られる。
【0016】
トップシールホイルが周縁フランジに配置されることにより、厚紙からプラスチックを分離し、別々に廃棄することが容易である。
【0017】
厚紙がサトウキビから製造されている場合、厚紙は、生分解性廃棄物として廃棄されることさえある。包装全体を生分解性廃棄物として廃棄可能なように、トップシールホイルをポリ乳酸(PLA)から製造することもできる。しかしながら、より一般的なシールホイル用プラスチックは、ポリエチレン(PE)-ポリエチレンテレフタレート(PET)ラミネートである。
【0018】
本発明に係る厚紙トレーの好適な実施形態では、第1フランジパーツは、細長い第3のフランジパーツ部をさらに有する。細長い第3のフランジパーツ部は、長尺縁部に沿って、細長い第2の細長いフランジパーツ部に平行に接続され、各壁部の外面に接合されている。
【0019】
各壁部の外面に接合した細長い第3のフランジパーツ部により、第1のフランジパーツ部の姿勢が固定される。特に、トップホイルが周縁フランジにシールされているとき、細長い第3のフランジパーツ部は、第1のフランジパーツ部が折り上げられるのを防止する。このことにより、シールされたトップホイルが張力のかかったまま留まり、本発明に係るシールされた厚紙トレーは、容易に積み重ねられ得る。
【0020】
第3のフランジパーツ部が各壁部の外面に接合する位置によって、第1のフランジパーツ部の角度を決定することができる。第1のフランジパーツ部を下向きにうなだれた(hanging)状態にすることにより、トップシールホイル上の張力をより確実に維持し、さらに高めることさえ可能である。厚紙トレーがトップシーラ内に配置され、トップホイルがフランジにシールされると、第1のフランジパーツ部は、水平姿勢に向かって押し込まれる。シールされたトレーがトップシーラから取り外されると、第1のフランジパーツ部は、下向きのうなだれた姿勢に向かって曲げ戻される。このことにより、トップホイルにさらに張力がかけられる。
【0021】
また、第1、第2、および第3のフランジパーツ部によって、トレーに強度が与えられることにより、展開された厚紙のシートの厚さを、例えば、わずか300μmの厚さに低減することができる。ヒートシール接着剤が使用される場合、厚みの低減は、熱が厚紙により早く伝導することで、第2のフランジパーツ部と第2フランジパーツとの重なり部がより早く接続され得るというさらなる利点を有する。
【0022】
本実施形態では、第2フランジパーツは、必要とされない。例えば、果物や野菜を包装するためのトレーでは、トップシールホイルを周縁フランジに接合する必要はない。ホイルが第1フランジパーツにのみ接合され、第1、第2および第3のフランジパーツ部によってトップシールホイルに張力がかけられると、積み重ねが可能で、果物や野菜を収容するのに適したトレーも得られる。
【0023】
細長い第1のフランジパーツ部は、各壁部から細長い第2のフランジパーツ部に向かって下向きに傾斜していることが好ましい。
【0024】
トップシールホイルがトレーの周縁フランジに配置されると、傾斜した細長い第1のフランジパーツ部によって、トップシールホイルに張力が加えられ得る。
【0025】
本発明に係る厚紙トレーのさらに好適な実施形態では、細長い第1のフランジパーツ部の幅は、細長い第2のフランジパーツ部の幅よりも大きい。
【0026】
このことにより、第1フランジパーツが二つ折りにされたときに、第2のフランジパーツ部は、より確実に、壁部の外表面に接触せず、第1のフランジパーツ部を上向きに押しつけない。
【0027】
細長い第2のフランジパーツ部の厚さ(width)は、細長い第1のフランジパーツ部の厚さよりも薄い厚紙の厚さであることが好ましい。このような厚さの差は、通常、0.5mm以上である。
【0028】
第3のフランジパーツ部が設けられる実施形態では、展開されたシートは、使用可能な折り畳み装置(例えば、Heiber and Schroeder社が販売しているもの)内に配置され得る。折り畳み装置は、第1フランジパーツを二つ折りし、第3のフランジパーツ部を各壁部の外面に接合する。第1および第2のフランジパーツ部の幅の差により、第1のフランジパーツ部が自然に下向きに曲げられ、トップホイルに張力を加えることが達成される。
【0029】
本発明に係るトレーのさらに別の実施形態では、第2のフランジパーツ部の延長部は、隣接する壁部の第2フランジパーツに接合されている。
【0030】
延長部と第2フランジパーツとを接合することにより、周縁フランジからトップシールホイルが取り外された状態においても、頑丈なフランジが得られる。
【0031】
二つ折りにされた第1フランジパーツのさらなる利点は、第2のフランジパーツ部と第2フランジパーツとの重なり部に、ヒートシールコーティングまたは適切なポリエチレンラミネートが設けられ得ることである。ヒートシールコーティングまたは適切なポリエチレンラミネートは、展開されたシートに片面側から適用可能である。折られた厚紙トレーをトップシーラ内に配置し、熱を加えてホイルを周縁フランジにシールすると、コーティングされた重なり部も熱を受け、共にプレスされて、頑丈で剛性のある周縁フランジが設けられる。同時に、周縁フランジによって、トップシールを張力のかかった状態で配置することができ、頑丈な厚紙トレーが提供される。
【0032】
本発明に係る厚紙トレーの別の実施形態では、隣接する壁部は、少なくとも1つの重なり合う接合フラップによって、互いに接続されている。接合フラップは、隣接する2つの壁部の一方に配置され、他方に接合される。
【0033】
接合フラップを介した接続により、本発明のトレーにさらなる強度および剛性が提供される。
【0034】
本発明に係る厚紙トレーのさらに別の実施形態では、隣接する2つの壁部のそれぞれと底壁部との間に角部が配置されている。角部は、二つ折りにされ、隣接する2つの壁部の一方に接合される。
【0035】
角部によって、底壁部と壁部とは、カットされることなく、展開されたシートからより確実に折られ得る。このことにより、結果として得られるトレーは、隣接する壁部に沿って完全に閉鎖され、壁部と底壁部とに沿って完全に閉鎖されている。このことにより、本実施形態に係る厚紙トレーは、二つ折りにされた角部の構造により、漏らすことがない。
【0036】
さらに好適な実施形態では、展開されたシート上にプラスチックライナーが配置されている。二つ折りにされた各角部は、このプラスチックライナーによって、隣接する2つの壁部の一方にシールされる。
【0037】
追加されたプラスチックライナーにより、厚紙トレーの耐漏洩性(leak-tight)構造がさらに改良され、より流動性の高い食品の保管さえも可能になる。プラスチックライナーは、二つ折りにされた角部を壁部に接合することにも利用され得る。このため、追加の接着剤は、必要とされない。
【0038】
本発明の厚紙トレーのさらに好適な実施形態では、トレーを覆うように、フランジパーツ上にトップシールホイルが配置されている。
【0039】
また、本発明は、本発明に係る厚紙トレー上にトップシールホイルを配置する方法に関する。本発明に係る厚紙トレーには、第3のフランジパーツ部が設けられる。本方法は、トップシーラを準備する工程と、細長い第1のフランジパーツ部がフランジパーツの外縁部に向かって下向きに傾斜した、請求項2または請求項3に記載の厚紙トレーを準備する工程と、細長い第1フランジパーツを水平姿勢にプレスするように、厚紙トレーをトップシーラ内に配置する工程と、厚紙トレーの上方にトップシールホイルを設ける工程と、トップシールホイルを第1フランジパーツおよび第2フランジパーツにシールする工程と、を有する。
【0040】
下向きに傾斜した細長い第1のフランジパーツ部を有する厚紙トレーをトップシーラ内に配置することにより、第1フランジパーツは、水平姿勢に向かって押し込まれる。トップシールホイルが周縁フランジに配置され、トレーがトップシーラから取り外されると、第1フランジパーツは、下向きの傾斜姿勢に向かって戻ろうとし、トップシールホイルに張力が加わる。張力のかかったトップシールホイルを備えたトレーは、トレーの収容物を損傷することなく、容易に積み重ねられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明のこれらの特徴および他の特徴は、添付の図面と共に明確にされる。
【0042】
図1図1は、本発明に係る厚紙トレー用の展開されたシートの平面図である。
図2図2は、本発明に係る厚紙トレーに折られた図1の展開されたシートの斜視図である。
図3A図3Aは、第1フランジパーツの折り畳みを示す模式的な断面図である。
図3B図3Bは、第1フランジパーツの折り畳みを示す模式的な断面図である。
図4図4は、図2のIV-IV線に沿った断面図である。
図5A図5Aは、本発明に係る方法を示す模式的な断面図である。
図5B図5Bは、本発明に係る方法を示す模式的な断面図である。
図5C図5Cは、本発明に係る方法を示す模式的な断面図である。
図6図6は、本発明に係る厚紙トレーの第2実施形態のための展開されたシートの平面図である。
図7図7は、本発明に係る厚紙トレーの第3実施形態のための展開されたシートの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、本発明に係る厚紙トレー用の展開されたシート1を示す図である。展開されたシート1は、直線状の縁部3が構成する周縁部を有した底壁部2を備えている。
【0044】
壁部4は、直線状の縁部3のそれぞれに対して配置されている。壁部4には、隣接する壁部4同士を接続するために、接合フラップ5が設けられている。
【0045】
壁部4には、第1フランジパーツ6または第2フランジパーツ7のいずれかが交互に設けられている。第2フランジパーツ7は、単一の区画を有する。一方で、第1フランジパーツ6は、各壁部4に対して配置された第1のフランジパーツ部8と、第2のフランジパーツ部9と、第3のフランジパーツ部10とを有している。
【0046】
図2は、図1に示した展開されたシート1から折られた、本発明に係る厚紙トレー20の実施形態を示した斜視図である。
【0047】
壁部4は、折り上げられ、接合フラップ5を介して接続されている。第1フランジパーツ6は、第1のフランジパーツ部8の底面に対して二つ折りにされた第2のフランジパーツ部9を有している。第3のフランジパーツ部10は、各壁部4に接合されている。
【0048】
第2のフランジパーツ部9は、両端部に延長部21を有している。延長部21は、第1のフランジパーツ部8を超えて長手方向に延びている。延長部21は、第2フランジパーツ7の端部と重なり合っている。
【0049】
第2のフランジパーツ部9と第2フランジパーツ7との重なり部には、重なり部がトップシーラによって互いに接合され得るように、ヒートシールコーティング(heat seal coating)が塗布されることが好ましい。
【0050】
図3Aは、円錐エレクタ装置(conical erector device)または円錐接合システム(例えば、Heiber and Schroeder社が販売しているもの)を使用して、第1のフランジパーツ8,9,10がどのように折られるかを示した図である。第1、第2、および第3のフランジパーツ部は、「Z」の形状に折られる。第3のフランジパーツ部は、各壁部4に接合される。
【0051】
接着剤が塗布された後、第1および第2のフランジパーツ部は、水平姿勢に向かって曲げられる。しかしながら、第1のフランジパーツ部の幅W1と第2のフランジパーツ部の幅W2との幅の差により、第1のフランジパーツ部は、トレー20の外側に向かって下向きに傾斜したままである。
【0052】
図4は、図2のIV-IV線に沿った断面図である。第2フランジパーツ7は、各壁部4と列をなしている。延長部21が第1のフランジパーツ部8を超えて延びており、第2フランジパーツ7がこれらの延長部21上に折られ、第2のフランジパーツ7と第1のフランジパーツ部8とを有する周縁フランジが設けられることは、さらに明確である。
【0053】
図5Aは、本発明に係る方法の実施形態の第1工程を示す図である。図2に示すような厚紙トレー20は、下部リング22と上部リング23とを備えたトップシーラ内に配置される。リング22,23のいずれか、または両方は、加熱されている。さらに、トレー20の上方には、トップシールホイル24が設けられる。
【0054】
第1のフランジパーツ部8の幅が第2のフランジパーツ部9の幅よりも大きいため、第1のフランジパーツ部8は、第3のフランジパーツ部10が壁部4の外側に接合されたとき、下向きの傾斜姿勢に押し込まれるようにして、下向きに傾斜する。
【0055】
図5Bにおいて、両方のリング22,23は、第1フランジパーツ8,9,10と第2フランジパーツ7とトップシールホイル24とが共にプレスされるように、互いに押し合う。このプレス動作により、通常下向きに傾斜した第1フランジパーツ8,9,10は、水平姿勢にされ、各壁部4は、外向きに膨らむ。
【0056】
トップホイル24を第1のフランジパーツ部8と第2フランジパーツ7とにシーリングし、フランジパーツ6,7の重なり部をシーリングした後、リング22,23による圧力がかからなくなり、トレー20は、取り外される。その結果、膨らんだ壁部4が真っ直ぐになり、第2のフランジパーツ部9と重なり合う第2フランジパーツ7とが下向きの傾斜姿勢に戻るので、トップシールホイル24にさらに張力がかかる。このことにより、本発明に係る厚紙トレー20は、積み重ねられ得る。
【0057】
図6は、第2実施形態であり、本発明に係る箱に折られ得る展開されたシート30を示す図である。シート30は、図1に示すようなシート1と類似しており、類似の特徴部は、同一の符号によって示されている。
【0058】
展開されたシート30は、接合フラップ5の代替として、隣接する2つの壁部4のそれぞれと底壁部2との間に配置された角部31を備えている。各角部31は、底壁部2から延びた折り線32を有する。これにより、角部31は、隣接する壁部4の1つに対して二つ折りにされ得る。
【0059】
展開されたシート30が折られると、角部31により、耐漏洩性(leak-tight)トレーが提供される。好ましくは、気密トレーさえも得られるように、少なくとも壁部4、底壁部2および角部31に、ホイル33が積層される。
【0060】
フランジパーツ6,7は、図1図5に関連して説明されたように、展開されたシート1と同様の方法で折られ、接合される。
【0061】
角部31により、ケーキを包装可能な頑丈なトレーを提供することができる。ケーキは、トレーに配置されている間に焼かれることができる。頑丈な壁部が角部によって膨らみを防止するので、形状の良いケーキが得られる。
【0062】
図7は、厚紙トレーの第3実施形態における展開されたシート50の平面図を示す図である。厚紙トレーの第3実施形態では、展開されたシートは、本発明に係る箱に折られ得る。
【0063】
展開されたシート50は、直線状の縁部52が構成する周縁部を有した底壁部51を有している。壁部53,54は、直線状の縁部52のそれぞれに対して配置されている。壁部54には、隣接する壁部53同士を接続するために、接合フラップ55が設けられている。
【0064】
接合フラップ55が設けられ、対向して配置された壁部54には、第1のフランジパーツ部56と、第2のフランジパーツ部57と、第3のフランジパーツ部58とが設けられている。
【0065】
展開されたシート50を箱に折るとき、第2のフランジパーツ部57は、第1のフランジパーツ部56に対して二つ折りにされる。一方、第3のフランジパーツ部58は、壁部54に対して折られ、壁部54に接合される。
【0066】
壁部53には、シート50が箱に折られたときに、第1のフランジパーツ部56と第2のフランジパーツ部57の丸みを帯びた端部に接する単一のフランジ59が設けられている。結果として、単一のフランジ59と第1のフランジパーツ部56とは、形成された箱の開口部の周囲に水平な周縁フランジを形成する。
【0067】
トップホイルがこの水平な周縁フランジ上にシールされると、第1、第2、および第3のフランジパーツ部56,57,58によって、上記のように、より確実にホイルに張力がかけられる。同時に、水平な周縁フランジ上の全体にホイルを配置することにより、箱に剛性が加えられる。ホイルを単一のフランジ59に接合することは、シールされた箱の剛性にさらに寄与する。しかしながら、単一のフランジ59を省くこともできる。その結果、剛性はより低いが、張力のかかったホイルをなお有した箱が得られる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7