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特許7213347ズワイガニ殻を用いたキトサンの調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-18
(45)【発行日】2023-01-26
(54)【発明の名称】ズワイガニ殻を用いたキトサンの調製方法
(51)【国際特許分類】
   C08B 37/08 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
C08B37/08 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021529721
(86)(22)【出願日】2021-03-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-24
(86)【国際出願番号】 CN2021079776
(87)【国際公開番号】W WO2021180078
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2021-05-25
(31)【優先権主張番号】202010175929.3
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521225889
【氏名又は名称】山東美佳集団有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shandong Meijia Group Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】119 Haibin 1st Road, Donggang District, Rizhao City, Shandong Province, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】郭 暁華
(72)【発明者】
【氏名】張 永勤
(72)【発明者】
【氏名】張 廷翠
(72)【発明者】
【氏名】董 浩
(72)【発明者】
【氏名】鄭 萌萌
【審査官】中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110256603(CN,A)
【文献】特開2000-017001(JP,A)
【文献】特開2006-057398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B 37/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ズワイガニ殻を用いたキトサンの調製方法であって、
ステップ(1) カニ殻の前処理:新鮮なズワイガニ殻を200部(質量単位で「部」、以下同様)取り、粉砕することと、
ステップ(2) カニ殻の脱カルシウム:カニ殻に質量百分率濃度5~10%のクエン酸溶液600~1000部を加え、6~15時間浸漬した後、ろ過し、水を洗浄液として使用し、ろ過したカニ殻を洗浄し、洗浄残液とろ過液を混合物として合わせて保持することと、
ステップ(3) 有機カルシウムの抽出:混合物をプレートフレームでろ過し、ろ過残渣を乾燥させてクエン酸カルシウムを得て、残りの混合液を、後続の処理後に再利用するために回収することと、
ステップ(4) 再脱カルシウム処理:ステップ(2)とステップ(3)を繰り返し、得られたカニ殻が脱カルシウムしたカニ殻であり、得られたろ過残渣を乾燥させてクエン酸カルシウムとし、残りの混合液を、後続の処理後に再利用するために回収することと、
ステップ(5) カニ殻の脱タンパク:上記の脱カルシウムしたカニ殻に400~1000部の水を加え、0.4~2部のフレーバー酵素を加え、45℃-55℃で、3~5時間保持することと、
ステップ(6) プロテインパウダーの抽出:酵素を不活性化した後、ろ過し、得られたろ過液を濃縮し、噴霧乾燥してカニプロテインパウダーを得ることと、
ステップ(7) キチンの調製:ステップ(6)でろ過して得られたカニ殻に5~10%クエン酸溶液を400~1000部加え、6~15時間浸漬した後、ろ過し、得られたろ過残渣を洗浄、乾燥し、キチンを得て、得られたろ過液を、後続の処理後に再利用するために回収することと、
ステップ(8) 脱アセチル化:ステップ(7)で得られたキチンに40~55%KOH溶液(0.1%の触媒を含む)を加え、80~90℃で、6~14時間保持し、脱アセチル化を完了させ、ろ過し、洗浄し、ろ過液と洗浄液を、後続の処理後に再利用するために回収することと、
ステップ(9) 脱色処理:ステップ(8)でろ過して得られたろ過残渣を、紫外線で12-24時間照射して処理し、乾燥させてキトサンを得ることと、
を含み、
前記回収した混合液またはろ過液を再利用する処理は、1)ろ過し、不純物を除去するステップと、2)ろ過した液中のクエン酸またはKOH溶液の濃度を検出し、必要に応じてクエン酸または水酸化カリウムをそれぞれ添加し、溶液の濃度をステップ(2)及びステップ(8)で要求される濃度範囲に調整するステップとを含む
ことを特徴とするズワイガニ殻を用いたキトサンの調製方法。
【請求項2】
ステップ(8)に記載される触媒がアセテートである、ことを特徴とする請求項1に記載のズワイガニ殻を用いたキトサンの調製方法。
【請求項3】
ステップ(8)に記載されるキチンとKOH溶液との質量百分率が1:5-1:30である、ことを特徴とする請求項1に記載のズワイガニ殻を用いたキトサンの調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高粘度多糖類の調製方法の技術分野に関し、特に、新鮮なズワイガニ殻を用いたキトサンの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ズワイガニ殻は、水産物の加工時に発生する廃棄物であり、水産物加工業の発展に伴って、これらの破棄物の量が増えている。統計によると、世界のズワイガニ殻の年間生産量は約60万トンで、これらのカニ殻を十分に利用すると、400億元以上の産業化規模が形成される。現在、ズワイガニ殻の利用は主に飼料に加工され、キチンとキトサンに加工されるのはごく一部で、加工技術的が遅れ、環境汚染が深刻で、キチンとキトサンの製品の品質が不安定で、製品に含まれる重金属の一部が基準値を超え、製品の付加価値が低く、脱アセチル化度が高く、かつ粘度の高い医薬品グレードのキトサンが得られない。
【0003】
現在、ズワイガニ殻からキチンを調製する従来の方法は強酸強アルカリ法で、強酸を用いてカルシウムとマグネシウムを除去し、主に塩酸で殻を浸して炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムを除去し、さらに強アルカリ溶液を用いてタンパク質を除去してキチンを得て、キチンを高温・濃アルカリで脱アセチル化し、さらに酸化・脱色してキトサンを得る。この方法では、エネルギー消費量が高く、副産物のリサイクルがなく、廃酸や廃アルカリが直接排出され、環境汚染が深刻であり、強酸、強アルカリと酸化脱色を経た製品のキトサン分子鎖が大きく損傷し、キトサンの粘度が低い。例えば、中国特許出願書類(開示番号:CN 110256603A)には、エビやカニの殻からキチンやキトサンを調製するための水熱2段カップリングの方法と応用が開示されており、この方法では、有機酸による脱カルシウムを行い、酸分解時間は6~24時間、固液比は1:8~1:12、シェル酸の質量比は1:1~1:1.5で、酸処理後の反応液を固液分離し、ろ過液を濃縮、乾燥して有機酸カルシウム粉末を製造し、酸処理されたろ過残渣をpH中性にして水熱反応器に入れ、反応温度は180℃~370℃であり、反応圧力は1.0MPa~22MPaであり、反応時間は5分~60分であり、反応終了後、反応物を回収し、プロテアーゼによる酵素分解処理を行い、酵素分解温度は30℃~60℃であり、pH値は3~11であり、酵素分解時間は3h~12hであり、酵素分解後、煮沸して酵素を3~8分不活性化し、酵素分解後の固体をpH中性に水洗し、乾燥した後に白色乃至淡黄色のキチンを得て、次に製造されたキチンにキチンデアセチラーゼを添加して酵素分解による脱アセチル化し処理を行い、酵素分解温度は30℃~60℃であり、pH値は3~11であり、酵素分解時間は3h~12hであり、酵素分解後、煮沸して酵素を10~30分不活性化し、得られた酵素分解液を固液分離し、固体部分をpH中性に水洗し、乾燥させてキトサンを得た。この調製方法では、高温・高圧を使用し、水の消費、エネルギーの消費、酸の消費、酵素の消費が深刻で、資源が総合的に利用されず、環境汚染が深刻で、製品の分子鎖が大きく損傷し、粘度が低く、製品のタンパク質含有量が高く、色が暗いという問題がある。例えば、中国特許(開示番号:CN101974104A)にはキトサンの調製方法が開示されており、この方法では、エビ殻の前処理が含まれており、つまり、エビ殻を濃度5-15%の塩酸に4-6時間浸漬した後、質量濃度10-20%の水酸化ナトリウムで1-2時間処理し、さらに過マンガン酸カリウムに浸漬して脱色し、ろ過した後、重亜硫酸ナトリウム水溶液に浸漬してキチンを得て、キチンを濃度40-45%の水酸化ナトリウム溶液に90-110℃で浸漬してキトサンを得た。この調製方法では、エネルギー消費量が多く、強酸、強アルカリを使用するため、製品の分子鎖に深刻な損傷を与え、製品の粘度が低く、資源が総合的に利用されず、環境汚染が深刻であるという問題がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、調製工程で発生する生成物を総合的に利用し、ズワイガニ殻の利用価値を十分に発揮するという目的を達成するために、ズワイガニ殻を用いたキトサンの調製方法を提供する。
【0005】
本発明によって提供されるズワイガニ殻を用いたキトサンの調製方法であって、以下のステップ、すなわち、
ステップ(1) カニ殻の前処理:新鮮なズワイガニ殻を200部(質量単位で「部」、以下同様)取り、粉砕することと、
ステップ(2) カニ殻の脱カルシウム:カニ殻に質量百分率濃度5~10%のクエン酸溶液600~1000部を加え、6~15時間浸漬した後、ろ過し、水を洗浄液として使用し、ろ過したカニ殻を洗浄し、洗浄残液とろ過液を混合物として合わせて保持することと、
ステップ(3) 有機カルシウムの抽出:混合物をプレートフレームでろ過し、ろ過残渣を乾燥させてクエン酸カルシウムを得て、残りの混合液を、後続の処理後に再利用するために回収することと、
ステップ(4) 再脱カルシウム処理:ステップ(2)とステップ(3)を繰り返し、得られたカニ殻が脱カルシウムしたカニ殻であり、得られたろ過残渣を乾燥させてクエン酸カルシウムとし、残りの混合液を、後続の処理後に再利用するために回収することと、
ステップ(5) カニ殻の脱タンパク:上記の脱カルシウムしたカニ殻に400~1000部の水を加え、0.4~2部のフレーバー酵素を加え、45℃-55℃で、3~5時間保持することと、
ステップ(6) プロテインパウダーの抽出:酵素を不活性化した後、ろ過し、得られたろ過液を濃縮し、噴霧乾燥してカニプロテインパウダーを得ることと、
ステップ(7) キチンの調製:ステップ(6)でろ過して得られたカニ殻に5~10%クエン酸溶液を400~1000部加え、6~15時間浸漬した後、ろ過し、得られたろ過残渣を洗浄、乾燥し、キチンを得て、得られたろ過液を、後続の処理後に再利用するために回収することと、
ステップ(8) 脱アセチル化:ステップ(7)で得られたキチンに40~55%KOH溶液(0.1%の触媒を含む)を加え、80~90℃で、6~14時間保持し、脱アセチル化を完了させ、ろ過し、洗浄し、ろ過液と洗浄液を、後続の処理後に再利用するために回収することと、
ステップ(9) 脱色処理:ステップ(8)でろ過して得られたろ過残渣を、紫外線で12-24時間照射して処理し、乾燥させてキトサンを得ることと、を含む。
【0006】
さらに、ステップ(8)に記載される触媒は、アセテートである。
【0007】
さらに、ステップ(8)に記載されるキチンとKOH溶液の質量百分率は、1:5-1:30である。
【0008】
さらに、前記混合液またはろ過液を後続の処理後に再利用するために回収し、前記処理は、1)ろ過し、不純物を除去するステップと、2)回収したろ過液中のクエン酸またはKOH溶液の濃度を検出し、必要に応じてクエン酸または水酸化カリウムをそれぞれ添加し、溶液の濃度をステップ(2)、ステップ(8)で要求される濃度範囲に調整するステップと、を含む。
【0009】
本発明によって提供されるズワイガニ殻を用いたキトサンの調製方法では、クエン酸を使用して2回脱カルシウムし、クエン酸カルシウムとクエン酸を回収した後、プロテアーゼによる酵素分解でタンパク質を除去し、タンパク質を回収し、クエン酸を再浸漬し、触媒による脱アセチル化と紫外線照射による脱色を独創的に採用し、そのポジティブな効果は主に以下に反映される。
【0010】
1、本発明の方法では、2回脱カルシウムした後、酵素で脱タンパクし、タンパク質を徹底的に除去し、生成したタンパク質を回収してプロテインパウダーに製造し、カニ殻中のカルシウムはクエン酸カルシウムに変換され、他の分野の化学品製造に利用することができ、反応過程の残留液は回収されて再利用される。ズワイガニ殻の利用価値を最大限に発揮するだけでなく、生産過程全体で廃水、廃ガスと固形廃棄物がなく、廃棄物ゼロ、排出物ゼロと高額利用を実現する。
【0011】
2、本発明の方法では、酵素でタンパク質を除去した後、製品中のカルシウムとタンパク質をさらに除去するために、クエン酸で浸漬し、全過程は制御が容易であり、高温・強アルカリによる脱タンパクのクプロセスがなく、省エネ、環境保護、安定した製品品質を実現する。
【0012】
3、本発明の方法では、脱アセチル化の過程で触媒としてアセテートを独創的に加えることで、生産サイクルを大幅に短縮し、脱アセチル化の度合いを高め、エネルギー消費を節約し、生産コストを削減するとともに、濃アルカリによるキトサン分子鎖の破壊を抑え、製品の粘度が高く、品質が良い。
【0013】
4、本発明の方法では、脱色処理ステップで紫外線照射による脱色を独創的に使用することで、従来の乾燥プロセスの制限や不安定さ、清浄度管理を打破し、操作が容易で、酸化還元脱色で過マンガン酸カリウムや二酸化硫黄が残留しないため、医薬品グレードのキトサンの製造に品質保証を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施例1>
新鮮なズワイガニ殻、すなわち、前工程の水産加工直後に新鮮なズワイガニから発生した切り落としを200g取り、粉砕した後、質量百分率濃度5%のクエン酸溶液を1000g加え、15時間浸漬し、ガーゼでろ過し、水道水または精製水でカニ殻を洗浄して一次脱カルシウムしたカニ殻を得て、洗浄残液とろ過液を合わせて混合物を得て、混合物をプレートフレームでろ過し、ろ過残渣を乾燥させてクエン酸カルシウムを得て、残りの混合液を、後続の処理後に再利用するために回収し、再び5%のクエン酸溶液を1000g加え、以上の操作手順を1回繰り返し、脱カルシウムしたカニ殻を得て、脱カルシウムしたカニ殻に1000gの水を加え、フレーバー酵素を2g加え、49℃で3時間保持し、酵素を不活性化した後、ろ過し、得られたろ過液を濃縮し、噴霧乾燥してカニプロテインパウダーを得て、得られたカニ殻に10%のクエン酸溶液を400g加え、6時間浸漬し、ガーゼでろ過し、得られたろ過残渣を洗浄、乾燥し、キチンを得て、得られたろ過液を後続の処理後に再利用するために回収し、得られたキチンを、キチンとKOH溶液との質量百分率が1:5となるように55%のKOH溶液(0.1%の酢酸カリウムを含む)に加え、90℃で6時間保持し、冷却後、ろ過し、洗浄し、ろ過液と洗浄液を、後続の処理後に再利用するために回収し、洗浄したろ過残渣を紫外線で12時間照射し、乾燥させて24.2gのキトサンを得る。
【0015】
<実施例2>
新鮮なズワイガニ殻、すなわち、前工程の水産加工直後に新鮮なズワイガニから発生した切り落としを200g取り、粉砕した後、質量百分率濃度10%のクエン酸溶液を600g加え、6時間浸漬し、ガーゼでろ過し、水道水または精製水でカニ殻を洗浄して一次脱カルシウムしたカニ殻を得て、洗浄残液とろ過液を合わせて混合物を得て、混合物をプレートフレームでろ過し、ろ過残渣を乾燥させてクエン酸カルシウムを得て、残りの混合液を、後続の処理後に再利用するために回収し、再び10%のクエン酸溶液を400g加え、以上の操作手順を、気泡がなくなって反応が完了するまで繰り返し、脱カルシウムしたカニ殻を得て、脱カルシウムしたカニ殻に400gの水を加え、フレーバー酵素を0.4g加え、45℃で5時間保持し、酵素を不活性化した後、ろ過し、得られたろ過液を濃縮し、噴霧乾燥してカニプロテインパウダーを得て、得られたカニ殻に5%のクエン酸溶液を1000g加え、15時間浸漬し、ガーゼでろ過し、得られたろ過残渣を洗浄、乾燥し、キチンを得て、得られたろ過液を後続の処理後に再利用するために回収し、得られたキチンを、キチンとKOH溶液との質量百分率が1:30となるように40%のKOH溶液(0.1%の酢酸ナトリウムを含む)に加え、80℃で14時間保持し、冷却後、ろ過し、洗浄し、ろ過液と洗浄液を、後続の処理後に再利用するために回収し、洗浄したろ過残渣を紫外線で16時間照射し、乾燥させて23.6gのキトサンを得る。
【0016】
<実施例3>
新鮮なズワイガニ殻、すなわち、前工程の水産加工直後に新鮮なズワイガニから発生した切り落としを200g取り、粉砕した後、質量百分率濃度8%のクエン酸溶液を700g加え、10時間浸漬し、ガーゼでろ過し、水道水または精製水でカニ殻を洗浄して一次脱カルシウムしたカニ殻を得て、洗浄残液とろ過液を合わせて混合物を得て、混合物をプレートフレームでろ過し、ろ過残渣を乾燥させてクエン酸カルシウムを得て、残りの混合液を、後続の処理後に再利用するために回収し、再び8%のクエン酸溶液を700g加え、以上の操作手順を、気泡がなくなって反応が完了するまで繰り返し、脱カルシウムしたカニ殻を得て、脱カルシウムしたカニ殻に700gの水を加え、フレーバー酵素を1g加え、55℃で4時間保持し、酵素を不活性化した後、ろ過し、得られたろ過液を濃縮し、噴霧乾燥してカニプロテインパウダーを得て、得られたカニ殻に6%のクエン酸溶液を500g加え、8時間浸漬し、ガーゼでろ過し、得られたろ過残渣を洗浄、乾燥し、キチンを得て、得られたろ過液を後続の処理後に再利用するために回収し、得られたキチンを、キチンとKOH溶液との質量百分率が1:10となるように48%のKOH溶液(0.1%の酢酸カリウムを含む)に加え、85℃で10時間保持し、冷却後、ろ過し、洗浄し、ろ過液と洗浄液を、後続の処理後に再利用するために回収し、洗浄したろ過残渣を紫外線で24時間照射し、乾燥させて24.6gのキトサンを得る。
【0017】
<実施例4>
新鮮なズワイガニ殻、すなわち、前工程の水産加工直後に新鮮なズワイガニから発生した切り落としを200g取り、粉砕した後、質量百分率濃度7%のクエン酸溶液を800g加え、12時間浸漬し、ガーゼでろ過し、水道水または精製水でカニ殻を洗浄して一次脱カルシウムしたカニ殻を得て、洗浄残液とろ過液を合わせて混合物を得て、混合物をプレートフレームでろ過し、ろ過残渣を乾燥させてクエン酸カルシウムを得て、残りの混合液を、後続の処理後に再利用するために回収し、再び7%のクエン酸溶液を800g加え、以上の操作手順を、気泡がなくなって反応が完了するまで繰り返し、脱カルシウムしたカニ殻を得て、脱カルシウムしたカニ殻に800gの水を加え、フレーバー酵素を1.2g加え、49℃で3.5時間保持し、酵素を不活性化した後、ろ過し、得られたろ過液を濃縮し、噴霧乾燥してカニプロテインパウダーを得て、得られたカニ殻に9%のクエン酸溶液を600g加え、12時間浸漬し、ガーゼでろ過し、得られたろ過残渣を洗浄、乾燥し、キチンを得て、得られたろ過液を後続の処理後に再利用するために回収し、得られたキチンを、キチンとKOH溶液との質量百分率が1:20となるように52%のKOH溶液(0.1%の酢酸ナトリウムを含む)に加え、88℃で13時間保持し、冷却後、ろ過し、洗浄し、ろ過液と洗浄液を、後続の処理後に再利用するために回収し、洗浄したろ過残渣を紫外線で20時間照射し、乾燥させて24.3gのキトサンを得る。
【0018】
<実施例5>
新鮮なズワイガニ殻、すなわち、前工程の水産加工直後に新鮮なズワイガニから発生した切り落としを200g取り、粉砕した後、質量百分率濃度9%のクエン酸溶液を600g加え、7時間浸漬し、ガーゼでろ過し、水道水または精製水でカニ殻を洗浄して一次脱カルシウムしたカニ殻を得て、洗浄残液とろ過液を合わせて混合物を得て、混合物をプレートフレームでろ過し、ろ過残渣を乾燥させてクエン酸カルシウムを得て、残りの混合液を、後続の処理後に再利用するために回収し、再び9%のクエン酸溶液を600g加え、以上の操作手順を、気泡がなくなって反応が完了するまで繰り返し、脱カルシウムしたカニ殻を得て、脱カルシウムしたカニ殻に600gの水を加え、フレーバー酵素を1.5g加え、50℃で4.5時間保持し、酵素を不活性化した後、ろ過し、得られたろ過液を濃縮し、噴霧乾燥させてカニプロテインパウダーを得て、得られたカニ殻に7%のクエン酸溶液を600g加え、10時間浸漬し、ガーゼでろ過し、得られたろ過残渣を洗浄、乾燥し、キチンを得て、得られたろ過液を後続の処理後に再利用するために回収し、得られたキチンを、キチンとKOH溶液との質量百分率が1:15となるように48%のKOH溶液(0.1%の酢酸カリウムを含む)に加え、87℃で11時間保持し、冷却後、ろ過し、洗浄し、後続の処理後に再利用するために使用され、洗浄したろ過残渣を紫外線で15時間照射し、乾燥させて25.1のキトサンを得る。
【0019】
混合液またはろ過液を後続の処理後に再利用するために回収し、その処理は、1)ろ過し、不純物を除去するステップと、2)回收したろ過液中のクエン酸またはKOH溶液の濃度を検出し、必要に応じてクエン酸または水酸化カリウムをそれぞれ添加し、溶液の濃度を上記ステップで要求される濃度範囲に調整するステップと、を含む。そして、完成した溶液に加えて、混合して利用する。
実施例1-5で調製したキトサンの物理化学的指標と重金属含有量は以下のとおりである。
【0020】
以上は、本発明の実施例に過ぎず、本発明をいかなる形態や実質においても限定するものではなく、当業者であれば、本発明の方法を逸脱することなく、修正、追加、置換が可能であり、そのような修正、追加、置換も本発明の保護の範囲内に属する。本発明の精神と範囲から逸脱することなく、上記に開示された技術的内容を用いて当業者が行った修正、追加や置換の同等の変更は、本発明の等価な実施例であり、本発明の実質的な技術に基づいて上記の実施例に対して行った修正、追加や置換の同等の変更は、本発明の技術的解決手段の範囲内に属する。