(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-18
(45)【発行日】2023-01-26
(54)【発明の名称】玩具体、及び、玩具セット
(51)【国際特許分類】
A63H 3/00 20060101AFI20230119BHJP
A63H 3/02 20060101ALI20230119BHJP
A63H 9/00 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
A63H3/00 R
A63H3/02
A63H9/00 Q
A63H9/00 F
(21)【出願番号】P 2022011993
(22)【出願日】2022-01-28
【審査請求日】2022-06-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591274532
【氏名又は名称】株式会社メガハウス
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 聡子
(72)【発明者】
【氏名】上川 洋
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-078093(JP,U)
【文献】特開2006-061239(JP,A)
【文献】特開昭50-096351(JP,A)
【文献】特開平06-079065(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1842361(CN,A)
【文献】手芸初心者が「木目込み人形」を作ってみた。,さくらのつぼみ WEB版 [online],2022年01月18日,URL: <https://sakuranotsubomi.themedia.jp/posts/31704502?categoryIds=3963919>,[令和4年9月5日検索日]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被覆部材でそれぞれ被覆される複数の芯部を有する玩具体であって、
前記複数の芯部は、前記被覆部材の少なくとも一部が挿入されて該被覆部材を保持可能となるように、隣り合う芯部と所定の間隔を隔てて配置され、
前記複数の芯部の少なくとも1つは他の芯部と隣り合う面に、挿入された前記被覆部材を収容する凹部を有する、玩具体。
【請求項2】
前記凹部は、前記芯部の表面から所定の距離だけ離れた位置に設けられている、請求項1に記載の玩具体。
【請求項3】
前記凹部は、前記所定の距離よりも短い幅を有する、請求項
2に記載の玩具体。
【請求項4】
前記凹部は、前記所定の距離よりも大きい深さを有する、請求項
2または3に記載の玩具体。
【請求項5】
前記凹部は、前記所定の間隔よりも大きい幅を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の玩具体。
【請求項6】
隣り合う芯部同士は、前記隣り合う面においてそれぞれ前記凹部を有している、請求項1から5のいずれか1項に記載の玩具体。
【請求項7】
前記芯部の他の芯部と隣り合う端部は丸面取りされている、請求項1から6のいずれか1項に記載の玩具体。
【請求項8】
前記凹部と前記隣り合う面とが接続する部分は、挿入された前記被覆部材を係止する係止部として機能する、請求項1から7のいずれか1項に記載の玩具体。
【請求項9】
前記所定の
間隔は、少なくとも2つの前記被覆部材が挿入可能な大きさを有する、請求項1から8のいずれか1項に記載の玩具体。
【請求項10】
前記複数の芯部のそれぞれは、前記複数の被覆部材のうち該芯部を被覆する被覆部材を特定するための表示を有する、請求項1から9のいずれか1項に記載の玩具体。
【請求項11】
前記芯部の表示は、該芯部を被覆する被覆部材に付与された表示と対応する、請求項10に記載の玩具体。
【請求項12】
前記玩具体は、複数の芯材の組み合わせにより構成され、前記芯材のそれぞれは、前記複数の芯部のうち少なくとも1つ以上を有する、請求項1から9のいずれか1項に記載の玩具体。
【請求項13】
前記芯部は、ポリ塩化ビニル素材で構成されている請求項1から12のいずれか1項に記載の玩具体。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の玩具体と、
前記玩具体が有する複数の芯部をそれぞれ着脱可能に被覆する複数の被覆部材と
を含む、玩具セット。
【請求項15】
前記複数の被覆部材のそれぞれは、
前記複数の芯部の間に構成される凹部に該被覆部材の一部が収容されることにより、前記芯部を被覆するように装着され、
前記芯部を被覆する部分と前記凹部に収容される部分とを含み、
被覆される前記芯部の形状に対応する形状を有する、請求項14に記載の玩具セット。
【請求項16】
前記間隔に前記被覆部材の少なくとも一部が挿入された状態において前記間隔に更に挿入され、前記玩具体の表面において外部から視認可能な装飾部材を更に含む、請求項14又は15に記載の玩具セット。
【請求項17】
前記装飾部材は、前記間隔に挿入された状態で向きが固定されるように構成された第1の装飾部材と、前記間隔に挿入された状態で向きを変更可能に構成された第2の装飾部材とを含む、請求項16に記載の玩具セット。
【請求項18】
前記間隔に前記被覆部材を挿入するために使用される挿入部材を更に含む請求項14から17のいずれか1項に記載の玩具セット。
【請求項19】
前記複数の被覆部材のそれぞれの表面には、前記挿入部材による前記間隔への挿入位置を特定するための位置決め用のマークが配置されている、請求項18に記載の玩具セット。
【請求項20】
前記複数の被覆部材のそれぞれの前記表面には、被覆する芯部を特定するための表示が更に配置されている請求項19に記載の玩具セット。
【請求項21】
前記表示により、前記芯部を被覆する際の前記被覆部材の向きが規定される、請求項20に記載の玩具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具体、及び、玩具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、多数の切込みを設けた柔軟素材の芯材の周囲に外皮を装着することで構成される縫い包み状玩具の発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、切込みに外皮のような被覆部材を織り込んだ後、接着することで、被覆部材を芯材に適合させる形態をとっている。従って、被覆部材を容易に交換することができず、玩具の外観を任意に異ならせて楽しむことができなかった。
【0005】
そこで、本発明は、被覆部材の容易に着脱し交換可能とする玩具体、及び、当該玩具体を含む玩具セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの実施形態に対応する発明は、複数の被覆部材でそれぞれ被覆される複数の芯部を有する玩具体であって、前記複数の芯部は、前記被覆部材の少なくとも一部が挿入されて該被覆部材を保持可能となるように、隣り合う芯部と所定の間隔を隔てて配置され、前記複数の芯部の少なくとも1つは他の芯部と隣り合う面に、挿入された前記被覆部材を収容する凹部を有する。
【0007】
他の実施形態に対応する発明は、玩具セットであって、上記の玩具体と、前記玩具体が有する複数の芯部をそれぞれ被覆する複数の被覆部材とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被覆部材の容易に着脱し交換可能とする玩具体、及び、当該玩具体を含む玩具セットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に対応する玩具体の外観の一例を示す斜視図。
【
図2】実施形態に対応する玩具体の外観の一例を示す六面図。
【
図3】実施形態に対応する玩具体を分解構成の一例を示す図。
【
図4】実施形態に対応する玩具体を分解構成の他の例を示す図。
【
図5】実施形態に対応する玩具体の断面の一例を示す図、断面の拡大図、及び、被覆部材の固定方法を説明するための図。
【
図6】実施形態に対応する被覆部材の構成の一例を示す図。
【
図7】実施形態に対応する装飾部材の外観の一例を示す図、及び、玩具体に被覆部材を装着するための挿入部材の構成の一例を示す図。
【
図8】実施形態に対応する玩具体に被覆部材及び装飾部材を装着した場合の外観の例を示す図。
【
図9】実施形態に対応する他の玩具体の外観の一例を示す斜視図。
【
図10】実施形態に対応する他の玩具体の外観の一例を示す六面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。各図において、同じ参照符号は、同じ要素を示している。また、各図において、紙面に対する上下左右方向を、本実施形態における部材の上下左右方向として、本文中の説明の際に用いることとする。なお本発明は、以下に説明する実施形態おいて玩具体を構成する素材としてとして、硬度75程度のポリ塩化ビニル(PVC)を例示する。PVCは変形させやすいと共に、元の形に復元する復元力にも優れ、更には被覆部材で被覆した際に表面が滑り止めの役割を果たすため被覆部材を装着した状態で維持するのに好適な素材である。PVCの硬度は一例として75としたが、上記機能を達成可能な硬度であれば75に限定されない。また、玩具体の素材もPVCに限定されず、他の素材の利用を排除するものではない。他の素材は、被覆部材との接触面に一定の摩擦力を生じ、被覆部材を素材の表面に定着可能な性質を有しつつ、外的な力により形状を変形可能であり、かつ、外的な力が排除されると元の形状に復帰する性質を有する素材であることが望ましい。
【0011】
図1は、発明の実施形態に対応する玩具体の外観の一例を示す斜視図である。本実施形態においては、玩具体100は、芯材110、120、130及び140の4つを組み合わせて構成されている。芯材110は、芯材120の上面側に組み合わされるように構成されており、芯材130及び芯材140は芯材120の底面側に組み合わされるように構成されている。本実施形態では各芯材は被覆部材により被覆されるところ、被覆部材による被覆される個々の部位のことを「芯部」と呼ぶ。それぞれの芯部には、芯部を識別するための表示(識別子、識別表示)が付与されており、
図1では、1から8までの通し番号が付与されている。表示の形態は、数字に限らず任意の文字、図形、記号、マーク等とすることができる。
【0012】
玩具体100を構成する芯材は、少なくとも1つの芯部を有しており、芯材110、芯材130はそれぞれの1つの芯部を有する。芯材120は6つの芯部を有している。芯材140は、芯材120の一部と合体して芯部(番号6、7が割り当てられた芯部)を構成する部材を有する。
【0013】
次に、
図2を参照して、玩具体100の外観を更に説明する。
図2は、玩具体100の外観の一例を六面図で示した図である。
図2(A)は玩具体100の正面図、
図2(B)は玩具体100の右側面図、
図2(C)は玩具体100の平面図、
図2(D)は玩具体100の左側面図、
図2(E)は玩具体100の底面図、
図2(F)は玩具体100の背面図である。
図1との関連で上述したように、各芯部には、個々の芯部を識別するための表示が付与されている。
【0014】
次に
図3を参照して、玩具体100を分解した一例を説明する。上述のように、芯材110は、芯材120の上面側と組み合わされるように構成されている。芯材110は、芯材120と組み合わされる側に凸部(突起部)111が構成されており、当該凸部111が芯材120側に構成された凹部(開口部)121に挿入され、凸部111と凹部121とが密着することで、芯材110が芯材120に固定される。なお、凸部111には複数の開口112が構成されており、凸部111が凹部121に挿入された際に内側に圧縮されて変形し、凹部121に対する結合度を高めることができる。
【0015】
次に
図4を参照して、玩具体100を分解した他の一例を説明する。上述のように、芯材130及び芯材140は、芯材120の底面側と組み合わされるように構成されている。芯材130は、芯材120と組み合わされる側に凸部(突起部)131と開放部132が併設して形成されており、凸部131が芯材120側に構成された凹部(開口部)122に挿入され、開放部132に芯材120の陥没していない部分123を収容することで、芯材130が芯材120に固定される。なお、凸部131には複数の開口133が形成されており、凸部131が凹部122に挿入された際に任意に変形し、凹部122に対する結合度を高めることができる。
【0016】
同様に、芯材140は、芯材120と組み合わされる側に凸部(突起部)141と142とが形成され、凸部141と142との間には凹部143が形成されている。これにより、凸部141及び142が芯材120側に構成された凹部(開口部)124及び125に挿入され、凹部143に芯材120の陥没していないH字状の部分126を収容することで、芯材140が芯材120に固定される。なお、凸部141、142にはそれぞれ開口が構成されており、凸部141、142が凹部124、125に挿入された際に内側に圧縮されて変形し、凹部124、125に対する結合度を高めることができる。
【0017】
また、芯材130及び140は、芯材120の凸部127を収容する凹部134及び144をそれぞれ備えており、芯部130、140がそれぞれ芯材120に装着される際に、凸部127を凹部134、144に収容することで、装着後の芯材130、140の芯材120に対するずれを防止している。
【0018】
本実施形態では、個々の芯部を被覆部材により被覆することができるが、その際、接着剤を使わずに被覆部材による被覆状態を維持する必要がある。そのための構造について
図5を参照して説明する。
図5は、玩具体100の断面構造の一例を示す図である。
【0019】
図5(A)は、
図2(C)のA-A'断面における玩具体100の内部構造の一例を示す。
図5(A)においては芯材110、120、130及び140の断面を示している。このうち点線で囲んだ領域501、502の断面構造を拡大して示すのが
図5(B)及び
図5(D)である。
【0020】
図5(B)は、芯材110と芯材120との境界部分の構造を拡大して示している。芯材110と芯材120の表面層の厚みは、それぞれd1、d2となっている。厚みd1とd2とは実質的に同じ厚みであってもよいし、厚みが違っていてもよい。一例として、厚みd1、d2の厚みを約4mmとすることができる。芯材110及び芯材120の表面層の内側には、芯部同士が隣り合う面にそれぞれ凹部が形成されている。凹部は、各芯材の表面から厚みd1等に対応する所定の距離だけ離れた位置に設けられ、芯材110の内側の凹部は幅がd3で、深さがd4となっている。また、芯材120の内側の凹部は幅がd5で、深さがd6となっている。d3からd6の値は、それぞれ芯材110と芯材120の表面層の厚みd1、d2よりも大きく、かつ、芯材110と芯材120との間の間隔(隙間、又はスリットともいう)の幅d7よりも大きい値となっている。なお、本実施形態ではd7の大きさを、例えば約2mmとすることができる。
【0021】
本実施形態では、芯材110及び芯材120のそれぞれの芯部を被覆部材により被覆する際に、被覆部材511、512の一部を
図5(C)に示すようにそれぞれに凹部内に収容する(被服部511a、512a)ことで一度装着した被覆部材を外れにくい状態で保持することができる。また芯材間の隙間(間隔d7)は2枚の被覆部材を収容することでほぼ覆われ、外部から視認されないようにすることができる。なお、本実施形態では、玩具体100は硬度75程度のPVCで構成されており、変形させやすいと共に元の形に復元する復元力にも優れている。よって、芯材110と芯材120との間に被覆部材511、512を挿入する際に、外的な力により被覆部材を挿入しやすいように形状が変形すると共に、被覆部材の挿入後は復元力が働くことで被覆部材511、512を内部に保持することができる。
【0022】
図5(B)の説明に戻り、隣り合う芯材110と芯材120のそれぞれの端部の表面側は角が落とされた丸面取り加工がなされている。これにより、芯材間の隙間に被覆部材を挿入する際の被覆部材を挿入しやすさが改善される。更には、被覆部材との接触面積を増やすことで、装着した被覆部材を抜けにくくすることができる。また、端部の表面側とは反対の凹部側には角が残っており、凹部内に挿入された被覆部材を凹部内に係止しておくための係止部として機能する。ここで、端部の凹部側は凹部内に挿入された被覆部材を凹部内に係止する機能を有する限りにおいて、一定の丸みを有していてもよい。例えば、端部の表面側の丸面取り加工部分よりも小さい曲率半径において丸面取加工をしておけば、被覆部材を凹部内に係止する効果を維持しつつ、端部の凹部側における角部をなくして安全性を担保することができる。
【0023】
図5(D)は、芯材130と芯材140との境界部分の構造を拡大して示している。芯材130と芯材140の表面層の厚みは、それぞれd11、d12となっている。厚みd11とd12とは実質的に同じ厚みであってもよいし、厚みが違っていてもよい。一例として、厚みd11、d12の厚みを約4mmとすることができる。芯材130及び芯材140の表面層の内側にも凹部が形成されている。芯材130の内側の凹部は幅がd13となっている。また、芯材140の内側の凹部は幅がd14となっている。d13からd14の値は、それぞれ芯材130と芯材140の表面層の厚みd11、d12よりも小さく、かつ、芯材130と芯材140との間の間隔の幅d15よりも大きい値となっている。ここで一例として幅d13、d14を約3mm、間隔d15を2mmとすることができる。これにより、芯材130及び芯材140のそれぞれの芯部を被覆部材により被覆する際に、被覆部材を凹部内に圧縮して収容することができるので、被覆部材を凹部内に確実に留めておくことができる。
【0024】
次に、
図6は本実施形態に対応する被覆部材の構成の一例を示す図である。
図6では、
図2で番号1から8までを付した8つの芯部をそれぞれ被覆するための被覆部材601から608の構成例を示している。それぞれの被覆部材には
図2の番号1から8までに対応する番号611が付されている。番号611は、被覆部材が正しい向きで芯部に装着される場合に、芯部に付されている番号の近傍に位置するように被覆部材に付与されている。また、番号611は、被覆部材を芯部に装着するときに装着が容易に行われ得る順番を示すこともできる。但し、当該番号611は、被覆部材を芯部に装着する際に、被覆部材のうち芯部間の隙間に挿入される部分に付されているため、被覆部材により被覆された玩具体の表面には現れない。即ち、各被覆部材は、芯部を被覆する部分と、芯部間に収容される部分とを含むように構成されている。
【0025】
また、各被覆部材には、被覆部材を挿入部材により挿入する際の挿入位置を特定するための位置決め用マーク612が付与されている。被覆部材が装着される芯部の表面は変形された四角形、三角形、楕円形等の形状を有しているものとみなすことができ、それぞれの形状の頂点、それぞれの形状を構成する辺の交点、或いは、それに類する点にマーク612を持っていき、マーク612に後述する挿入部材750の先端部分を押し当てて被覆部材を押し込むことができる。マーク612は、挿入部材750の先端部分を当てる位置を明示するために、V字形状を有している。
【0026】
また、各被覆部材には点線613が付されており、この点線613は芯部の概略形状を表しており、各被覆部材の外形は、当該概略形状に応じた、被覆される芯部の形状に対応する形状となっている。各被覆部材を芯部に装着する際に、点線613で規定される形状の向きを芯部の形状と合わせることにより、正しい向きで被覆部材の位置決めを行うことができる。被覆部材は、被覆部材603や608のように1枚だけしか存在しない形状のものと、被覆部材601と602、被覆部材604と605、被覆部材606と607のように左右で対になっているものがあり、左右が対になっているものについては番号611と点線613との組み合わせにより、正しい位置において正しい向きでそれぞれの被覆部材により対応する芯部を被覆することができる。
【0027】
本実施形態において、被覆部材は、例えばパイル(タオル)地の布で構成することができる。或いは、コットン、シルク、ウール、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、フェルト、デニム、合成皮革、麻、ちりめん等任意の素材の布とすることができる。また、布には任意の柄、デザイン、模様を付すことができる。生地の厚みは、例えば、1mmとすることができる。
【0028】
次に
図7は、玩具体100に装着可能な装飾部材の構成例について説明する。
図7(A)と
図7(B)は、装飾部材710、720の表面と裏面の構造を示す。装飾部材710、720の表面には、装飾部711、712がそれぞれ配置され、裏面には突起部712、722がそれぞれ配置されている。当該突起部を玩具体100の芯部の間のスリットに挿入することで、装飾部材710、720を玩具体に装着することができる。装飾部材710と720は、突起部712及び722は筒状形状で略円形の断面を有しており、その結果として芯部間の間隔に挿入された状態で表側の装飾部712、722の角度(向き、或いは、方向)を変化させることができる。例えば、装飾部材710、720は玩具の眼を表現するために用いることができ、装飾部721のように楕円形にすると、装飾部材720の角度を変えることで表情を作ることができる。
【0029】
また、装飾部材710の突起部712の根元部分には、装飾部材710を芯部の間のスリットに挿入する際に、芯部端部の丸面取り部分に係止して装飾部材710の玩具体100に対する保持状態を補助する補助部713が設けられている。補助部713は、装飾部材710の角度を変えた場合にでも芯部端部の丸面取り部分に係止できるよう、突起部712の根元部分に複数個設けられている。装飾部材720の突起部722の根元部分にも、同様に補助部723が複数個設けられている。
【0030】
次に、
図7(C)と
図7(D)は、装飾部材730、740の表面と裏面の構造を示す。装飾部材730、740の表面には、装飾部731、741が配置され、裏面には突起部732、742が配置されており、当該突起部を玩具体100の芯部の間のスリットに挿入することで、装飾部材730、740を玩具体に装着することができる。ここで突起部732及び742は平坦面を有しており、芯部間の間隔に挿入された状態で向きが固定される。例えば、装飾部材730、740は玩具の鼻、口を表現するために用いることができ、向きが変更できない代わりに、装飾部のデザインを異ならせることで玩具の表情を異ならせることができる。
また、装飾部材730の突起部732の根元部分には、装飾部材730を芯部の間のスリットに挿入する際に、芯部端部の丸面取り部分に係止して装飾部材730の玩具体100に対する保持状態を補助する補助部733が設けられている。装飾部材740の突起部742の根元部分にも、同様に補助部743が複数個設けられている。
【0031】
なお、本実施形態では、玩具体100は硬度75程度のPVCで構成されており、変形させやすいと共に元の形に復元する復元力にも優れている。よって、装飾部材の突起部を玩具体100の芯部の間のスリットに挿入する際には、外的な力により装飾部材を挿入しやすいように形状が変形すると共に、装飾部材の挿入後は復元力が働くことで装飾部材を挿入位置において保持することができる。
【0032】
図7(E)は、被覆部材を芯部間の隙間に挿入するための挿入部材750の構造の一例を示す。挿入部材750の先端側は斜めにカットされて先端部751が形成されており、かつ、先端部751の端面は丸面取りされている。また、中間部分752は先端部751に比べて太く握りやすい構造となっている。
【0033】
上述のように、挿入部材750の先端部751を、被覆部材のマーク612に押し当てて、被覆部材を芯部間の間隔内に押し込むことにより、被覆部材を玩具体に装着することができる。それぞれのマーク612の位置の被覆部材を押し込んだ後は、マーク間の被覆部材を挿入部材750の先端側の斜めにカットされた部分の端面を使って押し込んでいけばよい。先端側端面は芯部の隙間に挿入可能な厚み、例えば2mm程度の厚みを有することができる。
【0034】
図8は、玩具体100を被覆部材により被覆した後、装飾部材を取り付けた装飾例を示す。
図8(A)と
図8(B)とでは、装飾部材710、730を装着する位置が異なっている。これにより、最終的な装飾結果において異なる視覚的印象を与える外観を構成することができる。
【0035】
図8(A)の(1)は、装飾前の玩具体100の様子を示し、同(2)は被覆部材811、812により玩具体100を被覆した様子を示す。ここでは2種類の被覆部材を使用した例を示しているが、個々の芯部ごとに異なる被覆部材を使用してもよい。同(3)は、更に装飾部材710を芯材120と130との間の隙間に装着し、装飾部材730を芯材110と130との間の隙間に装着している。また、フェルト地を切り抜いて作成した追加の装飾部材813、814を芯材120の上側の芯部間の隙間に装着している。このような装飾部材813、814は、任意の形で作成することができ、フェルト地の端部を芯部間の隙間に挿入することで玩具体に装着することができる。
【0036】
図8(B)の(1)は、装飾前の玩具体100の様子を示し、同(2)は被覆部材821、822により玩具体100を被覆した様子を示す。ここでも2種類の被覆部材を使用した例を示しているが、個々の芯部ごとに異なる被覆部材を使用してもよい。同(3)は、更に装飾部材710、730を、
図8(A)の(3)で装飾部材813等を装着していた芯材120の上側の芯部間の隙間に装着している。また、フェルト地を切り抜いて作成した装飾部材823を芯材120の後ろ側の芯部間の隙間に装着している。この装飾部材823も任意の形で作成することができ、フェルト地の端部を芯部間の隙間に挿入することで玩具体に装着することができる。
【0037】
このように、本実施形態の玩具体100によれば、被覆部材の素材・配置・配色等、装飾部材の配置・形状・デザイン等を変えることにより、観察者に与える視覚的な印象を異ならせることができる。
【0038】
図9及び
図10は、本実施形態の玩具体100の変形例を示す。玩具体900は、球状の玩具体であって、芯材910、920及び930の3つを組み合わせて構成されている。芯材910は、芯材920の上面側に組み合わされるように構成されており、芯材930は芯材920の底面側に組み合わされるように構成されている。また、それぞれの芯部には、芯部を識別するための表示が付与されており、
図9の例では1から5までの通し番号が付与されている。
【0039】
図10は、玩具体900の外観の一例を六面図で示した図である。
図10(A)は玩具体900の正面図、
図10(B)は玩具体900の右側面図、
図10(C)は玩具体900の平面図、
図10(D)は玩具体900の左側面図、
図10(E)は玩具体900の底面図、
図10(F)は玩具体900の背面図である。
【0040】
図9及び
図10に示した玩具体900は、構造が
図1等に示した玩具体100とは異なるものの、玩具体100と同様に被覆部材により被覆し、装飾部材により装飾することが可能である。
【0041】
このように、本実施形態に対応する玩具体は、
図1、
図2等に示した構造以外にも、複数の芯材や芯部を組み合わせて、任意の形状とすることができる。
【0042】
以上、発明の実施形態について説明したが、発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【要約】
【課題】被覆部材の容易に着脱し交換可能とする玩具体、及び、当該玩具体を含む玩具セットを提供する。
【解決手段】複数の被覆部材でそれぞれ被覆される複数の芯部を有する玩具体であって、前記複数の芯部は、前記被覆部材の少なくとも一部が挿入されて該被覆部材を保持可能となるように、隣り合う芯部と所定の間隔を隔てて配置され、前記複数の芯部の少なくとも1つは他の芯部と隣り合う面に、挿入された前記被覆部材を収容する凹部を有する。
【選択図】
図1