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特許7213386希土類金属又は希土類合金用浄化材料及びその製造方法、希土類金属又は希土類合金の浄化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-18
(45)【発行日】2023-01-26
(54)【発明の名称】希土類金属又は希土類合金用浄化材料及びその製造方法、希土類金属又は希土類合金の浄化方法
(51)【国際特許分類】
   C22B 59/00 20060101AFI20230119BHJP
   C04B 35/50 20060101ALI20230119BHJP
   C22C 1/051 20230101ALI20230119BHJP
   B01J 20/06 20060101ALI20230119BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20230119BHJP
   C02F 1/28 20230101ALI20230119BHJP
   C22B 9/02 20060101ALI20230119BHJP
   C22C 29/12 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
C22B59/00
C04B35/50
C22C1/05 J
B01J20/06 C
B01J20/30
C02F1/28 B
C22B9/02
C22C29/12 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022124397
(22)【出願日】2022-08-03
【審査請求日】2022-08-03
(31)【優先権主張番号】202210662177.2
(32)【優先日】2022-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522311129
【氏名又は名称】▲カン▼州晨光希土新材料有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】楊 少華
(72)【発明者】
【氏名】李 慧
(72)【発明者】
【氏名】黄 平
(72)【発明者】
【氏名】何 芳頌
(72)【発明者】
【氏名】謝 耀
(72)【発明者】
【氏名】呉 広東
(72)【発明者】
【氏名】謝 康偉
(72)【発明者】
【氏名】黄 国文
(72)【発明者】
【氏名】歐 陽森林
【審査官】瀧澤 佳世
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/013929(WO,A1)
【文献】特開2014-188434(JP,A)
【文献】特開2010-125361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 59/00
C04B 35/50
C22C 1/05
B01J 20/06
B01J 20/30
C02F 1/28
C22B 9/02
C22C 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
希土類金属又は希土類合金中の不純物を浄化濾過するための希土類金属又は希土類合金用浄化材料であって、
質量百分率含有量で、タングステン粉末30~45%、希土類酸化物30~50%、酸化ジルコニウム5~10%、接着剤10~15%、希土類水素化物1~5%からなる製造原料を含み、
前記材料は、孔隙を有することを特徴とする希土類金属又は希土類合金用浄化材料。
【請求項2】
前記接着剤は、酸化リチウム及び/又は炭酸リチウムであることを特徴とする請求項1に記載の浄化材料。
【請求項3】
前記希土類酸化物は、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム及び酸化イットリウムのうちの1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の浄化材料。
【請求項4】
前記希土類水素化物は、水素化ランタン、水素化セリウム、水素化プラセオジム、水素化ネオジム及び水素化イットリウムのうちの1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の浄化材料。
【請求項5】
前記材料の孔隙率は、78~82%であることを特徴とする請求項1に記載の浄化材料。
【請求項6】
製造原料を混合し、順に成型及び焙焼を行い、前記希土類金属又は希土類合金用浄化材料を得るステップを含むことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の希土類金属又は希土類合金用浄化材料の製造方法。
【請求項7】
前記成型の圧力は10~100MPaであり、圧力保持時間は30~60minであることを特徴とする請求項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記焙焼の温度は1600~1800℃であり、時間は1~3hであり、前記焙焼の温度まで昇温する速度は15~30℃/minであり、前記焙焼は保護雰囲気下で行われることを特徴とする請求項に記載の製造方法。
【請求項9】
希土類金属又は希土類合金の浄化方法であって、
浄化対象の希土類金属又は希土類合金を浄化材料により浄化濾過して、浄化された希土類金属又は希土類合金を得るステップを含み、
請求項6に記載の製造方法で得られる希土類金属又は希土類合金用浄化材料であることを特徴とする希土類金属又は希土類合金の浄化方法。
【請求項10】
前記浄化濾過の回数は1~5回であることを特徴とする請求項に記載の浄化方法。
【請求項11】
前記浄化濾過の温度は900~1200℃であり、前記浄化濾過は保護雰囲気下で行われることを特徴とする請求項に記載の浄化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、希土類浄化の技術分野に関し、特に、希土類金属又は希土類合金用浄化材料及びその製造方法、希土類金属又は希土類合金の浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
希土類は、一種類の元素の代名詞で、18世紀末に発見され、元素周期表のランタノイド及びスカンジウム、イットリウム等の17種の金属元素を表している。希土類は、その独特の物理化学的性質により注目されており、冶金、軍需産業、機械、交通機関(航空機、自動車等)及び新材料等の多くの分野で広く使用されている。
【0003】
希土類金属又は希土類合金の製造プロセスは、主に溶融塩電解法及び熱還元法を含む。しかし、2種の製造プロセスで製造された希土類金属又は希土類合金の純度はあまり高くない。金属が一定の純度に達しない場合、金属特性は不純物によってマスクされることが多いため、微量不純物ひいては超微量不純物の存在はいずれも金属の性能に影響を与える。したがって、純度が高くないことは、希土類金属又は希土類合金の後続の再加工適用性能を限定する。
【0004】
高純度希土類金属は、現代の多くのハイテク技術の統合生成物である。特に、半導体技術、宇宙、無線技術等の発展に伴い、希土類金属の純度に対する要求はますます高くなり、高純度希土類金属製造の発展も大幅に促進されている。希土類金属又は希土類合金中の主な不純物は炭素、酸素、窒素、鉄及び一部のフッ化物の介在物である。希土類金属又は希土類合金中の不純物を除去するために、希土類合金又は希土類合金に対して浄化処理を行う必要がある。現在の浄化処理方法は、帯域溶融法、真空蒸留法、固体エレクトロマイグレーション法及び電解精製法等を有する。これらの方法は、処理時間が長く、効率が低いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に鑑みて、本発明は、希土類金属又は希土類合金用浄化材料及びその製造方法、希土類金属又は希土類合金の浄化方法を提供することを目的とする。本発明の希土類金属又は希土類合金用浄化材料は、希土類金属又は希土類合金中の不純物を効率よく浄化することができ、処理時間が短く、効率が高い。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記発明の目的を実現するために、本発明は以下の技術的解決手段を提供する。
【0007】
本発明は、希土類金属又は希土類合金中の不純物を浄化濾過するための希土類金属又は希土類合金用浄化材料であって、
質量百分率含有量で、タングステン粉末30~45%、希土類酸化物30~50%、酸化ジルコニウム5~10%、接着剤10~15%、希土類水素化物1~5%からなる製造原料を含み、
前記材料は、孔隙を有する、希土類金属又は希土類合金用浄化材料を提供する。
【0008】
好ましくは、前記接着剤は、酸化リチウム及び/又は炭酸リチウムである。
【0009】
好ましくは、前記希土類酸化物は、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム及び酸化イットリウムのうちの1種以上を含む。
【0010】
好ましくは、前記希土類水素化物は、水素化ランタン、水素化セリウム、水素化プラセオジム、水素化ネオジム及び水素化イットリウムのうちの1種以上を含む。
【0011】
本発明は、製造原料を混合し、順に成型及び焙焼を行い、前記希土類金属又は希土類合金用浄化材料を得るステップを含む、上記技術的解決手段に記載の希土類金属又は希土類合金用浄化材料の製造方法をさらに提供する。
【0012】
好ましくは、前記成型の圧力は10~100MPaであり、圧力保持時間は30~60minである。
【0013】
好ましくは、前記焙焼の温度は1600~1800℃であり、時間は1~3hであり、前記焙焼の温度まで昇温する速度は15~30℃/minであり、前記焙焼は保護雰囲気下で行われる。
【0014】
本発明は、浄化対象の希土類金属又は希土類合金を浄化材料により浄化濾過して、浄化された希土類金属又は希土類合金を得るステップを含む、希土類金属又は希土類合金の浄化方法をさらに提供し、前記浄化材料は、上記技術的解決手段に記載の希土類金属又は希土類合金用浄化材料、又は上記技術的解決手段に記載の製造方法で得られる希土類金属又は希土類合金用浄化材料である。
【0015】
好ましくは、前記浄化濾過の回数は1~5回である。
【0016】
好ましくは、前記浄化濾過の温度は900~1200℃であり、前記浄化濾過は保護雰囲気下で行われる。
【0017】
本発明は、質量百分率含有量で、タングステン粉末30~45%、希土類酸化物30~50%、酸化ジルコニウム5~10%、接着剤10~15%、希土類水素化物1~5%からなる製造原料を含む、希土類金属又は希土類合金用浄化材料を提供する。本発明において、希土類金属又は希土類合金中の不純物は主に電解質(例えば希土類フッ化物-フッ化リチウム複合体であり、具体的にはNdF-LiF、NdF-PrF-LiF、HoF-LiF、DyF-LiF、GdF-LiF等である)、希土類酸化物(酸化ネオジム、酸化プラセオジム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化ガドリニウム、酸化ランタン、酸化セリウム等)及び希土類炭化物(炭化ランタン、炭化ネオジム、炭化プラセオジム、炭化ホルミウム、炭化ガドリニウム、炭化セリウム、炭化ジスプロシウム等)であり、これらの不純物の大部分は希土類金属又は希土類合金と溶融しないままで、希土類金属又は希土類合金に介在する。本発明の浄化材料は吸着作用及び微細孔濾過作用を有するため、希土類金属又は希土類合金中の不純物を吸着及び分離除去することができる。
【0018】
本発明は、浄化対象の希土類金属又は希土類合金と浄化材料を混合し、浄化濾過を行い、浄化された希土類金属又は希土類合金を得るステップを含む、希土類金属又は希土類合金の浄化方法をさらに提供し、前記浄化材料は、上記技術的解決手段に記載の希土類金属又は希土類合金用浄化材料である。本発明が提供する浄化方法は、操作がシンプルで、周期が短く、効率が高い。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、質量百分率で、タングステン粉末30~45%、希土類酸化物30~50%、酸化ジルコニウム5~10%、接着剤10~15%、希土類水素化物1~5%からなる製造原料を含む、希土類金属又は希土類合金用浄化材料を提供する。
【0020】
本発明において、前記希土類金属又は希土類合金用浄化材料の孔隙率は、好ましくは78~82%である。
【0021】
本発明が提供する希土類金属又は希土類合金用浄化材料の製造原料は、質量百分率含有量が30~45%、好ましくは35~40%であるタングステン粉末を含む。本発明において、前記タングステン粉末の純度は、好ましくは99%以上である。本発明において、前記タングステン粉末のメジアン粒径は、好ましくは15~25μmである。
【0022】
本発明が提供する希土類金属又は希土類合金用浄化材料の製造原料は、質量百分率含有量が30~50%、好ましくは35~45%、さらに好ましくは40%である希土類酸化物を含む。本発明において、前記希土類酸化物は、好ましくは酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム及び酸化イットリウムのうちの1種以上を含み、さらに好ましくは酸化セリウム、酸化プラセオジム-酸化ネオジム混合物又は酸化イットリウムを含み、前記酸化プラセオジム-酸化ネオジム混合物中の酸化プラセオジムと酸化ネオジムの質量比は、好ましくは1:3である。本発明において、前記希土類酸化物の純度は、好ましくは99%以上である。本発明において、前記希土類酸化物のメジアン粒径は、好ましくは5~20μmである。
【0023】
本発明が提供する希土類金属又は希土類合金用浄化材料の製造原料は、質量百分率含有量が5~10%、好ましくは6~9%、さらに好ましくは7~8%である酸化ジルコニウムを含む。本発明において、前記酸化ジルコニウムの純度は、好ましくは99%以上である。本発明において、前記酸化ジルコニウムのメジアン粒径は、好ましくは20~50μmである。
【0024】
本発明が提供する希土類金属又は希土類合金用浄化材料の製造原料は、質量百分率含有量が10~15%、好ましくは11~14%、さらに好ましくは12~13%である接着剤を含む。本発明において、前記接着剤は、好ましくは酸化リチウム及び/又は炭酸リチウム、さらに好ましくは酸化リチウムである。本発明において、前記接着剤の純度は、好ましくは99%以上である。本発明において、前記接着剤のメジアン粒径は、好ましくは10~50μmである。
【0025】
本発明が提供する希土類金属又は希土類合金用浄化材料の製造原料は、質量百分率含有量が1~5%、好ましくは2~4%、さらに好ましくは3%である希土類水素化物を含む。本発明において、前記希土類水素化物は、好ましくは水素化ランタン、水素化セリウム、水素化プラセオジム、水素化ネオジム及び水素化イットリウムのうちの1種以上を含み、さらに好ましくは水素化セリウム、水素化プラセオジム-水素化ネオジム混合物又は水素化イットリウムを含み、前記水素化プラセオジム-水素化ネオジム混合物中の水素化プラセオジムの質量百分率含有量は、好ましくは20~30%であり、具体的には、20%であることが好ましく、水素化ネオジムの質量百分率含有量は、好ましくは70~80%であり、具体的には、80%であることが好ましい。本発明において、前記希土類水素化物の純度は、好ましくは99%以上である。本発明において、前記希土類水素化物のメジアン粒径は、好ましくは20~80μmである。
【0026】
本発明は、製造原料を混合し、順に成型及び焙焼を行い、前記希土類金属又は希土類合金用浄化材料を得るステップを含む、上記技術的解決手段に記載の希土類金属又は希土類合金用浄化材料の製造方法をさらに提供する。
【0027】
本発明は、前記製造原料を混合する方法を具体的に限定せず、均一に混合できればよい。
【0028】
本発明において、前記成型の圧力は、好ましくは10~100MPaであり、さらに好ましくは30~80MPaであり、より好ましくは50~60MPaであり、圧力保持時間は、好ましくは30~60minであり、さらに好ましくは40~50minである。
【0029】
本発明において、前記焙焼の温度は、好ましくは1600~1800℃であり、さらに好ましくは1650~1750℃であり、より好ましくは1700℃であり、前記焙焼の温度まで昇温する速度は、好ましくは15~30℃/minであり、さらに好ましくは20~25℃/minであり、前記焙焼の時間は、好ましくは1~3hであり、さらに好ましくは1.5~2.5hであり、より好ましくは2hである。本発明において、前記焙焼は、好ましくは保護雰囲気下で行われ、前記保護雰囲気は、好ましくはアルゴンを含む。
【0030】
本発明は、好ましくは、前記焙焼後、室温まで炉冷することをさらに含む。本発明において、前記炉冷は、好ましくは保護雰囲気下で行われ、前記保護雰囲気は、好ましくはアルゴンを含む。
【0031】
本発明は、浄化対象の希土類金属又は希土類合金と浄化材料を混合し、浄化濾過を行い、浄化された希土類金属又は希土類合金を得るステップを含む、希土類金属又は希土類合金の浄化方法をさらに提供し、前記浄化材料は、上記技術的解決手段に記載の希土類金属又は希土類合金用浄化材料である。
【0032】
本発明において、前記浄化対象の希土類金属又は希土類合金には不純物を含み、前記不純物は、好ましくは電解質、希土類酸化物、希土類炭化物、窒化物及び硫化物を含む。本発明において、前記電解質は、好ましくは希土類フッ化物-フッ化リチウム複合体を含み、前記希土類フッ化物-フッ化リチウム複合体はNdF-LiF、NdF-PrF-LiF、HoF-LiF、DyF-LiF及びGdF-LiFのうちの1種以上を含む。本発明において、前記希土類酸化物は、好ましくは酸化ネオジム、酸化プラセオジム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化ガドリニウム、酸化ランタン及び酸化セリウムのうちの1種以上を含む。本発明において、前記希土類炭化物は、好ましくは炭化ランタン、炭化ネオジム、炭化プラセオジム、炭化ホルミウム、炭化ガドリニウム、炭化セリウム及び炭化ジスプロシウムのうちの1種以上を含む。本発明において、前記窒化物は、好ましくは窒化ランタン、窒化ネオジム、窒化プラセオジム、窒化ホルミウム、窒化ガドリニウム、窒化セリウム及び窒化ジスプロシウムのうちの1種以上を含む。本発明において、前記硫化物は、好ましくは硫化ランタン、硫化ネオジム、硫化プラセオジム、硫化ホルミウム、硫化ガドリニウム、硫化セリウム及び硫化ジスプロシウムのうちの1種以上を含む。
【0033】
本発明において、前記混合は、好ましくは、前記浄化対象の希土類金属又は希土類合金を前記浄化材料に置くことを含む。
【0034】
本発明において、前記浄化濾過の温度は、好ましくは900~1200℃であり、さらに好ましくは1000~1100℃である。本発明において、前記浄化濾過は、好ましくは保護雰囲気下で行われ、前記保護雰囲気は、好ましくはアルゴンを含む。
【0035】
本発明において、前記浄化濾過は、好ましくは、漏れ口付きの坩堝中で行われる。
【0036】
本発明において、漏れ口付きの坩堝に合わせて浄化濾過を説明することは以下のとおりである。浄化材料を漏れ口付きの坩堝に入れ、前記浄化対象の希土類金属又は希土類合金を前記浄化材料に置き、浄化濾過を行う。浄化濾過は高温下で行われるため、浄化材料は固体性状を保持し、浄化対象の希土類金属又は希土類合金は流動性を有する溶融状態に変換し、溶融状態の浄化対象の希土類金属又は希土類合金は浄化材料を透過し、浄化対象の希土類金属又は希土類合金の浄化を実現する。
【0037】
以下に実施例に合わせて本発明が提供する希土類金属又は希土類合金用浄化材料及びその製造方法、希土類金属又は希土類合金の浄化方法を詳細に説明するが、それらは本発明の保護範囲を限定するものと理解すべきではない。
【0038】
実施例1
【0039】
純度が超99%であるタングステン粉末(D50は20μmである)300g、純度が超99%である酸化ジルコニウム(粒径D50は40μmである)50g、純度が超99%である酸化セリウム(D50は12μmである)400g、純度が超99%である酸化リチウム(粒径D50は10μmである)85g、純度が超99%である希土類水素化物(CeH、D50は25μmである)15gを金型DN500mmに入れ、50MPaの圧力で35min成型し、雰囲気焙焼炉に入れて焙焼し、アルゴンを導入して保護し、15℃/minで1700℃まで昇温して1h保温し、窒素保護下で室温まで炉冷して、浄化材料を得た。
【0040】
得られた浄化材料の孔隙率をGB/T21650.3-2011で検出した結果、孔隙率は80%であった。
【0041】
浄化材料を漏れ口付きの坩堝に入れ、次に溶融塩から電気分解したセリウム金属を浄化材料に置き、アルゴンを導入する条件下で、1000℃に加熱し、浄化濾過を行い、浄化濾過の回数は2回であった。
【0042】
表1は、浄化濾過前後のセリウム金属中の主な不純物含有量である。
【0043】
表1 浄化濾過前後のセリウム金属中の主な不純物含有量(ppm)
表1から分かるように、セリウム金属中の炭化物は業界要件に合致する300ppm以下に低下し、酸化物は300ppmに低下すると同時に、介在した電解質フッ化物は20ppmに低下し、鉄含有量は800ppmに低下し、窒化物及び硫化物を吸着濾過し、希土類金属を浄化した。
【0044】
実施例2
【0045】
純度が超99%であるタングステン粉末(D50は25μmである)380g、純度が超99%である酸化ジルコニウム(D50は40μmである)60g、純度が超99%である希土類酸化物(酸化プラセオジムと酸化ネオジムの質量比が1:3の混合物、D50は8μmである)320g、純度が超99%である酸化リチウム(D50は30μmである)95g、純度が超99%である希土類水素化物(PrHとNdHの質量比が1:4の混合物、粒径D50は35μmである)20gを金型DN500mmに入れ、50MPaの圧力で40min成型し、雰囲気焙焼炉に入れて焙焼し、アルゴンを導入して保護し、15℃/minで1600℃まで昇温して3h保温し、窒素保護下で室温まで炉冷して、浄化材料を得た。
【0046】
得られた浄化材料の孔隙率をGB/T21650.3-2011で検出した結果、孔隙率は78%であった。
【0047】
浄化材料を漏れ口付きの坩堝に入れ、次に溶融塩から電気分解したネオジム金属を浄化材料に置き、アルゴンを導入する条件下で、1100℃に加熱し、浄化濾過を行い、浄化濾過の回数は3回であった。
【0048】
表2は、浄化濾過前後のネオジム金属中の主な不純物含有量である。
【0049】
表2 浄化濾過前後のネオジム金属中の主な不純物含有量(ppm)
表2から分かるように、ネオジム金属中の炭化物は業界要件に合致する300ppm以下に低下し、酸化物は240ppmに低下すると同時に、介在した電解質フッ化物は40ppmに低下し、鉄含有量は310ppmに低下し、窒化物及び硫化物を吸着濾過し、希土類金属を浄化した。
【0050】
実施例3
【0051】
純度が超99%であるタングステン粉末(D50は20μmである)350g、純度が超99%である酸化ジルコニウム(D50は30μmである)65g、純度が超99%である酸化イットリウム(D50は5μmである)350g、純度が超99%である酸化リチウム(D50は25μmである)108g、純度が超99%である希土類水素化物(YH、D50は40μmである)25gを金型DN500mmに入れ、50MPaの圧力で60min成型し、雰囲気焙焼炉に入れて焙焼し、アルゴンを導入して保護し、15℃/minで1800℃まで昇温して2h保温し、窒素保護下で室温まで炉冷して、浄化材料を得た。
【0052】
得られた浄化材料の孔隙率をGB/T21650.3-2011で検出した結果、孔隙率は82%であった。
【0053】
浄化材料を漏れ口付きの坩堝に入れ、次に溶融塩から電気分解したネオジム金属を浄化材料に置き、アルゴンを導入する条件下で、1150℃に加熱し、浄化濾過を行い、浄化濾過の回数は4回であった。
【0054】
表3は、浄化濾過前後のネオジム金属中の主な不純物含有量である。
【0055】
表3 浄化濾過前後のネオジム金属中の主な不純物含有量(ppm)
表3から分かるように、ネオジム金属中の炭化物は業界要件に合致する300ppm以下に低下し、酸化物は70ppmに低下すると同時に、介在した電解質フッ化物は40ppmに低下し、鉄含有量は880ppmに低下し、窒化物及び硫化物を吸着濾過し、希土類金属を浄化した。
【0056】
実施例4
【0057】
純度が超99%であるタングステン粉末(D50は25μmである)380g、純度が超99%である酸化ジルコニウム(D50は40μmである)60g、純度が超99%である希土類酸化物(酸化プラセオジムと酸化ネオジムの質量比が1:3の混合物、D50は8μmである)320g、純度が超99%である酸化リチウム(D50は30μmである)105g、純度が超99%である希土類水素化物(PrHとNdHの質量比が1:4の混合物、粒径D50は35μmである)25gを金型DN500mmに入れ、50MPaの圧力で40min成型し、雰囲気焙焼炉に入れて焙焼し、アルゴンを導入して保護し、15℃/minで1600℃まで昇温して3h保温し、窒素保護下で室温まで炉冷して、浄化材料を得た。
【0058】
得られた浄化材料の孔隙率をGB/T21650.3-2011で検出した結果、孔隙率は78%であった。
【0059】
浄化材料を漏れ口付きの坩堝に入れ、次に溶融塩から電気分解したプラセオジムネオジム合金を浄化材料に置き、アルゴンを導入する条件下で、1150℃に加熱し、浄化濾過を行い、浄化濾過の回数は2回であった。
【0060】
表4は、浄化濾過前後のプラセオジムネオジム合金中の主な不純物含有量である。
【0061】
表4 浄化濾過前後のプラセオジムネオジム合金中の主な不純物含有量(ppm)
表4から分かるように、プラセオジムネオジム合金中の炭化物は業界要件に合致する300ppm以下に低下し、酸化物は320ppmに低下すると同時に、介在した電解質フッ化物は60ppmに低下し、鉄含有量は540ppmに低下し、窒化物及び硫化物を吸着濾過し、希土類金属を浄化した。
【0062】
以上は本発明の好ましい実施形態に過ぎず、当業者であれば、本発明の原理から逸脱することなく、いくつかの改良及び修飾を行うことができ、これらの改良及び修飾も本発明の保護範囲と見なされるべきである。
【要約】
【課題】希土類金属又は希土類合金用浄化材料及びその製造方法、希土類金属又は希土類合金の浄化方法を提供する。
【解決手段】本発明は、希土類浄化の技術分野に属し、希土類金属又は希土類合金用浄化材料及びその製造方法、希土類金属又は希土類合金の浄化方法を提供する。本発明の浄化材料は、質量百分率含有量で、タングステン粉末30~45%、希土類酸化物30~50%、酸化ジルコニウム5~10%、接着剤10~15%、希土類水素化物1~5%からなる製造原料を含む。本発明において、希土類金属又は希土類合金中の不純物は主に電解質、希土類酸化物及び希土類炭化物であり、これらの不純物の大部分は希土類金属又は希土類合金と溶融しないままで、希土類金属又は希土類合金に介在する。
【選択図】 なし