(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20230120BHJP
G06F 3/0354 20130101ALI20230120BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
G06F3/041 480
G06F3/0354 453
G06F3/01 560
(21)【出願番号】P 2018102927
(22)【出願日】2018-05-30
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】田川 正孝
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/159854(WO,A1)
【文献】特開2013-069163(JP,A)
【文献】特開2003-296006(JP,A)
【文献】特開2007-235956(JP,A)
【文献】特開2007-271608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/03 - 3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面側に指をスライドして操作するための操作面を有するタッチパッドと、スライド操作と連動して動く第1の磁気シートと、前記第1の磁気シートの動きを検出する
磁気抵抗素子からなる検出部と、前記第1の磁気シートに対向して配置された第2の磁気シートとを備え、前記第1の磁気シートの移動方向において、前記第1、第2の磁気シートはN極およびS極が交互に繰り返し着磁されている入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザのタッチ操作に対応して情報端末等を操作する入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の入力装置は、表面に指をスライドして操作を行うためのタッチパッドを有し、このスライド操作によって情報端末を操作するようにしていた。
【0003】
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の入力装置は、ユーザに触感によるフィードバックを呈示することができないため、スライド操作によって指が移動する状態を触感によって認識できず、操作感覚が得られないという課題を有していた。
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、操作感覚が得られる入力装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係る入力装置は、表面側に指をスライドして操作するための操作面を有するタッチパッドと、スライド操作と連動して動く第1の磁気シートと、前記第1の磁気シートの動きを検出する検出部と、前記第1の磁気シートに対向して配置された第2の磁気シートとを備え、前記第1の磁気シートの移動方向において、前記第1、第2の磁気シートはN極およびS極が交互に繰り返し着磁されている。
【0008】
第2の態様に係る入力装置では、第1の態様において、表示画面を有し、表示画面がタッチパッドとして機能する。
【0009】
第3の態様に係る入力装置では、第1の態様において、直線方向、または回転方向にタッチ操作可能である。
【0010】
第4の態様に係る入力装置では、第1の態様において、前記検出部を磁気抵抗素子とした。
【発明の効果】
【0011】
第1、第2の磁気シートの磁石によって第1の磁気シートに対する引力と斥力を交互に発生させることができるため、斥力によって第1の磁気シートを介してタッチパッドに応力を与え、これにより、スライド操作時のユーザの指の動きにあわせて、指に応力があるときと無いときとを交互に付与し、操作状態を触覚によって認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施の形態における入力層装置を備えた情報端末の概念図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態における入力装置を備えた情報端末の概念図、
図2は同入力装置の主要部の断面図である。
【0014】
本発明の一実施の形態における入力装置は、
図1、
図2に示すように、情報端末1において、その表面2aに指をスライドして操作を行うためのタッチパッド2を有している。
【0015】
また、検出部3と、タッチパッド2の表面2aに対して行われたスライド操作と連動して移動し、かつタッチパッド2の背面2bに配置された第1の磁気シート4と、第1の磁気シート4に対向して配置された第2の磁気シート5とを備えている。
【0016】
上記構成において、前記情報端末1は、情報にアクセスしたりメモ等の情報を携帯したりする等の機能を有するタブレット、スマートフォン、携帯電話などである。
【0017】
前記タッチパッド2は、情報端末1に備えられ、操作面である表面2a側を指でなぞるようにスライドする操作を行う場所である。
図1では、紙面上下方向Xにスライドさせている。また、タッチパッド2には各種情報が表示される表示画面としての機能も有し、情報端末1全体の小型化を図っている。そして、スライド操作の結果を表示画面に表示するようになっている。なお、タッチパッド2と表示画面を別々に構成してもよい。
【0018】
前記検出部3は、磁気が印加されると抵抗値が変化する磁気抵抗素子である。磁気抵抗素子は、FeNi合金のパーマロイ、また、はNiFeCoの磁性薄膜とCuの非磁性薄膜が交互に積層された材料で構成される。検出部3は情報端末1に固定されている。
【0019】
前記第1の磁気シート4は、タッチパッド2の背面2bに配置され、タッチパッド2になされたスライド操作と連動して直線方向に移動する。したがって、第1の磁気シート4の移動は、スライド操作をする指の移動と同期し、スライド操作の方向と同じ方向(
図2ではX方向)に移動する。
【0020】
そして、スライド操作と連動して動く第1の磁気シート4の動きを検出部3で検出する。
【0021】
第1の磁気シート4は、表面に磁石が形成され、
図3に示すように、第1の磁気シート4の移動方向において、複数のN極およびS極が交互に繰り返し着磁されている。このN極の着磁方向の中央部から磁力線が両隣のS極に向かって伸び、検出部3にこの磁力線による磁気が印加される。
【0022】
このとき、第1の磁気シート4の移動の有無や移動の方向、移動距離を検出部3で検出する。第1の磁気シート4が移動すれば、検出部3が受ける第1の磁気シート4から印加される磁気が変化するため、抵抗値も変化し、これにより、第1の磁気シート4の移動方向および移動距離が検出される。そして、この検出結果に基づいて、例えば、表示画面に表示された時間や日にちなどのスクロール画面をスクロールする。
【0023】
ここで、検出部3を、第1の磁気シート4の着磁面と所定のギャップを介して対向させ、かつ第1の磁気シート4から受ける磁気の変化によって抵抗値が変化するような配置とする。
【0024】
また、第1の磁気シート4はタッチパッド2でスライドさせた方向に移動するが、タッチパッド2上でスライドさせた距離と、第1の磁気シート4の移動距離を、同じとしてもよいし、異なるようにしてもよい。
【0025】
前記第2の磁気シート5は、第1の磁気シート4と接するように対向し、情報端末1の内部に固定されている。なお、第1の磁気シート4と第2の磁気シート5との間に滑りを良くする潤滑剤等を塗布してもよい。したがって、第1の磁気シート4は、第2の磁気シート5に対して相対的に移動する。
【0026】
そして、第2の磁気シート5は、検出部3を介して2つ形成されている。第2の磁気シート5と検出部3はともに、情報端末1の内部の基材(図示せず)に固定されている。
【0027】
第2の磁気シート5も、表面に磁石が形成され、
図3に示すように、第1の磁気シート4の移動方向において、複数のN極およびS極が交互に繰り返し着磁されている。
【0028】
さらに、第1、第2の磁気シート4、5は、バリウムフェライト系の材料の磁性体であり、着磁ヘッドによりN極とS極が同じピッチで交互に着磁されている。そして、第1の磁気シート4の着磁面と、第2の磁気シート5の着磁面とを対向させる。
【0029】
これにより、対向する第1の磁気シート4の極と第2の磁気シート5の極が同じであれば、第2の磁気シート5は情報端末1に固定されているため、この磁石の斥力によって第1の磁気シート4に上方向(タッチパッド2側)への応力が印加され、これにより、タッチパッド2に応力が加えられ、タッチパッド2に触れている指が上方に押し上げられる。
【0030】
第1の磁気シート4の極と第2の磁気シート5の極が異なれば、磁石による引力が生じ、第1の磁気シート4に上方向への応力が印加されず、タッチパッド2に触れている指が上方に押し上げらない。
【0031】
タッチパッド2表面を指でスライドして操作すると、これに連動して第1の磁気シート4が移動し、この移動に伴い、第1の磁気シート4は第2の磁気シート5から受ける斥力が加わる箇所と加わらない箇所とが、同じピッチで交互に繰り返される。この結果、タッチパッド2に触れている指に上方に押し上げられる応力と、押し上げられない応力とが交互に繰り介して付与され、スライド操作時に実際に物に触れたような感覚が与えられる。
【0032】
本発明の一実施の形態における入力装置は、第1、第2の磁気シート4、5の磁石によって第1の磁気シート4に引力と斥力を交互に発生させることができるため、斥力によって第1の磁気シート4を介してタッチパッド2に応力を与え、ユーザの指の動きにあわせて、指に応力があるときと無いときとを交互に付与し、操作状態を触覚によって認識できるという効果が得られるものである。
【0033】
すなわち、磁石による応力によって、タッチパッド2へのスライド操作で指が移動する状態を触覚によって認識できる。よって、指を動かしたとき実際に物に触れたような感覚を再現でき、操作感覚が得られる。
【0034】
第1、第2の磁気シート4、5の磁石による引力と斥力を利用しているため、複雑な機構、仕組みを構築しなくても容易に操作感覚を得ることができる。
【0035】
さらに、第1、第2の磁気シート4、5への着磁ピッチを変えることによって、操作感覚を容易に調整できる。
【0036】
なお、上記説明では、直線方向の動きに対して操作感覚を得るようにしたが、回転方向などの他の動きについても、同様の構成を施せば操作感覚を与えることができる。
【0037】
また、指でスライド操作するタッチパッド2があれば、情報端末以外の他の機器にも使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る入力装置は、操作感覚が得られる入力装置を提供することができるという効果を有するものであり、特にユーザのタッチ操作に対応して情報端末等を操作する入力装置等として有用である。
【符号の説明】
【0039】
2 タッチパッド
3 検出部
4 第1の磁気シート
5 第2の磁気シート