(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】送風装置及び送風装置に用いられる制御プログラム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/74 20180101AFI20230120BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
F24F11/74
F24F7/007 B
(21)【出願番号】P 2019062147
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2022-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】北浦 理
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-090113(JP,A)
【文献】特開平03-134429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/74
F24F 7/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口と吹出口と通風路とを有する筐体と、
前記吸込口から前記通風路を介して前記吹出口に空気を導く送風ファンと、
室内空気の温度又は湿度又は汚れ状態のいずれかを算出する空気状態算出部と、
前記空気状態算出部の情報を基に前記送風ファンの風量を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記送風ファンの風量を第一の風量パターンで制御する通常制御と、前記送風ファンの風量を第二の風量パターンで制御する睡眠制御と、を備え、
前記通常制御の前記第一の風量パターン及び前記睡眠制御の前記第二の風量パターンは、取得した前記空気状態算出部の情報に基づいて風量が変化し、
前記空気状態算出部で算出された所定の情報における前記第二の風量パターンにおける風量は、前記空気状態算出部で算出された前記所定の情報における前記第一の風量パターンにおける風量よりも小さくなるように設定され、
前記制御部は、前記空気状態算出部の情報を基に前記送風ファンの風量を変化させる場合、前記通常制御において前記送風ファンの通常目標回転数に到達させるときの通常制御回転数変化速度と、前記睡眠制御において前記送風ファンの睡眠目標回転数に到達させるときの睡眠制御回転数変化速度を備え、
前記睡眠制御回転数変化速度は、前記通常制御回転数変化速度よりも小さいことを特徴とする送風装置。
【請求項2】
前記制御部は、ユーザの指令によって前記送風ファンの風量を変化させる風量指令制御を備え、前記制御部は、前記風量指令制御において前記送風ファンの風量を変化させる場合、前記送風ファンの指令目標回転数に到達させるときの風量指令制御回転数変化速度を備え、
前記風量指令制御回転数変化速度は、前記通常制御回転数変化速度よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の送風装置。
【請求項3】
周囲の明るさを算出する照度センサを備え、前記制御部は、前記照度センサの算出値に基づいて、前記通常制御又は前記睡眠制御のいずれかの制御を選択することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の送風装置。
【請求項4】
外部機器からの指令によって前記通常制御又は前記睡眠制御のいずれかを選択することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の送風装置。
【請求項5】
吸込口と吹出口と通風路とを有する筐体と、
前記吸込口から前記通風路を介して前記吹出口に空気を導く送風ファンと、室内空気の温度又は湿度又は汚れ状態のいずれかを算出する空気状態算出部と、
前記空気状態算出部の情報を基に前記送風ファンの風量を制御する制御部と、を備えた送風機送風装置に用いられる制御プログラムであって、
前記制御プログラムは、前記送風ファンの風量を第一の風量パターンで制御する通常制御と、前記送風ファンの風量を第二の風量パターンで制御する睡眠制御と、を備え、
前記通常制御の前記第一の風量パターン及び前記睡眠制御の前記第二の風量パターンは、取得した前記空気状態算出部の情報に基づいて風量が変化し、
前記空気状態算出部で算出された所定の情報における前記第二の風量パターンにおける風量は、前記空気状態算出部で算出された前記所定の情報における前記第一の風量パターンにおける風量よりも小さくなるように設定され、
前記制御プログラムは、前記空気状態算出部の情報を基に前記送風ファンの風量を変化させる場合、前記通常制御において前記送風ファンの通常目標回転数に到達させるときの通常制御回転数変化速度と、前記睡眠制御において前記送風ファンの睡眠目標回転数に到達させるときの睡眠制御回転数変化速度とを備え、
前記睡眠制御回転数変化速度は、前記通常制御回転数変化速度よりも小さいことを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄機や加湿機等に使用される送風装置および送風装置に用いられる制御プログラムにおいて、風量の変化に伴う騒音の変化を抑制する制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の送風装置の風量の変化に伴う騒音の変化を抑制する技術としては、ファンと熱交換部とファン及び熱交換部の運転を制御する制御部と室内の温度センサを備える空気調和機の風量制御方法が知られている。空気調和機は、風量設定方法として、ユーザが風量を選択する手動設定と、室内の温度に応じて制御部が風量を自動的に選択する自動設定を備えている。
【0003】
そして、従来の空気調和機は、手動設定または自動設定により風量を段階的に切り換えるためファンにおけるモータの回転数を適宜制御している。例えば、風量設定方法を手動設定とした場合は、ファンのモータの回転数を速やかに目標回転数に到達させる制御を行う。一方、風量設定方法を前記自動設定とした場合は、ファンのモータの回転数を緩やかに目標回転数に到達させる制御している。
【0004】
このように空気調和機に用いられるファンのモータの回転数を制御することにより、手動設定時には風量が速やかに変化するため、モータやファンの羽根から発生する騒音が急速に大きくなるように発生する。
【0005】
一方、自動設定時には風量が緩やかに変化するため、モータや羽根から発生する騒音が徐々に大きくなるように急な騒音の発生を抑制することで、ユーザが感じる違和感や不快感を減ずる効果がある。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に係る空気調和機においては、風量設定方法を自動設定とした場合に、モータや羽根から発生する騒音が徐々に大きくなるように急な騒音の発生を抑制することで、ユーザが感じる違和感や不快感を減ずる効果があった。
【0008】
しかし、空気調和機が夜間の寝室空間に利用される場合には、自動設定における風量変化時の騒音抑制効果が不十分であり、多くのユーザが風量変化時の騒音に対して不快感を感じ、十分な睡眠を得られないという課題が生じていた。
【0009】
さらに、夜間の静粛性を追求するため、自動設定における風量変化委時のファンのモータの回転数を目標回転数に到達させる速度を、より低下させると、快適な室温の調整に時間がかかりユーザが室内環境に不快感を感じてしまうという課題を有していた。
【0010】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、夜間に風量が自動で変化する際にユーザが感じる騒音の変化に対する違和感を低減すると共に、昼間等において、ユーザが快適に過ごすことができる送風装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そして、この目的を達成するために、本発明に係る送風装置は、吸込口と吹出口と通風路とを有する筐体と、前記吸込口から前記通風路を介して前記吹出口に空気を導く送風ファンと、室内空気の温度又は湿度又は汚れ状態のいずれかを算出する空気状態算出部と、前記空気状態算出部の情報を基に前記送風ファンの風量を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記送風ファンの風量を第一の風量パターンで制御する通常制御と、前記送風ファンの風量を第二の風量パターンで制御する睡眠制御と、を備え前記通常制御の前記第一の風量パターン及び前記睡眠制御の前記第二の風量パターンは、取得した前記空気状態算出部の情報に基づいて風量が変化し、前記空気状態算出部で算出された所定の情報における前記第二の風量パターンにおける風量は、前記空気状態算出部で算出された前記所定の情報における前記第一の風量パターンにおける風量よりも小さくなるように設定され、前記制御部は、前記空気状態算出部の情報を基に前記送風ファンの風量を変化させる場合、前記通常制御において前記送風ファンの通常目標回転数に到達させるときの通常制御回転数変化速度と、前記睡眠制御において前記送風ファンの睡眠目標回転数に到達させるときの睡眠制御回転数変化速度を備え、前記睡眠制御回転数変化速度は、前記通常制御回転数変化速度よりも小さいことを特徴とするものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の送風装置によれば、空気状態算出部によって算出された空気状態に応じて、風量を切り換えるために送風ファンの回転数を変化させる際に、目標回転数に到達させるための回転数変化速度について、睡眠制御時の回転数変化速度を通常制御時の回転数変化速度と比べて小さくすることで時間当たりの騒音の変化量を抑制することができる。
【0013】
したがって、通常制御時の機器の性能は維持した上で、睡眠制御時に風量が自動で変化する際におけるユーザが感じる騒音の変化に対する違和感を低減できる、という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る送風装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態1に係る空気清浄機の側断面構成図である。
【
図3】本発明の実施の形態1に係る空気清浄機の概略構成を示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態1に係る空気清浄機の制御部の処理例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施の形態1に係る空気清浄機の空気の汚染度と風量との関係を示したチャートである。
【
図6】本発明の実施の形態1に係る空気清浄機の風量と送風ファンの回転数の関係を示したチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る送風装置は、吸込口と吹出口と通風路とを有する筐体と、前記吸込口から前記通風路を介して前記吹出口に空気を導く送風ファンと、室内空気の温度又は湿度又は汚れ状態のいずれかを算出する空気状態算出部と、前記空気状態算出部の情報を基に前記送風ファンの風量を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記送風ファンの風量を第一の風量パターンで制御する通常制御と、前記送風ファンの風量を第二の風量パターンで制御する睡眠制御と、を備え、前記通常制御の前記第一の風量パターン及び前記睡眠制御の前記第二の風量パターンは、取得した前記空気状態算出部の情報に基づいて風量が変化し、前記空気状態算出部で算出された所定の情報における前記第二の風量パターンにおける風量は、前記空気状態算出部で算出された前記所定の情報における前記第一の風量パターンにおける風量よりも小さくなるように設定され、さらに前記制御部は、前記空気状態算出部の情報を基に前記送風ファンの風量を変化させる場合、前記通常制御において前記送風ファンの通常目標回転数に到達させるときの通常制御回転数変化速度と、前記睡眠制御において前記送風ファンの睡眠目標回転数に到達させるときの睡眠制御回転数変化速度を備え、前記睡眠制御回転数変化速度は、前記通常制御回転数変化速度よりも小さくなるように設定される、という構成を有する。
【0016】
これにより、送風装置は、空気状態算出部によって算出された空気状態に応じて風量を切り換えるために回転数を変化させる際に、睡眠制御時の回転数変化速度を通常制御時の回転数変化速度と比べて小さくすることで時間当たりの騒音の変化量を抑制することができるので、通常制御時の機器の性能は維持した上で、睡眠制御時に風量が自動で変化する際にユーザが感じる騒音の変化に対する違和感を低減することができる。
【0017】
また、本発明に係る送風装置の前記制御部は、ユーザの指令によって前記送風ファンの風量を変化させる風量指令制御を備え、前記制御部は、前記風量指令制御において前記送風ファンの風量を変化させる場合、前記送風ファンの指令目標回転数に到達させるときの風量指令制御回転数変化速度を備え、前記風量指令制御回転数変化速度は、前記通常制御回転数変化速度よりも大きくなるように設定される、という構成としても良い。
【0018】
これにより、送風装置は、風量指令制御によって、つまり、ユーザの操作によって風量を変更する場合は、風量の変化が速やかであり、ユーザが求める室内環境を速やかに提供することができるという効果を備えている。また、ユーザが自らの操作に応じて機器が速やかに反応した感触を得ることができる。また、送風装置は、通常制御時における通常制御回転数変化速度が、風量指令制御時における風量指令制御回転数変化速度より小さい構成である。したがって、通常制御時は、風量指令制御時よりも騒音と風量の変化が緩やかであり、睡眠制御時よりも空気状態の変化に対する風量の追従性が良く、快適な空間の創出を行うこができる。したがって、ユーザの使用環境に応じた適切な風量を提供し且つ騒音の急激な変化を抑制することが可能となる。
【0019】
また、本発明に係る送風装置は、周囲の明るさを算出する照度センサを備え、前記制御部は、前記照度センサの算出値に基づいて 、前記通常制御又は前記睡眠制御のいずれかの制御を選択する、という構成としても良い。
【0020】
これにより、送風装置は、部屋の明るさに応じて自動的に通常制御か睡眠制御かを切り換え可能なため、ユーザによる制御の選択操作を不要にすることができるという効果がある。
【0021】
また、本発明に係る送風装置は、外部機器からの指令によって前記通常制御又は前記睡眠制御のいずれかを選択する、という構成としても良い。
【0022】
これにより、送風装置は、外部機器からの指令によって自動的に通常制御か睡眠制御かを切り換え可能なため、ユーザによる制御の選択操作を不要にすることができ、外部機器の判断によって最適な室内環境を提供することができるという効果を備えている。
【0023】
また、本発明に係る送風装置の制御プログラムは、吸込口と吹出口と通風路とを有する筐体と、前記吸込口から前記通風路を介して前記吹出口に空気を導く送風ファンと、室内空気の温度又は湿度又は汚れ状態のいずれかを算出する空気状態算出部と、前記空気状態算出部の情報を基に前記送風ファンの風量を制御する制御部と、を備えた送風機送風装置に用いられる制御プログラムであって、前記制御プログラムは、前記送風ファンの風量を第一の風量パターンで制御する通常制御と、前記送風ファンの風量を第二の風量パターンで制御する睡眠制御と、を備え、前記通常制御の前記第一の風量パターン及び前記睡眠制御の前記第二の風量パターンは、取得した前記空気状態算出部の情報に基づいて風量が変化し、前記空気状態算出部で算出された所定の情報における前記第二の風量パターンにおける風量は、前記空気状態算出部で算出された前記所定の情報における前記第一の風量パターンにおける風量よりも小さくなるように設定され、前記制御プログラムは、前記空気状態算出部の情報を基に前記送風ファンの風量を変化させる場合、前記通常制御において前記送風ファンの通常目標回転数に到達させるときの通常制御回転数変化速度と、前記睡眠制御において前記送風ファンの睡眠目標回転数に到達させるときの睡眠制御回転数変化速度とを備え、前記睡眠制御回転数変化速度は、前記通常制御回転数変化速度よりも小さくなるように設定される、という構成を有する。
【0024】
これにより、送風装置の制御プログラムは、空気状態算出部によって算出された空気状態に応じて風量を切り換えるために回転数を変化させる際に、睡眠制御時の回転数変化速度を通常制御時の回転数変化速度と比べて小さくすることで時間当たりの騒音の変化量を抑制することができるので、通常制御時の機器の性能は維持した上で、睡眠制御時に風量が自動で変化する際にユーザが感じる騒音の変化に対する違和感を低減することができる。
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、全図面を通して、同一の部位については同一の符号を付して説明を省略している。さらに、各図面において、本発明に直接には関係しない各部の詳細については説明を省略している。
【0026】
(実施の形態1)
図1に、本発明に係る送風装置の概略構成図を示す。
図1に示すように、送風装置100は、筐体101と吸込口102と通風路103と送風ファン104と吹出口105と空気状態算出部106と制御部107とを備える。電源や操作部等については図示および説明を省略する。
【0027】
筐体101は、送風装置100の内部と外部とを区切る外郭として機能し、主にプラスチック樹脂によって構成されている。吸込口102は、筐体101の表面に備えられ、機器外部の空気を筐体101内に取り入れる開口部として設けられる。
【0028】
吹出口105は筐体101の表面に備えられ、筐体101内に取り入れた空気を機器外部に吹き出す開口部として設けられる。
【0029】
送風ファン104は、吸込口102および吹出口105をつなぐ通風路103に備えられる。送風ファン104は、吸込口102から筐体101内に空気を取り入れ、吹出口105から室内に吹き出す。送風ファン104は、例えばファンおよびモータ等によって構成することができる。また、送風ファン104はモータの回転数を制御することで風量を調整する。
【0030】
空気状態算出部106は、筐体101の表面もしくは筐体101内の通風路103等、空気に接する位置に備えられる。空気状態算出部106は、接した空気の温度又は湿度又は汚れ状態のいずれか少なくとも一つの状態を算出して制御部107に通知する。空気状態算出部106は、例えば温度センサや湿度センサ、空気中に含まれるほこりや微粒子等の数を計測するセンサ等によって構成することができる。なお、空気状態算出部106を筐体101の外部に配置して、通信によって制御部107に通知する構成としても良い。
【0031】
制御部107は、マイクロコンピュータにて構成できる。つまり制御部107 の内部にCPU(Central Processing Unit) 、RAM(Random Access Memory) 、ROM(Read Only Memory) 、および送風ファン104、空気状態算出部106等の制御部と接続される各部に対応する入出力端子が内部バスを介して接続されている。CPUは、例えばRAMを作業領域として利用し、ROMに記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて出力端子を制御することにより例えば送風ファン104の動作を制御するが、詳しくは後述する。
【0032】
図2に、本発明の送風装置を用いた空気清浄機の側断面構成図を、
図3に、本発明の送風装置を用いた空気清浄機の概略構成を示す斜視図を示す。空気清浄機200は、送風装置100の構成に加えて、清浄部201と風向変更部202、照度センサ203を備える。清浄部201は通風路103に配置され、例えば一定の厚みを有する繊維やスポンジ状の素材からなり、内部に無数の孔を備えることで当該内部を空気が通過することができるいわゆるフィルタである。そして清浄部201は、無数の孔に吸込口102 から吸い込んだ空気を通過させることで、当該空気をろ過する。また、風向変更部202は、吹出口105 に吹出口105 から送風される風の風向を前後方向に変更するように設けられている。風向変更手段8 は、例えば樹脂で成型されたルーバーとルーバー駆動用のステッピングモータで構成されている。照度センサ203は、例えば空気清浄機200の天面に配置され、周囲の明るさを算出し、制御部107に通知する。
【0033】
以下、本実施の形態1における制御部107の制御の詳細について、
図4を参照しながら説明する。
図4は制御部107において、空気状態算出部106の算出結果を入力とした風量制御処理を示すフローチャートの一つ目の例である。ここで、Sを頭文字にして番号を割り振った、例えばS401などは処理ステップを指す。ただし、処理ステップを示す数値の大小と処理順序とは関係しない。なお、以降の説明においては、空気状態算出部106は空気の汚れ状態を算出するものとする。
【0034】
まず、制御部107は、風量変更条件が成立するかどうかを確認する(S401)。制御部107は、ユーザ操作による風量指令制御の有無又は、空気状態算出部106で算出された空気の汚れ状態が所定の閾値を超えたかどうかを基に風量変更条件が成立するかどうかを判定する。もしくは、空気状態算出部106で算出された空気の汚れ状態が、前回の値から所定の閾値以上変化したか、を基に判定する、という構成にしても良い。
【0035】
制御部107は、風量変更条件が成立すると判断した場合は、S402の処理へ移行する(S401Yes⇒S402)。一方、風量変更条件が成立しないと判断した場合は風量制御処理を終了する(S401No⇒end)。
【0036】
S401の判定において、S402処理に移行した場合、制御部107は、風量指令制御か風量指令制御以外かを確認し、風量指令制御以外の場合はS403の処理へ移行(S402風量指令制御以外⇒S403)、風量指令制御の場合はS409の処理へ移行する(S402風量指令制御⇒S409)。
【0037】
S402の判定において、S403処理に移行した場合、制御部107は、現在の風量制御として通常制御と睡眠制御のどちらが選択されているかを確認し、通常制御の場合はS404の処理へ移行(S403通常制御⇒S404)、睡眠制御の場合はS405の処理へ移行する(S403睡眠制御⇒S405)。
【0038】
S403の判定において、S404処理に移行した場合、制御部107は、空気の汚れ状態に基づいて第一の風量パターンから変更後の風量を設定し(S404)、続けて通常制御回転数変化速度を設定(S405)後に、S406の処理へ移行する。
【0039】
一方、S403の判定において、S407処理に移行した場合、制御部107は、空気の汚れ状態に基づいて第二の風量パターンから変更後の風量を設定し(S407)、続けて睡眠制御回転数変化速度を設定(S408)後に、S406の処理へ移行する。
【0040】
他方、S402の判定において、S409処理に移行した場合、制御部107は、ユーザ操作による風量指令制御により指定された風量を設定し(S409)、続けて風量指令制御回転数変化速度を設定(S410)後に、S406の処理へ移行する。
【0041】
制御部107は、S406の処理において、S404およびS405、又はS407およびS408、又はS409およびS410のステップにおいて設定した風量および回転数変化速度を基に風量の変更制御を行う。
【0042】
ここで、例えば、本送風装置を空気状態算出部で空気の汚れ状態を5段階で、風量を1から8の8段階で設定可能な空気清浄機に用いる場合を例にして風量変更制御の具体的な動作を説明する。
図5に示すように、空気の汚れ状態1から5の各状態において、第二の風量パターンの風量は、第一の風量パターンの風量よりも小さいか、あるいは同じとなるように構成する。
【0043】
また、
図6に示すように、各風量に対応する送風ファンの回転数のテーブルを持ち、風量変更時には、このテーブルを参照して通常目標回転数又は睡眠目標回転数又は風量指令目標回転数を決定するように構成する。
【0044】
また、通常制御回転数変化速度は100[rpm/秒]、睡眠制御回転数変化速度は10[rpm/秒]、風量指令制御回転数変化速度は200[rpm/秒]とする。
【0045】
例えば通常制御時に汚れ状態が4から5に変化した場合、制御部107は、S401にて風量変更条件が成立すると判断する(S401Yes⇒S402)。続けて制御部107は、S402にて風量指令制御以外と判断する(S402風量指令制御以外⇒S403)。続けて制御部107は、S403にて通常制御であると判断する(S403通常制御⇒S404)。続けて制御部107は、S404にて空気の汚れ状態に基づいて第一の風量パターンから変更後の風量を8に設定する。続けて制御部107は、S405にて回転数変化速度として通常制御回転数変化速度を設定する。続けて制御部107は、S406にて風量変更制御を行う。風量変更制御において、変更前の風量6から変更後の風量8に変わるが、この際、送風ファン104の回転数を1200[rpm]から通常目標回転数の1600[rpm]に4秒かけて遷移させる(1600[rpm]-1200[rpm]=400[rpm]、 400[rpm]/100[rpm/秒]=4[秒])。
【0046】
一方、例えば睡眠制御時に汚れ状態が4から5に変化した場合、制御部107は、S401にて風量変更条件が成立すると判断する(S401Yes⇒S402)。続けて制御部107は、S402にて風量指令制御以外と判断する(S402風量指令制御以外⇒S403)。続けて制御部107は、S403にて睡眠制御であると判断する(S403睡眠制御⇒S407)。続けて制御部107は、S407にて空気の汚れ状態に基づいて第二の風量パターンから変更後の風量を7に設定する。続けて制御部107は、S408にて回転数変化速度として睡眠制御回転数変化速度を設定する。続けて制御部107は、S406にて風量変更制御を行う。風量変更制御において、変更前の風量5から変更後の風量7に変わるが、この際、送風ファン104の回転数を1000[rpm]から睡眠目標回転数の1400[rpm]に40秒かけて遷移させることとなる(1400[rpm]-1000[rpm]=400[rpm]、 400[rpm]/10[rpm/秒]=40[秒])。
【0047】
他方、ユーザ操作による風量指令制御にて例えば風量2から風量4への風量変更が指定された場合、制御部107は、S401にて風量変更条件が成立すると判断する(S401Yes⇒S402)。続けて制御部107は、S402にて風量指令制御と判断する(S402風量指令制御⇒S409)。続けて制御部107は、S409にてユーザ操作による風量指令制御により指定された変更後の風量である風量4を設定する。続けて制御部107は、S410にて回転数変化速度として風量指令制御回転数変化速度を設定する。続けて制御部107は、S406にて風量変更制御を行う。風量変更制御において、変更前の風量2から変更後の風量4に変わるが、この際、送風ファン104の回転数を400[rpm]から風量指令目標回転数の800[rpm]に2秒かけて遷移させることとなる(800[rpm]-400[rpm]=400[rpm]、 400[rpm]/200[rpm/秒]=2[秒])。
【0048】
このような構成によれば、例えば昼間にユーザが風量制御として通常制御を選択している時は、制御部が空気の汚れ状態に応じて風量を切り換えるために回転数を変化させる際に、4秒間で変更後の風量に遷移するため、空気の汚れ状態が変化した場合の追従性に不満を持つ可能性を低減する効果を期待できる。
【0049】
一方、例えば夜間にユーザが風量制御として睡眠制御を選択している時は、制御部が空気の汚れ状態に応じて風量を切り換えるために回転数を変化させる際に、40秒間かけて変更後の風量に遷移するため、騒音の急激な変化を抑制できるので、ユーザが騒音の変化に対して感じる違和感を減らす効果を期待できる。また、空気状態の変化に対する風量の追従性は風量指令制御や通常制御よりも遅くなるが、ユーザが睡眠中や安静にしている場合には空気状態の変化に対する風量の追従性よりも騒音の変化が緩やかであることが重要視されるため問題となりにくい。
【0050】
他方、風量指令制御によりユーザが意図的に風量を変更する際に、2秒間かけて変更後の風量に遷移するため、風量の変化が通常制御時や睡眠制御時と比べて速いため、ユーザが求める室内環境を速やかに提供することができると共に、ユーザが自らの操作に応じて機器が速やかに反応した感触を得るという効果を期待できる。
【0051】
なお、通常制御と睡眠制御の切り替えは、操作部を用いたユーザ操作により切り替えを行っても良いが、制御部107が照度センサ203から通知された明るさが所定値以上か未満かによって切り替える構成としても良い。例えば照度が20[lux]未満の場合に睡眠制御、20[lux]以上の場合に通常制御を選択するようにしても良い。
【0052】
このような構成によれば、制御部107は、部屋の明るさに応じて自動的に通常制御か睡眠制御かを切り換え可能なため、ユーザによる制御の選択操作を不要にすることができるという効果を期待できる。
【0053】
また、制御部107は、外部機器からの指令によって前記通常制御又は前記睡眠制御のいずれかを選択する、という構成としても良い。
【0054】
このような構成によれば、送風装置は、外部機器からの指令によって自動的に通常制御か睡眠制御かを切り換え可能なため、ユーザによる制御の選択操作を不要にすることができ、外部機器の判断によって最適な室内環境を提供することができるという効果を期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明にかかる送風装置は、空気の状態に応じて自動的に風量を切り換える機能のある空気清浄機、加湿機能付空気清浄機、加湿機、除湿機、空気調和機等に用いられる技術として有用である。
【符号の説明】
【0056】
100 送風装置
101 筐体
102 吸込口
103 通風路
104 送風ファン
105 吹出口
106 空気状態算出部
107 制御部
200 空気清浄機
201 清浄部
202 風向変更部
203 照度センサ