(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】二重偏波レーダー
(51)【国際特許分類】
G01S 13/95 20060101AFI20230120BHJP
【FI】
G01S13/95
(21)【出願番号】P 2021536763
(86)(22)【出願日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 CN2019111716
(87)【国際公開番号】W WO2020224191
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2021-06-22
(31)【優先権主張番号】201910366778.7
(32)【優先日】2019-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521273651
【氏名又は名称】浙江宜通華盛科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG EASTONE WASHON TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】1st floor of No.2 workshop, No.1417 Renmin East Road, Gaobu Street, Yuecheng District, Shaoxing, Zhejiang, China 312000
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 賽
(72)【発明者】
【氏名】寧 ▲凱▼
(72)【発明者】
【氏名】王 振
(72)【発明者】
【氏名】寸 ▲懐▼誠
【審査官】東 治企
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-215232(JP,A)
【文献】国際公開第2016/163027(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/045573(WO,A1)
【文献】特開平08-086859(JP,A)
【文献】特開2015-169508(JP,A)
【文献】特開2010-203941(JP,A)
【文献】特開2000-275329(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0222661(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0056791(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103323850(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106772335(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105717493(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00-7/42
G01S 13/00-13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重偏波レーダーであって、送信モジュール(1)と、受信モジュール(8)と、トランシーバースイッチングモジュールと、第1の偏波方向アンテナ(4)と、第2の偏波方向アンテナ(6)と、を備え、
前記送信モジュール(1)は、無線周波数が異なる第1のパルス信号及び第2のパルス信号を送信することに用いられ、
前記受信モジュール(8)は、第1のパルス信号及び第2のパルス信号の後方散乱エコー信号を受信することに用いられ、
前記トランシーバースイッチングモジュール(2、3、5、30、50)は、前記第1のパルス信号を前記第1の偏波方向アンテナ(4)に伝送し、前記第2のパルス信号を前記第2の偏波方向アンテナ(6)に伝送し、第1の偏波方向エコー信号及び第2の偏波方向エコー信号を前記受信モジュール(8)に伝送することに用いられ、
前記第1の偏波方向アンテナ(4)は、前記第1のパルス信号を送信して、前記第1の偏波方向エコー信号を受信することに用いられ、
前記第2の偏波方向アンテナ(6)は、前記第2のパルス信号を送信して、前記第2の偏波方向エコー信号を受信することに用いられ、
前記二重偏波レーダーは、
前記第1の偏波方向エコー信号及び前記第2の偏波方向エコー信号を受信して、前記第1の偏波方向エコー信号及び前記第2の偏波方向エコー信号を後方散乱エコー信号に合成した後に前記受信モジュール(8)に送信するための信号合成モジュール(7)をさらに備え
、
前記送信モジュール(1)は、パルス対信号を生成することに用いられ、
前記パルス対信号は、
第1のパルス対のパルス幅が他のパルス対のパルス幅より大きい2つ以上のパルス対を含み、
前記パルス対は、時間的に隣接し、無線周波数が異なる前記第1のパルス信号及び前記第2のパルス信号から構成され、前記第1のパルス信号と前記第2のパルス信号との間の時間間隔は各パルスのパルス幅以下であり、前記第1のパルス信号と前記第2のパルス信号は交互に送信する、二重偏波レーダー。
【請求項2】
前記送信モジュール(1)は、信号発生器(11)と、周波数変換回路(12)とを備え、
前記信号発生器(11)は、同じ波形の前記第1のパルス信号及び前記第2のパルス信号を生成することに用いられ、
前記周波数変換回路(12)は、前記第1のパルス信号及び前記第2のパルス信号を異なる無線周波数の2つの無線周波数信号に変換した後に前記トランシーバースイッチングモジュールに伝送することに用いられる、請求項
1に記載の二重偏波レーダー。
【請求項3】
前記送信モジュール(1)は、信号発生器(11)と、周波数変換回路(12)とを備え、
前記信号発生器(11)は、同じ前記第1のパルス信号及び前記第2のパルス信号を生成することに用いられ、
前記周波数変換回路(12)は、前記第1のパルス信号及び前記第2のパルス信号を異なる無線周波数の2つの無線周波数信号に変換した後に前記トランシーバースイッチングモジュールに伝送することに用いられる、請求項
1に記載の二重偏波レーダー。
【請求項4】
前記トランシーバースイッチングモジュール(2、3、5)は、第1のストローブモジュール(2)と、第2のストローブモジュール(3)と、第3のストローブモジュール(5)とを備え、
前記第1のストローブモジュール(2)は、入力側が前記送信モジュール(1)と接続され、前記パルス対信号を取得して、前記第2のストローブモジュール(3)をストローブして、前記第1のパルス信号を前記第1の偏波方向アンテナ(4)に伝送するか、又は前記第3のストローブモジュール(5)をストローブして、前記第2のパルス信号を前記第2の偏波方向アンテナ(6)に伝送することに用いられ、
前記第2のストローブモジュール(3)はさらに、前記第1の偏波方向エコー信号を受信して前記信号合成モジュール(7)に伝送し、
前記第3のストローブモジュール(5)はさらに、前記第2の偏波方向エコー信号を受信して前記信号合成モジュール(7)に伝送する、請求項
1に記載の二重偏波レーダー。
【請求項5】
前記第1のストローブモジュール(2)は無線周波数スイッチであり、前記第2のストローブモジュール(3)及び前記第3のストローブモジュール(5)は無線周波数スイッチ又はサーキュレーターである、請求項
4に記載の二重偏波レーダー。
【請求項6】
前記第1のパルス信号と前記第2のパルス信号との間の時間間隔はlus以下である、請求項
1に記載の二重偏波レーダー。
【請求項7】
前記信号発生器(11)は、ダイレクトデジタル周波数シンセサイザDDS又はデジタルアナログコンバータDAを備える、請求項
2又は
3に記載の二重偏波レーダー。
【請求項8】
前記周波数変換回路(12)は、第1のミキサー又は周波数逓倍器を備える、請求項
7に記載の二重偏波レーダー。
【請求項9】
前記信号発生器(11)及び前記周波数変換回路(12)は一体に集積されている、請求項
7に記載の二重偏波レーダー。
【請求項10】
前記受信モジュール(8)は、
前記信号合成モジュール(7)と接続され、前記後方散乱エコー信号を受信する受信機を備える、請求項1に記載の二重偏波レーダー。
【請求項11】
前記受信モジュール(8)は、第2のミキサー(82)と、前記第2のミキサー(82)を介して前記信号合成モジュール(7)と接続されるアナログデジタル変換回路(81)とを備える、請求項1に記載の二重偏波レーダー。
【請求項12】
前記信号合成モジュール(7)は、スプリッタ(71)と、第2の低雑音増幅器(73)と、第3の低雑音増幅器(72)とを備え、
前記スプリッタ(71)の出力側は前記受信モジュール(8)と接続され、
前記スプリッタ(71)の2つの入力側はそれぞれ、前記第2の低雑音増幅器(73)の出力側及び第3の低雑音増幅器(72)の出力側と接続され、
前記第2の低雑音増幅器(73)の入力側及び前記第3の低雑音増幅器(72)の入力側はそれぞれ、前記トランシーバースイッチングモジュール(2、3、5)と接続され、前記第1の偏波方向エコー信号及び前記第2の偏波方向エコー信号を取得する、請求項1に記載の二重偏波レーダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2019年5月5日に中国特許局に提出された出願番号201910366778.7の発明特許出願の優先権を主張し、該特許出願の開示内容は本願に引用して合併される。
【0002】
本開示内容は気象レーダー技術分野に関するものであり、特に二重偏波レーダーに関する。
【背景技術】
【0003】
従来の二重偏波気象レーダーは主に、交互送信同時受信のAHVシステム及び同時送信同時受信のSHVシステムに分けられている。SHV及びAHVシステムはいずれも2つの受信チャンネルを設定する必要があるため、構造の規模及び複雑さが高まってしまい、同時に、装置のコストも高い。特に、マルチチャンネルのフェーズドアレイレーダーに対して、規模の増大、複雑さ及び装置のコストはより著しくなる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施例は二重偏波レーダーを提供して、従来技術における二重偏波レーダーの受信モジュールの構造が複雑で、規模が大きいという技術的課題を解決する。
【0005】
上記技術的課題を解決するために、本発明のいくつかの実施例は、送信モジュールと、受信モジュールと、トランシーバースイッチングモジュールと、第1の偏波方向アンテナと、第2の偏波方向アンテナとを備える二重偏波レーダーを提供し、
前記送信モジュールは、異なる無線周波数の第1のパルス信号及び第2のパルス信号を送信することに用いられ、
前記受信モジュールは、第1のパルス信号及び第2のパルス信号の後方散乱エコー信号を受信することに用いられ、
前記トランシーバースイッチングモジュールは、前記第1のパルス信号を前記第1の偏波方向アンテナに伝送し、前記第2のパルス信号を前記第2の偏波方向アンテナに伝送し、第1の偏波方向エコー信号及び第2の偏波方向エコー信号を前記受信モジュールに伝送することに用いられ、
前記第1の偏波方向アンテナは、前記第1のパルス信号を送信して、前記第1の偏波方向エコー信号を受信することに用いられ、
前記第2の偏波方向アンテナは、前記第2の偏波パルス信号を送信して、前記第2の偏波方向エコー信号を受信することに用いられ、
前記二重偏波レーダーは、信号合成モジュールをさらに備え、
前記信号合成モジュールは、前記第1の偏波方向エコー信号及び前記第2の偏波方向エコー信号を受信して、前記第1の偏波方向エコー信号及び前記第2の偏波方向エコー信号を後方散乱エコー信号に合成した後に前記受信モジュールに送信することに用いられる。
【0006】
いくつかの実施例によれば、前記送信モジュールは、無線周波数が異なる第1のパルス信号及び第2のパルス信号を含むパルス対信号を生成することに用いられる。
【0007】
いくつかの実施例によれば、前記パルス対信号は、第1のパルス対のパルス幅が他のパルス対のパルス幅より大きい2つ以上のパルス対を含む。
【0008】
いくつかの実施例によれば、前記送信モジュールは、信号発生器と周波数変換回路とを備え、
前記信号発生器は、同じ波形の前記第1のパルス信号及び前記第2のパルス信号を生成することに用いられ、
前記周波数変換回路は、前記第1のパルス信号及び前記第2のパルス信号を異なる無線周波数の2つの無線周波数信号に変換した後に前記トランシーバースイッチングモジュールに伝送することに用いられる。
【0009】
いくつかの実施例によれば、前記送信モジュールは、信号発生器と周波数変換回路とを備え、
前記信号発生器は、同じ前記第1のパルス信号及び前記第2のパルス信号を生成することに用いられ、
前記周波数変換回路は、前記第1のパルス信号及び前記第2のパルス信号を異なる無線周波数の2つの無線周波数信号に変換した後に前記トランシーバースイッチングモジュールに伝送することに用いられる。
【0010】
いくつかの実施例によれば、前記トランシーバースイッチングモジュールは、第1のストローブモジュールと、第2のストローブモジュールと、第3のストローブモジュールとを備え、
前記第1のストローブモジュールの入力側は前記送信モジュールと接続され、前記パルス対信号を取得して、前記第2のストローブモジュールをストローブして、前記第1のパルス信号を前記第1の偏波方向アンテナに伝送するか、又は前記第3のストローブモジュールをストローブして、前記第2のパルス信号を前記第2の偏波方向アンテナに伝送することに用いられ、
前記第2のストローブモジュールはさらに、前記第1の偏波方向エコー信号を受信して前記信号合成モジュールに伝送し、
前記第3のストローブモジュールはさらに、前記第2の偏波方向エコー信号を受信して前記信号合成モジュールに伝送する。
【0011】
いくつかの実施例によれば、前記第1のストローブモジュールは無線周波数スイッチであり、前記第2のストローブモジュール及び前記第3のストローブモジュールは無線周波数スイッチ又はサーキュレーターである。
【0012】
いくつかの実施例によれば、前記パルス対信号は、時間的に隣接する2つのパルス信号であり、2つのパルスの間の時間間隔は各パルスのパルス幅以下である。
【0013】
いくつかの実施例によれば、前記パルス対信号は、時間的に隣接する2つのパルス信号であり、2つのパルスの間の時間間隔はlus以下である。
【0014】
いくつかの実施例によれば、前記送信モジュールは、異なる無線周波数の第1のパルス信号及び第2のパルス信号を同時に送信する第1の送信モジュール及び第2の送信モジュールを備える。
【0015】
いくつかの実施例によれば、前記トランシーバースイッチングモジュールは、第1のストローブモジュールと第2のストローブモジュールとを備え、
前記第1のストローブモジュールは、入力側が前記第1の送信モジュールと接続され、第1のパルス信号を取得し、前記第1のパルス信号を前記第1の偏波方向アンテナに伝送し、さらに、前記第1の偏波方向エコー信号を受信して前記信号合成モジュールに伝送することに用いられ、
前記第2のストローブモジュールは、入力側が前記第2の送信モジュールと接続され、第2のパルス信号を取得し、前記第2のパルス信号を前記第2の偏波方向アンテナに伝送し、且つ、さらに、前記第2の偏波方向エコー信号を受信して前記信号合成モジュールに伝送することに用いられる。
【0016】
いくつかの実施例によれば、前記第1のストローブモジュール及び前記第2のストローブモジュールは無線周波数スイッチ又はサーキュレーターである。
【0017】
いくつかの実施例によれば、前記第1のパルス信号及び前記第2のパルス信号のそれぞれは、第1のパルスのパルス幅が他のパルスのパルス幅より大きい2つ以上の単一パルスを含む。
【0018】
いくつかの実施例によれば、前記第1の送信モジュール及び第2の送信モジュールのそれぞれは、信号発生器と周波数変換回路とを備える。
【0019】
いくつかの実施例によれば、前記信号発生器は、ダイレクトデジタル周波数シンセサイザDDS又はデジタルアナログコンバータDAを備える。
【0020】
いくつかの実施例によれば、前記周波数変換回路は、第1のミキサー又は周波数逓倍器を備える。
【0021】
いくつかの実施例によれば、前記信号発生器及び前記周波数変換回路は一体に集積されている。
【0022】
いくつかの実施例によれば、前記受信モジュールは、前記信号合成モジュールと接続され、前記後方散乱エコー信号を受信する受信機を備える。
【0023】
いくつかの実施例によれば、前記受信モジュールは、前記第2のミキサーを介して前記信号合成モジュールと接続されるアナログデジタル変換回路と、第2のミキサーと、を備える。
【0024】
いくつかの実施例によれば、前記信号合成モジュールは、スプリッタと、第2の低雑音増幅器と、第3の低雑音増幅器とを備え、
前記スプリッタの出力側は前記受信モジュールと接続され、
前記スプリッタの2つの入力側はそれぞれ、前記第2の低雑音増幅器の出力側及び第3の低雑音増幅器の出力側と接続され、
前記第2の低雑音増幅器の入力側及び前記第3の低雑音増幅器の入力側はそれぞれ、前記トランシーバースイッチングモジュールと接続され、前記第1の偏波方向エコー信号及び前記第2の偏波方向エコー信号を取得する。
【0025】
本願の実施例に係る1つ以上の技術案は、少なくとも以下の一部又は全ての技術的効果又は利点を有する。
【0026】
本願の実施例に係る二重偏波レーダーは、送信モジュールを介して異なる中心周波数のパルス対信号を交互に出力して、トランシーバースイッチングモジュールを介してそれぞれ第1の偏波方向アンテナ、第2の偏波方向アンテナ及び受信モジュールを接続することにより、2つの偏波方向の監視信号の交互送信を実現して、2つの偏波信号の同時送信による交差結合を回避して、測定誤差を低減させ、さらに、信号合成モジュールを介して第1の偏波方向エコー信号及び第2の偏波方向エコー信号を受信モジュールに送信して、エコー信号の受信を完了し、レーダー構造の最適化を実現し、1つの受信チャンネル構造を減少させて、レーダー構造の規模及び複雑さを大幅に削減し、バッチで大規模な使用を促進し、同時に、同一の送信モジュールにより、各送信周期において、異なる周波数のパルスを含むパルス対信号を短い間隔で連続的に送信するか、又は異なる送信モジュールにより、周波数が異なるパルス信号を同時に送信して、従来のAHVシステムでの交互送信モードの送信時間間隔が長いことに起因するエコー信号の関連性が悪いという欠陥を解消して、監視の精度を確保する。さらに、2つの偏波方向のエコーが混ざり合って判別しにくいという問題を回避するために、2つの偏波方向のパルスに対して異なる無線周波数及び中間周波数を用いて、交互送信モードでの高関連性及び二重偏波ターゲットの区別を実現し、優れたレーダー監視性能を実現する。一方では、パルス幅が異なる連続パルス対を送信するように設定すると、広いパルス対を使用してより長い距離のライブラリをカバーし、狭いパルス対を使用して広いパルス対のブラインドエリアが長すぎるという問題を解決することにより、構造の最適化による派生的な欠陥を解決して、構造を最適化すると同時に、優れたレーダー監視性能を有する。
【0027】
本願の実施例は二重偏波レーダーを提供することにより、従来技術の二重偏波レーダーの受信モジュールの構造が複雑で、規模が大きいという技術的課題を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は本発明のいくつかの実施例に係る二重偏波レーダーの構造模式図である。
【
図2】
図2は
図1に示される実施例の二重偏波レーダー構造パルスタイミング制御図である。
【
図3】
図3は本発明の他の実施例に係る二重偏波レーダーの構造模式図である。
【
図4a】
図4aは
図3に示される実施例の二重偏波レーダー構造における第1の送信モジュールのパルスタイミング制御図である。
【
図4b】
図4bは
図3に示される実施例の二重偏波レーダー構造における第2の送信モジュールのパルスタイミング制御図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
上記技術案をよりよく理解するために、以下では、明細書の図面及び具体的な実施形態により上記技術案を詳細に説明し、本発明の実施例及び実施例における具体的な特徴が本願の技術案の詳細な説明であり、本願の技術案の限定ではないことを理解すべきであり、矛盾がない限り、本願の実施例と実施例の技術的特徴とは互いに組み合わせることができる。
【0030】
本発明の実施例における二重偏波レーダーは、従来技術の二重偏波気象レーダーに比べて、特に、フェーズドアレイレーダー等のマルチチャンネルを有する製品において、構造を大幅に簡略化し、そのユニットの規模を低減させ、それによりその使用コストを大幅に削減させた。本願に係る実施案は、構造を簡略化すると同時に、依然として従来の二重偏波レーダーと同等の性能を備え、ひいてはAHV及びSHVシステムに基づく二重偏波レーダーよりやや優れている。
【0031】
以下では、本願の実施案を具体的に説明する。
【0032】
図1に示すように、本発明のいくつかの実施例に係る二重偏波レーダーは、送信モジュール1と、受信モジュール8と、トランシーバースイッチングモジュールと、第1の偏波方向アンテナ4と、第2の偏波方向アンテナ6とを備える。
【0033】
前記送信モジュール1は、異なる無線周波数の第1のパルス信号及び第2のパルス信号を含むパルス対信号を生成する。
【0034】
図2に示すように、一実施例によれば、前記パルス対信号は、時間的に隣接する2つのパルス信号であり、2つのパルスの間の時間間隔が非常に短く、例えば、lus以下である。つまり、2つの無線周波数信号の間の時間間隔が非常に短いため、2つのエコー信号の関連性を向上させ、優れた監視の精度を確保できる。
【0035】
前記受信モジュール8は、第1のパルス信号及び第2のパルス信号の後方散乱エコー信号である2つの偏波方向のエコー信号を受信することに用いられる。
【0036】
前記トランシーバースイッチングモジュールは、第1のストローブモジュール2と、第2のストローブモジュール3と、第3のストローブモジュール5とを備え、前記第1のパルス信号を前記第1の偏波方向アンテナ4に伝送し、前記第2のパルス信号を前記第2の偏波方向アンテナ6に伝送し、第1の偏波方向エコー信号及び第2の偏波方向エコー信号を前記受信モジュール8に伝送することに用いられる。
【0037】
前記二重偏波レーダーは、前記第1の偏波方向エコー信号及び前記第2の偏波方向エコー信号を受信して、前記第1の偏波方向エコー信号及び前記第2の偏波方向エコー信号を後方散乱エコー信号に合成した後に前記受信モジュール8に送信して、単一の受信チャンネル構造を実現するための信号合成モジュール7をさらに備える。
【0038】
前記第1の偏波方向アンテナ4は、前記第1のパルス信号を送信して、前記第1の偏波方向エコー信号を受信することに用いられ、前記第2の偏波方向アンテナ6は、前記第2の偏波パルス信号を送信して、前記第2の偏波方向エコー信号を受信することに用いられる。
【0039】
図2に示すように、さらに、前記パルス対信号は、第1のパルス対のパルス幅が他のパルス対のパルス幅より大きい2つ以上のパルス対を含む。
【0040】
なお、2つの無線周波数信号が非常に近いため、2つの偏波方向のエコーが混ざり合って判別できないという問題を引き起こした場合、エコーの偏波方向を判別するために、本実施例において、第1の無線周波数信号及び第2の無線周波数信号に対して異なる無線周波数を用いることにより、2つの偏波方向のエコーを区別できるようになる。
【0041】
一方では、レーダー監視を実行する時、1つの送信周期において、前記送信モジュールは、それぞれが1つの水平偏波パルスH及び1つの垂直偏波パルスVからなる2つ以上のパルス対を送信し、前記2つ以上の連続パルスのうち、第1のパルス対の幅がその後のパルス対の幅より大きい。つまり、広いパルス対の後に狭いパルス対を設置することで、ブラインドエリアを解消する目的を実現して、比較的大きなブラインドエリアの発生を回避する。
【0042】
もちろん、パルス対の数は一対であってもよく、ブラインドエリアが存在する可能性がある。
【0043】
具体的な実施例において、前記信号送信モジュール1は、信号発生器11と、周波数変換回路12とを備えることができ、前記信号発生器11は、波形が同じであり、中間周波数が異なる前記第1のパルス信号及び前記第2のパルス信号を生成することに用いられ、前記周波数変換回路12は、前記第1のパルス信号及び前記第2のパルス信号を異なる無線周波数の2つの無線周波数信号に変換した後に前記トランシーバースイッチングモジュールに伝送することに用いられる。
【0044】
又は、前記信号送信モジュール1は、信号発生器11と、周波数変換回路12とを備えることができ、前記信号発生器11は、同じ前記第1のパルス信号及び前記第2のパルス信号を生成することに用いられ、前記周波数変換回路12は、前記第1のパルス信号及び前記第2のパルス信号を異なる無線周波数の2つの無線周波数信号に変換した後に前記トランシーバースイッチングモジュールに伝送することに用いられる。
【0045】
前記信号発生器11は、ダイレクトデジタル周波数シンセサイザDDS又はデジタルアナログコンバータDAを備えることができ、パルス対信号を生成することに用いられる。
【0046】
前記周波数変換回路12は、第1のミキサー又は周波数逓倍器を備えることができ、もちろん、周波数調節装置であってもよい。
【0047】
いくつかの実施例によれば、前記信号発生器11及び前記周波数変換回路12は一体に集積することができ、たとえば、単一のRFSOCチップである。
【0048】
前記受信モジュール8は、前記信号合成モジュールと接続され、前記後方散乱エコー信号を受信する受信機を備えることができる。
【0049】
又は、受信モジュール8は、アナログデジタル変換回路AD81と第2のミキサー82とを備えることができ、前記アナログデジタル変換回路AD81は、前記第2のミキサー82を介して前記信号合成モジュール7と接続され、エコー合成信号の収集転化を実現する。
【0050】
あるいは、前記受信モジュール8は、前記第2のミキサー82と前記信号合成モジュール7の出力側との間に直列接続され、チャンネルのフィルタリング増幅を実現してエコー信号を受信し、信号対雑音比を向上させる第1の低雑音増幅器83を更に備えることができる。
【0051】
具体的な実施例によれば、前記信号合成モジュールは、スプリッタ71と、第2の低雑音増幅器73と、第3の低雑音増幅器72とを備え、前記スプリッタ71は、出力側が前記受信モジュール8と接続され、2つの入力側がそれぞれ前記第2の低雑音増幅器73の出力側を介して第3の低雑音増幅器72の出力側と接続され、前記第2の低雑音増幅器73の入力側及び前記第3の低雑音増幅器72の入力側はそれぞれ前記トランシーバースイッチングモジュールと接続され、前記第1の偏波方向エコー信号及び前記第二偏波方向エコー信号を取得する。
【0052】
特定の実施例において、前記トランシーバースイッチングモジュールは、第1のストローブモジュール2と、第2のストローブモジュール3と、第3のストローブモジュール5とを備え、前記第1のストローブモジュール2は、入力側が前記送信モジュール1と接続され、前記パルス対信号を取得して、前記第2のストローブモジュール3をストローブして、前記第1のパルス信号を前記第1の偏波方向アンテナ4に伝送するか、又は前記第3のストローブモジュール5をストローブして、前記第2のパルス信号を前記第2の偏波方向アンテナ6に伝送することに用いられ、前記第2のストローブモジュール3はさらに、前記第1の偏波方向エコー信号を受信して前記信号合成モジュール7に伝送し、前記第3のストローブモジュール5はさらに、前記第2の偏波方向エコー信号を受信して前記信号合成モジュール7に伝送する。
【0053】
具体的な実施例において、前記第1のストローブモジュール2は無線周波数スイッチであってもよく、前記第2のストローブモジュール3及び前記第3のストローブモジュール5は無線周波数スイッチ又はサーキュレーターであってもよい。
【0054】
本発明の実施例は、従来の二重受信モジュールのシステムに比べて、構造の複雑さ及び素子の規模を削減するために最適化され、単一の受信モジュールに設定される。以下に具体的に説明する。
【0055】
前記第1の偏波方向アンテナ4は前記第2のストローブモジュール3と接続され、前記第1の無線周波数信号を送信するか又は前記第1の偏波方向エコー信号を受信し、前記第2の偏波方向アンテナ6は前記第3のストローブモジュール5と接続され、前記第2の無線周波数信号を送信するか又は前記第2の偏波方向エコー信号を受信する。
【0056】
具体的には、送信時、前記第1のストローブモジュール2は、ストローブ制御信号の作用下で、第2のストローブモジュール3又は第3のストローブモジュール5をストローブし、つまり、第1の偏波アンテナ4又は第2の偏波アンテナ6をストローブして、アンテナに対応する偏波給電ポートを介して偏波を送信する。
【0057】
対応的に、エコー信号を受信する場合、前記信号合成モジュール7の2つの入力側はそれぞれ前記第2のストローブモジュール3及び前記第3のストローブモジュール5と接続され、前記第1の偏波方向エコー信号及び前記第2の偏波方向エコー信号を取得して後方散乱エコー信号に合成する。
【0058】
具体的には、アンテナを介して送信した水平偏波、垂直偏波は目標にあうと、レーダーアンテナに後方散乱エコーを生成する。エコーが二重偏波アンテナに到達した後、理想的な場合、垂直偏波口は自身が送信した垂直偏波のみを受信し、水平偏波口は自身が送信した水平偏波のみを受信し、それぞれ前記第2のストローブモジュール3及び前記第3のストローブモジュール5を介して信号合成モジュール7に入り、信号を合成した後に受信モジュール8に入り、解析される。
【0059】
通常、気象目標の移動速度は一般的に60m/s以下であり、対応するドップラーシフトがkHzレベルであり、2つの無線周波数信号の重ならない周波数間隔が例えばMHzレベルに達する限り、受信機はそれを判別でき、垂直偏波エコー、水平偏波エコーを判別できる。
【0060】
なお、本実施例において、前記パルス対信号のうち2つのパルスの時間間隔は、従来のAHVモードのパルス周期間隔ではなく、各パルスのパルス幅に対応する時間内に制御されるので、AHVモードに比べてエコー関連性が高い。例えば、1GHzの動作周波数、16m/sのスペクトル幅分布、100usのパルス幅条件において、2つの偏波の関連係数は0.998であり、SHVモードでのゼロ遅延相関係数に近い。つまり、本実施例に係る単一の受信モジュールの最適化手段のエコー関連性の性能は、従来用いられたSHVシステムのレーダーと同等であり、AHVよりも優れている。
【0061】
以下に、具体的な上記機能構造について説明する。
【0062】
前記送信モジュールは、信号発生器11と周波数変換回路12とを備え、
前記信号発生器11は前記周波数変換回路12と接続され、パルス対信号を前記第1の偏波方向無線周波数信号及び前記第2の偏波方向無線周波数信号に変換する。一実施例によれば、送信は2つのサブパルスに分けられ、信号発生器11は、中心周波数が異なる同じ波形の2つの時間的に隣接する信号IF1、IF2を生成して、その後、周波数変換回路12を介して無線周波数信号RF1、RF2に変換し、又は、この過程は、信号発生器1が2つの同じ信号を生成して、次に、周波数変換回路12により、ミキサー内の局部発振周波数の高速スイッチングなど、RF1、RF2を実現することであってもよい。
【0063】
いくつかの実施例によれば、信号発生器11はダイレクトデジタル周波数シンセサイザDDS又はドライブアンプDAを用いてもよい。周波数変換回路12はミキサー又は周波数逓倍器を用いてもよい。
【0064】
前記周波数変換回路12は前記第1のストローブモジュール2と接続され、前記第1の偏波方向無線周波数信号及び前記第2の偏波方向無線周波数信号を送信することができる。
【0065】
一実施例において、前記送信モジュール1は、増幅器13と、フィルター(図示せず)とを更に備え、前記増幅器13及び前記フィルターは直列接続した後に前記周波数変換回路12と前記第1のストローブモジュール2との間に接続される。
【0066】
前記受信モジュール8は、アナログデジタル変換回路AD81と第2のミキサー82とを備えることができ、前記アナログデジタル変換回路AD81は前記第2のミキサー82を介して前記信号合成モジュール7と接続され、エコー合成信号の収集転化が実現される。
【0067】
一実施例において、前記受信モジュール8は、前記第2のミキサー82と前記信号合成モジュール7の出力側との間に直列接続され、チャンネルのエコー信号の拡大受信を実現して、信号対雑音比を向上させる第1の低雑音増幅器83をさらに備えることができる。
【0068】
いくつかの実施例において、前記信号合成モジュール7は、スプリッタ71と、第2の低雑音増幅器73と、第3の低雑音増幅器72とを備えることができ、前記スプリッタ71は、出力側が前記受信モジュール8と接続され、2つの出力側がそれぞれ前記第2の低雑音増幅器73及び第3の低雑音増幅器72を介して前記第2のストローブモジュール3及び前記第3のストローブモジュール5と接続され、2つのエコー信号を一体に合成して、それにより第2のストローブモジュール3及び第3のストローブモジュール5の後にスプリッタ71に直接接続する場合の信号対雑音比よりも高く、得られた信号対雑音比の値がスプリッタ71のノイズ係数を超え、それにより比較的高い信号対雑音比を維持する。
【0069】
いくつかの実施例において、前記第1のストローブモジュール2、前記第2のストローブモジュール3及び前記第3のストローブモジュール5はいずれも、ストローブすることに用いられる。前記第1のストローブモジュール2には、無線周波数スイッチを選択してもよく、前記第2のストローブモジュール3及び前記第3のストローブモジュール5には、無線周波数スイッチ又はサーキュレーターを選択してもよい。
【0070】
図3には本発明の他の実施例に係る二重偏波レーダーの構造模式図が示されている。
図4aは
図3に示される実施例の二重偏波レーダー構造の第1の送信モジュール10のパルスタイミング制御図である。
図4bは
図3に示される実施例の二重偏波レーダー構造の第2の送信モジュール20のパルスタイミング制御図である。
図3に示すように、本発明の他の実施例に係る二重偏波レーダーは、送信モジュール1と、受信モジュール8と、トランシーバースイッチングモジュール30、50と、第1の偏波方向アンテナ4と、第2の偏波方向アンテナ6とを備える。
【0071】
図1に示されている実施例との違いとは、
図3に示される実施例において、送信モジュール1は、第1の送信モジュール10及び第2の送信モジュール20の2つの送信モジュールを備える。前記第1の送信モジュール10及び第2の送信モジュール20は、波形が同じで、異なる無線周波数の第1のパルス信号及び第2のパルス信号を同時に送信することに用いられる。たとえば、第1のパルス信号は水平偏波パルスHであってもよく、第2のパルス信号は垂直偏波パルスVであってもよい。又は、第1のパルス信号は垂直偏波パルスVであってもよく、第2のパルス信号は水平偏波パルスHであってもよい。第1の送信モジュール10及び第2の送信モジュール20は異なる無線周波数の第1のパルス信号及び第2のパルス信号を同時に送信するため、2つのエコー信号の関連性をよりよく向上させ、優れた監視の精度を確保できる。
【0072】
前記受信モジュール8は、第1のパルス信号及び第2のパルス信号の後方散乱エコー信号である2つの偏波方向のエコー信号を受信することに用いられる。
【0073】
前記トランシーバースイッチングモジュール30、50は、第1のストローブモジュール30と第2のストローブモジュール50とを備え、前記第1のパルス信号を前記第1の偏波方向アンテナ4に伝送し、前記第2のパルス信号を前記第2の偏波方向アンテナ6に伝送し、第1の偏波方向エコー信号及び第2の偏波方向エコー信号を前記受信モジュール8に伝送する。
【0074】
前記二重偏波レーダーは、前記第1の偏波方向エコー信号及び前記第2の偏波方向エコー信号を受信して、前記第1の偏波方向エコー信号及び前記第2の偏波方向エコー信号を後方散乱エコー信号に合成した後に前記受信モジュール8に送信して、単一の受信チャンネル構造を実現するための信号合成モジュール7を更に備える。
【0075】
前記第1の偏波方向アンテナ4は、前記第1のパルス信号を送信して、前記第1の偏波方向エコー信号を受信することに用いられ、前記第2の偏波方向アンテナ6は、前記第2の偏波パルス信号を送信して、前記第2の偏波方向エコー信号を受信することに用いられる。
【0076】
具体的には、前記第1の偏波方向アンテナ4は、前記第1のストローブモジュール30と接続され、前記第1の無線周波数信号を送信するか又は前記第1の偏波方向エコー信号を受信し、前記第2の偏波方向アンテナ6は、前記第2のストローブモジュール50と接続され、前記第2の無線周波数信号を送信するか又は前記第2の偏波方向エコー信号を受信する。
【0077】
具体的には、送信時、第1のストローブモジュール30又は第2のストローブモジュール50をストローブすることは、第1の偏波アンテナ4又は第2の偏波アンテナ6をストローブして、アンテナに対応する偏波給電ポートを介して偏波を送信することである。
【0078】
対応的に、エコー信号を受信する場合、前記信号合成モジュール7の2つの入力側はそれぞれ前記第1のストローブモジュール30及び前記第2のストローブモジュール50と接続され、前記第1の偏波方向エコー信号及び前記第2の偏波方向エコー信号を取得して後方散乱エコー信号に合成する。
【0079】
具体的には、アンテナを介して送信した水平偏波、垂直偏波は目標にあうと、レーダーアンテナに後方散乱エコーを生成する。エコーが二重偏波アンテナに到達した後、理想的な場合、垂直偏波口は自身が送信した垂直偏波のみを受信し、水平偏波口は自身が送信した水平偏波のみを受信し、それぞれ前記第1のストローブモジュール30及び前記第2のストローブモジュール50を介して信号合成モジュール7に入り、信号を合成した後に受信モジュール8に入り、解析される。
【0080】
図4a及び
図4bに示すように、一実施例において、前記第1のパルス信号及び前記第2のパルス信号のそれぞれは、第1のパルスのパルス幅が他のパルスのパルス幅より大きい2つ以上の単一パルスを含む。
【0081】
なお、2つの無線周波数信号が非常に近いため、2つの偏波方向のエコーが混ざり合って判別できないという問題を引き起こし、エコーの偏波方向を判別するために、本実施例において、第1の無線周波数信号及び第2の無線周波数信号に対して異なる無線周波数を用いることにより、2つの偏波方向のエコーを区別できるようになる。
【0082】
一方では、レーダー監視を実行する時、1つの送信周期において、第1の送信モジュール10は2つ以上の水平偏波単一パルスを送信することができるとともに、第2の送信モジュール20は2つ以上の垂直偏波単一パルスを送信することができ、又は、第1の送信モジュール10は2つ以上の垂直偏波単一パルスを送信することができるとともに、第2の送信モジュール20は2つ以上の水平偏波単一パルスを送信することができる。前記2つ以上の連続単一パルスのうちの、第1の単一パルスの幅がその後の単一パルスの幅より大きい。つまり、広いパルスの後に狭いパルスを設置することで、ブラインドエリアを解消する目的を実現して、比較的大きなブラインドエリアの発生を回避する。
【0083】
具体的に実施例において、第1の送信モジュール10及び第2の送信モジュール20のそれぞれは、信号発生器11と周波数変換回路12とを備えることができる。前記信号発生器11は、ダイレクトデジタル周波数シンセサイザDDS又はデジタルアナログコンバータDAを備えることができ、パルス信号を生成することに用いられる。前記周波数変換回路12は、第1のミキサー又は周波数逓倍器を備えてもよく、もちろん、他の周波数調節装置であってもよい。
【0084】
いくつかの実施例によれば、前記信号発生器11及び前記周波数変換回路12は一体に集積することができ、たとえば、単一のRFSOCチップである。
【0085】
一実施例において、第1の送信モジュール10及び第2の送信モジュール20のそれぞれは、増幅器13とフィルター(図示せず)とを備えることができ、前記増幅器13及び前記フィルターは直列接続した後に前記周波数変換回路12と前記第1のストローブモジュール30又は第2のストローブモジュール50との間に接続される。
【0086】
前記受信モジュール8は、前記信号合成モジュールと接続され、前記後方散乱エコー信号を受信する受信機を備えることができる。
【0087】
又は、受信モジュール8は、アナログデジタル変換回路AD81と、第2のミキサー82とを備えることができ、前記アナログデジタル変換回路AD81は前記第2のミキサー82を介して前記信号合成モジュール7と接続され、エコー合成信号の収集転化が実現される。
【0088】
あるいは、前記受信モジュール8は、前記第2のミキサー82と前記信号合成モジュール7の出力側との間に直列接続され、チャンネルのフィルタリング増幅を実現してエコー信号を受信して、信号対雑音比を向上させる第1の低雑音増幅器83をさらに備えることができる。
【0089】
具体的な実施例において、前記トランシーバースイッチングモジュールは、第1のストローブモジュール30と第2のストローブモジュール50とを備え、前記第1のストローブモジュール30は、入力側が第1の送信モジュール10と接続され、第1のパルス信号を取得し、前記第1のパルス信号を前記第1の偏波方向アンテナ4に伝送することに用いられ、第2のストローブモジュール50は、入力側が第2の送信モジュール20と接続され、第2のパルス信号を取得し、前記第2のパルス信号を前記第2の偏波方向アンテナ6に伝送することに用いられ、前記第1のストローブモジュール30はさらに、前記第1の偏波方向エコー信号を受信して前記信号合成モジュール7に伝送し、前記第2のストローブモジュール50はさらに、前記第2の偏波方向エコー信号を受信して前記信号合成モジュール7に伝送する。前記第1のストローブモジュール30及び前記第2のストローブモジュール50は無線周波数スイッチ又はサーキュレーターであってもよい。
【0090】
具体的な実施例によれば、前記信号合成モジュール7は、スプリッタ71と、第2の低雑音増幅器73と、第3の低雑音増幅器72とを備えることができ、前記スプリッタ71は、出力側が前記受信モジュール8と接続され、2つの入力側がそれぞれ前記第2の低雑音増幅器73の出力側及び第3の低雑音増幅器72の出力側と接続され、前記第2の低雑音増幅器73の入力側及び前記第3の低雑音増幅器72の入力側はそれぞれ前記トランシーバースイッチングモジュールと接続され、前記第1の偏波方向エコー信号及び前記第2の偏波方向エコー信号を取得する。
【0091】
具体的には、前記スプリッタ71の2つの出力側はそれぞれ前記第2の低雑音増幅器73及び第3の低雑音増幅器72を介して前記第1のストローブモジュール30及び前記第2のストローブモジュール50と接続され、2つのエコー信号を一体に合成し、それにより第1のストローブモジュール30及び第2のストローブモジュール50の後にスプリッタ71に直接接続する場合の信号対雑音比よりも高く、得られた信号対雑音比の値がスプリッタ71のノイズ係数を超え、それにより比較的高い信号対雑音比を維持する。
【0092】
本発明の上記実施例は
図3に示される実施例と類似し、構造の複雑さ及び素子の規模を削減させるために、従来の二重受信モジュールのシステムを最適化し、単一の受信モジュールに設定される。また、2つの送信モジュールはそれぞれ2つの異なる偏波方向の放射アンテナに対応し、且つ2つの送信モジュールは異なる周波数の信号を送信するため、2つの偏波方向の送信波は周波数分割のみにより区別でき、時分割作業が不要で、2つの偏波方向の関連性は理想的な1に達することができ、それによりエコー信号の関連性を向上させ、監視の精度を確保する。
【0093】
本発明の実施例は上記実施例の二重偏波レーダーに基づく気象レーダー監視方法をさらに提出した。
【0094】
本願の実施例に係る1つ以上の技術案は、少なくとも以下の一部又はすべての技術的効果又は利点を有し、
本願の実施例に係る二重偏波レーダーは、送信モジュールを介して異なる中心周波数のパルス対信号を交互に出力して、トランシーバースイッチングモジュールを介してそれぞれ第1の偏波方向アンテナ、第2の偏波方向アンテナ及び受信モジュールを接続することにより、2つの偏波方向の監視信号の交互送信を実現して、2つの偏波信号の同時送信による交差結合を回避して、測定誤差を低減させ、さらにトランシーバースイッチングモジュールを介して第1の偏波方向エコー信号及び第2の偏波方向エコー信号を受信モジュールに送信し、エコー信号の受信を完了し、レーダー構造の最適化を実現し、1つの受信チャンネル構造を減少させて、レーダー構造の規模及び複雑さを大幅に削減し、バッチで大規模な使用を促進し、同時に、同一の送信モジュールにより、各送信周期において、パルス対信号を短い間隔で連続的に送信するか、又は異なる送信モジュールにより、周波数が異なるパルス信号を同時に送信することにより、従来のAHVシステムでの交互送信モードの送信時間間隔が長いことに起因するエコー信号の関連性が悪いという欠陥を解消する。それにより、監視の精度を確保し、さらに、2つの偏波方向のエコーが混ざり合って判別しにくいという問題を回避するために、2つの偏波方向のパルスに対して異なる無線周波数及び中間周波数を用いて、交互送信モードでの高関連性及び二重偏波ターゲットの区別を実現し、優れたレーダー監視性能を実現する。一方では、パルス幅が異なる連続パルス対を送信するように設定することによって、広いパルス対を使用してより長い距離のライブラリをカバーすることができ、狭いパルス対を使用して広いパルス対のブラインドエリアが長すぎるという問題を解決することにより、構造の最適化による派生的な欠陥を解決して、構造を最適化すると同時に、優れたレーダー監視性能を有する。
【0095】
なお、上記の具体的な実施形態は本発明の技術案を説明するものに過ぎず、制限するものではなく、実例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者が理解すべきなのは、本発明の技術案の精神及び範囲から逸脱せずに、本発明の技術案への補正又は同等置換は、いずれも本発明の請求の範囲に含まれるべきである。