(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】バスバー及び電池積層体
(51)【国際特許分類】
H01M 50/526 20210101AFI20230120BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20230120BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20230120BHJP
H01M 50/509 20210101ALI20230120BHJP
H01M 50/516 20210101ALI20230120BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20230120BHJP
【FI】
H01M50/526
H01M50/209
H01M50/503
H01M50/509
H01M50/516
H01M50/505
(21)【出願番号】P 2019560964
(86)(22)【出願日】2018-12-07
(86)【国際出願番号】 JP2018045030
(87)【国際公開番号】W WO2019124109
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-08-03
(31)【優先権主張番号】P 2017243050
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】小村 哲司
(72)【発明者】
【氏名】粂 信吾
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-021403(JP,A)
【文献】国際公開第2017/208804(WO,A1)
【文献】特開2012-018904(JP,A)
【文献】特開2014-186803(JP,A)
【文献】国際公開第2010/052788(WO,A1)
【文献】特開2017-216095(JP,A)
【文献】特開2017-016856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプレートが積層された構造を有するバスバーであって、
電池の積層方向に延在する本体部と、
前記本体部よりも薄く、各電池の端子に溶接される複数の接続部と、を備え
、
前記複数のプレートは、前記本体部を構成する第1プレートと、前記本体部および複数の前記接続部を構成する第2プレートと、を含み、
少なくとも一部の前記第2プレートは、前記第1プレートよりも厚いことを特徴とするバスバー。
【請求項2】
複数の前記接続部は、複数の前記第2プレートで構成される請求項
1に記載のバスバー。
【請求項3】
電池の積層方向において、第1電池に溶接される第1接続部と第2電池に溶接される第2接続部との間に、前記第1電池および前記第2電池の相対的な変位を吸収する変位吸収部を有する請求項
1または2に記載のバスバー。
【請求項4】
前記変位吸収部は、前記第1プレートに設けられる第1可動部を含み、
前記第1可動部は、プレートの面方向と交わる方向に延伸する部分を有する請求項
3に記載のバスバー。
【請求項5】
前記変位吸収部は、前記第2プレートに設けられる括れ部を含み、
前記括れ部は、前記第2プレートにおける電池の積層方向と交わる方向の幅が、前記接続部の延在領域よりも狭い部分である請求項
3または
4に記載のバスバー。
【請求項6】
前記変位吸収部は、前記第2プレートに設けられる第2可動部を含み、
前記第2可動部は、プレートの面方向と交わる方向に延伸する部分を有する請求項
3乃至
5のいずれか1項に記載のバスバー。
【請求項7】
前記変位吸収部は、前記第2プレートに設けられる第3可動部を含み、
前記第3可動部は、電池の積層方向と交わり且つプレートの面方向に延伸する部分を有する請求項
3乃至
6のいずれか1項に記載のバスバー。
【請求項8】
前記変位吸収部は、前記第2プレートに設けられて前記第1接続部と前記第2接続部とを分離する切断部を有する請求項
3または
4に記載のバスバー。
【請求項9】
複数のプレートが積層された構造を有するバスバーであって、
電池の積層方向に延在する本体部と、
前記本体部よりも薄く、各電池の端子に溶接される複数の接続部と、を備え、
前記本体部は、前記複数のプレートで構成され、
前記接続部は、前記複数のプレートの総厚よりも薄く、前記複数のプレートを締結する締結部材で構成される
ことを特徴とするバスバー。
【請求項10】
前記本体部は、本体部を構成する複数のプレートを互いに接合する溶接部を有する請求項1乃至
9のいずれか1項に記載のバスバー。
【請求項11】
請求項1乃至
10のいずれか1項に記載のバスバーと、
前記バスバーにより互いに電気的に接続された複数の電池と、を備えることを特徴とする電池積層体。
【請求項12】
前記複数の電池は、少なくとも2つの電池で構成される複数の電池ユニットに組み分けられ、各電池ユニットにおいて電池同士が前記バスバーで並列接続され、電池ユニット同士が前記バスバーで直列接続され、
前記バスバーは、前記本体部の厚みが前記接続部の厚みの2倍以上である請求項
11に記載の電池積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバー及び電池積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両用等の、高い出力電圧が要求される電源に用いられる電池として、複数個の電池が電気的に接続されてなる電池積層体が知られている。従来、このような電池積層体では、隣り合う電池の出力端子同士がバスバーで接続されていた。
【0003】
バスバーとしては、複数のプレートが積層された構造を有するバスバーが知られている(例えば、特許文献1参照)。積層構造をとることで、バスバーの剛性を抑えることができる。これにより、電池の振動等に起因してバスバーと電池との接続部にかかる力をバスバーが吸収することができる。この結果、バスバーと電池との間の接続信頼性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本発明者らは、プレート積層タイプのバスバーについて鋭意検討を重ねた結果、以下の課題を認識するに至った。すなわち、複数のプレートを積層した場合、プレート間に隙間が生じることがあった。プレート間の隙間は溶接時に熱伝達の障害となるため、バスバーを出力端子に確実に溶接することが困難になる。バスバーを介した電池間の安定的な電気的接続を実現するためには、バスバーと電池とのより確実な溶接が望まれる。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、プレート積層タイプのバスバーと電池とをより確実に溶接することができる技術を提供することにある。
【0007】
本発明のある態様は、バスバーである。当該バスバーは、複数のプレートが積層された構造を有するバスバーであって、電池の積層方向に延在する本体部と、本体部よりも薄く、各電池の端子に溶接される複数の接続部とを備える。
【0008】
本発明の他の態様は、電池積層体である。当該電池積層体は、上記態様のバスバーと、バスバーにより互いに電気的に接続された複数の電池とを備える。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【0010】
本発明によれば、プレート積層タイプのバスバーと電池とをより確実に溶接することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係るバスバーを含む電池積層体の概略構造を示す斜視図である。
【
図2】
図2(A)は、バスバーの概略構造を示す平面図である。
図2(B)は、
図2(A)のA-A線に沿った断面図である。
【
図3】実施の形態2に係るバスバーの概略構造を示す断面図である。
【
図4】実施の形態3に係るバスバーの概略構造を示す平面図である。
【
図5】
図5(A)は、第1プレートの概略構造を示す平面図である。
図5(B)は、第1プレートの概略構造を示す側面図である。
【
図6】
図6(A)は、第2プレートの概略構造を示す平面図である。
図6(B)は、第2プレートの概略構造を示す側面図である。
【
図7】
図7(A)は、実施の形態4に係るバスバーにおける第2プレートの概略構造を示す平面図である。
図7(B)は、第2プレートの概略構造を示す側面図である。
【
図8】
図8(A)は、実施の形態5に係るバスバーにおける第2プレートの概略構造を示す平面図である。
図8(B)は、第2プレートの概略構造を示す側面図である。
【
図9】
図9(A)は、実施の形態6に係るバスバーの概略構造を示す断面図である。
図9(B)は、変形例に係るバスバーの一部を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、同一の部材であっても、各図面間で縮尺等が若干相違する場合もあり得る。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合、特に言及がない限りいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るバスバーを含む電池積層体の概略構造を示す斜視図である。電池積層体1は、複数のバスバー2(2A)と、バスバー2により互いに電気的に接続された複数の電池4とを備える。
【0014】
各電池4は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル-水素電池、ニッケル-カドミウム電池等の充電可能な二次電池である。電池4は、いわゆる角形電池であり、扁平な直方体形状の外装缶を有する。外装缶の一面には図示しない略長方形状の開口が設けられ、この開口を介して外装缶に電極体や電解液等が収容される。外装缶の開口には、外装缶を封止する封口板6が設けられる。封口板6には、長手方向の一端寄りに正極の出力端子8が設けられ、他端寄りに負極の出力端子8が設けられる。以下では適宜、正極の出力端子8を正極端子8aと称し、負極の出力端子8を負極端子8bと称する。また、出力端子8の極性を区別する必要がない場合、正極端子8aと負極端子8bとをまとめて出力端子8と称する。
【0015】
出力端子8は、封口板6の開口部から突出する。出力端子8の周縁部と封口板6の開口部との間には、シール部材としてのガスケットが設けられる。ガスケットにより、封口板6と出力端子8との境界部が気密に閉塞される。また、封口板6と出力端子8との間の短絡が防止される。外装缶、封口板6及び出力端子8は導電体であり、例えば金属製である。ガスケットは絶縁体であり、例えば樹脂製である。また、封口板6には、一対の出力端子8の間に図示しない安全弁が設けられる。安全弁は、外装缶の内圧が所定値以上に上昇した際に開弁して、内部のガスを放出できるように構成される。
【0016】
本実施の形態では、封口板6が設けられる側を電池4の上面、反対側を電池4の底面とする。また、電池4は、上面及び底面をつなぐ2つの主表面を有する。この主表面は、電池4が有する6つの面のうち面積の最も大きい面である。上面、底面及び2つの主表面を除いた残り2つの面は、電池4の側面とする。また、電池4の上面側を電池積層体1の上面とし、電池4の底面側を電池積層体1の底面とし、電池4の側面側を電池積層体1の側面とする。また便宜上、電池積層体1の上面側を鉛直方向上方とし、電池積層体1の底面側を鉛直方向下方とする。
【0017】
複数の電池4は、隣り合う電池4の主表面同士が対向するにして所定の間隔で積層される。なお、「積層」は、任意の1方向に複数の部材を並べることを意味する。したがって、電池4の積層には、複数の電池4を水平に並べることも含まれる。また、各電池4は、出力端子8が同じ方向を向くように配置される。ここでは便宜上、出力端子8は鉛直方向Z(
図1において矢印Zで示す方向)上方を向く。
【0018】
複数の電池4は、少なくとも2つの電池4で構成される複数の電池ユニットに組み分けられる。そして、各電池ユニットにおいて電池4同士がバスバー2で並列接続される。また、電池ユニット同士がバスバー2で直列接続される。本実施の形態では、2つの電池4が正極端子8a同士が隣り合うように積層されて、電池ユニットが形成される。この電池ユニットが4つ用意される。4つの電池ユニットは、隣り合う2つの電池ユニットにおける一方の正極端子8aと他方の負極端子8bとが隣り合うように積層される。そして、各電池ユニットにおける正極端子8a同士あるいは負極端子8b同士がバスバー2で並列接続されるとともに、隣接する2つの電池ユニットにおける正極端子8aと負極端子8bとがバスバー2で直列接続される。
【0019】
バスバー2は、おおよそ帯状の金属部材である。バスバー2は、各電池4の出力端子8に溶接によって電気的に接続される。バスバー2の構造は、後に詳細に説明する。
【0020】
電池積層体1は、図示しない複数のセパレータを有する。セパレータは、絶縁スペーサとも呼ばれ、例えば絶縁性を有する樹脂からなる。セパレータを構成する樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ノリル(登録商標)樹脂(変性PPE)等の熱可塑性樹脂が例示される。セパレータは、各電池4の間、および電池4と後述するエンドプレート10との間に配置される。これにより、隣り合う電池4の外装缶同士が絶縁される。また、電池4の外装缶とエンドプレート10とが絶縁される。
【0021】
また、電池積層体1は、一対のエンドプレート10を有する。エンドプレート10は、例えば金属板からなる。積層された複数の電池4および複数のセパレータは、一対のエンドプレート10で挟まれる。一対のエンドプレート10は、電池4の積層方向X(
図1において矢印Xで示す方向)に配列され、最外側の電池4とセパレータを挟んで隣り合う。なお、積層方向Xで最も外側のバスバー2は、外部接続端子としても機能する。
【0022】
また、電池積層体1は、一対の拘束部材12を有する。積層された電池4、セパレータおよびエンドプレート10は、一対の拘束部材12によって拘束される。一対の拘束部材12は、バインドバーとも呼ばれる。一対の拘束部材12は、複数の電池4の積層方向Xに対して直交する水平方向Y(
図1において矢印Yで示す方向)に配列される。水平方向Yは、各電池4において出力端子8が並ぶ方向である。各拘束部材12は、電池4の側面に平行な矩形状の平面部12aと、平面部12aの各辺の端部から電池4側に突出する庇部12bとを有する。拘束部材12は、例えば矩形状の金属板の各辺に折り曲げ加工を施すことで形成することができる。
【0023】
電池4の積層方向Xにおいて対向する2つの庇部12bと一対のエンドプレート10とが、ねじ止め等により固定される。これにより、複数の電池4と複数のセパレータとが一対のエンドプレート10および一対の拘束部材12によって締結される。複数の電池4は、拘束部材12によって電池4の積層方向Xに締め付けられることで、積層方向Xの位置決めがなされる。また、複数の電池4は、底面がセパレータを介して拘束部材12の下側の庇部12bに当接し、上面がセパレータを介して拘束部材12の上側の庇部12bに当接することで、上下方向の位置決めがなされる。この状態で、各電池4の出力端子8にバスバー2が電気的に接続されて、電池積層体1が得られる。
【0024】
続いて、本実施の形態に係るバスバー2について詳細に説明する。
図2(A)は、バスバーの概略構造を示す平面図である。
図2(B)は、
図2(A)のA-A線に沿った断面図である。バスバー2は、本体部16と、複数の接続部18とを備える。本体部16は、電池4の積層方向Xに延在する帯状の部分である。複数の接続部18は、本体部16よりも薄く、各電池4の出力端子8に溶接される部分である。各接続部18は、本体部16の延在方向(積層方向X)に所定の間隔をあけて配置され、本体部16の延在方向と交わる方向(水平方向Y)に突出している。
【0025】
各接続部18は、複数の電池4の各出力端子8に当接する。そして、各接続部18と対応する出力端子8とが溶接により接合される。例えば、各接続部18の先端部にレーザーLが照射されて、接続部18と出力端子8とを接合する第1溶接部20が形成される。
図1に示すように、本実施の形態のバスバー2は、本体部16が出力端子8よりも水平方向Yにおける電池4の中央側に位置し、接続部18が電池4の外側に向かって突出するように配置される。なお、本体部16は、水平方向Yにおいて出力端子8よりも電池4の外側に配置されてもよい。
【0026】
また、バスバー2は、複数のプレート14が積層された構造を有する。複数のプレート14は、第1プレート22と、第2プレート24とを含む。第1プレート22は、本体部16を構成する。第2プレート24は、本体部16および複数の接続部18を構成する。したがって、第1プレート22は帯状であり、第2プレート24は櫛歯状である。各プレート14は、銅やアルミニウム等の金属からなり、厚さは例えば0.1mmである。本実施の形態では、複数の第2プレート24によって接続部18が構成されている。また、複数の第1プレート22と複数の第2プレート24によって本体部16が構成されている。
【0027】
本体部16は、本体部16を構成する複数のプレート14、すなわち複数の第1プレート22および複数の第2プレート24を互いに接合する第2溶接部26を有する。第2溶接部26によって、バスバー2の全てのプレート14が互いに接合される。なお、接続部18を構成する複数の第2プレート24は、接続部18と出力端子8とを接合する第1溶接部20によっても互いに接合される。第2溶接部26は、複数の第1プレート22と複数の第2プレート24とが積層されて、本体部16を構成する領域にレーザーが照射されることで形成される。
【0028】
なお、
図2(B)には、複数の第1プレート22と複数の第2プレート24とが積層されたバスバー2が図示されているが、各プレートの枚数は特に限定されない。各プレートの枚数は、本体部16および接続部18のそれぞれに必要な厚さ等に応じて、適宜設定することができる。好ましくは、本体部16の厚みは接続部18の厚みの2倍以上である。これにより、電池ユニットにおける電池4同士を並列接続し、電池ユニット同士を直列接続した際の、本体部16に流れる電流量の増加に対応することができる。
【0029】
以上説明したように、本実施の形態に係るバスバー2は、複数のプレート14が積層された構造を有するバスバーである。バスバー2は、電池4の積層方向Xに延在する本体部16と、本体部16よりも薄く、各電池4の出力端子8に溶接される複数の接続部18とを備える。このように、本体部16よりも総厚が薄い接続部18を設けることで、接続部18を構成するプレート14の数を減らすことができ、したがってプレート間の隙間を減らすことができる。プレート間の隙間は、溶接時の伝熱を阻害する熱抵抗である。
【0030】
薄肉で且つプレート間の隙間が少ない接続部18と出力端子8とを溶接することで、溶接時の熱を出力端子8まで十分に伝えることができる。これにより、バスバー2と出力端子8とをより確実に溶接することができ、バスバー2を介した電池4間の安定的な電気的接続を実現することができる。また、バスバー2と出力端子8とを確実に溶接するためにレーザー強度を上げるといった対応を避けることができる。この結果、溶接時の熱によって電池4が損傷することを抑制することができる。
【0031】
また、バスバー2と出力端子8とを溶接により固定することで、両者間の接触抵抗を減らすことができる。これにより、バスバー2と出力端子8との接続部分での発熱を抑制することができるため、電池積層体1の省エネルギー化を図ることができる。また、熱による電池4の性能低下も抑制することができる。したがって、本実施の形態のバスバー2を電池積層体1に設けることで、電池積層体1の性能を向上させることができる。
【0032】
また、バスバー2は、複数のプレート14が積層された構造を有する。これにより、バスバー2の柔軟性を高めることができる。この結果、電池4の振動等によって第1溶接部20にかかる負荷を軽減して、バスバー2と電池4との間の接続信頼性を高めることができる。
【0033】
また、複数のプレート14は、本体部16を構成する第1プレート22と、本体部16および複数の接続部18を構成する第2プレート24とを含む。このように、2種類のプレートを組み合わせて本体部16と接続部18とで構成プレート数を異ならせることで、肉厚の厚い本体部16と肉厚の薄い接続部18とを簡単に形成することができる。
【0034】
また、本体部16には、本体部16を構成する複数のプレート14を互いに接合する第2溶接部26が設けられる。第2溶接部26は、バスバー2と出力端子8とを接合する第1溶接部20とは独立している。つまり、本実施の形態のバスバー2は、プレート14間の溶接とバスバー2と出力端子8との溶接とが別々の位置で行われる。第2溶接部26は、第1溶接部20を形成する前に形成することができる。つまり、バスバー2単体の状態で、第2溶接部26を形成することができる。
【0035】
よって、プレート14間の溶接時に、熱による電池4の損傷を考慮する必要がなくなるため、高いレーザー強度でプレート14同士を溶接することができる。あるいは、レーザー溶接とは別の高出力の溶接手法を採用することができる。この結果、プレート14同士をより確実に接合することができる。また、プレート14同士の確実な接合が可能となるため、プレート14の総数を増やすことができる。これにより、より多くの電流を流すことが可能となる。また一方で、第2溶接部26によりプレート14同士の確実な接合が可能となるため、第1溶接部20にプレート14同士を接合する役割を持たせる必要がない。このため、出力端子8を構成するプレート14(第2プレート24)の総数を減らすことができる。この結果、プレート間の隙間を減らすことができるため、バスバー2と出力端子8との溶接品質を向上させることができる。なお、第1溶接部20の厚みを確保することで、溶接強度を高めて、耐振動性や耐衝撃性を高めることができる。
【0036】
(実施の形態2)
実施の形態2に係るバスバーは、第2プレートの構造が異なる点を除き、実施の形態1と共通の構成を有する。以下、本実施の形態に係るバスバーについて実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
図3は、実施の形態2に係るバスバーの概略構造を示す断面図である。
【0037】
本実施の形態のバスバー2(2B)は、電池4の積層方向Xに延在する本体部16と、本体部16よりも薄い複数の接続部18とを備える。各接続部18と複数の電池4の各出力端子8とは、レーザーLの照射により形成される第1溶接部20によって接合される。また、バスバー2は、複数のプレート14が積層された構造を有する。複数のプレート14は、第1プレート22と、第2プレート24とを含む。第1プレート22は、本体部16を構成する。第2プレート24は、本体部16および複数の接続部18を構成する。本体部16は、本体部16を構成する複数のプレート14を互いに接合する第2溶接部26を有する。
【0038】
少なくとも一部の第2プレート24は、第1プレート22よりも厚い。本実施の形態では、第2プレート24は一枚のみであり、この第2プレート24の厚さが第1プレート22よりも厚い。この第2プレート24の厚さは、例えば0.6mmである。第2プレート24が複数枚である場合には、一部の第2プレート24が第1プレート22よりも厚くてもよいし、全部の第2プレート24が第1プレート22よりも厚くてもよい。
【0039】
以上説明したように、本実施の形態のバスバー2では、少なくとも一部の第2プレート24の厚さが第1プレート22の厚さよりも厚い。これにより、接続部18を構成する第2プレート24の数をより一層減らすことができる。この結果、プレート間の隙間をより減らすことができるため、第1溶接部20の強度を確保することができる。また、バスバー2の柔軟性は、薄い第1プレート22の積層構造で得ることができる。
【0040】
(実施の形態3)
実施の形態3に係るバスバーは、第1プレートおよび第2プレートの構造が異なる点を除き、実施の形態1または2と共通の構成を有する。以下、本実施の形態に係るバスバーについて実施の形態1または2と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
図4は、実施の形態3に係るバスバーの概略構造を示す平面図である。
図5(A)は、第1プレートの概略構造を示す平面図である。
図5(B)は、第1プレートの概略構造を示す側面図である。
図6(A)は、第2プレートの概略構造を示す平面図である。
図6(B)は、第2プレートの概略構造を示す側面図である。
【0041】
本実施の形態のバスバー2(2C)は、電池4の積層方向Xに延在する本体部16と、本体部16よりも薄い複数の接続部18とを備える。各接続部18と複数の電池4の各出力端子8とは、第1溶接部20により接合される。また、バスバー2は、複数のプレート14が積層された構造を有する(
図2(B)参照)。複数のプレート14は、第1プレート22と、第2プレート24とを含む。第1プレート22は、本体部16を構成する。第2プレート24は、本体部16および複数の接続部18を構成する。本体部16は、本体部16を構成する複数のプレート14を互いに接合する第2溶接部26を有する。
【0042】
バスバー2は、電池4の積層方向Xにおいて、任意の第1電池4aに溶接される第1接続部18aと、第1電池4aに隣接する第2電池4bに溶接される第2接続部18bとの間に、第1電池4aおよび第2電池4bの相対的な変位を吸収する変位吸収部28を有する。
【0043】
図5(A)および
図5(B)に示すように、変位吸収部28は、第1プレート22に設けられる第1可動部30を含む。第1可動部30は、プレートの面方向と交わる方向、言い換えれば電池4に対し近接離間する方向に延伸する部分を有する。本実施の形態の第1可動部30は、XY平面方向と交わる鉛直方向Zに突出するU字形状を有する。
【0044】
また、
図6(A)および
図6(B)に示すように、変位吸収部28は、第2プレート24に設けられる第2可動部32を含む。第2可動部32は、第2プレート24のうち本体部16を構成する部分に配置される。第2可動部32は、プレートの面方向と交わる方向に延伸する部分を有する。本実施の形態の第2可動部32は、XY平面方向と交わる鉛直方向Zに突出するU字形状を有する。第2可動部32は、第1プレート22と第2プレート24とが積層された状態で、第1可動部30と嵌合する。
【0045】
また、変位吸収部28は、第2プレート24に設けられる括れ部34を含む。括れ部34は、第2プレート24における電池4の積層方向Xと交わる方向の幅が、接続部18の延在領域よりも狭い部分である。本実施の形態の第2プレート24は櫛歯状であり、歯の部分が接続部18に対応し、歯と歯の間の部分が括れ部34に対応する。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態のバスバー2は、電池4の積層方向Xにおいて、第1電池4aに溶接される第1接続部18aと第2電池4bに溶接される第2接続部18bとの間に、第1電池4aおよび第2電池4bの相対的な変位を吸収する変位吸収部28を有する。変位吸収部28は、第1プレート22に設けられる第1可動部30と、第2プレート24に設けられる第2可動部32および括れ部34を含む。
【0047】
第1可動部30および第2可動部32は、プレートの面方向と交わる方向に延伸する部分を有する。これにより、とりわけ第1電池4aと第2電池4bとが離間する方向の変位に対してバスバー2を変形させることができ、これにより当該変位を吸収することができる。また、本実施の形態の第1可動部30および第2可動部32は、鉛直方向Zに突出するU字形状を有するため、各電池4の積層方向Xおよび鉛直方向Zの変位と寸法ばらつきを吸収することができる。また、括れ部34は、第1接続部18aと第2接続部18bとの間における第2プレート24の細幅部分である。括れ部34を設けることで、バスバー2の柔軟性を高めることができる。これにより、第1電池4aと第2電池4bとの変位に対してバスバー2を変形させて、当該変位を吸収することができる。特に、実施の形態2のように第2プレート24が第1プレート22よりも厚い場合、接続部18だけでなく本体部16の剛性も高まるため、変位吸収部28を設けることが好ましい。
【0048】
(実施の形態4)
実施の形態4に係るバスバーは、変位吸収部の構造が異なる点を除き、実施の形態3と共通の構成を有する。以下、本実施の形態に係るバスバーについて実施の形態1乃至3と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
図7(A)は、実施の形態4に係るバスバーにおける第2プレートの概略構造を示す平面図である。
図7(B)は、第2プレートの概略構造を示す側面図である。
【0049】
本実施の形態のバスバー2は、電池4の積層方向Xに延在する本体部16と、本体部16よりも薄い複数の接続部18とを備える。各接続部18と複数の電池4の各出力端子8とは、第1溶接部20により接合される。また、バスバー2は、複数のプレート14が積層された構造を有する(
図2(B)参照)。複数のプレート14は、第1プレート22と、第2プレート24とを含む。第1プレート22は、本体部16を構成する(
図5(A)および
図5(B)参照)。第2プレート24は、本体部16および複数の接続部18を構成する。本体部16は、本体部16を構成する複数のプレート14を互いに接合する第2溶接部26を有する。
【0050】
バスバー2は、電池4の積層方向Xにおいて、第1接続部18aと第2接続部18bとの間に変位吸収部28を有する。本実施の形態の変位吸収部28は、第1プレート22に設けられる第1可動部30を含む(
図5(A)および
図5(B)参照)。
【0051】
また、
図7(A)および
図7(B)に示すように、変位吸収部28は、第2プレート24に設けられる括れ部34および第3可動部38を含む。第3可動部38は、電池4の積層方向Xと交わり且つプレートの面方向に延伸する部分を有する。本実施の形態の第3可動部38は小断面積の細幅部あるいは細線で構成され、第2プレート24の面内で水平方向Yに突出する湾曲部を有する。第3可動部38はバネ構造を有し、電池4の変位にともなって弾性変形することができる。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態のバスバー2は、バスバー2によって電気的に接続される第1電池4aと第2電池4bの相対的な変位を吸収する変位吸収部28を有する。変位吸収部28は、第2プレート24に設けられる第3可動部38を含む。第3可動部38は、電池4の積層方向Xと交わり且つプレートの面方向に延伸する部分を有する。これにより、とりわけ第1電池4aと第2電池4bとが離間する方向の変位に対してバスバー2を変形させることができ、これにより当該変位を吸収することができる。また、本実施の形態の第3可動部38は、小断面積の細幅部で構成されるため、各電池4の積層方向X、水平方向Yおよび鉛直方向Zの変位と寸法ばらつきを吸収することができる。
【0053】
(実施の形態5)
実施の形態5に係るバスバーは、変位吸収部の構造が異なる点を除き、実施の形態3と共通の構成を有する。以下、本実施の形態に係るバスバーについて実施の形態1乃至3と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
図8(A)は、実施の形態5に係るバスバーにおける第2プレートの概略構造を示す平面図である。
図8(B)は、第2プレートの概略構造を示す側面図である。
【0054】
本実施の形態のバスバー2は、電池4の積層方向Xに延在する本体部16と、本体部16よりも薄い複数の接続部18とを備える。各接続部18と複数の電池4の各出力端子8とは、第1溶接部20により接合される。また、バスバー2は、複数のプレート14が積層された構造を有する(
図2(B)参照)。複数のプレート14は、第1プレート22と、第2プレート24とを含む。第1プレート22は、本体部16を構成する(
図5(A)および
図5(B)参照)。第2プレート24は、本体部16および複数の接続部18を構成する。本体部16は、本体部16を構成する複数のプレート14を互いに接合する第2溶接部26を有する。
【0055】
バスバー2は、電池4の積層方向Xにおいて、第1接続部18aと第2接続部18bとの間に変位吸収部28を有する。本実施の形態の変位吸収部28は、第1プレート22に設けられる第1可動部30を含む(
図5(A)および
図5(B)参照)。
【0056】
また、
図8(A)および
図8(B)に示すように、変位吸収部28は、第2プレート24に設けられて第1接続部18aと第2接続部18bとを分離する切断部40を有する。これにより、バスバー2の柔軟性を高めることができる。このため、第1電池4aと第2電池4bとの変位に対してバスバー2を変形させて、当該変位を吸収することができる。本実施の形態の切断部40によれば、各電池4の積層方向X、水平方向Yおよび鉛直方向Zの変位と寸法ばらつきを吸収することができる。
【0057】
(実施の形態6)
実施の形態6に係るバスバーは、接続部の構造が異なる点を除き、実施の形態1と共通の構成を有する。以下、本実施の形態に係るバスバーについて実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
図9(A)は、実施の形態6に係るバスバーの概略構造を示す断面図である。
【0058】
本実施の形態のバスバー2(2D)は、電池4の積層方向Xに延在する本体部16と、本体部16よりも薄い複数の接続部18とを備える。各接続部18と複数の電池4の各出力端子8とは、レーザーLの照射により形成される第1溶接部20によって接合される。
【0059】
また、バスバー2は、複数のプレート14が積層された構造を有する。複数のプレート14は櫛歯状であり、電池4の積層方向Xに延在する部分が本体部16を構成する。また、各プレート14は、歯に当たる部分、すなわち本体部16を構成する部分から水平方向Yに突出する部分に、プレート14の積層方向に貫通する貫通孔42を有する。
【0060】
貫通孔42には、締結部材44が嵌合する。締結部材44は、複数のプレート14の総厚よりも薄い金属板で構成される。また締結部材44は、底面部44aと、壁部44bとを有する。底面部44aは、貫通孔42の出力端子8側の開口よりも大きく、当該開口を塞ぐ。壁部44bは、底面部44aから貫通孔42の内側面に沿って延在する。壁部44bの端部は、本体部16の出力端子8とは反対側の表面よりも上方に突出し、この突出した部分が外側に折り曲げられる。これにより、複数のプレート14は、締結部材44によって締結される。つまり、複数のプレート14は、締結部材44を用いたかしめ固定によって束ねられる。なお、締結部材44は、溶接により複数のプレート14に固定されてもよい。
【0061】
締結部材44の底面部44aは、接続部18を構成する。すなわち、底面部44aが出力端子8に当接して、底面部44aにレーザーLが照射されることで、底面部44aと出力端子8とを接合する第1溶接部20が形成される。よって、本実施の形態のバスバー2においても、接続部18は本体部16よりも薄い部分となる。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態のバスバー2では、本体部16が複数のプレート14で構成される。また、接続部18は、複数のプレート14の総厚よりも薄い締結部材44で構成される。そして、複数のプレート14は、締結部材44によって締結される。これにより、バスバー2と出力端子8とを低パワーでより確実に溶接することができるとともに、複数のプレート14の溶接工程を省略することができる。
【0063】
本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態を組み合わせたり、当業者の知識に基づいて各種の設計変更などのさらなる変形を加えたりすることも可能であり、そのように組み合わせられ、もしくはさらなる変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれる。上述した各実施の形態同士の組み合わせ、及び上述した各実施の形態への変形の追加によって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態、及び変形それぞれの効果をあわせもつ。
【0064】
上述した実施の形態では、電池4は角形電池であるが、電池4の形状は特に限定されず、円筒状等であってもよい。また、電池積層体1が備える電池4の総数や各電池ユニットにおける電池4の数も特に限定されない。また、電池4の外装缶は、シュリンクチューブ等の絶縁シートで被覆されてもよい。また、バスバー2の形状は櫛歯状に限定されず、本体部16の両端部に接続部18が配置された直線状などであってもよい。実施の形態6のバスバーを例に挙げると、
図9(B)に示すように、バスバー2は、積層方向Xに延在する直線状の本体部16の端部に接続部18が配置された構造であってもよい。
図9(B)は、変形例に係るバスバーの一部を示す平面模式図である。
【0065】
また、各実施の形態において、例えば各接続部18の基端部、つまり本体部16に接続される部分に、XY平面と交わる方向に延伸する可動部(図示せず)が設けられてもよい。この可動部は、各接続部18の基端部を折り曲げることで形成することができる。これにより、主に各電池4の水平方向Yの変位と寸法ばらつきを吸収することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 電池積層体
2 バスバー
4 電池
14 プレート
16 本体部
18 接続部
22 第1プレート
24 第2プレート
28 変位吸収部
30 第1可動部
32 第2可動部
34 括れ部
38 第3可動部
40 切断部
44 締結部材