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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】固定治具
(51)【国際特許分類】
   B21D 7/025 20060101AFI20230120BHJP
【FI】
B21D7/025 G
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021045725
(22)【出願日】2021-03-19
(65)【公開番号】P2022144637
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】591082764
【氏名又は名称】極東工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500226502
【氏名又は名称】有限会社塚本空調設備
(73)【特許権者】
【識別番号】314006156
【氏名又は名称】源冷機部品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 昭司
(72)【発明者】
【氏名】塚本 政則
(72)【発明者】
【氏名】森 雅文
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-223602(JP,A)
【文献】特開2019-089122(JP,A)
【文献】特開2001-269720(JP,A)
【文献】特開昭60-206531(JP,A)
【文献】特開昭57-165123(JP,A)
【文献】特開昭55-97817(JP,A)
【文献】実開昭51-145327(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0354822(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 7/024 - 7/025
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属管を曲げ加工する加工装置に取り付けられ、前記金属管を前記加工装置に固定する固定治具であって、
前記加工装置に取り付けられる取付部と、
前記金属管が固定される固定部と、
前記取付部と前記固定部との間に位置する中間部と、を備え、
前記固定部は、
前記中間部から第1の方向に向かって鉤状に曲がってなる第1固定部と、
前記中間部から前記第1の方向とは反対側の第2の方向に向かって鉤状に曲がってなる第2固定部と、を備え、
前記金属管を前記第1固定部又は前記第2固定部に引っ掛けることで固定するものとされ、
前記第2固定部の先端部と前記中間部との間の隙間の距離は、前記第1固定部の先端部と前記中間部との間の隙間の距離よりも大きいことを特徴とする固定治具。
【請求項2】
前記取付部は、前記中間部から鉤状に曲がってなることを特徴とする請求項1に記載の固定治具。
【請求項3】
前記取付部は、
前記中間部から前記第1の方向に向かって鉤状に曲がってなる第1取付部と、
前記中間部から前記第2の方向に向かって鉤状に曲がってなる第2取付部と、を備え、
前記第1取付部又は前記第2取付部が、前記加工装置に設けられた被取付部に取り付けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固定治具。
【請求項4】
前記第1固定部の前記先端部と前記第2固定部の前記先端部は、ラウンド状をなしていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の固定治具。
【請求項5】
前記取付部は、
前記第1取付部と前記第2取付部との間に配された孔部を備え、
前記中間部に対し前記孔部よりも反対側に位置する側面部が、前記第1取付部から前記第2取付部に向かった直線状をなしていることを特徴とする請求項3に記載の固定治具。
【請求項6】
金属管を曲げ加工する加工装置に取り付けられ、前記金属管を前記加工装置に固定する固定治具であって、
前記加工装置に取り付けられる取付部と、
前記金属管が固定される固定部と、
前記取付部と前記固定部との間に位置する中間部と、を備え、
前記固定部は、
前記中間部から第1の方向に向かって鉤状に曲がってなる第1固定部と、
前記中間部から前記第1の方向とは反対側の第2の方向に向かって鉤状に曲がってなる第2固定部と、を備え、
前記金属管を前記第1固定部又は前記第2固定部に引っ掛けることで固定するものとされ、
当該固定治具は、
前記第1固定部に前記金属管が固定され、前記取付部が前記加工装置の被取付部に取り付けられた第1取付状態と、
前記第1取付状態とは当該固定治具を表裏反転させた状態であって、前記第2固定部に前記金属管が固定され、前記取付部が前記被取付部に取り付けられた第2取付状態と、において前記金属管を曲げ加工可能に固定することを特徴とする固定治具。
【請求項7】
金属管を曲げ加工する加工装置に取り付けられ、前記金属管を前記加工装置に固定する固定治具であって、
前記加工装置に取り付けられる取付部と、
前記金属管が固定される固定部と、
前記取付部と前記固定部との間に位置する中間部と、を備え、
前記固定部は、
前記中間部から第1の方向に向かって鉤状に曲がってなる第1固定部と、
前記中間部から前記第1の方向とは反対側の第2の方向に向かって鉤状に曲がってなる第2固定部と、を備え、
前記金属管を前記第1固定部又は前記第2固定部に引っ掛けることで固定するものとされ、
前記取付部は、
前記中間部から前記第1の方向に向かって鉤状に曲がってなる第1取付部と、
前記中間部から前記第2の方向に向かって鉤状に曲がってなる第2取付部と、を備え、
当該固定治具は、
前記第1固定部に前記金属管が固定され、前記第1取付部が前記加工装置の被取付部に取り付けられた第1取付状態と、
前記第1取付状態とは当該固定治具を表裏反転させた状態であって、前記第2固定部に前記金属管が固定され、前記第2取付部が前記被取付部に取り付けられた第2取付状態と、において前記金属管を曲げ加工可能に固定することを特徴とする固定治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属管を曲げ加工するための加工装置(ベンダー)において、回転可能な曲げ型と、クランプとを備えたものが知られている。この種の加工装置では、金属管を加工装置に対して固定するための固定治具が用いられ、曲げ型とクランプとの間に金属管(パイプ)を挟み込んだ状態で、金属管の一部を固定治具によって固定しながら曲げ型を回転させることで、曲げ型とクランプとの間に挟み込まれた金属管の部位を曲げ型の輪郭線に沿って曲げ加工する。この種の曲げ加工装置が、例えば下記特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示される曲げ加工装置では、固定治具としての固定具にパイプを挿入するための孔状のパイプ挿入部が形成されている。そして、パイプを曲げ加工する際には、固定具のパイプ挿入部にパイプを挿入させることで、曲げ型を介してパイプを曲げ加工装置に固定するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-161331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の構成では、様々な直径の金属管を曲げ加工する場合に、その金属管に嵌まるようにパイプ挿入部の孔径を変更したり、固定具自体を取り替えたり等する必要があり、作業性に劣る。また、曲げ加工によりその断面がひずむように金属管が変形することで、当該金属管が固定具から取り外しにくくなること、さらには、固定具自体がたわむ等により加工装置から取り外しにくくなることが懸念される。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成された技術であって、金属管の曲げ加工における作業性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、金属管を曲げ加工する加工装置に取り付けられ、前記金属管を前記加工装置に固定する固定治具であって、前記加工装置に取り付けられる取付部と、前記金属管が固定される固定部と、前記取付部と前記固定部との間に位置する中間部と、を備え、前記固定部は、前記中間部から第1の方向に向かって鉤状に曲がってなる第1固定部と、前記中間部から前記第1の方向とは反対側の第2の方向に向かって鉤状に曲がってなる第2固定部と、を備え、前記金属管を前記第1固定部又は前記第2固定部に引っ掛けることで固定するものとされ、前記第2固定部の先端部と前記中間部との間の隙間の距離は、前記第1固定部の先端部と前記中間部との間の隙間の距離よりも大きいことに特徴を有する。
【0008】
このような固定治具によると、第1固定部に金属管を固定することができ、第2固定部に、第1固定部に固定可能な金属管よりも大きい直径の金属管を固定することができる。これにより、直径が異なる少なくとも2種類の金属管を1つの固定治具で適宜固定して、加工装置で曲げ加工することができる。また、仮に固定部が円環状(孔状)をなしていた場合、金属管を所定位置で曲げ加工するためには、金属管の端部を固定部の円環内側に挿入し、所定位置まで固定部を移動させる必要がある。しかしながら、上記のような固定治具によると、第1固定部と第2固定部とは、鉤状をなしているため、各先端部と中間部との間の隙間に金属管の所定位置を側方から通すことで、金属管の所定位置に固定部を容易に引っ掛けることができる。また、曲げ加工によって金属管がひずむように変形したとしても、第1固定部又は第2固定部の各先端部と中間部との隙間で緩衝することができるので、金属管が固定治具から取り外しにくくなることを避けることができる。
【0009】
上記構成において、前記取付部は、前記中間部から鉤状に曲がってなるものとしてもよい。このような固定治具によると、曲げ加工によって金属管がひずみ、固定治具がたわむ等により変形したとしても、取付部の先端部と中間部との間の隙間で緩衝することができるので、取付部が被取付部から取り外しにくくなることを避けることができる。
【0010】
上記構成において、前記取付部は、前記中間部から前記第1の方向に向かって鉤状に曲がってなる第1取付部と、前記中間部から前記第2の方向に向かって鉤状に曲がってなる第2取付部と、を備え、前記第1取付部又は前記第2取付部が、前記加工装置に設けられた被取付部に取り付けられることとしてもよい。
【0011】
このような固定治具によると、例えば第1取付部を被取付部に取り付け、第1固定部に金属管が取り付けられている状態から、第2固定部に直径が異なる金属管を取り付けたいときは、固定治具を加工装置から外し、固定治具を裏返すことにより、スムーズに第2固定部に直径が異なる金属管を固定し、第2取付部を被取付部に取り付けることができる。即ち、加工装置に取り付ける固定治具の表裏を変更することで、固定治具に固定する金属管の種類を容易に変更することができる。
【0012】
上記構成において、前記第1固定部の前記先端部と前記第2固定部の前記先端部は、ラウンド状をなしていてもよい。このような固定治具によると、金属管を固定部に引っ掛けるときに、各先端部と中間部との間の隙間を金属管がスムーズに通ることができ、取付の際の作業性が向上する。また、曲げ加工によって金属管がひずむように変形したとしても、当該金属管を固定治具から取り外し易い。
【0013】
上記構成において、前記取付部は、前記第1取付部と前記第2取付部との間に配された孔部を備え、前記中間部に対し前記孔部よりも反対側に位置する側面部が、前記第1取付部から前記第2取付部に向かった直線状をなしていてもよい。
【0014】
固定治具を例えばワンチャック製法により製造する際に、固定治具となる板状の基材に孔部を設けて当該基材を固定し、固定された基材の端部を切削等して形を整える場合がある。上記のような固定治具によると、そのような孔部が第1取付部と第2取付部との間に設けられることに起因して固定治具の剛性が低下することを、側面部により抑制することができる。
【0015】
また、本発明は、金属管を曲げ加工する加工装置に取り付けられ、前記金属管を前記加工装置に固定する固定治具であって、前記加工装置に取り付けられる取付部と、前記金属管が固定される固定部と、前記取付部と前記固定部との間に位置する中間部と、を備え、前記固定部は、前記中間部から第1の方向に向かって鉤状に曲がってなる第1固定部と、前記中間部から前記第1の方向とは反対側の第2の方向に向かって鉤状に曲がってなる第2固定部と、を備え、前記金属管を前記第1固定部又は前記第2固定部に引っ掛けることで固定するものとされ、当該固定治具は、前記第1固定部に前記金属管が固定され、前記取付部が前記加工装置の被取付部に取り付けられた第1取付状態と、前記第1取付状態とは当該固定治具を表裏反転させた状態であって、前記第2固定部に前記金属管が固定され、前記取付部が前記被取付部に取り付けられた第2取付状態と、において前記金属管を曲げ加工可能に固定することに特徴を有する。このような固定治具によると、固定治具の表裏を反転させる(裏返す)ことで、第1取付状態又は第2取付状態をスムーズに変更して金属管を加工装置に固定することができる。
【0016】
また、本発明は、金属管を曲げ加工する加工装置に取り付けられ、前記金属管を前記加工装置に固定する固定治具であって、前記加工装置に取り付けられる取付部と、前記金属管が固定される固定部と、前記取付部と前記固定部との間に位置する中間部と、を備え、前記固定部は、前記中間部から第1の方向に向かって鉤状に曲がってなる第1固定部と、前記中間部から前記第1の方向とは反対側の第2の方向に向かって鉤状に曲がってなる第2固定部と、を備え、前記金属管を前記第1固定部又は前記第2固定部に引っ掛けることで固定するものとされ、前記取付部は、前記中間部から前記第1の方向に向かって鉤状に曲がってなる第1取付部と、前記中間部から前記第2の方向に向かって鉤状に曲がってなる第2取付部と、を備え、当該固定治具は、前記第1固定部に前記金属管が固定され、前記第1取付部が前記加工装置の被取付部に取り付けられた第1取付状態と、前記第1取付状態とは当該固定治具を表裏反転させた状態であって、前記第2固定部に前記金属管が固定され、前記第2取付部が前記被取付部に取り付けられた第2取付状態と、において前記金属管を曲げ加工可能に固定することに特徴を有する。このような固定治具によると、固定治具の表裏を反転させることで、第1取付状態又は第2取付状態をスムーズに変更して金属管を加工装置に固定することができる。
【発明の効果】
【0017】
本明細書で開示される技術によれば、金属管の曲げ加工における作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態1に係る加工装置等を右上方から視た斜視図
図2】固定治具を正面から視た図
図3】固定治具を右上方から視た斜視図
図4】曲げ型とクランプで銅管を挟持した状態を上方から視た図
図5】曲げ型とクランプで銅管を挟持した状態を右上方から視た斜視図
図6】固定治具に銅管を仮に固定した状態を上方から視た図
図7】固定治具に銅管を仮に固定した状態を右上方から視た斜視図
図8】固定治具を加工装置に取り付けた状態を正面から視た図
図9】固定治具を加工装置に取り付けた状態を上方から視た図
図10】固定治具を加工装置に取り付けた状態を右上方から視た斜視図
図11】銅管を曲げた状態を上方から視た図
図12】銅管を曲げた状態を正面から視た図
図13】裏返しにした固定治具を加工装置に取り付けた状態を正面から視た図
図14】変形例1に係る固定治具を正面から視た図
図15】実施形態2に係る固定治具を正面から視た図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
図1から図13を参照して実施形態1を説明する。本実施形態では、加工対象とされる銅管(金属管の一例)P1,P2を曲げ加工するための加工装置1に用いられる固定治具10を例示する。固定治具10は、加工装置1を用いて銅管P1,P2を曲げ加工する際、銅管P1,P2を加工装置1に対して固定するための治具である。尚、図1を基準として上側を加工装置1の上方とし、右下側を加工装置1の右方とし、左下側を加工装置1の前方(正面側)として各図を説明する。
【0020】
加工装置1は、三脚20によって支持される本体部22と、曲げ型30と、クランプ40と、クランプ固定部42と、クランプ台44と、ハンドル50とを備えている。本体部22は、箱状とされ、その下側から三脚20が伸びる構成とされている。本体部22には、当該本体部22の上面のうち左側部分から上方に伸びる回転軸部24と、当該本体部22の右側側面から柱状に突出する曲げ型用シャフト26と、が設けられている。回転軸部24と曲げ型用シャフト26は、いずれもその軸周りに回転可能とされ、本体部22内に設けられた図示しない回転機構によって曲げ型用シャフト26を回転させることで、回転軸部24が回転するようになっている。
【0021】
曲げ型30は、所定の厚みを有する半円形の円板状とされ、その直径部分の中央部が回転軸部24に接続されている。曲げ型用シャフト26を介して回転軸部24が回転することで、曲げ型30が回転軸部24の軸周りに回転することができる。曲げ型30における円弧状の外周部分の側面には、当該円弧状の形に沿って伸びる溝状の第1溝状部30Aが設けられている。
【0022】
曲げ型30の外周部分のうち、一端側(右前側)の端部には、前方に突出した円柱状の突出部(被取付部)30Bが設けられている。曲げ型30が銅管P1を曲げ加工する前の状態(初期状態)では、突出部30Bは、銅管P1の軸方向(前後方向)に沿って前方に突出している。
【0023】
クランプ40は、平面視矩形のブロック状とされる。クランプ40の左右側の側面には、前後方向に延びる溝状の第2溝状部40Aがそれぞれ設けられている。第2溝状部40Aは、加工対象とされる銅管P1の側面に沿って円弧状に窪んだ形で設けられている。クランプ40は、各第2溝状部40Aの伸びる方向が、加工対象とされる銅管P1の軸方向と一致する。
【0024】
クランプ台44は、本体部22の上面において左右方向に延在する形で設けられている。クランプ台44の内部には、左右方向に伸びるボールねじ44Aが配されている。ハンドル50は、本体部22の右側に配されており、クランプ用シャフト27(図11参照)を介してボールねじ44Aに接続されている。ハンドル50を回転させると、ボールねじ44Aが回転する。ハンドル50は、クランプ用シャフト27から取り外し可能とされるとともに、曲げ型用シャフト26に対して取り付け可能とされている。
【0025】
クランプ固定部42は、クランプ台44上に配され、クランプ40を上下方向から挟み込む形で支持している。クランプ固定部42の底面には、ボールねじ44Aに螺合された図示しないボールナットが固定されている。ボールねじ44Aが回転すると、クランプ固定部42がクランプ台44の延在方向(左右方向)に沿って移動する。加工装置1では、ハンドル50を回転させることで、クランプ固定部42を介してクランプ40を左右方向に移動させることができる。
【0026】
加工装置1は、銅管P1の側面の一部を曲げ型30の第1溝状部30Aに当接させた状態でクランプ40を移動させ、銅管P1の側面の他部をクランプ40の第2溝状部40Aに当接させることで、銅管P1の側面を曲げ型30とクランプ40との間に挟持できる。銅管P1の側面がこのように挟持された状態では、曲げ型30に設けられた突出部30Bの中心軸と銅管P1の軸とが加工装置1の左右方向において並んでいる。
【0027】
続いて、図2及び図3を主に用いて、固定治具10について説明する。図2は、固定治具10の表裏面のうち表面10A側を正面側(表側)から視た正面図であり、紙面手前側の方向が図1における前方(正面側)に一致する。尚、固定治具10の裏面10B(及び加工装置1等)を正面側から視た図は、図13に示す。
【0028】
図2及び図3に示すように、固定治具10は、所定の厚みで成形された金属製(好ましくは炭素鋼製、より好ましくはS50C炭素鋼製)の部材とされる。固定治具10は、加工装置1の突出部30Bに取り付けられる取付部12と、銅管P1が固定される固定部15と、を備える。また、固定治具10は、取付部12と固定部15との間に位置しており、上下方向に幅広となった部分である中間部18と、を備える。中間部18は、上側において上方に山型に突き出た第1山部18Aと、下側において下方に山型に突き出た第2山部18Bと、を備えており、このような山型形状が、後述する第1取付状態や第2取付状態において銅管P1を固定治具10に固定するため構成の一つとなっている。
【0029】
取付部12は、中間部18の左側に位置する部分である。取付部12は、中間部18から上方(第1の方向)に向かって鉤状に曲がってなる第1取付部13と、中間部18から下方(第1の方向とは反対側の第2の方向)に向かって鉤状に曲がってなる第2取付部14と、を備える。
【0030】
第1取付部13は、第1山部18Aから左方に向かって半円状に窪んだ取付第1窪部13Aと、取付第1窪部13Aから右上方に向かって先尖り状に延びた先端部13Bと、を備える。先端部13Bは、第1山部18Aから距離L1分離間している(先端部13Bと第1山部18Aとの間には、距離L1分の隙間が設けられている)。第1山部18Aと取付第1窪部13Aとをつなぐ部分の縁部13C、及び取付第1窪部13Aと先端部13Bとをつなぐ部分の縁部13Dは、正面視直線状をなしており、互いに距離L1分離間している。距離L1は、取付第1窪部13Aの内径E1に等しい。内径E1は、加工装置1の突出部30B(図1参照)の直径と等しい(又は、わずかに大きい)。
【0031】
第2取付部14は、第2山部18Bから左方に向かって半円状に窪んだ取付第2窪部14Aと、取付第2窪部14Aから右下方に向かって先尖り状に延びた先端部14Bと、を備える。先端部14Bは、第2山部18Bから距離L2分離間している(先端部14Bと第2山部18Bとの間には、距離L2分の隙間が設けられている)。第2山部18Bと取付第2窪部14Aとをつなぐ部分の縁部14C、及び取付第2窪部14Aと先端部14Bとをつなぐ部分の縁部14Dは、正面視直線状をなしており、互いに距離L2分離間している。距離L2は、取付第2窪部14Aの内径E2、及び距離L1に等しい。内径E2は、加工装置1の突出部30B(図1参照)の直径と等しい(又は、わずかに大きい)。尚、点F2は、取付第2窪部14Aが突出部30Bに取り付けられたときに、突出部30Bの中心軸と一致する点である。
【0032】
取付部12は、取付第1窪部13Aと取付第2窪部14Aとの間に配された孔部12Bと、孔部12Bの左側部分(中間部18に対し孔部12Bよりも反対側に位置する部分)である側面部12Aと、を備える。孔部12Bは、固定治具10の厚み方向(紙面奥手前方向)に貫通形成された円孔を構成している。側面部12Aは、左側の縁部が、第1取付部13から第2取付部14に向かった(上下方向に延びた)正面視直線状をなしている。
【0033】
固定部15は、中間部18の右側に位置する部分である。固定部15は、中間部18から上方(第1の方向)に向かって鉤状に曲がってなる第1固定部16と、中間部18から下方(第1の方向とは反対側の第2の方向)に向かって鉤状に曲がってなる第2固定部17と、を備える。
【0034】
第1固定部16は、第1山部18Aから右方に向かって半円状に窪んだ固定第1窪部16Aと、固定第1窪部16Aから左上方に向かって円弧状に延びた先端部16Bと、を備える。第1山部18Aと固定第1窪部16Aとをつなぐ部分の縁部16Cは、正面視、固定第1窪部16Aの内周よりも緩やかな角度の曲線をなしている。これにより、曲げ加工によって後述する銅管P2(図13参照)が押されてひずむように変形したとしても、縁部16C側に銅管P2が逃げるように変形することができる。先端部16Bは、ラウンド状をなしており、第1取付部13の先端部13Bに比して丸みを帯びている。これにより、銅管P2を固定第1窪部16Aに出し入れする際及び曲げ加工時に生じる銅管P2のひずみにより、銅管P2に傷が付くことを抑制することができる。先端部16Bは、第1山部18Aから距離L3分離間している(先端部16Bと第1山部18Aとの間には、距離L3分の隙間が設けられている)。距離L3は、固定第1窪部16Aの内径E3よりも大きい。内径E3は、上記内径E1や内径E2よりも大きい。内径E3は、銅管P1よりも直径が小さい銅管P2(図13参照)の直径と等しい(又は、わずかに大きい)。
【0035】
第2固定部17は、第2山部18Bから右方に向かって半円状に窪んだ固定第2窪部17Aと、固定第2窪部17Aから左下方に向かって円弧状に延びた先端部17Bと、を備える。第2山部18Bと固定第2窪部17Aとをつなぐ部分の縁部17Cは、正面視、固定第2窪部17Aの内周よりも緩やかな角度の曲線をなしている。これにより、曲げ加工によって銅管P1(図8参照)が押されてひずむように変形したとしても、縁部17C側に銅管P1が逃げるように変形することができる。先端部17Bは、ラウンド状をなしており、第2取付部14の先端部14Bに比して丸みを帯びている。これにより、銅管P1を固定第2窪部17Aに出し入れする際及び曲げ加工時に生じる銅管P1のひずみにより、銅管P1に傷が付くことを抑制することができる。先端部17Bは、第2山部18Bから距離L4分離間している(先端部17Bと第2山部18Bとの間には、距離L4分の隙間が設けられている)。距離L4は、固定第2窪部17Aの内径E4や、上記距離L3よりも大きい。内径E4は、上記内径E1、内径E2、及び内径E3よりも大きい。内径E4は、銅管P1(図8参照)の直径と等しい(又は、わずかに大きい)。尚、点F4は、固定第2窪部17Aに銅管P1が引っ掛けられて固定されたときに、銅管P1の中心軸と一致する点である。
【0036】
固定部15は、第1固定部16の先端部16Bに設けられた孔部15Bと、第2固定部17の先端部17Bに設けられた孔部15Cと、第1固定部16と第2固定部17の中央部分の右側において谷型に窪んだ谷部15Aと、を備える。孔部15B,15Cは、固定治具10の厚み方向に貫通形成された円孔を構成している。
【0037】
続いて、固定治具10を用いて加工装置1で銅管P1を曲げ加工する際の加工手順を説明する。尚、加工対象とされる銅管P1の延伸方向の寸法を約4mとし、以下の手順では、銅管P1の両管端から約2m離れた位置(所定位置)で曲げ加工する。
【0038】
図4及び図5に示すように、加工対象とされる銅管P1を、その延伸方向(軸方向)が前後方向に一致する姿勢にし、曲げ型30の第1溝状部30Aにおける一端部30C側に銅管P1の所定位置の側面を当接させる。ハンドル50を回転させ、クランプ40を左側に移動させることで、クランプ40の第2溝状部40Aを銅管P1の所定位置の側面に当接させ、曲げ型30の第1溝状部30Aとクランプ40の第2溝状部40Aとの間に銅管P1の所定位置の側面を挟持させる。
【0039】
続いて、図6及び図7に示すように、固定治具10の第2固定部17を、銅管P1の所定位置のやや前側に引っ掛けて仮に固定する。具体的には、固定治具10を、その表面10Aが正面側(表側)となる向きにし、第2固定部17のうち、先端部17Bと第2山部18Bとの間の距離L4の隙間(図2参照)に、銅管P1を、当該銅管P1の側面側から(銅管P1の径方向であって下方から)通す。そして、銅管P1を、第2固定部17の固定第2窪部17Aに当接させる。これにより、銅管P1を、その径方向における大部分の方向への移動を規制しつつ、その軸方向への移動を許容した状態で、第2固定部17の固定第2窪部17Aに対し仮に固定する。この状態を、仮固定状態と呼ぶ。
【0040】
次に、仮固定状態を維持して固定治具10を回転させ、第2取付部14の取付第2窪部14Aの中心点F2(図2参照)に曲げ型30の突出部30Bの中心軸を一致させる。そして、図8から図10に示すように、固定治具10を後方に移動させ、取付第2窪部14Aに突出部30Bを挿通させて取り付ける。これにより、銅管P1が、その径方向における全方向への移動を規制されつつ、その軸方向への移動を許容した状態で、固定第2窪部17Aに(ひいては、固定治具10を介して加工装置1に)固定される。この状態を、第2取付状態と呼ぶ。
【0041】
続いて、ハンドル50をクランプ用シャフト27から取り外すとともに、曲げ型用シャフト26に取り付ける。そして、第2取付状態を維持し、ハンドル50を回転させ、曲げ型30を右回りに回転させる。すると、図11及び図12に示すように、第1溝状部30Aと第2溝状部40Aに挟持された銅管P1の所定位置が、曲げ型30の円弧状の輪郭線に沿って曲げ加工される。本実施形態では、銅管P1を所定位置で90°曲げた状態を示している。銅管P1の曲げ加工後、固定治具10を銅管P1及び突出部30Bから取り外す際は、上記手順を遡って行う。
【0042】
尚、上記手順を遡り、固定治具10を銅管P1及び突出部30Bから取り外した後、図13に示すように、固定治具10を裏返して(表裏を反転させて)加工装置1に取り付けた場合、銅管P1よりも直径が小さい銅管P2を曲げ加工することができる。具体的には、取付第2窪部14Aを突出部30Bから抜いて取り外し、銅管P1を第2固定部17の先端部17Bと第2山部18Bとの間の距離L4の隙間を通して固定第2窪部17Aから取り外した後、固定治具10をその表面10Aが後方(図13における紙面奥側の方向)に向くように裏返す。図13では、固定治具10がその裏面10Bを正面側(表側)に向けた状態となっている。この状態で、第1固定部16のうち、先端部16Bと第1山部18Aとの間の距離L3の隙間(図2参照)に、銅管P2を、当該銅管P2の側面側から(銅管P2の径方向であって下方から)通す。そして、銅管P2を、第1固定部16の固定第1窪部16Aに当接させる。これにより、銅管P2を、固定第1窪部16Aに引っ掛けて仮に固定する。このような仮固定状態を維持して固定治具10を回転させ、第1取付部13の取付第1窪部13Aの中心点に曲げ型30の突出部30Bの中心軸を一致させる。そして、固定治具10を後方に移動させ、取付第1窪部13Aに突出部30Bを挿通させて取り付ける。これにより、銅管P2が、固定第1窪部16A(ひいては、固定治具10を介して加工装置1)に、固定される。この状態を、第1取付状態と呼ぶ。第1取付状態を維持しつつ、上記手順によりハンドル50を回転させることで、銅管P2の曲げ加工が可能となる。
【0043】
続いて、本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、銅管P1,P2を曲げ加工する加工装置1に取り付けられ、銅管P1,P2を加工装置1に固定する固定治具10であって、加工装置1に取り付けられる取付部12と、銅管P1,P2が固定される固定部15と、取付部12と固定部15との間に位置する中間部18と、を備え、固定部15は、中間部18から上方に向かって鉤状に曲がってなる第1固定部16と、中間部18から下方に向かって鉤状に曲がってなる第2固定部17と、を備え、銅管P2を第1固定部16に、又は銅管P1を第2固定部17に引っ掛けることで固定するものとされ、第2固定部17の先端部17Bと中間部18との間の隙間の距離L4は、第1固定部16の先端部16Bと中間部18との間の隙間の距離L3よりも大きい、固定治具10を説明した。
【0044】
このような固定治具10によると、第1固定部16に銅管P2を固定することができ、第2固定部17に、第1固定部16に固定可能な銅管P2よりも大きい直径の銅管P1を固定することができる。これにより、直径が異なる少なくとも2種類の銅管P1,P2を1つの固定治具10で適宜固定して、加工装置1で曲げ加工することができる。また、仮に固定部が円環状(孔状)をなしていた場合、銅管P1,P2を所定位置で曲げ加工するためには、銅管P1,P2の端部を固定部の円環内側に挿入し、所定位置まで固定部を移動させる必要がある。しかしながら、上記のような固定治具10によると、第1固定部16と第2固定部17とは、鉤状をなしているため、各先端部16B,17Bと中間部18との間の隙間に銅管P1,P2の所定位置を側方(銅管P1,P2の径方向)から通すことで、銅管P1,P2の所定位置に固定部15を容易に引っ掛けることができる。また、曲げ加工によって銅管P1,P2がひずむように変形したとしても、第1固定部16又は第2固定部17の各先端部16B,17Bと中間部18との隙間で、銅管P1,P2が固定治具10によって傷付かないようにその変形を緩衝することができ、銅管P1,P2が固定治具10から取り外しにくくなることを避けることができる。
【0045】
取付部12は、中間部18から鉤状に曲がってなる。このような固定治具10によると、曲げ加工によって銅管P1,P2がひずみ、固定治具10がたわむ等により変形したとしても、取付部12の先端部13B,14Bと中間部18との間の隙間で緩衝することができるので、取付部12が被取付部30Bから取り外しにくくなることを避けることができる。
【0046】
また、取付部12は、中間部18から上方に向かって鉤状に曲がってなる第1取付部13と、中間部18から下方に向かって鉤状に曲がってなる第2取付部14と、を備え、第1取付部13又は第2取付部14が、加工装置1に設けられた被取付部30Bに取り付けられる。
【0047】
このような固定治具10によると、第1取付部13を被取付部30Bに取り付け、第1固定部16に銅管P2が固定されている状態から、第2固定部17に直径が異なる銅管P1を取り付けたいときは、固定治具10を加工装置1から外し、固定治具10を裏返すことにより、スムーズに第2固定部17に直径が異なる銅管P1を固定して第2取付部14を被取付部30Bに取り付けることができる。即ち、加工装置1に取り付ける固定治具10の表裏を変更することで、固定治具10に固定する銅管P1,P2の種類を容易に変更することができる。
【0048】
第1固定部16の先端部16Bと第2固定部17の先端部17Bは、ラウンド状をなしている。このような固定治具10によると、銅管P1,P2を固定部15に引っ掛けるときに、先端部16B又は先端部17Bと中間部18との間の隙間を銅管P2又は銅管P1がスムーズに通ることができ、取付の際の作業性が向上する。また、曲げ加工によって銅管P1,P2がひずむように変形したとしても、当該銅管P1,P2を固定治具10から取り外し易い。
【0049】
取付部12は、第1取付部13と第2取付部14との間に配された孔部12Bを備え、中間部18に対し孔部12Bよりも反対側に位置する側面部12Aが、第1取付部13から第2取付部14に向かった直線状をなしている。
【0050】
固定治具10をワンチャック製法により製造する際は、固定治具10となる板状の基材に孔部12B(及び孔部15B,15C)を設け、当該孔部12B等を用いて当該基材を固定し、固定された基材の端部を切削等することにより形を整える。上記のような固定治具10によると、そのような孔部12Bが第1取付部13と第2取付部14との間に設けられることに起因して固定治具10の剛性が低下することを、側面部12Aにより抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態では、固定治具10は、第2固定部17に銅管P1が固定され、第2取付部が加工装置1の被取付部30Bに取り付けられた第2取付状態と、第1取付状態とは当該固定治具10を表裏反転させた状態であって、第1固定部16に銅管P2が固定され、第1取付部13が被取付部30Bに取り付けられた第1取付状態と、において銅管P1,P2を曲げ加工可能に固定することを示した。このような固定治具10によると、固定治具10の表裏を反転することで、第1取付状態又は第2取付状態をスムーズに変更して銅管P1,P2を加工装置1に固定することができる。
【0052】
<変形例1>
次に、図14を用いて本発明の変形例1に係る固定治具110を説明する。固定治具110は、加工装置1の突出部30Bに取り付けられる取付部112と、銅管が固定される固定部115と、第1山部118Aと第2山部118Bとを有する中間部118と、を備える。
【0053】
取付部112は、中間部118から上方に向かって鉤状に曲がってなる第1取付部113と、中間部118から下方に向かって鉤状に曲がってなる第2取付部114と、を備える。第1取付部113の先端部113Bは、第1山部118Aから距離L5分離間している(先端部113Bと第1山部118Aとの間には、距離L5分の隙間が設けられている)。距離L5は、第1取付部113の取付第1窪部113Aの内径E5に等しい。第2取付部114の先端部114Bは、第2山部118Bから距離L6分離間している(先端部114Bと第2山部118Bとの間には、距離L6分の隙間が設けられている)。距離L6は、第2取付部114の取付第2窪部114Aの内径E6に等しい。内径E6は、取付第1窪部113Aの内径E5よりも大きい。
【0054】
固定部115は、中間部118から上方に向かって鉤状に曲がってなる第1固定部116と、中間部118から下方に向かって鉤状に曲がってなる第2固定部117と、を備える。第1固定部116の先端部116Bは、第1山部118Aから距離L7分離間している(先端部116Bと第1山部118Aとの間には、距離L7分の隙間が設けられている)。距離L7は、第1固定部116の固定第1窪部116Aの内径E7よりも大きい。内径E7は、上記内径E5や内径E6よりも大きい。
【0055】
第2固定部117の先端部117Bは、第2山部118Bから距離L8分離間している(先端部117Bと第2山部118Bとの間には、距離L8分の隙間が設けられている)。距離L8は、第2固定部117の固定第2窪部117Aの内径E8や、上記距離L7よりも大きい。内径E8は、上記内径E5、内径E6、及び内径E7よりも大きく、上記実施形態1における銅管P2の直径よりも小さい。
【0056】
上記のような固定治具110によると実施形態1で示した固定治具10で曲げ加工可能な銅管P1,P2よりも小さい直径の銅管を曲げ加工できる。また、固定治具110は、内径が異なる第1取付部113及び第2取付部114を備えるため、加工装置において、直径が異なる突出部(被取付部)を複数設けたり、円錐状や段階的に拡径する形の突出部を設けたりすることにより、当該突出部に当該固定治具110を適宜取り付けて、銅管を曲げ加工することができる。
【0057】
<実施形態2>
次に、図15を用いて本発明の実施形態2に係る固定治具210を説明する。固定治具210は、上記実施形態1で示した加工装置1の突出部30Bに取り付けられる取付部212と、上記銅管P1,P2が固定される固定部215と、取付部212と固定部215との間に位置する中間部218と、を備え、全体として正面視錨状をなしている。
【0058】
取付部212は、突出部30Bの直径に等しい内径の円孔を構成する取付孔部212Aを備える。取付孔部212Aは、円孔に突出部30Bに挿入することで加工装置1に取り付けることができる。
【0059】
固定部215は、中間部218から上方に向かって鉤状に曲がってなる第1固定部216と、中間部218から下方に向かって鉤状に曲がってなる第2固定部217と、を備える。第1固定部216と第2固定部217との間には、中間部218側に向かって谷型に窪んだ谷部215Aが設けられている。第1固定部216の先端部216Bは、中間部218から距離L9分離間している。距離L9は、半円状の固定第1窪部216Aの内径E9よりも大きい。内径E9は、銅管P2の直径と等しい(又は、わずかに大きい)。第2固定部217の先端部217Bは、中間部218から距離L10分離間している。距離L10は、半円状の固定第2窪部217Aの内径E10よりも大きい。内径E10は、銅管P1の直径と等しい(又は、わずかに大きい)。
【0060】
図15では、固定治具210において紙面手前側の面が表面とされ、紙面奥側の面が裏面とされる。固定治具210は、固定治具210の表面を正面側(表側)としつつ、第1固定部216に銅管P2が固定され、取付部212が加工装置1の突出部30Bに取り付けられた第1取付状態において、銅管P2を曲げ加工可能に固定する。また、固定治具210は、第1取付状態とは当該固定治具210を表裏反転させた状態であって、固定治具210の裏面を正面側としつつ、第2固定部217に銅管P1が固定され、取付部212が加工装置1の突出部30Bに取り付けられた第2取付状態において、銅管P1を曲げ加工可能に固定する。このような固定治具210によると、固定治具210の表裏を反転させる(裏返す)ことで、第1取付状態又は第2取付状態をスムーズに変更して銅管P1,P2を加工装置1に固定することができる。
【0061】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態等に限定されず、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0062】
(1)上記実施形態1及び変形例1では、中間部の左側に第1取付部及び第2取付部が設けられ、中間部の右側に第1固定部及び第2固定部が設けられることとしたが、これに限られない。例えば、中間部の左側に第1取付部及び第2固定部が設けられ、中間部の右側に第2取付部及び第1固定部が設けられることとしてもよい。
【0063】
(2)上記実施形態1及び変形例1では、取付部は、鉤状としたが、これに限られない。例えば、取付部は、実施形態2のように、円孔を有する円環状であっても良い。また、実施形態2において、取付部を鉤状の形に変更しても良い。
【0064】
(3)上記実施形態等では、金属管として銅管を例示したが、これに限定されない。例えば、金属管は、鉄管、アルミニウム管等であってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…加工装置、10,110,210…固定治具、12,112,212…取付部、12A…側面部、12B…孔部、13,113…第1取付部、14,114…第2取付部、15,115,215…固定部、16,116,216…第1固定部、17,117,217…第2固定部、18,118,218…中間部、30B…突出部(被取付部)、P1,P2…銅管
図1
図2
図3
図4
図5
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図9
図10
図11
図12
図13
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図15