(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】人工毛除去用アイロン及び人工毛除去方法。
(51)【国際特許分類】
A41G 3/00 20060101AFI20230120BHJP
【FI】
A41G3/00 Z
(21)【出願番号】P 2019027072
(22)【出願日】2019-02-19
【審査請求日】2021-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】501105613
【氏名又は名称】有限会社特許増毛協会
(74)【代理人】
【識別番号】100158023
【氏名又は名称】牛田 竜太
(72)【発明者】
【氏名】湊 英次
(72)【発明者】
【氏名】湊 晃一
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特表平10-508663(JP,A)
【文献】米国特許第05107867(US,A)
【文献】実公昭39-035818(JP,Y2)
【文献】国際公開第97/013421(WO,A1)
【文献】特表2011-516749(JP,A)
【文献】特開2008-202199(JP,A)
【文献】特表2013-536699(JP,A)
【文献】特開2004-353119(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第02805974(FR,A1)
【文献】米国特許第05894846(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0146698(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0227758(US,A1)
【文献】特開2005-060863(JP,A)
【文献】特開2013-124420(JP,A)
【文献】実開昭56-015739(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41G 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地毛に結び付けた人工毛を除去するための人工毛除去用アイロンであって、
使用者が把持する本体部と、
前記本体部から延出方向に延び発熱する
単一で棒状の発熱部と、を有し、
前記本体部には、前記発熱部の温度を調節するための温度調節部が設けられ、
前記発熱部には、
一部が切り欠かれることにより、前記延出方向に延び前記地毛及び前記人工毛を滑らせるための
平滑な滑り面が規定され、
前記滑り面には、前記延出方向と直交する幅方向に案内溝
と、前記案内溝から前記延出方向に間隔を空けて、前記幅方向の一端から途中まで断面がV字状の切欠と、が形成されていることを特徴とする人工毛除去用アイロン。
【請求項2】
前記案内溝の前記幅方向の両端部は、V字形状をなしていることを特徴とする請求項1に記載の人工毛除去用アイロン。
【請求項3】
前記案内溝の前記幅方向の両端部は、前記幅方向の中央部よりも前記延出方向及び前記幅方向に直交する深さ方向の溝深さが深くなっているとともに、前記延出方向に広がっていることを特徴とする請求項1または2に記載の人工毛除去用アイロン。
【請求項4】
前記発熱部は、断面が円弧状であって前記延出方向の全長に亘って設けられた円弧部をさらに有することを特徴とする
請求項1から3のいずれか1項に記載の人工毛除去用アイロン。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項の人工毛除去用アイロンを用意するステップと、
前記温度調節部で前記発熱部の温度を前記人工毛の融点以上に設定するステップと、
前記人工毛と前記地毛との結び目を前記案内溝でスライドさせるステップと、
前記案内溝において、前記結び目を溶かすステップと、
前記人工毛を前記地毛から離脱させるステップと、を有することを特徴とする人工毛除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人工毛除去用アイロン及び人工毛除去方法に関し、特に地毛に結び付けた人工毛を除去する人工毛除去用アイロン及び人工毛除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、地毛に人工毛を結び付けて髪の毛のボリュームを増やす施術が広く知られている(例えば、特許文献1)。増毛の施術では、専用の器具であるスティックを用いて地毛に複数本からなる人工毛を結びつけることにより増毛を行っている。
【0003】
人工毛を地毛に結び付けるときは地毛の生え際近傍に結び付けるが、地毛は時間の経過とともに伸びるため、結び目が生え際から離れてしまい若干の不自然さが出てくる。従って、自然な髪のボリュームを維持するためには定期的なメンテナンスが必要となる。
【0004】
定期的なメンテナンスでは、増毛した人工毛の除去、人工毛の結び直し、散髪などの施術によって再び自然な髪のボリュームアップを図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、メンテナンスにおける人工毛の除去作業では、特許文献1に記載されているようなスティックを用いて1本ずつ施術者が地毛から人工毛を解いていたため、作業に膨大な時間が掛かっていた。また、人工毛は、シャンプー等で抜け落ちないようにある程度の強度で地毛に結び付けられいるため、細かい作業となり作業者への負担が大きかった。
【0007】
そこで、本発明は、地毛に結び付けた人工毛を簡単に除去することができる人工毛除去用アイロン及び当該人工毛除去用アイロンを用いた人工毛除去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために第1の発明は、地毛に結び付けた人工毛を除去するための人工毛除去用アイロンであって、使用者が把持する本体部と、前記本体部から延出方向に延び発熱する単一で棒状の発熱部と、を有し、前記本体部には、前記発熱部の温度を調節するための温度調節部が設けられ、前記発熱部には、一部が切り欠かれることにより、前記延出方向に延び前記地毛及び前記人工毛を滑らせるための平滑な滑り面が規定され、前記滑り面には、前記延出方向と直交する幅方向に案内溝と、前記案内溝から前記延出方向に間隔を空けて前記幅方向の一端から途中まで断面がV字状の切欠と、が形成されていることを特徴とする人工毛除去用アイロンしている。
【0009】
第2の発明では、第1の発明に記載された人工毛除去アイロンであって、前記案内溝の前記幅方向の両端部は、V字形状をなしていることを特徴とする請求項1に記載の人工毛除去用アイロン。
【0010】
第3の発明では、第1の発明または第2の発明に記載された人工毛除去アイロンであって、前記案内溝の前記幅方向の両端部は、前記幅方向の中央部よりも前記延出方向及び前記幅方向に直交する深さ方向の溝深さが深くなっているとともに、前記延出方向に広がっていることを特徴としている。
【0012】
第4の発明では、第1の発明から第3の発明のいずれかに記載された人工毛除去アイロンであって、前記発熱部は、断面が円弧状であって前記延出方向の全長に亘って設けられた円弧部をさらに有することを特徴としている。
【0013】
第5の発明では、第1の発明から第4の発明いずれかに記載された人工毛除去用アイロンを用意するステップと、前記温度調節部で前記発熱部の温度を前記人工毛の融点以上に設定するステップと、前記人工毛と前記地毛との結び目を前記案内溝でスライドさせるステップと、前記案内溝において、前記結び目を溶かすステップと、前記人工毛を前記地毛から離脱させるステップと、を有することを特徴とする人工毛除去方法を提供している。
【0014】
本発明によると、地毛に結び付けた人工毛を簡単に除去することができる人工毛除去用アイロン及び当該人工毛除去用アイロンを用いた人工毛除去方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明によると、人工毛を結び付けた地毛の結び目部分を案内溝で複数回スライドさせることにより、発熱部の熱で人工毛と地毛との結び目部分を溶かし、人工毛を地毛から除去することができる。これにより、1本ずつ人工毛を地毛から解くという作業と比較して、人工毛の除去時間を大幅に短縮することができる。また、案内溝が幅方向全幅に亘って形成されているため、結び目が案内溝から離脱することなく、人工毛の一端を把持した状態で安定して案内溝内をスライドさせることができる。さらに、人工毛と地毛との結び目を案内溝内でスライドさせることにより発熱部の熱を伝達するため、溝が形成されていない平面で熱を伝える場合と比較して効率的に結び目に熱を伝えることができる。換言すると、結び目には、平面からだけではなく溝の周囲から全体的に熱が伝わるため、人工毛の除去時間をさらに短縮することができる。また、案内溝が延出方向と直交する幅方向に形成されているため、施術者が一方の手で本体部を把持した状態で他方の手で人工毛を把持し、本体部を人工毛に沿ってスライドさせることで案内溝を介して人工毛を溶かすことができる。さらに、本体部には温度調節部が設けられているため、人工毛の融点温度に応じて、発熱部の温度を任意に設定することができる。髪の毛の融点は280℃となっているため、発熱部の温度は人工毛の融点よりも高く髪の毛の融点よりも低いことが好ましい。
【0016】
第2の発明によると、案内溝の断面形状がV字形状をなしているため、人工毛を案内溝で捉え易くなり人工毛除去の作業性が向上する。また、両端部がV字形状となっているため、施術者の利き手が右でも左でも同じように作業を行うことができる。換言すると、右利きの施術者が本体部を把持した場合は延出方向が左方向となりV字形状をなした一方の端部の案内溝が上を向き、左利きの施術者が本体部を把持し延出方向が右方向となってもV字形状をなした他方の端部が上を向くこととなる。
【0017】
第3の発明によると、中央部分が両端部よりも深さが浅くなっているため、当該浅くなっている部分で人工毛の結び目に効率的に熱を伝えることができる。換言すると、当該浅くなっている部分では人工毛は案内溝の底とより強く接触するため、発熱部の熱が人工毛に効率的に伝達される。また、案内溝の両端部は延出方向に広がっているため、人工毛の結び目を捉え易くなっている。
【0018】
また、滑り面にはV字状の切欠が形成されているため、切欠で人工毛の結び目を捉えて発熱部の熱を伝えることにより人工毛の結び目を溶かして用意に地毛から人工毛を除去することができる。
【0019】
第4の発明によると、人工毛または地毛を円弧部でなぞることにより円弧部の熱が人工毛または地毛に伝達されてくせ毛をストレートにすることができる。特に、人工毛を結び付けた後はその人工毛がくせ毛のように変形している場合があるが、円弧部で当該変形箇所をなぞることで当該変形を修正しストレートな人工毛にすることができる。
【0020】
第5の発明によると、人工毛と地毛との結び目を案内溝でスライドさせることにより、効率的に発熱部の熱を人工毛の結び目に伝達し人工毛を地毛から除去することができる。これにより、簡易な方法で地毛に結び付けられた人工毛を除去することができる。
【0021】
このような構成によると、簡単に地毛に結び付けた人工毛を除去することができる人工毛除去用アイロン及び当該人工毛除去用アイロンを用いた人工毛除去方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】本発明の人工毛除去用アイロンの発熱部の拡大図。
【
図3】本発明の人工毛除去用アイロンの発熱部の側面図。
【
図4】本発明の人工毛除去用アイロンの発熱部の断面図であって、
図4(a)は
図3におけるA-A断面の断面図であり、
図4(b)は
図3におけるB-Bの断面図。
【
図5】本発明の人工毛除去用アイロンを使用しているときの図。
【
図6】本発明の人工毛除去用アイロンの発熱部の断面図であって、
図6(a)は結び目を右端部で案内するときの断面図であり、
図6(b)は結び目が中央部と接触しているときの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の第1の実施の形態による人工毛除去用アイロン1を
図1乃至
図6に基づき説明する。
図1乃至
図4に示すように、前後上下左右方向を定義する。
【0024】
人工毛除去用アイロン1は地毛100に結び付けた人工毛110を除去するためのアイロンであって、本体部2と、発熱部3と、電源コード4と、から構成される。本体部2は、使用者10(
図5)が把持する部分であって、前後方向の略中央部に温度調節部21が設けられている。温度調節部21は、液晶部22と、降温部23と、昇温部24と、電源部25と、を有している。
【0025】
液晶部22には、発熱部3の設定温度が表示され、降温部23または昇温部24を押下することにより発熱部3の温度を10℃刻みで設定することができる。本実施の形態では、温度調節部21は発熱部3を80℃~260℃までの間の任意の温度を設定することができる。なお、発熱部3の設定温度は、これに限定されない。
【0026】
発熱部3は金属製であって、本体部2から前方に延び、平滑な滑り面31と、円弧部32と、を有している。発熱部3は、本体部2との接続部分の断面形状は円形であって、前後方向略中央部から後方寄りの位置において上半分が切り欠かれたような形状をなしている。当該切り欠かれた面が滑り面31となっており、滑り面31は前方に延びるように設けられている。前方は、本件発明の延出方向に相当する。
【0027】
滑り面31の前部には、第1案内溝33と、第2案内溝34と、が左右方向全幅に亘って直線状に形成されている。
図2に示すように、第1案内溝33は第2案内溝34の前方に位置し、第1案内溝33と第2案内溝34との間に切欠35が形成されている。第1案内溝33及び第2案内溝34は本発明の案内溝に相当し、左右方向は本発明の幅方向に相当する。
【0028】
第1案内溝33と第2案内溝34とは略同一形状であるため、以下は第1案内溝33についてのみ詳細に説明する。第1案内溝33は、右端部33Aと、左端部33Bと、右端部33Aと左端部33Bとを繋ぐ中央部33Cと、から構成される。右端部33A及び左端部33Bは、本発明の両端部に相当する。
【0029】
右端部33Aと左端部33Bとは略同一形状であって、
図3に示すように溝の形状が略V字をなしている。詳細には、右端部33A及び左端部33B近傍の第1案内溝33の断面は略V字形状となっている。右端部33A及び左端部33Bは、
図4(b)に示すように、左右方向端部が最も溝深さが深く形成されており、中央部33Cに向かうにつれて溝深さが浅くなる。
図2(b)に示すように、右端部33A及び左端部33Bは、中央部33Cよりも前後方向の長さが僅かに長い。
【0030】
中央部33Cは、
図4(b)に示すように、上下方向の溝深さが一定であって、右端部33A及び左端部33Bよりも溝深さが浅い。中央部33Cの断面形状は略U字状をなしている。下方向は、本発明の深さ方向に相当する。
【0031】
切欠35は、滑り面31の右側端部から左側に向かって所定方向切り欠かれるように形成され、断面形状が略V字状となっている。切欠35の右端部は、第1案内溝33の右端部33A及び左端部33Bと比較して前後方向の長さが長い。切欠35の右端部の溝深さは、第1案内溝33の両端部の溝深さよりも僅かに深い。
【0032】
円弧部32は、
図4に示すように、上下方向において滑り面31の反対側に位置し、断面形状が略円弧形状をなしている。
【0033】
次に、人工毛除去用アイロン1の使用方法について、
図5及び
図6を参照して説明する。
【0034】
電源コード4を電源に接続して電源部25を押下し、電源を入れる。液晶部22に初期設定の温度が表示されるため、降温部23及び昇温部24を押下して設定温度を人工毛110の融点以上とする。
【0035】
設定温度に達した後、使用者10は地毛100と人工毛110との結び目120近傍に発熱部3を配置し、人工毛110を第1案内溝33に入れる。このとき、
図6(a)に示すように、右端部33Aによって結び目120を第1案内溝33に案内する。そのまま人工毛除去用アイロン1を地毛100に沿って矢印Cの方向にスライドさせることにより、結び目120と中央部33Cとが接触し続けて発熱部3の熱が人工毛110の結び目120に伝達される。このとき、中央部33Cは右端部33A及び左端部33Bよりも溝深さが浅いため、地毛100及び人工毛110から突出する結び目120は、より強く中央部33Cと接触する。また、結び目120によって地毛100と中央部33Cとの間に僅かに隙間ができるため、地毛100に発熱部3の熱が過剰に伝わることを抑制できる。
【0036】
人工毛110は部分的に中央部33Cと当接しているが、結び目120が膨らんでいることにより中央部33Cからの熱を効率的に受け、地毛100よりも融点の低い人工毛110の結び目120が最初に溶ける。使用者10が人工毛110を引っ張り続けているため、結び目120の溶融と同時に人工毛110が地毛100から除去される。
【0037】
上記の説明では人工毛110を第1案内溝33で案内することにより結び目120を溶かしたが、第2案内溝34であっても、切欠35であっても、同様の方法で人工毛110を地毛100から除去することができる。
【0038】
このような構成によると、人工毛110を結び付けた地毛100の結び目120を第1案内溝33または第2案内溝34で複数回スライドさせることにより、発熱部3の熱で人工毛110と地毛100との結び目120を溶かし、人工毛110を地毛100から除去することができる。これにより、1本ずつ人工毛110を地毛100から解くという作業と比較して、人工毛110の除去時間を大幅に短縮することができる。また、第1案内溝33及び第2案内溝34が左右方向の全幅に亘って形成されているため、結び目120が第1案内溝33または第2案内溝34から離脱することなく、人工毛110の一端を把持した状態で安定して第1案内溝33または第2案内溝34内をスライドさせることができる。さらに、結び目120を第1案内溝33または第2案内溝34内でスライドさせることにより発熱部3の熱を伝達するため、溝が形成されていない滑り面31で熱を伝える場合と比較して効率的に結び目120に熱を伝えることができる。換言すると、結び目120には、平面からだけではなく第1案内溝33または第2案内溝34の周囲から全体的に熱が伝わるため、人工毛110の除去時間をさらに短縮することができる。また、第1案内溝33及び第2案内溝34が前後方向と直交する左右方向に形成されているため、施術者が一方の手で本体部2を把持した状態で他方の手で人工毛110を把持し、本体部2を人工毛110に沿ってスライドさせることで第1案内溝33または第2案内溝34を介して人工毛110を溶かすことができる。さらに、本体部2には温度調節部21が設けられているため、人工毛110の融点温度に応じて、発熱部3の温度を任意に設定することができる。髪の毛の融点は280℃となっているため、発熱部3の温度は人工毛110の融点よりも高く髪の毛の融点よりも低いことが好ましい。
【0039】
このような構成によると、第1案内溝33及び第2案内溝34の断面形状がV字形状をなしているため、人工毛110を第1案内溝33及び第2案内溝34で捉え易くなり人工毛110の除去の作業性が向上する。また、右端部33A及び左端部33BがV字形状となっているため、施術者の利き手が右でも左でも同じように作業を行うことができる。換言すると、右利きの施術者が本体部2を把持した場合は発熱部3が左方向に指向しV字形状をなした右端部33Aの案内溝が上を向き、左利きの施術者が本体部2を把持し発熱部3が左向に指向したとしてもV字形状をなした左端部33Bが上を向くこととなる。
【0040】
このような構成によると、中央部33Cが右端部33A及び左端部33Bよりも深さが浅くなっているため、当該浅くなっている部分で人工毛110の結び目120に効率的に熱を伝えることができる。換言すると、当該浅くなっている部分では人工毛110は第1案内溝33の底とより強く接触するため、発熱部3の熱が人工毛110に効率的に伝達される。また、第1案内溝33の右端部33A及び左端部33Bは前後方向に広がっているため、人工毛110の結び目120を捉え易くなっている。
【0041】
このような構成によると、滑り面31にはV字状の切欠35が形成されているため、切欠35で人工毛110の結び目120を捉えて発熱部3の熱を伝えることにより人工毛110の結び目120を溶かして用意に地毛100から人工毛110を除去することができる。
【0042】
このような構成によると、人工毛110または地毛100を円弧部32でなぞることにより円弧部32の熱が人工毛110または地毛100に伝達されてくせ毛をストレートにすることができる。特に、人工毛110を結び付けた後はその人工毛110がくせ毛のように変形している場合があるが、円弧部32で当該変形箇所をなぞることで当該変形を修正しストレートな人工毛110にすることができる。
【0043】
本発明による人工毛除去用アイロン及び人工毛除去方法は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
【0044】
上述の実施の形態では、第1案内溝33及び第2案内溝34の端部の断面形状は略V字状であったが、これに限定されずに略U字状であってもよい。
【0045】
上述の実施の形態では、滑り面31に2つの案内溝が形成されていたが、これに限定されない。案内溝は1本でもよく、3本以上形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 人工毛除去用アイロン
2 本体部
3 発熱部
21 温度調節部
31 滑り面
32 円弧部
33 第1案内溝
33A 右端部
33B 左端部
33C 中央部
34 第2案内溝
35 切欠
100 地毛
110 人工毛
120 結び目