特許 7213541 ドレン構造

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2023-01-19

(45)【発行日】2023-01-27

(54)【発明の名称】ドレン構造

(51)【国際特許分類】

   E04D 13/04 20060101AFI20230120BHJP

   E03C 1/12 20060101ALI20230120BHJP

   E03C 1/262 20060101ALI20230120BHJP

【ＦＩ】

E04D13/04 E

E04D13/04 J

E03C1/12 A

E03C1/262 A

【請求項の数】 3

(21)【出願番号】P 2019088729

(22)【出願日】2019-05-09

(65)【公開番号】P2020183671

(43)【公開日】2020-11-12

【審査請求日】2022-02-15

(73)【特許権者】

【識別番号】592179137

【氏名又は名称】株式会社アルテック

(74)【代理人】

【識別番号】110000512

【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】瀧瀬 伸一

【審査官】佐藤 史彬

(56)【参考文献】

【文献】特開２００３－３２１９０７（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００５－２９０７１０（ＪＰ，Ａ）

【文献】登録実用新案第３２０９１１４（ＪＰ，Ｕ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｅ０４Ｄ １３／０４

Ｅ０３Ｃ １／１２

Ｅ０３Ｃ １／２６２

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

排水口を覆う通水構造のドレンキャップと、該ドレンキャップの内側から下方に張り出し且つ前記排水口の内部に窄めて挿入されてから自身の弾性力により広がって前記排水口直下の排水管内側に圧接する板ばね部材と、該板ばね部材に掛止して前記排水口からの抜脱を阻止するよう前記排水口の外縁部に設けられたアンカーとを備え、前記板ばね部材が長手方向に延在するスリットを有し、該スリットの幅内に収まる幅で且つ下方向きに鉤形を成すように前記アンカーが形成されていることを特徴とするドレン構造。

【請求項2】

ドレンキャップの下部内周面の直径方向に相対する位置に二枚の板ばね部材の上端部を夫々装着し、該各板ばね部材を互いに近接する方向に一旦向かわせてから円弧断面の曲折部を介し下方向きに折り曲げ且つ下方に向かうに従い徐々に離間するように開いた形状としたことを特徴する請求項１に記載のドレン構造。

【請求項3】

ドレンキャップの頂部中央下面に一枚の板ばね部材の長手方向中央部を装着し、該中央部を挟んだ前記板ばね部材の二箇所を円弧断面の曲折部を介し下方向きに折り曲げ且つ下方に向かうに従い徐々に離間するように開いた形状としたことを特徴する請求項１に記載のドレン構造。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、ドレン構造に関するものである。

【背景技術】

【0002】

ビルやマンション等の建築物の屋上や各階のベランダには、雨水を排水する排水口（ドレン）が設けられているのが一般的であり、この種の排水口には、雨水に随伴される落ち葉、小枝、紙、又は、ビニール等といった固形物の侵入防止や、排水口が剥き出しになることによる危険性の回避、美観の保持等といった観点からドレンキャップが取り付けられている。

【0003】

この種のドレンキャップを用いた従来のドレン構造の一例は図７に示す通りであり、ここに図示しているドレン構造１の場合には、建築物の屋上やバルコニー等を構成するコンクリート躯体２に、その表面に溜まる雨水を排出するための排水管３が鉛直方向に埋設され、該排水管３の上端部に、雨水を呼び込む排水口４を形成するドレン本体５が嵌着されている。

【0004】

ここで、前記コンクリート躯体２の表面には、防水シート６が被覆されるようになっているが、この防水シート６は、前記ドレン本体５上端の鍔部７と中空円盤形の防水層押え８とで挟み付けるように固定されており、この防水層押え８は、前記ドレン本体５上端の鍔部７に対しネジ止めされるようになっている。

【0005】

そして、前記排水口４が通水構造のドレンキャップ９により覆われており、該ドレンキャップ９は、図示の如きドーム形を成し且つ雨水を通すための複数の開口１０を備え、その内部中央に心棒部９ａを備え且つ該心棒部９ａに二枚の板ばね部材１１がビスで固定されている。尚、この板ばね部材１１は、長さが排水口４の径よりも十分に長くなっており、二枚の板ばね部材１１が十文字に交差するよう重ね合わせた状態で固定されている。

【0006】

図８は前記ドレンキャップ９を排水口４に取り付ける様子を示すもので、前記ドレンキャップ９を取り付ける際は、作業員が二枚の板ばね部材１１を撓ませて該各板ばね部材１１の下端部を排水口４の直径よりも窄めて排水口４の内部に板ばね部材１１を挿入するようしており、その挿入後に作業員の手が板ばね部材１１から放されると、該板ばね部材１１の下端部が自身の弾性力により広がって前記排水口４直下の排水管３内側に圧接し、これによりドレンキャップ９が固定される。

【0007】

尚、本発明のドレン構造と関連する一般的技術水準を示すものとしては、例えば、下記の如き特許文献１がある。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0008】

【文献】特開２００６－４５８８１号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0009】

しかしながら、斯かる従来のドレンキャップ９にあっては、四方に張り出す板ばね部材１１を排水口４の径よりも小さく窄ませて排水口４に挿入する必要があることから取り付け性に難がある上、台風等の強風に煽られることでドレンキャップ９が排水口４から抜き出されて吹き飛ばされてしまう懸念もあった。

【0010】

このような事態を防ぐには、板ばね部材１１の弾性力を強化して保持性を高めることが考えられるが、板ばね部材１１の弾性力を強化すればするほど取り付け性は悪くなり、取り外し時にも勢いよく板ばね部材１１が開いて作業員の手に当たる危険性が増すといった新たな問題を招きかねない。

【0011】

しかも、いくら板ばね部材１１の弾性力を強化するといっても、板ばね部材１１が排水口４直下の排水管内側に当接することによる摩擦力に頼った固定方式では、強風対策としてはやや脆弱であり、より確実なドレンキャップ９の抜け止めを図ることが望まれている。

【0012】

本発明は、上述の実情に鑑みてなしたもので、従来よりも取り付け性が良好で且つ強風により吹き飛ばされる心配の無いドレン構造を提供することを目的としている。

【課題を解決するための手段】

【0013】

本発明は、排水口を覆う通水構造のドレンキャップと、該ドレンキャップの内側から下方に張り出し且つ前記排水口の内部に窄めて挿入されてから自身の弾性力により広がって前記排水口直下の排水管内側に圧接する板ばね部材と、該板ばね部材に掛止して前記排水口からの抜脱を阻止するよう前記排水口の外縁部に設けられたアンカーとを備え、前記板ばね部材が長手方向に延在するスリットを有し、該スリットの幅内に収まる幅で且つ下方向きに鉤形を成すように前記アンカーが形成されていることを特徴とするドレン構造、に係るものである。

【0014】

このように構成した場合、各板ばね部材のスリットの下方部分に排水口の各アンカーを通して相互を係合させ、次いで、ドレンキャップを押し下げると、前記各アンカーが前記スリットに沿い相対的にスライドすることで、前記ドレンキャップが前記各アンカーと前記各スリットとの係合状態を維持したまま下降し、前記ドレンキャップが前記排水口に被さって着座する一方、前記各板ばね部材の下端部が自身の弾性力により広がって前記排水口直下の排水管内側に圧接し、これにより前記ドレンキャップが前記排水口直下の排水管内側に固定される。

【0015】

一方、ドレンキャップを引き上げると、該ドレンキャップが前記各アンカーと前記各スリットとの係合状態を維持したまま上昇し、排水口の各アンカーが相対的に前記各スリットの下端部に到達した時点で、下方向きに鉤形を成す各アンカーが前記各スリットの下端部に掛止され、前記ドレンキャップの更なる引き上げが阻止される。

【0016】

依って、台風等の強風に煽られてドレンキャップが排水口から抜き出されてしまったとしても、各板ばね部材のスリット長に相当する抜き出しが成されたところで各アンカーが各スリットの下端部に掛止して更なる抜き出しが阻止され、前記ドレンキャップが吹き飛ばされてしまうような事態は確実に回避される。

【0017】

この結果、強風により吹き飛ばされてしまわないよう板ばね部材の弾性力を過度に強化しなくても済んで従来よりも取り付け性が良好なものとなり、また、排水口の清掃等のためにドレンキャップを引き上げても各アンカーと各スリットとの係合状態が維持されることで板ばね部材が勢いよく開くことがなく、該板ばね部材が作業員の手に当たる危険性もなくなる。

【0018】

即ち、ドレンキャップの引き上げ時に板ばね部材が勢いよく開く心配がなければ、前記ドレンキャップを無造作に引き上げても支障が無くなるので、該ドレンキャップを排水口から取り外す作業が極めて容易になる。

【0019】

しかも、上方に引き上げたドレンキャップは、各アンカーが各スリットの下端部に掛止した位置で板ばね部材が排水口の外縁部に圧接することで該排水口から浮上した状態に支持されるので、前記ドレンキャップを完全に取り外してしまわないまま排水口の清掃等を極めて簡便に行うことが可能となる。

【0020】

更に、本発明にあっては、ドレンキャップの下部内周面の直径方向に相対する位置に二枚の板ばね部材の上端部を夫々装着し、該各板ばね部材を互いに近接する方向に一旦向かわせてから円弧断面の曲折部を介し下方向きに折り曲げ且つ下方に向かうに従い徐々に離間するように開いた形状とすることが好ましい。

【0021】

このようにすれば、ドレンキャップの下部内周面の直径方向に相対する位置で各アンカーと各スリットとが係合することになるので、上限まで引き上げたドレンキャップをそのまま横倒しにすることが可能となり、ドレンキャップを完全に取り外さないまま排水口の直上からずらして該排水口の清掃等をより一層簡便に行うことが可能となる。

【0022】

しかも、ドレンキャップの下部内周面の直径方向に相対する位置に二枚の板ばね部材の上端部を夫々装着した構造となっているので、従来の二枚の板ばね部材を十文字に交差するよう重ね合わせた状態で固定する構造と比較して、排水口の開口面積を塞いでしまう割合が大幅に少なくなって詰まり難くなる。

【0023】

尚、二枚の板ばね部材を互いに近接する方向に一旦向かわせてから円弧断面の曲折部を介し下方向きに折り曲げ且つ下方に向かうに従い徐々に離間するように開いた形状としているので、前記曲折部に無理な応力をかけずに撓ませて効果的に弾性力を効かせることが可能となる。

【0024】

また、本発明にあっては、ドレンキャップの頂部中央下面に一枚の板ばね部材の長手方向中央部を装着し、該中央部を挟んだ前記板ばね部材の二箇所を円弧断面の曲折部を介し下方向きに折り曲げ且つ下方に向かうに従い徐々に離間するように開いた形状とすることも可能である。

【0025】

このようにした場合にも、上限まで引き上げたドレンキャップをそのまま横倒しにして排水口の清掃等をより一層簡便に行うことが可能となり、従来より排水口の開口面積を塞いでしまう割合を大幅に少なくして詰まり難くすることが可能となる。

【0026】

尚、一枚の板ばね部材の長手方向中央部を挟んだ二箇所を円弧断面の曲折部を介し下方向きに折り曲げ且つ下方に向かうに従い徐々に離間するように開いた形状としているので、前記曲折部に無理な応力をかけずに撓ませて効果的に弾性力を効かせることが可能となる。

【発明の効果】

【0027】

本発明のドレン構造によれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。

【0028】

（Ｉ）本発明の請求項１に記載の発明によれば、従来よりも取り付け性が良好で且つ強風により吹き飛ばされる心配の無いドレン構造を実現することができ、しかも、上方に引き上げたドレンキャップを排水口から浮上した状態に支持することもできるので、前記ドレンキャップを完全に取り外してしまわないまま排水口の清掃等を極めて簡便に行うことができる。

【0029】

（ＩＩ）本発明の請求項２、３に記載の発明によれば、上限まで引き上げたドレンキャップをそのまま横倒しにすることができるので、ドレンキャップを完全に取り外さないまま排水口の直上からずらすことができ、該排水口の清掃等をより一層簡便に行うことができると共に、従来の二枚の板ばね部材を十文字に交差するよう重ね合わせた状態で固定する構造と比較して排水口の開口面積を広く維持することができて、該排水口を詰まり難くすることもでき、更には、曲折部に無理な応力をかけずに撓ませて効果的に弾性力を効かせることができるので、折損等が起こり難く且つ撓ませ易い板ばね部材とすることができる。

【図面の簡単な説明】

【0030】

【図1】本発明のドレン構造の一実施例を示す断面図である。

【図2】図１のドレンキャップを斜め上方から見た斜視図である。

【図3】図１のスリットにアンカーを係合させた状態を示す斜視図である。

【図4】図３のドレンキャップを排水口に被せた状態を示す斜視図である。

【図5】図３のドレンキャップを横倒しにした状態を示す斜視図である。

【図6】本発明のドレン構造の別の実施例を示す断面図である。

【図7】従来例を示す断面図である。

【図8】図７のドレンキャップを排水口に取り付ける様子を示す斜視図である。

【発明を実施するための形態】

【0031】

以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。

【0032】

図１～図５は本発明のドレン構造の一実施例を示すもので、本実施例においても、建築物の屋上やバルコニー等を構成するコンクリート躯体２に、その表面に溜まる雨水を排出するための排水管３が鉛直方向に埋設され、該排水管３の上端部に、雨水を呼び込む排水口４を形成するドレン本体５が嵌着され、該ドレン本体５上端の鍔部７と中空円盤形の防水層押え８とで挟み付けるように固定されているが、前記排水口４を覆う通水構造のドレンキャップ１２と、該ドレンキャップ１２の内側から下方に張り出し且つ前記排水口４の内部に窄めて挿入されてから自身の弾性力により広がって前記排水口４直下の排水管３内側に圧接する板ばね部材１３と、該板ばね部材１３に掛止して前記排水口４からの抜脱を阻止するよう前記排水口４の外縁部に設けられたアンカー１４とが新たな構成要件として改善されている。

【0033】

即ち、前記ドレンキャップ１２は、図７及び図８で説明した従来例の場合と同様に、ドーム形を成し且つ雨水を通すための複数の開口１５を備えている一方、その下部内周面の直径方向に相対する位置にリブ１６を備えており、該リブ１６下面に二枚の板ばね部材１３の上端部を夫々ビス１７で固定しているが、これら各板ばね部材１３は、互いに近接する方向に一旦向かわせてから円弧断面の曲折部１３ａを介し下方向きに折り曲げ且つ下方に向かうに従い徐々に離間するように開いた形状（図２参照）としてあり、前記各板ばね部材１３には、その長手方向に延在するスリット１８が形成され、該スリット１８の幅内に収まる幅で且つ下方向きに鉤形を成すように前記アンカー１４が形成されている。

【0034】

尚、ここに図示している例においては、前記中空円盤形の防水層押え８にアンカー１４が形成されており、この防水層押え８を防水シート６を挟んで前記ドレン本体５上端の鍔部７に締結した際に、前記各アンカー１４が前記排水口４の外縁部に配置されるようにしてある。

【0035】

而して、このようにドレン構造１９を構成した場合、図３に示す如く、各板ばね部材１３のスリット１８の下方部分に排水口４の各アンカー１４を通して相互を係合させ、次いで、ドレンキャップ１２を押し下げると、前記各アンカー１４が前記スリット１８に沿い相対的にスライドすることで、前記ドレンキャップ１２が前記各アンカー１４と前記各スリット１８との係合状態を維持したまま下降し、図４に示す如く、前記ドレンキャップ１２が前記排水口４に被さって着座する一方、前記各板ばね部材１３の下端部が自身の弾性力により広がって前記排水口４直下の排水管３内側に圧接し、これにより前記ドレンキャップ１２が前記排水口４直下の排水管３内側に固定される。

【0036】

一方、ドレンキャップ１２を引き上げると、該ドレンキャップ１２が前記各アンカー１４と前記各スリット１８との係合状態を維持したまま上昇し、排水口４の各アンカー１４が相対的に前記各スリット１８の下端部に到達した時点で、下方向きに鉤形を成す各アンカー１４が前記各スリット１８の下端部に掛止され、前記ドレンキャップ１２の更なる引き上げが阻止される（図３参照）。

【0037】

依って、台風等の強風に煽られてドレンキャップ１２が排水口４から抜き出されてしまったとしても、各板ばね部材１３のスリット１８長に相当する抜き出しが成されたところで各アンカー１４が各スリット１８の下端部に掛止して更なる抜き出しが阻止され、前記ドレンキャップ１２が吹き飛ばされてしまうような事態は確実に回避される。

【0038】

この結果、強風により吹き飛ばされてしまわないよう板ばね部材１３の弾性力を過度に強化しなくても済んで従来よりも取り付け性が良好なものとなり、また、排水口４の清掃等のためにドレンキャップ１２を引き上げても各アンカー１４と各スリット１８との係合状態が維持されることで板ばね部材１３が勢いよく開くことがなく、該板ばね部材１３が作業員の手に当たる危険性もなくなる。

【0039】

即ち、ドレンキャップ１２の引き上げ時に板ばね部材１３が勢いよく開く心配がなければ、前記ドレンキャップ１２を無造作に引き上げても支障が無くなるので、該ドレンキャップ１２を排水口４から取り外す作業が極めて容易になる。

【0040】

しかも、上方に引き上げたドレンキャップ１２は、各アンカー１４が各スリット１８の下端部に掛止した位置で板ばね部材１３が排水口４の外縁部に圧接することで該排水口４から浮上した状態に支持されるので、前記ドレンキャップ１２を完全に取り外してしまわないまま排水口４の清掃等を極めて簡便に行うことが可能となる（図３参照）。

【0041】

ここで、特に本実施例の場合には、ドレンキャップ１２を排水口４から浮上した状態に支持できるだけでなく、図５に示す如く、上限まで引き上げたドレンキャップ１２をそのまま横倒しにすることが可能であり、ドレンキャップ１２を完全に取り外さないまま排水口４の直上からずらして該排水口４の清掃等をより一層簡便に行うことが可能となる。

【0042】

また、ドレンキャップ１２の下部内周面の直径方向に相対する位置に二枚の板ばね部材１３の上端部を夫々装着した構造となっているので、従来の二枚の板ばね部材１１（図７及び図８参照）を十文字に交差するよう重ね合わせた状態で固定する構造と比較して、排水口４の開口面積を塞いでしまう割合が大幅に少なくなって詰まり難くなる。

【0043】

尚、二枚の板ばね部材１３を互いに近接する方向に一旦向かわせてから円弧断面の曲折部１３ａを介し下方向きに折り曲げ且つ下方に向かうに従い徐々に離間するように開いた形状としているので、前記曲折部１３ａに無理な応力をかけずに撓ませて効果的に弾性力を効かせることが可能となる。

【0044】

従って、上記実施例によれば、従来よりも取り付け性が良好で且つ強風により吹き飛ばされる心配の無いドレン構造１９を実現することができ、しかも、上方に引き上げたドレンキャップ１２を排水口４から浮上した状態に支持することもできるので、前記ドレンキャップ１２を完全に取り外してしまわないまま排水口４の清掃等を極めて簡便に行うことができ、特に本実施例の場合は、上限まで引き上げたドレンキャップ１２をそのまま横倒しにすることもできるので、ドレンキャップ１２を完全に取り外さないまま排水口４の直上からずらすことができ、該排水口４の清掃等をより一層簡便に行うことができる。

【0045】

しかも、従来の二枚の板ばね部材１１（図７及び図８参照）を十文字に交差するよう重ね合わせた状態で固定する構造と比較して排水口４の開口面積を広く維持することができ、該排水口４を詰まり難くすることもでき、更には、曲折部１３ａに無理な応力をかけずに撓ませて効果的に弾性力を効かせることができて、折損等が起こり難く且つ撓ませ易い板ばね部材１３とすることができる。

【0046】

図６は本発明の別の実施例を示すもので、本実施例においては、先の図１～図５の実施例における二枚の板ばね部材１３に代えて、ドレンキャップ１２の頂部中央下面に一枚の板ばね部材１３の長手方向中央部を装着し、該中央部を挟んだ前記板ばね部材１３の二箇所を円弧断面の曲折部１３ａを介し下方向きに折り曲げ且つ下方に向かうに従い徐々に離間するように開いた形状としたものである。

【0047】

このようにした場合にも、上限まで引き上げたドレンキャップ１２をそのまま横倒しにして排水口４の清掃等をより一層簡便に行うことができ、従来より排水口４の開口面積を塞いでしまう割合を大幅に少なくして詰まり難くすることができ、更には、折損等が起こり難く且つ撓ませ易い板ばね部材１３とすることができる。

【0048】

また、以上は新築時に初めからアンカー１４を備えた防水層押えを採用する場合で説明しているが、防水シートの経年劣化に伴う防水改修工事において、本実施例で説明した如きアンカー１４付きの防水層押えと、スリット１８付き板ばね部材１３を装備したドレンキャップ１２とを採用し、古くなった防水層押えとドレンキャップ１２との交換で本発明のドレン構造を適用することも可能である。

【0049】

尚、本発明のドレン構造は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、板ばね部材の枚数や形状及びその取り付け形式は必ずしも図示例通りに限定されないこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。

【符号の説明】

【0050】

３ 排水管
４ 排水口
１２ ドレンキャップ
１３ 板ばね部材
１３ａ 曲折部
１４ アンカー
１８ スリット
１９ ドレン構造

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】