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特許7213550超高速エネルギー貯蔵のためのホーリーグラフェンフレームワーク複合材料およびそのような複合材料を調製する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】超高速エネルギー貯蔵のためのホーリーグラフェンフレームワーク複合材料およびそのような複合材料を調製する方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20230120BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20230120BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20230120BHJP
   H01G 11/30 20130101ALI20230120BHJP
   H01G 11/42 20130101ALI20230120BHJP
【FI】
H01M4/139
H01M4/13
H01M4/36 B
H01G11/30
H01G11/42
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019515897
(86)(22)【出願日】2017-09-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-24
(86)【国際出願番号】 US2017053308
(87)【国際公開番号】W WO2018058065
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-07-28
(31)【優先権主張番号】62/399,827
(32)【優先日】2016-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ドゥアン, シアンフェン
(72)【発明者】
【氏名】フアン, ユー
(72)【発明者】
【氏名】スン, ホンタオ
【審査官】福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-518835(JP,A)
【文献】国際公開第2015/069332(WO,A1)
【文献】特開2013-030463(JP,A)
【文献】特開2016-048684(JP,A)
【文献】国際公開第2014/115669(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/115670(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00- 4/62
H01M 10/05-10/0587
H01G 11/00-11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極材料を形成する方法であって、
非ホーリーグラフェンシート上へと電気化学的活性材料を負荷することと、
混合物を形成するために、前記電気化学的活性材料を負荷した非ホーリーグラフェンシートをホーリー酸化グラフェンシートと合わせることと、
三次元(3D)複合材料グラフェンフレームワークを形成するために、前記混合物を還元条件下で処理することと
を含み、
前記三次元(3D)複合材料グラフェンフレームワークが、非ホーリーグラフェンシートおよびホーリーグラフェンシートの両方ならびに前記3D複合材料グラフェンフレームワーク内の前記非ホーリーグラフェンシートと前記ホーリーグラフェンシートの間のマクロ細孔の相互接続された多孔質ネットワークを含み、前記マクロ細孔は00nmから0μmまでの範囲のサイズを含み、そして前記電気化学的活性材料が前記3D複合材料グラフェンフレームワーク上へと負荷されている、
方法。
【請求項2】
前記電気化学的活性材料が、アノード材料またはカソード材料のナノ構造物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電気化学的活性材料を負荷することが、
前記電気化学的活性材料の前駆体を酸化グラフェンシート上へと負荷することと、
前記電気化学的活性材料を負荷した非ホーリーグラフェンシートを形成するために、前記前駆体を負荷した酸化グラフェンシートを還元条件下で処理することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ホーリー酸化グラフェンシートが、最大100nmのサイズの底面ナノ細孔を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
酸化グラフェンシートをエッチング液に曝露させることによって、前記ホーリー酸化グラフェンシートを形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記混合物を処理することが、
前記電気化学的活性材料を含むゲルを形成するために、前記混合物を還元剤の存在下で加熱することと、
前記複合材料を形成するために、前記ゲルを加熱することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記グラフェンフレームワークが、ホーリーグラフェンシートおよび前記非ホーリーグラフェンシートの両方の相互接続された多孔質ネットワークを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複合材料中の前記電気化学的活性材料の質量負荷が、50重量%またはそれよりも多い、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
三次元(3D)複合材料グラフェンフレームワークであって、非ホーリーグラフェンシートおよびホーリーグラフェンシートの両方ならびに前記3D複合材料グラフェンフレームワーク内の前記非ホーリーグラフェンシートと前記ホーリーグラフェンシートの間のマクロ細孔の相互接続された多孔質ネットワークを含み、前記マクロ細孔は00nmから0μmまでの範囲のサイズを含む、三次元(3D)複合材料グラフェンフレームワークと、
前記3D複合材料グラフェンフレームワーク上へと負荷された電気化学的活性材料と
を含む、電極構造物。
【請求項10】
前記複合材料中の前記電気化学的活性材料の質量負荷が、50重量%またはそれよりも多い、請求項9に記載の電極構造物。
【請求項11】
前記複合材料中の前記電気化学的活性材料の質量負荷が、70重量%またはそれよりも多い、請求項9に記載の電極構造物。
【請求項12】
前記電気化学的活性材料が、ナノ構造物を含む、請求項9に記載の電極構造物。
【請求項13】
前記ホーリーグラフェンシートが、最大100nmのサイズの底面ナノ細孔を有する、請求項9に記載の電極構造物。
【請求項14】
前記ホーリーグラフェンシートに対する前記非ホーリーグラフェンシートの質量比が、最大1.5/1である、請求項9に記載の電極構造物。
【請求項15】
前記複合材料の比表面積が、50m-1またはそれよりも大きい、請求項9に記載の電極構造物。
【請求項16】
電流コレクターをさらに含み、前記複合材料が、前記電流コレクターに接続している、請求項9に記載の電極構造物。
【請求項17】
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置されている電解質と
を含むエネルギー蓄積装置であって、
ここで、前記第1の電極または前記第2の電極の少なくとも1つが、
三次元(3D)複合材料グラフェンフレームワークであって、非ホーリーグラフェンシートおよびホーリーグラフェンシートの両方ならびに前記3D複合材料グラフェンフレームワーク内の前記非ホーリーグラフェンシートと前記ホーリーグラフェンシートの間のマクロ細孔の相互接続された多孔質ネットワークを含み、前記マクロ細孔は00nmから0μmまでの範囲のサイズを含む、三次元(3D)複合材料グラフェンフレームワークと、
前記3D複合材料グラフェンフレームワーク上へと負荷された電気化学的活性材料と
を含む複合材料を含む、エネルギー蓄積装置。
【請求項18】
前記複合材料中の前記電気化学的活性材料の質量負荷が、50重量%またはそれよりも多い、請求項17に記載のエネルギー蓄積装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2016年9月26日に出願された米国仮出願番号第62/399,827号の利益を主張しており、その内容は、その全体が参考として本明細書中に援用される。
【0002】
技術分野
本開示は一般に、グラフェンフレームワーク複合材料、より詳細には、エネルギー蓄積および他の用途のためのホーリー(holey)グラフェンフレームワーク複合材料に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
携帯電子機器から、電気自動車(EV)および電力系統を含めた大規模なエネルギー蓄積用途までの可動式のエネルギー供給への高まる需要と共に、高エネルギーおよび高パワー密度の両方を有するエネルギー蓄積装置を開発することに広範な研究努力が当てられてきた。一般に、電池とスーパーキャパシター(SC)は、2つの補完的なエネルギー蓄積技術に代表し、電池は、高エネルギー密度であるが低パワー密度を提供し、SCは、優れたパワー密度およびサイクル耐久性であるが乏しいエネルギー密度を提供する。高エネルギー密度(電池様)および高パワー密度(SC様)の両方を同時に示すエネルギー蓄積装置を開発することは長年の課題であった。このギャップは、様々なナノ構造の電極材料を用いることによって、電池におけるパワー密度およびサイクル寿命、ならびにSCにおけるエネルギー密度の増進での改善の継続によってより狭くなってきたが、改善された性能を実用的な装置に転換するため、かなりの課題が残っている。特に、今日までにこのようなナノ構造の材料において報告された改善された性能メトリクスは典型的には、幾分低い質量負荷の活性電極材料(例えば、約0.2~1.0mg cm-2)を有する超薄膜において達成される。これらの報告されている性能メトリクスは、実用的な装置の真の性能の適正な評価を提供しない。極度に低い質量負荷、ならびに実用的な装置における他の受動素子(例えば、電流コレクターおよびセパレーター、>約10mg cm-2)からの高いオーバーヘッドを伴って、超薄電極において達成される改善された性能は、全ての装置素子が含まれるとき、維持することができないことが多い。電流コレクターおよびセパレーターからのほぼ一定の面積特異的オーバーヘッドを考慮すると、面積特異的性能メトリクスは、電極設計の実際的意義を適正に評価するために望ましい。今日までに探究されてきた様々な材料と共にかなりの努力にも関わらず、スケール変更された面積容量または電流密度は、現在のLi-イオン電池(約3mAh cm-2、約4mA cm-2)のものを大幅に超えることはめったにない。
【0004】
このような背景で、本明細書に記載されている実施形態を開発する必要性が生じた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
要旨
ナノ構造の電極材料は、高レート(rate)または高容量のエネルギー蓄積にかなり有望である。しかし、改善された性能は、幾分低い面積質量負荷(例えば、<約1mg cm-2)を有する電極において達成されることが多く、より厚い電極においてはイオン拡散動態が急速に劣化するため、実用的な質量負荷(例えば、>約10mg cm-2)を有する電極に容易にスケール変更することができない。今日までのかなりの努力にも関わらず、これらの電極のスケール変更された面積電流密度は、現在のLi-イオン電池の面積電流密度(約4mA cm-2)を超えることはめったにない。より厚い電極における同じもしくは同様の重量比容量または電流密度(例えば、約10mg cm-2対約1mg cm-2)の持続には、所与の時間で約10倍長い距離にわたって約10倍多くの電荷を送達する高いイオン輸送速度および高い電子輸送速度の両方を要し、これは、直接的なエンジニアリングによるスケーリングの問題ではなく電極設計における根本的な課題を代表する。本明細書において、一部の実施形態は、イオンおよび電子の両方のための優れた輸送特性を確実にし、超高レートのエネルギー蓄積を実現する、ニオビア(Nb)のための導電性スキャフォールドとして階層的多孔質のホーリーグラフェンフレームワーク(HGF)の設計を対象とする。ホーリーグラフェン骨格において多孔性を系統的に適合させることによって、Nb/HGF複合電極における電荷輸送を最適化して、他の電極について報告されたものを大きく上回る、最大約3.9mAh cm-2の(またはそれよりも大きい)前例のない面積容量、および最大約440mA cm-2の(またはそれよりも大きい)電流密度を有する、実用的な質量負荷(>約10mg cm-2)で優れた電気化学的性能を実現することができる。大きい質量負荷での高い面積容量および高レート能力の達成は、実用的な装置への道を開く。
【0006】
アプローチは、三次元のHGF複合材料を形成し、エネルギー蓄積用途、または容量性脱塩および水浄化のためにこのような複合材料を使用するための一般のアプローチを表す。他のHGF複合材料は、アノードのためにケイ素、スズ、Fe、ゲルマニウム、アンチモン、SnOなどと、ならびに高エネルギーおよび高パワーのカソードのためにCoO、LiFePO、硫黄、リンなどとコンジュゲートするために形成することができる。
【0007】
一部の実施形態では、電極材料を形成する方法は、(1)グラフェンシート上へと電気化学的活性材料を負荷することと、(2)混合物を形成するために、電気化学的活性材料を負荷したグラフェンシートをホーリー酸化グラフェンシートと合わせることと、(3)電気化学的活性材料を負荷されたグラフェンフレームワークを含む複合材料を形成するために、混合物を還元条件下で処理することとを含む。
【0008】
方法の一部の実施形態では、電気化学的活性材料は、アノード材料またはカソード材料のナノ構造物を含む。
【0009】
方法の一部の実施形態では、電気化学的活性材料を負荷することは、電気化学的活性材料の前駆体を酸化グラフェンシート上へと負荷することと、電気化学的活性材料を負荷したグラフェンシートを形成するために、前駆体を負荷した酸化グラフェンシートを還元条件下で処理することとを含む。
【0010】
方法の一部の実施形態では、ホーリー酸化グラフェンシートは、最大約100nmのサイズの底面ナノ細孔を有する。
【0011】
方法の一部の実施形態では、方法は、酸化グラフェンシートをエッチング液に曝露させることによって、ホーリー酸化グラフェンシートを形成することをさらに含む。
【0012】
方法の一部の実施形態では、混合物を処理することは、電気化学的活性材料を含むゲルを形成するために、混合物を還元剤の存在下で加熱することと、複合材料を形成するために、ゲルを加熱することとを含む。
【0013】
方法の一部の実施形態では、グラフェンフレームワークは、ホーリーグラフェンシートおよびグラフェンシートの相互接続された多孔質ネットワークを含む。
【0014】
方法の一部の実施形態では、電気化学的活性材料は、グラフェンシート上へと選択的に負荷されている。
【0015】
方法の一部の実施形態では、複合材料中の電気化学的活性材料の質量負荷は、約50重量%またはそれよりも多い。
【0016】
一部の実施形態では、電極構造物は、(1)相互接続されたグラフェンシートおよびホーリーグラフェンシートを含むグラフェンフレームワークと、(2)グラフェンフレームワーク上へと負荷された電気化学的活性材料とを含む複合材料を含む。
【0017】
電極構造物の一部の実施形態では、電気化学的活性材料は、グラフェンシート上へと選択的に負荷されている。
【0018】
電極構造物の一部の実施形態では、複合材料中の電気化学的活性材料の質量負荷は、約50重量%またはそれよりも多い。
【0019】
電極構造物の一部の実施形態では、複合材料中の電気化学的活性材料の質量負荷は、約70重量%またはそれよりも多い。
【0020】
電極構造物の一部の実施形態では、電気化学的活性材料は、ナノ構造物を含む。
【0021】
電極構造物の一部の実施形態では、ホーリー酸化グラフェンシートは、最大約100nmのサイズの底面ナノ細孔を有する。
【0022】
電極構造物の一部の実施形態では、ホーリーグラフェンシートに対するグラフェンシートの質量比は、最大約1.5/1である。
【0023】
電極構造物の一部の実施形態では、複合材料の比表面積は、約50m-1またはそれよりも大きい。
【0024】
電極構造物の一部の実施形態では、電極構造物は、電流コレクターをさらに含み、複合材料は、電流コレクターに接続している。
【0025】
一部の実施形態では、エネルギー蓄積装置は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に配置されている電解質とを含む。第1の電極または第2の電極の少なくとも1つは、(1)相互接続されたグラフェンシートおよびホーリーグラフェンシートを含むグラフェンフレームワークと、(2)グラフェンフレームワーク上へと負荷された電気化学的活性材料とを含む複合材料を含む。
【0026】
エネルギー蓄積装置の一部の実施形態では、電気化学的活性材料は、グラフェンシート上へと選択的に負荷されている。
【0027】
エネルギー蓄積装置の一部の実施形態では、複合材料中の電気化学的活性材料の質量負荷は、約50重量%またはそれよりも多い。
【0028】
本開示の他の態様および実施形態も企図される。上記の概要および下記の詳細な説明は、本開示を任意の特定の実施形態に制限することを意味しないが、本開示の一部の実施形態について記載することを単に意味する。
【0029】
本開示の一部の実施形態の性質および目的のより良好な理解のために、添付図面と併用される下記の詳細な説明を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、三次元(3D)の階層的多孔質複合材料を調製する二段階プロセスの流れの概略図である。Nbを、段階1において、最初に酸化グラフェン(GO)の第1の部分(複合材料の約4重量%)上に実質的に均一に施し、次いで、GO/ホーリー酸化グラフェン(HGO)の第2の部分(複合材料の約10重量%)で、それに続いて還元プロセスを行って、モノリシック自立型の複合材料ヒドロゲルを生成する。適合した細孔を有する様々なHGOを、様々な持続時間(0、約0.5、約1.0、および約2.0時間)、H中でエッチングすることによって調製し、グラフェンシートにおいて様々な程度の多孔性を有する、Nb/初期の状態のグラフェンフレームワーク(GF)、Nb/HGF-0.5、Nb/HGF-1.0、およびNb/HGF-2.0を調製するために使用した。斜方晶のNb(T-Nb)を生成し、かつ還元されたGO(RGO)シートをさらに脱酸素化して、それらの電子輸送特性を改善するために、試料を各段階の終わりに約600℃でアルゴン中アニーリングした。これらの複合材料エアロゲルにおいて、T-Nbの量は、約85重量%であるように制御される。
【0031】
図2A図2は、T-Nb/HGF複合電極の材料の特徴付けを示す図である。a~d、それぞれ、0、約0.5、約1.0および約2.0時間、H中でエッチングすることによって得た、適合した細孔を有するグラフェンシートの透過型電子顕微鏡(TEM)像。e、Nb/HGF複合材料の横断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像は、3D階層的多孔質構造を示す。挿入図は、電極を作製するために使用される自立型のモノリシックヒドロゲルを示す。f、約600℃でのアニーリングの前および後の合成されたままのNb/G粉末、ならびに自立型のNb/HGF複合材料のX線回折(XRD)パターン。アモルファス相は、高レートのリチウム挿入のために望ましい斜方晶相に効果的に変換される。g、約10~15nmの粒径を有する実質的に均一に施されたT-Nbナノ粒子を有するグラフェンシートのTEM像。h、斜方晶相の(001)平面について約0.39nmの格子間隔を有するT-Nbの高分解能TEM(HR-TEM)像。i、熱アニーリングの後のNb/G粉末のラマンスペクトル、ならびに自立型のNb/GFおよびNb/HGF電極。DおよびGバンドは、RGOの特徴である;約120、約230、約310および約690cm-1でのラマンバンドは、T-Nbの斜方晶相をさらに確認する。j、密度汎関数理論(DFT)孔径分布の比較。エッチング時間の増加に伴うHGOから調製した複合材料についての、ミクロ細孔(例えば、約1.5nm)からメソ細孔(例えば、約2.7nm)への顕著な孔径のシフト。
図2B】同上。
図2C】同上。
図2D】同上。
図2E】同上。
図2F】同上。
図2G】同上。
図2H】同上。
図2I】同上。
図2J】同上。
【0032】
図3A図3は、多孔性を伴う動態特性および電気化学的特性の進展を示すグラフである。a、b、開路電位での定電圧電気化学的インピーダンス分光法(EIS)から得たナイキストプロットの比較(a)、電極材料の多孔性に応じた対応する電荷移動抵抗(Rct)およびワールブルグ因子(σ、Zwの勾配対ω-1/2)(b)。多孔性の増加に伴って、電荷輸送動態は、徐々に減少するワールブルグ因子および電荷移動抵抗によって実質的に改善する。c、約0.2~約20A g-1の様々な充電電流密度による、約1.1Vの電位での定電流EISから取得したオーム抵抗の比較。多孔質構造を有する3D電極は、他の電極よりはるかに少ないオーム抵抗の増加を示す。d、約1.1~3.0Vの電圧窓(対Li/Li)における約10Cのレート(約2A g-1)での、調節可能なナノ細孔を有する様々な電極の定電流充電-放電曲線。ナノ細孔を有するNb/HGF-2.0電極の充電-放電曲線は、より小さい勾配およびより小さい電圧降下によって示されるように改善された容量および低減した内部抵抗を示す。e、調節可能な細孔を有する3D複合電極についての様々なレート(約1~100C)での比容量の比較。全ての電気化学的特性は、約6mg cm-2の面積質量負荷を有する自立型の電極の総重量によって規準化した。f、Nb/HGF-2.0電極とNb/GF電極との間の約0.2~約50mV s-1の様々な走査速度でのアノードのピーク電流の比較。最大約5mV s-1の1に近い力率(b=0.91)を有するNb/HGF-2.0電極についての準直線的相関は、速い表面制御機序を示し、約5~約50mV s-1の走査速度についての約0.6の力率は、表面制御された拡散と半無限の制御された拡散との間の機序を示す。一方、Nb/GF電極について、速い表面制御機序は、最大約1.0mV s-1維持することをでき、それを超えると、半無限の直線的拡散が優勢である(b=0.52)。速い動態は、(f)において実用的な質量負荷(約11mg cm-2)で電極を使用して示された。
図3B】同上。
図3C】同上。
図3D】同上。
図3E】同上。
図3F】同上。
【0033】
図4A図4は、質量負荷依存性電気化学的特性を示す図である。a~c、Nb/HGF-2.0、Nb/GFおよびNb/G電極についての、開路電位での定電圧EISから得たナイキストプロットの比較(a)、および電荷移動抵抗の対応する質量依存性バリエーション(b)およびワールブルグ因子(c)。質量負荷の増加に伴って、電荷移動抵抗およびワールブルグ因子の両方は、Nb/G対照電極についてほぼ2倍増加し、一方、両方のパラメーターは、Nb/HGF-2.0電極について僅かに増加する。d、e、約1~約11mg cm-2の様々な質量負荷についての、約10Cのレートでの3DのNb/HGF-2.0電極(d)およびNb/G対照電極(e)の定電流充電-放電曲線。Nb/HGF-2.0電極は、質量負荷の増加に伴う明らかな容量の低減および電圧降下を示さず、一方、Nb/G対照電極は、質量負荷の増加に伴う厳しい容量の劣化、ならびにますますより急となる勾配およびより大きい電圧降下を示し、これは、ますますより大きい内部抵抗を示す。f、異なる質量負荷(約1mg、約6および約11mg cm-2)下でのNb/HGF-2.0(中空)およびNb/G(固体)電極のレート性能(約1~100C)の比較。Nb/HGF-2.0電極は、様々なレートでNb/G電極よりはるかに高い容量を実現することができることは明らかである。g、h、質量負荷が約1mg cm-2から約11mg cm-2へと増加するにつれて、約10C(g)および約50C(h)での比容量の保持の比較。約11mg cm-2の質量負荷を有するNb/G電極について、約30%(約10Cで)および約11%(約50Cで)の容量保持と比較して、最大約11mg cm-2に増加する質量負荷を有するNb/HGF-2.0電極について、容量の約95%(約10Cで)および約72%(約50Cで)を維持することができる。自立型のNb/HGF-2.0およびNb/GF電極の全ての電気化学的特性は、電極材料(導電性添加物およびバインダーを非含有)の総重量によって規準化した。対照Nb/G電極は、電極材料(バインダーおよび導電性添加物を含めた)の総重量によって規準化した。
図4B】同上。
図4C】同上。
図4D】同上。
図4E】同上。
図4F】同上。
図4G】同上。
図4H】同上。
【0034】
図5A図5は、高い質量負荷電極の真の性能メトリクスを示すグラフである。a、Nb/HGF-2.0、Nb/GF、Nb/G、およびNb/C電極についての約10Cでの質量負荷依存性面積容量の比較。Nb/HGF-2.0電極について、面積容量は質量負荷と共にほぼ直線的に増加する。対照的に、対照電極Nb/GF、Nb/GおよびNb/Cは全て、同じ質量負荷で実質的により低い面積容量を実現し、質量負荷と直線的なスケーリング関係を示さない。b、様々なCレートでの面積容量および面積質量負荷の相関。Cレートが増加すると、質量のさらなる増加は、不十分なイオン送達能力によって比例的により大きい容量をもたらさない。c、様々な質量負荷(約1~22mg cm-2)での面積電流密度に対する面積容量。様々な質量負荷についての容量は、閾値電流密度に達するまで維持され、電荷輸送制約の開始を示す。d、金属電流コレクター(約10mg cm-2)の重量を考慮に入れたときの、様々な電流密度での比容量の転換。約11mg cm-2の高い質量負荷を有する電極について、電流コレクターの質量を考慮する場合、比容量および電流密度は、約2分の1低減し、一方、約1mg cm-2の低い質量負荷を有する電極について、対応する性能メトリクスは約11分の1低減する。
図5B】同上。
図5C】同上。
図5D】同上。
【0035】
図6図6は、本開示の一部の実施形態による電池の概略図である。
【0036】
図7図7は、Nb-GF、Nb-HGF-0.5、Nb-HGF-1.0およびNb-HGF-2.0電極の熱重量分析を示すグラフである。
【0037】
図8A図8は、a、(本開示の一部の実施形態の)方法1:Nb-HGF電極を調製するために、各ハイブリダイゼーション段階の後にアニーリングを伴う二段階ハイブリダイゼーション方法;b、方法2:最初のハイブリダイゼーションの後にアニーリングを伴わない二段階ハイブリダイゼーション方法;c、方法3:一段階ハイブリダイゼーション方法を示す図である。
図8B】同上。
図8C】同上。
【0038】
図9A図9は、形成されたヒドロゲルを示す図である。a、異なる合成方法を使用して形成されたヒドロゲルの比較。試料番号1、番号2および番号5は、それぞれ、方法1、2および3を使用した還元により誘発される自己アセンブリーによる、同じNb重量パーセントでの生成物である。試料番号3および番号4は、一段階方法を使用したが、より低いNb重量パーセント(約65および約75重量%)での生成物である。b~d、合成後アニーリングの後の試料番号1、番号2および番号3の横断面のSEM像。スケールバーは、(b~d)において10μmである。
図9B】同上。
図9C】同上。
図9D】同上。
【0039】
図10図10は、修正ランドルズ等価回路を示す図である。Rは、電子接触抵抗、電極の電子抵抗、および電解質抵抗に由来するオーム抵抗であり、CPEおよびRctは、それぞれ、二重層キャパシタンスおよび電荷移動抵抗であり、Zは、バルク電極中へのリチウムイオンの拡散に関連するワールブルグインピーダンスである。
【0040】
図11A図11は、定電流EISに由来する様々な電流密度でのオーム抵抗(R)を示すグラフである。a、様々な充電電流密度の間に約2.5Vで測定。b、様々な放電電流密度の間に約1.1Vで測定。
図11B】同上。
【0041】
図12図12は、高い充電/放電電流下でのイオン輸送の概略図である。最適な適合したナノ細孔を有する3D電極は、高い充電/放電電流でほぼ妥協のないイオン輸送能力を示し、一方、適合した細孔を有さない電極は、電流集中効果によって、電極を通る相当に遅くなったイオン輸送を示す。定電圧/定電流EIS研究は、直流電流(DC)下での電極厚さ全体を横切る長距離イオン輸送を含む充電/放電プロセスとは異なる、交流電流(AC)摂動下での短距離におけるイオン輸送を主に測定することに留意すべきである。適合した細孔を有する電極と有さない電極との間の差異は、イオンが電極厚さ全体を横断しなければならない充電/放電プロセス下でさらにより大きくあり得る。
【0042】
図13A図13は、調節可能な細孔を有する3D複合電極についての定電流充電-放電曲線を示すグラフである。a、約1Cのレートで。b、約5Cのレートで。
図13B】同上。
【0043】
図14A図14は、異なるCレートでの定電流充電-放電曲線を示すグラフである。a、Nb/HGF-2.0電極。b、Nb/GF電極。
図14B】同上。
【0044】
図15A図15は、約0.2~約1mV s-1の様々な走査速度でのサイクリックボルタンメトリー曲線を示すグラフである。a、Nb/HGF-2.0電極。b、Nb/GF電極。面積質量負荷は、約11mg cm-2である。
図15B】同上。
【0045】
図16A図16は、Nb/C電極の面積質量負荷依存性電気化学的特性を示すグラフである。a~c、対照電極についてのナイキストプロットの比較(a)、電荷移動抵抗のそれらの対応する質量負荷によって誘発されるバリエーション(b)およびワールブルグ因子(c)。d、異なる質量負荷でのレート性能(約1~100C)。
図16B】同上。
図16C】同上。
図16D】同上。
【0046】
図17図17は、約10CでのNb/HGF-2.0電極の長いサイクル性能を示すグラフである。
【0047】
図18図18は、約50Cのレートでの質量負荷に応じた面積容量の比較を示すグラフである。
【0048】
図19図19は、約1~約22mg cm-2の様々な質量負荷での約1~100Cの異なるレート下のNb/HGF電極の面積容量の比較を示すグラフである。
【0049】
図20図20、表1は、エネルギー蓄積材料の性能メトリクスの比較を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
詳細な説明
実際に関連性のある電極について、活性材料の質量分率を増加させることは、全体的な装置性能を増進させる一手段である。一般に、活性材料の面積質量負荷は、典型的な電流コレクター(約10~30μm厚さのアルミニウムまたは銅箔:約5~10mg cm-2)およびセパレーター(約1~2mg cm-2)のものより少なくとも高いはずである。別様に、これらの電気化学的に不活性な素子(components)の質量は、総装置質量の大半を占め、より重要でない活性材料の高容量または高レート能力を与える。さらに、高い面積質量負荷を有する電極は、実用的な電極スタックにおいて層の数を減少させ得、このように、不活性な素子(例えば、セパレーター)ならびにアセンブリーの時間およびコストを低減させる。他方、低い質量負荷を有するより薄い電極において達成される高容量または高レート能力は典型的には、より厚い電極において維持することができない。重量比容量またはレート能力は典型的には、より厚い電極において急速に劣化する。これは、超高容量(例えば、Si)または超高レート能力(例えば、Nb)を伴うそれらの材料について特に当てはまる。容量または電流密度における任意の所与の増加は、電荷送達速度における同じ量の増加を特定し(容量または電流密度が増加するほど、より高い電荷送達能力が関与する)、これは材料自体を超えた特定の課題である。
【0051】
一般に、より高い質量負荷電極(約10mg cm-2対約1mg cm-2)で同じまたは同様の重量比容量および電流密度を持続させることは、所与の時間で約10倍多くの電荷(イオンおよび電子)を約10倍長い距離にわたって送達するのに、はるかに高い有効なイオン輸送速度およびより高い電子輸送速度の両方が関与する。実用的な質量負荷(例えば、約10mg cm-2)を有する電極における予想される高レートを満足させる特定のイオン輸送速度は、相対的に低い質量負荷を有するもの(例えば、約1mg cm-2)より約100倍速いはずである。したがって、厚い電極において、イオンの質量輸送の限度、および電子についての抵抗は、特に重要となる。不十分な電荷輸送は、相当により高い過電位によって固定された充電/放電窓下での容量を激しく劣化し得る。現在の電池を相当に超える実用的な装置における電極材料(例えば、高容量のためのケイ素、および高レートのためのNb)の有望性を実現することは、典型的な電極構築物のそれを超える前例のない電荷輸送速度が関与し、これは直接的なエンジニアリングによるスケーリング問題ではなく電極設計における根本的な課題を表す。
【0052】
ニオビア(Nb)は、高容量(SCと比較して)および超高レート能力の両方を有する高度に有望なアノード材料である。特に、斜方晶のNb(T-Nb)は、(001)平面の間に空の八面体の部位を有する結晶構造を特色とし、これは、低いエネルギー障壁を有するa-b平面全体にわたって天然のトンネルを提供して、インターカレーション擬似容量性機序を介する急速なイオン輸送を促進する。したがって、T-Nbの電荷蓄積は、他の電池材料において通常見られる半無限の拡散によって制御されないが、表面制御動態が材料のバルクにおいて起こり、異常に高いレート能力をもたらす。しかし、T-Nbにおける制約された電子伝導性によって、高レート能力は典型的には、制約された総エネルギーまたはパワー出力を伴う薄膜電極(例えば、<約1μm、<約0.1mg cm-2の質量負荷を有する)および空洞微小電極において実現される。ナノ構造設計および炭素をベースとするハイブリッドへのかなりの努力に関わらず、高容量および高レート能力は典型的には、相対的に低い質量負荷(例えば、約0.5~4.0mg cm-2)において達成され、全体的な電気化学的性能は典型的には、電極の質量または厚さが実用的な値(例えば、最も高い報告された負荷として約4mg cm-2)に近づくと維持することができない。このような高レートの材料を有するより厚い電極において、全体的なレート能力は、電極材料内部のイオン輸送によってもはや制約されないが、電極材料表面への不十分なイオン送達によって決定づけられる。
【0053】
T-Nbの並はずれたレート能力を完全に利用するために、高容量および高レート能力のための優れた電子輸送特性を保持する一方で、電極アーキテクチャを適正に設計し、かつ電流電極設計の制約を越えてひときわ優れたイオン輸送速度を確実にすることが望ましい。ここで、一部の実施形態は、実用的な質量負荷(>約10mg cm-2)においてでさえ最適化された容量および超高レート能力を達成するための、T-Nbナノ粒子のためのスキャフォールドアーキテクチャとして調節可能な多孔性を有する三次元のホーリーグラフェンフレームワーク(3D-HGF)を対象とする。二段階ハイブリダイゼーション方法を使用して、高負荷のT-Nb活性材料(例えば、約85重量%)を有する自立型のNb/HGF複合材料(導電性添加物およびバインダーを実質的に非含有)を調製する(図1)。Nb/HGF複合材料は、3Dネットワークにおいてより大きいサイズの細孔(マクロ細孔)、およびグラフェンシートにおいて調節可能なミクロ細孔からメソ細孔を有する階層的多孔質構造を示し、これは、急速な質量輸送を促進し、モノリシック構造全体にわたる拡散抵抗を緩和し、かつイオンが到達可能な表面積を増加させ、高い面積質量負荷においてでさえ高容量および高レート能力をもたらす。面内細孔が、電極全体にわたって急速なイオン送達のためのイオン輸送のショートカットを提供することができるため、適合したナノ細孔を有するNb/HGF複合材料は、適合した細孔を有さない他の電極(Nb/GF、Nb/GまたはNb/C)より効率的なイオン輸送能力を有することができることを体系的調査は示す。最適化されたイオン輸送動態を伴って、Nb/HGFアノードの重量比容量は、最大約22mg cm-2の質量負荷の増加と共にほとんど劣化を示さず(1Cで)、他の典型的な低い質量負荷(<約1.5mg cm-2)の電極において達成される容量よりさらに高い、約174mAh g-1の高い重量比容量を実現する(表2を参照されたい)。著しく、高い質量負荷での妥協のない性能を伴って、最適化されたNb/HGF電極は、約3.9mAh cm-2の前例のない面積容量(約22mg cm-2および約4.4mA cm-2で)および約440mA cm-2の前例のない面積電流(約22mg cm-2および約0.4mAh cm-2で)を実現する。
【0054】
電極材料の合成および特徴付け。図1は、自立型のNb/HGF複合材料を調製するプロセスの流れを図式的に例示する。詳細な手順を、方法において詳述する(実施例を参照されたい)。複合材料エアロゲルを、二段階プロセスにおいて酸化グラフェン(GO)またはホーリー酸化グラフェン(HGO)をNb前駆体でハイブリダイズすることによって調製した。段階1において、GOの第1の部分(複合材料の約4重量%)は、二次元(2D)GOシート上のNbを実質的に均一に施すための物理的サポートとして主に使用され、段階2において、GO/HGOの第2の部分(複合材料の約10重量%)は、モノリシック自立型の3D多孔質構造のアセンブリーのために主に使用される。適合した細孔を有する様々なHGOは、約0.5~約2.0時間の様々な持続時間、H中でエッチングすることによって調製し、第2の段階において使用した。斜方晶のNb(T-Nb)を生成し、還元されたGO(RGO)シートをさらに脱酸素化して、それらの電子輸送特性を改善するために、試料を各段階の終わりに約600℃にてアルゴン中アニーリングした。3Dフレームワークを形成するために利用される様々なGO/HGOについて、最終複合材料エアロゲルは、初期の状態のグラフェンフレームワーク(GF)を利用するものについてNb/GF、ならびにそれぞれ、約0.5、約1.0および約2.0時間、H中でエッチングすることによって得た適合した細孔を有するホーリーグラフェンフレームワーク(HGF)を利用するものについてNb/HGF-0.5、Nb/HGF-1.0、およびNb/HGF-2.0(注:より長い時間、例えば、>約2.0時間エッチングしたHGOを使用する場合、より繊細な複合材料エアロゲルが得られた)と表される。これらの複合材料エアロゲルにおいて、T-Nbの量は、約85重量%であるように制御され(図7における熱重量分析(TGA)を参照されたい)、これは、その実質的な添加物非含有特徴によって、典型的にはスラリー調製された電極のものより高い。
【0055】
複合電極における多孔性は、イオンが到達可能な表面積に影響を及ぼし、イオン輸送動態を改善することができ、このように、電気化学的特性において重要な役割を果たすことができる。Nb/HGF複合電極における多孔性の影響を探究するために、ミクロ細孔からメソ細孔の範囲の様々な細孔を有するGOまたはHGOシートを使用し、3D-Nb/HGFヒドロゲル複合材料を創出する。HGOシートを、0~約2.0時間の様々な持続時間、GOシートをHでエッチングすることによって調製したが、ここでは、酸化的エッチングは、化学的活性酸素欠陥部位から開始し、GOの底面において広める。その結果、小さい炭素空孔は、エッチング時間の増加と共により大きい細孔中に徐々に広がる。グラフェンシート上のこれらの調節可能な細孔の進展は、高分解能透過型電子顕微鏡(HR-TEM)研究によって特徴付けしたが、これはエッチング時間の増加と共に増加する孔径を示す(図2a~d)。
【0056】
第2のハイブリダイゼーション段階の後で、自立型のモノリシックヒドロゲルが得られる(図2e、挿入図)。走査型電子顕微鏡(SEM)研究は、3D多孔質構造を示す(図2e)。GO上の合成されたままのNbはアモルファスであり、アルゴン中約600℃でのアニーリングの後に、X線回折(XRD)研究によって示されるように、T-Nbの斜方晶相(JCPDS30-873)に効果的に変換することができる(図2f)。T-Nbの結晶サイズは、XRDピーク幅に基づいたデバイ-シェラー式によって決定するように約15~20nmである。複合材料中のグラフェンは、低い質量比および少ない積重ねられたグラフェンシートのために、XRDパターン(約26度)においてほとんど認識不可能である。透過型電子顕微鏡(TEM)像(図2g)は、T-Nbナノ粒子が約10~15nmのサイズを有するグラフェンシート上に実質的に均質に施されていることをさらに確認し、これはXRD研究に由来するものと一致する。HR-TEM像は、約0.39nmの明瞭に解像された格子間隔を示し、これは斜方晶相の(001)平面と一致する(図2h)。ラマン分光研究は、複合材料におけるRGOの特徴的なDおよびGバンドを示す(図2i)。さらに、約120、約230、約310および約690cm-1におけるラマンバンドは、斜方晶相T-Nbをさらに確認する。さらに、ブルナウアー-エメット-テラー(BET)測定および密度汎関数理論(DFT)分析は、3DのNb/HGF複合材料における平均孔径分布を与えることができ(図2j)、ここで、エッチング時間の増加と共に、HGOから調製したNb/HGF複合材料について、ミクロ細孔(例えば、約1.5nm)からメソ細孔(例えば、約2.7nm)への顕著な孔径のシフトが起こり、これは対応するHR-TEM研究と一致する(図2a~d)。さらに、BET研究は、比表面積について増加する傾向を示す(エッチング時間が0から約2.0時間へと進展すると、複合材料の総質量によって規準化して、約65m-1から約83m-1)。
【0057】
各段階の後でアルゴン中約600℃でのアニーリングを伴う二段階ハイブリダイゼーションアプローチは、高パワー性能のためのNbナノ粒子の高い質量負荷および十分な電気伝導性を有する機械的に強い3Dヒドロゲルの調製を可能とすることに留意すべきである。他の合成方法、例えば、第1のハイブリダイゼーション段階の後にアニーリングを伴わない二段階ハイブリダイゼーション方法(図8bにおける方法2を参照されたい)および一段階ハイブリダイゼーション方法(図8cにおける方法3を参照されたい)も、比較のために探求した。一段階方法について、金属酸化物の質量比が<約65%であるとき、複合材料ヒドロゲルを得ることができる(図9aにおける試料番号3~5を参照されたい)。SEM研究は、二段階方法から得た複合材料エアロゲルが、最初のハイブリダイゼーションの後のアニーリングを伴わない二段階方法から得たもの(図9c)、および一段階方法から得たもの(図9d)と比較したとき、よりオープンな3D多孔質構造を示す(図2aおよび図9b)ことも示す。
【0058】
まとめると、他のハイブリダイゼーション方法と比較した、二段階ハイブリダイゼーション方法のいくつかの注目すべき特徴が存在する:(1)機械的に強い3D多孔質構造を維持する一方で、高い質量負荷の活性材料(例えば、約85重量%)の組込みを容易に可能とすることができる;(2)二段階アニーリング処理によって、金属酸化物の結晶化プロセスによる3Dグラフェンフレームワークの可能性のあるダメージを緩和することができる;(3)活性材料負荷段階を3Dコンジュゲーション段階から切り離し、このように、段階2において3Dグラフェンネットワークの形成に対してはるかに少ないマイナスの影響を伴って、段階1において様々な構造物を合成するためのより広範な柔軟性を可能とする。それらの特徴によって、二段階方法は、ロバストな階層的多孔質構造物および活性材料の高負荷を有する自立型のグラフェンをベースとする複合材料の合成のための一般戦略となり、それは、実用的な面積質量負荷(>約10mg cm-2)においてでさえ複合材料エアロゲルにおける電子およびイオンの両方の輸送を促進するための好ましい経路を提供することができる。
【0059】
多孔性による電気化学的特性の調節。グラフェンシートにおける孔径を系統的に適合させることが可能であることによって、結果として得られたNb/HGF複合材料のイオン輸送および電気化学的特性を容易に調節することが可能になり得る。構造特性とそれらの対応する電荷輸送動態との間の相関への洞察を得るために、定電圧電気化学的インピーダンス分光法(EIS)測定を、開路電位での調節可能な面内のナノ細孔を有する複合材料上で行う。ナイキストプロットは、全ての電極について、高~中周波数において単一の半円、および低周波数において傾斜したラインを示す(図3a)。高周波数における実軸での遮断は、電子接触抵抗、電極の電気抵抗、および電解質抵抗に由来するオーム抵抗(Re)であり、これは幾分低く(約1.8~2.1Ω)、修正ランドルズ等価回路分析によってさらに検証される(図10および表3)。ここで、オーム抵抗は、電解質抵抗に主に起因し、他の素子(例えば、電極、コインセル素子および接触子)からの抵抗は、同じ程度に無視できるはずである。一方では、中~高周波数範囲(図3a)における半円の徐々に減少する直径は、HGFにおける細孔の増加と共に約25Ωから約16Ωへの電荷移動抵抗(Rct)の低減を表す(図3bおよび表3)。低いオーム抵抗および徐々に低減する電荷移動抵抗は、高度に相互接続されたグラフェンネットワークによってもたらされる優れた電子輸送、およびモノリシック電極全体にわたる高度に連続的な多孔質チャネルによって促進される好ましいイオン輸送動態に大いに起因することができ、これは典型的なスラリーをベースとする電極において達成することは困難である(次のセクションにおいて比較の詳細を参照されたい)。孔径の増加と共に低周波数範囲における連続的に増加する勾配は、面内細孔を適合させることよって実質的に改善された拡散動態を示すものであり、これはワールブルグインピーダンス(Z)分析によって検証される(図10)。改善された拡散能力をさらに調査するために、ワールブルグ因子(σ)は、拡散制御された領域におけるワールブルグインピーダンスの勾配対ω-1/2(ω:角周波数)に由来する。ワールブルグ因子は、ホーリーグラフェンシートにおける孔径の増加と共に大幅に減少し(約43Ω Hz1/2対約20Ω Hz1/2)(図3bおよび表3)、これは実質的に改善されたイオン輸送能力を示す。この拡散抵抗は、階層的多孔質構造内の固体状態Nbナノ粒子および電解質の両方におけるイオン拡散に由来することに留意すべきである。Nbナノ粒子における実質的に一定の拡散係数のために、改善されたイオン拡散特性は、電極全体にわたるNbナノ粒子へのイオン拡散およびイオン送達を促進するために最適化された多孔質構造から主にもたらされる。まとめると、イオン輸送動態は、3Dグラフェンスキャフォールドを形成するホーリーグラフェンシートにおいて孔径を適合させることによって相当に改善することができることを、上記の研究は示す。特に、面内細孔は、階層的多孔質構造におけるイオン輸送ショートカットとして機能して、3D電極全体にわたるイオン輸送を大いに迅速化し、活性材料(T-Nb)の表面へのイオンのアクセスを促進することができる。
【0060】
動作条件下でイオン輸送動態を評価するために、定電流EIS測定は、約1.1または約2.5Vの電位で様々な充電/放電電流密度にて電極上で行われる(図3cおよび図11)。ナノ細孔を有する3Dの多孔質電極(Nb/HGF-2.0)は、約0.2から約20A g-1への電流密度の増加と共に、約2.5または約1.1Vのいずれかでほぼ一定のオーム抵抗(電解質抵抗)を示し、これは、高い充電/放電レートでの、電解質抵抗の真のオーム挙動、およびほぼ妥協のないイオン輸送能力を示す。対照的に、適合した細孔を有さない他の対照電極(面内細孔を有さないGF上に負荷されたNb/GF:Nbナノ粒子;Nb/GおよびNb/C:Nbナノ粒子およびグラフェンまたはアモルファス炭素)において測定したオーム抵抗(電解質抵抗)は、電流密度の増加と共により高いオーム抵抗を示し、これは、高い電流密度にて非オーム挙動および損なわれたイオン輸送特性を示し、これは高い充電/放電電流での電流集中効果による電極における相当に遅くなったイオン輸送に起因する可能性がある(図12)。これらの研究は、イオン輸送のショートカットとして適合した細孔を有するNb/HGFが、高レートでの持続する性能のためのイオン輸送動態および真のオーム挙動を維持するために望ましいことを強調する。EIS研究は、直流電流(DC)下での電極厚さ全体を横切る長距離イオン輸送を含む充電/放電プロセスとは異なる、交流電流(AC)摂動下での短距離におけるイオン輸送を主に測定することにも留意すべきである。適合した細孔を有する電極と有さない電極との間の差異は、イオンが電極厚さ全体を横断しなければならない充電/放電プロセス下でさらにより大きくあり得る。
【0061】
約1および約5C(1C:0.2Ah g-1)(図13)、ならびに約10C(図3d)のレートでの定電流充電/放電曲線において、ナノ細孔を有するNb/HGF-2.0電極は、より小さい電圧降下およびより小さい勾配によって示されるように、改善された容量および低減した内部抵抗を示す。全ての充電-放電曲線は、Nb/HGF電極の特徴である相対的に高いカットオフ電圧(約1.1V)を示す。高いカットオフ電圧は、利点、例えば、低電位で過剰な固体電解質界面(SEI)の形成の防止、および電極材料の外側の表面膜抵抗の低減をもたらし、このように、速い質量輸送を促進し得る。
【0062】
最適化された輸送動態のさらなる検証は、約6mg cm-2の相対的に高い質量負荷で、調節可能な面内のナノ細孔を有する3D複合電極のレート性能(約1~100C)を比較することによって行った(図3eおよび図14)。電子およびイオン輸送動態の進展と一致して、Nb/HGF-2.0電極は、その最適な孔径によって他の相手電極より優れたレート能力を示す。その結果、適合したナノ細孔を有さないNb/GFのもの(約153mAh g-1)と比較して、Nb/HGF-2.0電極は約1Cで約185mAh g-1のはるかに高い比容量を実現することができ、この増進は、上昇したCレートでより明白となる。Nb/GF電極について約63%の容量保持を伴う約100mAh g-1と対照的に、約1Cでのものと比較して、約10Cの高レートにおいて、Nb/HGF-2.0電極は、約79%の容量保持を伴って約147mAh g-1の比容量を実現する。約100Cのより高レートにおいてでさえ、Nb/HGF-2.0電極は、約76mAh g-1の比容量を実現し、これは、Nb/GF電極のもの(約35mAh g-1)より2倍を超えて高い。実質的な添加物非含有特徴により、約6mg cm-2の高い質量負荷での3D複合電極は、電極材料(Nb、グラフェン、導電性添加物またはバインダー)の総質量によって規準化されるとき、低い質量負荷(約0.4~2.0mg cm-2)において、他のNbをベースとする電極と比較して、容量の少なくとも約27~85%の改善を実現することができる(表2)。この差異は、電流コレクターの質量が実用的な装置(下記のセクションを参照されたい)中に含まれていたとき、さらにより高い。
【0063】
T-Nb電極のひときわ優れた高いレート能力は、インターカレーション擬似容量性機序を介したその速い動態応答によって薄膜電極および空洞微小電極において示されているが、低い質量負荷および使用される超薄電極によって制約された総エネルギーまたはパワー出力が伴う。重要なことに、階層的多孔質アーキテクチャの設計によって、Nb/HGF-2.0複合電極は、実用的な質量負荷においてでさえ、それらの速い固有の動態を維持することができる。特に、Nb/HGF-2.0電極(約11mg cm-2で)のサイクリックボルタンメトリー(CV)試験(図15a)は、Nb/GF電極についての注目すべきピークシフトと対照的に、走査速度が約0.2から約1.0mV s-1に増加するにつれ、注目すべきアノード/カソードのピークシフトが存在しないことを示す(図15b)。原則として、Nb/HGF-2.0およびNb/GF電極におけるNbナノ粒子は同じであり、異なる電荷インターカレーション動態は予想されない。走査速度の増加を伴うNb/GF電極における注目すべきピークシフトの存在は、このように、Nb/GFにおいて観察されるさらなる電極分極が、Nbナノ粒子表面への不十分なイオン送達に起因し得ることを示す。Nb/HGF-2.0におけるこのようなピークシフトが存在しないことは、高い走査速度においてでさえ効率的なイオン輸送のための適合したナノ細孔を有するその階層的多孔質構造によって増進された動態を示す。
【0064】
さらなる分析は、指数法則に従って、CV試験における電流が走査速度と直接的に比例することを示す。
i=av(1)
式中、aおよびbは、調整可能なパラメーターであり、iは、電流であり、vは、走査速度である。これは、走査速度が約0.2から約5mV s-1へと増加するにつれ、Nb/HGF-2.0電極について1に近い力率(b=0.91)との準直線的相関を明らかにする(図3f);このように、速い表面制御機序が優勢であり、約5~約50mV s-1の走査速度についての約0.6の力率は、表面制御された拡散と半無限の制御された拡散との間の機序を示す。一方、Nb/GF電極について、速い表面制御機序(b=0.92)は、約1.0mV s-1より低い走査速度で維持することができ、それを超えて、半無限の直線的拡散が優勢である(b=0.52)。このような比較は、Nb/HGF-2.0電極が、Nb/GF電極と比較して優れた質量輸送動態を示すことを直接示す。再び、Nbナノ粒子は同じであるため、ここで観察される差異は、Nbナノ粒子の内側ではなく、Nbナノ粒子の外側のイオン輸送(GFまたはHGFにおけるイオン輸送、およびNbの表面への送達)に起因する可能性が高い。まとめると、これらの研究は、最適化された面内細孔を有するHGFが、活性材料の完全な利用、および実用的な質量負荷での擬似容量性様特性の実現のために、電極全体にわたる電解質輸送のために望ましいことをさらに示す。
【0065】
質量負荷依存性性能。他の研究は優れた重量性能を報告してきたが、これらの性能メトリクスは典型的には幾分低い質量負荷(例えば、約1mg cm-2)で達成され、電極質量/厚さの増加に伴う急速に劣化する電荷(電子およびイオン)輸送特性によって、電極の質量/厚さと共に直線的にスケールアップすることができない。ランダムなグラフェンネットワークを有する対照電極Nb/G(図4aにおける下のパネル)およびアモルファス炭素添加物を有するNb/C(図16a)において示されるように、それらの動力学的損失は、約1から約11mg cm-2への質量負荷の増加と共に厳しいものである。具体的には、電荷移動抵抗およびワールブルグ因子の両方はほとんど2倍増加したが、これは、急速に劣化する電子およびイオン輸送動態を示し(図4b、cおよび表4)、これはより厚い電極内のより長い距離を横切る不十分な電解質輸送に大いに起因することができる。約10CでのNb/G対照電極の充電-放電曲線は、質量負荷の増加と共にますますより急な勾配およびより大きい電圧降下を示し(図4e)、これはますますより大きい内部抵抗を示し、これは質量負荷の増加と共に増加する過電位を生じ、急速に劣化する容量がもたらされ得る。その結果、Nb/G電極における質量負荷が、約1から約11mg cm-2へと増加すると、それぞれ、約10C(図4g)および約50C(図4h)にて容量の約30%および約11%を維持することができる。質量負荷の増加と共にこのように急速に劣化する性能は、より厚い電極における同じ重量性能を維持するために、はるかに高い面積イオン-電流密度を満足させることにおいて極度な課題を強調する。基礎をなす層より、電極の上層における電極材料が多くのリチウムとインターカレートしている場合、入ってくるイオンは、電極中により深くより長い距離を移動しなければならない。このように、イオン輸送の課題は、全体的な面積電流密度が、低質量電極について(例えば、約1mg cm-2)より約10倍高く、イオン移動距離が、約10倍を超えるより長いことがあり得る、高い質量負荷(例えば、>約10mg cm-2)を有する電極についてより明白となる。
【0066】
それにも関わらず、適合したナノ細孔を有する階層的多孔質HGFを最適化することによって、質量負荷により誘発される動力学的損失は、大いに緩和されている(図4aにおける上のパネル、および図4b、c)。例えば、Nb/HGF-2.0電極(約11mg cm-2で)の電荷移動抵抗は、Nb/G対照電極の電荷移動抵抗の約4分の1であり(約18Ω対約82Ω)、Nb/C電極の電荷移動抵抗よりほぼ一桁低く(約18Ω対約176Ω)、これは、3Dのモノリシック複合電極における電荷動態の実質的な増加を示す。さらに、Nb/HGF-2.0電極は、対照電極(約11mg cm-2で)より相当に小さいワールブルグ因子を示し、これは、階層的多孔質構造における適合したショートカットチャネルを横切るイオン輸送特性の大幅な増進を示す。さらに、適合したNb/HGF-2.0電極の充電-放電曲線は、質量負荷の増加と共に、相対的に小さい電圧降下および容量の劣化を示し、勾配および電圧降下の明らかな変化を示さず(図4d)、これは低い内部抵抗を示す。その結果、低い質量負荷(約1mg cm-2で)でのものと比較して、約140mAh g-1の高容量(約95%、約11mg cm-2で)は、約5%の容量損失を伴って約10Cの高レートで維持することができる(図4g)。低質量電極と比較して、約50Cの極度に高レートで、容量の約72%を保持することができる(図4h)。対照的に、Nb/G対照電極(約11mg cm-2で)について、容量の約30%および約11%を、それぞれ、約10Cおよび約50Cで保持することができる。Nb/HGF-2.0電極におけるこの前例のない性能は、電極全体にわたる急速なイオン輸送のための高度に相互接続されたチャネルを形成して、急速な電荷蓄積のためのNb活性部位に達するために適合したナノ細孔を有するその階層的多孔質構造に主に起因し、改善された容量および高レート能力を寄与する。複合電極のパッキング密度(約2.2g cm-3)を考慮に入れて、全電極容積に基づいた容積容量および電流密度は、約407mAh cm-3および約44A cm-3であると決定した。さらに、Nb/HGF-2.0電極はまた、そのロバストな多孔質構造および増進された電荷輸送動態に起因する6000サイクルの後で約93%の高容量保持を伴って、安定的で長続きするサイクル性能を実現することができる(図17)。
【0067】
高い質量負荷電極のメリット。一般に、典型的な電池またはスーパーキャパシタアーセンブリーについて、電流コレクターおよびセパレーターからのオーバーヘッドは、電極の面積容量によって決定づけられる。面積容量における増加は、より高いセルレベルのエネルギー密度およびより低いコストへの1つの経路である。したがって、実際の用途のために、面積性能は、エネルギー蓄積システムの真の性能メトリクスの適正な評価のために特に重要である。これに関しては、Nb/HGF-2.0電極のメリットが留意される。高度に効率的なイオン輸送のためのNb/HGF-2.0電極における3Dの階層的多孔質構造により、面積容量は、質量負荷と共にほぼ直線的に増加する(約10Cで、図5aにおける)。対照的に、対照電極Nb/GF、Nb/GおよびNb/Cは全て、同じ質量負荷にて実質的により低い面積容量を実現し、質量負荷との直線的なスケーリング関係を示さない(図5aおよび図18)。特に、Nb/GおよびNb/C電極について、面積容量は、質量負荷の増加と共にさらに減少することは明らかである(さらなる電極材料がエネルギー蓄積のためのさらなる容量に寄与することができないことを示す)が、電荷輸送特性を遅延させて、全体的な容量を著しく劣化させる。これは、電極材料の基礎的性能を実用的な装置性能へと転換するために、効率的な電荷送達のための電極アーキテクチャを適合させることが望ましいことをさらに強調する。
【0068】
ニオビアを、薄膜装置における高レート電極のために使用することができる。さらなる評価は、様々な充電/放電レートにてNb/HGF-2.0電極の性能に対して行われる。図5bは、様々なCレートでの面積容量の質量負荷との相関を示す。例えば、面積容量は、約1Cでの最大約22mg cm-2の質量負荷と直線的に比例し、一方、約10Cの高レートでは、面積容量は、質量負荷が約11mg cm-2を超えると横ばい状態になり始め、約50Cより高いレートでは、約6mg cm-2の相対的に低い質量負荷で横ばい状態になり始める。これらの結果は、必要な時間内でより厚い電極においてイオンを送達する不十分なイオン輸送速度によって、Cレートが増加するにつれ、質量のさらなる増加が、比例的により高い容量をもたらさないことを示す。
【0069】
図5cは、異なる質量負荷を有するNb/HGF-2.0電極についての面積性能メトリクスをさらに示す。約3.9mAh cm-2の最大面積容量は、約4.4mA cm-2の電流密度(約22mg cm-2の質量負荷で)で達成され、最大面積電流密度は、最大約440mA cm-2(約22mg cm-2の質量負荷で)に達する(図5cおよび図19)。図5cにおいて示すように、様々な質量負荷を有する各電極についての容量は、閾値電流密度に達するまで維持される。容量の減少は、電荷輸送制約の開始を示す。異なる電極質量負荷は、異なる閾値電流密度を示し、これは、インターカレーションT-Nb材料内の固体状態拡散輸送ではなく、3DのHGFにおける電解質内の質量輸送(電解質輸送)が、主要な制約要因であることを示す。容量、質量負荷および電流密度の相関によると、これは、様々な用途のための適正な電流密度のための最適な質量負荷を示し得る。中パワー(例えば、約1C)を特定する携帯電子装置について、より高い質量負荷(例えば、>約22mg cm-2)は、エネルギー容量を増加し、コストを低下させるためにより好ましい。一方、高レート(例えば、約50C)を特定する用途について、相対的に低い質量負荷(例えば、<約11mg cm-2)は、高レートで全容量にアクセスするためにより適当である。
【0070】
高い質量負荷を有する電極のメリットは、不活性な素子(例えば、電流コレクター:約10mg cm-2)の質量を考慮に入れたとき、より明らかとなる。図5dにおいて示すように、約11mg cm-2の高い質量負荷を有する電極について、比容量および電流密度の両方は、電流コレクター(約10mg cm-2)の質量を考慮した場合、約2分の1低減し、一方、約1mg cm-2の低い質量負荷を有する電極について、対応する性能は、約11分の1低減する。この場合、高い性能を低い質量負荷装置において達成することができるにも関わらず、電気化学的に不活性な素子の質量が総電極質量の大半を占める場合、活性材料の性能は実用的な装置に対する関連性が低減したものである(図20における表1)。上記の分析は、電流コレクターからのオーバーヘッドを考慮していることに留意することは重要である。同様に、セパレーターまたはパッケージからのオーバーヘッドは、実用的な装置のための高い質量負荷の重要性をさらに強調することができる。
【0071】
他のNbをベースとするアノード(約0.4~2.0mg cm-2)(表1および2)と比較して、実用的な質量負荷(>約10mg cm-2)でのNb/HGF-2.0電極の予測される重量比容量は、電流コレクターの質量を考慮に入れる場合、約4~10倍の改善を示し、一方、面積電流出力は、約一桁高い。高容量ケイ素アノード(例えば、表1における約0.2mg cm-2の低い質量負荷でのSiアノード)と比較して、Nb/HGF-2.0アノードは、電流コレクターの質量を考慮に入れる場合、匹敵する予測される重量比容量および約10~200倍高い重量電流密度を実現する。
【0072】
結論。ニオビア(Nb)のための導電性スキャフォールドとして階層的多孔質構造を有するホーリーグラフェンフレームワーク(HGF)を形成して、優れたイオンおよび電子輸送特性を同時に確実にし、かつ高容量および高レート能力をもたらすため、二段階ハイブリダイゼーション方法を開示する。ホーリーグラフェン骨格において多孔性を系統的に適合させることによって、Nb/HGF複合電極における電荷移動および質量輸送を最適化して、面積容量および電流密度の前例のない組合せを伴って、実用的な質量負荷(>約10mg cm-2)で優れた電気化学的性能を実現することができる。特に、最も高い達成される面積電流密度(例えば、約440mA cm-2)は、他の電極設計より約1~2桁を超えて高い。高い質量負荷での高容量および高レート能力の達成は、持続性の性能メトリクスを伴って実用的な装置への道を開く。
【0073】
例示的な実施形態
【0074】
より一般に、本開示の一部の実施形態は、複合材料を形成する方法であって、(1)電気化学的活性材料を負荷したグラフェンシートを形成するために、グラフェンシート上へと電気化学的活性材料を負荷することと、(2)混合物を形成するために、電気化学的活性材料を負荷したグラフェンシートをホーリー酸化グラフェンシートと合わせることと、(3)電気化学的活性材料を負荷またはコンジュゲートされたグラフェンフレームワークを含む複合材料を形成するために、混合物を還元条件下で処理することとを含む、方法を対象とする。
【0075】
一部の実施形態では、電気化学的活性材料は、ナノスケールの電気化学的活性アノード材料である(例えば、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、ゲルマニウム(Ge)、アンチモン(Sb)、金属酸化物、例えば、遷移金属酸化物、例えば、酸化鉄(例えば、Fe)もしくはニオビアまたはポスト遷移金属酸化物、例えば、酸化スズ(例えば、SnO)、または高エネルギーおよび高パワー密度のアノードの構築のための別の活性材料で形成されるナノ構造物)。一部の実施形態では、電気化学的活性材料は、ナノスケールの電気化学的活性カソード材料である(例えば、硫黄(S)、リン(P)、酸化コバルトリチウム、例えば、LiCoO、酸化マンガンリチウム、例えば、LiMnまたはLiMnO、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物、リン酸鉄リチウム、例えば、LiFePO、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物、チタン酸リチウム、酸化リチウム、例えば、LiOもしくはLi、または高エネルギーおよび高パワー密度のカソードの構築のための別の活性材料で形成されるナノ構造物)。電気化学的活性材料のナノ構造物は、約1nm~約200nm、約1nm~約180nm、約1nm~約160nm、約1nm~約140nm、約1nm~約120nm、約1nm~約100nm、約1nm~約80nm、約1nm~約60nm、約1nm~約40nm、または約1nm~約20nmの範囲の少なくとも1つの寸法または大きさを有することができる。他の実施形態は、擬似容量性材料または触媒を負荷することによって実施することができる。
【0076】
一部の実施形態では、(1)における負荷することは、(1a)前駆体を負荷した酸化グラフェンシートを形成するために、電気化学的活性材料の前駆体を酸化グラフェンシート上へと負荷することと、(1b)電気化学的活性材料を負荷したグラフェンシートを形成するために、前駆体を負荷した酸化グラフェンシートを還元条件下で処理することとを含む。一部の実施形態では、(1b)における処理することは、例えば、約400℃~約800℃、約450℃~約750℃、約500℃~約700℃、約550℃~約650℃の範囲の、または約600℃の温度にて、例えば、約0.5時間~約10時間、約0.5時間~約8時間、約1時間~約6時間、約2時間~約4時間の範囲の、または約3時間の時間間隔で、不活性な環境において加熱することを含む。一部の実施形態では、(1b)における処理することは、構造指向剤、例えば、アミン、例えば、オレイルアミンまたは別の不飽和脂肪アミンの存在下で行われて、電気化学的活性材料のナノ構造物の所望の形態を促進する。
【0077】
一部の実施形態では、ホーリー酸化グラフェンシートは、ホーリー酸化グラフェンシートにおいて形成される底面または面内のナノ細孔を有し、ナノ細孔は、例えば、約1nmから、約2nmから、約3nmから、約4nmから、もしくは約5nmから、最大約10nm、最大約20nm、最大約50nm、最大約100nmの範囲の、またはそれよりも大きいサイズ(またはピークサイズもしくは平均サイズ)を有することができる。例えば、底面ナノ細孔は、約1nm~約100nm、約1nm~約50nm、約1nm~約20nm、約1nm~約10nm、約1nm~約5nm、約1nm~約4nm、約1nm~約3nm、または約1nm~約2nmのサイズ(またはピークサイズもしくは平均サイズ)を有することができる。別の例として、底面ナノ細孔は、最大約1nm、もしくは約1nm未満;最大約1.5nm、もしくはそれ未満;最大約2nm、もしくはそれ未満;最大約3nm、もしくはそれ未満;最大約5nm、もしくはそれ未満;最大約10nm、もしくはそれ未満;最大約20nm、もしくはそれ未満;または最大約50nm、もしくはそれ未満のサイズ(またはピークサイズもしくは平均サイズ)を有することができる。一部の実施形態では、孔径は、DFT分析によって特徴付けすることができる。
【0078】
一部の実施形態では、ホーリー酸化グラフェンシートは、酸化グラフェンシートをエッチング液に曝露させること、例えば、約50℃~約200℃、約50℃~約180℃、約80℃~約150℃、約80℃~約120℃の範囲の、または約100℃の温度にて、例えば、約0.5時間~約10時間、約0.5時間~約8時間、約0.5時間~約6時間、約0.5時間~約4時間、または約0.5時間~約2時間の範囲の時間間隔で、例えば、加熱することによって、エッチング液および酸化グラフェンシートを処理することによって形成される。一部の実施形態では、エッチング液は、例えば、過酸化水素(H)であってよい。一部の実施形態では、(2)におけるホーリー酸化グラフェンシートを形成するために使用される酸化グラフェンシートに対する(1a)における酸化グラフェンシートの質量または重量比は、最大約1.5/1、最大約1.3/1、最大約1/1、最大約0.8/1、最大約0.6/1、または最大約0.4/1である。一部の実施形態では、(2)におけるホーリー酸化グラフェンシートを形成するために使用される酸化グラフェンシートに対する(1a)における酸化グラフェンシートの質量または重量比は、約1/1未満である。一部の実施形態では、(2)におけるホーリー酸化グラフェンシートに対する(1)におけるグラフェンシートの質量または重量比は、最大約1.5/1、最大約1.3/1、最大約1/1、最大約0.8/1、最大約0.6/1、または最大約0.4/1である。一部の実施形態では、(2)におけるホーリー酸化グラフェンシートに対する(1)におけるグラフェンシートの質量または重量比は、約1/1未満である。
【0079】
一部の実施形態では、(3)における処理することは、(3a)電気化学的活性材料を含むゲルを形成するために、例えば、約50℃~約200℃、約50℃~約180℃、約80℃~約150℃、約80℃~約120℃の範囲の、または約100℃の温度にて、例えば、約0.5時間~約10時間、約0.5時間~約8時間、約0.5時間~約6時間、約0.5時間~約4時間の範囲の、または約2時間の時間間隔で、1種もしくは複数の適切な還元剤、例えば、アスコルビン酸ナトリウムの存在下で、または不活性な環境中で加熱することと、(3b)電気化学的活性材料が負荷されたグラフェンフレームワークを含む複合材料を形成するために、ゲルを、例えば、約400℃~約800℃、約450℃~約750℃、約500℃~約700℃、約550℃~約650℃の範囲の、または約600℃の温度にて、例えば、約0.5時間~約10時間、約0.5時間~約8時間、約1時間~約6時間、約2時間~約4時間の範囲、または約3時間の時間間隔で、不活性雰囲気中で加熱することとを含む。
【0080】
一部の実施形態では、結果として得られたグラフェンフレームワークは、高い表面積、高い電気伝導性、高いイオン輸送速度、および高い機械的強度を特色とすることができる。例えば、複合材料の比表面積(複合材料の合わせた質量または重量によって規準化)は、約20m-1もしくはそれよりも多く、約25m-1もしくはそれよりも多く、約30m-1もしくはそれよりも多く、約35m-1もしくはそれよりも多く、約40m-1もしくはそれよりも多く、約45m-1もしくはそれよりも多く、約50m-1もしくはそれよりも多く、約55m-1もしくはそれよりも多く、約60m-1もしくはそれよりも多く、約65m-1もしくはそれよりも多く、約70m-1もしくはそれよりも多く、約75m-1もしくはそれよりも多く、または約80m-1もしくはそれよりも多く、最大約90m-1もしくはそれよりも多くてもよい。一部の実施形態では、グラフェンフレームワークは、ホーリーグラフェンシートおよび(非ホーリー)グラフェンシートの相互接続された多孔質ネットワークを含み、(非ホーリー)グラフェンシートは、ナノ細孔を実質的に欠いており、電気化学的活性材料で選択的に負荷またはコンジュゲートされており、一方、ホーリーグラフェンシートは、電気化学的活性材料を実質的に欠いている。一部の実施形態では、ホーリーグラフェンシートに対するグラフェンシートの質量または重量比は、最大約1.5/1、最大約1.3/1、最大約1/1、最大約0.8/1、最大約0.6/1、または最大約0.4/1である。一部の実施形態では、ホーリーグラフェンシートに対するグラフェンシートの質量または重量比は、約1/1未満である。相互接続された多孔質ネットワークは、マクロ細孔を含むか、または画定し、ホーリーグラフェンシートと非ホーリーグラフェンシートとの間のマクロ細孔は、マイクロメートル未満から数マイクロメートルまでの範囲の、例えば、約5nmから、約10nmから、約100nmから、または約500nmから、最大約1μm、最大約5μm、最大約10μm、またはそれよりも大きいサイズを有し、細孔壁は、グラフェンシートの単一の層または数層から構成される。さらに、ホーリーグラフェンシートは、ホーリーグラフェンシートにおいて形成される底面または面内のナノ細孔を有し、ナノ細孔は、例えば、約1nmから、約2nmから、約3nmから、約4nmから、または約5nmから、最大約10nm、最大約20nm、最大約50nm、最大約100nmの範囲の、またはそれよりも大きいサイズ(またはピークサイズもしくは平均サイズ)を有することができる。例えば、底面ナノ細孔は、約1nm~約100nm、約1nm~約50nm、約1nm~約20nm、約1nm~約10nm、約1nm~約5nm、約1nm~約4nm、約1nm~約3nm、または約1nm~約2nmのサイズ(またはピークサイズもしくは平均サイズ)を有することができる。別の例として、底面ナノ細孔は、最大約1nm、もしくはそれ未満;最大約1.5nm、もしくはそれ未満;最大約2nm、もしくはそれ未満;最大約3nm、もしくはそれ未満;最大約5nm、もしくはそれ未満;最大約10nm、もしくはそれ未満;最大約20nm、もしくはそれ未満;または最大約50nm、もしくはそれ未満のサイズ(またはピークサイズもしくは平均サイズ)を有することができる。グラフェンフレームワークにおける電気化学的活性材料の質量負荷(グラフェンフレームワークおよび電気化学的活性材料の複合材料の合わせた重量に対する)は、約30重量%もしくはそれよりも多く、約35重量%もしくはそれよりも多く、約40重量%もしくはそれよりも多く、約45重量%もしくはそれよりも多く、約50重量%もしくはそれよりも多く、約55重量%もしくはそれよりも多く、約60重量%もしくはそれよりも多く、約65重量%もしくはそれよりも多く、約70重量%もしくはそれよりも多く、約75重量%もしくはそれよりも多く、約80重量%もしくはそれよりも多く、または約85重量%もしくはそれよりも多く、および最大約90重量%もしくはそれよりも多くてもよい。
【0081】
結果として得られた複合材料は、様々な用途の中でも、エネルギー蓄積装置、容量性脱塩装置、および水浄化装置のための電極材料として使用することができる。例えば、一部の実施形態では、および図6を参照して、電池600は、1対の電極、具体的には、アノード604およびカソード608、ならびにアノード604とカソード608との間に配置されている電解質606を含む。セパレーター612も、アノード604とカソード608との間に配置されている。
【0082】
アノード604またはカソード608の少なくとも1つは、本明細書に記載のような電気化学的活性材料とコンジュゲートしたグラフェンフレームワークを含む複合材料を含むか、またはそれで形成される。一部の実施形態では、電気化学的活性材料の質量負荷は、約1mg cm-2よりも多く、例えば、約5mg cm-2もしくはそれよりも多く、または約10mg cm-2もしくはそれよりも多い。例えば、電気化学的活性材料の質量負荷は、約10mg cm-2よりも多く、最大約25mg cm-2もしくはそれよりも多く、例えば、少なくとも約11mg cm-2、少なくとも約12mg cm-2、少なくとも約13mg cm-2、少なくとも約14mg cm-2、少なくとも約15mg cm-2、少なくとも約16mg cm-2、少なくとも約17mg cm-2、少なくとも約18mg cm-2、少なくとも約19mg cm-2、少なくとも約20mg cm-2、少なくとも約21mg cm-2、または少なくとも約22mg cm-2でよく、アノード604またはカソード608の少なくとも1つは、少なくとも約1mAh cm-2、少なくとも約1.5mAh cm-2、少なくとも約2mAh cm-2、少なくとも約2.5mAh cm-2、少なくとも約3mAh cm-2、少なくとも約3.5mAh cm-2、または少なくとも約3.9mAh cm-2、および最大約4.5mAh cm-2もしくはそれよりも多い面積容量、ならびに少なくとも約100mA cm-2、少なくとも約150mA cm-2、少なくとも約200mA cm-2、少なくとも約250mA cm-2、少なくとも約300mA cm-2、少なくとも約350mA cm-2、少なくとも約400mA cm-2、または少なくとも約440mA cm-2、および最大約500mA cm-2もしくはそれよりも多い面積電流によって特徴付けすることができる。
【0083】
一部の実施形態では、アノード604またはカソード608の少なくとも1つの電極材料は、グラフェンフレームワーク複合材料からなるか、またはこれから本質的になる。一部の実施形態では、アノード604またはカソード608の少なくとも1つは、電気化学的活性材料とコンジュゲートしたグラフェンフレームワークが、電極(電流コレクター以外の電極の総重量に対する)の少なくとも約90重量%、少なくとも約93重量%、少なくとも約95重量%、または少なくとも約98重量%を構成するように、バインダーおよび導電性添加物を実質的に欠いている。図6に示すように、電池600はまた、1対の電流コレクター602および610を含み、アノード604およびカソード608は、それぞれ、電流コレクター602および610に接続している。まとめると、アノード604および電流コレクター602(またはカソード608および電流コレクター610)は、電池600のための電極構造物に対応することができる。電流コレクター602および610の一方または両方は、一部の実施形態では省略することができることも企図される。
【実施例
【0084】
下記の実施例は、本開示の一部の実施形態の具体的な側面について記載して、当業者のために例示し、説明を提供する。実施例は、本開示の一部の実施形態を理解および実施することにおいて有用な具体的な方法論を単に提供するため、実施例は、本開示を限定するものと解釈すべきではない。
【0085】
方法
【0086】
T-Nbおよびグラフェンエアロゲル電極の合成。酸化グラフェン(GO)は、改変ハマーズ法による天然黒鉛フレーク(約100メッシュ;Sigma-Aldrich)の酸化によって調製した。溶液処理可能なホーリー酸化グラフェン(HGO)を、下記のように合成した。手短に言えば、約5mLの約30%H水溶液を、約50mLの約2mg mL-1 GO水性分散液と混合し、次いで、約100℃にて撹拌下、それぞれ、約0.5、約1.0、および約2.0時間加熱した。調製されたままのHGOは、上記の混合物を遠心分離および洗浄することによって精製し、残留するHを除去し、次いで、脱イオン(DI)水に再分散させた。初期の状態のGOシートと共にHGOを、次のハイブリダイゼーション段階のために構成単位として使用した。
【0087】
T-Nb/GFまたはT-Nb/HGF複合材料は、二段階ハイブリダイゼーションプロセスを使用して調製した。典型的な手順において、約50mgの無水NbCl(99.9%、Sigma-Aldrich)を、約10mLのエタノールに溶解し、一方、エタノール(約10mL)中約2mg mL-1 GO(約0.7mL)の溶液を、別個のバイアル中で調製した。制御されない加水分解を防止するために、両方の溶液を氷浴中で冷却した。次いで、2つの溶液を一緒に混合し、その間、約0.5mLのオレイルアミン(Sigma-Aldrich)をゆっくりと注入し、磁気撹拌しながら油浴中で約75℃にて約6時間加熱した。加水分解プロセス後の中間生成物を遠心分離し、4回洗浄して、過剰なオレイルアミンおよびイオンを除去し、次いで、凍結乾燥し、アルゴン流下で約600℃にて約3時間アニーリングした。得られた粉末試料(Nb/G)を、約2.5mLの約2mg mL-1 GOまたは様々なHGOに分散させ(約0.5~約2.0時間のエッチング時間を伴う)、次いで、磁気撹拌しながら約4mLに希釈した。次いで、過剰なアスコルビン酸ナトリウムをこの水性混合物中に添加し、約100℃にて約2時間加熱して、ヒドロゲルへとGOまたはHGOをベースとする複合材料を還元した。調製されたままのヒドロゲルを、DI水で4回洗浄して、任意の不純物を除去し、薄切片へと切断した。凍結乾燥の後、結果として得られたエアロゲルを約600℃にてアルゴン流下で約3時間アニーリングして、グラフェンの電気伝導性をさらに改善した。第1の対照実験(図8bにおける方法2)において、二段階ハイブリダイゼーション方法を、第1のハイブリダイゼーション段階の後の熱アニーリングを伴わずに利用する。第2の対照実験(補助的な図8cにおける方法3)において、単一の段階を使用して、GO/HGOと混合する:約10mLのエタノール中の約50mgのNbClを、約10mLのエタノール中の約3.2mLの約2mg mL-1 GO/HGOと混合し、それに続いて同じプロセスを行い、ヒドロゲルを得た。
【0088】
対照Nb複合材料の合成。対照試料1:T-Nbおよびグラフェン粉末(Nb/G)を、同じ量のNb前駆体およびGOを使用して調製し、それに続いて同じ条件下で凍結乾燥および熱アニーリングして、同じT-Nb結晶構造を得た。対照試料2:T-Nbおよび炭素粉末(Nb/C)を、エタノール中のNb前駆体およびポリ(ビニルピロリジノン)(PVP)を混合し、それに続いて真空乾燥および熱アニーリングすることによって調製した。
【0089】
材料の特徴付け。材料の形態および構造は、走査型電子顕微鏡(SEM、Zeiss Supra40VP)、透過型電子顕微鏡(TEM、Titan S/TEM FEI)、およびX線回折(XRD)(Panalytical X’Pert Pro X線粉末回折計)によって特徴付けした。ラマンスペクトルは、488nmのレーザービームを使用してRM2000顕微鏡共焦点ラマン分光計(Horiba LABHR)上で記録した。BET表面積およびDFT孔径分布は、Micromeritics ASAP2020によって測定した。熱重量分析(TGA、PerkinElmer instruments Pyris Diamond TG/DTA)は、約10℃分-1の加熱速度で室温~約750℃で、空気雰囲気中で行った。
【0090】
電気化学的特徴付け。自立型のエアロゲルをプレスし、任意のバインダーまたは導電性添加物を有さない作用電極として直接使用した(タップ密度:約2.0~2.2g cm-3)。対照電極(Nb/GおよびNb/C)は、N-メチル-2-ピロリジノンに溶解した約80重量%の活性材料、約10重量%のカーボンブラックおよび約10重量%のポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)バインダーを混合することによって調製した。上記の混合物を銅(Cu)箔上にコーティングした後、電極を約120℃にて真空下で約12時間乾燥させて、溶媒を除去し、次いで、ディスク中に打ち込み、プレスした。電気化学的特性は、水および酸素含量を約0.1ppm未満に保ちながら、アルゴンを充填したグローブボックス中で2025コインセルのアセンブリーによって行った。炭酸エチレン(EC)および炭酸ジメチル(DMC)の混合物中の約1.0Mのヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を、電解質(EC/DMC、約1:1の容積比、BASF、USA)として使用した。電極材料の典型的な面積質量負荷は、質量依存性の研究について約1、約6、約11、約16、および約22mg cm-2であった。半電池試験を、Li金属を対電極および参照電極として、ならびにNbをベースとする複合材料を作用電極として使用して行った。定電流充電/放電サイクルは、マルチチャネル電池試験システム(LAND CT2001A)において行った。サイクリックボルタンメトリーおよび電気化学的インピーダンス分光法(EIS)は、Princeton Applied ResearchからのVersaSTAT4を使用して行った。EIS測定は、約1MHz~約100mHzの周波数範囲において約10mVの振幅で正弦波シグナルを伴う開路電位で行った。
【表2】
注:全ての重量比容量は、活性材料(複合材料)によって規準化される;かっこ内の容量は、導電性添加物およびバインダーを含む電極の総質量によって規準化されている。
【表3】
【表4】
【0091】
本明細書において使用する場合、単数の用語である「a」、「an」および「the」は、文脈によって明らかにそれ以外の指示がない限り、複数の指示対象を含み得る。このように、例えば、目的物への言及は、文脈によって明らかにそれ以外の指示がない限り、複数の目的物を含み得る。
【0092】
本明細書において使用する場合、用語「一組」は、1つまたは複数の目的物の集まりを指す。このように、例えば、一組の目的物は、単一の目的物または複数の目的物を含むことができる。
【0093】
本明細書において使用する場合、用語「接続する」、「接続した」および「接続」は、操作上のカップリングまたは連結を指す。接続された目的物は、互いに直接カップリングすることができるか、または例えば、1つもしくは複数の他の目的物を介して互いに間接的にカップリングすることができる。
【0094】
本明細書において使用する場合、用語「サイズ」は、目的物の特徴的な寸法を指す。このように、例えば、円形または球状である目的物のサイズは、目的物の直径を指すことができる。非円形または非球状である目的物の場合、目的物のサイズは、対応する円形または球状の目的物の直径を指すことができ、ここで、対応する円形または球状の目的物は、非円形または非球状の目的物のものと実質的に同じである、特定の一組の誘導可能または測定可能な特性を示すか、または有する。一組の目的物が特定のサイズを有することを指す場合、目的物は、特定のサイズの周囲のサイズの分布を有することができることが企図されている。このように、本明細書において使用する場合、一組の目的物のサイズは、サイズ、例えば、平均サイズ、メジアンサイズ、またはピークサイズの分布の典型的なサイズを指すことができる。
【0095】
本明細書において使用する場合、用語「実質的に」および「約」は、小さいバリエーションを記載および説明するために使用される。事象または状況と併せて使用される場合、用語は、事象または状況が正確に起こる例、および事象または状況が近似して起こる例を指すことができる。例えば、数値と併せて使用される場合、用語は、その数値の±10%未満またはそれと等しい、例えば、±5%未満もしくはそれと等しい、±4%未満もしくはそれと等しい、±3%未満もしくはそれと等しい、±2%未満もしくはそれと等しい、±1%未満もしくはそれと等しい、±0.5%未満もしくはそれと等しい、±0.1%未満もしくはそれと等しい、または±0.05%未満もしくはそれと等しい、一連のバリエーションを指すことができる。
【0096】
さらに、濃度、量、比、および他の数値は、本明細書において範囲のフォーマットで提示することがある。このような範囲のフォーマットは、便利さおよび簡潔さのために使用され、範囲の限定として明示的に特定されている数値を含むが、各数値および部分範囲が明示的に特定されているかのように、その範囲内に包含される全ての個々の数値または部分範囲も含むことを柔軟に理解すべきであることを理解すべきである。例えば、約1~約200の範囲は、約1および約200の明示的に記載されている限度を含むが、個々の値、例えば、約2、約3、および約4、ならびに部分範囲、例えば、約10~約50、約20~約100なども含むと理解すべきである。
【0097】
本開示をその具体的な実施形態に関連して記載してきたが、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本開示の真の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更をなし得、等価物で代用し得ることを当業者は理解すべきである。さらに、多くの改変を行って、特定の状況、材料、組成物、方法、操作(単数または複数)を、本開示の目的、精神および範囲に適合させ得る。全てのこのような改変は、本明細書に添付の特許請求の範囲内であることが意図される。特に、ある特定の方法が、特定の順序で行われる特定の操作に関連して記載されていることがあるが、本開示の教示から逸脱することなく、これらの操作を合わせるか、細分するか、または並べ替えて、同等の方法を形成してよいことが理解される。したがって、本明細書において特に明示しない限り、操作の順序および分類は、本開示を限定するものではない。
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
電極材料を形成する方法であって、
グラフェンシート上へと電気化学的活性材料を負荷することと、
混合物を形成するために、前記電気化学的活性材料を負荷したグラフェンシートをホーリー酸化グラフェンシートと合わせることと、
前記電気化学的活性材料が負荷されたグラフェンフレームワークを含む複合材料を形成するために、前記混合物を還元条件下で処理することと
を含む、方法。
(項2)
前記電気化学的活性材料が、アノード材料またはカソード材料のナノ構造物を含む、上記項1に記載の方法。
(項3)
前記電気化学的活性材料を負荷することが、
前記電気化学的活性材料の前駆体を酸化グラフェンシート上へと負荷することと、
前記電気化学的活性材料を負荷したグラフェンシートを形成するために、前記前駆体を負荷した酸化グラフェンシートを還元条件下で処理することと
を含む、上記項1に記載の方法。
(項4)
前記ホーリー酸化グラフェンシートが、最大約100nmのサイズの底面ナノ細孔を有する、上記項1に記載の方法。
(項5)
酸化グラフェンシートをエッチング液に曝露させることによって、前記ホーリー酸化グラフェンシートを形成することをさらに含む、上記項1に記載の方法。
(項6)
前記混合物を処理することが、
前記電気化学的活性材料を含むゲルを形成するために、前記混合物を還元剤の存在下で加熱することと、
前記複合材料を形成するために、前記ゲルを加熱することと
を含む、上記項1に記載の方法。
(項7)
前記グラフェンフレームワークが、ホーリーグラフェンシートおよび前記グラフェンシートの相互接続された多孔質ネットワークを含む、上記項1に記載の方法。
(項8)
前記電気化学的活性材料が、前記グラフェンシート上へと選択的に負荷されている、上記項7に記載の方法。
(項9)
前記複合材料中の前記電気化学的活性材料の質量負荷が、約50重量%またはそれよりも多い、上記項1に記載の方法。
(項10)
相互接続されたグラフェンシートおよびホーリーグラフェンシートを含むグラフェンフレームワークと、
前記グラフェンフレームワーク上へと負荷された電気化学的活性材料と
を含む複合材料を含む電極構造物。
(項11)
前記電気化学的活性材料が、前記グラフェンシート上へと選択的に負荷されている、上記項10に記載の電極構造物。
(項12)
前記複合材料中の前記電気化学的活性材料の質量負荷が、約50重量%またはそれよりも多い、上記項10に記載の電極構造物。
(項13)
前記複合材料中の前記電気化学的活性材料の質量負荷が、約70重量%またはそれよりも多い、上記項10に記載の電極構造物。
(項14)
前記電気化学的活性材料が、ナノ構造物を含む、上記項10に記載の電極構造物。
(項15)
前記ホーリー酸化グラフェンシートが、最大約100nmのサイズの底面ナノ細孔を有する、上記項10に記載の電極構造物。
(項16)
前記ホーリーグラフェンシートに対する前記グラフェンシートの質量比が、最大約1.5/1である、上記項10に記載の電極構造物。
(項17)
前記複合材料の比表面積が、約50m -1 またはそれよりも大きい、上記項10に記載の電極構造物。
(項18)
電流コレクターをさらに含み、前記複合材料が、前記電流コレクターに接続している、上記項10に記載の電極構造物。
(項19)
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置されている電解質と
を含むエネルギー蓄積装置であって、
前記第1の電極または前記第2の電極の少なくとも1つが、
相互接続されたグラフェンシートおよびホーリーグラフェンシートを含むグラフェンフレームワークと、
前記グラフェンフレームワーク上へと負荷された電気化学的活性材料と
を含む複合材料を含む、エネルギー蓄積装置。
(項20)
前記電気化学的活性材料が、前記グラフェンシート上へと選択的に負荷されている、上記項19に記載のエネルギー蓄積装置。
(項21)
前記複合材料中の前記電気化学的活性材料の質量負荷が、約50重量%またはそれよりも多い、上記項19に記載のエネルギー蓄積装置。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図16C
図16D
図17
図18
図19
図20