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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】レール削正装置
(51)【国際特許分類】
   E01B 31/17 20060101AFI20230120BHJP
   B24B 27/00 20060101ALI20230120BHJP
   B24B 21/16 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
E01B31/17
B24B27/00 E
B24B21/16
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020182260
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022072683
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】391030125
【氏名又は名称】保線機器整備株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】細川 誠二
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第4119525(DE,A1)
【文献】特開2002-227104(JP,A)
【文献】実開平4-17405(JP,U)
【文献】実開平2-47159(JP,U)
【文献】特開2016-44485(JP,A)
【文献】実開昭62-3804(JP,U)
【文献】登録実用新案第3224618(JP,U)
【文献】実開昭54-80093(JP,U)
【文献】米国特許第4768312(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 27/00-37/00
B24B 3/00-3/60
21/00-39/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業員が手で掴んで押したり引くための手押しハンドルが設けられた台車本体と、
前記台車本体における前後の車輪の間に設けられ、エンジンやモータ等の駆動源によって前後のローラ間に渡された研削ベルトを回転させるレール削正部と、
前記台車本体に設けられ、前後のローラ間に渡された研削ベルトの内側に位置させた押当て板を降下させて前記研削ベルトをレール表面に押し付け、レール表面を削正する押当て板昇降機構部とを備え、
前記台車本体の前後には、それぞれ、車輪を回転可能に支持する車輪支持部をレールの長手方向に対し交差する横方向にスライドさせて所定の複数の位置で固定する車輪横方向スライド機構部が設けられていることを特徴とするレール削正装置。
【請求項2】
請求項1記載のレール削正装置において、
前記押当て板昇降機構部は、
前記台車本体に固定された押当て板昇降機構部本体と、
前記押当て板昇降機構部本体に上下方向にスライド可能に設けられ、下端部には前記押当て板が設けられており、押当て板昇降用ネジ棒の回転によって昇降する押当て板用昇降体と、
前記押当て板昇降機構部本体に設けられ、作業員が回転させることにより前記押当て板昇降用ネジ棒を回転させて前記押当て板用昇降体を昇降させる押当て板昇降用回転ハンドルとを有することを特徴とするレール削正装置。
【請求項3】
請求項2記載のレール削正装置において、
前記押当て板昇降用回転ハンドルは、押当て板昇降用回転軸の上端部に設けられており、その押当て板昇降用回転軸の下端部には歯数の少ない小径ギヤが設けられている一方、
前記押当て板昇降用ネジ棒の上端部には前記小径ギヤに噛合う歯数の多い大径ギヤが設けられていることを特徴とするレール削正装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一の請求項に記載のレール削正装置において、
前記台車本体の前後の車輪は、それぞれ、左右非対称の車輪であって、レールの頭部の幅とほぼ同じ幅を有する内輪と、その内輪の左右両側にはそれぞれその内輪よりも径が大きい小径外輪と、その小径外輪よりも径が大きい大径外輪とを有し、
前記手押しハンドルは、前記台車本体の前後にそれぞれ設けられ、作業員が掴むハンドル把持部と、そのハンドル把持部の左右両側から下方に延び、前記台車本体の左右両側を通る一対のハンドル縦棒部とのU字形状ないしはコ字形状に形成されている一方、
前記台車本体の前後左右には、前記手押しハンドルの一対のハンドル縦棒部を上下方向に貫通させて通すハンドル縦棒通しスリーブ部が設けられていると共に、当該ハンドル縦棒通しスリーブ部には、前記ハンドル縦棒部を任意の高さで固定するハンドル高さ固定ネジ部が設けられており、
前記台車本体の前後に設けた前記手押しハンドルの一対のハンドル縦棒部下端部を前記台車本体の前後それぞれの車輪よりも下方へ突出させた状態で前記ハンドル高さ固定ネジ部によって固定し、前記台車本体の前後に設けた前記手押しハンドルによって前記車輪を地面から浮かすことができるように構成されていることを特徴とするレール削正装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか一の請求項に記載のレール削正装置において、
前記台車本体には、前記レール削正部によるレールの削正状態を作業員が観察するための削正状態観察ミラーが設けられていることを特徴とするレール削正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業員が手で押したり引く等してレール上を走行し、レール接合部分の溶接部等を削正するレール削正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作業員が手で押したり引くなどしてレール表面を削正するレール削正装置として、例えば、所要の間隔で配された少なくとも二個の回転体(駆動ホイールと従動ホイール)に巻掛けられた無端状の研削ベルトの一部を研削付勢手段でレール表面に押し付けてレール表面を削正するレール削正装置が提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-53655号公報
【文献】特開2020-125651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、研削(削正)ベルトでレール表面を削正する上記特許文献1,2のレール削正装置の場合、研削ベルトが前後の回転体(ホイール)から外れず、かつ、レール頭部を確実に削正できるようにレール頭部の幅より通常2倍以上広い研削ベルトを使用しているが、研削ベルトの中央部分しか使用せず、左右両側を使用しないため、不経済であるという問題があった。
【0005】
また、鉄道のレールの場合、レールの接合部では、その接合部が前後所定長さに対し例えば、0.3mm~0.5mm等、1mm以下の高さに削正する等、正確さが求められているが、上記特許文献1のレール削正装置では、研削付勢手段はバネなどの弾性体によって研削ベルトをレール表面に押し付けるように構成しているため、レール表面削正時に弾性体が伸縮してレール表面を迅速かつ正確に削正できないという問題があった。
【0006】
さらに、上記特許文献2のレール削正装置では、研削ベルトをレール表面に押し付けるベルト押当て板は、揺動軸を介してレール削正部に揺動可能に設けているため、ベルト押当て板が研削ベルトを押下げる量や押付ける力を調整できず、レール表面を迅速かつ正確に削正できないという問題もあった。
【0007】
そこで、本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、レール頭部の幅よりも広い幅の研削ベルトの研削面を有効に活用でき、かつ、レール接合部を迅速かつ正確に削正することができるレール削正装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係るレール削正装置は、作業員が手で掴んで押したり引くための手押しハンドルが設けられた台車本体と、前記台車本体における前後の車輪の間に設けられ、エンジンやモータ等の駆動源によって前後のローラ間に渡された研削ベルトを回転させるレール削正部と、前記台車本体に設けられ、前後のローラ間に渡された研削ベルトの内側に位置させた押当て板を降下させて前記研削ベルトをレール表面に押し付け、レール表面を削正する押当て板昇降機構部とを備え、前記台車本体の前後には、それぞれ、車輪を回転可能に支持する車輪支持部をレールの長手方向に対し交差する横方向にスライドさせて所定の複数の位置で固定する車輪横方向スライド機構部が設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係るレール削正装置では、前記押当て板昇降機構部は、前記台車本体に固定された押当て板昇降機構部本体と、前記押当て板昇降機構部本体に上下方向にスライド可能に設けられ、下端部には前記押当て板が設けられており、押当て板昇降用ネジ棒の回転によって昇降する押当て板用昇降体と、前記押当て板昇降機構部本体に設けられ、作業員が回転させることにより前記押当て板昇降用ネジ棒を回転させて前記押当て板用昇降体を昇降させる押当て板昇降用回転ハンドルとを有することも特徴とする。
また、本発明に係るレール削正装置では、前記押当て板昇降用回転ハンドルは、押当て板昇降用回転軸の上端部に設けられており、その押当て板昇降用回転軸の下端部には歯数の少ない小径ギヤが設けられている一方、前記押当て板昇降用ネジ棒の上端部には前記小径ギヤに噛合う歯数の多い大径ギヤが設けられていることも特徴とする。
また、本発明に係るレール削正装置では、前記台車本体の前後の車輪は、それぞれ、左右非対称の車輪であって、レールの頭部の幅とほぼ同じ幅を有する内輪と、その内輪の左右両側にはそれぞれその内輪よりも径が大きい小径外輪と、その小径外輪よりも径が大きい大径外輪とを有し、前記手押しハンドルは、前記台車本体の前後にそれぞれ設けられ、作業員が掴むハンドル把持部と、そのハンドル把持部の左右両側から下方に延び、前記台車本体の左右両側を通る一対のハンドル縦棒部とのU字形状ないしはコ字形状に形成されている一方、前記台車本体の前後左右には、前記手押しハンドルの一対のハンドル縦棒部を上下方向に貫通させて通すハンドル縦棒通しスリーブ部が設けられていると共に、当該ハンドル縦棒通しスリーブ部には、前記ハンドル縦棒部を任意の高さで固定するハンドル高さ固定ネジ部が設けられており、前記台車本体の前後に設けた前記手押しハンドルの一対のハンドル縦棒部下端部を前記台車本体の前後それぞれの車輪よりも下方へ突出させた状態で前記ハンドル高さ固定ネジ部によって固定し、前記台車本体の前後に設けた前記手押しハンドルによって前記車輪を地面から浮かすことができるように構成されていることも特徴とする。
また、本発明に係るレール削正装置では、前記台車本体には、前記レール削正部によるレールの削正状態を作業員が観察するための削正状態観察ミラーが設けられていることも特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るレール削正装置では、台車本体と、研削ベルトを回転させるレール削正部と、研削ベルトの内側に位置させた押当て板を降下せることによって研削ベルトをレール表面に押し付け、レール表面を削正する押当て板昇降機構部とを備え、台車本体の前後には、それぞれ、車輪を回転可能に支持する車輪支持部をレールの長手方向に対し交差する横方向にスライドさせて所定の複数の位置で固定する車輪横方向スライド機構部を設けている。
そのため、本発明によれば、研削ベルトが設けられた台車本体をレールの長手方向に対し交差する横方向にスライドさせて所定の位置で固定することにより、研削ベルトの中央部分だけでなく左右両側も利用することができるので、レール頭部の幅よりも広い幅の研削ベルトの研削面を有効に活用することができ、コストを削減することができる。
また、本発明によれば、押当て板自体を昇降させることによって研削ベルトの押下げ量や押付け力を調整しながらレール頭部表面に研削ベルトを押し付けてレール頭部表面に削正すると共に、押当て板は押当て板用昇降体の下端部に直接取り付けられ、押当て板との間にバネなどの弾性体が介在せず、しかも押当て板が揺動することもないので、レールの削正作業を確実かつ効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る実施形態のレール削正装置の正面図である。
図2】本発明に係る実施形態のレール削正装置の要部拡大正面図である。
図3】本発明に係る実施形態のレール削正装置の背面図である。
図4】本発明に係る実施形態のレール削正装置の平面図である。
図5】本発明に係る実施形態のレール削正装置の左側面図である。
図6】本発明に係る実施形態のレール削正装置の要部左側面図である。
図7】本発明に係る実施形態のレール削正装置における車輪横方向スライド機構部の要部拡大正面図である。
図8】本発明に係る実施形態のレール削正装置における車輪横方向スライド機構部の要部拡大底面図である。
図9】本発明に係る実施形態のレール削正装置における車輪横方向スライド機構部において車輪支持部および車輪の横方向のスライドを自由(フリー)にした状態を示す要部拡大図である。
図10】本発明に係る実施形態のレール削正装置における車輪横方向スライド機構部において中央の位置決め孔にプランジャ下端部を嵌合させて車輪支持部および車輪を台車本体の横方向の中央に固定(ロック)した状態を示す要部拡大図である。
図11】本発明に係る実施形態のレール削正装置における車輪横方向スライド機構部において車輪支持部および車輪を図上、右方向にスライドさせて左側の位置決め孔にプランジャ下端部を嵌合させて車輪支持部および車輪を台車本体の右方向にズラして固定(ロック)した状態を示す要部拡大図である。
図12】本発明に係る実施形態のレール削正装置における車輪横方向スライド機構部において車輪支持部および車輪を図上、左方向にスライドさせて右側の位置決め孔にプランジャ下端部を嵌合させて車輪支持部および車輪を台車本体の左方向にズラして固定(ロック)した状態を示す要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施の形態のレール削正装置1について図面を参照しながら具体的に説明する。尚、下記に説明する実施形態は、あくまで本発明の一例であり、本発明に係る実施形態のレール削正装置1は、本発明の技術的思想の範囲内で適宜変更可能である。
【0012】
<実施形態のレール削正装置1の構成>
本発明に係る実施形態のレール削正装置1は、作業員が手で押してレール上を走行しながらレール表面を研削ベルト12cによって削正するもので、図1図4に示すように、台車本体11と、レール削正部12と、押当て板昇降機構部13、車輪横方向スライド機構部14等を備えて構成されている。
【0013】
(台車本体11)
台車本体11は、図4等に示すように長方形状の台車本体フレーム11aの前後にそれぞれ前方向または後方向に突出してそれぞれ車輪11f,11fを支持する車輪支持用突出板11b,11bが溶接等して設けられており、前後の各車輪支持用突出板11b,11bには、それぞれ、車輪11f,11fを回転可能に支持する車輪支持部11e,11eをレールの長手方向に対し交差(直交)するレールの横方向にスライドさせて所定の複数の位置で固定する車輪横方向スライド機構部14を設けている。尚、車輪横方向スライド機構部14の構成等については後述する。
【0014】
ここで、前後の車輪11f,11fは、それぞれ、図5図6等に示すように左右非対称の車輪であり、それぞれ、レールの頭部の幅とほぼ同じか、それよりわずかに大きい幅を有する内輪11f1,11f1と、その内輪11f1,11f1の左右両側に設けられ、径が異なる小径外輪11f2,11f2および大径外輪11f3,11f3を有する。
【0015】
そのため、レール削正装置1を傾斜させずレール4の頭部の踏面(頭頂面)を研削する場合は、前後の車輪11f,11fの内輪11f1,11f1がレールの頭部の踏面(頭頂面)に当接すると共に、小径外輪11f2,11f2の内側面と大径外輪11f3,11f3の内側面との間にレールの頭部の左右両側面が位置するように手押しハンドル11h,11hの後述するハンドル縦棒部11h2,11h2を鉛直にしてレール削正部12の後述する研削ベルト12cをレールの頭部の踏面(頭頂面)に平行に当接させて研削する。
【0016】
その際、前後の車輪11f,11fは、それぞれ、レールの頭部の幅とほぼ同じか、それよりわずかに大きい内輪11f1,11f1を有するので、前後の車輪11f,11fの小径外輪11f2,11f2および大径外輪11f3,11f3によってレール4の長手方向の前後動をガイドしながらレールの頭部の踏面(頭頂面)を研削することができる。
【0017】
また、レール削正装置1を傾けてレール削正部12の研削ベルト12cによってレール頭部の角部や側面を研削する場合には、車輪11f,11fの小径外輪11f2,11f2側を下げ、かつ、車輪11f,11fの大径外輪11f3,11f3側がレールの頭部の踏面(頭頂面)に当接するように傾ける。
【0018】
このようにレール削正装置1を傾けてレール頭部の角部や側面を研削する場合には、小径外輪11f2,11f2の径が小さいためレールの腹部に干渉することがなく、しかも大径外輪11f3,11f3がレールの頭部の踏面(頭頂面)に乗ることによってレールでレール削正装置1の荷重を受けることができるため、作業員にレール削正装置1の荷重の負担をかけることなく、レールの頭部の踏面(頭頂面)の削正の場合と同様にレール頭部の角部や側面を削正することもできる。
【0019】
また、台車本体11の長方形状の台車本体フレーム11aの前後には、それぞれ、手押しハンドル11h,11hの後述する一対のハンドル縦棒部11h2,11h2を上下方向に貫通させて通すハンドル縦棒通しスリーブ部11i,11iを設けていると共に、当該ハンドル縦棒通しスリーブ部11i,11iには、手押しハンドル11h,11hのハンドル縦棒部11h2,11h2を任意の高さで固定するハンドル高さ固定ネジ部11j,11jを設けている。
【0020】
手押しハンドル14eは、それぞれ、台車本体11の前後にそれぞれ設けられ、作業員が掴む水平方向に台車本体フレーム11aの横方向の幅とほぼ同じ長さを有するハンドル把持部14e1と、そのハンドル把持部14e1の左右両側から下方に延び、台車本体11の左右両側を通る一対のハンドル縦棒部11h2,11h2とのU字形状ないしはコ字形状に形成されており、ハンドル把持部14e1にはゴム製等の滑り止め14e11が設けられている。
【0021】
これにより、作業員は、台車本体11の前後に設けた手押しハンドル11h,11hのハンドル把持部14e1を一人または二人で掴んで台車本体11を押したり、あるいは引きながらレールの表面を削正することができる。
【0022】
また、台車本体11前後それぞれの手押しハンドル11h,11hのハンドル縦棒部11h2,11h2下端部を台車本体11の前後の車輪11f,11fよりも下方へ突出させた状態でハンドル高さ固定ネジ部11j,11jによって固定することにより、台車本体11の前後に設けた手押しハンドル11h,11hによって前後の車輪11f,11fを地面や床面から浮かして、このレール削正装置1を保管したり、レールの傍の路盤等に一時的に退避させることができる。
【0023】
そのため、このレール削正装置1は、前後の車輪11f,11fが内輪11f1,11f1を介してその左右両側に小径外輪11f2,11f2および大径外輪11f3,11f3を有する左右非対称な車輪であって前後の車輪11f,11fのみでは床置きし難い構造であるが、前後の車輪11f,11fの大径外輪11f3,11f3が地面や床面から浮くように手押しハンドル11h,11h前後それぞれのハンドル縦棒部11h2,11h2下端部を突出させることにより、ハンドル縦棒部11h2,11h2下端部の4点でレール削正装置1を支持することができる。
【0024】
また、台車本体フレーム11aの左右両側の内、大径外輪11f3,11f3側には、図1図3等に示すようにレール削正部12によるレールの削正状態を観察するための削正状態観察ミラー11kをミラー取付枠11k1によって角度変更可能に取り付けられている。
【0025】
ここで、削正状態観察ミラー11kを台車本体フレーム11aの左右両側の内、車輪11f,11fの大径外輪11f3,11f3側に取付けた理由は、車輪11f,11fの小径外輪11f2,11f2側は、レール削正部12の研削ベルト12cによってレール頭部の角部や側面を研削する際、後述するようにレールの頭部よりも下方に位置する場合があり、削正状態観察ミラー11kが路盤等に当たって干渉するからである。
【0026】
(レール削正部12)
レール削正部12は、台車本体11の台車本体フレーム11aの内側であって前後の車輪11f,11f間に設けられ、エンジンやモータ等の駆動源12aによって前後のローラ12b,12b間に渡された研削ベルト12cを回転させるもので、レール削正部12の構成は、例えば、上述の特許文献2(特開2020-125651号公報)に開示されているものとほぼ同じ構成である。
【0027】
(押当て板昇降機構部13)
押当て板昇降機構部13は、台車本体11に設けられ、前後のローラ12b,12b間に渡された研削ベルト12cの内側に位置させた押当て板13b1を昇降させて、エンジンやモーター等の駆動源12aによってローラ12b,12b間で回転する下側の研削ベルト12cを下方に押圧してレールの頭部表面を削正するもので、台車本体11に固定される押当て板昇降機構部本体13aと、下端部に押当て板13b1が設けられ、押当て板昇降機構部本体13aによって上下方向に昇降(往復動)する押当て板支持昇降体13b等から構成されている。
【0028】
押当て板昇降機構部本体13aは、台車本体11に固定され、押当て板13b1が設けられた押当て板支持昇降体13bを上下方向に昇降(往復動)可能に支持する周知のLMガイドを構成するLMレール13a1,13a1を有すると共に、そのLMレール13a1,13a1間に回転可能に支持された押当て板昇降用ネジ棒13a2の回転によって押当て板支持昇降体13bを昇降させるもので、押当て板昇降用ネジ棒13a2の上端部には歯数の多い大径ギヤ13a3が設けられている。
【0029】
大径ギヤ13a3には、押当て板昇降用回転軸13a4の下端部に設けられた歯数の少ない小径ギヤ13a5が噛合っており、押当て板昇降用回転軸13a4の上端部には、作業員が掴んで押当て板昇降用回転軸13a4を回すための押当て板昇降用回転ハンドル13a6が設けられている。
【0030】
押当て板支持昇降体13bは、左右両側に押当て板昇降機構部本体13aのLMレール13a1,13によって滑らかに昇降するもので、下端部には下側の研削ベルト12cを内側から下方に押下げてレールに研削ベルト12cの砥石面を押し当てる押当て板13b1を設けている。
【0031】
そのため、作業員が押当て板昇降用回転ハンドル13a6を掴んで回転させると、押当て板昇降用回転軸13a4が回転して小径ギヤ13a5および大径ギヤ13a3を介して押当て板昇降用ネジ棒13a2も回転し、押当て板13b1が設けられた押当て板支持昇降体13bをLMレール13a1,13a1に沿って上下動すなわち昇降させることができる。
【0032】
特に、本実施形態の押当て板昇降機構部13では、作業員が押当て板昇降用回転ハンドル13a6を掴んで回転させると、歯数の少ない小径ギヤ13a5が歯数の多い大径ギヤ13a3に噛合し押当て板昇降用ネジ棒13a2を回転させて押当て板13b1を昇降させるため、押当て板13b1の高さを細かく調整することが可能となり、レールの溶接部等を正確に削正することができる。
【0033】
(車輪横方向スライド機構部14)
車輪横方向スライド機構部14は、上述したように台車本体フレーム11aの前後それぞれに前方向または後方向に突出して設けた車輪支持用突出板11b,11bに設けられ、それぞれ、車輪11f,11fおよび車輪支持部11e,11eをレールの長手方向に対し交差するレールの横方向にスライドさせて所定の複数の位置(本実施形態では、例えば、3箇所)で固定する機構で、図7図12に示すように、車輪支持用突出板11b,11bにはそれぞれプランジャ昇降用スリーブ14a,14aが通るスリーブ通し孔が形成されており、そのスリーブ通し孔にはスリーブ固定用ナット部14b,14bが設けられ、スリーブ固定用ナット部14b,14bに螺合して取付けられたプランジャ昇降用スリーブ14a,14aには、プランジャピン14cがスプリング(図示せず。)等により常に下方に付勢された(押下げられた)状態で昇降(上下動)可能に設けられている。
【0034】
また、プランジャ昇降用スリーブ14a,14aの上端部には、プランジャピン昇降用傾斜面14a1,14a1が設けられている一方、プランジャピン14cの上端部には、作業員が回転させることによってプランジャピン昇降用傾斜面14a1,14a1に当接するプランジャピン回転レバー14dが設けられており、プランジャピン回転レバー14dを作業員が回転させることによってプランジャピン14cを昇降させ、かつ、プランジャピン回転レバー14dから手を離した場合には、スプリング(図示せず。)等により下方に押下げられるように構成している。
【0035】
その一方、車輪11f,11fを回転可能に支持する車輪支持部11e,11eの上面には、プランジャピン14cの下端部に対向するように横方向位置決め板14eが設けられており、その横方向位置決め板14eには、プランジャピン14c下端部が入る内径で、かつ、レールの長手方向に対し交差するレールの横方向に所定の間隔を空けて例えば3つの位置決め孔14e1,14e2,14e3が設けられている。
【0036】
さらに、台車本体フレーム11aの前後それぞれに突出する車輪支持用突出板11b,11bの裏面(下面)側には、周知のLMガイドを構成するLMレール14f,14fがレールの長手方向に対し交差するレールの横方向に延ばして設けられている一方、横方向位置決め板14eの上面側には、LMレール14f,14fと共に周知のLMガイドを構成し、LMレール14f,14fに案内されてレールの長手方向に対し交差するレールの横方向に往復動するLMブロック14g,14gが設けられており、台車本体フレーム11aに対し車輪11f,11fおよび車輪支持部11e,11eがLMレール14f,14fおよびLMブロック14g,14gからなる周知のLMガイドによってレールの長手方向に対し交差するレールの横方向にスライドできるように構成している。
【0037】
そのため、作業員が図9に示すようにプランジャピン回転レバー14dを回転させてプランジャピン昇降用傾斜面14a1に沿ってプランジャピン14cを昇降させると、プランジャピン14c下端部が横方向位置決め板14eの3つの位置決め孔14e1,14e2,14e3から外れ、横方向位置決め板14eが固定された車輪支持部11e,11eがフリーとなり、車輪11f,11fおよび車輪支持部11e,11eが台車本体フレーム11aに対しレールの横方向にスライドフリー状態になると共に、作業員がプランジャピン回転レバー14dから手を離せば、スプリング(図示せず。)等によってプランジャピン14cが降下してプランジャピン14c下端部が横方向位置決め板14eの3つの位置決め孔14e1,14e2,14e3のいずれかに嵌まるので、3つの位置決め孔14e1,14e2,14e3によって車輪11f,11fおよび車輪支持部11e,11eの位置を台車本体11に対しレールの横方向にズラすことが可能となる。
【0038】
<実施形態のレール削正装置1の動作>
次に、以上のように構成された実施形態のレール削正装置1の動作について説明する。
【0039】
(実施形態のレール削正装置1を使用してレールの頭部を削正する場合)
実施形態のレール削正装置1を使用してレール間の継目の溶接部等のレールの頭部を削正する場合、例えば、2人の作業員がレール削正装置1の前後それぞれの手押しハンドル11h,11hのハンドル把持部11h1,11h1を掴んでレールの削正箇所まで運んでレール削正装置1の前後の車輪11f,11fをレールの上に乗せ、例えば、その削正箇所がレール削正装置1の前後の車輪11f,11f間に位置するように設置する。
【0040】
次に作業員は、台車本体11前後それぞれの手押しハンドル11h,11hのハンドル縦棒部11h2,11h2下端部それぞれが車輪11f,11fよりも下方へ突出して削正作業に支障、例えば台車本体11の前後動に支障となる場合には、ハンドル高さ固定ネジ部11j,11jを緩めてハンドル縦棒部11h2,11h2が台車本体11から抜けず、かつ、ハンドル縦棒部11h2,11h2下端部が削正作業に支障を与えない高さに上昇させた後、締めてハンドル縦棒部11h2,11h2を固定する。
【0041】
次に、作業員は、押当て板昇降機構部13の押当て板昇降用回転ハンドル13a6を適宜回転させて、研削ベルト12cの内側に位置する押当て板13b1を下降させ、押当て板13b1の下方を通る研削ベルト12cを上面側から下方に押し下げて、回転する研削ベルト12cをレールの頭部表面に押し付けて削正する。
【0042】
本実施形態のレール削正装置1の押当て板13b1は押当て板用昇降体13cの下端部に直接取り付けられ、バネなどの弾性体が介在していないため、レール表面削正時に弾性体が伸縮したり、押当て板13b1が揺動してレール表面を正確に削正できないということがなくなり、レールの削正作業を確実かつ効率良く行うことができる。
【0043】
また、本実施形態のレール削正装置1では、台車本体フレーム11aにはレール削正部12によるレールの削正状態を観察するための削正状態観察ミラー11kを設けているため、作業員は削正状態観察ミラー11kで研削ベルト12cによるレールの削正状態を観察することができるので、この点でもレールの削正作業を確実かつ効率良く行うことができる。
【0044】
また、本実施形態のレール削正装置1では、台車本体フレーム11aの左右両側の内、大径外輪11f3,11f3側に削正状態観察ミラー11kを取り付けているため、レール削正部12の研削ベルト12cによってレールの頭部の角部や頭部側面を削正する場合でも、削正状態観察ミラー11kが持ち上がって路盤やマクラギ等に接触して作業の支障になることがないので、この点でもレールの削正作業を確実かつ効率良く行うことができる。
【0045】
ここで、実施形態のレール削正装置1では、レールの頭部の幅よりも広い研削ベルト12cを使用しているため、図10に示すようにプランジャピン14cの下端部が横方向位置決め板14eの3つの位置決め孔14e1,14e2,14e3の内、中央の位置決め孔14e1,14e2に挿入して嵌合している場合には、研削ベルト12cの中央部分のみが摩耗する一方、左右両側の部分が摩耗せずに、不経済である。
【0046】
そこで、作業員は、台車本体11前後の車輪支持用突出板11b,11bに設けられた前後の車輪横方向スライド機構部14,14において、図9に示すようにプランジャピン回転レバー14dを回転させてプランジャピン昇降用傾斜面14a1に沿ってプランジャピン14cを上昇させると、プランジャピン14c下端部が横方向位置決め板14eの中央の位置決め孔14e2から外れて、横方向位置決め板14eが設けられた車輪支持部11e,11eがフリーとなる。
【0047】
次に作業員は、台車本体11前後の車輪支持用突出板11b,11bに設けられた前後の車輪横方向スライド機構部14,14において車輪11f,11fおよび車輪支持部11e,11eを左右いずれかの方向にスライドさせると共に、プランジャピン回転レバー14dから手を離してプランジャピン14cが降下させ、プランジャピン14c下端部を、例えば、図11に示すように横方向位置決め板14eの図上、右側の位置決め孔14e1に嵌めたり、あるいは図12に示すように横方向位置決め板14eの図上、左側の位置決め孔14e3に嵌めて車輪支持部11e,11eの横方向の位置を台車本体11に固定することにより、研削ベルト12cの中央部分ではない研削ベルト12cの右側や左側を使用することができる。
【0048】
そのため、実施形態のレール削正装置1では、レールの頭部の幅よりも広い研削ベルト12cを使用している場合でも、図11図12に示すように台車本体11に対し車輪支持部11e,11eおよび車輪11f,11fの位置を横方向にズラすことにより、研削ベルト12cの中央部分だけでなく、その左右両側を使用することができるので、研削ベルト12cの寿命を3倍近く延ばすことが可能となり、コストを低減することができる。
【0049】
(実施形態のレール削正装置1を保管等、使用しない場合)
実施形態のレール削正装置1を保管等、使用しない場合は、台車本体11前後それぞれの手押しハンドル11h,11hのハンドル縦棒部11h2,11h2下端部を台車本体11の前後の車輪11f,11fよりも下方へ突出させることにより車輪11f,11fを浮かせ、その状態でハンドル高さ固定ネジ部11j,11jを締めてハンドル縦棒部11h2,11h2をハンドル縦棒通しスリーブ部11i,11iに固定する。
【0050】
そのため、径が異なる小径外輪11f2,11f2および大径外輪11f3,11f3を有する車輪11f,11fが倉庫等の床面に着かず(接触せず)に浮かせた状態で実施形態のレール削正装置1を保管したりレールの傍に仮置き等することができるので、レール削正装置1を倉庫等において壁等に立て掛けることなく、独立して立てた状態で置くことができ、スペース効率良く、かつ、安定した状態で保管等することが出来ると共に、レール削正作業時にはレールの近傍に仮置きする際も斜めに倒さずに垂直状態で仮置き等することができるので、作業効率を向上させることが出来ると共に、削正作業を安全に行うことができる。
【0051】
<実施形態のレール削正装置1の主な効果>
本発明に係る実施形態のレール削正装置1では、作業員が手で掴んで押したり引くための手押しハンドル14eが設けられた台車本体11と、台車本体11における前後の車輪11f,11fの間に設けられ、エンジンやモータ等の駆動源12aによって前後のローラ12b、12b間に渡された研削ベルト12cを回転させるレール削正部12と、台車本体11に設けられ、前後のローラ12b、12b間に渡された研削ベルト12cの内側に位置させた押当て板13b1を降下せることによって下側を通る研削ベルト12cをレール表面に押し付けて削正する押当て板昇降機構部13とを備え、台車本体11の前後には、それぞれ、車輪11f,11fを回転可能に支持する車輪支持部11e,11eをレールの長手方向に対し交差するレールの横方向にスライドさせて所定の複数(ここでは、3箇所)の位置で固定するプランジャピン14cや3つの位置決め孔14e1,14e2,14e3を有する横方向位置決め板14e等を有する車輪横方向スライド機構部14を設けている。
【0052】
そのため、本発明に係る実施形態のレール削正装置1によれば、レールの頭部の幅よりも広い研削ベルト12cを使用している場合でも、図10図12に示すように台車本体11に対し車輪支持部11e,11eおよび車輪11f,11fの位置を中央や横方向にズラすことにより、研削ベルト12cの中央部分だけでなく、その左右両側を使用することができるので、研削ベルト12cの寿命を3倍近く延ばすことが可能となり、コストを低減することができる。
【0053】
また、本発明に係る実施形態のレール削正装置1では、押当て板昇降機構部13は、台車本体11の前後それぞれに固定された押当て板昇降機構部本体13a,13aと、押当て板昇降機構部本体13a,13aに上下方向にスライド可能に設けられ、下端部には押当て板13b1が設けられており、押当て板昇降用ネジ棒13a2の回転によって昇降する押当て板用昇降体13bと、押当て板昇降機構部本体13aに回転可能に支持された押当て板昇降用ネジ棒13a2の上部に設けられ、作業員が回転させることにより押当て板昇降用ネジ棒13a2、小径ギヤ13a5および大径ギヤ13a3を介し押当て板昇降用ネジ棒13a2を回転させて押当て板用昇降体13bを昇降させる押当て板昇降用回転ハンドル13a6とを有する。
【0054】
そのため、本発明に係る実施形態のレール削正装置1によれば、押当て板13b1自体を昇降させることによって研削ベルト12cの押下げ量や押付け力を調整しながらレール頭部表面に研削ベルト12cを押し付けてレール頭部表面に削正するので、レール頭部表面を正確かつ確実に削正することが出来ると共に、押当て板13b1は押当て板用昇降体13cの下端部に直接取り付けられ、バネなどの弾性体が介在していないのでレール表面削正時に弾性体が伸縮したり、押当て板13b1が揺動してレール表面を正確に削正できないということがなくなり、レールの削正作業を効率良く行うことができる。
【0055】
また、本発明に係る実施形態のレール削正装置1では、押当て板昇降機構部13の押当て板昇降用回転ハンドル13a6は、押当て板昇降用回転軸13a4の上端部に設けられており、その押当て板昇降用回転軸13a4の下端部には歯数の少ない小径ギヤ13a5が設けられている一方、押当て板昇降用ネジ棒13a2の上端部にはその小径ギヤ13a5に噛合う歯数の多い大径ギヤ13a3を設けている。
【0056】
そのため、本発明に係る実施形態のレール削正装置1によれば、作業員が押当て板昇降用回転ハンドル13a6を掴んで回転させることにより、歯数の少ない小径ギヤ13a5および歯数の多い大径ギヤ13a3を介して押当て板昇降用ネジ棒13a2を回転させて押当て板13b1を昇降させるため、押当て板13b1の高さを細かく調整することが可能となり、レールの溶接部等を正確に削正することができる。
【0057】
また、本発明に係る実施形態のレール削正装置1では、台車本体11の前後の車輪11f,11fは、それぞれ、左右非対称の車輪であって、レールの頭部の幅とほぼ同じ幅を有する内輪11f1と、その内輪11f1の左右両側にはそれぞれその内輪11f1よりも径が大きい小径外輪11f2と、その小径外輪11f2よりも径が大きい大径外輪11f3とを有し、手押しハンドル14eは、台車本体11の前後にそれぞれ設けられ、作業員が掴むハンドル把持部14e1と、そのハンドル把持部14e1の左右両側から下方に延び、台車本体の左右両側を通る一対のハンドル縦棒部11h2,11h2とのU字形状ないしはコ字形状に形成されている。
【0058】
そして、台車本体11の前後左右には、手押しハンドル14eの一対のハンドル縦棒部11h2,11h2を上下方向に貫通させて通すハンドル縦棒通しスリーブ部11i,11iが設けられていると共に、当該ハンドル縦棒通しスリーブ部11i,11iには、ハンドル縦棒部11h2,11h2を任意の高さで固定するハンドル高さ固定ネジ部11j,11jが設けられており、台車本体11の前後に設けた手押しハンドル14eの一対のハンドル縦棒部11h2,11h2下端部を台車本体11の前後それぞれの車輪11f,11fよりも下方へ突出させた状態でハンドル高さ固定ネジ部11j,11jによって固定し、台車本体11の前後に設けた手押しハンドル11h,11hによって車輪11f,11fを地面や床面等から浮かすことができるように構成している。
【0059】
そのため、本発明に係る実施形態のレール削正装置1によれば、径が異なる小径外輪11f2,11f2および大径外輪11f3,11f3を有する車輪11f,11fが地面や倉庫等の床面に着けず(接触させず)に浮かせた状態で保管できるので、レール削正装置1を倉庫等で壁等に立て掛けることなく、独立して立てた状態で置くことができる。その結果、レール削正装置1を保管する際、スペース効率が良く、かつ、安定した状態で保管できると共に、レールを削正する際にレールの近傍に仮置きする際も斜めに倒さずに立てた状態で仮置き等することができるので、作業効率を向上させることが出来ると共に、削正作業をより安全に行うことができる。
【0060】
また、本発明に係る実施形態のレール削正装置1では、台車本体11には、レール削正部12によるレールの削正状態を作業員が観察するための削正状態観察ミラー11kを設けている。
【0061】
そのため、作業員は、削正状態観察ミラー11kを見ながらレールの頭部を削正することができるので、この点でもレールの削正作業を確実かつ効率良く行うことができる。
【0062】
特に、削正状態観察ミラー11kは台車本体フレーム11aの左右両側の内、大径外輪11f3,11f3側に設けているため、レール削正部12の研削ベルト12cによってレールの頭部側面を研削する際、車輪11f,11fの大径外輪11f3,11f3側がレール頭部の頭頂面(踏み面)に当接するようにレール削正装置1を傾けてレール頭部の角部や側面を削正する場合には、削正状態観察ミラー11kが上昇し、削正状態観察ミラー11kが路盤やマクラギ等に接触等して作業の支障にならないので、この点でもレールの削正作業を確実かつ効率良く行うことができる。
【符号の説明】
【0063】
1 レール削正装置
11 台車本体
11a 台車本体フレーム
11b,11b 車輪支持用突出板
14b,14b スリーブ固定用ナット部
14a,14a プランジャ昇降用スリーブ
11e,11e 車輪支持部
11f 車輪
11f1 内輪
11f2 小径外輪
11f3 大径外輪
14c 車輪昇降用回転ハンドル
14e,14e 手押しハンドル
14e1,14e1 ハンドル把持部
14e2,14e2 ハンドル縦棒部
11i,11i ハンドル縦棒通しスリーブ部
11j,11j ハンドル高さ固定ネジ部
11k 削正状態観察ミラー
12 レール削正部
12a 駆動源
12b,12b 研削ベルト用ローラ
12c 研削ベルト
13 押当て板昇降機構部
13a 押当て板昇降機構部本体
13a1,13a1 LMレール
13a2 押当て板昇降用ネジ棒
13a3 大径ギヤ
13a4 押当て板昇降用回転軸
13a5 小径ギヤ
13a6 押当て板昇降用回転ハンドル
13b 押当て板支持昇降体
13b1 押当て板
14 車輪横方向スライド機構部
14a プランジャ昇降用スリーブ
14a1 プランジャピン昇降用傾斜面
14b スリーブ固定用ナット部
14c プランジャピン
14d プランジャピン回転レバー
14e 横方向位置決め板
14e1,14e2,14e3 位置決め孔
14f LMレール
14g LMブロック
図1
図2
図3
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