(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0354 20130101AFI20230120BHJP
【FI】
G06F3/0354 441
(21)【出願番号】P 2021019465
(22)【出願日】2021-02-10
(62)【分割の表示】P 2020145152の分割
【原出願日】2020-08-31
【審査請求日】2021-02-10
(31)【優先権主張番号】P 2019226956
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】515333639
【氏名又は名称】株式会社Susa Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 幸則
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-079049(JP,A)
【文献】実開昭60-123036(JP,U)
【文献】特開平09-319515(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1936801(CN,A)
【文献】特開平09-267980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0354
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オートクレーブ装置内における高温・高圧の水蒸気による滅菌処理を受ける医療現場に使用できる電子機器であって、
筐体と、
前記筐体の内部空間内に配置され、電子回路部品が実装されている基板と、
前記筐体の開口部に設けられ、外部からの画像光を入射する光学素子または撮像素子と、
を備え、
前記筐体の前記光学素子または撮像素子と前記電子回路部品との間は、前記画像光または前記画像光に対応する画像信号の伝送が可能である伝送部によって相互に離れて接続され、
前記基板は、前記電子機器の水平方向に対して垂直方向である上下方向のZ方向において、前記筐体の底部の下面と前記電子回路部品の下面との間の距離である距離K1、および/または、Z方向で、前記筐体の底部の上面と前記基板の下面との間の距離である距離K2だけ、前記筐体の底部からZ方向上方に離間して配置され、
前記基板は、Z方向で、前記電子回路部品の上面と前記筐体の上部の外面との間の距離である距離K3だけ、前記筐体の上部の外面から離間して配置され、
前記基板には上下方向の貫通部が形成され、前記電子回路部品は、前記基板の前記
貫通部の領域上に配置され、かつ撮像素子は、前記電子回路部品の下面側に設けられ、
前記基板および前記電子回路部品は、前記筐体の前記内部空間において、Z方向および水平方向でZ方向と直交するY方向ならびに水平方向でY方向と直交するX方向に対して、前記内部空間の中央部に配置され、
前記伝送部は、前記光学素子または撮像素子から、前記基板の前記貫通部を通して前記電子回路部品の前記撮像素子と接続される、
電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記筐体の前記開口部および前記光学素子または撮像素子も、前記基板および前記電子回路部品の位置とZ方向に一致する、前記筐体の底部の中央部に配置され、
前記伝送部は、前記筐体の底部の開口部の前記光学素子または撮像素子から、前記基板の前記貫通部を通して前記電子回路部品の前記撮像素子と接続される、
電子機器。
【請求項3】
オートクレーブ装置内における高温・高圧の水蒸気による滅菌処理を受ける医療現場に使用できる電子機器であって、
筐体と、
前記筐体の内部空間内に配置され、電子回路部品が実装されている基板と、
前記筐体の開口部に設けられ、外部からの画像光を入射する光学素子または撮像素子と、
を備え、
前記筐体の前記光学素子または撮像素子と前記電子回路部品との間は、前記画像光または前記画像光に対応する画像信号の伝送が可能である伝送部によって相互に離れて接続され、
前記基板は、前記電子機器の水平方向に対して垂直方向である上下方向のZ方向において、前記筐体の底部の下面と前記電子回路部品の下面との間の距離である距離K1、および/または、Z方向で、前記筐体の底部の上面と前記基板の下面との間の距離である距離K2だけ、前記筐体の底部からZ方向上方に離間して配置され、
前記基板は、Z方向で、前記電子回路部品の上面と前記筐体の上部の外面との間の距離である距離K3だけ、前記筐体の上部の外面から離間して配置され、
前記基板は、上下逆向きに配置され、前記電子回路部品は、前記基板の下面側に配置され、かつ撮像素子は、前記電子回路部品の下面側に設けられ、
前記基板および前記電子回路部品は、前記筐体の前記内部空間において、Z方向および水平方向でZ方向と直交するY方向ならびに水平方向でY方向と直交するX方向に対して、前記内部空間の中央部に配置され、
前記伝送部は、前記筐体の前記開口部の前記光学素子または撮像素子と、前記電子回路部品の前記撮像素子との間を接続する、
電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の電子機器において、
前記筐体の前記開口部および前記光学素子または撮像素子も、前記基板および前記電子回路部品の位置とZ方向に一致する、前記筐体の底部の中央部に配置され、
前記伝送部は、前記筐体の底部の前記開口部の前記光学素子または撮像素子と、前記電子回路部品の前記撮像素子との間を接続する、
電子機器。
【請求項5】
オートクレーブ装置内における高温・高圧の水蒸気による滅菌処理を受ける医療現場に使用できる電子機器であって、
筐体と、
前記筐体の内部空間内に配置され、電子回路部品が実装されている基板と、
前記筐体の開口部に設けられ、外部からの画像光を入射する光学素子または撮像素子と、
を備え、
前記基板は、前記電子機器の水平方向に対して垂直方向である上下方向のZ方向において、前記筐体の底部の下面と電子回路部品の下面との間の距離である距離K1、および/または、Z方向で、前記筐体の底部の上面と前記基板の下面との間の距離である距離K2だけ、前記筐体の底部からZ方向上方に離間して配置され、
前記基板は、Z方向で、電子回路部品の上面と前記筐体の上部の外面との間の距離である距離K3だけ、前記筐体の上部の外面から離間し、
前記電子回路部品は、水平方向でZ方向と直交するY方向で、前記電子回路部品の中心と前記筐体の上部の下部側面との間の距離である距離K4Aだけ、前記筐体の上部の下部側面から離間し、
前記電子回路部品の短手方向の中心は、前記筐体の上部の下部側面から前記筐体の短手方向に距離K4Bだけ離間し、
前記基板は、前記基板の長手方向の端面から、Y方向における前記筐体の上部の長手方向の一方側および他方側の外面までの距離である距離K4C1およびK4C2だけ、それぞれ離間し、
前記基板は、前記基板のY方向と水平方向に直交するX方向における水平方向の離間距離として、前記基板の短手方向の側面から、マウスの前記筐体の上部の短手方向一方側および他方側の外面までの距離である距離K4D1およびK4D2だけ、それぞれ離間し、
前記基板は、前記基板の一端部と、当該一端部から最も近い前記筐体の上部の外面との間の距離である距離K5だけ、前記筐体上部の外面から離間し、
前記光学素子または撮像素子は、前記筐体の一端側における前記筐体の上部の下部側面から距離K6の位置において前記筐体の底部の一端側に配置される一方、前記電子回路部品は、前記筐体の反対側の他端側における前記筐体の上部の下部側面から距離K4Aの位置に配置され、前記光学素子または撮像素子と前記電子回路部品との間は、X方向における水平方向に距離K7だけ相互に離間し、
前記筐体の開口部および前記光学素子または撮像素子と、前記電子回路部品とは、前記筐体の内部空間内において、前記Z方向、X方向およびY方向の全方向について、3次元的に最大限の離間距離だけ離間して配置されている、
電子機器。
【請求項6】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記伝送部は、光ファイバ、導光体、鏡筒、電気的配線のうち少なくとも1つによって構成されている、電子機器。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記筐体に接して第1断熱層が設けられている、電子機器。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記筐体内に、前記基板を包囲するように第2断熱層が設けられている、電子機器。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記電子回路部品を含む、前記筐体内で保護対象となる各々の部品を覆うように第3断熱層が設けられている、電子機器。
【請求項10】
請求項1~
4または6のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記伝送部と、前記筐体内の部品間の配線との少なくとも一部を覆うように第4断熱層が設けられている、電子機器。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記
基板の下面と前記筐体の底部との間の空間部に、第5断熱層が設けられている、電子機器。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記筐体内の少なくとも一部の領域に、吸熱材または充填材が設けられている、電子機器。
【請求項13】
請求項
11に記載の電子機器において、
前記
第5断熱層は、前記基板の下側に設けられて前記基板を支持または固定する、電子機器。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記基板の少なくとも一部の面または前記筐体の面あるいは前記電子回路部品を含む実装部品に、断熱塗装が施されている、電子機器。
【請求項15】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記伝送部の途中に、光結合器が設けられている、電子機器。
【請求項16】
請求項15に記載の電子機器において、
前記光結合器内には光透過性断熱部が設けられている、電子機器。
【請求項17】
オートクレーブ装置内における高温・高圧の水蒸気による滅菌処理を受ける医療現場に使用できる電子機器であって、
筐体と、
前記筐体の内部空間内に配置され、電子回路部品が実装されている基板と、
前記筐体の底部の開口部に設けられ、外部からの画像光を入射する光学素子または撮像素子と、
を備え、
前記筐体の底部の前記光学素子または撮像素子と前記電子回路部品との間は、前記画像光または前記画像光に対応する画像信号の伝送が可能である伝送部によって相互に離れて接続され、
前記基板は、前記電子機器の水平方向に対して垂直方向である上下方向のZ方向において、前記筐体の底部の下面と前記電子回路部品の下面との間の距離である距離K1、および/または、Z方向で、前記筐体の底部の上面と前記基板の下面との間の距離である距離K2だけ、前記筐体の底部からZ方向上方に離間して配置され、
前記基板は、Z方向で、前記電子回路部品の上面と前記筐体の上部の外面との間の距離である距離K3だけ、前記筐体の上部の外面から離間して配置され、
前記筐体の底部の一部に設けられた開口部に、前記光学素子として、1つ以上のレンズを含みかつ鏡筒を持つレンズ構造体が配置されている、
電子機器。
【請求項18】
請求項17に記載の電子機器において、
前記鏡筒は、前記底部の一部に設けられた固定部に対し固定され、
前記固定部と前記鏡筒との間には封止材が挟まれ、
前記鏡筒の空間部は、前記レンズで区分されることで光透過性断熱部が構成され、
前記開口部または前記レンズ構造体の開口部には、少なくとも耐熱性、防水性、耐圧性および光透過性を持つ遮熱フィルタまたはカバーが設けられている、電子機器。
【請求項19】
オートクレーブ装置内における高温・高圧の水蒸気による滅菌処理を受ける医療現場に使用できる電子機器であって、
筐体と、
前記筐体の内部空間内に配置され、電子回路部品が実装されている基板と、
前記筐体の底部の開口部に設けられ、外部からの画像光を入射する光学素子または撮像素子と、
を備え、
前記筐体の底部の前記光学素子または撮像素子と前記電子回路部品との間は、前記画像光または前記画像光に対応する画像信号の伝送が可能である伝送部によって相互に離れて接続され、
前記基板は、前記電子機器の水平方向に対して垂直方向である上下方向のZ方向において、前記筐体の底部の下面と前記電子回路部品の下面との間の距離である距離K1、および/または、Z方向で、前記筐体の底部の上面と前記基板の下面との間の距離である距離K2だけ、前記筐体の底部からZ方向上方に離間して配置され、
前記基板は、Z方向で、前記電子回路部品の上面と前記筐体の上部の外面との間の距離である距離K3だけ、前記筐体の上部の外面から離間して配置され、
前記基板は、底面部と側面部とを含む箱形状または筒形状あるいは球形または長球形もしくはそれに類似した多面体で構成され、前記箱形状または筒形状あるいは球形または長球形もしくはそれに類似した多面体の基板の内部空間に前記電子回路部品を含む部品が配置されている、
電子機器。
【請求項20】
請求項19に記載の電子機器において、
前記箱形状または筒形状あるいは球形または長球形もしくはそれに類似した多面体の前記基板の大きさは、前記筐体の内面で構成される3次元形態より小さい、電子機器。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記筐体の内部に光源部が設けられていない、電子機器。
【請求項22】
請求項21に記載の電子機器において、
前記筐体内に光を取り入れるための光取り入れ部が、前記筐体の底面の斜面部として設けられている、電子機器。
【請求項23】
請求項
7に記載の電子機器において、
前記
第1断熱層が複数の層により形成されている、電子機器。
【請求項24】
請求項
7に記載の電子機器において、
前記
第1断熱層の代わりに、断熱塗装が断熱対象物に施されている、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関し、例えば、コンピュータの入力および操作用デバイスとしてのマウスや、タブレット端末やモバイル端末、口腔内カメラ等の電子機器のうち、特に、医療現場等での使用に好適な特別な電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の一例として、一般的な事務用等に用いるマウスとしては光学式マウス等がある。従来一般的な光学式マウスは、マウス筐体底部の開口部にレンズや導光体等の光学部品を備え、マウス筐体内部でその光学部品の近くにイメージセンサおよび電子回路部品等を備える。光学式マウスは、レンズを通じた入射光からイメージセンサによって画像を検出し、電子回路部品によって各時点の画像の差分からマウスの移動の状態を計算することで、マウス機能を実現している。
【0003】
コンピュータおよびマウスを含むシステムは、各種の環境での使用が拡大しており、病院等の医療現場でも使用され、今後も使用拡大され得る。例えば、診療室や手術室等の環境で、マウスを含むシステムを利用し、高度な医療を行いたいというニーズがある。利用一例としては、PCまたは専用医療機器を含むシステムの表示画面に診療や手術のための画像(2次元や3次元の画像)を表示し、医師等がマウスを操作しながら診療や手術等を行うことが挙げられる。
【0004】
マウスに関する先行技術例として、特開平9-319515号公報(特許文献1)が挙げられる。特許文献1には、コンピュータ入力用マウスおよびカバーとして、カバーが、光透過性を有する合成樹脂に抗菌処理されて成形されている旨や、カバーがマウスに接着されて使用される旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、医療現場で使用する医療器具等に関しては、感染防止のために、必要なレベルの消毒や滅菌等が行われている。滅菌処理としては、例えばオートクレーブ処理がある。オートクレーブ処理では、対象物が、所定の高温・高圧の水蒸気によって所定時間以上曝される。医療用マウスについても、感染防止のために、消毒処理、望ましくは滅菌処理が必要とされ、耐熱、耐水、耐圧、防水等の観点での性能が要求される。
【0007】
しかし、従来の一般的な事務用の光学式マウスは、オートクレーブ処理のような高温・高圧の水蒸気による滅菌処理に耐えることができない。光学式マウスは、熱や水に弱い電子回路部品等の部品を含んで構成されている。光学式マウスは、マウス機能を実現するために、筐体底部に接して、レンズ、イメージセンサ、電子回路部品、光源部、および電源部等の構成要素が配置されている。そのため、光学式マウスは、オートクレーブ処理にけた場合には、高温・高圧の水蒸気の熱が、特に筐体底部の開口部を通じて筐体内の電子回路部品等の部品に直接的に伝わり、また水蒸気が浸入しやすく、その結果、部品の損傷
が大きくなり、マウス機能を達成できなくなる。
【0008】
本発明の目的は、一般的な事務用コンピュータにおける入力および操作用の電子機器とは全く違って、オートクレーブ装置内における高温・高圧の水蒸気による滅菌処理等の過酷な処理条件に耐えることができ、医療現場等に好適に使用できる特別な電子機器、例えばマウスや、タブレット端末およびモバイル端末等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のうち代表的な実施の形態は、以下に示す構成を有する。すなわち、一実施の形態の電子機器は、 オートクレーブ装置内における高温・高圧の水蒸気による滅菌処理を受ける医療現場に使用できる電子機器であって、筐体と、前記筐体の内部空間内に配置され、電子回路部品が実装されている基板と、外部からの画像光を入射する光学素子または撮像素子と、を備え、前記光学素子または撮像素子と前記電子回路部品との間は、前記画像光または前記画像光に対応する画像信号の伝送が可能である伝送部によって相互に離れて接続され、前記基板は、Z方向で、前記筐体の底部の下面と前記電子回路部品の下面との間の距離である距離K1、および/または、Z方向で、前記筐体の底部の上面と前記基板の下面との間の距離である距離K2だけ、前記筐体の底部からZ方向上方に離間して配置されているものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のうち代表的な実施の形態によれば、オートクレーブ装置内における高温・高圧の水蒸気による滅菌処理等に耐えることができ、医療現場等に使用でき、感染防止や、医療効率の向上等に貢献できる電子機器、例えばマウスや、タブレット端末およびモバイル端末等を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の電子機器の一例である実施の形態1のマウスの外観を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1のマウスの主要部の縦断面図である。
【
図3】実施の形態1のマウスの主要部の水平面での構成図である。
【
図4】実施の形態1のマウスの主要部の横断面図である。
【
図5】実施の形態1のマウスのイメージセンサに関する構成例を示す図である。
【
図6】実施の形態1の変形例(変形例1)のマウスの構成を示す図である。
【
図7】本発明の実施の形態2のマウスの主要部の構成を示す図である。
【
図8】実施の形態2のマウスの断熱構造等を示す横断面図である。
【
図9】実施の形態2のマウスで、レンズと伝送部との接続構成例を示す図である。
【
図10】実施の形態2の変形例(変形例2)のマウスの構成を示す図である。
【
図11】実施の形態2の変形例(変形例3)のマウスの構成を示す図である。
【
図12】実施の形態2の変形例(変形例4)のマウスの構成を示す図である。
【
図13】実施の形態2の変形例(配線例2)のマウスの構成を示す図である。
【
図14】実施の形態2の変形例(配線例3)のマウスの構成を示す図である。
【
図15】実施の形態2の変形例(位置関係例1)のマウスの構成を示す図である。
【
図16】実施の形態2の変形例(位置関係例2)のマウスの構成を示す図である。
【
図17】実施の形態2の変形例(配線例4)のマウスの構成を示す図である。
【
図18】実施の形態2の変形例(配線例5)のマウスの構成を示す図である。
【
図19】本発明の実施の形態3のマウスの断熱構造等を示す横断面図である。
【
図20】本発明の実施の形態4のマウスの断熱構造等を示す横断面図である。
【
図21】本発明の実施の形態5のマウスにおける伝送部の構成を示す図である。
【
図22】本発明の実施の形態6のマウスにおける筐体底部の光学素子の構成を示す図である。
【
図23】本発明の実施の形態7のマウスの構成を示す図である。
【
図24】本発明の実施の形態8のマウスの構成を示す図である。
【
図25】本発明のマウスをオートクレーブ滅菌処理に適用する例について説明する図である。
【
図26】本発明の電子機器の他の例としてのタブレット端末ないしPCの一実施の形態を示す平面方向の概略断面図である。
【
図29】本発明の電子機器のさらに他の例としての口腔内カメラの一実施の形態を示す平面方向の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、全図面において同一部には原則として同一符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
【0013】
<実施の形態1>
図1~
図6を用いて、本発明の電子機器の一例としての実施の形態1のマウスについて説明する。実施の形態1のマウスは、病院等の医療現場での衛生環境を向上させる、オートクレーブ滅菌の適用が可能な医療用マウス、言い換えると滅菌可能マウスである。例えば検査や手術等の際に、マウスが接続されるコンピュータや医療機器を含むシステムを使用したい場合がある。その場合に、滅菌処理済みのマウスを使用することで、感染防止を確実にし、例えばナビゲーションサージェリ等のシステムの機能を用いて高度な医療が実現できる。例えば術者自身がマウスを操作することで3次元画像のイメージをより確実に獲得でき、手術等の質を高めることができる。このマウスは、光学式のマウス機能を持つだけでなく、医療現場等の使用環境において、医療器具と共に、オートクレーブ処理等の滅菌処理が適用可能であり、これにより、感染防止や医療効率向上等の効果をもたらす。
【0014】
まず、実施の形態1では、伝送部を含む基本構成を示し、後述の実施の形態2等では、さらに断熱構造等を追加した構成を示す。実施の形態1のマウスは、
図2等に示すように、伝送部6を用いて、マウス機能の構成要素を空間的に分離して配置する構造を有する。この構造では、筐体底部2Bの開口部R1の光学素子であるレンズ4と、基板10の電子回路部品5等の部品とが、光ファイバ6fのような伝送部6を用いて、上下に離して接続される。
【0015】
[1-1:マウス全体]
図1は、実施の形態1のマウスであるマウス1の全体外観の模式的な構成の斜視図を示す。マウス1は、コンピュータの入力デバイスとして機能する医療用マウスである。マウス1の筐体2は、筐体上部2Aと筐体底部2Bとを有する。筐体上部2Aは、ユーザの手によって把持される部分であり、概略楕円曲面形状あるいは自由曲面形状を有する。筐体上部2Aの前寄りの位置には、入力操作のためのボタン(スイッチボタンやクリックボタン等と呼ばれる場合もある)3、例えば左右の2個のボタン3を備えている。ボタン3は、ユーザによるクリック等の操作に対応して指によって押下できるボタンである。なお、2ボタン方式の場合を示すが、これに限らず1ボタンや3ボタン等を含め、任意の数のボタンを持つ方式も可能である。筐体底部2Bは、マウス設置面に設置される概略的に平板形状の部分である。この筐体底部2Bのうち、筺体2の中央位置から長手方向の一方向に偏倚した位置には、光学素子等が設置される開口部R1が設けられている。筐体上部2Aと筐体底部2Bは、マウス製造時に内部に部品を収容した後に接合される。実施の形態1のマウス1は、無線通信方式および無線充電方式のマウスの場合を示し、筐体2の外部に出るケーブル等は無い構成である。
【0016】
図2~
図5に示す実施の形態1のマウス1は、(a)伝送部6として光ファイバ6fを用いる構成、(b)伝送部6を筐体2に対し前側面を経由する配線とする構成、および(c)光源部7および電源部8を設ける構成、等を有する。また、この構成例は、(d)基板10上に1個の電子回路部品5がある場合を示し、(e)水平面の平面視における開口部R1のレンズ4と基板10の電子回路部品5との位置関係として、電子回路部品5を基板10上の位置のうち、開口部R1から筐体2の長手方向にできるだけ離れた位置(
図3では、左側の開口部R1の位置に対して逆方向である右側の位置)に配置され、開口部R1を経由してのマウス外部からの熱の侵入による熱伝導を防止する位置関係となっている。(f)さらに、基板10の上に、電子回路部品5のみならず、光源部7および電源部8も配置して、基板10に下から開口部R1を経由してマウス外部から侵入する熱をできるだけ防止する構成としている。(g)また、基板10の平面形状は、
図3のように、筺体2の構造面の内面の形状である略楕円形状と同様な略楕円形状として形成され、後述のように、筺体1の構造面からの距離を、基板10の全周囲において、できるだけ均等にかつ大きく離間させ、筺体2の構造面を経由して外部から侵入する熱等をできるだけ防止できるよう工夫されている。なお、基板10は、例えば、好ましくは断熱材等よりなる支持手段により支持されることができるが、説明の明確化の都合上、
図2では省略する。
【0017】
[1-2:マウス縦断面]
図2は、実施の形態1のマウス1の縦断面(
図1のA-A線に対応するY-Z面)の概要を示す。
図2では、マウスパッド等の設置面SFの上に筐体底部2Bが置かれている状態を示す。筐体底部2Bの一部には盛り上げ部2B1を有する。盛り上げ部2B1は例えば研磨やコーティングによって形成される。これにより、設置面SFと筐体底部2Bの主面との間には、光を取り入れるための空間が形成される。
【0018】
筐体2のボタン3は、
図2ではロッド等を有さないタイプの構成を示す。ボタン3は、配線3c(例えば耐熱コード)を通じて基板10の電子回路部品5と電気的に接続される。ボタン3は、例えば、耐熱性や耐水性や耐圧性等を持つ部材で構成されてもよいし、耐熱性や耐水性や耐圧性等を持たないボタンである場合には、別に耐熱性や耐水性や耐圧性等を持つカバーで覆われてもよい。ボタン3は、例えば柔軟性(弾性)を持つ樹脂等で構成され、ユーザによる押下操作に応じて凹凸状に変形する。ボタン3の変形に応じて、ボタン3の下側の図示しないスイッチ回路が電気的にオン/オフされ、配線3cからオン/オフの信号が出力される。なお、ボタン3が筐体2の一部である構成としてもよい。
【0019】
マウス1は、筐体2内に、レンズ4、基板10、光源部7、電源部8、および伝送部6等の要素が配置されている。このマウス1における光学式のマウス機能は、主に、レンズ4、伝送部6、イメージセンサ15(詳細は後述の
図5)および電子回路部品5の接続によって構成されている。筐体2の内部空間は、大別して、基板10の下側にある第1空間部SP1と、基板10の上側にある第2空間部SP2とを有する。筐体底部2Bの開口部R1には、レンズ4が配置されている。レンズ4は、筐体底部2Bの一部(開口部R1)に配置され外部からの光(画像光)を光信号として入射する光学素子(言い換えれば、画像光入射部)である。レンズ4は、1枚に限らず、複数枚のレンズから構成されてもよいし、ミラー等の部品を有してもよい。レンズ4は、筐体底部2Bと密着して固定されている。レンズ4は、筐体2の外部の設置面SFからの光を画像光(光信号)として集光して入射し、その画像光は伝送部6の一方端に入射される。
【0020】
基板10は、電子回路部品5等の電子部品などが実装されており、電子回路部品5には後述の
図5のようにイメージセンサ15が接続されている。電子回路部品5およびイメージセンサ15は、滅菌処理時の熱や水(水蒸気)に関する保護対象である。電子回路部品5は、マウス機能のコントローラ、無線通信機能、および無線充電制御機能等を実現する、1個の一体型である場合を示す。電子回路部品5のコントローラは、イメージセンサ15の画像を用いた画像処理やボタン3の入力処理等を制御し、また、無線通信および無線充電等を制御する。電子回路部品5のコントローラは、イメージセンサ15によって検出した画像に基づいて、各時点の画像の差分から、マウス1の移動の状態を計算する。また、コントローラは、ボタン3のオン/オフ等の状態を検出する。コントローラは、マウス1の状態を表す情報を、無線通信回路を通じて外部のコンピュータ等へ送信する。なお、1個の電子回路部品5のみを示しているが、これに限らず、後述のように基板10には複数の電子回路部品や他の部品が設けられてもよい。
【0021】
伝送部6は、光ファイバ6f(言い換えると、イメージファイバ、光ケーブル等)で構成される。このマウス1は、伝送部6に関して、画像光直接伝送方式の光ファイバ6fを適用する。この光ファイバ6fは、レンズ4を通じて入射される光信号としての画像光を、イメージセンサ15まで直接的に光伝送する部分である。光ファイバ6fは、レンズ4とイメージセンサ15とを光学的に接続する。光ファイバ6fの一方端が例えばレンズ4と接続され、他方端がイメージセンサ15と接続される。これらの接続は、物理的接続と共に、画像光直接伝送を確保する光学的接続である。なお、この接続の構成については限定しない。光ファイバ6fは、柔軟性を持つので、伝送路の曲げ等も可能である。
【0022】
図2~
図4の配線例(配線例1とする)では、光ファイバ6fは、筐体2内で例えば前側面付近を経由する配線であり、基板10の上面側の電子回路部品5の上面側のイメージセンサ15に接続されている。
【0023】
光源部7は、照明光を発生し供給する部分(発光素子)であり、例えばLED素子で構成されるが、これに限らずレーザ光源等で構成されてもよい。光源部7は、発生する照明光を開口部R1のレンズ4に供給する。本例では、光源部7は、基板10の上に配置されている。光源部7は、配線7cを通じて基板10の電子回路部品5と接続されている。電子回路部品5は、光源制御信号によって光源部7の発光を制御する。光源部7の配置位置は任意でよく限定しない。光源部7からの照明光は、例えば光源部配線7dによってレンズ4へ供給される。なお、照明光の供給には導光体等の光学部品を用いてもよい。光源部配線7dは、例えば伝送部6と同様に光ファイバを用いてもよい。伝送部6と光源部7とで複数の光ファイバを用いる場合、それらの光ファイバが結束されてもよい。なお、後述の
図6のように光源部7が無い構成とした場合でも、使用環境の照明光が十分である場合には、マウス機能を果たすことができる。
【0024】
電源部8は、配線8cを通じて基板10と接続されている。電源部8は、基板10上で例えば中央付近の位置に配置されている。電源部8は、電力を電子回路部品5等の各部へ供給する。電源部8の配置位置は任意でよく限定しない。電源部8は、実施の形態1では無線充電部であり、無線充電方式で、設置面SF(例えばマウスパッド)の無線給電部との間で、無線充電を受ける回路および二次電池を有する部分である。無線充電方式については限定せず、公知の方式、例えば磁界結合方式、電界結合方式、レーザ方式、マイクロ波方式、超音波方式等を適用できる。
【0025】
電源部8は、無線充電部に限らず、一次電池としてもよい。その場合、筐体2に対し蓋付きで交換可能な一次電池としてもよい。その蓋を含む部分には、防水性や耐熱性等を持たせる。電源部8は、筐体2の外面に端子が露出するタイプの二次電池としてもよい。この場合、露出する端子は、例えば筐体底部2Bの主面に対して平滑とする。平滑とすることで、汚れが付着しにくい性質(防汚性)および汚れを除去しやすい性質(易洗浄性)を持つ。
【0026】
電源部8は、本例では、全体として基板10の上に配置されている。ただし、後記の実施の形態や変形例に示すように、これに限らず、少なくとも一部が基板10に配置されてもよい。また、基板10とは別に、光源部7の搭載用の基板や、電源部8の搭載用の基板や、通信部ないし通信手段の搭載用の基板等が設けられてもよい。筐体2内にそれらの複数の基板が収容される。筐体2内で、複数の基板は、水平方向に並列に配置されてもよいし、上下方向で重なるように配置されてもよい。複数の基板が3次元的に段状や層状の構造体として形成されてもよい。各基板は、筐体2内で垂直に配置されてもよいし、水平に対し斜めに配置されてもよい。複数の基板に分ける場合、各部品の温度や断熱性の程度に応じた配置位置分けを、容易・詳細に行うことができる。
【0027】
このマウス1は、伝送部6として光ファイバ6fを適用することで、筐体底部2Bの開口部R1のレンズ4等の部分と、筐体2内のイメージセンサ15および電子回路部品5等の部分との距離をできるだけ遠く離すことができる。しかも、本実施の形態1では、電子回路部品5等を、筐体底部2Bの長手方向の一端部近く(
図2と3では左側端部近くで、マウス1の前側の位置)に設けられた開口部R1からできるだけ遠く離れた好適な位置として、本例では筐体2内の長手方向の右側端部近くの位置(マウス1の後側の位置)に配置している。したがって、光ファイバ6fの長さも長くなるので、開口部R1のレンズ4から電子回路部品5およびイメージセンサ15に伝導される熱等をできるだけ少なくすることができる。
【0028】
このように、本実施の形態1のマウス1においては、水平面の平面視における開口部R1のレンズ4と基板10上の電子回路部品5およびイメージセンサ15との位置関係として、電子回路部品5を基板10上の位置のうち、開口部R1から筐体2の長手方向にできるだけ離れた位置(マウス1の前側すなわち
図3の左側の開口部R1の位置に対して逆方向であるマウス1の後側すなわち
図3の右側の位置)に配置され、開口部R1を経由してのマウス外部からの熱の侵入による熱伝導をできるだけ防止する位置関係となっているので、マウス1が、例えばオートクレーブ装置における高熱かつ高圧の水蒸気で滅菌処理を受けるような場合でも、開口部R1およびレンズ4を経由してマウス外部から侵入する熱が電子回路部品5およびイメージセンサ15に伝導されて電子回路部品5およびイメージセンサ15を損傷したり故障したりすることをできるだけ防止することが可能となる。
【0029】
さらに、基板10の平面形状は、
図3のように、筺体2の略楕円形状と同様な略楕円形状として形成されることにより、筺体2の構造面の内面からの距離を、基板10の全周囲において、できるだけ均等にかつ大きく離間させ、筺体2の構造面を経由して外部から侵入する熱等をできるだけ防止できるよう工夫されていると共に、略楕円形にすることにより、基板10の面積をできるだけ小さくして基板10に蓄積した熱が熱伝導により電子回路部品5等に伝導されないよう構成されている。その結果、この基板10の平面形状の工夫の面でも、基板10への熱の蓄積ならびに電子回路部品5およびイメージセンサ15への熱伝導を防止し、熱アタックによる電子回路部品5およびイメージセンサ15の損傷や故障をできるだけ防止することが可能となる。
【0030】
本実施の形態1では、上記説明や、
図2および
図3等にも示すように、電子回路部品5、光源部7、および電源部8の全てが、基板10の上に配置されている。その結果、マウス1のオートクレーブ装置内における高温・高圧の水蒸気による滅菌処理を受けた場合でも、電子回路部品5、光源部7、および電源部8の全てが、筐体底部2Bから、以下に説明する距離K1以上離れていることにより、高温・高圧の水蒸気による高熱・高圧・水分による影響が電子回路部品5、光源部7、および電源部8の全てに伝わることを防止でき、電子回路部品5、光源部7、および電源部8の全てを高熱・高圧・水蒸気に起因する損傷ないし故障から保護することができる。
【0031】
本実施の形態1においては、高熱・高圧・水蒸気に起因する損傷ないし故障から保護するため、マウス1の筐体2内における電子回路部品5等の配置が非常に重要であるので、以下に、マウス1の筐体2内における電子回路部品5や、基板10、イメージセンサ15などのX、Y、Z方向の配置や距離の詳細について説明する。
【0032】
図2に示すように、距離K1は、
図2の上下方向であるZ方向で、筐体底部2Bの下面と電子回路部品5の下面との間の距離である。距離K2は、Z方向で、筐体底部2Bの上面と基板10の下面との間の距離であり、第1空間部SP1における距離である。距離K1および距離K2が確保されることで、筐体底部2Bの外部からの上方への熱伝導が防止できるという効果が得られる。このマウス1は、伝送部6を用いて第1空間部SP1を設けるので、この空間の分、断熱性等を高めることができる。この空間の距離K2等の設計では、断熱性等を考慮した好適な距離を選択できる。
【0033】
また、距離K3は、電子回路部品5の上方における第2空間部SP2に関して、Z方向で、電子回路部品5の上面と筐体上部2Aの外面との間の距離である。距離K3も十分に確保されるので、筐体上部2Aの外部から下方に伝わる熱等から電子回路部品5を保護することができる。
【0034】
距離K4A(
図2および
図3)は、
図2および
図3におけるマウス1の筐体2の長手方向すなわち前後方向であるY方向で、電子回路部品5の中心と筐体上部2Aの長手方向一端部(
図2および3の右端部)の下部側面との間の距離である。本実施の形態1では、距離K4Aは、できるだけ短くとられており、また、筐体上部2Aの長手方向一端部(
図2および3の左端部)の下部側面と開口部R1およびレンズ4との間の距離である距離K6もできるだけ短くとられている。その結果、本実施の形態1においては、開口部R1およびレンズ4と電子回路部品5との間の水平方向距離である距離K7をできるだけ長くとるよう、すなわち、開口部R1およびレンズ4と電子回路部品5とを水平方向および上下方向の両方向にできるだけ大きく離間させ、開口部R1およびレンズ4の部分からマウス1内に侵入し得る高熱等ができるだけ電子回路部品5に到達しないよう構成されている。
【0035】
一方、距離K4B(
図3)は、Y方向に直交するX方向で、電子回路部品5の中心と筐体上部2Aの短手方向の側面の外面との間の距離である。したがって、マウス1の電子回路部品5は、X方向で見て、水平方向のいずれの方向に対しても等しい距離であるので、電子回路部品5は、X方向においてマウス1の筐体2の中心位置(中央部)に配置されていることになる。
【0036】
また、上記したように、本実施形態1のマウス1においては、水平面の平面視における開口部R1のレンズ4と基板10上の電子回路部品5およびイメージセンサ15との位置関係として、レンズ4と電子回路部品5とをできるだけ遠く離間させる構造となっている。つまり、電子回路部品5は、上記の如く、
図2および
図3では、筺体2の長手方向右側の端部近くにおいて、電子回路部品5の中心と筐体上部2Aの下部右側面との間の距離がK4Aの位置に配置されている。これに対し、開口部R1および当該開口部に設置されるレンズ4は、電子回路部品5とは、筺体2の長手方向の反対側である左側の端部近くにおいて、筐体上部2Aの下部左側面との間の距離がK6の位置に配置されている。その結果、開口部R1およびレンズ4と電子回路部品5との間の水平方向距離は、距離K7だけ離間していることになるが、開口部R1およびレンズ4を通して筐体2内に侵入した高熱等が熱等に弱い電子回路部品5に到達することを防止するためには、この距離K7ができるだけ大きい方がよい。本実施の形態1では、開口部R1およびレンズ4と電子回路部品5との間の距離K7ができるだけ大きくされている上記配置関係であることにより、開口部R1およびレンズ4と電子回路部品5との間は、互いに水平方向および上下方向に最大限に遠く離間しているので、例えばオートクレーブ装置における高温かつ高圧の水蒸気による滅菌処理をマウス1が受けるような場合にも、開口部R1およびレンズ4を経由してマウス1の内部に侵入した熱や圧力、水分が電子回路部品5やイメージセンサ15に到達して電子回路部品5およびイメージセンサ15を損傷したり故障させたりすることが最大限に防止され、熱等に弱い電子回路部品5やイメージセンサ15を最大限に保護することが可能となる。
【0037】
なお、本実施の形態1では、開口部R1およびレンズ4と電子回路部品5とは、Z方向の上下方向と水平方向のY方向とに離間している構造であるが、それに加えて、
図3の二点鎖線で示すように、例えば開口部R1およびレンズ4または電子回路部品5を、マウス2の長手方向の中心位置から水平方向のY方向ならびに水平方向のX方向のいずれかの方向にずらして離間させる配置とすることもできる。これにより、電子回路部品5は、開口部R1およびレンズ4からZ方向上下方向および水平方向のY方向ならびに水平方向のX方向の全ての方向に互いに離間することになる。その結果、電子回路部品5と開口部R1およびレンズ4との離間距離は、Z方向、Y方向、X方向の全方向に3次元的に最大となり、開口部R1およびレンズ4の部分からマウス2内に侵入した熱や水分が電子回路部品5に到達することを最大限に防止することができる。
【0038】
その場合、開口部R1およびレンズ4または電子回路部品5をX方向にずらす位置を互いに対角線方向、すなわち
図3における開口部R1Aおよびレンズ4Aと電子回路部品5Bまたは開口部R1Bおよびレンズ4Bと電子回路部品5Aのように、X方向に反対側の位置とすることにより、Z方向上下方向および水平方向のY方向ならびに水平方向のX方向の全ての方向に互いに対角線方向に最大限に離間することになるので、開口部R1およびレンズ4または電子回路部品5との離間距離は、Z方向、Y方向、X方向の全方向において3次元的に最大となり、熱に弱い電子回路部品5等の保護が最大限に図られるというメリットが得られる。
【0039】
さらに、上記したように、本実施の形態1では、基板10の平面形状が、
図3に示す如く、筺体2の構造面の内面の略楕円形状と同様な略楕円形状として形成されることにより、筺体1の構造面からの距離を、基板10の全周囲において、できるだけ均等にかつ大きく離間させ、筺体2の構造面を経由して外部から侵入する熱等をできるだけ防止し、かつ、基板10の面積をできるだけ小さくして基板10に蓄積した熱が熱伝導により電子回路部品5等に伝導されないよう構成されている上に、次のような熱伝導の防止の工夫もされている。
【0040】
実施の形態1においては、基板10を通じての電子回路部品5やイメージセンサ15への熱伝導をできるだけ防止するため、基板10の長手方向および短手方向の端面も、マウス1の筐体2の筐体上部2Aの外面から空間的に離間して配置されている。すなわち、
図3に示すように、基板10のY方向における水平方向の離間距離としては、
図3における基板10の長手方向(前後方向)の端面(
図3の右端面および左端面)から、筐体上部2Aの長手方向右側および左側の外面までの距離である距離K4C1およびK4C2だけ、それぞれ離間している。
【0041】
また、基板10のY方向に直交するX方向(
図3のマウス1の筐体2の短手方向すなわち
図3の右から左に見て左右方向つまり向う側と手前側)における水平方向の離間距離としては、
図3における基板10の短手方向の側面(
図3の向う側の端面および手前側の端面)から、マウス1の筐体2の筐体上部2Aの短手方向右側(
図3の向う側)および左側(
図3の手前側)の外面までの距離である距離K4D1およびK4D2だけ、それぞれ離間している。なお、距離K4C1およびK4C2同士ならびに距離K4D1およびK4D2同士は互いに等しくするのが耐熱性等のバランスが良いが、マウス1の筐体2の外部お
よび内部の構造や部品配置、使用状況等によって、相違させてもよい。
【0042】
したがって、本実施の形態1における基板10は、基板10の平面形状が、
図3に示す如く、筺体2の構造面の内面の略楕円形状と同様な略楕円形状として形成されることに加えて、マウス1の筐体2の筐体底部2Bの外面から距離K1だけ離間している(
図2参照)のみならず、
図3のように、水平方向の4端面の全てにおいても、マウス1の筐体2の筐体上部2Aの水平方向の外面との間で、それぞれ距離K4C1およびK4C2、距離K4D1およびK4D2だけ離間していることになるので、基板10は、上下方向のみならず、水平方向にも、筺体2の構造面からできるだけ大きく十分に離間しており、マウス1の筐体2の筐体上部2Aおよび筐体底部2Bから基板10への熱伝導および基板10への熱の蓄積を最小限に抑制することができる。その結果、質量の比較的大きい基板10から、質量の小さい電子回路部品5や、光源部7、電源部8、当該電子回路部品5を介してのイメージセンサ15等への熱伝導が最小限に減少し、高熱による電子回路部品5やイメージセンサ15等の損傷や、故障、劣化を有効に防止できる。
【0043】
距離K5は、基板10の一端部(
図2の左端部)と、当該一端部から最も近い前記筐体上部2Aの外面との間の距離である。つまり、基板10は、距離K5だけ、前記筐体上部2Aの外面から離間している。その場合、本実施の形態1では、基板10の平面形状が筺体2の構造面の内面の略楕円形状と同様な略楕円形状として形成されていることにより、基板10の長手方向の両端面は直線形状ではなく、円弧状の曲面形状であるので、距離K5は両端面が直線形状の基板10の場合に比較して、基板10の長手方向の両端面と筺体2の構造面の内面との間の離間距離、つまり距離K5の長さを両端面全長に渡ってできるだけ大きくとることができる。このように、基板10は、前記筐体上部2Aの外面からの離間距離K5も十分に確保されるので、筐体上部2Aの面からの基板10の端部への熱伝導も防止できる。
【0044】
[距離K1~K7等の好ましい実例]
ここで、上記距離K1~K7等の寸法の好ましい実例について説明すると、まず、マウス1の全体の高さ=30~50mm(好ましくは例えば40mm)、全体の長さ=80~130mm(好ましくは例えば110mm)、全体の幅=45~75mm(好ましくは例えば55~65mm)の実例を想定すると、その場合、基板10や、筐体2および筐体底部2Bの厚さ等にもよるが、上記距離K1=10~25mm(好ましくは例えば12~20mm)、K2=5~20mm(好ましくは例えば7~15mm)、K3=20~35mm(好ましくは例えば12~25mm)、K4A=15~50mm(好ましくは例えば20~30mm)、K4B=22.5~37.5mm(マウスの幅の半分)、K4C1=9~30mm(好ましくは例えば12~20mm)、K4C2=15~80mm(好ましくは例えば40~75mm)、K4D1=K4D2=7~20mm(好ましくは例えば15~18mm)、K5=13~90mm(好ましくは例えば45~85mm)、K6=8~50mm(好ましくは10~20mm)、K7=30~90mm(好ましくは60~80mm)という具体的寸法がそれぞれの好ましい寸法として考えられる。
【0045】
勿論、上記の寸法は上記例示のものにのみ限定されるものではなく、マウス1や、筐体2、電子回路部品5、基板10の寸法等によって、様々に変動させることができる。
【0046】
K1~K7の寸法を上記のそれぞれの寸法にすることにより、特に、K1およびK2をそれぞれ上記の寸法にすることにより、また、K4A、K6およびK7、特にK7の寸法をできるだけ大きくとることにより、マウス1のオートクレーブ装置内における高温・高圧の水蒸気による滅菌処理を受けた場合でも、特に距離K1およびK2ならびにK7の確保により、高温・高圧の水蒸気による高熱・高圧・水分による影響が電子回路部品5まで及ぶことを防止でき、電子回路部品5等を高熱・高圧・水蒸気に起因する損傷ないし故障から保護することができる。
【0047】
上記距離K1~K7は、上記のような個々の寸法に加えて、各距離K1~K7の相互間の比率も本発明の作用効果(電子回路部品5の保護等)を得るために重要な要素となる。本発明者が確認した好ましい比率としては、K1~K7の相互間には、K1>K2、K1≒または≦K3という関係が考えられる。この比率に基づいて、上記距離K1~K5の比率を数字で表すと、K1:K2:K3:K4A:K4B:K5=3:2:4:5:5:11~14の比率、K4A:K6:K7の比率としては、2:1:6の比率が好ましい比率として考えられる。
【0048】
距離K1~K7の比率を上記の比率にすることにより、マウス1がオートクレーブ装置内における高温・高圧の水蒸気による滅菌処理を受けた場合でも、特に距離K1およびK2の確保により、高温・高圧の水蒸気による高熱・高圧・水分による影響が電子回路部品5まで伝わることを防止でき、電子回路部品5を高熱・高圧・水蒸気に起因する損傷ないし故障から保護することができる。
【0049】
さらに、上記比率の中で、特にマウス1の全体の高さと距離K1との比率は本発明にとって非常に重要である。例えば、マウス1の全体の高さを40mmとした場合において、距離K1~K7の寸法ないし相互間の比率を最適なものとし、マウス1がオートクレーブ処理のような過酷な処理条件に曝された場合でも、高温・高圧の水蒸気による滅菌処理に耐えることができ、非常に有益である。
【0050】
上記のように、本実施の形態1におけるマウス1においては、高熱等からの保護対象の電子回路部品5は、いずれの方向からも距離K1~K7だけ離間距離が確保されており、マウス1の外部からの熱等がいずれの方向からも、特に開口部R1およびレンズ4の部分からマウス1内に侵入した熱が電子回路部品5に伝導されないように配置位置が選択されている。電子回路部品5等の配置位置は、本実施の形態1の配置位置に限らず可能であり、必要な耐熱性等を考慮して選択できる。
【0051】
上記構成から、本実施の形態1のマウス1は、滅菌処理の際に、外部からの熱等の悪影響が基板10の電子回路部品5等に伝わりにくい。よって、本実施の形態1のマウス1は、電子回路部品5等を高熱・高圧・水蒸気に起因する損傷ないし故障から保護でき、オートクレーブ装置等における高温・高圧・の水蒸気による滅菌処理に耐えることができる。
【0052】
実施の形態1で、筐体底部2Bの開口部R1は、滅菌処理時の熱や水(水蒸気)の浸入を最小限とし、防水や耐圧を容易にするために、最小限の開口とされている。このマウス1は、伝送部6として光ファイバ6fを適用するので、レンズ4が設けられる開口部R1についての面積等を小さくできる。開口部R1およびレンズ4の面積や体積は、画像光の取り入れのために必要十分な大きさとした上で最小限に抑制されている。幅H1は、開口部R1およびレンズ4のY方向での幅を示す。開口部R1には、水分の浸入の隙間が無いように、レンズ4や封止材等が固定される。これにより、開口部R1は、滅菌処理に関する耐熱、耐水、耐圧等の性能が高められる。また、開口部R1の占有面積等が小さくなれば、その分、他の部品を多く配置できるようになり、機能向上等が可能となる。
【0053】
なお、
図2で、基板10等の部分は、筐体2の内部空間において、任意の手段によって、図示する位置に配置される。基板10は、筐体2と物理的に接続されてもよいし、そのような接続が無く単に筐体2内に収容されて位置が変動し得る構成でもよい。
図2の構成例では、基板10は筐体2と接続されていない。後述するが、基板10は、第1空間部SP1に配置される物体の上に載せられてもよい。
【0054】
また、このマウス1では、基板10におけるZ方向で下側にある下面から下方に距離K2を持つ空間(第1空間部SP1)を介してレンズ4が配置され、反対に、基板10におけるZ方向で上側にある上面に、電子回路部品5等が配置されている。伝送部6の光ファイバ6fは、レンズ4から電子回路部品5まで、基板10の側面を経由しながら回り込むように延在している。このように、筐体底部2Bの開口部R1およびレンズ4と電子回路部品5とが水平方向に距離K7、上下方向に距離K1ないしK2だけ離間して、つまり、熱力学的にも十分な離間距離をとって配置されているので、開口部R1およびレンズ4から電子回路部品5への熱伝導がしにくく、電子回路部品5は損傷ないし故障から保護される。
【0055】
また、第1空間部SP1において、伝送部6のみならず、他の部品を配置することもできる。この空間には、電源部8として特に無線充電部も配置できるので、その場合、無線充電の性能を高めやすい。無線通信方式や無線充電方式とする場合、有線のケーブルやそのための開口部を含む機構が不要となるので、滅菌処理に関してより有利となる。
【0056】
また、このマウス1は、光ファイバ6fを適用するので、レンズ4およびイメージセンサ15等の配置の自由度を高めるとともに、レンズ4およびイメージセンサ15等の配置の位置付け精度にはさほどの高精度が要求されない利点もある。このマウス1は、開口部R1のレンズ4の位置に対し、電子回路部品5およびイメージセンサ15等を、耐熱性等を考慮して、好適な位置、距離、および向き等で配置することができる。
【0057】
光ファイバ6fや他の配線(例えばボタン3の配線3c、光源部7の配線7c、電源部8の配線8c等)については、それ自体に断熱性等を持つタイプのものを適用してもよいし、後述の第4断熱層を設けてもよい。
【0058】
[1-3:マウス平面構成]
図3は、実施の形態1のマウス1を水平面(X-Y面)で平面視した場合の概要を示す。
図3では特にZ方向で基板10がある位置での構成を示す。本例では、筐体2等は、概略的に左右対称形状を持つ。マウス1の筐体上部2Aの左側(
図2および
図3)の端部側面から距離K6の位置に配置された開口部R1のレンズ4には、伝送部6である光ファイバ6fの一方端が接続されている。実施の形態1のマウス1は無線通信機能を有するが、有線通信機能を持つ構成としてもよい。ただし、その場合、筐体2には有線通信ケーブルを通す開口部が必要となり、その開口部には、断熱性および防水性等の対策が施される。
【0059】
[1-4:マウス横断面]
図4は、実施の形態1のマウス1の横断面(
図1のB-B線に対応するX-Z面)の概要を示す。本例では、伝送部6について筐体2内の前側の空間および第2空間部SP2を経由する配線としたが、後述の他の配線としてもよい。この配線の構成としては、光ファイバ6fは、開口部R1のレンズ4の位置から、第1空間部SP1および筐体2内の前側の空間を、Z方向で上方に延在して、基板10よりも上側の位置まで達する。光ファイバ6fは、その位置から第2空間部SP2で基板10の上側をY方向で後方に延在し、基板10上の後部の電子回路部品5まで達する。そして、光ファイバ6fの他方端は、電子回路部品5上のイメージセンサ15の上側に接続される。
【0060】
筐体2は、例えば筐体上部2Aと筐体底部2Bとの接合によって構成される。Z方向で、位置SZ1は、筐体上部2Aと筐体底部2Bとの接合位置の例を示す。この位置SZ1は3次元的に任意であり限定しない。また本例では位置SZ1よりも上に基板10が配置されているが、これに限定しない。位置SZ1は、筐体2の外周の位置に応じて異なってもよく、すなわち曲線的な接合面であってもよい。これに限らず、筐体2は、3つ以上の部分から構成されてもよい。また、筐体上部2Aと筐体底部2Bとの接合位置の付近では、断熱や防水のために断熱材や封止材が設置されることで、断熱性や防水性が高められる。筐体2は、後述するが、耐熱性、断熱性、耐水性、防水性、耐圧性等を含む所定の性質(第1性質とする)を持つ材料で構成される。
【0061】
[1-5:イメージセンサ]
図5は、実施の形態1における、電子回路部品5およびイメージセンサ15と、伝送部6の光ファイバ6fとの接続の構成例を示す。(A)は第1例であり、
図2の詳細部分を示す。(B)は第2例であり、変形例である。(C)は第3例であり、変形例である。
【0062】
(A)では、基板10の上面において、Z方向で上側に、電子回路部品5が搭載されるように接続されている。電子回路部品5の上面に、イメージセンサ15が実装されている。イメージセンサ15の上面に、光ファイバ6fの他方端が接続されている。イメージセンサ15の上面には、複数の画素(受光素子)が形成されている。イメージセンサ15は、光ファイバ6fからの画像光を入射し、各画素での画素値のデータに変換する。電子回路部品5はイメージセンサ15からの画像信号を入力し、前述の計算を行う。
【0063】
(B)では、基板10の下面において、Z方向で下側に、電子回路部品5が搭載されるように接続されている。電子回路部品5の下面(電子回路部品5からみると上面)に、イメージセンサ15が接続されている。イメージセンサ15の下面(イメージセンサ15からみると上面)に、光ファイバ6fの他方端が接続されている。
【0064】
(C)では、基板10の一部に設けた貫通孔部R2の上側に電子回路部品5が搭載されている。この電子回路部品5は、下面側にイメージセンサ15が一体的に実装されている。そして、このイメージセンサ15の下面に光ファイバ6fの他方端が接続されている。
【0065】
伝送部6と電子回路部品5またはイメージセンサ15との接続の態様は、これらに限らず可能である。電子回路部品5とイメージセンサ15とが一体的である構成でもよい。
【0066】
[本実施の形態のマウスをオートクレーブ滅菌処理に適用した一例の説明]
図25に基づいて、本実施形態のマウスを、医療現場での滅菌処理の一種であるオートクレーブ処理に適用した場合の概要について説明する。ここで、オートクレーブ装置Y1は、滅菌の対象物についてのオートクレーブ処理を行う装置である。オートクレーブ装置Y1は、プレバキューム方式の装置等がある。本例では、滅菌の対象物としては、医療現場等で使用された使用済みのマウスとしての本実施の形態1のマウス1である。オートクレーブ装置Y1は、耐圧容器の内部空間(言い換えると滅菌室)Y2に、滅菌処理の対象物Y3であるマウス1を収容する。滅菌処理時、内部空間Y2は、高温・高圧の水蒸気で満たされ、対象物Y3は所定時間以上その水蒸気に曝される。オートクレーブ装置Y1は、設定に従って、温度、圧力、時間等を制御する。オートクレーブ装置Y1は、一例としては電熱ヒータ等を備え、赤外線等が発生する場合がある。
【0067】
医療現場では、標準予防策に基づいた感染対策が重要である。標準予防策は、医療器具の洗浄・消毒・滅菌を含む。洗浄とは、対象物から異物を除去することである。消毒とは、対象物から細菌芽胞を除くすべてまたは多数の微生物を除去することである。滅菌とは、微生物を完全に除去、あるいは殺滅することである。対象物に応じて、洗浄・消毒・滅菌における必要なレベルは異なる。洗浄や消毒によって、細菌等をある程度まで無くすことができるが、完全に無くすことはできない。医療用マウスに関しては、手で操作するものであるため、相応のレベルの対策が要求される。従来では、マウス表面の消毒までであり、滅菌はできていない。
【0068】
滅菌には、オートクレーブ滅菌、ガス滅菌、化学的滅菌等の方法がある。オートクレーブ滅菌は、操作性が高く、残留毒性が無いため、滅菌処理条件に耐えられる対象物の場合には最も安全で確実な方法として最も普及している。クラスBのオートクレーブ装置におけるプレバキューム方式は、滅菌および乾燥の工程時に内部空間Y2に真空状態を形成する方式であり、あらゆる形状の対象物に有効である。滅菌処理例におけるフローは以下の通りである。このフローは、順に、予備洗浄・付着物除去の工程YS1、洗浄の工程YS2、乾燥の工程YS3、包装の工程YS4、滅菌の工程YS5を有する。洗浄の工程YS2は、例えば洗浄剤を用いた浸漬等の方法がある。包装の工程YS4は、滅菌処理の対象物であるマウス1を滅菌バッグで包装する工程である。
【0069】
滅菌の工程YS5は、プレバキューム方式のオートクレーブ装置Y1を用いた、クラスBのオートクレーブ滅菌処理とする場合、さらに以下のような工程を有する。工程YS5は、真空・給蒸気工程YS11、加圧・加熱工程YS12、滅菌工程YS13、減圧・排蒸気工程YS14、乾燥工程YS15を有する。真空・給蒸気工程YS11は、内部空間Y2の空気を抜いて全体を飽和水蒸気で満たす工程である。加圧・加熱工程YS12は、内部空間Y2を加圧および加熱する工程である。滅菌工程YS13は、条件例としては、内部空間Y2の水蒸気における温度を121~137℃の範囲内の所定の温度に維持し、圧力を2~2.2気圧の範囲内の所定の圧力(
図25の例では2.1気圧)に維持し、所定時間として例えば20分以上で処理する工程である。減圧・排蒸気工程YS14は、内部空間Y2を減圧し、水蒸気を排気する工程である。
【0070】
滅菌処理の対象物Y3であるマウス1には、上記滅菌工程YS13や乾燥工程YS15での高温・高圧の水蒸気等に耐え得る性能が要求されるが、本実施の形態のマウス1はその性能を十分に備えている。上記滅菌の工程YS5を含むフローによって、対象物Y3であるマウスに付着していた菌が死滅する。処理後、オートクレーブ装置Y1内から対象物Y3が取り出されて収納される。
【0071】
滅菌処理時の所定の温度や圧力の水蒸気に対し、一般のコンピュータの入力および操作用のマウスを構成する筐体や電子回路部品は、破壊や劣化が生じ、耐えられない。一方、本実施の形態1等のマウス1は、滅菌処理時の所定の温度や圧力の水蒸気に対し耐え得るように、筐体や電子回路部品を含む構造に関して、耐熱・断熱、耐水・防水、耐圧等の工夫を施している。本実施の形態1のマウス1は、熱に弱い材質(例えば一般的なプラスチック)の部品については、なるべく使用せず、使用する場合には断熱材等の対策手段を併用する。実施の形態1のマウスは、上記洗浄・消毒・滅菌のいずれにも耐え得るように、所定のレベルの断熱性、耐熱性、防水性、耐水性、耐圧性等の性質を持つ。本実施の形態1のマウス1は、より低いレベルである消毒処理まで耐える性能を持つ構成としてもよいが、より望ましくは、クラスBのオートクレーブ滅菌処理に耐え得る性能を持つ構成とする。
【0072】
[1-6:効果等]
(a)上記のように、実施の形態1のマウス1によれば、筐体底部2Bのレンズ4と基板10の電子回路部品5およびイメージセンサ15とが、上下方向に互いに距離K1およびK2だけ離間し、かつ、水平方向にも互いに距離K7だけ離間して配置されているので、開口部R1およびレンズ4の部分からマウス1内に侵入した熱等が電子回路部品5やイメージセンサ15に到達することが最大限に防止される。これにより、このマウス1は、オートクレーブ処理のような過酷な処理条件に曝された場合でも、高温・高圧の水蒸気による滅菌処理に耐えることができる。その結果、マウス1を含むコンピュータシステムの使用環境を医療現場等に拡大できる。特に、医療現場では、滅菌処理済みのマウスを含むシステムを用いて、高度な診療や手術等が可能となる。
【0073】
(b)また、本実施の形態1では、上記説明や、
図2および
図3等にも示すように、電子回路部品5、光源部7、および電源部8の全てが、基板10の上に配置されている。その結果、マウス1のオートクレーブ装置内における高温・高圧の水蒸気による滅菌処理を受けた場合でも、電子回路部品5、光源部7、および電源部8の全てが、筐体底部2Bから、距離K1以上離れていることにより、高温・高圧の水蒸気による高熱・高圧・水分による影響が電子回路部品5、光源部7、および電源部8の全てに伝わることを防止でき、電子回路部品5、光源部7、および電源部8の全てを高熱・高圧・水蒸気に起因する損傷ないし故障から保護することができる。
【0074】
(c)さらに、本実施の形態1においては、基板10の平面形状は、
図3のように、筺体2の構造面の内面の形状である略楕円形状と同様な略楕円形状として形成されることにより、筺体1の構造面の内面からの距離を、基板10の全周囲において、できるだけ均等にかつ大きく離間させ、筺体2の構造面を経由して外部から侵入する熱等をできるだけ防止できるよう工夫されていると共に、略楕円形にすることにより、基板10の面積をできるだけ小さくして基板10に蓄積した熱が熱伝導により電子回路部品5等に伝導されないよう構成されている。その結果、この基板10の平面形状の工夫の面でも、基板10への熱の蓄積ならびに電子回路部品5およびイメージセンサ15への熱伝導を防止し、熱アタックによる電子回路部品5およびイメージセンサ15の損傷や故障をできるだけ防止することが可能となる。
【0075】
(d)本実施の形態1のマウスにおいて、距離K1~K7の比率を上記の比率にすることにより、マウス1がオートクレーブ装置内における高温・高圧の水蒸気による滅菌処理を受けた場合でも、特に距離K1およびK2の確保により、高温・高圧の水蒸気による高熱・高圧・水分による影響が電子回路部品5まで伝わることを防止でき、電子回路部品5を高熱・高圧・水蒸気に起因する損傷ないし故障から保護することができる。
【0076】
(e)さらに、本実施の形態1のマウスによれば、筐体底部2Bのレンズ4と基板10の電子回路部品5およびイメージセンサ15とが伝送部6を介して離れて配置される構成であることによって、電子回路部品5等を好適な配置とすることができ、電子回路部品5等を外部からの熱や水に対して保護することができる。
【0077】
[1-7:変形例1]
図6は、実施の形態1の変形例(変形例1とする)のマウス1を示す。(A)は縦断面、(B)は平面構成を示す。変形例1のマウス1は、(a)光源部7(ないしLEDなどの照明装置)を設けない構成、(b)基板10に複数の電子回路部品5を有する構成、(c)電源部8が二次電池8Aと無線充電部8Bとに分かれている構成、(d)ボタン3がロッド有りのタイプである構成、および、(e)筐体2に基板支持部を有する構成の場合を示す。なお、図示の明確性の都合上、
図6およびそれ以降の図において、伝送部6の途中部分の図示を省略している場合がある。
【0078】
(a)光源部7を設けない構成については以下の通りである。この構成では、画像検出のための光源としては、マウス1の使用環境の照明光等を用いる。照明光は、例えばマウスパッドからの発光としてもよい。筐体底部2Bと設置面SFとの間には隙間があるので、その隙間から照明光が入る。
【0079】
(b)基板10に複数の電子回路部品5を有する構成については以下の通りである。本例では、基板10の上面に、電子回路部品5aおよび電子回路部品5bが搭載されている。複数の電子回路部品5は熱や水からの保護対象である。そのため、電子回路部品5aは、筐体2内の例えば中央付近の位置に配置されている。一方、開口部R1とレンズ4は、
図6で見て、筐体底部2Bの左端近くに配置され、電子回路部品5は水平方向にも上下方向にも、開口部R1とレンズ4から離間されて配置されている。電子回路部品5aは、マウス機能のコントローラを構成する部分であり、イメージセンサ15も実装されている。電子回路部品5bは、無線通信機能を構成する部分であり、例えばY方向で前寄りの位置に配置されている。電子回路部品5aのコントローラは、イメージセンサ15からの画像信号を処理してマウス1の状態を計算し、ボタン3の入力を処理し、電子回路部品5bの無線通信機能を制御して外部との通信を行う。各電子回路部品5の配置位置は、耐熱性等を考慮して好適な位置が選択できる。電子回路部品5bの無線通信回路は、マウス1の状態に関するデータを、外部のコンピュータ等へ送信する。なお、無線通信方式については限定せず、赤外線方式、Bluetooth(登録商標)等の方式が適用できる。
【0080】
なお、複数の電子回路部品5aと5bとは、
図6(B)のように、水平方向のY方向に離間するのみならず、水平方向のX方向にも互いに離間する配置としてもよい。
【0081】
(c)電源部8が二次電池8Aと無線充電部8Bとに分かれている構成については以下の通りである。無線充電部8Bは、例えば受電コイル等の回路で構成され、外部のマウスパッド等の無線給電部(送電コイル等)から、電磁誘導方式等によって給電を受け、その給電電力を、配線8cを通じて二次電池8Aに充電する。本例では、無線充電部8Bは、筐体底部2Bの上面の後ろ寄りの位置に配置されており、二次電池2Aは、基板10の上面の後ろ寄りの位置に配置されている。二次電池2Aは、熱に弱い部品である場合を想定しており、電子回路部品5と同様に、筐体底部2Bから上方に離した位置に配置されている。無線充電部8Bは、筐体底部2Bと基板10との間の第1空間部SP1に配置できるので、広い面積が確保しやすく、すなわち無線給電効率を高めやすい。
【0082】
変形例として、無線充電部8Bは、筐体底部2Bの外面に露出するタイプの電源部としてもよいし、筐体底部2Bの外面に接触端子が露出するタイプの電源部としてもよい。この場合、露出する部分については、例えば断熱性や防水性を持つカバーを設ける等の対策を施す。また、筐体2の外面に露出する任意の部品については、形状として凹部や凸部としてもよいが、筐体2の外面に対し平滑となる形状が望ましい。平滑とすることで、防汚性や易洗浄性を持つ。
【0083】
(d)ボタン3がロッド有りのタイプである構成、言い換えると物理的なスイッチの方式については以下の通りである。筐体上部2Aの外面の前寄りの位置には、ボタン3が筐体上部2Aの外面に対し連続的な曲面を持つように設けられている。ボタン3は、例えば硬質樹脂で構成され、ユーザの押下操作によって上下方向で変位する。ボタン3の下側にはロッド3dが出るように固定されている。ロッド3dは、ボタン3の変位に伴って上下方向で変位する。基板10の上面の前寄りの位置には、ロッド3dの位置に整合するように、スイッチ3eが設けられている。ロッド3dの下方向への変位に応じて、スイッチ3eに物理的に接触する。これにより、スイッチ3e内の回路はオフ状態からオン状態に変わる。スイッチ3eは、基板10の回路を通じて電子回路部品5aと接続されている。電子回路部品5aのコントローラは、スイッチ3eからのオン/オフの信号を入力し処理することで、ボタン3の操作状態を把握する。なお、ロッド3dやスイッチ3eに、後述の断熱性等の対策を施してもよい。ボタン3に関する構成は任意であり限定せず、いずれの方式でも、ボタン3付近には耐熱や防水の対策が施される。
【0084】
(e)筐体2に基板支持部を有する構成については以下の通りである。本例では、筐体底部2Aの一部から上方に延在するように、支持部2Cが設けられている。(B)では、基板10の前後左右の4箇所に対応させて、筐体底部2Bの4箇所に支持部2Cが設けられている。支持部2Cは、下端が筐体底部2Bに支持され、上端で基板10を支持する。これにより、基板10は、筐体2内の所定の位置、すなわち筐体2の面からなるべく離れた位置に配置される。支持部2Cに基板10が固定されてもよいし、単に載置されるのみでもよい。支持部2Cは、固定手段としてねじ等の部品で構成されてもよい。支持部2Cの位置は限定しない。変形例として、支持部2Cb,2Cc(
図6)を示す。支持部2Cbは、筐体上部2Aの側面部から水平方向に延在するように設けられており、先端で基板10を支持する。支持部2Ccは、筐体上部2Aの上面部から下方に延在するように設けられており、先端で基板10を固定する。なお、支持部2Cは、断熱材で構成されるのが好ましく、あるいは、支持部2Cに、後述の断熱性等の対策を施してもよい。
【0085】
他の構成例としては、筐体2に圧力調整機構を設けてもよい。滅菌処理時には筐体2に対し高温・高圧がかかるので、筐体2内の圧力の調整のために圧力調整機構を持たせると、より好適である。圧力調整機構は、圧力調整弁等でもよい。ボタン4や開口部R1に圧力調整機構が実装されてもよい。
【0086】
<実施の形態2>
図7~
図18を用いて、本発明の実施の形態2のマウスについて説明する。以下では、実施の形態2等における実施の形態1とは異なる構成部分について説明する。実施の形態2のマウスは、実施の形態1のマウスの構成に対し、さらに断熱や防水の工夫を追加した構成を有する。
【0087】
図7等に示す実施の形態2のマウスの構成例は、
図2等の実施の形態1のマウスを基本および共通とした上で、複数層の断熱構造(言い換えると封止断熱構造)が追加されている。この断熱構造は、複数層または複数種類の断熱材を持つ。このマウスは、使用環境(使用する医療現場に応じて行う消毒や滅菌の程度における環境変化)に応じて必要な耐熱性等の度合いに応じて、複数層の断熱構造を持たせる。なお、必要な耐熱性等がより低くてもよい場合には、一部の断熱層を省略する、一部の断熱層のみを設ける等の変形例も勿論可能である。
【0088】
また、実施の形態2における開口部R1およびレンズ4の位置は、マウス1の前側、すなわち、
図7等で見て、筐体底部2Bの左端近くの位置に配置して示してあり、例えば実施の形態1と同様に、電子回路部品5とは最大限水平方向に離間させる構造となっている。なお、マウス1の使用環境や使用条件等に応じて、開口部R1およびレンズ4ならびに電子回路部品5等を、実施の形態1および2のいずれとも異なる位置に配置してもよい。
【0089】
[2-1:マウス、配線例1]
図7の(A)は、実施の形態2のマウスであるマウス1の縦断面を示し、(B)は平面構成を示す。このマウス1は、
図2と同様の構成要素に加え、全体として複数の断熱層が追加で設けられている。この複数の断熱層を含む断熱構造は、大別して、第1断熱層21、第2断熱層22、第3断熱層23、第4断熱層24、および第5断熱層25を有する。それぞれの断熱層の性質は、同じとしてもよいし、異ならせてもよい。
【0090】
(1)第1断熱層21は、筐体断熱材であり、筐体2の面(外面または内面)に接して配置されている。本例では、特に、第1断熱層21は、筐体2の内面に接して設けられている。第1断熱層21は、筐体2の外面に設ける場合、断熱性を持つカバーや塗装等としてもよい。筐体2は、後述の外殻と内殻のように多重で構成されてもよく、その場合、第1断熱層21は、外殻と内殻の一方として構成されてもよいし、外殻と内殻との間に挟まれる層としてもよい。あるいは、外殻の外面と内面、内殻の外面と内面、外殻と内殻との間に、それぞれ、断熱機能を持たせるように塗装や素材を配置してもよい。
【0091】
(2)第2断熱層22は、基板断熱材であり、筐体2から離れた位置で、基板10を全方向で包囲するように配置されている。言い換えると、第2断熱層22内に基板10が収容されている。第2断熱層22内には第3空間部SP3が構成されている。第2断熱層22は、筐体2および第1断熱層21よりも内側に配置されている。第2断熱層22と第1断熱層21は接しておらず両者間に空間を有する。
【0092】
(3)第3断熱層23は、個別部品断熱材であり、電子回路部品5や二次電池8Aや無線充電部8B等の個別部品を覆うように配置されている。第3断熱層23は、熱に弱い部品を保護対象として設けられる。光源部7に第3断熱層23を設けてもよいし、無線充電部8Bの第3断熱層23を省略してもよい。第3断熱層23は、個別部品全体を包囲するように設けられてもよい。無線充電部8Bの第3断熱層23は、無線充電部8Bの上面側を覆う場合を示すが、下面側も含めて全体的に覆ってもよく、基板10の下側に配置される場合には、基板10を支持したり、固定したりする重要な機能も果たすことができる。電子回路部品5等の部品自体が、封止性や断熱性を持つ場合(例えばパッケージ部品である場合)、第3断熱層23を省略してもよい。
【0093】
(4)第4断熱層24は、配線断熱材であり、伝送部6の光ファイバ6fや、ボタン3の配線3cや、電源部8(二次電池8Aおよび無線充電部8B)の配線8cや、光源部7の配線7cおよび光源部配線7d等の、それぞれの配線毎に覆うように配置されている。配線自体に耐熱性等を持つ場合には、その配線の第4断熱層24を省略してもよい。
【0094】
(5)第5断熱層25は、スペーサ断熱材であり、筐体底部2Bと基板10および第2断熱層22との第1空間部SP1において、例えば第1断熱層21と第2断熱層22とに接するように配置されている。特に、第5断熱層25は、電子回路部品5がある中央付近の下方の位置を中心として配置され、電子回路部品5への断熱効果を高めるようになっている。第5断熱層25は、伝送部6やその第4断熱層24等を覆うように配置されてもよい。そして、第5断熱層25の上側には、基板10を含む第2断熱層22が載置および支持されている。これにより、基板10等が位置決めされている。すなわち、第5断熱層25は、スペーサとしても機能するほか、基板10の下側に配置される場合には、基板10を支持および(または)固定するという重要な機能も果たすことができる。第5断熱層25に第2断熱層22が固定されてもよい。
【0095】
伝送部6の光ファイバ6fは、第2断熱層22の例えば上面側の一部の開口部Q1を通じて、第2断熱層22内の第3空間部SP3に入り、電子回路部品5等に接続される。ボタン3からの配線3cは、第2断熱層22の一部の開口部Q2を通じて第3空間部SP3に入り、基板10に接続される。無線充電部8Bからの配線8cは、第2断熱層22の一部の開口部Q3を通じて第3空間部SP3に入り、二次電池8Aに接続される。光源部7からの配線7cは、第2断熱層22の一部の開口部Q4を通じて第3空間部SP3に入り、基板10に接続される。第2断熱層22内では、第4断熱層24を省略してもよい。開口部Q1,Q2,Q3,Q4には、それぞれ封止材等を設けることで、断熱性等を高めてもよい。第2断熱層22における開口部Q1等の開口部の数は、断熱の観点からはなるべく少なくした方が好ましい。よって、複数の開口部を1つの開口部にまとめてもよい。
【0096】
第1空間部SP1において、光源部7や無線充電部8Bは、第1断熱層21の上面に設けられるとより好ましいが、耐熱性等が高い場合には筐体底部2Bの上面に設けてもよい。第1空間部SP1における空いている領域には、各種の部品や断熱層を必要に応じて配置することができる。よって、マウスの機能の高度化や断熱性に関して有利となる。
【0097】
なお、本例では、伝送部6を、電子回路部品5等の中央位置に対し前側から回り込む配線としており、基板10には切り欠きや貫通孔部を設けていない。これに限らず、配線を短縮したい場合には、基板10に切り欠きや貫通孔部の領域を設けて、その領域を経由する所望の配線経路としてもよい。
【0098】
また、基板10の少なくとも一部の面(上面や下面等)には、断熱塗装や遮熱塗装を施してもよい。例えば、
図7の基板10の下面10uに断熱塗装が施されてもよい。これにより、基板10内部への熱伝導を低減でき、基板10を通じた熱伝導による電子回路部品5等の部品への影響を低減できる。また、基板10の断熱塗装の分、断熱材を設ける量を削減することもできる。
【0099】
(6)筐体2の内部空間における中央部への電子回路部品5の配置
本実施の形態2においては、電子回路部品5は、筺体2の内部空間において、外側の筐体2の構造面の内面のどの方向からも離れた位置、例えば当該内部空間の中央部付近の位置に配置されている。また、本実施の形態2でも、上記実施の形態1と同様に、レンズ4を装着する開口部R1は、筐体底部2Bの左端近く(
図7等)の位置に設けられている。つまり、実施の形態2のマウス1でも、滅菌処理時の熱や水に対する保護対象である電子回路部品5および基板10の配置位置は、筐体2のすべての面に対する距離が考慮して設計されている。特に、電子回路部品5は、筐体2のすべての面からなるべく離れるように、筐体2の内部空間の中央付近の位置に配置されている。
【0100】
これにより、筐体底部2Bの開口部R1のレンズ4の位置(
図7の左端近くの位置)に対する電子回路部品5等の部品の位置に関する配置の自由度を高めることができる。特に、実施の形態2のマウスでは、滅菌処理を考慮し、熱や水に対する性能や、筐体2からの距離を考慮して、電子回路部品5等の各部品を、好適な位置に配置することができる。これにより、このマウス1は、耐熱、耐水、防水、耐圧等の性能を高め、滅菌処理に耐え得る性能を実現することができる。
【0101】
言い換えれば、マウス1の筐体2の上下方向(
図2)における前記距離K1と距離K3とが互いにほぼ等しく、前記基板10および前記電子回路部品5の中心は、前記筐体上部2Aの下部側面からY方向において筐体2の長手方向に前記距離K4Aだけ離間し、かつ、Y方向に直交するX方向で、電子回路部品5の中心は、筐体上部2Aの短手方向の側面の外面との間の距離である距離K4Bだけ離間していることにより、前記基板10および前記電子回路部品5は、マウス1の筐体2の上下方向(Z方向)および長手方向(Y方向)ならびに短手方向(X方向)の全方向において、マウス1の筐体2の内部空間のほぼ中央部に位置していることになる。つまり、特に電子回路部品5は、マウス1の筐体2の内面から全方向に離間した状態で配置されている。また、開口部R1とレンズ4は、電子回路部品5から遠く離れた位置、すなわち、マウス1の前側である筐体底部2Bの左端近くの位置に配置され、その反対側に配置された電子回路部品5とは、水平方向および上下方向に大きく離間されている。したがって、マウス1が周囲四方からオートクレーブ処理による高熱や高圧の水蒸気に曝されても、開口部R1やレンズ4の部分のみならず、どの方向からも高熱や高圧の水蒸気による影響を排除し、損傷や故障を発生することを防止することができる。
【0102】
少なくとも電子回路部品5および基板10をマウス1の筐体2の内部空間の中央部(ほぼ中央部あるいは中央部の近く、も含む。)に位置させることにより、電子回路部品5および基板10が筐体2の構造面の内面から十分な距離を確保でき、空気や、後で説明する絶縁材による熱絶縁効果等で、例えばオートクレーブ装置の内部での高熱や高圧の水蒸気による滅菌処理を受けても、どの方向からの高熱や高圧、水蒸気等からの影響を排除でき、損傷や故障を発生することを防止することができる。
【0103】
[2-2:断熱構造]
図8は、
図7に対応するマウス1の横断面図を示す。また、
図8は、複数層の断熱構造の第1構成例に関する説明図である。以下、各層について概ね外側から内側へ向かう順序で説明する。なお、断熱(thermal insulation)とは、熱移動の防止の総称である。マウス1の筐体2や各断熱層は、オートクレーブ処理時の温度および圧力の変化に対する耐性および強度を持つ。なお、
図8では、伝送部6を、筐体2のX方向で一方の側面の付近を経由する配線とする場合を示している。
【0104】
1.まず、筐体2は、耐熱性、断熱性、耐水性(耐水蒸気性を含むとする)、防水性(言い換えると封止性)、耐圧性、耐久性(繰り返し使用回数や温度変化等への耐性)等を含む所定の性質(第1性質)を持つ。また、筐体2は、曲面等の形状によって防汚性・易洗浄性を持つことが好ましい。また、筐体2は、水や消毒薬等に対する耐化学性を持つ。筐体2は、例えばスーパーエンプラ等の硬質樹脂で構成される。スーパーエンプラは、強度、耐熱性、耐水性等を持つエンジニアリングプラスチックである。筐体2は、断熱粒が混入された材料で構成されてもよい。筐体2は、ガラスファイバやカーボンファイバ等による強化樹脂が含まれた材料で構成されてもよい。筐体2や各断熱層は、1層に限らず複数層で構成されてもよい。
【0105】
2.第1断熱層21は、耐熱性、断熱性、耐久性等の性質(第2性質)を持つ。第1断熱層は、筐体2の全体に設けられてもよいし、一部に設けられてもよい。例えば底部筐体2Bのみに第1断熱層21が設けられてもよい。第1断熱層21は、筐体2への塗装でもよい。
【0106】
3.第1断熱層21と、基板10を含む第2断熱層22との間には、空気の空間を有し、断熱性を持つ。空間は、第1空間部SP1や第2空間部SP2を含む。この空間には後述のように追加で断熱材、吸熱材、充填材等を配置してもよい。
【0107】
4.第4断熱層24(例えば伝送部6の第4断熱層24)は、筐体2内の第1空間部S
P1や第2空間部SP2等の空間に配置されている。第4断熱層24は、第1断熱層21と接触していない方がより良い。第4断熱層22は、例えば同様に第2性質を持つ。第4断熱層22は、さらに複数層から構成されてもよい。
【0108】
5.第2断熱層22は、例えば同様に第2性質を持つ。第2断熱層22は、さらに複数層から構成されてもよい。第2断熱層22内には、第3空間部SP3を有する。第3空間部SP3は、空気の空間であるが、変形例としては、Arガスで満ちた空間や真空に近い状態の空間としてもよいし、断熱材等を充填した空間としてもよい。その場合、第2断熱層22は封止性を持つ。なお、基板10や第2断熱層22は、筐体2と接触せずに空間を設けるように構成されている方が望ましく、その方が熱伝導性の観点ではより良い。
【0109】
6.第2断熱層22内の第3断熱層23は、例えば同様に第2性質を持ち、また、絶縁性を持つ。また、基板10の各面および電子回路部品5等の実装部品については、例えば第3断熱層23と同様の性質を持つ断熱塗装が施されてもよい。
【0110】
図8では、
図25のオートクレーブ装置Y1内での滅菌処理時に、マウス1の外部から加わる熱の方向の例を矢印で示す。ここでは電子回路部品5に着目してその方向を示している。この熱の侵入する方向は、全方向であるが、ここでは8方向のみを示す。実施の形態2のマウス1は、伝送部6を用いて電子回路部品5等が筐体2内の中央付近位置に配置されている。そのため、滅菌処理時に、外部からの熱が筐体2の面の各方向から電子回路部品5まで熱伝導する際に、熱力学的に距離が大きいので、熱伝導がしにくい。また、各方向で、複数層の断熱層を有するので、電子回路部品5まで熱伝導しにくい。特に、筐体底部2Bの開口部R1からは、水平方向および上下方向に遠く離間しており、なおかつ各断熱層があるので、開口部R1やレンズ4の部分からの熱伝導を防止できる。熱が電子回路部品5に到達する前に、各断熱層で断熱が可能であり、筐体2の内部空間の温度分布の制御が可能である。これにより、電子回路部品5等が熱から保護される。
【0111】
実施の形態2では、筐体2と保護対象部品との間に断熱材等を配置できるので、その断熱材等の性能を考慮して、筐体2と保護対象部品との距離をより短くするように配置位置を選択することも可能である。
【0112】
図9の構成例に限らず、各断熱層は、組み合わせの形態が可能である。例えば、第1断熱層21と第2断熱層22と第5断熱層25とを設ける構成としてもよい。また、筐体2の面等の全方向の領域で断熱層を設ける形態に限らず、特に断熱性を高めたい領域を選択してその領域に断熱層を設ける形態でもよい。例えば、筐体底部2Bに対応させた領域のみに各断熱層を設けてもよい。
【0113】
[2-3:レンズと伝送部との接続]
図9は、実施の形態2のマウス1における、筐体底部2Bの開口部R1のレンズ4と、伝送部6である光ファイバ6fとの接続構成の一例の模式図を示す。(A)は横断面、(B)は平面構成を示す。筐体底部2Bの上面には第1断熱層21が配置されている。開口部R1の幅H1の領域において、レンズ4、光ファイバ6f、第4断熱層24が配置されている。(B)のように、レンズ4および光ファイバ6f等は例えば軸対称形状を持つ。レンズ4は、耐熱性、耐水性、耐圧性、耐久性、温度変化に伴う変形や変色が無いか少ない性質等を持つことが好ましい。
【0114】
筐体底部2B内には、レンズ4が固定されている。レンズ4のフランジ部4gは、位置固定および封止のための部分である。レンズ4の曲面(ここでは凸面としているがこれに限らない)は、筐体底部2Bの下面から出ないように配置されている。開口部R1におけるレンズ4の曲面と筐体底部2Bの下面との間の空間は、防汚性や易洗浄性のために、なるべく凹凸が少ない形状とされる。あるいは、その空間に、光透過性や耐熱性や防水性等を持つカバーが、筐体底部2Bの下面に対し平滑になるように配置されてもよい。あるいは、筐体底部Bの主面に対しレンズ4またはカバーの一部が曲面形状を持って下側に出る構成でもよい。レンズ4の中心軸の位置には、光ファイバ6fの一方端が固定されている。光ファイバ6fの外周は第4断熱層24で覆われている。製造時には、例えば、筐体底部2Bが射出成形によって形成されることで、各部品間を固定してもよい。フランジ部4gの近傍には、接着材や断熱材や封止材、例えば樹脂製のパッキン(Oリング)等が設けられてもよい。第1断熱層21、第4断熱層24、第5断熱層25等に接着性を持たせることで、このような接続を補強してもよい。接着材や封止材は、耐熱性を持つと望ましい。本例では筐体底部2Bに光ファイバ6fおよび第4断熱層24の一部が埋め込まれているが、これに限らず可能である。他の構成例として、筐体2が外殻と内殻で構成される場合に、外殻と内殻との間にレンズ4を固定してもよい。また、前述の光源部7からの光源部配線7dがある場合には、例えば光ファイバを用いた光源部配線7d(破線で概略的に示す)の一方端を、筐体底部2B内のレンズ4に光学的に接続する構成としてもよい。
【0115】
[2-4:効果等]
(a)上記のように、実施の形態2のマウスによれば、多層の断熱構造を設けることで、実施の形態1よりも更に断熱性や防水性等を高めることができる。また、この構成によって、クラスBのオートクレーブ滅菌処理(
図25)にも耐え得るようになる。医療現場では、この滅菌処理済みのマウスを手術等で使用可能となる。なお、筐体2内部のすべての構成部品に耐熱性等を持つ部品を用いる場合、筐体2内部の断熱構造は不要または省略でき、実施の形態1のような構成としてもよい。
【0116】
(b)本実施の形態2のマウスによれば、基板10および電子回路部品5は少なくとも電子回路部品5および基板10をマウス1の筐体2の内部空間の中央部(ほぼ中央部あるいは中央部の近く、も含む。)に位置させることにより、電子回路部品5および基板10が筐体2の構造面の内面から十分な距離を確保でき、空気や、絶縁材による熱絶縁効果等で、例えばオートクレーブ装置の内部での高熱や高圧の水蒸気による滅菌処理を受けても、どの方向からの高熱や高圧、水蒸気等からの影響も排除でき、損傷や故障を発生することを防止することができる。
【0117】
[2-5:変形例2]
図10は、実施の形態2のマウスの変形例として、変形例2のマウス1の構成を示す。(A)は縦断面、(B)は平面構成を示す。この変形例2の構成は、
図6の変形例1の構成を基本および共通として、断熱構造を追加した構成である。筐体2の内面には第1断熱層21を有する。ボタン3のロッド3dや筐体底部2Bの支持部2Cは、第1断熱層21や第2断熱層22の一部を貫通している。なお、ロッド3dとスイッチ3eとの間に第2断熱層22が挟まれる構成でもよい。第2断熱層22内には、複数の電子回路部品5(5a,5b)や二次電池8Aやスイッチ3eを持つ基板10が収容されている。電子回路部品5a,5bや二次電池8Aはそれぞれ第3断熱層23で覆われている。第3断熱層23が本実施例のように基板10の下側に配置される場合には、基板10を少なくとも一部において支持および(または)固定するという重要な機能も果たすことができる。
【0118】
他の変形例として、有線通信機能を持つマウス1とし、筐体2の一部、例えば筐体上部2Aの前側の位置に、有線通信ケーブル1001のための開口部1002を設けてもよい。この有線通信ケーブル1001および開口部1002は、断熱性や封止性等を持つ。また、電源部8に関して、筐体2の外に出るように端子または電源ケーブルを設けてもよい。その場合、その端子または電源ケーブル、およびそのための開口部についても、同様に、断熱性や封止性等を持たせる。この場合、筐体2内に電池は不要となる。また、有線通信ケーブル1001や電源ケーブル等に関する図示しないコネクタ等の部品の金属部分には、防錆性を持たせることが好ましい。
【0119】
他の変形例として、基板10の面の一部および対応する第2断熱層22の一部に、切り欠きまたは貫通孔部のような領域を設け、その領域を伝送部6の配線が経由するようにしてもよい。
【0120】
[2-6:変形例3]
図11は、実施の形態2のマウスの変形例として、変形例3のマウス1の構成の縦断面
を示す。この変形例3は、光源部7が基板10に設けられ、それらが第2断熱層22によって包囲されている。基板1の上面側において、例えば前寄りの位置に光源部7として例えばLED素子が実装されている。光源部7は、基板10の回路を通じて電子回路部品5から制御される。光源部7からの光源部配線7dは、例えば第2断熱層22の一部の開口部を通じて第1空間部SP1に出て、レンズ4に接続されている。光源部配線7dは、例えば光ファイバを用い、第4断熱層24で覆われている。光源部配線7dおよび伝送部6の光ファイバ6fは、第4断熱層24や第5断熱層25によってまとめられてもよい。
【0121】
また、この変形例3では、第2断熱層22内の第3空間部SP3における電子回路部品5、二次電池8A、および筐体底部2B上の無線充電部8Bは、それぞれ、第3断熱層23によってほぼ全体が包囲されている。この変形例3では、基板10上に二次電池8A等の個別部品が第3断熱層23の一部を介して搭載されており、第3断熱層23の一部は、二次電池8A等の個別部品の下面と基板10の上面との間にも配置されている。無線充電部8Bは、第1断熱層21上に第3断熱層23の一部を介して配置されている。第3断熱層23が本実施例のように基板10の下側に配置される場合には、基板10を少なくとも一部において支持および(または)固定するという重要な機能も果たすことができる。
【0122】
[2-7:変形例4]
図12は、実施の形態2のマウスの変形例として、変形例4のマウス1の構成を示す。この変形例4は、光源部7(ないしLEDなどの照明装置)を設けない場合で、筐体2に斜面部のような光取入れ部を設ける構成例を示す。(A)は縦断面、(B)は横断面を示す。筐体2は、側面からみて一部の領域1201に、光取り入れ部となる斜面部1202が設けられている。領域1201は、Z方向で筐体底部2Bに近く、X方向で筐体底部2Bの
図12の左端近く(Y方向で前側)の開口部R1を除いた左右の領域であり、例えば手で把持しやすいような曲面を有する。この筐体2の形状によって、環境の照明光が、設置面SFとの間の領域1201を通じて、開口部R1のレンズ4に入りやすい。よって、光源部7を設けない場合でも、室内の照明光を多く活用できる。これにより、筐体2内での光源部7による発熱を無くし、マウス使用可能時間を長くできる。
【0123】
なお、
図12では、伝送部6等の図示を省略している。この構成では、伝送部6の配線は、例えば、後述の前後方向での配線等とすることができる。また、この構成では、筐体底部2Bに対して盛り上がっている斜面部1202を用いて、その斜面部1202の上に基板10および第2断熱層22を載置または固定するようにしてもよい。第3断熱層23が本実施例のように基板10の下側に配置される場合には、基板10を少なくとも一部において支持および(または)固定するという重要な機能も果たすことができる。
【0124】
[2-8:配線例2]
図13は、実施の形態2のマウスの変形例として、伝送部6の他の配線例等を示す。
図13は、配線例2として、前側配線とする場合を示す。(A)は縦断面、(B)は平面構成を示す。伝送部6は例えば光ファイバ6fを用いる。光ファイバ6fは、第4断熱層24で覆われている。伝送部6の配線経路は以下の通りである。伝送部6の光ファイバ6fは、まず、筐体底部2Bの
図13の左端近く(Y方向で前側)の開口部R1のレンズ4の位置に一方端が接続されている。光ファイバ6fは、その位置から、第1空間部SP1をZ方向で上方に延在し、基板10よりも上側の位置に達する。光ファイバ6fは、その位置から第2空間部SP2で、第2断熱層22の上面側をY方向で後ろに向かって中央付近まで延在する。そして、光ファイバ6fの他方端は、第2断熱層22の開口部Q1を通じて第3空間部SP3に入り、電子回路部品5のイメージセンサ15の上面に接続されている。
【0125】
第1空間部SP1では、例えば後ろ寄りの領域に、無線充電部8Bが配置されている。変形例として、基板10および第2断熱層22の一部に切り欠きや貫通孔部等の領域を設け、その領域を伝送部6の配線が経由するようにしてもよい。
【0126】
[2-9:配線例3]
図14は、実施の形態2のマウスの変形例として、伝送部6の配線例3を示す。また、本実施例では、開口部R1とレンズ4の部分は他の実施の形態とは違って、筐体底部2Bの
図14の左端近くではなく、その長手方向の反対側である右端近く(Y方向で後側)に設けられている。そして、配線例3は、後側配線とする場合である。(A)は縦断面、(B)は平面構成を示す。伝送部6の配線経路は以下の通りである。伝送部6の光ファイバ6fは、まず、筐体底部2Bの
図14の右端近くの開口部R1のレンズ4の位置から、第1空間部SP1をZ方向で上方に延在し、基板10よりも上側の位置に達する。光ファイバ6fは、その位置から第2空間部SP2で、第2断熱層22の上面側をY方向で前に向かって中央付近まで延在する。そして、光ファイバ6fの他方端は、第2断熱層22の開口部Q1を通じて第3空間部SP3に入り、電子回路部品5のイメージセンサ15の上面に接続されている。光源部7は、基板10の上に配置され、そこからレンズ4まで配線(途中は省略)されている。
【0127】
[2-10:位置関係例(1)]
図15は、実施の形態2のマウスの変形例として、レンズ4と電子回路部品5との位置関係および配線等に関する構成例を示す。(A)は縦断面、(B)は平面構成を示す。
図15の構成例では、水平面の平面視で、筐体2の中央付近位置に開口部R1のレンズ4が配置され、それに対し水平方向ないし平面方向および上下方向に異なる位置として前側の位置に電子回路部品5およびイメージセンサ15が配置されている。両者の位置関係を破線矢印で示す。この構成では、開口部R1のレンズ4に対し、電子回路部品5等を、距離的により離れた位置に配置している。
図15の構成例では、伝送部6を用いることで、電子回路部品5等に関する配置位置の自由度が高い。例えば、電子回路部品5等を、熱や水に関する性能が確保しやすい位置を選択して配置することができる。電子回路部品5等を、任意の理由によってこのような位置に配置することができる。
【0128】
この構成例では、伝送部6の配線例としては、前側配線としており、また特に、第2断熱層22の側面の開口部Q1を経由する配線例としている。伝送部6の光ファイバ6fは、レンズ4の位置から第1空間部SP1を前に向かって延在し、前側空間から上方に延在し、第2断熱層22の前側の側面の開口部Q1を通じて第3空間部SP3内に入る。そして、光ファイバ6fの他方端は、第2断熱層22内で配線されて、基板10上の前側の電子回路部品5のイメージセンサ15に接続されている。この配線例に限らず、筐体2内の空いている領域を経由する配線が可能である。なお、第2断熱層22内では第4断熱層24を省略してもよい。基板10の中央付近に二次電池8Aを配置してもよいし、他の部品を実装することも可能である。
【0129】
図15の変形例では、開口部R1およびレンズ4と電子回路部品5およびイメージセンサ15とが、水平方向に異なる位置に離間して配置されているので、オートクレーブ処理等で熱や水が開口部R1およびレンズ4の部分からマウス1内に侵入しても、電子回路部品5やイメージセンサ15に到達することを防止できる。
【0130】
[2-11:位置関係例(2)]
図16は、実施の形態2のマウスの変形例として、レンズ4と電子回路部品5との位置関係および配線等に関する他の構成例を示す。(A)は縦断面、(B)は平面構成を示す。この構成例では、水平面の平面視で、筐体2の中央付近位置に電子回路部品5等が配置され、それに対し水平方向に異なる位置として、筐体底部2Bで前側の位置に開口部R1とレンズ4が配置されている。この構成でも、開口部R1とレンズ4に対し、電子回路部品5等を、水平方向および上下方向に距離的により離れた位置に配置している。
【0131】
本変形例は、実施の形態1にもやや近いが、実施の形態1と主に相違する点は、筐体2の中央付近位置に電子回路部品5等が配置され、それに対し水平方向に離間した異なる位置として、筐体底部2Bの左側(
図16)の中間の位置に開口部R1とレンズ4が配置されている点である。
【0132】
伝送部6の配線例としては以下の構成となっている。伝送部6の光ファイバ6fは、開口部R1のレンズ4の位置から第1空間部SP1を上方に延在し、第2断熱層22の下面側の開口部Q1を通じて第3空間部SP3内に入る。光ファイバ6fは、基板10に設けられた切り欠きまたは貫通孔部のような領域1601を通じて、基板10の上面側に出る。光ファイバ6fの他方端は、基板10の上面側をY方向で後ろに向かって中央付近まで延在し、電子回路部品5のイメージセンサ15に接続されている。なお、従来のマウスの基板でも、切り欠きや貫通孔部のような領域が設けられている場合がある。そのような領域を伝送部6の配線に利用可能である。開口部R1のレンズ4を、筐体底部2Bの中心部から水平方向に離れた位置に配置したことにより、開口部R1とレンズ4の部分を通してマウス1内に侵入した熱や水分が電子回路部品5に到達することを防止することができる。
【0133】
(B)では、他の配線例についても矢印で概略的に示している。基板10に切り欠きのような領域1601が無い場合において、配線例EX1,EX2,EX3,EX4等の各種の配線が可能である。配線例EX1は、レンズ4の位置から、一旦、前側空間に出てから、第2空間部SP2等を経由する例である。配線例EX2は、筐体2の側面のうちの左斜め前の位置を経由する例である。配線例EX3は、レンズ4の位置から、筐体2の左に向かって延在し、左側面を後方に延在し、上方に延在して基板10の上側に出て、中央の電子回路部品5まで延在する例である。配線例E43は、レンズ4の位置から、左斜め後ろに向かって延在し、筐体2の左側面を上方に延在して基板10の上側に出て、中央の電子回路部品5まで斜めに延在する例である。
【0134】
[2-12:配線例4]
図17は、実施の形態2のマウスの変形例として、伝送部6の配線例4を示す。配線例4は、上方貫通直線状配線とする場合を示す。(A)は縦断面、(B)は平面構成を示す。伝送部6の配線経路は以下の通りである。伝送部6は、まず、筐体底部2Bの中央付近の開口部R1のレンズ4の位置から、第1空間部SP1をZ方向で上方に延在し、第2断熱層22の開口部Q1に達する。本例では、伝送部6は、第5断熱層25によって覆われている。言い換えると、伝送部6は、第5断熱層25を貫通している。伝送部6は、開口部Q1を通じて第3空間部SP3内に入り、基板10の貫通孔部の領域1701を上方に貫通する。基板10の上面では、
図5の第3例と同様に、貫通孔部の上に電子回路部品5が搭載され、電子回路部品5の下面側にイメージセンサ15が実装されている。
【0135】
この変形例では、伝送部6は、同じ位置で上方に直線状に延在するのみであり、前述の形態に比べて配線経路長が短い。伝送部6は、例えば直線状に配置された光ファイバ6fを用いる。この光ファイバ6fは、柔軟性の無いものを用いてもよいし、剛性を持つ円筒状の部品または第4断熱層24で覆ってもよい。また、伝送部6は、直線状の光ファイバ6fに限らず、他の光学部品で構成することもできる。この伝送部6は、円筒形状の導光体(例えば後述の鏡筒)で構成されてもよい。この伝送部6は、柔軟性を持つ部品で構成されてもよいし、剛性を持つ部品で構成されてもよい。レンズ4から入射した画像光は、円筒形状の導光体内を必要に応じて反射しながら上方に進み、イメージセンサ15に入射する。この導光体に第4断熱層24を設けてもよい。また、筐体底部2Bのレンズ4と、この導光体とが一体の部品(伝送部6または光学部品)として構成されてもよい。
【0136】
また、この変形例では、第1空間部SP1において、第1断熱層21と第2断熱層22との間の一部の領域には、第5断熱層25が設けられている。この第5断熱層25は、基板10を包囲する第2断熱層22を位置決めおよび固定している。この第5断熱層25は、平面視で、貫通孔部の領域1701よりも広い面積で設けられている。これにより、開口部R1と電子回路部品5との間における断熱性がより高められている。
【0137】
この変形例でも、レンズ4と電子回路部品5との間の距離は、十分確保されている上に、両者間に第1断熱層21、第5断熱層25、および第2断熱層22が介在しているので、電子回路部品5を保護するための断熱性等を高める効果が得られる。また、基板10に貫通孔部等がある場合でも、第5断熱層25によって断熱性が補強されている。伝送部6の配線経路長を短くしたい場合には、このような形態が可能である。
【0138】
第5断熱層25は、製造時には、例えば、柔軟性を持って変形する材料であり、基板10を含む第2断熱層22が、第5断熱層25の上に載せられて押し当てられることで、位置決めおよび固定がされる。第5断熱層25は、温度制御等によって固くなり、これにより基板10および第2断熱層22等の固定が確実となる。また、第5断熱層25が本実施例のように基板10の下側に配置される場合には、基板10を支持および(または)固定するという重要な機能も果たすことができる。
【0139】
[2-13:配線例5]
図18は、実施の形態2のマウスの変形例として、伝送部6の配線例5を示す。配線例5は、上方貫通直線状配線の他の例を示す。また、この変形例では、基板10が前述の形態に対し上下逆向きに配置されている。伝送部6の配線経路は以下の通りである。伝送部6である光ファイバ6fは、まず、筐体底部2Bの中央付近の開口部R1のレンズ4の位置から、第1空間部SP1をZ方向で上方に延在し、第2断熱層22の開口部Q1を通じて第3空間部SP3内に入る。光ファイバ6fは、例えば第5断熱層25で覆われている。光ファイバ6fは、第3空間部SP3内で、基板10の上面側(全体では下面側)の領域を上方に延在し、電子回路部品5の上面5Uのイメージセンサ15(
図5の第2例と同様)の上面(全体では下面)に接続されている。
【0140】
基板10の電子回路部品5は、筐体2内で例えば中央付近位置における基板10の下面に配置されている。筐体底部2Bの下面と電子回路部品5の上面との距離K1bは、熱に関する性能等を考慮して選択できる。この変形例では、基板10を逆向きとしたため、基板10に貫通孔部等を設けなくても、電子回路部品5と伝送部6とを接続できる。この変形例のように、伝送部6等の配線は、第2断熱層22内で、基板10の下側にあってもよい。
【0141】
また、この変形例では、基板10の上面側(全体では下面側)において例えば前寄りの位置に光源部7が実装されており、第2断熱層22内に収容されて保護されている。光源部7からの光源部配線7dは、例えば第3空間部SP3内を中央付近位置まで延在し、開口部Q1を通じて外に出て、下方に延在し、レンズ4と接続されている。光源部配線7dは、光ファイバを用いてもよい。開口部Q1で2種類の配線(伝送部6および光源部配線7d)をまとめることで、断熱性等が高められる。なお、複数の配線をまとめる際には、第4断熱層24や第5断熱層25や結束器等を用いてもよい。また、本実施例のように第5断熱層25が基板10の下側に配置される場合には、基板10を支持および(または)固定するという重要な機能も果たすことができる。
【0142】
<実施の形態3>
図19を用いて、本発明の実施の形態3のマウスについて説明する。実施の形態3のマウスは、他の断熱構造の例を示す。
【0143】
[3-1:断熱構造]
図19は、実施の形態3のマウスにおける複数層の断熱構造についての横断面を示す。まず、筐体2は、二重以上の多重の殻(言い換えると筐体部)で構成されてもよい。別の捉え方で言えば、主な筐体2の外側または内側に、副次的な筐体部(殻またはカバー等)が設けられてもよい。外殻を外側カバー、内殻を本体とする構成でもよいし、外殻を本体、内殻を内側カバーとする構成でもよい。
図19の構成例では、筐体2は、外殻2S(外側筐体部)と内殻2T(内側筐体部)との二重構造を有する。詳しくは、外殻2Sは、外殻上部2A1と外殻底部2B1とを有し、内殻2Tは、内殻上部2A2と内殻底部2B2とを有する。筐体上部2Aは、外殻上部2A1と内殻上部2A2とを有し、筐体底部2Bは、外殻底部2B1と内殻底部2B2とを有する。外殻や内殻は、全体に設けられてもよいし、一部に設けられてもよい。例えば、筐体底部2Bのみが二重の殻で構成されてもよい。各々の筐体部は、耐熱性、断熱性、耐水性、防水性、耐圧性等を持つ部材で構成される。各々の筐体部の性質を異ならせてもよい。筐体2の分離の位置SZ1には、前述と同様に、封止材等が配置される。
【0144】
図19の構成例では、筐体2の外殻2Sと内殻2Tとの間(外殻2Sの内面sf2と内殻2Tの外面sf3との間の領域)に、第1断熱層21が挟まれて保持されている。これにより、第1断熱層21は、筐体2の面に対し安定的に保持され、剥がれ等も生じにくい。
【0145】
また、各々の筐体部の間や、各々の筐体部の外面や内面には、断熱性等を高めるための部材(塗料を含む)、接合材や封止材等の他の部材を設けてもよい。例えば外殻2Sの内面sf2や内殻2Tの外面sf3には、耐熱性を持つ接着材等の接合材が設けられてもよい。外殻2Sと第1断熱層21と内殻2Tとの各層間は密接しているが、これに限らず、各層間に空気層、真空層、Arガス層等を設けてもよい。外殻2S、第1断熱層21、および内殻2T等は、製造時には射出成形等の方法で形成されてもよい。
【0146】
また、外殻2S(外殻上部2A1および外殻底部2B1)の外面sf1には、断熱性および潤滑性等を高めるための塗装層26が設けられてもよい。言い換えると、外殻2Sは、その塗装層26を含む樹脂等で構成されてもよい。外殻2Sの外面sf1には、後述の断熱性・封止性を持つカバーを設けてもよい。また、筐体2の外殻2Sや内殻2Tには、吸熱材が混入されていてもよい。これにより、筐体2において、外部からの熱を適切な温度範囲内で吸熱し、筐体2内への熱伝導を抑止できる。
【0147】
また、筐体2には、遮熱構造を設けてもよい。例えば、外殻2Sの外面sf1または内面sf2には、赤外線吸収層とそれよりも内側の赤外線反射層とを設け、内殻2Tの外面sf3または内面sf4には第1断熱層21を設ける。これにより、筐体2に、滅菌処理時の外部からの熱(赤外線を含む)に対する遮熱性を持たせる。筐体2を構成する素材に、赤外線吸収層や赤外線反射層を構成する材料を混ぜてもよい。この場合、オートクレーブ滅菌時(
図25の滅菌工程YS13)の温度が一定であることから、赤外線吸収層に吸収された熱がマウス外部に放熱される構造となる。
【0148】
外殻2S、内殻2T、第1断熱層21、および封止材等によって、筐体2の内部空間(第1空間部SP1および第1空間部SP2)や開口部R1等が密閉される。これにより、オートクレーブ処理時の熱が筐体2内に伝播しにくく、水蒸気が筐体2内に浸入しにくい。外殻2Sは、例えばシリコーンゴム等によるカバーで構成されてもよい。内殻2Tは例えばスーパーエンプラで構成されてもよい。
【0149】
また、この構成例では、第2断熱層22は、複数層、例えば外側から順に層22a、層22b、および層22cの3層で構成されている。他の断熱層についても、複数層で構成してもよい。
【0150】
<実施の形態4>
図20を用いて、本発明の実施の形態4のマウスについて説明する。本実施の形態4のマウスは、断熱構造を他の構造とした例である。
【0151】
[4-1:断熱構造]
図20の(A)は、実施の形態4のマウスにおける複数層の断熱構造についての横断面を示す。このマウス1は、まず、前述と同様に、筐体2が外殻2Sおよび内殻2Tで構成され、外殻2Sと内殻2Tとの間に第1断熱層21を有し、内殻2Tよりも内側の内部空間において、基板10が第2断熱層22で包囲されている。実施の形態4では、筐体2の内部空間において、空いている所定の領域に、充填材27が充填によって配置される。充填材27は、断熱性や耐熱性を持つ材料であり、追加の断熱層と捉えてもよい。充填材27は、例えば電気的絶縁性を持つ樹脂で構成され、製造時に所定の領域に充填された後、温度制御によって固化される。充填材27によって、マウスの耐熱性等がより高められる。
図20の(A)では、充填材27(対応する充填領域)の配置例として、筐体2の内部空間の一部に充填材27が配置される場合を示す。例えば、第1空間部SP1で、全体的に充填材27bが配置されてもよいし、部品が無い領域等に充填材27bが配置されてもよい。このような充填材27を前述の第5断熱層25としてもよい。充填材27aまたは充填材27bにより、基板10に対する下側からの熱に対する耐熱性等がより高められる。この充填材27aまたは充填材27bは、基板10を包囲する第2断熱層22を上側に位置決めおよび固定してもよいし、伝送部6の配線を固定してもよい。
【0152】
また、上側の第2空間部SP2に、充填材27cが配置されてもよい。充填材27cにより、基板10に対する上側からの熱に対する耐熱性等がより高められる。また、第2断熱層22内の第3空間部SP3に、充填材27dが配置されてもよい。充填材27dにより、基板10の耐熱性等がより高められる。充填材27c等は、筐体2の内面に沿う形状としてもよい。また、本実施例の充填材27aおよび充填材27cのように基板10の下側に配置される場合には、基板10を支持および(または)固定するという重要な機能も果たすことができる。
【0153】
図20の(B)では、充填材27の他の配置例として、筐体2の内部空間の実質的に全体に充填材27が配置される場合を示す。例えば、内殻2T(または第1断熱層21)と第2断熱層22との間の実質的に全体の領域に充填材27が配置されている。充填材27は、例えば発泡ウレタン等の発泡起媒(発泡断熱材)を用いてもよい。その場合、製造時には、充填材27を除く部分が構成された後、筐体2内に発泡起媒が注入される。筐体2内に注入された発泡起媒が発泡し、例えば(B)のように内部空間(充填領域)の実質的に全体の領域に充填される。起媒方式は、温度変化に限らず、遅延性の化学変化、光、電磁波、音波、振動等による方式でも構わない。また、筐体2の一部(例えば開口部R1でもよい)を発泡起媒の注入口とし、その開口部を最終的に塞ぐことで内圧調整を行ってもよい。筐体底部2Bの注入口からの充填材27の注入・充填によって、基板10および第2断熱層22が上側に持ち上げられて図示のような配置となる方式でもよい。
【0154】
[4-2:変形例]
図20に示す実施の形態4の変形例として、上述した各実施の形態とは熱力学的な考え方が変わるが、以下のような構成としてもよい。この変形例では、前述の第1断熱層21の代わりに、吸熱材が配置されてもよい。吸熱材は、蓄熱量が多い、あるいは熱容量が大きい熱吸収性を持つ材料で構成される。この吸熱材は、筐体2の外部からの熱を所定の温度範囲内で吸熱してその箇所に留める。これにより、その箇所から内側の電子回路部品5等への熱伝導が低減または抑止される。同様に、内殻2Tが吸熱材で構成されてもよい。また、第5断熱層25または充填材27が吸熱材で構成されてもよい。第2断熱層22の一部が吸熱材で構成されてもよい。各々の断熱層、充填材、または吸熱材には、他の部材との接着性を持たせてもよい。
【0155】
<実施の形態5>
図21を用いて、本発明の実施の形態5のマウスについて説明する。実施の形態5のマウスは、伝送部6に関する変形例を示す。
【0156】
[5-1:伝送部]
図21は、実施の形態5のマウスにおける伝送部6の構成例を示す。(A)は第1例、(B)は第2例を示す。(A)で、伝送部6は、光ファイバ6fと、光結合器60とで構成されている。光ファイバ6fは第4断熱層24で覆われてもよい。光ファイバ6fは、筐体底部2Bの開口部R1のレンズ4の位置から例えば上方に延在し、基板10の電子回路部品5のイメージセンサ15と接続される。この光ファイバ6fの途中の位置に、光結合器60が介在するように配置されている。言い換えると、伝送部6の光ファイバ6fは、複数の光ファイバから構成されてもよく、光結合器60は、複数の光ファイバを結合することで、1本の伝送経路を構成する。本例では、光結合器60は、下側の光ファイバの端と上側の光ファイバの端とを物理的および光学的に結合している。光結合器60は、光ファイバによる画像光の直接伝送をリレーする。光結合器60は、光ファイバと第4断熱層24を含めて結合してもよい。光結合器60は、結束器として、複数本の光ファイバを束ねてもよい。
【0157】
また、光結合器60は、断熱性等を持ってもよい。光結合器60内に光透過性断熱部61が設けられていてもよい。光透過性断熱部61は、画像光を透過すると共に、断熱性等を持ち、伝送経路を熱的に分離する。光透過性断熱部61は、光透過性の断熱材としてもよいし、空気層、真空層、またはArガス等による層としてもよい。これにより、伝送部6における断熱性が高められ、電子回路部品5等に、より熱伝導がしにくくなる。
【0158】
(B)の例では、伝送部6は、マウス1の前側すなわち筺体底部2Bの左端近くに設けられた開口部R1とレンズ4の位置から前側配線とされている。伝送部6を構成する光ファイバ6fによる伝送経路の途中に、同様に、光結合器60が配置されている。また、光結合器60は、第2断熱層22の側面等の所定の位置に固定されてもよい。これにより、伝送部6の配線を好適に位置決めでき、熱的により有利な位置にできる。なお、他の部品によって伝送部6の配線を固定してもよい。この構成例では、光結合器60が第2断熱層22の側面の開口部Q21に配置され、封止の機能を兼ねている。光結合器60よりも後段の部分の光ファイバ6fは第2断熱層22内に配線されている。
【0159】
<実施の形態6>
図22を用いて、本発明の実施の形態6のマウスについて説明する。実施の形態6のマウスは、筐体底部2Bの光学素子に関する構成例を示す。
【0160】
[6-1:光学素子]
図22の(A)は、実施の形態6のマウスにおける、筐体底部2Bの開口部R1のレンズ4に関する構成例の縦断面の模式図を示す。この構成例は、筐体底部2Bの光学素子であるレンズ4についても封止断熱構造が追加されている。この構成例では、前述のレンズ4である光学素子は、鏡筒41を持つレンズ構造体40として構成されている。レンズ構造体40は、1個以上のレンズを含む。このレンズ構造体40は、言い換えると、画像光入射部である。
【0161】
筐体底部2Bは例えば外殻底部2B1と内殻底部2B2で構成されている。内殻底部2B2の一部において、内側に凸状に出るように、レンズ構造体40の鏡筒41が形成されている。本例では、鏡筒41は、ねじ構造部42によって、内殻底部2B2から上側に凸状に出た固定部(ねじ穴)43内に固定されている。固定部43の内周面および対応する鏡筒41の外周面にはねじ構造部42が形成されている。内殻底部2B2の上側には第1断熱層21が鏡筒41および固定部43を覆うように形成されている。レンズ構造体40は概略的に軸対称形状を持つ。軸を一点鎖線で示す。鏡筒41の軸の付近の空間部2300は、開口部R1の幅H1に対応する領域であり、複数のレンズであるレンズ4A,4Bによって区分されている。本例では、2個のレンズを持つ場合を示すが、レンズの数や形状は限定しない。鏡筒41の内側面には、下側の位置に、ねじ構造部を持つ部品41aおよび封止材を介してレンズ4Aが固定されており、上側の位置に、ねじ構造部を持つ部品41bおよび封止材を介してレンズ4Bが固定されている。レンズ4Aは下側に凸の曲面を持つレンズ、レンズ4Bは上側に凸の曲面を持つレンズである。鏡筒41の空間部2300は、レンズ4A,4Bによって区分されることで光透過性断熱部2302が構成されている。光透過性断熱部2302は、空気層、真空層、Arガスによる層、または光透過性断熱材による層である。鏡筒41の上部には図示しない伝送部6の一方端が接続される。
【0162】
外殻底部2B1の開口部R1に対応する領域には、外殻底部2B1の下面に対して平滑となるように、遮熱フィルタ2301が設けられている。遮熱フィルタ2301は、画像光透過性を持つと共に、外部からの熱を遮り、水(水蒸気)の浸入を防ぐフィルタあるいはカバーである。内殻底部2B2や鏡筒41内に遮熱フィルタ2301を設けてもよい。
【0163】
製造時には、鏡筒41に対しレンズ4A,4Bが固定され、固定部43に対し封止材2303を挟んでその鏡筒41が固定される。ねじ構造部42は、封止性および断熱性を持つ。例えば鏡筒41が固定部43に突き当たる下側の一部の領域に、封止材2303が設けられる。封止材2303に加えて断熱材が設けられてもよい。
【0164】
実施の形態6のような鏡筒41等を持つ構成によれば、開口部R1付近の防水性を高めることができ、レンズの位置決めおよびレンズと伝送部6との接続も容易とすることができる。伝送部6によって第1空間部SP1(
図2の距離K2)も確保されているので、ある程度の高さを持つ鏡筒41等を設けることも可能である。他の構成例として、外殻底部2B1として、画像光透過性を持つカバーを用いる場合、そのカバーによって開口部R1を覆ってもよい。光源部7からの光源部配線7dがレンズ構造体40に接続されてもよい。例えば、光源部配線7dが固定部43を通じて配線されて空間部2300に光学的に接続される。
【0165】
[6-2:変形例]
図22の(B)は、実施の形態6の変形例(変形例5)におけるマウスの構成を示す。この変形例は、上記のようなレンズ構造体40を、Z方向の上方に延長、言い換えると鏡筒41のZ方向の長さを大きくし、基板10の電子回路部品5のイメージセンサ15の付近まで到達させる。これにより、直線状鏡筒タイプのレンズ構造体40を、伝送部6とする。この伝送部6は、画像光入射部としての機能と、イメージセンサ15までの伝送経路としての機能とを兼ねる。この伝送部6の鏡筒41は、Z方向の上側の端が、例えば基板10の電子回路部品5のイメージセンサ15の面まで延在しており、鏡筒41の光軸とイメージセンサ15の光軸とが合わせられている。なお、鏡筒41の上側の端が、イメージセンサ15、電子回路部品5、基板10、または第2断熱層22等に固定されてもよい。鏡筒41内の空間部2300には、全体または一部に、光透過性断熱材があってもよい。
【0166】
<実施の形態7>
図23を用いて、本発明の実施の形態7のマウスについて説明する。実施の形態7のマウスは、筐体底部2Bにイメージセンサ15等を配置する場合の構成例を示す。
【0167】
[7-1:筐体底部のイメージセンサ]
図23の(A)は、実施の形態7のマウスであるマウス1の縦断面を示す。実施の形態7のマウス1は、筐体底部2Bから
図23の左側に離間した左端近くの位置(Y方向で前側の位置)に、イメージセンサ15hおよび光源部7hが近接して並列で配置されている。このイメージセンサ15hは、筐体底部2Bに配置され外部(設置面SF)からの画像光を入射して画像信号に変換する撮像素子(言い換えると画像検出部)である。光源部7hは、筐体底部2Bに配置され外部(設置面SF)に対し照明光を出射する発光素子である。イメージセンサ15hおよび光源部7hの外面は筐体底部2Bから外側に露出している。この構成例では、レンズ4を設けていない。そして、イメージセンサ15hおよび光源部7hは、それぞれ電気的配線である配線15c,7cを通じて、基板10の電子回路部品5と接続されている。この構成例では、電子回路部品5からの制御に基づいて、光源部7hから下側に照明光を出射し、設置面SFからの反射光である画像光をイメージセンサ15hが入射して画像信号に変換する。
【0168】
この実施の形態7では、伝送部6は、光伝送手段ではなく、画像信号伝送手段である配線15c,7cとなっている。イメージセンサ15hからの画像信号は、配線15cを通じて電子回路部品5に伝送される。電子回路部品5からの光源制御信号は、配線7cを通じて光源部7hに伝送される。なお、本例では、伝送部6の他方端が電子回路部品5に対し電気的に接続されているが、これに限らず、基板10に接続されてもよく、基板10の回路を通じて電子回路部品5等との電気的な接続がされればよい。配線15cおよび配線7cは、1つにまとめて第4断熱層24等で覆ってもよい。伝送部6となる配線15cおよび配線7cは、本例では前側配線としているが、これに限らず前述の各種の形態が適用できる。
【0169】
(A)に示す実施の形態7の構成では、筐体底部2Bの中央部からマウス1の前側方向に長手方向および水平方向に離間して配置される一部の構成要素であるイメージセンサ15hおよび光源部7hには、例えば断熱性、耐熱性、防水性、耐水性、耐圧性、防汚性、易洗浄性等を持たせる。イメージセンサ15h等から、伝送部6となる配線15c等を通じて、筐体2内に離れた位置、例えば筐体2の内部空間の中央付近の位置に、他の部品である熱に弱い電子回路部品5等が配置される。これにより、電子回路部品5等は、滅菌処理時に、イメージセンサ15hおよび光源部7hの部分からマウス1内に侵入し得る熱等から十分に保護される。イメージセンサ15hおよび光源部7hの近傍には封止材や断熱材が設けられてもよい。
【0170】
また、本実施例のように第3断熱層23および第5断熱層25が基板10の下側に配置される場合には、基板10を支持および(または)固定するという重要な機能も果たすことができる。
【0171】
[7-2:変形例]
図23の(B)は、実施の形態7の変形例を示す。この変形例では、筐体底部2Bにおいて、イメージセンサ15hおよび光源部7hと、その下側のカバー2601とが設けられている。配線15cおよび配線7cは、上方に延在し、第5断熱層25で覆われており、第2断熱層22内の基板10の下面に接続されている。この変形例では、イメージセンサ15hおよび光源部7hが、(A)の構成に比べて、滅菌処理時の熱や水に対して断熱性、耐熱性、防水性、耐水性、耐圧性、防汚性、易洗浄性等が不足しないようにするため、イメージセンサ15hおよび光源部7hの下側に、それらの不足する可能性のある性質を補強するためのカバー2601を有する。カバー2601は、光透過性も持ち、照明光や画像光を透過する。カバー2601の近傍には封止材や断熱材が設けられてもよい。また、カバー2601は、少なくともイメージセンサ15hおよび光源部7hの下面を覆う面積を持って筐体底部2Bの下面に対して平滑になるように設けられている。すなわち、カバー2601は、例えば光透過性、断熱性、耐熱性、防水性、耐水性、耐圧性、防汚性、易洗浄性等を有する。これに限らず、カバー2601は、筐体底部2B等の全体を覆うように設けられてもよい。カバー2601は、1枚に限らず、例えば断熱性を持つカバーと耐水性を持つカバーとを含む複数層で構成されてもよい。上記のように、この変形例では、筐体底部2Bの
図23の左端近くに設けられたイメージセンサ15h等の配置位置とカバー2601の設置との組合せで、必要な耐熱性や耐水性等が確保される。
【0172】
また、本実施例のように第3断熱層23および第5断熱層25が基板10の下側に配置される場合には、基板10を支持および(または)固定するという重要な機能も果たすことができる。
【0173】
<実施の形態8>
図24を用いて、本発明の実施の形態8のマウスについて説明する。実施の形態8のマウスは、前述の基板10を箱形状等にする構成例を示す。
【0174】
[8-1:箱形状の基板]
図24の(A)は、実施の形態8のマウスであるマウス1の横断面図を示す。筐体2および第1断熱層21の内部空間において、筐体底部2Bのレンズ4には、図示を省略するが伝送部6が接続されており、基板10上の電子回路部品5のイメージセンサ15と接続されている。伝送部6の配線は前述の各形態を適用できる。筐体底部2Bと基板10は、第5断熱層25や第2断熱層22を挟み、距離K2を介して配置されている。この基板10は、概略的に箱形状を有し、水平面に配置される底面部10bと、Z方向に立つ例えば4個の側面部10a(
図24ではY-Z面の側面部を示す)とを有する。基板10の箱形状の上面部(言い換えると蓋部)は設けられていない。基板10の底面部10b上には電子回路部品5等の部品が搭載されている。例えば筐体2内の中央付近位置に電子回路部品5が配置され、第3断熱層23で覆われている。また、基板10の側面部10aには、内面側に、他の部品10pが搭載されていてもよい。
【0175】
本例では、基板10の箱形状は、4個の側面部10aを持つ直方体形状、水平面での断面を見た場合に四角形を持つ形状としたが、これに限らず、多面体形状、水平面での断面を見た場合に多角形を持つ形状等としてもよい。また、基板10の箱状の構造については、箱形状の表面積をできるだけ小さくして熱侵入を小さくすることと、基板10の箱形状と筐体2の内面との間の距離をできるだけ大きく離間させることによる熱伝導の減少と筐体2内のスペース、特に第5断熱層25が設けられる第1空間部SP1への断熱材の介在量の増加を可能にする大きさと形態が必要である。そのためには、基板10の箱形状の大きさは、筐体2の内面で構成される3次元形態よりできるだけ小さく、かつ、基板10の箱形状の形態は、上記の形状の他に、球形もしくは長球形(回転楕円形)、あるいは一部平面を持つ球形や長球形、もしくはそれに類似した多面体が好ましい。具体的には、筐体2の内面と基板10の箱形状等の外面との間の最短距離は、3~20mm、好ましくは13~20mmである。
【0176】
底面部10bは、例えばX方向で所定の距離K91を有する。側面部10aは例えばZ方向で所定の高さ(距離K92)を有する。側面部10aの上端から、筐体上部2Aの上面までは、距離K93を有する。箱形状の基板10内には第3空間部SP3が構成されている。側面部10aの外側には、筐体2までの間に、第4空間部SP4が構成されている。第4空間部SP4では、例えばX方向で、側面部10aから筐体2の外面までに、距離K94を有する。このように、箱形状の基板10は、筐体2の内部空間の中央付近位置に集中させてコンパクトに配置されている。これにより、この構成では、電子回路部品5等の部品に対し、筐体2の外面からの各方向での熱伝導がしにくい。特に、この構成は、各水平方向では、第4空間部SP4の距離K94等が確保され、側面部10aを介在するので、各水平方向での熱伝導がしにくい。基板10の表面積(箱形状の外面の表面積)を小さくすることで、熱伝導量が減少し、これにより、電子回路部品5等の保護に係わる断熱性能が高められる。
【0177】
(A)の構成例では、基板10は、第2断熱層22によって包囲されている。変形例として、第2断熱層22を省略してもよい。代わりに、箱形状の基板10の外面、例えば底面部10bの外面10s1や、側面部10aの外面10s2に、断熱塗装を施してもよい。箱形状の上面部を設けて第3空間部SP3を閉じるようにしてもよい。このように、実施の形態8では、箱形状の基板10とすることで、マウス内部空間全体に対する基板10の容積比を少なくし、基板10自体における断熱性を高め、電子回路部品5等の部品への熱伝導をしにくくし、総合的な断熱効果を高める。また、これにより、断熱層等の他の部材の具備を低減できる。
【0178】
(B)は、実施の形態8の変形例を示す。この変形例における基板10は、概略的に筒形状、円柱形状を有し、筒形状の上面部10c(言い換えると蓋部)も有する。上面部10cによって第3空間部SP3が閉じられている。この筒形状の基板10の側面部10aは、曲面となっており、例えばフレキシブルプリント回路基板等の柔軟性(弾性)を持つ部品を用いて筒状に丸めることで構成してもよい。上面部10cにおいても内面側に部品が搭載されていてもよい。筒形状の上面部10cを省略してもよい。上記箱形状や筒形状の基板10は、複数の基板の接続によって構成されてもよい。
【0179】
この変形例では、筒状の閉じられた基板10により、外部からの第3空間部SP3内の電子回路部品5等の部品への熱伝導がしにくい。その分、この変形例では、第2断熱層22を設けていない。筒形状の基板10の外面、例えば底面部10bの外面10s1、側面部10aの外面10s2、および上面部10cの外面10s3には、断熱塗装を施してもよい。本例では、基板10のすべての外面に、破線で示す断熱塗装2601を設けた場合を示す。断熱塗装2601の厚さは、(A)の第2断熱層22の厚さよりも小さい。また、本例では、第1空間部SP1に設けられた第5断熱層25によって基板10等が位置決めされている。つまり、本実施例のように第5断熱層25が基板10の下側に配置される場合には、基板10を支持および(または)固定するという重要な機能も果たすことができる。これに限らず、第2空間部SP2や第4空間部SP4にも、断熱材、吸熱材、または充填材が配置されることで、基板10等が位置決めされてもよい。
【0180】
<実施の形態9>
図26は、本発明の電子機器の他の例としてのタブレット端末ないしPCの一実施の形態9を示す平面方向の概略断面図、
図27は、
図26のタブレット端末の平面図、
図28は、
図26のD1-D1線概略断面図である。
【0181】
本例は、いわゆるiPad(商品名:登録商標)と呼ばれている端末を代表例とするタブレット端末である。
【0182】
なお、本例のタブレット端末は、本発明の電子機器としては、モバイル端末と置き換えても良く、その場合、モバイル端末の構造や、光学素子または撮像素子および電子回路部品の配置等は、タブレット端末の場合と類似しており、実質的に同じであるので、図示ならびに詳細な説明は省略する。
【0183】
本実施の形態において、タブレット端末101は、筐体上部102Aおよび筐体底部102Bよりなる筐体102と、その筐体102の内部空間内に配置された各種の電子素子、例えば、充電コイル103と、2つの二次電池104と、被写体などの識別情報の取り込みのための電磁センサ106と、基板107と、この基板107の上に配置された電子回路部品としてのICチップ108と、同じく基板107の上に実装された電子回路部品としてのイメージキャプチャ109と、を備えている。
【0184】
本実施の形態では、電子素子である2つの二次電池104と、電磁センサ106と、基板107と、ICチップ108と、イメージキャプチャ109とは、断熱材105で包囲され、それらの電子素子の断熱効果をより高めるよう構成されている。なお、断熱材105ないし同種の断熱材は、電子素子を包囲するのみならず、筐体102の内側ないし外側に積層構造として配設したり、あるいは、筐体102を複数層として、断熱材105をその中間層として配設してもよい。また、
図1~
図25に例示した実施の形態と同様ないし関連した断熱構造と組み合わせてもよい。
【0185】
また、タブレット端末101の背面側、すなわち、本実施の形態では、筐体底部102Aの1つのコーナー部分(
図26の右上)には、開口部110が形成され、この開口部110には、光学素子または撮像素子としての写真撮影用のカメラ用レンズ111が嵌装されている。
【0186】
このカメラ用レンズ111は、伝送部112によって、イメージキャプチャ109と光学的に接続されている。伝送部112は、例えばグラスファイバのような光ファイバで形成することができる。
【0187】
タブレット端末101の正面側すなわち平面側には、モニタ画面113(
図27)が設けられている。このモニタ画面113は、通常のタブレット端末やモバイル端末のような電子機器の場合と違って、筐体102の平面積に対して、例えば半分以下の小さい面積のものとなっている。その理由としては、次のとおりである。すなわち、オートクレーブ装置での滅菌時における高温に対しての断熱構造を確かなものにするため、モニタ画面の存在する部分はその筐体内部の体積が、あるいは厚みが少なくなる。もし、モニタ画面を大きくすると、その分厚みも増して使いにくくなる。そのため、モニタ画面113を小さくすることにより、モニタ画面113の存在しない厚みのある部分に強固な断熱構造を確立して、そこの部分に電子部品などを収納して熱から守ろうとするものである。しかし、断熱技術や電子機器の耐熱性の向上に伴い、タブレットト端末101は薄くなり、モニタ画面113は大きくなることで、使用し易くなって行くことが期待される。したがって、タブレット端末101の厚さや、モニタ画面113の大きさ等はあくまでも例示であり、何らこれらの例に制限されるものではない。
【0188】
また、
図26の符号114は、筐体102内の支柱用のねじを示し、当該ねじ114は、筐体102内に複数本配置されている。
【0189】
本実施の形態のタブレット端末101も、上記実施の形態におけるマウス1と同様に、一般的な事務用コンピュータにおける入力および操作用の電子機器とは全く違って、医療用のオートクレーブ装置内における高温・高圧の水蒸気による滅菌処理等の過酷な処理条件に耐えることができ、医療現場等に好適に使用できる特別な電子機器としてのタブレット端末である。
【0190】
そのため、タブレット端末101においては、ICチップ108と、イメージキャプチャ109とが実装された基板107、特に、電子回路部品としてのICチップ108と、イメージキャプチャ109とは、オートクレーブ処理における高温・高圧の水蒸気による熱や高圧等の影響を最大限に防止できるよう、開口部110および写真撮影用のカメラ用レンズ111から、Z方向上方向に、第1空間部SP1だけ最大限に離間して配置されていることにより、オートクレーブ処理における高温・高圧の水蒸気による熱や高圧等の影響を最大限に防止できる。
【0191】
すなわち、
図28に示すように、
図28の上下方向であるZ方向で、筐体底部102Bの下面と電子回路部品であるICチップ108と、イメージキャプチャ109との下面との間の距離である距離K1、およびZ方向で、筐体底部102Bの上面と基板107の下面との間の距離距離K2は、ICチップ108と、イメージキャプチャ109との上方における第2空間部SP2に関して、Z方向で、ICチップ108と、イメージキャプチャ109との上面と筐体上部102Aの外面との間の距離K2に対して、最大限に大きくされている。
【0192】
なお、電子回路部品としてのICチップ108と、イメージキャプチャ109とは、筐体102の筐体上部102Aから、Z方向下方向に、第2空間部SP2だけ離間して配置され、オートクレーブ処理における高温・高圧の水蒸気による熱や高圧等の影響を防止できるようになっている。
【0193】
また、本実施の形態のタブレット端末101においても、基板107ならびに電子回路部品としてのICチップ108およびイメージキャプチャ109は、開口部110および光学素子または撮像素子としての写真撮影用のカメラ用レンズ111から、X方向(
図26と
図28では左右方向すなわち短手方向)に、距離K8(
図28)だけ最大限に離間して配置されている。言い換えれば、タブレット端末101の筐体102の左右両側(
図26)の外側面から、イメージキャプチャ109までの距離K4B1とK4B2とは、カメラ用レンズ111側の距離K4B1の方が、その反対側の距離K4B2よりも最大限に大きくされている。
【0194】
さらに、本実施の形態のタブレット端末101においても、基板107および電子回路部品としてのICチップ108と、イメージキャプチャ109とは、開口部110および光学素子または撮像素子としての写真撮影用のカメラ用レンズ111から、上記X方向と直交するY方向(
図26では上下方向すなわち長手方向))に、距離K7(
図26)だけ最大限に離間して配置されている。つまり、タブレット端末101の長手方向において、
図26に示すように、筐体102の長手方向の手前側の端面からイメージキャプチャ109までの距離K4Aよりも、イメージキャプチャ109から撮影用レンズ111までの距離K7と、撮影用レンズ111から筐体102の長手方向反対側に端面までの距離K6とを合計した距離K7+K6の方が最大限に大きくなるようにされている(K7+K6>K4A)。
【0195】
したがって、上記したZ方向、X方向、およびY方向の3方向で見て、基板107および電子回路部品としてのICチップ108と、イメージキャプチャ109とは、開口部110および光学素子または撮像素子としての写真撮影用のカメラ用レンズ111から、Z方向上方向に、第1空間部SP1だけ最大限に離間して配置され、X方向に、距離K8(
図28)だけ最大限に離間して配置され、かつY方向に、距離K7(
図26)だけ最大限に離間して配置されていることになる。
【0196】
つまり、本実施の形態のタブレット端末101においては、ICチップ108と、イメージキャプチャ109とが実装された基板107、特に、電子回路部品としてのICチップ108とおよびイメージキャプチャ109は、開口部110および写真撮影用のカメラ用レンズ111から、Z方向上方向、X方向、ならびにY方向に、それぞれ最大限に離間して配置されていることにより、3次元的に互いに最大限離間して配置されていることになり、その結果、オートクレーブ処理における高温・高圧の水蒸気による熱や高圧等の影響を最大限に防止できる。
【0197】
言い換えれば、本実施の形態9のタブレット端末101は、病院等の医療現場での衛生環境を向上させる、オートクレーブ滅菌の適用が可能な医療用タブレット端末であり、例えば検査や手術等の際に、タブレット端末を接続した医療機器システムを使用したい場合に、滅菌処理済みのタブレット端末を使用することで、感染防止を確実にし、例えばナビゲーションサージェリ等のシステムの機能を用いて高度な医療が実現できる。例えば術者自身がタブレット端末を操作することで3次元画像のイメージをより確実に獲得でき、手術等の質を高めることができる。このタブレット端末は、光学式のタブレット端末機能を持つだけでなく、医療現場等の使用環境において、医療器具と共に、オートクレーブ処理等の滅菌処理が適用可能であり、これにより、感染防止や医療効率向上等の効果をもたらすことができる。
【0198】
<実施の形態10>
図29は、本発明の電子機器のさらに他の例としての口腔内カメラの一実施の形態10を示す平面方向の概略断面図、
図30は、
図29の口腔内カメラの底面図、
図31は、
図30のD2-D2線断面図、
図32は、
図31のD3-D3線矢視断面図である。
【0199】
本例は、本発明の医療用電子機器の他の例として、いわゆる口腔内カメラに適用したものである。
【0200】
本実施の形態において、口腔内カメラ201は、本体部202Aおよび当該本体部202Aから延びた延長部202Bよりなる筐体202と、その筐体102内に配置された各種の電子素子、例えば、充電コイル203と、2つの二次電池204と、断熱材205と、電磁センサ206と、基板207と、この基板207の上に配置された電子回路部品としてのICチップ208と、同じく基板207の上に実装された電子回路部品としてのイメージキャプチャ209と、を備えている。
【0201】
本実施の形態においても電子素子である2つの二次電池204と、電磁センサ206と、基板207と、ICチップ208と、イメージキャプチャ209とは、2点鎖線で概略的に示す断熱材205で包囲され、それらの電子素子の断熱効果をより高めるよう構成されている。なお、断熱材205ないし同種の断熱材は、電子素子を包囲するのみならず、筐体202の内側ないし外側に積層構造として配設したり、あるいは、筐体202を複数層として、断熱材205をその中間層として配設してもよい。また、
図1~
図25および
図26~
図28に例示した実施の形態と同様ないし関連した断熱構造と組み合わせてもよい。
【0202】
また、口腔内カメラ201の延長部202Bの先端の背面側には、開口部210が形成され、この開口部210には、光学素子または撮像素子としての写真撮影用のカメラ用レンズ211が嵌装されている。
【0203】
このカメラ用レンズ211は、延長部202Bの内部に挿通される伝送部212によって、イメージキャプチャ209と光学的に接続されている。伝送部212は、例えばグラスファイバのような光ファイバで形成することができる。
【0204】
本実施の形態の口腔内カメラ201も、上記実施の形態におけるマウス1や、タブレット端末101と同様に、一般的な事務用コンピュータにおける入力および操作用の電子機器とは全く違って、医療用のオートクレーブ装置内における高温・高圧の水蒸気による滅菌処理等の過酷な処理条件に耐えることができ、医療現場等に好適に使用できる特別な電子機器としての口腔内カメラである。
【0205】
そのため、口腔内カメラ201においては、ICチップ208と、イメージキャプチャ209とが実装された基板207、特に、電子回路部品としてのICチップ208と、イメージキャプチャ209とは、延長部202Bの先端の開口部210および写真撮影用のカメラ用レンズ211から、Y方向(口腔内カメラ201の長手方向)に、最大限に離間して配置されている。それにより、本実施の形態の口腔内カメレラ201においては、オートクレーブ処理における高温・高圧の水蒸気による熱や高圧等の影響を最大限に防止できる。
【0206】
また、本実施の形態の口腔内カメラ201においても、筐体202の下部外面(底面)から、Z方向上方向に、第1空間部SP1だけ最大限に離間して配置されていることにより、オートクレーブ処理における高温・高圧の水蒸気による熱や高圧等の影響を最大限に防止できる。つまり、筐体202の下部外面(底面)から基板207の下面までの距離K1は、筐体202の上部外面(上面)から紀伊版207の上面までの距離K3に対して最大限に大きくされている。
【0207】
なお、電子回路部品としてのICチップ208と、イメージキャプチャ209とは、筐体202の上部外面から、Z方向下方向に、第2空間部SP2だけ離間して配置され、オートクレーブ処理における高温・高圧の水蒸気による熱や高圧等の影響を防止できるようになっている。
【0208】
また、本実施の形態の口腔内カメラ201においても、基板207および電子回路部品としてのICチップ208と、イメージキャプチャ209とは、開口部210および光学素子または撮像素子としての写真撮影用のカメラ用レンズ211に対して、X方向(
図32の左右方向すなわち短手方向)に、最大限に離間して配置されている。
【0209】
すなわち、例えば、イメージキャプチャ209は、
図32に示すように、筐体202の左外側面からX方向に距離K4B1だけ離間し、かつ、筐体202の右外側面から距離K4B2だけ離間しているが、距離K4B1の方が距離K4B2よりも大きく(K4B1>K4B2)、イメージキャプチャ209が筐体202のX方向の中央にある場合よりも、距離K4B1の方が大きくなり、イメージキャプチャ209がX方向にもカメラ用レンズ211からできるだけ大きく離間するようになっている。
【0210】
さらに、基板207においても、
図32に示されるように、基板207の左端から筐体202の左外側面との間の距離K4G1の方が、基板207の右端から筐体202の右外側面との間の距離K4G2よりも大きくなっている(K4G1>K4G2)。
【0211】
したがって、本実施の形態においても、上記したZ方向、X方向、およびY方向の3方向で見て、基板207および電子回路部品としてのICチップ208と、イメージキャプチャ209とは、開口部210および光学素子または撮像素子としての写真撮影用のカメラ用レンズ211から、Z方向、X方向、およびY方向の全ての方向に最大限に離間して配置されていることになる。
【0212】
つまり、本実施の形態の口腔内カメラ201においては、ICチップ208と、イメージキャプチャ209とが実装された基板207、特に、電子回路部品としてのICチップ208およびイメージキャプチャ209は、開口部210および写真撮影用のカメラ用レンズ211から、Z方向上方向、X方向、ならびにY方向に、それぞれ最大限に離間して配置されていることにより、3次元的に互いに最大限離間して配置されていることになり、その結果、オートクレーブ処理における高温・高圧の水蒸気による熱や高圧等の影響を最大限に防止できる。
【0213】
言い換えれば、本実施の形態10の口腔内カメラ201においても、オートクレーブ滅菌処理等での使用の耐えることができるのみならず、滅菌処理済みの口腔内カメラを医療現場で使用できることで、感染防止や医療効率向上等の効果をもたらすことができる。
【0214】
特に、本実施の形態の口腔内カメラ201の場合には、上記した開口部210およびカメラ用レンズ211とイメージキャプチャ209等の電子回路部品等との離間構造に加えて、延長部202Bの存在により、開口部210および光学素子または撮像素子としての写真撮影用のカメラ用レンズ211から、基板207、ならびに電子回路部品としてのICチップ208およびイメージキャプチャ209までの距離が非常に長くなっているので、オートクレーブ装置内での滅菌処理の際にも、高温の熱や高圧等が、開口部210およびカメラ用レンズ211から、基板207、ならびに電子回路部品としてのICチップ208およびイメージキャプチャ209まで伝わることを、より有効に防止できる。
【0215】
以上、本発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は前述の実施の形態に限定されず、要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0216】
また、
図1~
図25の実施の形態と、
図26~
図28の実施の形態と、
図29~
図32の実施の形態のそれぞれに開示した内容は、例えば、断熱構造やオプチカルレンズの構造等において、互いに組み合わせたり、相互に利用したりすることもでき、それらも、本発明の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0217】
本発明の電子機器は、マウス、タブレット端末、口腔内カメラ以外の電子機器にも広く適用できる。
【0218】
例えば、本発明は、以下の電子機器にも適用できる。
【0219】
今までその一部に電子部品があるためにオートクレーブ滅菌が不可能であったが、それを可能にすることが望まれる医療機器(人体や動物、微生物など生物全般のヘルスケア領域において)。
【0220】
はじめに、大型でオートクレーブ滅菌器に収納不可能な場合は、汚染頻度の高い部品のみ着脱可能として滅菌することを前提とする。例えば操作パネルなどは容易にそれが実現可能である。あるいは、その他の部品も分解小型化することでオートクレーブ装置にて滅菌操作できるような改良がされた場合もこの範疇に入るものとする。重篤な感染症の病原菌などでこれらの機器が汚染された場合、オートクレーブ装置などの滅菌可能な部分以外は強い薬液やガス消毒、焼却などにより感染拡大を阻止する必要が生じる可能性があるからである。また、医療とは人に対するものだけでなく動物や微生物など、獣医学やバイオや遺伝子治療や遺伝子工学や薬学や製薬・調薬、その他の感染を対象とする研究など、生物全般のヘルスケアや研究全般を示すものとする。
【0221】
1.大型医療機器の操作パネル(手術ロボット、CT、M R I、PET、SPECT、シンチグラフィ、ガンマカメラ、アンギオグラフィ、マンモグラフィ、レントゲン撮影装置、超音波検査装置、エンテロサイトベロシティーシステムのような3Dシミュレーション医療機器、γ線など放射線照射装置、理学療法機器、物理療法医療機器、リハビリ医療機器、入浴医療機器、ベッド、手術台、製薬や薬剤の分包や調剤に関する機器など)。
【0222】
後述の各分野の中にも大型機器を列挙するが、この場合と同様に考える。
【0223】
2.医療検査機器(生物全般)
(2-A)生物に対する検査機器
生物の生理、生化学、形態、機能、運動、負荷、耐性、刺激や負荷に対する反応などを検査する医療機器(例えば、免疫生化学・尿・血中薬物・血漿蛋白・血液凝固・血液ガスなどの検査機器、骨密度測定装置、血中酸素濃度計、脳波検査機器、通電計、心電検査機器、埋込型心電図記録計、筋電計、心肺機能検査機器、脈波検査機器、呼吸代謝測定装置、呼吸機能検査機器、呼気各種ガス測定機器、体温計、血圧計、内視鏡、カプセル内視鏡、各種カメラ、マイクロスコープ、生体情報モニタ、健康診断機、筋力計、眼底検査機器、動脈硬化検査機器、DPN検査機器、睡眠ポリグラフィ、聴覚検査機器、視力計、歯科用口腔内スキャナ、各科患部観察鏡など)。
【0224】
(2-B)検体や環境、ガスや毒物などを調べたり、その検体や情報を保管する医療機器。
【0225】
人や生物に限らず、医療機関や労働環境や生活環境などの、健康・疾病・感染などに関するあらゆる検体を化学的、物理的、生理的、病理的、臨床検査的、生活環境的に検査する機器(例えば、各種クロマトグラフィ、スペクトロ機器、質量計、容積計、照度計、放射線計、非破壊試験機、血球数・CRP・免疫発光・血糖値など血液検査全般の検査機器、デシンメトリ分析装置、臨床化学分析装置、血液凝固分析装置、病理組織検査機器、尿検査機器、細菌検査機器、細菌培養器、遠心分離器、温度湿度計、アルデヒドガスなど各種ガス検知器、口臭検査機、アルコールチェッカ、歯科用技工用スキャナ、金属探知機など)。
【0226】
3.診断、記録、に関する医療機器
検査や診査などからの医療情報を統合して医学的・研究的判断をサポートする医療機器。
【0227】
4.人を含む生物(動物、微生物など)に対する治療・介護・障害補助の機器。
【0228】
(4-A)手術機器(例えば、各所外科手術のナビゲーションシステム、各種アブレーション治療装置、血管内アブレーション・ステントグラフト内挿治療装置・ペースメーカ・ICM・ICD・CRT-D/CRT-P・VAD・TRVR/TRVIなどカテーテル手術関連装置、電気メス(高周波手術装置)、電気ステープラ、バイポーラRFAシステム、超音波凝固切開装置、ベッセルシーリング装置、マイクロサージェリ機器、術中3D画像モニタリングシステム、歯科インプラント植立誘導システム、内視鏡、ドリル、麻酔機器、根管治療関連機器、イオン導入装置、光重合照明など)。
【0229】
(4-B)理学療法機器(例えば、脳深部刺激療法(DBS)、脊髄刺激療法(SCS)、超音波治療器、レーザ照射治療器、電磁波治療器、赤外線治療器、鍼灸治療機器、超音波骨折治療器、電位治療器など)。
【0230】
(4-C)物理療法機器や運動実践機器(例えば、粒子線加速器、吸入器、呼吸器トレーナ、マッサージ機、圧迫治療器、リハビリ治療器、トレッドミル、エルゴメータ、超音波スケーラなど)。
【0231】
(4-D)安静や固定を目的とした医療機器(例えば、生体情報モニタ、保育器、寝返りセンサ、離床センサなど)。
【0232】
(4-E)生体機能や形態を代行したり補助したりする医療機器(例えば、人工心肺、人工呼吸器、酸素吸入器、各種輸液機器、CPAP、ASV、酸素濃縮装置、筋肉収縮を補助する運動器具、人工内耳、補聴器、安眠導入器、電動車椅子、歯科印象関連機器、歯科技工CADCAM機器など)。
【0233】
(4-F)滅菌、消毒、清浄、洗浄、保管や保存、あるいはバイオ的に閉鎖空間での実験などを行う医療機器(例えば、低温プラズマ滅菌システム、ガス滅菌システム、オゾン滅菌機、オートクレーブ装置、吸引器、空気清浄機、次亜機能水生成機、薬液や洗剤の排出器、医科用冷蔵・保温・冷凍庫、医療機器洗浄機、CPWS、電動歯ブラシなど)。
【0234】
(4-G)生態や環境情報をモニタリングしたり、異常数値などをアラーム伝達する医療機器(例えば、臨床用ポリグラフ、生体モニタ、風速風量計、超音波血流計、活動量計、細胞培養環境分析装置など)。
【0235】
(4-H)製薬、調薬や自ら行う服薬や検査や注射や給食や各種療法などを代行したり、サポートする医療機器(例えば、製薬機器、調剤ロボット、自動錠剤包装機、散薬監査システム、一包化薬監査支援システム、注射薬払出システム、電子天秤、錠剤粉砕機、塩分計、配膳システム、清拭車、洗髪車、汚物処理器など)。
【0236】
5.医療情報管理保存、医療事務や支払い、予約、相互連絡、動線管理、環境管理など医療機関やそれに付随する機関内で衛生面・院内感染・被曝などの防護レベルを高める方法としての医療機器化(例えば、環境放射線モニタ、パソコン、キーボード、モニタ、レジスタ、自動釣銭装置、プリンタ、F A X、電話、トランシーバ、携帯電話、無停電装置、待受呼出発券システム、ユニフォーム消毒器、各種セキュリティ装置、バーコードリーダ、個体識別装置、コンプレッサ、バキューム装置、空気や水のフィルタや浄水器、電動歯ブラシ、テレビ、ラジオなど)。
【0237】
以上、例示として列挙した医療機器などの実例は、あくまで具体的な例示であってそれに類似する機能や形態を有するものもこの範疇に含まれるものとする。
【0238】
6.研究実験室の滅菌可能であることが望まれる装置としては、上記と重複するところもあるが、例えば、一般実験機器として、純水装置、クロマトグラフ装置、質量分析装置、構造解析・元素分析装置、有機合成装置、濃縮装置、ポンプ、微生物検査機器、物性計測機器、成分分析機器、環境分析機器、振とう撹拌粉砕加熱機器、恒温槽、冷蔵冷凍保存機器、洗浄滅菌乾燥機器、恒温恒湿機器、培養機器、遠心分離機、吸光発光蛍光RI関連機器、顕微鏡、イメージング機器、電気泳動機器、遺伝子実験機器、蛋白実験機器、分注装置、細胞組織研究機器、電動ピペッタ、GBWS、クリーンベンチレータ、遺伝子実験機器、などがある。
【0239】
遺伝子研究の関連では、シングルセル解析・核酸抽出精製装置・PCR・シーケンサなどの遺伝子実験機器、電気泳動装置・ブロッティング・イメージング関連装置、構造解析元素分析装置、物性・成分その他の検査機器、有機合成・濃縮装置ポンプなどがある。
【0240】
また、本発明の電子機器は、必ずしも医療現場で使用する電子機器に限らず、医療現場以外でも熱や水や圧力に対する耐性が要求される環境で使用する場合に、同様に適用可能である。熱に対する耐性が不要または低くてもよい環境の場合には、前述の断熱構造等を削減した構成としてもよいし、水に対する耐性が不要または低くてもよい環境の場合には、前述の封止構造等を削減した構成としてもよい。
【0241】
本発明は、マウス、タブレット端末、口腔内カメラに限らず、同様の構造を持たせることができる他の電子機器、例えば、モバイル端末等にも適用できる。モバイル端末の構造や、光学素子または撮像素子および電子回路部品の配置等は、上記のタブレット端末の場合と類似しているので、図示ならびに詳細な説明は省略するが、それらも本発明の範囲に含まれる。本発明の実施の形態の一例では、ボタンを備えるマウスについて説明したが、これに限らず、筐体に例えばホイール、トラックボール、ジョイスティック等の要素を持つ入力デバイス等についても同様に適用可能である。その場合、そのホイール等の要素には、耐熱性や耐水性のための対策が同様に追加される。また、光学式以外の方式のマウスについても適用可能である。また、手で操作する電子機器に限らず、足で操作するフットスイッチのような機器や、音声入力で操作する機器や、加速度センサ、振動センサ、傾斜センサ等を用いて操作する機器についても、本発明を同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0242】
1…マウス、2…筐体、2A…筐体上部、2B…筐体底部、3…ボタン、4…レンズ、5…電子回路部品、6…伝送部、6f…光ファイバ、7…光源部、8…電源部、10…基板、R1…開口部、SP1…第1空間部、SP2…第2空間部、SF…設置面、K1,K2,K3,K4A,K4B,K4C1,K4C2,K4D1,K4D2,K5,K6,K7…距離、101・・・タブレット端末、102・・・筐体、107・・・基板、108・・・ICチップ、109・・・イメージキャプチャ、110・・・開口部、111・・・カメラ用レンズ、112・・・伝送部、201・・・口腔内カメラ、202・・・筐体、207・・・基板、208・・・ICチップ、209・・・イメージキャプチャ、210・・・開口部、211・・・カメラ用レンズ、212・・・伝送部。