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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】位置エネルギー発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03B 13/14 20060101AFI20230120BHJP
   F03G 7/00 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
F03B13/14
F03G7/00 H
F03G7/00 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021115531
(22)【出願日】2021-07-13
(65)【公開番号】P2022188718
(43)【公開日】2022-12-21
【審査請求日】2021-07-13
(31)【優先権主張番号】202110640960.4
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521309477
【氏名又は名称】深▲せん▼市易波科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】宋 蜀江
(72)【発明者】
【氏名】宋 易
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206722959(CN,U)
【文献】中国実用新案第211598910(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第109681388(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 13/14
F03G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置エネルギー発電装置であって、フロートとリンクを含み、前記フロートは、ケーシングと、フライホイールと、伝動歯車と、発電機を含み、前記フライホイール、伝動歯車及び発電機は、ケーシングの内部に位置し、前記発電機の回転軸に発電機歯車が設けられ、伝動歯車に外歯と内歯が設けられ、前記発電機歯車と内歯とが噛み合って連結し、前記フライホイールと外歯とが噛み合って連結し、前記リンクとケーシング内部のフライホイールとは、ケーシングに設けられた回転軸を介して連結され、リンクは、回転軸を介してフライホイールを一方向に回転駆動することができ
前記伝動歯車は、被動輪と被動輪に固定された被動輪内歯車とを含み、前記外歯は、被動輪に設けられ、前記内歯は、被動輪内歯車に設けられていることを特徴とする位置エネルギー発電装置。
【請求項2】
前記回転軸は、フライホイール軸受とフライホイール軸とを含み、前記フライホイール軸受は、ケーシングに固定され且つフライホイール軸に嵌設され、前記フライホイール、リンクは、それぞれフライホイール軸の両端に固定されていることを特徴とする請求項に記載の位置エネルギー発電装置。
【請求項3】
前記ケーシングは、球状であることを特徴とする請求項に記載の位置エネルギー発電装置。
【請求項4】
前記ケーシング内には、複数の円環又は半円環からなる球状フレームが設けられ、且つ、前記円環又は半円環の外径がケーシングの内径と同一であることを特徴とする請求項に記載の位置エネルギー発電装置。
【請求項5】
前記球状フレームには固定フレームが設けられ、前記伝動歯車及び発電機は、固定フレームに設けられていることを特徴とする請求項に記載の位置エネルギー発電装置。
【請求項6】
前記発電機は、少なくとも2つであることを特徴とする請求項に記載の位置エネルギー発電装置。
【請求項7】
前記リンクは、少なくとも2つであり、それぞれの前記リンクには、外歯に連結するフライホイールが対応して設けられていることを特徴とする請求項に記載の位置エネルギー発電装置。
【請求項8】
前記リンクは、3つ又は4つであることを特徴とする請求項に記載の位置エネルギー発電装置。
【請求項9】
前記リンクの両端にフロートが連結されていることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の位置エネルギー発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新エネルギー技術分野に関し、特に、波の位置エネルギーを利用した位置エネルギー発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
新エネルギーは、新技術や新素材をベースに、従来の再生可能エネルギーを現代的に開発・利用できるようにするものであり、資源が限られ、環境に汚染のある化石エネルギーの代わりに、無尽蔵で繰り返して利用可能な再生可能エネルギーを使い、太陽エネルギー、風力エネルギー、バイオマス、潮汐エネルギー、地熱エネルギー、水素エネルギー、原子力エネルギーなどを重点的に開発する。通常のエネルギーの有限性及び環境問題の日々の顕在化に伴い、環境保護と再生可能を特質とする新エネルギーは、ますます各国で重視されている。新エネルギー産業の発展は、エネルギー供給システム全体の効果的な補完手段でもあり、環境対策と生態保護の重要な措置でもあり、人類社会の持続可能な発展の需要を満たす最終的なエネルギー選択でもある。
【0003】
近年、波エネルギー、海流エネルギー及び潮汐エネルギー、並びに海洋表面と深層との間の熱循環等の海洋関連の新エネルギー技術は、開発されているが、大規模利用には至っておらず、積極的に研究開発されているエネルギーに属する。
【0004】
CN201110172753に開示されている波発電装置は、第1フロートと、第1広がり口と、第2広がり口と、発電部材を含み、第1広がり口、第2広がり口がそれぞれ発電部材の両側に位置し、発電部材と共に第1フロートに固定され、波の中の海水が一方の広がり口を介して発電部材に到達し、発電部材を介して他方の広がり口に流れる。波の側方運動エネルギーと位置エネルギー、及び波が持つ上下に起伏する縦方向運動エネルギーと位置エネルギーを利用して、波の回折原理と結びつけて、海岸線に沿って横に並んで押し寄せてくる波を規模的に縦に採取し、波のエネルギーを利用して発電する。
【0005】
CN201811157125に開示されている波発電装置は、複数の浮遊筒と、複数の油圧シリンダと、発電機を搭載した水車とを含み、前記浮遊筒と前記油圧シリンダのそれぞれのピストンロッドがそれぞれ横梁を介して浮体固定杭に固定され、油圧シリンダには入水口と出水口が設けられ、出水口が水管に連結され、水管を介して海水を水車に注入することにより、従来技術に存在する波利用率が低いという技術問題を緩和する。
【0006】
CN201210375326によって開示されている波発電機は、波エネルギー捕獲器と誘導モータとから構成されている。波エネルギー捕獲器は、膨張可能なゴムカプセルで作られ、その璧内にケイ素鋼片を嵌め込んで骨組みを強化する。カプセルは、上下2つの半部からなり、内外気圧差で形状を維持する。誘導モータは、中心軸、永久磁石磁極、転がり軸受、振り子及び発電コイルから構成される。振り子は、中心軸と発電コイルを駆動して相対回転を発生させ、電流を発生させる。
【0007】
CN201310590646に開示されている海岸波発電機及び海洋波発電機は、波に浮遊する浮遊板又は浮子によって波に同期して起伏し、浮遊板又は浮子が波に同期して起伏する場合には、カプセル内のピストンを移動させ、カプセルに高圧ガスを発生させて排出させ、更にカプセルに接続されたタービンエンジンが前記高圧ガスを収集して回転して発電をし、波の運動エネルギーを利用して発電を実現する。
【0008】
上述した従来の波エネルギーを利用する技術は、いずれも技術が複雑であり、実施コストが高いという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、位置エネルギーを利用して電気エネルギーに変換する技術を提供することであり、特に波の上下の起伏による位置エネルギーを利用して電気エネルギーに変換する技術に関する。本発明の目的は、以下の手段によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
位置エネルギー発電装置であって、フロートとリンクを含む。前記フロートは、ケーシングと、フライホイールと、伝動歯車と、発電機を含む。前記フライホイール、伝動歯車及び発電機は、ケーシングの内部に位置する。前記発電機の回転軸に発電機歯車が設けられ、伝動歯車に外歯と内歯が設けられている。前記発電機歯車と内歯とが噛み合って連結し、前記フライホイールと外歯とが噛み合って連結し、前記リンクとケーシング内部のフライホイールとは、ケーシングに設けられた回転軸を介して連結される。リンクは、回転軸を介してフライホイールを一方向に回転駆動することができる。
【0011】
更に、前記伝動歯車は、被動輪と被動輪に固定された被動輪内歯車とを含み、前記外歯は、被動輪に設けられ、前記内歯は、被動輪内歯車に設けられている。
【0012】
更に、前記回転軸は、フライホイール軸受とフライホイール軸とを含む。前記フライホイール軸受は、ケーシングに固定され且つフライホイール軸に嵌設される。前記フライホイール、リンクは、それぞれフライホイール軸の両端に固定されている。具体的には、フライホイールの中心は、フライホイール軸の一端に連結され、リンクの端部は、フライホイール軸の他端に連結される。更に、リンクは、フライホイール軸に垂直に連結される。
【0013】
好ましくは、フライホイールの内部にはラチェット歯とラチェット歯に嵌合するラチェット爪が設けられ、フライホイール軸は、ラチェット爪に連結される。フライホイールは、ラチェット歯とラチェット爪によって一方向回転を実現し、それによって伝動輪の一方向回転を保証し、発電機を発電させる。
【0014】
好ましくは、前記ケーシングは、球状である。球状のケーシングは、波の衝撃力を均一に受けるのに有利である。
【0015】
更に、前記ケーシング内には、複数の円環又は半円環からなる球状フレームが設けられ、且つ、前記円環又は半円環の外径がケーシングの内径と同一であり、ケーシングの剛性を高める。
【0016】
好ましくは、前記球状フレームには固定フレームが設けられ、前記伝動歯車及び発電機は、固定フレームに設けられている。
【0017】
好ましくは、前記発電機は、少なくとも2つである。
【0018】
好ましくは、前記リンクは、少なくとも2つであり、それぞれの前記リンクには、外歯に連結するフライホイールが対応して設けられている。更に、リンクは、球状のケーシングの表面接線方向に沿って設けられる。
【0019】
好ましくは、前記リンクは、端部から中央部に向かって次第に広くなり、リンクの横断面は、上から下に向かって次第に狭くなる。リンクは、海水より密度が小さい剛性材質であることが好ましい。
【0020】
好ましくは、前記リンクは、3つ又は4つである。
【0021】
好ましくは、前記リンクの両端にフロートが連結されている。
【発明の効果】
【0022】
本発明の位置エネルギー発電装置は、波の上下の起伏によって形成された位置エネルギーをリンクが利用し、回転軸を介してフライホイールを回転させ、更に伝動輪を駆動して発電機を回転させ、電気エネルギーを発生させると共に、フライホイールを一方向にのみ回転できるように設計することで、伝動輪の一方向の回転を保証し、発電機を発電させる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の実施例の技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例の記載に必要される図面を簡単に説明する。明らかに、以下の記載における図面は、本発明の実施例の一部であり、当業者であれば、創造性のある作業を付することなく、これらの図面から他の図面を取得することもできる。
【0024】
図1】本発明の実施例1に係る2リンク位置エネルギー発電装置の構造図である。
図2】本発明の実施例1に係るフロートの内部構造図である。
図3】本発明の実施例1に係るフロートの内部構造図である。
図4】本発明の実施例1に係るフロートの内部構造爆発図である。
図5】本発明の実施例1に係る球状フレームの構造図である。
図6】本発明の実施例1に係るリンクの構造図である。
図7】本発明の実施例1に係るフライホイール軸の構造図である。
図8】本発明の実施例1に係るフライホイールの爆発図である。
図9】本発明の実施例1に係る被動輪の構造図である。
図10】本発明の実施例1に係る被動輪内歯車の構造図である。
図11】本発明の実施例1に係る発電機の構造図である。
図12】本発明の実施例2に係る3リンク位置エネルギー発電装置の構造図である。
図13】本発明の実施例2に係るフロートの内部構造図である。
図14】本発明の実施例2に係るフロートの内部構造図である。
図15】本発明の実施例3に係る4リンク位置エネルギー発電装置の構造図である。
図16】本発明の実施例3に係るフロートの内部構造図である。
図17】本発明の実施例3に係るフロートの内部構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施例における添付図面と併せて本発明の実施例における技術手段を明確且つ完全に説明するが、記載された実施例は、本発明の一部の実施例であり、全ての実施例ではないことが明らかである。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な作業を付することなく得られる全ての他の実施例は、本発明の保護範囲に属するものである。
【0026】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される用語「含む」及び「包含」は、記載された特徴、全体、ステップ、動作、要素及び/又は構成要素の存在を示すことを理解されるべきである。ただし、1つ又は複数の他の特徴、全体、ステップ、動作、要素、構成要素及び/又はそれらの組み合わせの存在又は追加は、除外されない。
【0027】
本発明の明細書において使用される用語は、特定の実施例を説明するためだけのものであり、本発明を限定することを意図していないことも理解されるべきである。本発明の明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される用語「及び/又は」は、関連して列挙された項目のうちの1つ又は複数の任意の組み合わせ、ならびに可能なすべての組み合わせを指し、これらの組み合わせも含むことを更に理解されるべきである。
【0028】
(実施例1)
図1を参照すると、図1は、本発明の実施例による位置エネルギー発電装置であり、具体的には、フロート1と、リンク2と、回転軸3とを含む2リンク位置エネルギー発電装置である。リンク2は、2つであり、対向するようにフロート1の側面に設けられている。リンク2は、フロート1の表面接線方向に沿って設けられ、且つ一端が回転軸3を介してフロート1に連結されている。2つの回転軸3は、フロート1の同一直径面上に均一に分布し、即ち、2つの回転軸とフロート1の中心との間の角度は、180°である。
【0029】
図2図4に示すフロート構造において、フロート1は、ケーシングと、フライホイール4と、被動輪5と、被動輪内歯車6と、球状フレーム7と、発電機8とを含む。ケーシングは、球状であり、波の衝撃力を均一に受けることに有利である。フライホイール4、被動輪5、被動輪内歯車6、球状フレーム7は、ケーシングの内部に位置する。
【0030】
図5に示す球状フレームにおいて、球状フレーム7は、第1円環73、第2円環74、第3円環75の3つの円環からなり、ケーシング内に固定されている。第1円環73は、水平に設けられ、第2円環74、第3円環75は、垂直に設けられ、且つ、第1円環73、第2円環74、第3円環75は、互いに垂直である。3つの円環は、ケーシングの剛性を高めるために、ケーシングの内径と同じ外径を有する。第2円環74、第3円環75の内部にはいずれも横梁が設けられ、2つの横梁が組み合わされて「十」字の固定フレーム72が形成されている。固定フレーム72の中心位置には、被動輪取付台722が対応して設けられ、一方の横梁には2つの発電機取付台721が設けられ、発電機取付台721は、被動輪取付台722の両側に位置する。本実施例では、第1円環73、第2円環74の接続箇所に軸受孔71が設けられている。
【0031】
図6に示すリンクにおいて、リンク2のロッド21は、波の衝撃力を低減するために、「舟」状に形成され、即ち、端部から中央部に向かって次第に幅が広くなり、且つ横断面が上から下に向かって次第に幅が狭くなり、横断面底部が円弧状である。リンク2の両端には角孔22が設けられている。
【0032】
回転軸3は、フライホイール軸31と、フライホイール軸受32と、フライホイール軸受カバー33とを含む。フライホイール軸受32は、フライホイール軸31に嵌設され、ケーシングに固定され、且つ軸受孔71内に位置する。フライホイール4、リンク2は、それぞれフライホイール軸31の両端に固定されている。具体的には、図7に示すフライホイール軸31において、フライホイール軸31は、リンク2の一端に対応して角柱311が設けられている。角柱311は、リンク2の端部の角孔22内に嵌合可能に嵌設され、更にねじによって固定される。フライホイール軸31の他端は、フライホイール4の軸心に連結され、伝動によってフライホイール4を垂直方向に回転駆動する。
【0033】
図8に示すフライホイールにおいて、フライホイール4は、テーパ状であり、フライホイール4のテーパ面にフライホイール歯41が設けられ、テーパ面とフライホイール4の軸線とのなす角度は、45°である(即ち、フライホイール歯41とフライホイール4の軸線とのなす角度は、45°である)。フライホイール4の内部にはラチェット爪42とラチェット歯43が設けられ、フライホイール4は、ラチェット爪42とラチェット歯43によって一方向回転を実現する。具体的には、フライホイールは、テーパ状の中空構造であり、底部と頂部にはフライホイール下カバー44とフライホイール上カバー45が対応して設けられ、ラチェット歯43は、フライホイール4の内壁に設けられ、ラチェット爪42は、フライホイール下カバー44に設けられ、フライホイール軸31の端部は、フライホイール下カバー44の中心に固着されている。ラチェット爪42が正転すると、ラチェット爪42とラチェット歯43とが噛み合い、フライホイール4全体を回転させる。ラチェット爪42が逆転すると、ラチェット爪42とラチェット歯43との噛み合いが外れ、ラチェット爪42が自転のみを実現し、フライホイール4の一方向の回転を保証する。本実施例では、フライホイール4は、2つであり、ケーシング内部の対向する両側に位置し、対応するリンク2とは、回転軸3のフライホイール軸31を介して連結する。
【0034】
図9に示す被動輪は、軸心位置に、取付孔52と、被動輪軸受53と、軸受カバー54とが設けられ、被動輪軸受53が取付孔52内に位置する。被動輪軸受53は、被動輪取付台722に固定的に取り付けられている。被動輪5の外側面は、テーパ面であり、テーパ面と被動輪5の軸線とのなす角は、45°であり、外側面には外歯51(外歯51と被動輪5の軸線とのなす角は45°)が設けられ、外歯51は、フライホイール歯41に噛み合って連結する。被動輪5は、フライホイール4の駆動力により水平回転可能である。
【0035】
図10に示す被動輪内歯車は、内壁に内歯61が設けられた環状歯車である。被動輪5には、被動輪5と同期して水平回転可能に被動輪内歯車6が固定されている。なお、被動輪5と被動輪内歯車6とは、嵌合、係合又は溶接により固定されていてもよいし、伝動輪として一体成形されていてもよく、同期して回転する作用を奏するものであればよい。
【0036】
図11に示す発電機について、本実施例では、発電機8の数は、2つであり、発電機取付台721に固定されている。発電機8の回転軸81には発電機歯車82が設けられており、発電機歯車82は、内歯61に噛み合って連結する。
【0037】
更に、リンク2の両端には、フロート1が連結されている。
【0038】
本発明の2リンク位置エネルギー発電装置は、海洋に置くことができ、リンク2のフロート1から離れた一端が波に乗って上下動すると、リンク2が回転軸3を軸としてフロート1に対して回転し、リンク2が回転軸3を介してフライホイール4を一方向に回転駆動し、更に被動輪5及び被動輪内歯車6を駆動して発電機8を回転させ、電気エネルギーを発生させる。しかも、2つのリンク2を採用し、いずれも発電機8を回転駆動する動力を提供することができ、発電機8が継続的に発電することを保証する。また、2つのリンク2がフライホイール4を介して被動輪5を回転駆動する方向を一致させることにより、いずれのリンク2もフライホイール4を介して被動輪5に動力を供給することを実現し、発電機を発電させる。
【0039】
(実施例2)
図12図14には、3リンク位置エネルギー発電装置が示されている。本実施例の3リンク位置エネルギー発電装置は、同一のフロート1に3つのリンク2が設けられ、各リンク2に対応する3つのフライホイール4をフロート1の内部に設け、リンク2と対応するフライホイール4とは回転軸3によって連結し、回転軸3がフロート1の同一直径面上に均一に分布し、即ち、隣接する2つの回転軸とフロート1の中心との間の角度が120°であり、各フライホイール4が被動輪5に噛み合って連結するという点で、実施例1の2リンク位置エネルギー発電装置とは相違する。また、本実施例における球状フレーム7は、1つの水平円環及び3つの共頂点の半円環からなり、且つ各半円環が水平円環に対して垂直である。また、本実施例では、フロート内部に3つの発電機8が設けられ、発電機8が固定フレームに固定され、発電機8の発電機歯車82が被動輪内歯車6の内歯に噛み合って連結する。その他の構成は、実施例1の位置エネルギー発電装置と同様である。
【0040】
(実施例3)
図15図17には、4リンク位置エネルギー発電装置が示されている。本実施例の4リンク位置エネルギー発電装置は、同一のフロート1に4つのリンク2が設けられ、4つのリンク2が同一平面上に設けられ、フロート1の内部には各リンク2に対応する4つのフライホイール4が設けられ、リンク2と対応するフライホイール4とは回転軸3を介して連結し、回転軸3がフロート1の同一直径面上に均一に分布し、即ち、隣接する2つの回転軸とフロート1の中心との間の角度が90°であり、各フライホイール4が被動輪5に噛み合って連結するという点で、実施例1の2リンク位置エネルギー発電装置とは相違する。その他の構成は、実施例1の位置エネルギー発電装置と同様である。
【0041】
以上、本発明の具体的な実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲は、これに限定されるものではなく、当業者であれば、本発明によって開示されている技術的範囲内で、様な等価な変更や置換が容易に考えられ、これらの変更又は置換は、本発明の保護範囲内に包含されるべきである。従って、本発明の保護範囲は、特許請求の保護範囲に基づくものとする。
【0042】
(付記)
(付記1)
位置エネルギー発電装置であって、フロートとリンクを含み、前記フロートは、ケーシングと、フライホイールと、伝動歯車と、発電機を含み、前記フライホイール、伝動歯車及び発電機は、ケーシングの内部に位置し、前記発電機の回転軸に発電機歯車が設けられ、伝動歯車に外歯と内歯が設けられ、前記発電機歯車と内歯とが噛み合って連結し、前記フライホイールと外歯とが噛み合って連結し、前記リンクとケーシング内部のフライホイールとは、ケーシングに設けられた回転軸を介して連結され、リンクは、回転軸を介してフライホイールを一方向に回転駆動することができることを特徴とする位置エネルギー発電装置。
【0043】
(付記2)
前記伝動歯車は、被動輪と被動輪に固定された被動輪内歯車とを含み、前記外歯は、被動輪に設けられ、前記内歯は、被動輪内歯車に設けられていることを特徴とする付記1に記載の位置エネルギー発電装置。
【0044】
(付記3)
前記回転軸は、フライホイール軸受とフライホイール軸とを含み、前記フライホイール軸受は、ケーシングに固定され且つフライホイール軸に嵌設され、前記フライホイール、リンクは、それぞれフライホイール軸の両端に固定されていることを特徴とする付記2に記載の位置エネルギー発電装置。
【0045】
(付記4)
前記ケーシングは、球状であることを特徴とする付記3に記載の位置エネルギー発電装置。
【0046】
(付記5)
前記ケーシング内には、複数の円環又は半円環からなる球状フレームが設けられ、且つ、前記円環又は半円環の外径がケーシングの内径と同一であることを特徴とする付記4に記載の位置エネルギー発電装置。
【0047】
(付記6)
前記球状フレームには固定フレームが設けられ、前記伝動歯車及び発電機は、固定フレームに設けられていることを特徴とする付記5に記載の位置エネルギー発電装置。
【0048】
(付記7)
前記発電機は、少なくとも2つであることを特徴とする付記6に記載の位置エネルギー発電装置。
【0049】
(付記8)
前記リンクは、少なくとも2つであり、それぞれの前記リンクには、外歯に連結するフライホイールが対応して設けられていることを特徴とする付記7に記載の位置エネルギー発電装置。
【0050】
(付記9)
前記リンクは、3つ又は4つであることを特徴とする付記8に記載の位置エネルギー発電装置。
【0051】
(付記10)
前記リンクの両端にフロートが連結されていることを特徴とする付記1~9のいずれか1つに記載の位置エネルギー発電装置。
【符号の説明】
【0052】
1:フロート、2:リンク、21:ロッド、22:角孔、3:回転軸、31:フライホイール軸、311:角柱、32:フライホイール軸受、33:フライホイール軸受カバー、4:フライホイール、41:フライホイール歯、42:ラチェット爪、43:ラチェット歯、44:フライホイール下カバー、45:フライホイール上カバー、5:被動輪、51:外歯、52:取付孔、53:被動輪軸受、54:軸受カバー、6:被動輪内歯車、61:内歯、7:球状フレーム、71:軸受孔、72:固定フレーム、721:発電機取付台、722:被動輪取付台、73:第1円環、74:第2円環、75:第3円環、8:発電機、81:回転軸、82:発電機歯車。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17