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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】溶液調製装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 1/30 20060101AFI20230120BHJP
   B65B 3/04 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
B65B1/30 B
B65B3/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021123337
(22)【出願日】2021-07-28
【審査請求日】2021-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】503167215
【氏名又は名称】株式会社モバイルコム
(74)【代理人】
【識別番号】110002446
【氏名又は名称】特許業務法人アイリンク国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】所谷 直人
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-218246(JP,A)
【文献】特開2019-147073(JP,A)
【文献】特開2003-225670(JP,A)
【文献】特開昭59-028622(JP,A)
【文献】特開2019-207105(JP,A)
【文献】米国特許第04718447(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 3/00
B67C 3/00
C02F 1/46- 1/48
C25B 1/00- 9/77
C25B 13/00-15/08
C01B 7/00-11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口を有し、溶媒が充填される溶媒容器と、
上記開口にセットされ、上記溶媒容器内へ溶質となる粉末を投入する粉末投入ユニットとからなり、
上記溶媒容器内には、
当該溶媒容器の容量に応じた色を有するフロートが収容され、
上記粉末投入ユニットは、
上記粉末が充填された1または複数の粉末容器と、
各粉末容器内の粉末を上記溶媒容器に向かって放出する粉末放出手段と、
上記溶媒容器の所定の高さ位置に対応して設置され、上記フロートの色を検知するカラーセンサと、
上記粉末放出手段を制御する制御手段と
を備え、
上記制御手段は、
上記カラーセンサが検出したフロートの色に応じて粉末の必要投入量を特定するとともに、上記粉末放出手段を制御し、上記フロートの色に応じた必要投入量の粉末が上記溶媒容器に投入される構成にした溶液調製装置。
【請求項2】
上記フロートの色に、溶液の濃度情報がさらに対応付けられ、
上記制御手段は、
上記フロートの色に基づいて容量及び溶液濃度に応じた粉末の必要投入量を特定する請求項1に記載の溶液調製装置。
【請求項3】
上記制御手段には、上記フロートの色ごとに、各粉末の必要投入量を対応付けた粉末量テーブルが記憶された請求項1または2に記載の溶液調装置。
【請求項4】
上記粉末放出手段は、
上記粉末容器の放出口を開閉し、一回の開動作によって予め設定された一定量のみの粉末を放出するバルブと
上記バルブを開閉させるバルブ駆動手段と
を備え、
上記制御手段は、
上記バルブに、上記必要投入量に応じた回数の開動作をさせるように、上記バルブ駆動手段を制御する請求項1~3のいずれか1項に記載の溶液調製装置。
【請求項5】
上記粉末投入ユニットには、複数の粉末容器が設けられ、
これら複数の粉末容器は、一体化した支持部材によって支持された請求項1~4のいずれか1項に記載の溶液調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粉末を溶媒に溶解させて溶液を調製する溶液調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、粉末やタブレットを溶媒に溶解させて、溶液を調することは行われていた。例えば、消毒用として、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムや、トリクロロイソシアヌル酸などのタブレットや粉末を溶解して次亜塩素酸水を調製することなどが行なわれている。
次亜塩素酸水は、次亜塩素酸濃度によって殺菌効果が異なるうえ、使用方法によっても適正濃度が異なる。例えば、ペットや乳幼児が居る空間に噴霧する場合には、高濃度の水溶液は好ましくない。一方、トイレなどの除菌のために、布に含ませて使用する場合には、比較的高濃度の次亜塩素酸水が有効である。
上記のように、濃度を適切に管理しなければ目的の効果が得られない溶液を調するためには、重量が決まっているタブレットだとその調整が容易ではない。その一方で、粉末を用いる場合、水などの溶媒量と、溶媒に溶解させる粉末の粉末量とを正確に秤量する必要がある。
そのため、ユーザーが、間違いなく目的の濃度の溶液を調製できるように、予め一定量に小分けにされた粉末と、決まった大きさの溶媒容器とが用意されることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-156784号公報
【文献】特開2019―147073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、決まった溶媒容器に、決まった量の粉末を投入して溶液を調製する方法では、出来上がりの溶液量が決まってしまい、溶液の仕上がり量を変更することが難しいという問題があった。
この発明の目的は、容量の異なる溶媒容器を用いても、目的の濃度の溶液を正確に、しかも簡単に調製することができる溶液調製装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、上部に開口を有し、溶媒が充填される溶媒容器と、上記開口にセットされ、上記溶媒容器内へ溶質となる粉末を投入する粉末投入ユニットとからなり、上記溶媒容器内には、当該溶媒容器の容量に応じた色を有するフロートが収容され、上記粉末投入ユニットは、上記粉末が充填された1または複数の粉末容器と、各粉末容器内の粉末を上記溶媒容器に向かって放出する粉末放出手段と、上記溶媒容器の所定の高さ位置に対応して設置され、上記フロートの色を検知するカラーセンサと、上記粉末放出手段を制御する制御手段とを備え、上記制御手段は、上記カラーセンサが検出したフロートの色に応じて粉末の必要投入量を特定するとともに、上記粉末放出手段を制御し、上記フロートの色に応じた必要投入量の粉末が上記溶媒容器に投入される構成にしている。
【0006】
第2の発明は、上記フロートの色に、溶液の濃度情報がさらに対応付けられ、上記制御手段は、上記フロートの色に基づいて容量及び溶液濃度に応じた粉末の必要投入量を特定する。
第3の発明は、上記制御手段には、上記フロートの色ごとに、各粉末の必要投入量を対応付けた粉末量テーブルが記憶されている。
【0007】
第4の発明は、上記粉末放出手段が、上記粉末容器の放出口を開閉し、一回の開動作によって予め設定された一定量のみの粉末を放出するバルブと上記バルブを開閉させるバルブ駆動手段とを備え、上記バルブ制御手段は、上記バルブに、上記必要投入量に応じた回数の開動作をさせるように、上記駆動手段を制御する。
【0008】
第5の発明は、上記粉末投入ユニットには、複数の粉末容器が設けられ、これら複数の粉末容器は、一体化した支持部材によって支持されている。
【発明の効果】
【0009】
第1の発明によれば、溶媒容器の容量にあった量の粉末が自動的に投入されるため、溶媒容器を変えることで、目的の濃度の溶液を必要量、簡単に調することができる。また、溶媒容器に、その溶媒容器の規定量の溶媒が充填されていない場合には、カラーセンサがフロートの色を検出することができず、投入すべき粉末量が特定できないので、粉末が投入されることがない。したがって、誤った濃度の溶液が作られることがない。
【0010】
第2の発明によれば、用途などに応じて濃度の異なる溶液を簡単に調することができる。
【0011】
第3の発明によれば、制御手段が粉末の投入量を簡単に特定できる。
【0012】
第4の発明によれば、バルブの開動作の回数によって粉末の投入量を制御することができる。
【0013】
第5の発明によれば、複数の粉末容器のいずれかが投入口の開動作を行なったときなどの振動が、支持部材を介して他の粉末容器に伝達される。そのため、粉末容器内の粉末が振動でほぐされ、粉末容器内の粉末が固まったり、巣を作ってしまったりすることがなく、粉末容器から放出される粉末量を正確に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態の溶媒容器の正面図である。
図2図2は、図1のII-II線断面図である。
図3図3は、実施形態の粉末投入ユニットの構成を示したブロック図である。
図4図4は、実施形態の制御基板のブロック図である。
図5図5は、実施形態のボトルに取り付けられたタイマーユニットのブロック図である。
図6図6は、実施形態の溶液調製装置を用いて溶液を調製する手順を示したフローチャートである。
図7図7は、実施形態のタイマーユニットが溶液の有効性を表示する手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施形態]
図1図5を用いてこの発明の一実施形態を説明する。
図1は、実施形態の溶媒容器の正面図であり、図2は、図1のII-II線断面図である。図3は、実施形態の粉末投入ユニットの構成を示したブロック図である。図4は、実施形態の制御基板(制御手段)のブロック図である。図5は、実施形態の溶媒容器に取り付けたタイマーユニットのブロック図である。図6は、実施形態の溶液調製装置を用いて溶液(次亜塩素酸水)を調する手順を示したフローチャート、図7は実施形態のタイマーユニットが溶液(次亜塩素酸水)の有効性を表示する手順を示したフローチャートである。
【0016】
この実施形態の溶液調製装置は、水中に、二種類の粉末、ここではジクロロイソシアヌル酸ナトリウム粉末とクエン酸粉末とを投入して、目的の濃度の次亜塩素酸水を調製する溶液調製装置である。上記ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム粉末は、水中で次亜塩素酸を遊離する原料となり、クエン酸粉末は水溶液のpH値を弱酸性に調整するための添加物である。
【0017】
この実施形態の溶液調製装置は、図1に示す溶媒容器であるボトル1に溶媒である水を充填し、このボトル1に、図2に二点鎖線で示したように粉末投入ユニット2をセットして用いる。
図1,2に示すボトル1は、最上部に開口3aを備えた中空のボトル本体3と、ボトル本体3の外周に被せられたカバー4とで構成されている。このカバー4内には後で説明するタイマーユニット5が収容されている。
【0018】
上記ボトル本体3は、ガラスや樹脂などの透明容器で、上部のネック部3b内にボトル1の容量及びこのボトル1で調製される溶液濃度に応じた色を有するドーナツ状のフロート6が収容されている。このフロート6は、溶媒である水より比重が小さくなるように形成され、ボトル本体3に水を充填したとき、その水量に応じた高さ位置(水面位置)まで浮き上がるようになっている。なお、ボトル本体3のネック部の内壁の下端には、中心に向かって突出する環状凸部3cが形成され、ボトル本体3に水が充填されていなかったり、水量が少なくなったりしたときに、上記フロート6がボトル本体3の底部側に落下してしまうことがないようにしている。ただし、この環状凸部3cは必須ではない。
【0019】
また、ボトル本体3の開口3aの外周には雄ねじが形成されている。そこで、次亜塩素酸水の使用形態に応じて、上記雄ねじにかみ合うキャップやスプレーヘッドなどを取り付けることができる。
【0020】
一方、カバー4は、不透明な材料で形成され、調製された次亜塩素酸水が紫外線に曝されないようにしている。カバー4は、ボトル本体3の傾斜したショルダー部からネック部3bの上端までを覆うような形状をなしている。カバー4において、ボトル本体3のネック部3bの上方の段部3d付近に対応する位置には、窓4aを開口させ、外部から上記フロート6を検知できるようにしている。この窓4aの位置は、当該ボトル1に規定量の水が充填されたときのフロート6の高さ位置に対応している。言い換えれば、上記窓4aからフロート6を検知できるとき、ボトル1には規定量の水が充填されている。
【0021】
なお、この実施形態では、フロート6がボトル本体3の段部3dとの間にわずかな隙間を保つ高さ位置を、ボトル1の規定量に対応した位置に設定している。ボトル1の規定量を、上記フロート6と段部3dとの間に隙間を保つ位置に設定した理由は次の通りである。ボトル本体3内でフロート6の上面が上記段部3dに接触してしまえば、ボトル本体3の水面が、フロート6の下面よりも上方になっても、フロート6を上昇させることができず、正確な水面位置を検出できなくなるからである。この実施形態では、フロート6と段部3dとの間に隙間を保つようにすることで、フロート6の位置によってより正確に水量を検知できるようにしている。
【0022】
また、カバー4には、上記タイマーユニット5に対応する位置には、タイマーユニット5のリセットスイッチ19を動作させる動作部材を挿入するための貫通孔4bが形成されている。
【0023】
そして、この実施形態では、それぞれの規定の容量及び溶液濃度に対応した色を有するフロート6を備えた様々な大きさのボトル1を備えている。すなわち、ボトル1は、容量が同じでも調製される溶液濃度が異なる場合には異なる色のフロート6が収容されている。また、容量が同じでも、溶液濃度が異なる次亜塩素酸水を調するためのボトル1には、異なる色のフロート6が収容されている。
ユーザーは、目的の溶液濃度と、次亜塩素酸水の量とに応じて適切なボトルを選択する。
なお、各ボトル1は、容量が異なっていても、図2のように粉末投入ユニット2がセットされる部分の外形を統一し、全てのボトル1に対して同一の粉末投入ユニット2が利用できるようにしている。
【0024】
上記粉末投入ユニット2は、図3に示すように、ボトル1にセットしたとき、上記開口3aの上部に位置する一対の粉末容器7,8を備えている。これら粉末容器7,8は共通の支持部材9によって当該粉末投入ユニット2内に着脱可能に支持されている。
そして、一方の粉末容器7にはジクロロイソシアヌル酸ナトリウム粉末Aが充填され、もう一方の粉末容器8にはクエン酸粉末Bが充填されている。
【0025】
各粉末容器7,8は、その下端に放出口7a,8aと、この放出口7a,8aを開閉するバルブ7b,8bとを備えている。これら放出口7a,8a及びバルブ7b,8bが粉末の放出手段を構成している。上記バルブ7b,8bは、1回の開動作によってボトル1に放出(投入)される粉末量が一定量になるバルブであって、開動作の回数によってボトル1への粉末投入量が制御される。
上記バルブ7b,8bは、ドライバ11,12によって開閉駆動され、これらドライバ11,12は、制御手段である制御部13によって駆動制御される。
また、粉末容器7,8は、上部に乾燥剤10,10を収容し、キャップ7c,8cによって閉鎖されている。
【0026】
なお、図3は、粉末投入ユニット2のブロック図であり、粉末容器7,8の配置などを厳密に示したものではないが、粉末容器7,8の放出口7a,8aから放出された粉末が確実にボトル1の開口3aからボトル1内に投入されるように構成されている。具体的には、放出口7a,8aを開口3aの真上に配置したり、放出口7a,8aとボトル1の開口3aとの間に例えばロート状の案内部材を設けたりしている。
【0027】
さらに、粉末投入ユニット2には、上記ボトル1の窓4aに対応する位置にカラーセンサ14が設けられている。このカラーセンサ14は、上記制御部13に接続され、窓4aからボトル1内のフロート6の色を検出したとき、その色検出信号s1を制御部13に入力する機能を備えている。この窓4a及びカラーセンサ14の高さ位置が、溶媒容器であるボトル1の所定の高さ位置である。
なお、図中の符号15は、上記ドライバ11,12や制御部13など、粉末投入ユニット2の各機能を動作させるための電源である。
【0028】
上記制御部13は、図4に示すように、処理部16及び記憶部17を備えている。記憶部17には、フロート6の色C1,C2,・・・に、次亜塩素酸水を調製する場合に投入すべき各粉末A,Bの量、すなわち必要投入量が対応付けられた粉末量テーブルであるテーブルTが記憶されている。上記したように、フロート6の色は、ボトル1に充填された水量及び溶液濃度に対応しているので、水が充填されたボトル1のフロート6の色に対応した必要投入量の粉末を投入することで、目的の濃度の次亜塩素酸水を調製することができる。
なお、上記テーブルTの必要投入量としては、粉末重量の代わりに、必要投入量に対応した各バルブ7b,8bの開動作の回数を対応付けるようにしてもよい。
【0029】
そして、処理部16は、上記カラーセンサ14が検出した色検出信号s1が入力されたら、この色検出信号s1に応じた粉末の必要投入量を特定し、ドライバ11,12に対して制御信号s2を出力する機能を備えている。
【0030】
次に、上記ボトル1に設けられているタイマーユニット5について説明する。
図5に示すタイマーユニット5は、次亜塩素酸水が所期の効果を維持しているか否かを表示するためのユニットであって、次亜塩素酸水が調されてからの経過時間を測定するタイマー回路18を備えている。
タイマー回路18には、時間計測をリセットして新たに計測をスタートさせるためのリセットスイッチ19や、次亜塩素酸水の効果の有無を表示するための出力部である緑色ランプ21a及び赤色ランプ21b、これらのランプ21a,21bを点灯させる制御部20、表示スイッチ22が接続されている。また、このタイマーユニット5には、乾電池ななどの電源23を備えている。
【0031】
なお、上記緑色ランプ21a、赤色ランプ21b及び表示スイッチ22は、ボトル1の外周面に露出している。
また、制御部20には、次亜塩素酸が調製されてから次亜塩素酸の効果を維持している時間が、有効時間として予め設定されている。
【0032】
上記リセットスイッチ19は、上記粉末投入ユニット2がボトル1にセットされたとき、粉末投入ユニット2側から突出してカバー4の貫通孔4bに挿入される図示しない動作部材で押圧されることによって、タイマー回路18による時間計測をリセットするとともに、時間計測をスタートさせるスイッチである。ただし、粉末投入ユニット2がボトル1から取り外され、上記動作部材が後退したとき、タイマー回路18による時間計測がスタートするようにしてもよい。
【0033】
また、制御部20は、タイマー回路18の計測時間が、予め設定された有効時間内のとき、電源23を緑色ランプ21aに接続し、有効時間外のときに電源23を赤色ランプ21bに接続する機能を有する。
さらに、表示スイッチ22は、上記制御部20を機能させるスイッチで、この表示スイッチ22がユーザーに押されたときのみ、上記制御部20が機能して緑色ランプ21a又は赤色ランプ21bを点灯させるようにしている。
【0034】
[作用・効果等]
図6図7に従ってこの実施形態の作用を説明する。
ユーザーは、図6のステップS1で粉末投入ユニット2内に、必要な粉末が充填された粉末容器7,8が支持されていることを確認し、ステップS2で水をボトル1の規定位置まで充填し、図2に示すようにこのボトル1に粉末投入ユニット2をセットする(ステップS3)。
ボトル1に粉末投入ユニット2がセットされたら、処理部16は、ステップS4でカラーセンサ14からの色検出信号s1の入力を待つ。
ステップS4で、色検出信号s1が入力された場合には、ステップS5ヘ進む。カラーセンサ14から入力された色検出信号s1はボトル1内のフロート6の色を示す信号であり、フロートの色はボトル1に充填された水量及び目的の溶液濃度に対応している。
【0035】
ステップS5で、処理部16はフロートの色に基づいて上記テーブルTから各粉末A,Bの必要投入量を特定する。すなわち、処理部16は、ボトル1に充填された水量及び当該ボトル1に設定された溶液濃度に応じた各粉末A,Bの必要投入量を特定する。
そして、ステップS6で、処理部16はドライバ11,12に対して制御信号s2(図3,4参照)を出力し、バルブ7b,8bを制御して上記必要投入量の粉末を放出させる。
これにより、必要投入量の粉末がボトル1に投入され、目的の濃度の次亜塩散水が調製される。ステップS7で、ボトル1から粉末投入ユニット2を取り外せば、次亜塩素酸水が充填されたボトル1を利用できるようになる。すなわち、ユーザーは、適切なキャップやスプレーヘッドなどをボトル1に取り付けて利用できる。
【0036】
一方、上記ステップS4で、処理部16にカラーセンサ14から色検出信号s1が入力されなかった場合、ステップS8へ進み、処理部16が水量の異常を図示していない表示部に表示させるなど、警告を発する。カラーセンサ14が、フロート6の色を検出できない場合というのは、カバー4に形成された窓4aの位置にフロート6がないということであり、ボトル1に規定量の水が充填されていない場合である。このようなときに粉末を投入してしまえば、出来上がった次亜塩素酸水の濃度が目的からずれてしまう。そこで、上記のように警告を発し、粉末を投入するステップS6に進まないようにしている。
【0037】
上記のように、この実施形態の溶液調製装置では、溶媒容器であるボトル1の容量及び目的の溶液濃度に応じたフロート6の色を検出するとともに、フロート6の検出によってボトル1に規定量の水が充填されていることを検出し、その容量及び溶液濃度に応じた適切な量の粉末を自動的にボトル1内に投入できる。
したがって、容量の異なるボトル1をセットした場合にも、ボトル1内のフロート6の色に基づいて、目的の濃度の次亜塩素酸水を調製することができる。
また、ボトル1の水の充填量を誤ってしまった場合には粉末が投入されないので、調製された次亜塩素酸水の濃度が高すぎたり、低すぎたりするボトル1をユーザーが利用してしまう心配もない。
【0038】
次に、次亜塩素酸水が充填されたボトル1のタイマーユニット5の作用を説明する。
図5に示すタイマーユニット5は、上記したように、リセットスイッチ19が押されたとき、タイマー回路18の計測がリセットされるとともにスタートする。
具体的には、図6のステップS3で粉末投入ユニット2をボトル1にセットし、動作部材がカバー4の貫通孔4bに挿入されたときに上記リセットスイッチ19が機能して時間計測がリセットされ、再スタートする。
その後、粉末投入ユニット2から所定量の粉末A,Bが投入され、ボトル1内に次亜塩素酸水が完成する。
【0039】
粉末投入ユニット2を取り外したボトル1内の次亜塩素酸水が有効か否かを確認する手順は図7に示すとおりである。
まず、ステップS101では、制御部20がボトル1の表面に露出している表示スイッチ22をユーザーが押してオンにしているか否かを判定し、オンになっていれば、ステップS102へ進む。ステップS101で表示スイッチ22がオンになっていなければ、表示スイッチがオンになるまでステップS101にとどまる。
【0040】
ステップS102では、制御部20がタイマー回路18による計測時間が予め設定されている有効時間以内か否かを判定する。計測時間が有効時間以内と判定した場合には、ステップS103に進み、制御部20は、次亜塩素酸水が有効であることを示す緑色ランプ21aを点灯させてからステップS104へ進む。
【0041】
一方、ステップS102で、制御部20が、その時点での計測時間が有効時間を超えていると判定した場合には、ステップS105に進み、制御部20は、次亜塩素酸水の有効性が失われていることを示す赤色ランプ21bを点灯させてからステップS104へ進む。
ステップS104では、ユーザーが表示スイッチ22から手を離し表示スイッチ22がオフになっているか否か判定し、オフになっていれば、ステップS106へ進み、制御部20はランプを消灯して処理を終了する。
ステップS104で、表示スイッチ22がオンに維持されていれば、制御部20はランプの点灯状態を維持したままステップS102へ戻り、ステップS102以下の処理を繰り返す。
【0042】
以上のような処理により、この実施形態のボトル1では、表示スイッチ22をオンにする度に、ボトル1内の次亜塩素酸水の有効性を、ランプの点灯によって確認できる。
したがって、調製後、長時間経過して次亜塩素酸が失活してしまった溶液を使用するようなことがなくなる。
また、この実施形態では、表示スイッチ22をオンにしたときのみ、緑色ランプ21aまたは赤色ランプ21bを点灯させるようにしているので、電源23の消費を抑えることができる。ただし、常時、いずれかのランプを点灯させたり、経過時間を表示させたりしても構わない。
【0043】
この実施形態では、粉末投入ユニット2がボトル1にセットされた時点から時間計測がスタートするようにしているが、時間計測のスタートのタイミングはこれに限らない。例えば、粉末投入ユニット2をボトル1から取り外したタイミングや、粉末容器7,8から粉末を放出するタイミングなどでもよい。例えば、バルブ7b,8bのドライバ11,12を制御する制御信号s3を、ボトル1側のタイマーユニット5に送信し、時間計測のスタート指令に利用することもできる。
【0044】
タイマー回路18によって、粉末投入によって次亜塩素酸水が調製されてからの時間が計測できればよく、設定する有効時間に余裕を持たせれば、時間計測のスタートタイミングはそれほど厳密に設定しなくてもよい。粉末がボトルに投入されることで溶液が調製されるので、遅くとも、粉末投入時に時間計測が開始すればよい。なお、上記粉末投入時には、必要投入量の粉末の全量が投入完了した時点だけでなく、その前後の時間範囲も含むものとする。例えば、ドライバ11,12への制御を開始する時点から、粉末投入ユニット2をボトル1から撤去するまでの時間も、粉末の投入時としても良い。
【0045】
また、上記リセットのタイミングも、粉末投入ユニットがセットされた後の所定のタイミングで、時間計測のスタート前ならばよく、この実施形態のように粉末投入ユニット2のセットと同時には限らない。
ただし、上記のように粉末投入ユニット2をセットしたとき、リセットスイッチ19を機械的に動作させるようにすれば、信号線などを配置する必要がなく、装置構造が単純化でき、メンテナンスも簡単になる。
【0046】
上記実施形態では、必要投入量の粉末の放出を、バルブ7b,8bの開動作の回数によって制御している。ただし、粉末放出手段であるバルブの構成はどのようなものでもかまわない。例えば、投入口の開度を調整したり、開時間を調整したりして、粉末の放出量を制御するバルブでもかまわない。
また、上記粉末容器7,8は、バルブ7b,8bを一体的に備えているが、バルブ7b,8bは粉末投入ユニット2側に設け、粉末容器7,8をセットしたとき、放出口7a,8aがバルブと一致するようにしてもよい。
【0047】
また、この実施形態では、複数の粉末容器7,8を同一の支持部材9で支持することによって、いずれかのバルブ7b,8bの開動作を行なったときなどの振動が、支持部材9を介して他の粉末容器7,8に伝達されるようにしている。そのため、粉末容器7,8内の粉末が他の粉末容器7,8からの振動でもほぐされ、粉末容器7,8内の粉末が固まったり、巣を作ってしまったりすることがなく、粉末容器7,8から放出される粉末量を正確に制御できる。
【0048】
さらに、上記実施形態では、ボトル1に収容されたフロート6の色が、ボトルの容量及び溶液濃度に対応付けられているが、上記フロート6の色がボトル1の容量のみに対応し、目的の溶液濃度は、他の手段によって設定されるようにしてもよい。
例えば、上記粉末投入ユニット2に図示しない操作部を設け、この操作部から制御部13へユーザーが、濃度設定信号を入力する。その場合、ユーザーは、容量のみに応じてボトル1を選択し、目的の濃度を上記操作部から入力する。処理部16は、操作部から入力された濃度設定信号と、カラーセンサ14から入力された色検出信号とに基づいて、各粉末の必要投入量を特定する。
その他の構成を、上記実施形態と同様にすれば、目的の濃度の次亜塩素酸水を簡単かつ正確に調製することができるとともに、調製された次亜塩素酸水の有効性を表示することもできる。
【0049】
なお、上記では次亜塩素酸水の調を例にしているが、この実施形態の溶液調製装置で調製できる溶液は、次亜塩素酸水に限らない。溶媒を充填したボトル1に投入した粉末を溶解させる溶液ならどのような溶液にも適用できる。したがって、投入する粉末の種類も、2つに限定されない。粉末投入ユニット2には、必要な粉末に応じた個数の粉末容器をセットできるようにしておけばよい。また、溶媒も水に限らない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
溶媒に粉末を溶解させた様々な溶液の濃度を厳密かつ簡単に管理できる。
【符号の説明】
【0051】
1 (溶媒容器)ボトル
2 粉末投入ユニット
3 ボトル本体
3a 開口
6 フロート
7,8 粉末容器
7a,8a 放出口
7b,8b (粉末放出手段)バルブ
9 (粉末容器の)支持部材
11,12 (バルブ駆動手段)ドライバ
13 (制御手段)制御部
14 カラーセンサ
16 (制御手段)処理部
17 (制御手段)記憶部
T (粉末量)テーブル
s1 色検出信号
【要約】
【課題】 容量の異なる溶媒容器を用いても、目的の濃度の溶液を正確に、しかも簡単に調製することができるようにする。
【解決手段】 開口3aを有する溶媒が充填される溶媒容器1と、開口3aにセットされ、溶質となる粉末を投入する粉末投入ユニット2とからなり、溶媒容器1内には、当該溶媒容器1の容量に応じた色を有するフロート6が収容され、粉末投入ユニット2は、粉末が充填された1または複数の粉末容器7,8と、各粉末容器内の粉末を溶媒容器1に向かって放出する粉末放出手段7b,8b,11,12と、溶媒容器1の所定の高さ位置に設置され、フロート6の色を検知するカラーセンサ14と、粉末放出手段7b,8bを制御する制御手段13とを備え、制御手段13は、カラーセンサ14が検出したフロートの色に応じて粉末の必要投入量を特定して粉末放出手段11,12を制御し、フロート6の色に応じた必要投入量の粉末が溶媒容器1に投入される。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7