(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】多重加熱領域構造の静電チャック
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20230120BHJP
H02N 13/00 20060101ALI20230120BHJP
H05B 3/74 20060101ALI20230120BHJP
H05B 3/00 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H02N13/00 D
H05B3/74
H05B3/00 310D
(21)【出願番号】P 2021133912
(22)【出願日】2021-08-19
【審査請求日】2021-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】519433126
【氏名又は名称】アダプティブ プラズマ テクノロジー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ウ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イ、サン ウ
【審査官】宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-141133(JP,A)
【文献】特開2017-157855(JP,A)
【文献】特開2020-021939(JP,A)
【文献】特表2018-525813(JP,A)
【文献】特開2014-112672(JP,A)
【文献】特開2020-109845(JP,A)
【文献】特開2020-115583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H02N 13/00
H05B 3/74
H05B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが加熱素子によって個別的に加熱制御が可能な多数個のマイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Nと、
多数個のマイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Nのそれぞれに連結された個別スイッチ手段14_1ないし14_Nを含むスイッチモジュール13と、
スイッチモジュール13の作動を制御するスイッチ制御モジュール15と、を含み、
それぞれのマイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Nによって静電チャックに固定されたウェーハの互いに異なる部分が独立して加熱され
、
マイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Nの上側に形成されたセラミック層に配されるACヒーターゾーン21_1ないし21_Lをさらに含み、
マイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Nは、マイクロマルチゾーンボード43に配され、
マイクロマルチゾーンボード43は、金属素材の作動胴体41に形成された加熱調節領域(RA)の内部に配され、
マイクロマルチゾーンボード43にそれぞれのヒーターゾーン11_1ないし11_Nについての制御情報を伝達する光通信回路モジュール44;駆動モジュール45;及び電源回路モジュール46が配され、
作動胴体41は、アルミニウム素材からなり、
作動胴体41に形成される冷却ライン(CL)をさらに含む
ことを特徴とする多重加熱領域構造の静電チャック。
【請求項2】
ACヒーターゾーン21_1ないし21_Lは、2~50個になり、それぞれの半導体スイッチ22_1ないし22_Lによって作動が制御される
請求項1に記載の多重加熱領域構造の静電チャック。
【請求項3】
それぞれのACヒーターゾーン21_1ないし21_Lの温度を探知する温度センサーをさらに含む
請求項1に記載の多重加熱領域構造の静電チャック。
【請求項4】
マイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Nは、50~500個である
請求項1に記載の多重加熱領域構造の静電チャック。
【請求項5】
加熱調節領域(RA)の内部は、熱ペーストで満たされる
請求項1に記載の多重加熱領域構造の静電チャック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多重加熱領域構造の静電チャックに係り、具体的に、互いに区分される多数個の加熱領域が形成されて、それぞれの領域が個別的に加熱制御が可能な多重加熱領域構造の静電チャックに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程の1つに該当するエッチング工程過程に使われる静電チャック(electrostatic chuck)は、ウェーハを固定させる機能(wafer chucking)と温度制御機能(temperature controlling)とを有しうる。エッチング工程過程でウェーハの温度が均一に保持される必要があり、これにより、工程の均一性が確保されて工程収率が向上する。このような静電チャックの温度の均一性を確保するために、静電チャック(ESC)の温度が制御される必要があり、これと関連して、特許文献1は、半導体プロセッシングのための平坦なヒーターゾーンを有した加熱板について開示する。また、特許文献2は、プロセッサチャンバ内で温度が制御される静電チャックについて開示する。ウェーハの均一温度特性の保持のために、ウェーハが固定される静電チャックの温度が制御される必要があり、静電チャックの上側部分に形成された絶縁層に加熱手段が配されて温度が制御される。
しかし、このような加熱手段によって静電チャック全体またはウェーハ全体の温度が均一に調節されにくい。このような加熱手段による加熱によって、ウェーハの互いに異なる部分の間に温度偏差が発生してしまい、このような部分的な温度偏差を補償する必要がある。そのために、ウェーハと接触される静電チャックは、多数個の領域に区分され、それぞれの領域の温度を個別的に制御する必要がある。また、これと共に温度制御のための手段が工程に影響を及ぼさないようにする方法が作られる必要がある。しかし、先行技術は、このような技術について開示しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開番号WO 2011/049620(ラムリサーチコーポレーション、2011.04.28.公開)「半導体プロセッシングのための平坦なヒーターゾーンを有した加熱板」
【文献】国際公開番号WO 2013/057949(アプライドマテリアルズ、インコポーレイティッド、2013.04.04.公開)「温度制御される静電チャック」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、先行技術の問題点を解決するためのものであって、以下のような目的を有する。
本発明の目的は、多数個に区分されたそれぞれの領域が個別的に温度制御されて静電チャックの全体温度分布の制御が可能な多重加熱領域構造の静電チャックを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の適切な実施形態によれば、多重加熱構造の静電チャックは、それぞれが加熱素子によって個別的に加熱制御が可能な多数個のマイクロマルチヒーターゾーン;多数個のマイクロマルチヒーターゾーンのそれぞれに連結された個別スイッチ手段を含むスイッチモジュール;及びスイッチモジュールの作動を制御するスイッチ制御モジュール;を含み、それぞれのマイクロマルチヒーターゾーンによって静電チャックに固定されたウェーハの互いに異なる部分が独立して加熱される。
【0006】
本発明の他の適切な実施形態によれば、マイクロマルチヒーターゾーンの上側に形成されたセラミック層に配されるACヒーターゾーンをさらに含み、ACヒーターゾーンは、2~50個になり、それぞれの半導体スイッチによって作動が制御される。
【0007】
本発明のさらに他の適切な実施形態によれば、マイクロマルチヒーターゾーンは、マイクロマルチゾーンボードに配される。
【0008】
本発明のさらに他の適切な実施形態によれば、マイクロマルチゾーンボードは、金属素材の作動胴体に形成された加熱調節領域の内部に配される。
【0009】
本発明のさらに他の適切な実施形態によれば、それぞれのACヒーターゾーンの温度を探知する温度センサーをさらに含む。
【0010】
本発明のさらに他の適切な実施形態によれば、マイクロマルチヒーターゾーンボードにそれぞれのヒーターゾーンについての制御情報を伝達する光通信回路モジュール;駆動モジュール;及び電源回路モジュールが配される。
【0011】
本発明のさらに他の適切な実施形態によれば、マイクロマルチヒーターゾーンは、50~500個である。
【0012】
本発明のさらに他の適切な実施形態によれば、作動胴体は、アルミニウム素材からなる。
【0013】
本発明のさらに他の適切な実施形態によれば、作動胴体に形成される冷却ラインをさらに含む。
【0014】
本発明のさらに他の適切な実施形態によれば、加熱調節領域(RA)の内部は、熱ペースト(thermal Paste)で満たされる。
【発明の効果】
【0015】
本発明による多重加熱構造の静電チャックは、ウェーハの加熱過程で発生しうる温度偏差を補償してウェーハの全体表面の温度均一性を確保させて、工程均一性を確保させ、これにより、工程収率を向上させる。本発明による静電チャックは、微細化及び高度化されている半導体工程過程において、先行工程結果に基づいて後行工程過程における先行工程結果の補完を可能にする。例えば、300mmウェーハの部分的な領域で先行工程結果が高いか、低い場合、後行工程で結果が補償されるようにする。これにより、工程結果の均一性が確保され、収率が高くなりながら、生産性が向上する。公知のエッチング装備の場合、静電チャックが有する300mmの円形断面積による空間上の制約によってヒーター領域の個数が制限的に設定されなければならない。これは、それぞれのヒーターに電力端子及び加熱素子が設置せねばならず、これにより、部分加熱領域が制限的に設定される構造に起因する。
本発明による静電チャックは、このような空間的な制限を解決し、必要に応じて、多様な個数または形状の部分加熱領域を設定可能にする。本発明による静電チャックは、半導体工程に適用される多様な形態の静電チャックを含み、これにより、本発明は制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明による多重加熱領域構造の静電チャックに適用されるマイクロマルチヒーターゾーンの実施形態を示した図面である。
【
図2】本発明による静電チャックのセラミック層に形成された多重ACヒーターゾーンの実施形態を示した図面である。
【
図3】本発明による静電チャックを上側及び下側から眺めた実施形態を示した図面である。
【
図4】本発明による多重加熱領域構造の静電チャックの実施形態を示した図面である。
【
図5】本発明による静電チャックの断面構造の実施形態を示した図面である。
【
図6】本発明による静電チャックでマイクロマルチゾーンの作動方法の実施形態を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明は、添付図面に提示された実施形態を参照して詳細に説明されるが、実施形態は、本発明の明確な理解のためのものであって、本発明は、これに制限されるものではない。下記の説明で、互いに異なる図面で同じ図面符号を有する構成要素は、類似した機能を有するので、発明の理解のために、不要であれば、反復説明はせず、公知の構成要素は、簡略に説明されるか、省略されるが、本発明の実施形態から除外されるものと理解されてはならない。
【0018】
図1は、本発明による多重加熱領域構造の静電チャックに適用されるマイクロマルチヒーターゾーンの実施形態を図示したものである。
図1を参照すれば、多重加熱領域構造の静電チャックは、それぞれが加熱素子によって個別的に加熱制御が可能な多数個のマイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_N;多数個のマイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Nのそれぞれに連結された個別スイッチ手段14_1ないし14_Nを含むスイッチモジュール13;及びスイッチモジュール13の作動を制御するスイッチ制御モジュール15;を含み、それぞれのマイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Nによって静電チャックに固定されたウェーハの互いに異なる部分が独立して加熱される。
【0019】
マイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Nは、ウェーハの加熱のためにウェーハに対応する部分に形成され、例えば、静電チャックの上側部分に形成されたセラミック層の内部に形成されうるが、望ましくは、セラミック層の下側に独立して形成される加熱手段に形成されうる。セラミック層の下側に形成される場合、セラミック層に形成されたヒーターによる加熱によって発生する部分的な温度偏差を補償する機能を有しうる。マイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Nによってウェーハの所定の部分が部分的に加熱され、マイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Nは、ウェーハの形状を基準に形成されうる。ウェーハの全体領域が多数個の加熱領域に分割され、マイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Nは、分割されたそれぞれの加熱領域を加熱することができる適切な位置に形成されうる。このように形成されたそれぞれのマイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Nは、例えば、線形加熱特性を有することができ、例えば、0~150℃の温度範囲で印加される電力に比例して線形的に温度が変わる線形加熱特性を有しうる。それぞれのヒーターゾーン11_1ないし11_Nは、LED素子、ダイオード、熱電素子、電気パターン抵抗のような加熱手段を含み、加熱手段は、AC電力によって加熱されるが、望ましくは、0~24DCVの電力印加が可能な電源によって加熱される。それぞれのヒーターゾーン11_1ないし11_Nは、個別スイッチ手段14_1ないし14_Nに連結され、個別スイッチ手段14_1ないし14_Nの開閉によって加熱されるか、加熱中断になる。それぞれのヒーターゾーン11_1ないし11_Nは、熱の発生及び伝達が可能な素材からなる加熱胴体111及び加熱胴体111に形成されて、加熱胴体111に電力を印加して熱を発生させる一対の電極112a、112bからなりうる。一対の電極112a、112bは、電気的に個別スイッチ手段14_1ないし14_Nに連結される。そして、個別スイッチ手段14_1ないし14_Nの開閉によって、それぞれの加熱胴体111に電力が印加されて熱が発生しうる。個別スイッチ手段14_1ないし14_Nは、スイッチモジュール13に設けられ、スイッチモジュール13は、多数個の個別スイッチ手段14_1ないし14_Nに対する状態を保存することができ、それぞれの個別スイッチ手段14_1ないし14_Nの状態を保持するか、オン/オフ状態を転換させることができる。それぞれの個別スイッチ手段14_1ないし14_Nは、スイッチ制御モジュール15の作動信号によって作動する。具体的に、スイッチ制御モジュール15から個別スイッチ手段14_1ないし14_Nのオンまたはオフ信号がスイッチモジュール13に伝送され、伝送された信号によってスイッチモジュール13は、それぞれの個別スイッチ手段14_1ないし14_Nの状態を保持するか、オン/オフ状態を転換させることができる。ヒーターゾーン11_1ないし11_Nの個数は、静電チャックまたはウェーハの構造によって多様に設定され、例えば、10~500個であるが、これに制限されるものではない。
【0020】
図1の左側に示された実施形態を参照すれば、それぞれのヒーターゾーン11_1ないし11_Nの1つの電極112aは、それぞれの接続配線12aないし12nによって、それぞれの個別スイッチ手段14_1ないし14_Nに連結される。そして、それぞれのヒーターゾーン11_1ないし11_Nの他の電極112bは、接地線(GW)によって接地電極16に連結される。
図1の右側に示された実施形態を参照すれば、それぞれのヒーター領域17_1ないし17_Mは、第1接続配線グループのそれぞれの列配線(CL_1ないしCL_L)によって第1スイッチグループのそれぞれの列スイッチ18_1ないし18_Lに連結される。第2接続配線グループのそれぞれの行配線(RL_1ないしRL_K)によって、それぞれの行スイッチ19_1ないし19_Kに連結される。そして、列スイッチ18_1ないし18_Lと行スイッチ19_1ないし19_Kは、互いに連動して作動しながら、それぞれのヒーター領域17_1ないし17_Mを個別的に加熱させることができる。ヒーター領域17_1ないし17_Mは、ヒーターゾーン11_1ないし11_Nと同一または類似した機能を行える。それぞれのマイクロヒーターゾーン11_1ないし11_Nの個別制御は、多様な方法からなり、提示された実施形態に制限されるものではない。
【0021】
図2は、本発明による静電チャックのセラミック層に形成された多重ACヒーターゾーンの実施形態を図示したものである。
図2を参照すれば、セラミック層(CS)の内部に多数個のACヒーターゾーン21_1ないし21_18が形成され、ACヒーターゾーン21_1ないし21_18は、前述したマイクロヒーターゾーン11_1ないし11_Nに対応しうる。ACヒーターゾーン21_1ないし21_18は、例えば、300mmウェーハに適用可能であり、AC電力によって作動する。それぞれのACヒーターゾーン21_1ないし21_18に加熱素子、電力端子及びサーモカップルのような温度センサーが配置される。それぞれのACヒーターゾーン21_1ないし21_18に連結ポートが形成されて個別スイッチ手段に該当する、例えば、サイリスターのような半導体個別スイッチ22_1ないし22_18によってACヒーターゾーン21_1ないし21_18の作動が調節される。半導体個別スイッチ22aないし22_18は、連結配線23a、22bによってACヒーターゾーン21_1ないし22_18に連結され、それぞれのACヒーターゾーン21_1ないし22_18は、半導体個別スイッチ22_1ないし22_18と共に独立した加熱回路を形成しながら、ACヒーター電源に連結される。ACヒーターゾーン21_1ないし21_18は、互いに連結されて区分された18個の区分領域からなりうるが、ACヒーターゾーン21_1ないし21_18は、多様な個数で形成され、例えば、2~50個であるが、これに制限されるものではない。提示された実施形態において、18個のヒーターゾーン21_1ないし21_18に対して18個の半導体個別スイッチ22_1ないし22_18が連結される。個別スイッチ22_1ないし22_18は、独立して作動し、これにより、ACヒーターゾーン21_1ないし21_18が独立して加熱される。
【0022】
ACヒーターゾーン21_1ないし21_18の下側に
図1で説明されたマイクロマルチヒーターゾーンが配され、マイクロマルチヒーターゾーンは、ACヒーターゾーン21_1ないし21_18と独立して作動する。マイクロマルチヒーターゾーンは、例えば、ウェーハの形状または静電チャックの構造によって50~500個の個数になるが、これに制限されるものではない。マイクロマルチヒーターゾーンは、セラミック層の下側に配され、ACヒーターゾーン21_1ないし21_18と同一または類似した作動構造を有しうる。また、マイクロマルチヒーターゾーンは、ACヒーターゾーン21_1ないし21_18によって加熱される静電チャックまたはウェーハから発生する温度偏差を補償する機能を有しうる。一次的に静電チャックまたはウェーハが、ACヒーターゾーン21_1ないし21_18によって、または他の加熱手段によって加熱され、二次的にマイクロマルチヒーターゾーンの作動によって加熱補償になる。以下、このような過程について説明される。
【0023】
図2の右側を参照すれば、静電チャックの加熱が調節される過程は、ACヒーターゾーン21_1ないし21_18が絶縁層またはセラミック層に形成される段階(P21);マイクロマルチヒーターゾーンがセラミック層の下側に形成される段階(P22);ACヒーターゾーン21_1ないし21_18及びマイクロマルチヒーターゾーンの駆動のための駆動手段が形成される段階(P23);ACヒーターゾーン21_1ないし21_18及びマイクロマルチヒーターゾーンのそれぞれと個別ヒータースイッチ及び半導体個別スイッチを連結する開放回路または独立回路が形成される段階(P24);それぞれのヒーターゾーンの加熱特性データが生成される段階(P25);作動制御のための制御手段とスイッチ制御モジュールまたは状態探知手段との間にデータ通信のための光通信のような通信手段が設定される段階(P26);及びそれぞれのACヒーターゾーン21_1ないし11_18またはマイクロマルチヒーターゾーンが個別的に制御される段階(P27);を含む。ACヒーターゾーン21_1ないし21_18またはマイクロマルチヒーターゾーンは、工程過程にあるウェーハの全体面積を基準に形成され、互いに異なるヒーターゾーンは同一であるか、互いに異なる面積または形状を有しうる。このようにヒーターゾーンが設定されれば(P21、P22)、それぞれのヒーターゾーンの加熱のための熱源が配され、熱源の作動のための駆動手段が形成されうる(P23)。熱源は、例えば、LED素子、ダイオード、熱電素子または電気パターン抵抗のように電力供給によって熱を発生させうる多様な電子素子または部品になり、駆動手段によってスイッチが作動して、それぞれのヒーターゾーンが加熱される。スイッチは、スイッチ制御モジュールによって作動し、スイッチ制御モジュールは、外部に設けられた制御モジュールによって作動する。スイッチは、例えば、
図2に示されたように、シリコン制御整流素子(SCR)のような半導体スイッチになるが、これに制限されるものではない。それぞれのスイッチは、オープンループ構造または独立回路構造で形成され(P24)、スイッチに作動信号が伝送されてスイッチが独立して作動する。ヒーターゾーンは、互いに異なる形状を有することができ、互いに異なる位置に形成されうる。したがって、それぞれのヒーターゾーンの形状または位置による加熱特性データが生成されうる(P25)。それぞれのヒーターゾーンの作動のためのスイッチは、工程過程で作動しなければならず、工程過程でバイアスRF電力が静電チャックに印加される。このようなバイアスRF電力の印加によってRF雑音(Noise)が発生しうるので、RF雑音が発生しない通信方法が設定される必要があり、例えば、光ファイバー通信のような光通信が設定されうる(P26)。光通信を通じて作動信号がスイッチ制御モジュールに伝送されて、それぞれのスイッチの作動が制御される。ヒーターゾーンの作動は、多様な方法からなり、提示された実施形態に制限されるものではない。以下、このような方法で加熱が制御される静電チャックの実施形態について説明される。
【0024】
図3は、本発明による静電チャックを上側及び下側から眺めた実施形態を図示したものである。
図3の左側及び右側は、それぞれ静電チャックの上側及び下側から見た形状を示したものであって、ウェーハが固定される領域に配されるセラミック層の内部は、二次元マトリックス状に区分され、それぞれの区分領域は、ACヒーターゾーン21_1ないし21_Lに形成される領域になる。ウェーハが固定される全体領域がACヒーターゾーン21_1ないし21_Lに対応しうる。ウェーハが固定される領域のフレーム部分32に沿って多数個の締結ホール33_1ないし33_Kが形成され、ACヒーターゾーン21_1ないし21_Lは、ウェーハ固定部分31に形成されうる。
図3の右側を参照すれば、静電チャックの胴体34にリフトピンが配されるピンホールまたは気体通路のような誘導ホール38_1ないし38_Mが形成され、それぞれのACヒーターゾーン21_1ないし21_Lと電力供給手段または制御手段を電気的に連結させる連結ホール35_1ないし35_Nが形成されうる。連結ホール35_1ないし35Nに配される配線を通じて、それぞれのACヒーターゾーン21_1ないし21_Lに配された加熱素子に電力が供給されるか、それぞれのACヒーターゾーン21_1ないし21_Lについての情報が獲得される。このような電力供給または情報獲得のためにセラミック層の下側に作動胴体34が形成され、作動胴体34にマイクロマルチゾーンボード37が配置される。そして、マルチゾーンボード37の内側面にマイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Nが配置される。マイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_NとACヒーターゾーン21_1ないし21_Lが、それぞれ実線で表示されているが、いずれも内部に位置すると理解されなければならない。以下、このような構造を有する静電チャックでそれぞれの構成の配置構造が具体的に説明される。
【0025】
図4は、本発明による多重加熱領域構造の静電チャックの実施形態を図示したものである。
図4を参照すれば、マイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Nは、マイクロマルチゾーンボード43に配置される。また、マイクロマルチゾーンボード43は、金属素材の作動胴体41に形成された加熱調節領域(RA)の内部に配される。
【0026】
ACヒーターゾーン21_1ないし21_Lが、金属素材の作動胴体41の上側面に形成されたセラミック層42の内部に配置される。作動胴体41に上側部分に加熱調節領域(RA)が形成され、加熱調節領域(RA)の内部にマイクロマルチゾーンボード43が配置される。そして、マイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Nは、マイクロマルチゾーンボード43に配置される。作動胴体41は、全体として円筒状になり、例えば、アルミニウムのような金属素材からなりうる。作動胴体41の下側に冷却ライン(CL)が形成され、作動胴体41の上側部分に加熱調節領域(RA)が形成されうる。加熱調節領域(RA)は、例えば、作動胴体41の上側部分に溝または収容空間を形成する方法で形成されうる。加熱調節領域(RA)にマイクロマルチゾーンボード43が配され、マイクロマルチゾーンボード43は、例えば、印刷回路基板のような電子基板構造を有しうる。加熱ボードに互いに分離されてマイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Nが配され、それぞれのマイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_NにLED素子、ダイオードまたは熱電素子が配置される。前述した個別スイッチ手段がそれぞれのマイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Nに連結される。加熱調節領域(RA)は、分離壁411によって作動胴体41の上側に突出する構造で形成され、作動胴体41の内部に流入される溝部分を含みうる。マイクロマルチゾーンボード43は、加熱調節領域(RA)の底面から分離されて配され、マイクロマルチゾーンボード43の下面に光通信回路モジュール44が配され、光通信回路モジュール44は、例えば、PMC(Programmable Machine Controller)コンピュータのような制御モジュール441と連結される。加熱調節領域(RA)の内部から作動胴体41の外部に向かって延びるビアホール(Via Hole)のような誘導ホールに誘導管(CP1、CP2)が挿設されうる。光通信回路モジュール44と制御モジュール441は、誘導管(CP1、CP2)を通じて加熱調節領域(RA)の内部に誘導される光ファイバーケーブルのような連結配線(CA1、CA2)によってデータ通信が可能になるように互いに連結される。マイクロマルチゾーンボード43の下側に駆動モジュール45が配され、駆動モジュール45は、光通信回路モジュール44または電源回路モジュール46と電気信号通信またはデータ通信が可能になるように互いに連結される。マイクロマルチゾーンボード43の下側に配される電源回路モジュール46によって、それぞれのヒーターゾーン11_1ないし11_Nに電力が印加される。電源回路モジュール46は、外部電力ソースに連結され、駆動モジュール45から伝送された作動信号によって、それぞれのヒーターゾーン11_1ないし11_Nに、例えば、5~24VDC電力が供給されるように作動する。作動胴体41に連結管(CP3、CP4)が挿設され、連結管(CP3、CP4)を通じて供給ケーブルが調節領域(RA)の内部に延びる。供給ケーブルによって電源回路モジュール46と外部電力供給手段461とが電気的に互いに連結される。外部電力供給手段461によって、例えば、5~24VDC電力が供給されうる。調節領域(RA)の内部は、例えば、熱伝導性を有する絶縁体素材で満たされ、例えば、熱伝導性を有する熱ペーストによって満たされる。マイクロマルチゾーンボード43、光通信回路モジュール44、駆動モジュール45及び電源回路モジュール46の作動過程から発生する熱が、熱ペースト層を通じて作動胴体41に伝達され、冷却ライン(CL)に沿って流動する冷却流体によって冷却される。加熱調節領域(RA)の上側が蓋によって密閉され、例えば、溶接または半田付けのような永久結合方式で、または密閉された分離可能な固定方式で結合されうる。蓋に外部作動手段と連結のための多数個の連結ホールとが形成されうる。このような構造を有する加熱調節領域(RA)の上側面にセラミック層42が結合されうる。セラミック層42にウェーハの固定のためのDC層421が配され、DC層421は、固定電力(chucking power)供給源49と連結され、固定電力供給源49によって500~3,000VDC電圧が印加される。DC層421は、単極子(mono polar)または双極子(bi-polar)の構造を有しうる。セラミック層42に配されるACヒーターゾーン21_1ないし21_Lに温度センサーが配され、温度センサーは、例えば、赤外線サーモカップル(IR thermocouple)のような光学温度探知センサーになる。少なくとも1つの温度センサーがセラミックシート層42の内部に配され、望ましくは、それぞれのACヒーターゾーン21_1ないし21_Lに温度センサーが配置される。それぞれのACヒーターゾーン21_1ないし21_LにACヒーターコントローラ47及びAC電力供給源48が連結され、温度センサーから伝送された情報に基づいてACヒーターゾーン21_1ないし21_LにAC電力が供給され、前述したように、それぞれのACヒーターゾーン21_1ないし21_Lの加熱が個別的に制御される。コンピュータのような制御モジュール441によってセラミック層42または静電チャックの温度及び均一度(uniformity)が定められ、これに基づいてACヒーターゾーン21_1ないし21_Lが加熱される。加熱過程に温度センサーによって工程過程のウェーハまたは静電チャックの温度が探知されて制御モジュール441またはACヒーターコントローラ47に伝送され、これにより、ウェーハまたは静電チャックの温度が探知される。もし、このような過程でウェーハまたは静電チャックの互いに異なる部位に温度偏差が発生すれば、マイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Nが加熱される。あらかじめ生成された制御アルゴリズムに基づいて光通信回路モジュール44によって光通信方式でマイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Nに印加される電力値が光通信回路モジュール44に伝送することができる。光通信回路モジュール44は、制御信号を電気信号に変換して駆動モジュール45に伝送しうる。駆動モジュール45は、制御電気信号によって個別スイッチ手段の作動を調節して加熱素子に印加される電力を制御して、それぞれのヒーターゾーン11_1ないし11_Nの温度を調節することができる。静電チャックの全体温度が制御モジュール441によって決定されてACヒーターコントローラ47に伝送され、ACヒーターコントローラ47は、AC電力供給源48の作動を調節してACヒーターゾーン21_1ないし21_Lの温度が全体として調節される。このように、本発明による静電チャックで温度制御は、全体としてACヒーターゾーン21_1ないし21_Lによって調節され、温度調節によって発生しうる結果に対する補償がマイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Nによってなされうる。具体的に、制御モジュール441によって静電チャックの温度及び均一度が設定され、制御アルゴリズムによって光通信モジュール44を通じてマイクロマルチゾーンボード43にそれぞれのマイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Nに印加される電力値が光通信で伝送することができる。マイクロマルチゾーンボード43に光通信回路が配されて、制御信号を電気信号に変換して駆動モジュール45に伝送して電源回路モジュール46を作動させて、それぞれのマイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Nを加熱させることができる。静電チャックの全体的な温度は、制御モジュール441によって決定されてACヒーターコントローラ47に伝送され、ACヒーターコントローラ47は、PID制御アルゴリズムによってAC電力供給源48に制御信号を伝達して、例えば、4~38個の領域に区分されたACヒーターゾーン21_1ないし21_Lが加熱される。それぞれのACヒーターゾーン21_1ないし21_Lに光学サーモカップルのようなフィードバック温度センサーが設けられて、それぞれのACヒーターゾーン21_1ないし21_Lの温度がACヒーターコントローラ47に伝送することができる。このような過程で必要に応じてマイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Nの加熱によって部分的に温度補償がなされて、ウェーハ全体に対する温度均一性が確保される。エッチング工程のような半導体工程過程で静電チャックにRF電力モジュール(RF)によってバイアスRF電力が印加される。本発明による静電チャックは、このようなバイアスRF電力による干渉がなしにそれぞれのヒーターゾーン11_1ないし11_Nの加熱制御または温度制御を可能にする。
【0027】
図5は、本発明による静電チャックの断面構造の実施形態を図示したものである。
図5を参照すれば、作動胴体41の下側に単一領域構造(one zone)または二重領域構造(dual zone)になる多数個の冷却ライン(CL)が形成された冷却領域56が形成され、加熱調節領域(CA)の上側にウェーハの温度調節のための加熱領域51が形成されうる。マイクロマルチゾーンボード53が調節領域(RA)の内部に配置される。全体としてシリンダー状になる作動胴体41のフレーム領域55に締結ホール52_1ないし52_Kが形成され、作動胴体41に調節領域(RA)の内部と外部とを連結する多数個の誘導管57が形成されうる。また、作動胴体41の中心にバイアスRF電力の印加のためのRF電極58が形成されうる。ACヒーターゾーンの加熱制御またはマイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Mによってウェーハ(W)に設定された多数個の加熱領域(HA_1ないしHA_K)が部分的に加熱されるか、全体として加熱されて温度均一性が確保される。ウェーハ(W)の加熱領域(HA_1ないしHA_K)は、
図5の下側に示されたように、2次元マトリックス構造で形成されうる。または、ウェーハ(W)の加熱領域(HA_1ないしHA_M)は、円形を基準に半径の長さによって互いに円柱状の加熱帯(SA_1ないしSA_L)を形成し、それぞれの加熱帯(SA_1ないしSA_L)を少なくとも1つの区分領域に分割する方法で形成されうる。このようなウェーハの加熱構造によってACヒーターゾーンまたはマイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Mの幾何学的形状が適切に形成されうる。
図5の下に示されたように、マイクロマルチゾーンボード43に光通信回路モジュール44、駆動モジュール45または電源回路モジュール46が適切に配され、さらにヒーターゾーン11_1ないし11_Nの加熱制御または情報探知のための多様な手段が配され、これにより、本発明は制限されるものではない。
【0028】
図6は、本発明による静電チャックでマイクロマルチゾーンの作動方法の実施形態を図示したものである。
図6を参照すれば、マイクロマルチゾーンの作動方法は、ウェーハのサイズに対応する多数個のマルチマイクロヒーターゾーンが形成される段階(P61);多数個のマルチマイクロヒーターゾーンの加熱のための熱源及びそれぞれのヒーターゾーンの作動のための駆動回路が配される段階(P62);それぞれのヒーターゾーンの作動及び状態探知のための光通信回路が設定され、それぞれのヒーターゾーンに配された加熱素子の作動のための個別制御回路が形成される段階(P63);それぞれのヒーターゾーンの温度特性データが生成される段階;及び制御モジュールによって、それぞれのヒーターゾーンの加熱状態が調節される段階(P65);を含む。
【0029】
マルチマイクロヒーターゾーンは、例えば、アルミニウム素材からなる作動胴体に形成された調節領域に形成されうる(P61)。熱源及び駆動回路は、調節領域に配されるマイクロマルチゾーンボードに配され(P62)、通信設定のための光通信回路がまたマイクロマルチゾーンボードに配置される(P63)。それぞれのヒーターゾーンがLED、ダイオード、熱電素子または抵抗線パターンによって加熱され、電力供給によるヒーターゾーンの温度特性データが生成されうる(P64)。例えば、ヒーターゾーンは、電力供給によって線形的に温度が変わるが、これに制限されるものではない。それぞれのヒーターゾーンは、例えば、個別スイッチ手段の開閉調節によって制御されるが(P65)、これに制限されるものではない。
【0030】
以上、本発明は、提示された実施形態を参照して詳細に説明されたが、当業者は、提示された実施形態を参照して、本発明の技術的思想を外れない範囲で多様な変形及び修正を作ることができる。本発明は、このような変形及び修正によって制限されず、特許請求の範囲によって制限される。
【符号の説明】
【0031】
11_1ないし11_N:マイクロマルチヒーターゾーン
13:スイッチモジュール
14_1ないし14_N:個別スイッチ手段
15:スイッチ制御モジュール
21_1ないし21_L:ACヒーターゾーン
22_1ないし22_L:半導体スイッチ
31:ウェーハ固定部分
32:フレーム部分
41:作動胴体
43:マイクロマルチゾーンボード
44:光通信回路モジュール
45:駆動モジュール
46:電源回路モジュール
47:ACヒーターコントローラ
48:AC電力供給源
51:加熱領域
【要約】
【課題】多重加熱領域構造の静電チャックを提供すること。
【解決手段】多重加熱構造の静電チャックは、それぞれが加熱素子によって個別的に加熱制御が可能な多数個のマイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_N;多数個のマイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Nのそれぞれに連結された個別スイッチ手段14_1ないし14_Nを含むスイッチモジュール13;及びスイッチモジュール13の作動を制御するスイッチ制御モジュール15;を含み、それぞれのマイクロマルチヒーターゾーン11_1ないし11_Nによって静電チャックに固定されたウェーハの互いに異なる部分が独立して加熱される。
【選択図】
図1