(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】半導体装置の製造装置、および、基板の清掃方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230120BHJP
B08B 1/04 20060101ALI20230120BHJP
B08B 5/00 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
H01L21/304 644E
H01L21/304 648G
H01L21/304 644Z
H01L21/304 646
B08B1/04
B08B5/00 A
(21)【出願番号】P 2022501253
(86)(22)【出願日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 JP2021003055
(87)【国際公開番号】W WO2022162838
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2022-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】519294332
【氏名又は名称】株式会社新川
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西尾 秀次
(72)【発明者】
【氏名】土川 陽平
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-057162(JP,A)
【文献】特開2006-130372(JP,A)
【文献】特開2001-087717(JP,A)
【文献】特開2001-054765(JP,A)
【文献】特開2008-068223(JP,A)
【文献】特開2010-098114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B08B 1/02-1/04
B08B 5/00
H01L 21/50-21/52
H01L 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にチップが実装される基板を、その表面が重力方向上側を向く姿勢で規定の搬送方向
の下流側に搬送する搬送機構と、
前記基板の搬送経路途中かつ前記基板の搬送高さより下側に設けられ、前記基板の裏面に接触しながら、前記搬送方向に対して傾いた軸周りに回転することで、前記裏面を清掃する1以上のロールブラシと、
1以上の前記ロールブラシで擦り取られた異物を、1以上の吸引孔を介して吸引する吸引機構と、
を備え
、
前記基板の前記搬送方向の寸法は、前記搬送経路の長さよりも短く、
前記搬送機構は、前記基板が1以上の前記ロールブラシと接触している期間である清掃期間中の搬送速度を、それ以外の搬送期間中の搬送速度より小さくする、
ことを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造装置であって、
前記1以上のロールブラシは、
前記裏面との接点における移動方向が前記搬送方向
の下流側となる向きで回転する上流ロールブラシと、
前記上流ロールブラシより前記搬送方向
の下流側に配置されて、前記裏面との接点における移動方向が前記搬送方向
の上流側となる向きで回転する下流ロールブラシと、
を有しており、
1以上の前記吸引孔は、前記上流ロールブラシと前記下流ロールブラシとの間に設けられている、
ことを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置の製造装置であって、
前記基板が前記上流ロールブラシに接触している期間中における前記基板の搬送速度は、前記上流ロールブラシの周速度より、小さい、ことを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の半導体装置の製造装置であって、さらに、
単一の動力源と、
前記動力源から出力された動力を、回転力として、前記上流ロールブラシおよび前記下流ロールブラシの一方に伝達する入力伝達機構と、
前記上流ロールブラシおよび前記下流ロールブラシの一方の回転を、その回転方向を反転して、他方に伝達する中間伝達機構と、
を備えている、ことを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造装置であって、さらに、
回転する前記ロールブラシに接触して前記ロールブラシから異物を離脱させる除去バーを備える、ことを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置の製造装置であって、
前記除去バーは、前記ロールブラシと接触する接触位置と、前記ロールブラシに接触しない退避位置と、の間で移動可能であり、
前記除去バーは、前記基板が前記ロールブラシに接触している期間中は前記退避位置に位置する、
ことを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造装置であって、
1以上の前記ロールブラシは、前記製造装置に対して着脱可能であり、
前記基板の種類に応じて、前記製造装置に取り付けられる前記ロールブラシの種類を変更できる、
ことを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造装置であって、さらに、
前記裏面および前記ロールブラシの毛先の少なくとも一方から静電気を除去するイオナイザーを備える、ことを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造装置であって、さらに、
前記基板が1以上の前記ロールブラシと接触している際に、前記基板の反りを矯正するべく、前記基板の一部を前記基板の厚み方向に押圧する押圧部材を備える、ことを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項10】
表面にチップが実装される基板の清掃方法であって、
前記基板を、その表面が重力方向上側を向く姿勢で規定の搬送方向
の下流側に搬送する搬送工程と、
前記搬送工程と並行して、1以上のロールブラシで前記基板の裏面を清掃する清掃工程と、
前記清掃工程と並行して、1以上の前記ロールブラシで擦り取られた異物を、1以上の吸引孔を介して吸引する吸引工程と、
を備え、前記ロールブラシは、前記基板の搬送経路途中かつ前記基板の搬送高さより下側に設けられ、前記基板の裏面に接触しながら、前記搬送方向に対して傾いた軸周りに回転することで、前記裏面を清掃
し、
前記基板の前記搬送方向の寸法は、前記搬送経路の長さよりも短く、
前記搬送工程において、前記基板が1以上の前記ロールブラシと接触している期間である清掃期間中の搬送速度は、それ以外の搬送期間中の搬送速度より小さい、
ことを特徴とする基板の清掃方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、基板の表面にチップを実装して半導体装置を製造する製造装置、および、半導体装置の製造過程で基板を清掃する清掃方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
基板の表面に1以上のチップを実装して半導体装置を製造する製造装置が従来から広く知られている。チップを基板に実装する際、基板の表面(すなわち実装面)は、清浄であることが要求される。したがって、多く場合、チップの実装に先立って、基板の表面に付着した異物は、吸引ブロア等により除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、従来、基板の表面の清掃については、種々の技術が提案されているものの、基板の裏面を清掃する技術は、従来、殆ど、提案されていない。しかし、近年、半導体装置は、更なる高密度化や小型化が求められており、この要望に応えるために、基板およびチップの薄型化が一部で進んでいる。そして、基板およびチップの薄型化が進んだ結果、薄型化した基板およびチップに圧力を付加すると、基板の裏面に付着した異物を中心として、基板およびチップが撓むことがあった。そして、こうした撓みに起因して、基板およびチップに割れやクラックが発生することがあった。
【0005】
なお、特許文献1には、半導体素子がワイヤボンディングされたリードフレームを樹脂封止してなる製品を、アンローダで、収納カセットに搬出する際、当該製品の下面と接触する高さに導電性ブラシを設けた樹脂モールド装置が開示されている。かかる特許文献1の技術によれば、半導体装置である製品の下面に付着した異物を導電性ブラシにより、ある程度除去できる。しかし、特許文献1は、完成後の製品の下面に導電性ブラシを接触させている。そのため、特許文献1の技術では、異物に起因する製造不良を防止できない。また、特許文献1の導電性ブラシは、多数の毛が線状に並んだハケ状である。そのため、特許文献1では、常に同じ毛が、清掃対象面に接触することとなり、一度、毛に付着した異物が、製品下面に再付着するおそれがあった。
【0006】
そこで、本明細書では、チップを実装する前の基板の裏面をより効果的に清掃できる半導体装置の製造装置、および、清掃方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示する半導体装置の製造装置は、表面にチップが実装される基板を、その表面が重力方向上側を向く姿勢で規定の搬送方向下流側に搬送する搬送機構と、前記基板の搬送経路途中かつ前記基板の搬送高さより下側に設けられ、前記基板の裏面に接触しながら、前記搬送方向に対して傾いた軸周りに回転することで、前記裏面を清掃する1以上のロールブラシと、1以上の前記ロールブラシで擦り取られた異物を、1以上の吸引孔を介して吸引する吸引機構と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この場合、前記1以上のロールブラシは、前記裏面との接点における移動方向が前記搬送方向下流側となる向きで回転する上流ロールブラシと、前記上流ロールブラシより前記搬送方向下流側に配置されて、前記裏面との接点における移動方向が前記搬送方向上流側となる向きで回転する下流ロールブラシと、を有しており、1以上の前記吸引孔は、前記上流ロールブラシと前記下流ロールブラシとの間に設けられていてもよい。
【0009】
また、前記基板が前記上流ロールブラシに接触している期間中における前記基板の搬送速度は、前記上流ロールブラシの周速度より、小さくてもよい。
【0010】
また、さらに、単一の動力源と、前記動力源から出力された動力を、回転力として、前記上流ロールブラシおよび前記下流ロールブラシの一方に伝達する入力伝達機構と、前記上流ロールブラシおよび前記下流ロールブラシの一方の回転を、その回転方向を反転して、他方に伝達する中間伝達機構と、を備えていてもよい。
【0011】
また、さらに、回転する前記ロールブラシに接触して前記ロールブラシから異物を離脱させる除去バーを備えてもよい。
【0012】
この場合、前記除去バーは、前記ロールブラシと接触する接触位置と、前記ロールブラシに接触しない退避位置と、の間で移動可能であり、前記除去バーは、前記基板が前記ロールブラシに接触している期間中は前記退避位置に位置してもよい。
【0013】
また、1以上の前記ロールブラシは、前記製造装置に対して着脱可能であり、前記基板の種類に応じて、前記製造装置に取り付けられる前記ロールブラシの種類を変更できてもよい。
【0014】
また、前記搬送機構は、前記基板が1以上の前記ロールブラシと接触している期間である清掃期間中の搬送速度を、それ以外の搬送期間中の搬送速度より小さくしてもよい。
【0015】
また、さらに、前記裏面および前記ロールブラシの毛先の少なくとも一方から静電気を除去するイオナイザーを備えてもよい。
【0016】
また、さらに、前記基板が1以上の前記ロールブラシと接触している際に、前記基板の反りを矯正するべく、前記基板の一部を前記基板の厚み方向に押圧する押圧部材を備えてもよい。
【0017】
本明細書で開示する基板の清掃方法は、前記基板を、その表面が重力方向上側を向く姿勢で規定の搬送方向下流側に搬送する搬送工程と、前記搬送工程と並行して、1以上のロールブラシで前記基板の裏面を清掃する清掃工程と、前記清掃工程と並行して、1以上の前記ロールブラシで擦り取られた異物を、1以上の吸引孔を介して吸引する吸引工程と、を備え、前記ロールブラシは、前記基板の搬送経路途中かつ前記基板の搬送高さより下側に設けられ、前記基板の裏面に接触しながら、前記搬送方向に対して傾いた軸周りに回転することで、前記裏面を清掃する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本明細書で開示する技術によれば、チップを実装する前の基板の裏面をより効果的に清掃できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図4】基板の搬送速度およびロールブラシの周速度の時間変化を示す図である。
【
図5】上流ロールブラシによる異物の除去の様子を示す図である。
【
図6】下流ロールブラシによる異物の除去の様子を示す図である。
【
図8】除去バーとブラシ毛との位置関係を説明する図である。
【
図9】除去バーとブラシ毛との位置関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して半導体装置の製造装置10の構成について説明する。
図1は、製造装置10の概略平面図である。製造装置10は、基板100の表面(以下「実装面102」と呼ぶ)に、1以上の半導体素子等のチップ(図示せず)を実装することで、半導体装置を製造する装置である。
【0021】
製造装置10は、新たな基板100を製造装置10に供給するロード部12と、基板100の実装面102にチップを実装するボンディング部14と、基板100をロード部12からボンディング部14に搬送する搬送機構16と、を有している。このうち、ロード部12およびボンディング部14の構成についての詳説は、省略する。
【0022】
搬送機構16は、基板100を、搬送路20に沿って搬送する。
図1の例では、搬送路20は、Y方向に延びる一直線状である。ただし、当然ながら、搬送路20は、適宜、屈曲あるいは湾曲してもよい。なお、以下では、搬送方向および鉛直方向の双方に直交する方向を「横断方向」と呼ぶ。
図1の例では、X方向が、横断方向となる。
【0023】
搬送機構16は、基板100を把持する複数の把持爪18と、当該把持爪18を搬送路20に沿って移動させるアクチュエータ(図示せず)と、を有している。把持爪18は、基板100の横断方向一端を把持する。ここで、基板100は、その周縁から所定距離以上、内側に位置する有効エリアにのみ、チップが実装される。
図1における破線は、有効エリアの周縁を示している。この有効エリアの外側は、チップが実装されない非有効エリアとなる。把持爪18は、この非有効エリアを把持する。また、本例において、アクチュエータは、把持爪18を直線状に移動させるリニアモータを有している。ただし、アクチュエータは、把持爪18を移動できるのであれば、特に限定されず、例えば、回転動力を出力するモータとラック・ピニオンを組み合わせた直動機構、モータとボールスプラインを組み合わせた直動機構等を、アクチュエータとして利用してもよい。また、さらに、搬送機構16は、基板100を搬送路20に沿って搬送できるのであれば、その構成は、限定されず、把持爪18を有さない構成でもよい。例えば、搬送機構16は、基板100が載置されるとともに搬送方向に移動する搬送ベルトを有したベルトコンベア等を有してもよい。
【0024】
搬送路20の途中には、清掃部22が設けられている。清掃部22は、基板100の裏面104、すなわち、実装面102と反対側の面を清掃する部位である。清掃部22には、1以上のロールブラシ30U,30Dが設けられている。より具体的には、清掃部22には、上流ロールブラシ30Uと、当該上流ロールブラシ30Uより搬送方向下流に位置する下流ロールブラシ30Dと、が設けられている。また、搬送路20のうち、この二つのロールブラシ30U,30Dに対応する箇所は、当該二つのロールブラシ30U,30Dを外部に露出させるためのアクセス開口24が形成されている。なお、以下では、上流ロールブラシ30Uと下流ロールブラシ30Dとを区別しない場合は、単に、「ロールブラシ30」と呼ぶ。
【0025】
図2は、この清掃部22周辺の拡大図である。また、
図3は、
図2におけるA-A断面図である。なお、
図2、
図3では、搬送路20の図示を省略している。
図2、
図3に示す通り、また、上述した通り、清掃部22には、上流ロールブラシ30Uおよび下流ロールブラシ30Dが設けられている。
【0026】
ロールブラシ30は、搬送方向と直交する方向、すなわち、横断方向に延びる回転軸32を有しており、この回転軸32を中心として回転する。また、ロールブラシ30は、回転軸方向に長尺な芯材33と、当該芯材33に植毛された多数のブラシ毛34と、を有している。本例では、基板100の裏面104における静電気の発生を防止するために、ブラシ毛34は、導電性繊維、例えば、アクリル系導電繊維で構成される。ただし、ブラシ毛34の材質は、基板100を損傷しない程度の柔軟性を有するのであれば、特に限定されず、導電性繊維以外の繊維で構成されてもよい。
【0027】
ロールブラシ30は、基板100の裏面104から回転中心までの鉛直方向距離が、ロールブラシ30の半径とほぼ同じか、僅かに小さくなる高さ位置に設置される。かかる構成とすることで、基板100がロールブラシ30を通過する際、ロールブラシ30のうち重力方向最上部である頂部Ptにおいて、ブラシ毛34の末端が当該基板100の裏面104に接触する。そして、ロールブラシ30が、裏面104に接触しながら回転することで、裏面104に付着した異物が、効果的に除去される。
【0028】
ロールブラシ30のブラシ部分(すなわちブラシ毛34が植えられている範囲)の横断方向寸法は、特に限定されない。ただし、基板100全体を効果的に清掃するために、ブラシ部分の横断方向寸法は、基板100の有効エリアの横断方向寸法とほぼ同じか僅かに大きくしてもよい。また、取り扱う基板100に応じて、適切なロールブラシ30を使用できるように、ロールブラシ30は、必要に応じて交換可能としてもよい。なお、この場合、後述するギア42a~42fの噛み合い関係を維持したままロールブラシ30の交換を可能にするために、ロールブラシ30の芯材33は、カップリング43を介してギア42c,42fに連結されている。
【0029】
ここで、本例では、二つのロールブラシ30U,30Dの回転方向を互いに逆向きとしている。具体的には、上流ロールブラシ30Uは、基板100との接点(すなわち頂部Pt)における移動方向が搬送方向下流側となる向き(
図2における右回り方向)で回転し、下流ロールブラシ30Dは、基板100との接点における移動方向が搬送方向上流側となる向き(
図2における左回り方向)で回転する。換言すれば、本例では、二つのロールブラシ30U,30Dは、基板100に接触したブラシ毛34が、当該接触後、他方のロールブラシ30に近づく方向に回転している。以下では、こうした回転方向を「内向き方向」と呼ぶ。また、接点における移動方向が搬送方向下流となる回転を「正回転」と呼び、接点における移動方向が搬送方向上流となる回転を「逆回転」と呼ぶ。本例では、二つのロールブラシ30U,30Dを互いに内向き方向に回転させることで、二つのロールブラシ30U,30Dで、一つの吸引パイプ52を共用でき、また、異物をより確実に除去できるが、これについては、後述する。
【0030】
下流ロールブラシ30Dより搬送方向下流には、さらに、モータ36が設けられている。モータ36は、二つのロールブラシ30U,30Dを回転させるための動力を発生する。このモータ36の出力軸は、ロールブラシ30の回転軸32と平行な方向に延びている。また、モータ36の出力軸の回転は、入力伝達機構38により下流ロールブラシ30Dに伝達され、下流ロールブラシ30Dの回転は、中継伝達機構40により、その回転方向を反転して、上流ロールブラシ30Uに伝達される。ここで、入力伝達機構38および中継伝達機構40は、いずれも、ギアや、プーリ等で構成できる。
図2の例では、入力伝達機構38は、三つのギア42a,42b,42cで、中継伝達機構40は、4つのギア42c,42d,42e,42fで構成されている。なお、本例では、単一の駆動源(すなわちモータ36)で、二つのロールブラシ30U,30Dを駆動しているが、駆動源の個数は、適宜、変更されてもよい。そのため、ロールブラシ30一つにつき、一つの駆動源を設けてもよい。また、本例では、中継伝達機構40の減速比は、「1」であり、二つのロールブラシ30U,30Dは、互いに同じ速度で回転する。しかし、必要に応じて、二つのロールブラシ30U,30Dに速度差を設けてもよい。
【0031】
製造装置10は、さらに、ロールブラシ30で基板100の裏面104から擦り取られた異物を吸引して収集する吸引機構50を有する。吸引機構50は、複数の吸引孔54が形成された吸引パイプ52と、当該吸引パイプ52に真空力(吸引力)を発生させる真空発生器56と、吸引された異物を捉えるエアフィルタ58と、を有する。吸引パイプ52は、横断方向に長尺で、中空の管状部材で、その周面には、横断方向に間隔を開けて、複数の吸引孔54が形成されている。この吸引パイプ52は、
図2,
図3に示す通り、上流ロールブラシ30Uと下流ロールブラシ30Dとの間、かつ、両ロールブラシ30の回転軸32より下側となる位置に配置されている。そして、上述した通り、上流ロールブラシ30Uおよび下流ロールブラシ30Dは、互いに内向きに回転しており、基板100と接触したブラシ毛34は、当該接触後、吸引パイプ52に近づく方向かつ下方に回転する。その結果、二つのロールブラシ30U,30Dのブラシ毛34に付着した異物は、効果的に、単一の吸引パイプ52の吸引孔54に吸引される。換言すれば、本例では、二つのロールブラシ30U,30Dで、単一の吸引パイプ52を共用でき、部品点数を削減できる。そして、結果として、製造装置10の製造コストを低減でき、また、清掃部22を小型化できる。
【0032】
真空発生器56は、吸引パイプ52内に真空力を発生させる。かかる真空発生器56は、例えば、供給された圧縮空気をノズルで絞ったのち、ディフューザへ高速で放出することで真空を発生させる真空エジェクタを採用できる。ただし、真空発生器56は、吸引孔54から異物を吸引できる程度の真空力を発生できるのであれば、その構成は、特に限定されず、他の構成、例えば、真空ポンプ等であってもよい。フィルタは、吸引孔54を介して吸引されたエアから異物を除去したうえで、当該エアを外部に放出する。
【0033】
コントローラ70は、こうした製造装置10の各部の駆動を制御する。かかるコントローラ70は、物理的には、プロセッサ70aと、メモリ70bと、を有するコンピュータである。本例において、コントローラ70は、基板100の裏面104を適切に清掃できるように、基板100の搬送速度およびロールブラシ30の回転速度を制御する。これについて、
図4を参照して説明する。
【0034】
図4は、基板100の搬送速度およびロールブラシ30の周速度の時間変化を示す図である。
図4において、ラインL1は、基板100の搬送速度を、ラインL2は、上流ロールブラシ30Uの周速度を、ラインL3は、下流ロールブラシ30Dの周速度を、それぞれ示している。なお、周速度とは、ロールブラシ30の外周面上の点の移動速度のことである。したがって、上流ロールブラシ30Uの直径をRu(mm)、回転数をNu(rpm)とした場合、上流ロールブラシ30Uの周速度Vu(mm/sec)は、Vu=π・Ru・Nu/60で求まる。
【0035】
また、
図4において、時刻t1は、基板100の前端が、上流ロールブラシ30Uの頂部Ptに到達したタイミングを、時刻t2は、基板100の後端が、下流ロールブラシ30Dの頂部Ptに到達したタイミングを示している。したがって、時刻t1からt2までの期間は、基板100の少なくとも一部が、いずれかのロールブラシ30に接触しており、ロールブラシ30により清掃されている期間といえる。以下では、こうした基板100といずれかのロールブラシ30が接触している期間(時刻t1~t2の期間)を「清掃期間」と呼ぶ。
【0036】
図4から明らかなとおり、本例では、基板100の搬送速度(ラインL1参照)を、清掃期間中、一時的に低下させている。すなわち、基板100は、通常、予め規定された標準搬送速度V1で搬送される。この標準搬送速度V1は、基板100の搬送効率の向上を目的として設定される比較的早い速度である。搬送の結果、基板100の前端が、上流ロールブラシ30Uの頂部Ptの直前に到達すれば、すなわち、時刻t1の直前になれば、コントローラ70は、基板100の搬送速度を、標準搬送速度V1より十分に小さい、清掃用搬送速度V2に低下させる。このように基板100の搬送速度を低下させるのは、ロールブラシ30と接触する時間を長期化させ、基板100の裏面104をより確実に清掃するためである。そして、基板100の後端が、下流ロールブラシ30Dの頂部Ptを通過した直後、すなわち、時刻t2の直後になれば、コントローラ70は、基板100の搬送速度を、再び、標準搬送速度V1に戻す。
【0037】
一方、ロールブラシ30は、清掃期間中は、所定の速度で回転するものの、それ以外の期間中は、回転停止している。すなわち、上流ロールブラシ30Uは、時刻t1の直前で回転開始し、時刻t2の直後に回転停止する。清掃期間中、上流ロールブラシ30Uは、一定の周速度Vuで回転する。この周速度Vuは、清掃用搬送速度V2より十分に大きい。このようにVu>V2とするのは、次の理由による。上流ロールブラシ30Uは、基板100との接点(すなわち頂部Pt)における移動方向が、搬送方向下流、すなわち、基板100の移動方向と同じである。そのため、Vu=V2とすると、基板100と上流ロールブラシ30Uのブラシ毛34との間で速度差が発生せず、基板100を適切に清掃できない。そこで、本例では、Vu≠V2として、基板100と上流ロールブラシ30Uとの間に速度差を積極的に生じさせている。
【0038】
また、速度差を発生させることを目的とするだけならば、V2>Vuとすることも考えられる。しかし、清掃用搬送速度V2を大きくした場合、基板100は、短時間で、上流ロールブラシ30Uを通過することになる。この場合、通過期間中に、上流ロールブラシ30Uが、基板100に接触する総面積、ひいては、基板100に接触するブラシ毛34の総数が少なくなり、基板100の清掃効率が低下する。そこで、本例では、基板100の清掃用搬送速度V2を、上流ロールブラシ30Uの周速度Vuより小さくし、清掃効率の向上を図っている。
【0039】
下流ロールブラシ30Dも、上流ロールブラシ30Uと同様に、時刻t1の直前で回転開始し、時刻t2の直後に回転停止する。ただし、下流ロールブラシ30Dは、その回転方向が、上流ロールブラシ30Uと回転方向と逆である。そのため、下流ロールブラシ30Dの周速度Vdは、上流ロールブラシ30Uの周速度Vuと同じ大きさで、極性が反転した値、すなわち、Vd=-Vuとなる。
【0040】
ここで、下流ロールブラシ30Dの基板100との接点における移動方向は、基板100の搬送方向と逆向きである。そのため、基板100と下流ロールブラシ30Dの相対速度ΔVdは、ΔVd=V2+Vdとなり、上流ロールブラシ30Uの相対速度ΔVu=V2-Vuと比べて大きくなる。そのため、下流ロールブラシ30Dは、上流ロールブラシ30Uに比べて、清掃効率が高く、基板100の裏面104の異物をより効果的に除去できる。
【0041】
次に、二つのロールブラシ30U,30Dを互いに内向きに回転させる理由について、説明する。上述した通り、二つのロールブラシ30U,30Dを互いに内向きに回転させることで、ブラシ毛34で擦り取った異物を、当該二つのロールブラシ30U,30Dの間に集めることができる。そして、これにより、単一の吸引パイプ52を二つのロールブラシ30U,30Dで共用できる。
【0042】
また、二つのロールブラシ30U,30Dを互いに内向きに回転させることで、基板100のダメージを防ぎつつ、より効果的に、基板100の裏面104を清掃できる。これについて、
図5、
図6を参照して説明する。
図5は、上流ロールブラシ30Uによる異物110の除去の様子を、
図6は、下流ロールブラシ30Dによる異物110の除去の様子を、示す図である。
【0043】
上流ロールブラシ30Uは、基板100との接点における移動方向が基板100の搬送方向と同じになる方向、すなわち、正回転方向に回転する。そのため、上流ロールブラシ30Uと基板100との相対速度ΔVuは、比較的小さく、ブラシ毛34が裏面104を擦る力は、小さい。一方、下流ロールブラシ30Dは、基板100との接点における移動方向が基板100の搬送方向と逆になる方向、すなわち、逆回転方向に回転する。そのため、下流ロールブラシ30Dと基板100との相対速度ΔVdは、比較的大きく、ブラシ毛34が裏面104を擦る力は、大きい。つまり、異物110を除去する力は、正回転させる場合よりも、逆回転させたほうが高いといえる。
【0044】
そこで、異物110の除去の効果を高めるため、上流ロールブラシ30Uも、逆回転させることも考えられる。しかし、かかる構成とした場合、上流ロールブラシ30Uのブラシ毛34は、多数の異物110が付着した基板100の裏面104を強い力で擦ることになる。この場合、裏面104から離脱してブラシ毛34に付着した異物110が、裏面104を傷つける可能性が高まる。また、異物110の中には、裏面104に密着し、強固に付着しているものもある。かかる異物110をブラシ毛34で強く擦って掻き取った場合、異物110が離脱する際に大きな反力が発生し、基板100にダメージを与える可能性もあった。つまり、最初に基板100に接触する上流ロールブラシ30Uを逆回転させた場合、基板100が受けるダメージが増加しやすい。そのため、本例では、基板100に最初に接触する上流ロールブラシ30Uを正回転させ、基板100に与えるダメージを抑えている。
【0045】
また、基板100が受けるダメージを考慮した場合、上流ロールブラシ30Uおよび下流ロールブラシ30Dの双方を正回転させることも考えられる。しかし、下流ロールブラシ30Dまで正回転させた場合、異物110の除去能力が低下し、基板100に異物110が残存する可能性が高まる。一方、上流ロールブラシ30Uが弱い力で裏面104を擦った後であれば、逆回転する下流ロールブラシ30Dが強い力で裏面104を擦ったとしても、基板100の受けるダメージを低減できる。すなわち、この場合、下流ロールブラシ30Dが基板100に接触する際には、既に、上流ロールブラシ30Uが大まかな異物110を除去している。そのため、下流ロールブラシ30Dを逆回転させ、ブラシ毛34が強い力で基板100の裏面104を擦ったとしても、ブラシ毛34に付着する異物110は少なくなるため、当該異物110が裏面104を傷つける可能性は低い。また、当初、裏面104に強固に付着していた異物110を、上流ロールブラシ30Uのブラシ毛34が弱い力で擦り、当該異物110に振動を与えることで、当該異物110の裏面104への付着力が低下する。そのため、その後、下流ロールブラシ30Dのブラシ毛34が、当該異物110を掻き取る際に生じる反力も小さく抑えることができる。つまり、上流ロールブラシ30Uを正回転させておけば、下流ロールブラシ30Dを逆回転させたとしても、基板100に与えるダメージを小さく抑えることができる。
【0046】
また、上流ロールブラシ30Uおよび下流ロールブラシ30Dの双方を、正回転させた場合、ブラシ毛34に押されて基板100に付着したまま滑り動く異物110を除去できないおそれがある。すなわち、ブラシ毛34で擦られた異物110の一部は、裏面104から離脱して、落下したり、ブラシ毛34に付着したりする。しかし、異物110の他の一部は、ブラシ毛34に押されて、基板100の裏面104に付着したまま、当該裏面104を滑り動くことがある。
【0047】
この異物110の滑り動きの方向は、ロールブラシ30が正回転する場合は、
図5に示すように、搬送方向下流である。この場合、滑り動いた異物110は、基板100の搬送に伴い、ロールブラシ30から離れていくため、基板100に付着したまま残る。
【0048】
一方、ロールブラシ30が逆回転する場合、
図6に示すように、異物110は、搬送方向上流に滑り動く。そのため、当該異物110は、基板100の搬送が進むことで、再び、ロールブラシ30に接触することになる。そして、再度、ロールブラシ30に接触することで、異物110が、基板100から離脱しやすくなる。つまり、ロールブラシ30を逆回転させることで、正回転させる場合に比べて、基板100への異物110の残存をより確実に防止できる。特に、基板100の後端近傍に付着した異物110は、正回転する上流ロールブラシ30Uでは、除去することが難しいが、下流ロールブラシ30Dを逆回転させることで、かかる後端近傍の異物110もより確実に除去できる。
【0049】
そして、以上の説明から明らかなとおり、二つのロールブラシ30U,30Dを互いに内向きに回転させることで、異物110の除去能力を段階的に上げることができる。そして、これにより、基板100のダメージを抑えつつ、異物110を効果的に除去できる。
【0050】
ところで、異物110の一部は、基板100の裏面104から離脱して、ロールブラシ30U,30Dのブラシ毛34に付着する。このようにブラシ毛34に付着した異物110は、当該ブラシ毛34が再度、裏面104に接触する前に、当該ブラシ毛34から離脱させる必要がある。こうした異物110を、ブラシ毛34からより確実に除去するために、回転するロールブラシ30に接触して当該ロールブラシ30から異物110を離脱させる除去バーを設けてもよい。
図7は、除去バーの一例を示す図である。
図7において、除去バー60a,60b(以下、両者を区別しない場合は、単に「除去バー60」と呼ぶ)は、回転軸32と平行な方向に延びる長尺部材であり、この除去バー60は、ブラシ毛34の先端近傍に接触することで、異物110をブラシ毛34から離脱させる。ここで、除去バー60は、ブラシ毛34の先端近傍に接触できるのであれば、その設置位置は、特に限定されない。
図7の例では、一部の除去バー60aは、吸引パイプ52から離れているものの、吸引パイプ52の上側となる位置に配置されている。この除去バー60aは、
図8に示すように、ブラシ毛34の極先端のみが接触する位置に配置される。かかる配置とした場合、ブラシ毛34は、当該除去バー60aを乗り越える際、一度大きく撓んだ後、弾性復元する。この弾性復元の際、ブラシ毛34に付着した異物110が、下方、すなわち、吸引パイプ52側に跳ね飛ばされ、吸引パイプ52に導かれやすくなる。
【0051】
また、除去バー60bは、吸引パイプ52より下側であるものの、吸引パイプ52の近傍となる位置に配置されている。この除去バー60bは、
図9に示すように、ブラシ毛34の先端より僅かに内側が接触する位置に配置する。かかる配置とした場合、ブラシ毛34は、当該除去バー60bを乗り越える際、大きく撓んだ状態で、除去バー60の表面を滑り動く。この滑り動きにより、ブラシ毛34に付着した異物110が、除去バー60により擦り取られる。また、この擦り取られる際の衝撃により、異物110は、僅かに跳ね上がり、近傍に位置する吸引パイプ52に導かれやすくなる。
【0052】
ところで、こうした除去バー60によるロールブラシ30の清掃は、ロールブラシ30による基板100の清掃と、並行して行ってもよいし、タイミングをずらして行ってもよい。すなわち、除去バー60をロールブラシ30に接触する位置で固定配置し、ロールブラシ30が基板100を清掃している期間中、必ず、除去バー60によるロールブラシ30の清掃を行うようにしてもよい。また、別の形態として、除去バー60を、ロールブラシ30と接触する接触位置と、ロールブラシ30に接触しない退避位置と、の間で移動可能としてもよい。かかる移動は、例えば、電磁プランジャやエアスプリング等のアクチュエータを用いることで実現できる。そして、この場合、除去バー60は、ロールブラシ30が基板100に接触している期間中は、退避位置に退避し、ロールブラシ30が基板100と接触していない期間に、接触位置に移動し、ロールブラシ30の清掃を行うようにしてもよい。かかる構成とすることで、ブラシ毛34から離脱して舞い上がった異物110が、基板100に再付着することを効果的に防止できる。
【0053】
また、これまでは、基板100またはブラシ毛34に付着した異物110を機械的な力で除去している。しかし、こうした機械的な力による異物110の除去を補助するために、
図10に示すように、静電気を除去するイオナイザー74を設けてもよい。イオナイザー74は、例えば、コロナ放電により生成したイオンを対象物に放射するコロナ放電式でもよいし、高エネルギーの電磁波(例えば紫外線やX線)を対象物に照射する光イオン化式でもよい。また、静電気を除去する対象は、基板100の裏面104でもよいし、ブラシ毛34でもよい。
【0054】
また、これまで説明した構成は、いずれも一例であり、少なくとも、基板100の裏面104に接触しながら回転する1以上のロールブラシ30と、ロールブラシ30で擦り取られた異物110を吸引する吸引機構50と、を有するのであれば、その他の構成は、適宜、変更されてもよい。したがって、ロールブラシ30の個数は、
図11に示すように、単一でもよいし、
図12に示すように、3以上でもよい。また、ロールブラシ30の回転方向も適宜、変更可能であり、例えば、
図12に示すように、複数のロールブラシ30が全て、同じ方向に回転してもよい。この場合、ロールブラシ30ごとに、吸引パイプ52を設ければよい。
【0055】
また、
図1に示すように、本例では、基板100の横断方向一端のみを、把持爪18で把持している。この場合において、
図13に示すように、基板100に反りがあると、基板100の一部が、ロールブラシ30から離間することがある。そこで、こうした基板100の反りを矯正するために、基板100の一部を、その厚み方向に押圧する押圧部材76を設けてもよい。押圧部材76は、
図13に示すように、基板100を、回転軸32および搬送方向の双方に平行な基準面78に押し当てるクランパでもよい。押圧部材76をクランパとした場合、基板100を基準面78に押し当てている期間中、基板100を下流方向に送ることができない。したがって、この場合には、押圧部材76(クランパ)による押し当てを解除したうえで基板100を微小距離だけ下流側に送る微小送り処理と、基板100の搬送を一時停止したうえで基板100を基準面78に押し当てる押し当て処理と、を交互に繰り返す。また、別の形態として、押圧部材76は、横断方向(X方向)と略平行な軸回りに回転するとともに昇降可能なローラでもよい。押圧部材76をローラとすれば、基板100を下流に搬送しながら、押圧部材76(ローラ)で基板100をロールブラシ30に押圧できるため、基板100の搬送を一時停止させなくてもよい。
【0056】
また、ロールブラシ30の回転軸32は、搬送方向と非平行であればよく、横断方向に対して傾いていてもよい。また、これまでの説明では、上流ロールブラシ30Uおよび下流ロールブラシ30Dとして、互いに同じ種類のブラシを用いているが、両ロールブラシ30U,30Dの種類は、互いに異なってもよい。例えば、二つのロールブラシ30は、そのブラシ毛34の材質、太さ、長さ、密度の少なくとも一つが互いに異なっていてもよい。例えば、上流ロールブラシ30Uを裏面104に穏やかに接触させるために、上流ロールブラシ30Uのブラシ毛34を、下流ロールブラシ30Dのブラシ毛34よりも、柔軟な素材で構成したり、細くしたり、長くしたりしてもよい。
【0057】
また、二つのロールブラシ30U,30Dの回転速度の大きさは、互いに異なってもよい。例えば、下流ロールブラシ30Dの周速度の絶対値|Vd|を、上流ロールブラシ30Uの周速度の絶対値|Vu|より大きくしてもよい。かかる構成とすることで、下流ロールブラシ30Dと基板100との相対速度ΔVdをより大きくすることができ、異物110をより確実に除去できる。また、別の形態として、|Vd|<|Vu|としてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10 製造装置、12 ロード部、14 ボンディング部、16 搬送機構、18 把持爪、20 搬送路、22 清掃部、24 アクセス開口、30D 下流ロールブラシ、30U 上流ロールブラシ、32 回転軸、33 芯材、34 ブラシ毛、36 モータ、38 入力伝達機構、40 中継伝達機構、42a~42f ギア、43 カップリング、50 吸引機構、52 吸引パイプ、54 吸引孔、56 真空発生器、58 エアフィルタ、60 除去バー、70 コントローラ、70a プロセッサ、70b メモリ、74 イオナイザー、76 押圧部材、78 基準面、100 基板、102 実装面、104 裏面、110 異物。