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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】電子走査アレイ
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20230120BHJP
   H01Q 3/30 20060101ALI20230120BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20230120BHJP
   H02J 4/00 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
H02J1/00 304E
H01Q3/30
H02J3/38
H02J4/00
H02J1/00 309V
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018125877
(22)【出願日】2018-07-02
(65)【公開番号】P2019017239
(43)【公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-06-28
(31)【優先権主張番号】15/644,544
(32)【優先日】2017-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505347433
【氏名又は名称】ロックウェル・コリンズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ポールセン、 リー エム.
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル、 トーマス ビー.
(72)【発明者】
【氏名】マッコイ、 ブライアン エス.
(72)【発明者】
【氏名】ヒル、 エイドリアン エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジェンセン、 デイナ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】デイナ、 ロジャー エイ.
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第7570209(US,B2)
【文献】米国特許第05654859(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0124501(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0313647(US,A1)
【文献】米国特許第06288673(US,B1)
【文献】国際公開第2017/065088(WO,A1)
【文献】特開平01-078178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 3/00-3/46
H01Q 21/00-25/04
H02J 1/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
幹線電力を乗り物から受電する構造とされたコネクタと、
前記コネクタに電気的に連結されるとともに、前記幹線電力を受電及び調整する構造とされた第1電力変換器と、
前記コネクタに電気的に連結されるとともに、前記第1電力変換器と並列に配列されて前記幹線電力を受電及び調整する構造とされた第2電力変換器と、
前記第1電力変換器及び前記第2電力変換器から調整済み電力を受電する構造とされた調整済み電力コネクタと、
前記第1電力変換器と前記調整済み電力コネクタとの間に配列されて調整済み電力が前記第1電力変換器から前記調整済み電力コネクタへと通ることを選択的に許容する構造とされた第1スイッチと、
前記第2電力変換器と前記調整済み電力コネクタとの間に配列されて調整済み電力が前記第2電力変換器から前記調整済み電力コネクタへと通ることを選択的に許容する構造とされた第2スイッチと、
それぞれ前記調整済み電力コネクタから調整済み電力を受電するように構成された、第1隔離入力部および第2隔離入力部と、
前記第1隔離入力部の下流に配置された第1隔離スイッチと、
前記第2隔離入力部の下流に配置された第2隔離スイッチと、
前記第1隔離スイッチの下流に配置された第1EMIフィルタ段と、
前記第2隔離スイッチの下流に配置された第2EMIフィルタ段と、
前記第1EMIフィルタ段の下流に配置された第1ローカル電力供給部と、
前記第2EMIフィルタ段の下流に配置された第2ローカル電力供給部と、
回路カードと、
前記第1電力変換器及び前記第2電力変換器をモニタリングして、前記第1隔離スイッチおよび第2隔離スイッチを作動させて、調整済み電力を、前記第1隔離入力部または前記第2隔離入力部の一方から前記回路カードに選択的に提供し、前記第1スイッチ又は前記第2スイッチの一方を、調整済み電力を前記調整済み電力コネクタに与えるべく動作させる構造とされたコントローラと
を含む装置。
【請求項2】
前記第1電力変換器が故障したと前記コントローラが決定する場合、前記第1スイッチが開かつ前記第2スイッチが閉にされ、前記第2電力変換器が前記調整済み電力コネクタと通信する、請求項1の装置。
【請求項3】
前記第1電力変換器が故障したと前記コントローラが決定する場合、前記第1スイッチが開かつ前記第2スイッチが閉のままとされ、前記第1電力変換器がもはや前記調整済み電力コネクタと通信しない、請求項1の装置。
【請求項4】
第1接続スイッチおよび第2接続スイッチをさらに備え、前記第1接続スイッチは前記第1ローカル電力供給部と前記回路カードとの間に配置され、前記第2接続スイッチは前記第2ローカル電力供給部と前記回路カードとの間に配置される請求項1の装置。
【請求項5】
前記第1電力変換器及び前記第2電力変換器はそれぞれが、複数の電圧を与えるローカル電力供給部を含む、請求項1の装置。
【請求項6】
2つを超える電力変換器が、各電力変換器に関連付けられたスイッチを介して負荷に並列に接続される、請求項1の装置。
【請求項7】
電子走査アレイシステムであって、
電力供給システムと、
放射素子サブアレイと、
複数のビーム形成器チップと、
複数の制御バスと、
予備制御経路と
を含み、
前記電力供給システムは、
幹線電力を乗り物から受電する構造とされたコネクタと、
前記幹線電力を受電及び調整する構造とされた第1電力変換器と、
前記第1電力変換器と並列に配列されて前記幹線電力を受電及び調整する構造とされた第2電力変換器と、
調整済み電力を前記第1電力変換器及び前記第2電力変換器から受電する構造とされた調整済み電力コネクタと、
前記第1電力変換器と前記調整済み電力コネクタとの間に配列されて調整済み電力が前記第1電力変換器から前記調整済み電力コネクタへと通ることを選択的に許容する構造とされた第1スイッチと、
前記第2電力変換器と前記調整済み電力コネクタとの間に配列されて調整済み電力が前記第2電力変換器から前記調整済み電力コネクタへと通ることを選択的に許容する構造とされた第2スイッチと、
前記第1電力変換器及び前記第2電力変換器をモニタリングして前記第1スイッチ又は前記第2スイッチの一方を、調整済み電力を前記調整済み電力コネクタに与えるべく動作させる構造とされたコントローラと
を含み、
前記放射素子サブアレイは、
複数のアクティブ放射素子と、
前記アクティブ放射素子の全体にわたって分散された約1パーセントから約20パーセントの予備放射素子と
を含み、
前記複数のビーム形成器チップはそれぞれが、
少なくとも一つの放射素子に関連付けられて制御バスインタフェイスと、
前記制御バスインタフェイス内の信号が故障する事象において前記制御バスインタフェイスに再マッピングされるように構成された予備入力部と
を含み、
前記複数の制御バスは前記複数のビーム形成器チップに命令を与える構造とされ、
各制御バスは、前記制御バスから前記制御バスインタフェイスへの通信を与える複数の一次制御経路を含み、
前記予備制御経路は、前記複数の一次制御経路の一つが故障する事象において前記制御バスから前記制御バスインタフェイスへの通信を与えるように再マッピングされる構造とされる電子走査アレイシステム。
【請求項8】
前記電力供給システムは、前記第1電力変換器と前記第1スイッチとの間に配置された第1センサをさらに含み、
前記コントローラは前記第1センサと通信する構造とされる、請求項の電子走査アレイシステム。
【請求項9】
前記電力供給システムは、エネルギー貯蔵デバイスをさらに含み、
前記第1電力変換器及び前記第2電力変換器と選択的に通信して前記第1スイッチ及び前記第2スイッチの下流側に配置される、請求項の電子走査アレイシステム。
【請求項10】
前記電力供給システムは、
前記第1電力変換器の上流側に配置された第1隔離スイッチと、
前記第2電力変換器の上流側に配置された第2隔離スイッチと
をさらに含み、
前記第1隔離スイッチ及び前記第2隔離スイッチは、前記第1電力変換器又は前記第2電力変換器を選択的に隔離するべく前記コントローラにより動かされる、請求項の電子走査アレイシステム。
【請求項11】
前記制御バスは直交態様で配列される、請求項の電子走査アレイシステム。
【請求項12】
各制御バスは、第1サブアレイのビーム形成器チップ及び第2サブアレイのビーム形成器チップと通信する、請求項の電子走査アレイシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、衛星通信の分野に関する。詳しくは、本開示は航空機搭載衛星通信に関する。電子走査アレイ(ESA)は、異なる方向を指すように電子的に操舵できるアンテナである。ESAが古くなると、個々の放射素子が故障し得る。個々の素子が故障すると、それに比例してESAの放射性能が低下する。
【背景技術】
【0002】
フェーズドアレイ(例えばESA)についての共通の感情は、素子が故障するにつれて優雅に劣化するというものである。換言すれば、大抵のESAは、ゆっくりとしたかつ比例的な性能減衰を念頭において設計されている。しかしながら、優雅な減衰が必ずしも生じるわけではない。ESA電力供給アーキテクチャ及びコントローラには単一点故障モードが存在するので、放射素子の故障は、再較正を必要とすることがあり、利得対雑音温度(G/T)及び実効等方放射電力(effective-isotropic-radiated-power(EIRP))を、許容レベルよりも下にまで低減させる。
【0003】
単一点故障モード及び放射素子故障への経時的な対処を試みるには、様々な技法を使用することができる。例えば、無線周波数(RF)隔離技法は、RF故障モードのアクティブコンポーネントへの影響を低減するべく、フェーズドアレイ回路群とアンテナの放射素子との間にサーキュレータ又は方向性結合器を配置することを含み得る。
【0004】
他の解決策には、ループバック試験を介したインポジション(in-position)較正、較正ホーン(horn)等が含まれる。インポジション較正は、ESAの再較正がサイドローブ要件を満たすことを許容するが、インポジション測定と、オンザフライで計算しなければならない複雑なパターン合成技法とのための高い信号対雑音比(SNR)を必要とする。インポジション較正アプローチは、これらの較正モードを可能にすることができるように、バックエンドのラジオ/レーダー/センサのハードウェアに負担を与えるが、当該較正モードは、当該ハードウェアを既存の機器(例えばレガシーモデム)に統合するときには可能とすることができない。
【発明の概要】
【0005】
一つの側面において、ここに開示される本発明概念の複数の実施形態は装置に関し、当該装置は、乗り物から幹線電力を受電するように構成されたコネクタと、当該幹線電力を受電して調整する構造とされた第1電力変換器と、第1電力変換器に並列に配列されて当該幹線電力を受電及び調整する構造とされた第2電力変換器と、第1電力変換器及び第2電力変換器から調整済み電力を受電する構造とされた調整済み電力コネクタと、第1電力変換器と当該調整済み電力コネクタとの間に配列されて調整済み電力が第1電力変換器から当該調整済み電力コネクタへと通ることを選択的に許容する構造とされた第1スイッチと、第2電力変換器と当該調整済み電力コネクタとの間に配列されて調整済み電力が第2電力変換器から当該調整済み電力コネクタへと通ることを選択的に許容する構造とされた第2スイッチと、第1電力変換器及び第2電力変換器をモニタリングして第1スイッチ又は第2スイッチの一方を、調整済み電力を当該調整済み電力コネクタに与えるべく動作させる構造とされたコントローラとを含む。
【0006】
さらなる側面において、ここに開示される本発明概念の複数の実施形態は、複数のビーム形成器チップ及び複数の制御バスを含む装置に関する。各ビーム形成器チップは、少なくとも一つの放射素子に関連付けられるとともに、制御バスインタフェイスと、当該制御バスインタフェイス内の信号が故障する事象において当該制御バスインタフェイスに再マッピングされるように構成された予備入力部とを含む。複数の制御バスは、複数のビーム形成器チップに命令を与える構造とされ、各制御バスは、当該制御バスから制御バスインタフェイスへの通信を与える複数の一次制御経路と、当該複数の一次制御経路の一つが故障する事象において当該制御バスから当該制御バスインタフェイスへの通信を与えるべく再マッピングされる構造とされた予備制御経路とを含む。
【0007】
さらなる側面において、ここに開示される本発明概念の複数の実施形態は、一アレイのアクティブ放射素子と、当該アクティブ放射素子の全体にわたって分散された約1パーセントから約20パーセント予備放射素子とを含む装置に関する。
【0008】
さらなる側面において、ここに開示される本発明概念の複数の実施形態は、電力供給システム、放射素子サブアレイ、複数のビーム形成器チップ、及び複数の制御バスを含む電子走査アレイシステムに関する。電力供給システムは、幹線電力を乗り物から受電する構造とされたコネクタと、当該幹線電力を受電及び調整する構造とされた第1電力変換器と、第1電力変換器に並列に配列されて当該幹線電力を受電及び調整する構造とされた第2電力変換器と、第1電力変換器及び第2電力変換器から調整済み電力を受電する構造とされた調整済み電力コネクタと、第1電力変換器と当該調整済み電力コネクタとの間に配列されて調整済み電力が第1電力変換器から当該調整済み電力コネクタへと通ることを選択的に許容する構造とされた第1スイッチと、第2電力変換器と当該調整済み電力コネクタとの間に配列されて調整済み電力が第2電力変換器から当該調整済み電力コネクタへと通ることを選択的に許容する構造とされた第2スイッチと、第1電力変換器及び第2電力変換器をモニタリングして第1スイッチ又は第2スイッチの一方を、調整済み電力を当該調整済み電力コネクタに与えるべく動作させる構造とされたコントローラとを含む。放射素子サブアレイは、複数のアクティブ放射素子と、当該アクティブ放射素子の全体にわたって分散された約1パーセントから約20パーセントの予備放射素子とを含む。各ビーム形成器チップは、少なくとも一つの放射素子に関連付けられるとともに、制御バスインタフェイスと、当該制御バスインタフェイス内の信号が故障する事象において当該制御バスインタフェイスに再マッピングされるように構成された予備入力部とを含む。複数の制御バスは、複数のビーム形成器チップに命令を与える構造とされ、各制御バスは、当該制御バスから制御バスインタフェイスへの通信を与える複数の一次制御経路と、当該複数の一次制御経路の一つが故障する事象において当該制御バスから当該制御バスインタフェイスへの通信を与えるべく再マッピングされる構造とされた予備制御経路とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
複数の典型的な実施形態が、添付図面とともに受け取られる以下の詳細な説明から十分に理解される。ここで、同じ参照番号は同じ要素を参照する。
【0010】
図1】いくつかの実施形態に係るESA電力供給システムの模式的な表現である。
図2図1のESA電力供給システムの、いくつかの実施形態に係る一次供給部の模式的な表現である。
図3図1のESA電力供給システムの、いくつかの実施形態に係るローカル供給部の模式的な表現である。
図4】いくつかの実施形態に係る、一アレイの放射素子をフィードする直交制御バスアーキテクチャの模式的な表現である。
図5】いくつかの実施形態に係る、一アレイの放射素子をフィードする並列制御バスアーキテクチャの模式的な表現である。
図6】いくつかの実施形態に係る、複数アレイの放射素子をフィードする他の直交制御バスアーキテクチャの模式的な表現である。
図7】いくつかの実施形態に係る、バスインタフェイス及び予備制御ラインを含むビーム形成器チップの模式的な表現である。
図8】いくつかの実施形態に係る、予備放射素子を含む八角形衛星通信アレイの正面図である。
図9】予備素子を含まない八角形衛星通信アレイの、いくつかの実施形態に係る利得パターンを示すグラフである。
図10】予備素子を含む図8の八角形衛星通信アレイの、いくつかの実施形態に係る利得パターンを示すグラフである。
図11】いくつかの実施形態に係るフェーズドアレイアンテナシステムの平面図である。
図12図11のフェーズドアレイアンテナシステムの、いくつかの実施形態に係るサイドローブ利得レベルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
電子走査アレイ(ESA)のための方法、装置及びシステムに関する様々な概念、並びにこれらの実装の詳細な説明が以下に続く。上に導入され及び以下に詳述される様々な概念は、任意数の方法で実装することができる。記載の概念は、いずれの特定の実装態様にも限定されないからである。特定の実装及びアプリケーションの例は主に、例示目的で与えられる。
【0012】
図面を一般に参照すると、ここに開示される様々な実施形態は、一次電力供給部、複数の送信回路カード、複数の受信回路カード、一送信アレイの放射素子、及び一受信アレイの放射素子を含むESAのためのシステム、装置及び方法に関する。一次電力供給部は、主要電力を(例えば航空機の電力グリッドから)受電し、電気エネルギーを望ましい直流(DC)電圧(例えば48VDC)に改変及び/又は変換する2つの並列力率補正(PFC)変換器に電力を与える。各PFC変換器の出力は、一つのみのPFC変換器が下流側システムに電圧を出力しているように切り替えられる。このようにして一次電力供給部は、単一点故障から保護される。
【0013】
送信回路カード及び受信回路カードはそれぞれが、一次電力供給部から(例えば48VDC)の電力を受電する構造にされてローカル電力供給部又は電力変換器を含む。各ローカル電力供給部は2組の変換器コンポーネントを含み、それぞれは、一組のみの変換器コンポーネントが、関連する回路カード及び/又はアレイの放射素子に電力を供給しているように切り替えられる。
【0014】
電力供給アーキテクチャに加え、関連する放射素子に各回路カードを接続する制御バスが、一次制御バス及び二次制御バスを含む。一次制御バス及び二次制御バスは、並列又は直交いずれかの構造にされ、一次制御バスの単一点故障事象においても連続した動作及び制御を許容することができる。
【0015】
当該アレイの放射素子自体が、当該アレイが新しいときには動作しないすなわちアクティブではない予備素子を含む。予備素子は、当該アレイが古くなるとアクティブになり得る。これにより、ESAの性能は、有意な数の個々の放射素子が故障した後であっても、連続して所望の仕様を満たすことができる。それに加え、送信アレイ及び受信アレイは、八角形状に構成されて8つの一次サイドローブを生成する。その結果、各サイドローブの利得が低くなるので、個々の放射素子が故障しても、サイドローブ利得レベルが許容可能範囲に維持される。
【0016】
ここで図1を参照すると、電子走査アレイ(ESA)100は、乗り物(例えば航空機)内に配列された一次電力供給部104と、当該乗り物の外側に配列されて調整済み電力を一次電力供給部104から受電する外部電力分配回路108と、それぞれが外部電力分配回路108から電力を受電して一組の放射素子116に給電する4つの受信サブアレイ112と、それぞれが外部電力分配回路108から電力を受電して一組の放射素子124に給電する4つの送信サブアレイ120とを含む。いくつかの実施形態において、外部電力分配回路108は省略され、電力が一次電力供給部104から受信サブアレイ112及び送信サブアレイ120に与えられる。例えば、外部電力分配回路108は、一次電力供給部104が圧力容器(例えば航空機のボディ)の外側に配置されるときに省略することができる。いくつかの例において、4つを超える又は4つ未満の送信サブアレイ及び受信サブアレイ112、120が含まれる。サブアレイ112、120それぞれの4つが、単なる例示目的のために示される。
【0017】
各受信サブアレイ112は、ビーム形成ネットワーク128及び4つの回路カード132を含み、各回路カード132は、ローカル電源又は電力変換器を含む。同様に、各送信サブアレイ120は、ビーム形成ネットワーク136及び4つの回路カード140を含む。各回路カード140は、ローカル電源又は電力変換器を含む。いくつかの実施形態において、受信サブアレイ112のビーム形成ネットワーク128は、受信放射素子116を介して信号又はデータビームを受信するように設計された増幅器、低雑音フィルタ、スプリッタ、及び位相シフタ又は時間遅延を含む。いくつかの実施形態において、送信サブアレイ120のビーム形成ネットワーク136は、送信放射素子124を介して信号又はデータビームを送信するように設計された増幅器、低雑音フィルタ、コンバイナ、及び位相シフタ又は時間遅延を含む。いくつかの実施形態において、ビーム形成ネットワーク128、136は、望ましいビーム形成に必要な信号の極性、時間遅延、位相シフト又は他の側面を制御する。いくつかの実施形態において、サブアレイ112、120はそれぞれが、4つ未満の又は4つを超える回路カード132、140を含む。
【0018】
ここで図2を参照すると、一次電力供給部104は、幹線電力(例えば115VAC)をコネクタ144において受電し、当該幹線電力を、EMIフィルタ148を通過させた後に第1力率補正(PFC)変換器152a及び第2PFC変換器152bに並列に分割する。PFC変換器152a、bはそれぞれが、幹線電力供給部の力率を調整し、電圧を所望の直流電圧(例えば48VDC)に変換する。第1PFC変換器152aの下流側には第1ソリッドステート電流ブレーカー(SSCB)156aが存在し、第2PFC変換器152bの下流側には第2SSCB156bが存在する。第1SSCB156a及び第2SSCB156bは、一次電源制御部160によって制御される。一次電源制御部160は、PFC変換器152a、b及び関連する送電回路のそれぞれの健全性を決定するべく、PFC変換器152a、bのそれぞれにおける診断特徴部、及びセンサ164(例えば電流センサ)と通信する。いくつかの実施形態において、一次電源制御部160は、調整済み電力が第1PFC変換器152aによって与えられるように第1SSCB156aを閉にする。第1PFC変換器152a又は関連送電回路群に問題が発生したと一次電源制御部160が決定する場合、第1SSCB156aは開となり、第2SSCB156bは閉となる結果、電力が第2PFC変換器152bによって与えられる。PFC変換器152a、bとSSCB156a、bとが並列に配列されることにより、一次電力供給部104を動作不能にする単一点故障の尤度が低減される。いくつかの実施形態において、電流及び/又は調整済み電力がPFC変換器152a、bから与えられているか否かを決定するべく、他のセンサを使用することもできる。
【0019】
SSCB156a、bの下流側には、エネルギー貯蔵デバイス168(例えばキャパシタ、電池等)が、PFC変換器152a、bの一方からの調整済み電力を受電及び貯蔵する構造にされる。エネルギー貯蔵デバイス168内に貯蔵されたエネルギーは、電力の一時的なドロップアウトを克服するべく、高エネルギー使用時にPFC変換器152a、bによる与えられる調整済み電力を補充若しくは置換するべく、又は他の利益の中でもとりわけ長期間の動作を与えるべく使用することができる。いくつかの実施形態において、船舶又は航空機の電力が、一時的にドロップアウト又は喪失する。こうしたドロップアウトは典型的に、船舶又は航空機の製造者によって特徴付けられており、航空機において電力が再構成されるときの、通常の飛行中に50~250ミリ秒の持続時間の間、1時間ごとに一回もの頻度で発生する。このような一時的な中断の間中も動いていることが望ましいので、コンピュータを再起動する必要はなく、データリンクが失われることがない。調整済み電力コネクタ172は、サブアレイ112、120に直接接続される構造にされた外部電力分配回路108又は電力バスのための接続点を与える。
【0020】
ここで図3を参照すると、ローカル電力変換器174の形態にあるローカル電源が、一次電力供給部104から電力を受電する構造にされた第1隔離入力部178a及び第2隔離入力部178bを含む。ローカル電力変換器174が受信回路カード132に関連付けられるいくつかの実施形態において、隔離電力入力部178a、bは約48VDC及び約2.0アンペアの電力を受電する。ローカル電力変換器174が送信回路カード140に関連付けられるいくつかの実施形態において、隔離電力入力部178a、bは約48VDC及び約2.0アンペアの電力を受電する。いくつかの実施形態において、隔離電力入力部178a、bが幹線電力を受電し、又は隔離電力入力部178a、bにおいて受電された既に調整済みの電力を、システムのための幹線電力とみなすことができる。いくつかの実施形態において、必要な仕様を満たすべく所望される他の電圧又は電流定格を与えることもできる。
【0021】
第1隔離スイッチすなわち第1SSCB182aが第1隔離電力入力部178aの下流側に配列され、第1EMIフィルタ段186aが第1隔離SSCB182aの下流側に配列される。第1EMIフィルタ段186aの下流側には、関連回路カード132により使用されるように配列されたローカル電圧及び電流を与える第1ローカル電力供給部190aが存在する。第2隔離スイッチすなわち第2SSCB182bが第2隔離電力入力部178bの下流側に配列され、第2EMIフィルタ段186bが第2隔離SSCB182bの下流側に配列される。第2EMIフィルタ段186bの下流側には、関連回路カード132による使用のために配列されたローカル電圧及び電流を与える第2ローカル電力供給部190bが存在する。いくつかの実施形態において、ローカル電力供給部190a、bは、所望の2.5VDC、3.3VDC又は他の電圧を与える。いくつかの実施形態において、複数の異なる電圧が与えられる。
【0022】
第1ローカル電力供給部190aの下流側には、第1隔離電力入力部178a及び第1ローカル電力供給部190aから回路カード132への送電を選択的に中断させる構造にされた第1接続スイッチすなわち第1接続SSCB194aが存在する。第2接続スイッチすなわち第2接続SSCB194bは、第2ローカル電力供給部190bの下流側に配置され、第2隔離電力入力部178b及び第2ローカル電力供給部190bから回路カード132への送電を選択的に中断させる構造にされる。ローカル制御部198は、隔離SSCB182a、b及び接続SSCB194a、bの配列(例えば開又は閉)を制御する。ローカル制御部198は、ローカル電力供給部190a、bのそれぞれと接続SSCB194a、bのそれぞれとの間に配列されたセンサ202(例えば電流センサ及び電圧センサ)と通信する。いくつかの実施形態において、センサ202は、電力供給モニタであり、電流センシング素子及び電圧センシング素子を含む。いくつかの実施形態において、センサ202は、一を超えるセンシングコンポーネントを含む。
【0023】
ローカル制御部198は、任意の所与時刻における一つの隔離電力入力部178a、b及び一つの関連ローカル電力供給部190a、bからの電力を回路カード132に与えるべく、隔離SSCB182a、b及び接続SSCB194a、bを動作させる。2つの独立した送電経路上に構造を有する2つの隔離電力入力部178a、b及び2つのローカル電力供給部190a、bを含めることにより、回路カード132の動作を中断させる一つの送電経路上の単一点故障の尤度が低減される。一つの送電経路が故障したとローカル制御部198が決定する(例えばセンサ202が電流なしを示す)場合、関連隔離SSCB182a、b及び接続SSCB194a、bを開にすることにより、故障した送電経路がシャットダウンされる。送電は、他方の隔離SSCB182a、b及び接続SSCB194a、bを閉にすることにより回復する。
【0024】
いくつかの実施形態において、回路カード132、140はそれぞれが、ローカル電力変換器174及びビーム形成ネットワーク128、136を含み、関連放射素子116、124を、ローカル電力変換器174が機能する場合に動作させることができる。並列送電経路を含めることにより、サブアレイ112、120の動作上の利用可能性を増加させるとともに、システムをシャットダウンさせる単一点故障の発生確率を低下させる。このアプリケーションの文脈内において、利用可能性とは、一の故障又は一連の故障の場合に機能的に動作可能となり得る性能を意味する。いくつかの実施形態において、機器の寿命は、温度及び環境条件並びに設計マージンに比例し、信頼性は、コンポーネントの数等に比例する。
【0025】
ここで図4を参照すると、サブアレイ制御システム206が、64個の放射素子210TO、それぞれが4つの放射素子210を制御する16個のビーム形成器チップ212と、ビーム形成器チップ212を制御する構造の一のサブアレイコントローラ214と、一組の一次制御バス218と、一組の二次制御バス222とを含む。いくつかの実施形態において、ビーム形成器チップ212はSiGeチップである。いくつかの実施形態において、ビーム形成器チップ212は、CMOS(例えばRF_CMOS、SOI_CMOS)及び/又は他の集積回路プロセスを使用して作ることができる。いくつかの実施形態において、サブアレイコントローラ214は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)である。いくつかの実施形態において、サブアレイコントローラ214は、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は他のタイプの制御ブロックアーキテクチャである。いくつかの実施形態において、一次制御バス218及び二次制御バス222はそれぞれが、直列インタフェイスバスである。
【0026】
一次制御バス218と二次制御バス222とは、各ビーム形成器チップ212が一次制御バス218又は二次制御バス222のいずれかによって制御されるように、互いに対して直交するように配列される。いくつかの実施形態において、サブアレイコントローラ214とビーム形成器チップ212-1~212-4との通信を与える一次制御バス218が故障した場合、ビーム形成器チップ212-1~212-4と通信するように配列された4つの二次制御バス222が、必要な情報を搬送するべく割り当てられる。いくつかの実施形態において、64個を超える又は64個未満の放射素子210が含まれる。例えば、いくつかの実施形態において、512個の放射素子210が含まれる。いくつかの実施形態において、16個を超えるか又は16個未満のビーム形成器チップ212が含まれる。いくつかの実施形態において、4つを超えるか又は4つ未満の一次制御バス218及び二次制御バス222が含まれる。いくつかの実施形態において、二次制御バス222の数は一次制御バス218の数と異なってよい。
【0027】
ここで図5を参照すると、サブアレイ制御システム226が、上述したサブアレイ制御システム206と同様の部品を含み、64個の放射素子230と、それぞれが4つの放射素子230を制御する16個のビーム形成器チップ234と、ビーム形成器チップ234を制御する構造の一のサブアレイコントローラ238と、一組の一次制御バス242と、一組の二次制御バス246とを含む。一次制御バス242及び二次制御バス246は、一つの一次制御バス242が故障した場合に対応並列二次制御バス246を再マッピングしてビーム形成器チップ234に情報を送達することができるように、並列に配列される。
【0028】
ここで図6を参照すると、サブアレイ制御システム250が、64個の放射素子を含む第1サブアレイ254と、64個の放射素子を含む第2サブアレイ258と、第1サブアレイ254に関連付けられた16個のビーム形成器チップ262と、第2サブアレイ258に関連付けられた16個のビーム形成器チップ266と、第1サブアレイコントローラ270と、第1組の一次制御バス274と、第1組の二次制御バス278と、第2サブアレイコントローラ282と、第2組の一次制御バス286と、第2組の二次制御バス290と、第3サブアレイコントローラ294と、第3組の一次制御バス298と、第3組の二次制御バス302とを含む。サブアレイコントローラ270、282、294はそれぞれが、一つを超えるサブアレイ254、258と通信する。例えば、第2サブアレイコントローラ282は、第2組の二次制御バス290を介して第1サブアレイ254と通信し、第2組の一次制御バス286を介して第2サブアレイ258と通信する。この配列により、破損又は故障した制御バスを、動作を維持しながら他のコントローラに再マッピングすることができる。例えば、第1組の一次制御バス274の一つが故障した場合、第2組の二次制御バス290を、所望の情報を与えるべく再マッピングすることができる。他例において、第1サブアレイコントローラ270が故障することがあっても、第1サブアレイコントローラ270を必要とすることなく第1サブアレイ254を制御するべく、第2組の二次制御バス290を再マッピングすることができる。大きなアレイのサブアレイコントローラを、直交又は並列の制御バス冗長性によりセットアップすることができるので、個々の制御バス故障及びサブアレイコントローラ故障双方の単一点故障に耐える堅牢な組のサブアレイが得られる。
【0029】
ここで図7を参照すると、サブアレイコントローラ又はビーム形成器チップ303が、一組の一次入力部又は一次制御インタフェイスバスと、二次組の入力部又は二次制御インタフェイスバスと、スペア組の入力部とを含む。一次入力部の組は、一次クロック入力部304と、一次データ入力部305と、一次フレーム入力部306とを含み得る。二次入力部の組は、二次フレーム入力部307と、二次データ入力部308と、二次クロック入力部とを含み得る。スペア入力部は、第1スペア入力部310と第2スペア入力部311とを含み得る。一次クロック入力部304は第1マルチプレクサ312と通信する構造とされ、一次データ入力部305は第2マルチプレクサ313と通信する構造とされ、一次フレーム入力部306は第3マルチプレクサ314と通信する構造とされ、二次フレーム入力部307は第4マルチプレクサ315と通信する構造とされ、二次データ入力部308は第5マルチプレクサ316と通信する構造とされ、二次クロック入力部309は第6マルチプレクサ317と通信する構造とされる。いくつかの実施形態において、一次データ入力部305及び二次データ入力部308は、別個の受信データ入力部と送信データ入力部とに分割され、データ入力を受け入れる追加のマルチプレクサが含まれる。
【0030】
第1スペア入力部310は、マルチプレクサ312、313、314、315、316、317のそれぞれと通信する構造とされる。第2スペア入力部311もまた、マルチプレクサ312、313、314、315、316、317のそれぞれと通信する構造とされる。いくつかの実施形態において、2つを超えるか又は2つ未満のスペア入力部が含まれる。いくつかの実施形態において、第1スペア入力部310は、一次入力部から信号を受信するマルチプレクサのみと通信する構造とされ、第2スペア入力部311は、二次入力部から信号を受信するマルチプレクサのみと通信する構造とされる。
【0031】
第1マルチプレクサ312、第2マルチプレクサ313及び第3マルチプレクサ314は、制御バスインタフェイス又は第1直列インタフェイスブロック318と通信する構造とされる。第4マルチプレクサ315、第5マルチプレクサ316及び第6マルチプレクサ317は、制御バスインタフェイス又は第2直列インタフェイスブロック319と通信する構造とされる。第1直列インタフェイスブロック318及び第2インタフェイスブロック319は、制御レジスタブロック320と通信する構造とされる。制御レジスタブロック320は、直列インタフェイスブロック318、319へと与えられるデータフローを制御するマルチプレクサと通信する。第1制御経路321が第1マルチプレクサ312との通信を与え、第2制御経路が第2マルチプレクサ313との通信を与え、第3制御経路323が第3マルチプレクサ314との通信を与え、第4制御経路324が第4マルチプレクサ315との通信を与え、第5制御経路が第5マルチプレクサ316との通信を与え、第6制御経路326が第6マルチプレクサ317との通信を与える。
【0032】
マルチプレクサ312、313、314、315、316、317はそれぞれが、3つの入力を受信し(例えば、第1マルチプレクサ312が、一次クロック入力部304、第1スペア入力部310及び第2スペア入力部311からの入力を受信し)、当該3つのデータ入力の一つを関連直列インタフェイスブロック318、319に出力するように配列される。3つのデータ入力のどれが通過するのかは、関連制御経路(例えば第1マルチプレクサ312の場合における第1制御経路321)を介して制御される。
【0033】
動作中、いずれのコンポーネントも故障していない場合の通常作動時、制御レジスタ320は、一次クロック入力部304、一次データ入力部305及び一次フレーム入力部306からの信号を受信する。制御レジスタ320はその後、関連放射素子が制御可能となるように、受信した信号を通信する。入力部故障の事象において(例えば一次クロック入力部304が故障する場合)、制御レジスタ320は、二次クロック入力部309、二次データ入力部308及び二次フレーム入力部307からの信号を、第2直列インタフェイスブロック319を介して受信及び処理するように制御される。第1スペア入力部310はその後、当初から一次クロック入力部304に関連付けられていた信号を与えるべく再マッピングされる。制御レジスタ320は、第1スペア入力部310からの信号を、第1直列インタフェイスブロック318へと通過するように選択するべく、第1制御経路321を介して第1マルチプレクサ312と通信する。第1スペア入力部310が再マッピングされて第1マルチプレクサが調整されると、制御レジスタは再び、第1直列インタフェイスブロック318からの信号を受信して通常の動作を継続する。同様に、第2スペア入力部311を再マッピングし、他の故障した入力部を置換するように使用することができる。いくつかの実施形態において、二次入力部は、一次入力部の置換として使用することができる。
【0034】
ビーム形成器チップ303は、サブアレイにおいて使用される場合に多くの利点を有し、一のアセンブリには複数のアレイが含まれている。例えば、各ビーム形成器チップが2つを超える制御バスインタフェイスを内蔵し、各ビーム形成器チップが、所与のバス内の信号故障の事象において、どちらか/いずれかの制御バス入力部に再マッピングされ得るゼロを超える予備又はスペア入力部を内蔵し、当該アレイレベルには、多くの制御バスが存在して各ビーム形成器チップが、実装するインタフェイスと同じだけ多くのバスに接続され、当該アレイレベルでは、各制御バスがゼロを超える予備信号経路を内蔵し、バス信号のためのバックアップとして使用され得るバス又はラインが万一故障しても、当該アレイレベルでは、制御バスを、所与のチップに対する直交態様で配列することができ、当該アセンブリレベル(多数のアレイ)では、制御バスを、アレイ境界を越えて延びるように配列することができる。
【0035】
ここで図8を参照すると、アンテナアレイ330が八角形状を画定する。アレイ330は、アレイ330全体にランダムに分散されたアクティブ放射素子334及び予備放射素子338で占められる。アクティブ放射素子334が、信号を送受信するべく関連ビーム形成ネットワークにより使用される。いくつかの実施形態において、放射素子の合計数の約10パーセント(10%)は、アレイ330が新しい場合に動作可能ではない予備放射素子338である。いくつかの実施形態において、放射素子の合計数の約1パーセントから約20パーセントは予備放射素子338である。いくつかの実施形態において、アレイ330は、複数のタイル又はサブタイルに分割され、各サブタイルには、偶数の予備放射素子338が配置される。いくつかの実施形態において、アレイ330は4つのサブタイルを含む。いくつかの実施形態において、アレイ330は、4つを超えるか又は4つ未満のサブタイルを含み得る。例えば、3つ、6つ、8つ又は9つのサブタイルを実現することができる。いくつかの実施形態において、予備放射素子338は、各サブタイル内でランダムに配置される。いくつかの実施形態において、予備放射素子338は、各サブタイルの全体にわたって均一に分散されて配置される。いくつかの実施形態において、アクティブ放射素子及び予備放射素子を、異なる形状の一のアレイに含めることができる。例えば、正方形又は矩形のアレイが、アクティブ放射素子及び予備放射素子を含み得る。
【0036】
アレイ330の実効等方放射電力(EIRP)、及びアレイ330の利得は、機能するアクティブ放射素子334の数に比例する。アレイ330が古くなると、個々のアクティブ放射素子334が故障してもはや動作可能ではなくなる。この故障により、EIRP及び利得の低減が生じる。予備放射素子338を含めることにより、アレイ330のオペレータ又はコントローラが、アクティブ放射素子334の故障に応答して予備放射素子338をアクティブにすることができる。いくつかの実施形態において、コントローラが、故障したアクティブ放射素子334に最も近い予備放射素子338を識別し、制御の経路、バス又はラインを再マッピングする結果、最も近い予備放射素子338がアクティブにされる。いくつかの実施形態において、約10パーセント(10%)の予備放射素子338を含めることにより、アレイ330のMTBFが倍増される。
【0037】
ここで図9を参照すると、アレイ330と同様であるがアクティブ放射素子のみを含む(すなわち予備放射素子なしの)八角形アレイが、一の強いセントラルローブと、セントラルローブよりも約20デシベル(~30dB)低い8つのサイドローブとを備えた放射パターンを生成する。標準の正方形又は矩形のアレイは典型的に、4つのサイドローブを含む。サイドローブの数を増やすことは、個々のサイドローブそれぞれが低いエネルギーを有するようにサイドローブのエネルギー又は放射線場を広げる効果を有する。
【0038】
ここで図10を参照すると、新しく約10パーセント(10%)の予備放射素子338を含むアレイ330により生成される放射パターンが示される。図10のグラフが示すは、予備放射素子338が、いくつかのパターンアーチファクトを導入するが、サイドローブのエネルギーは依然として許容可能な程度に低く、アーチファクトは強いセントラルローブに悪影響を及ぼすことがないということである。試験によれば、放射パターン及びパターンアーチファクトは、アクティブ放射素子334が故障して予備放射素子338がアクティブになるので、一定のままである。
【0039】
ここで図11を参照すると、衛星通信システム342が、送信アレイ346と、受信アレイ350と、送信アレイ346及び受信アレイ350を制御する制御モジュール354とを含む。送信アレイ346及び受信アレイ350はそれぞれが八角形の形状であり、図9に関して上述された利益を与える。図12は、八角形アレイにより生成される利得パターンを、FCCにより必要とされるサイドローブ利得マスクと比較して示す。図12に明示されるように、これらの八角形アレイにより生成されるサイドローブ雑音レベルは、必要とされるレベルよりも十分に下回っている。
【0040】
与えられた詳細な図面、特定の例、詳細なアルゴリズム、及び特定の構成は、好ましい及び典型的な実施形態を記載するが、これらは例示目的を果たすにすぎない。開示される複数の発明は、示された特定の形態及びレチクルに限られない。例えば、方法は、様々なステップシーケンスのいずれかで行うことができる。示され及び記載されたハードウェア及び光学構成は、電子走査アレイ及び処理デバイスの選択された性能特性及び物理特性に応じて異なり得る。例えば、複数のシステムコンポーネント及びこれらの相互接続のタイプは異なり得る。描かれ及び記載されるシステム及び方法は、記載の正確な詳細及び条件に限られるわけではない。特定の機械的なコンポーネント及び動作は、非制限的な態様で示される。さらに、添付の特許請求の範囲に表現された本発明の範囲から逸脱することなく、典型的な実施形態の設計、動作条件及び配列において、他の置換、修正、変更、及び省略がなされ得る。
図1
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