(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】保持装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20230120BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20230120BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20230120BHJP
C23C 14/50 20060101ALI20230120BHJP
C23C 16/46 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
H01L21/31 A
H01L21/302 101G
H01L21/68 N
C23C14/50 E
C23C16/46
(21)【出願番号】P 2018207882
(22)【出願日】2018-11-05
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】特許業務法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 和孝
(72)【発明者】
【氏名】駒津 貴久
(72)【発明者】
【氏名】辻他 雅夫
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-514661(JP,A)
【文献】特開2011-145240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/3065
H01L 21/683
C23C 14/50
C23C 16/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に略直交する第1の表面を有する板状部材と、
前記板状部材の内部に配置された発熱用抵抗体と、
前記板状部材の内部に配置された測温用抵抗体と、
前記板状部材の前記第1の表面とは反対側の第2の表面側に配置された測温用端子部と、
前記第1の方向に延びている測温用ビアであって、一端が前記測温用抵抗体に電気的に接続された測温用ビアと、
前記測温用ビアの他端と前記測温用端子部とを電気的に接続する導電部と、
を備え、前記板状部材の前記第1の表面上に対象物を保持する保持装置において、
前記測温用抵抗体は、前記第1の方向において、前記発熱用抵抗体より前記第1の表面側に配置され
、
前記測温用ビアと前記測温用端子部とは、前記第1の方向視で、互いに異なる位置に位置している、
ことを特徴とする保持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の保持装置において、
前記導電部は、
前記第1の方向において前記発熱用抵抗体と前記第2の表面との間に配置され、前記測温用ビアの前記他端に電気的に接続され、かつ、前記測温用端子部に電気的に接続された測温用ドライバ電極を含む、
ことを特徴とする保持装置。
【請求項3】
請求項2に記載の保持装置において、さらに、
前記板状部材の前記第2の表面側に配置された発熱用端子部と、
前記第1の方向において前記発熱用抵抗体とは異なる位置に配置され、前記発熱用抵抗体と前記発熱用端子部とに電気的に接続された発熱用ドライバ電極と、を備え、
前記測温用ドライバ電極は、前記第1の方向において前記発熱用ドライバ電極と前記第2の表面との間に配置されている、
ことを特徴とする保持装置。
【請求項4】
第1の方向に略直交する第1の表面を有する板状部材と、
前記板状部材の内部に配置された発熱用抵抗体と、
前記板状部材の内部に配置された測温用抵抗体と、
を備え、前記板状部材の前記第1の表面上に対象物を保持する保持装置において、
前記測温用抵抗体は、前記第1の方向において、前記発熱用抵抗体より前記第1の表面側に配置され、
前記板状部材には、前記第1の方向に略直交する第2の方向に延びているガス流路が形成されており、
前記ガス流路は、前記第1の方向において前記測温用抵抗体と前記発熱用抵抗体との間に配置されている、
ことを特徴とする保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物(例えば、半導体ウェハ)を保持しつつ所定の処理温度(例えば、400~800℃程度)に加熱する加熱装置(「サセプタ」とも呼ばれる)が知られている。加熱装置は、例えば、成膜装置(CVD成膜装置やスパッタリング成膜装置等)やエッチング装置(プラズマエッチング装置等)といった半導体製造装置の一部として使用される。
【0003】
一般に、加熱装置は、所定の方向(以下、「第1の方向」という)に略直交する保持面および裏面を有する板状の保持体と、第1の方向に延びる柱状であり、保持体の裏面に接合された柱状支持体とを備える。保持体の内部には発熱用抵抗体が配置されている。発熱用抵抗体に電圧が印加されると、発熱用抵抗体が発熱し、保持体の保持面上に保持された対象物(例えば、半導体ウェハ)が加熱される。
【0004】
このような保持体の内部に発熱用抵抗体が配置された構成では、保持体の保持面の温度を測定するために、測温用抵抗体を、発熱用抵抗体と保持体の裏面との間に配置する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。測温用抵抗体は、温度が変化すると抵抗値が変化するため、測温用抵抗体の抵抗値を測定することにより、保持面の温度を測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、測温用抵抗体を発熱用抵抗体と保持体の裏面との間に配置する上記従来の技術では、温度測定の対象である保持面と測温用抵抗体との間に、発熱用抵抗体が介在するため、発熱用抵抗体の発熱に起因して測温用抵抗体による保持面の温度測定を精度よく行えないという問題がある。
【0007】
なお、このような課題は、加熱装置に限らず、発熱用抵抗体および測温用抵抗体が内部に配置された板状部材を備え、板状部材の表面上に対象物を保持する保持装置一般に共通の課題である。
【0008】
本明細書では、上述した課題の少なくとも一部を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に開示される技術は、以下の形態として実現することが可能である。
【0010】
(1)本明細書に開示される保持装置は、第1の方向に略直交する第1の表面を有する板状部材と、前記板状部材の内部に配置された発熱用抵抗体と、前記板状部材の内部に配置された測温用抵抗体と、を備え、前記板状部材の前記第1の表面上に対象物を保持する保持装置において、前記測温用抵抗体は、前記第1の方向において、前記発熱用抵抗体より前記第1の表面側に配置されている。本保持装置では、測温用抵抗体は、第1の方向において、発熱用抵抗体より第1の表面側に配置されている。すなわち、測温用抵抗体と第1の表面との間に発熱用抵抗体が介在しない。このため、本保持装置では、測温用抵抗体が、第1の方向において、発熱用抵抗体より第1の表面とは反対側に配置された構成に比べて、発熱用抵抗体の発熱に起因して測温用抵抗体による第1の表面の温度測定の精度が低下することを抑制することができる。従って、本保持装置によれば、測温用抵抗体による板状部材の第1の表面の温度測定の精度を向上させることができ、ひいては、第1の表面の温度分布の制御性を向上させることができる。
【0011】
(2)上記保持装置において、さらに、前記板状部材の前記第1の表面とは反対側の第2の表面側に配置された測温用端子部と、前記第1の方向に延びている測温用ビアであって、一端が前記測温用抵抗体に電気的に接続された測温用ビアと、前記測温用ビアの他端と前記測温用端子部とを電気的に接続する導電部と、を備え、前記測温用ビアと前記測温用端子部とは、前記第1の方向視で、互いに異なる位置に位置している構成としてもよい。本保持装置では、測温用ビアと測温用端子部とは、第1の方向視で、面方向において互いに異なる位置に位置している。このため、本保持装置では、測温用ビアと測温用端子部とが第1の方向視で同じ位置に位置している構成に比べて、測温用抵抗体の配置の自由度が測温用端子部の位置によって制約されることを抑制することができる。
【0012】
(3)上記保持装置において、前記導電部は、前記第1の方向において前記発熱用抵抗体と前記第2の表面との間に配置され、前記測温用ビアの前記他端に電気的に接続され、かつ、前記測温用端子部に電気的に接続された測温用ドライバ電極を含む構成としてもよい。本保持装置では、測温用ドライバ電極は、第1の方向において発熱用抵抗体と第2の表面との間に配置されている。このため、測温用ドライバ電極が、第1の方向において測温用抵抗体と発熱用抵抗体との間に配置された構成に比べて、第1の方向に略直交し、かつ、発熱用抵抗体が配置された仮想平面上において、測温用抵抗体と測温用端子部との導通確保のために発熱用抵抗体が配置されていない非発熱部分の形成位置が、測温用端子部の位置に制約されることを抑制することができる。
【0013】
(4)上記保持装置において、さらに、前記板状部材の前記第2の表面側に配置された発熱用端子部と、前記第1の方向において前記発熱用抵抗体とは異なる位置に配置され、前記発熱用抵抗体と前記発熱用端子部とに電気的に接続された発熱用ドライバ電極と、を備え、前記測温用ドライバ電極は、前記第1の方向において前記発熱用ドライバ電極と前記第2の表面との間に配置されている構成としてもよい。本保持装置では、測温用ドライバ電極は、第1の方向において発熱用ドライバ電極と第1の表面との間に配置されている。このため、測温用ドライバ電極が、第1の方向において発熱用ドライバと第1の表面との間に配置された構成に比べて、第1の方向に略直交し、かつ、発熱用ドライバ電極が配置された仮想平面上において、測温用抵抗体と測温用端子部との導通確保のために発熱用ドライバ電極が配置されていない非ドライバ部分の形成位置が、測温用端子部の位置に制約されることを抑制することができる。
【0014】
(5)上記保持装置において、前記板状部材には、前記第1の方向に略直交する第2の方向に延びているガス流路が形成されており、前記ガス流路は、前記第1の方向において前記測温用抵抗体と前記発熱用抵抗体との間に配置されている、ことを特徴とする構成としてもよい。本保持装置では、ガス流路は、第1の方向において測温用抵抗体と発熱用抵抗体との間に配置されている。このため、本保持装置によれば、例えばガス流路が第1の表面と測温用抵抗体との間に配置された構成に比べて、ガス流路の存在に起因して測温用抵抗体による第1の表面の温度測定の精度が低下することを抑制することができる。
【0015】
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、保持装置、静電チャック、CVDヒータ等の加熱装置、真空チャック、それらの製造方法等の形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態における加熱装置100の外観構成を概略的に示す斜視図である。
【
図2】本実施形態における加熱装置100のXZ断面構成を概略的に示す説明図である。
【
図3】本実施形態における加熱装置100のXY断面構成を概略的に示す説明図である。
【
図4】本実施形態における加熱装置100のXY断面構成を概略的に示す説明図である。
【
図5】本実施形態における加熱装置100のXY断面構成を概略的に示す説明図である。
【
図6】本実施形態における加熱装置100のXY断面構成を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
A.実施形態:
A-1.加熱装置100の構成:
図1は、本実施形態における加熱装置100の外観構成を概略的に示す斜視図であり、
図2は、本実施形態における加熱装置100のXZ断面構成を概略的に示す説明図である。なお、
図2には、後述の
図3から
図6のII-IIの位置における加熱装置100のXZ断面構成が示されている。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向というものとするが、加熱装置100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。
【0018】
加熱装置100は、対象物(例えば、半導体ウェハW)を保持しつつ所定の処理温度(例えば、400~800℃程度)に加熱する装置であり、サセプタとも呼ばれる。加熱装置100は、例えば、成膜装置(CVD成膜装置やスパッタリング成膜装置等)やエッチング装置(プラズマエッチング装置等)といった半導体製造装置の一部として使用される。
【0019】
図1および
図2に示すように、加熱装置100は、保持体10と柱状支持体20とを備える。
【0020】
(保持体10)
保持体10は、所定の方向(本実施形態では上下方向)に略垂直な保持面S1および裏面S2を有する略円板状の部材である。保持体10は、例えば、Al2O3(アルミナ)やAlN(窒化アルミニウム)を主成分とするセラミックスにより形成されている。なお、ここでいう主成分とは、含有割合(重量割合)の最も多い成分を意味する。保持体10の直径は、例えば100mm以上、500mm以下程度であり、保持体10の厚さ(上下方向における長さ)は、例えば3mm以上、30mm以下程度である。
【0021】
図2に示すように、保持体10の内部には、保持体10を加熱する抵抗発熱体により構成されたヒータ電極50が配置されている。ヒータ電極50は、例えば、タングステンやモリブデン等の導電性材料により形成されている。
【0022】
保持体10の内部には、さらに、プラズマを発生させるRF(高周波)電極40と、保持体10の保持面S1の温度を測定するためのRTD(Resistance Temperature Detector)電極60と、ヒータ用ドライバ54と、RTD用ドライバ64と、上下方向に延びている各種ビアとが配置されている。RF電極40とRTD電極60とヒータ用ドライバ54とRTD用ドライバ64と各種ビアとは、それぞれ、導電性材料(例えば、タングステン、モリブデン、白金等)により形成されている。
【0023】
保持体10の内部には、さらに、ガス流路14が形成されている(
図2参照)。ガス流路14は、ヒータ電極50に対して保持面S1側に形成されている。ガス流路14とは、上下方向(Z軸方向)に直交する面方向に延びる経路(空間)であり、例えば、上下方向視で略同心円状に延びている。ガス流路14は、ガス経路または真空用経路である。ガス流路14は、ガス連通孔(図示しない)を介して、後述の柱状支持体20に形成されたガス用貫通孔24に連通するとともに、保持面S1に開口した複数のガス排出孔(図示しない)に連通している。なお、このような構成の保持体10は、例えば、セラミックスグリーンシートを複数枚作製し、所定のセラミックスグリーンシートにビア孔の形成やメタライズペーストの充填および印刷等の加工を行い、これらのセラミックスグリーンシートを熱圧着し、切断等の加工を行った上で焼成することにより作製することができる。
【0024】
(柱状支持体20)
柱状支持体20は、上記上下方向(Z軸方向)に延びる略円柱状部材である。柱状支持体20は、保持体10と同様に、例えばアルミナやAlNを主成分とするセラミックスにより形成されている。柱状支持体20の外径は、例えば30mm以上、100mm以下程度であり、柱状支持体20の高さ(上下方向における長さ)は、例えば100mm以上、300mm以下程度である。
【0025】
保持体10と柱状支持体20とは、保持体10の裏面S2の中央部付近と柱状支持体20の上面S3とが、接合剤により形成された接合層30を挟んで上記上下方向に対向するように配置されている。すなわち、柱状支持体20は、柱状支持体20の上面S3が保持体10の裏面S2側に位置するように配置されている。
【0026】
図2に示すように、柱状支持体20には、保持体10の裏面S2側に開口する貫通孔22が形成されている。貫通孔22は、上下方向(Z軸方向)と略同一方向に延び、上下方向の全長にわたって略一定の内径を有する断面略円形の孔である。貫通孔22には、後述する複数の端子が収容されている。本実施形態では、複数の端子は、1つのRF用端子48と、4つのヒータ用端子58(
図2では1つのみ図示)と、4つのRTD用端子68(
図2では1つのみ図示)とである。保持体10の裏面S2の中心付近には、9つの凹部12(
図2では3つのみ図示)が形成されており、各凹部12には、端子48,58,68の上端部が1つずつ配置されている。各端子48,58,68の上端部は、金属ろう材(例えば金ろう材)を含む接合部11を介して各電極パッド(1つのRF用電極パッド46、4つのヒータ用電極パッド56、4つのRTD用電極パッド66)に接合されている。
【0027】
A-2.RF電極40の構成:
RF電極40は、面方向(XY平面方向)に広がっている略平板状の導電体である。上下方向(Z軸方向)視でのRF電極40の形状は、例えば略円形である。RF電極40の中心付近は、RF用ビア42を介して、RF用電極パッド46に電気的に接続されている。これにより、RF電極40とRF用端子48とが電気的に接続されている。電源(図示しない)からRF用端子48を介してRF電極40に電圧が印加されると、RF電極40からプラズマが発生する。
【0028】
ここで、
図2に示すように、RF電極40は、上下方向(Z軸方向)において、ヒータ電極50およびRTD電極60等の導電性部材より保持体10の保持面S1側に配置されている。すなわち、RF電極40と保持面S1との間には、導電性部材が存在しない。これにより、本実施形態によれば、RF電極40と保持面S1との間には導電性部材が存在する構成に比べて、RF電極40から発生するプラズマの磁場を安定させることができる。
【0029】
A-3.ヒータ電極50の構成:
図3は、本実施形態における加熱装置100のXY断面構成を概略的に示す説明図である。
図3には、
図2のIII-IIIの位置における加熱装置100のXY断面構成が示されている。
図3には、4つのヒータ用ドライバ54が二点鎖線で示されている。
【0030】
図3に示すように、加熱装置100は、複数のヒータ電極50を備える。複数のヒータ電極50は、保持体10の内部において、ガス流路14よりも裏面S2側に配置されている(
図2参照)。複数のヒータ電極50は、保持体10の内部において、上下方向(Z軸方向)に互いに略同一の位置に配置されている。換言すれば、複数のヒータ電極50は、上下方向に略垂直な一(共通)の仮想平面(XY平面)上に配置されている。また、複数のヒータ電極50は、上下方向視で、保持体10において互いに異なる領域(セグメント)にそれぞれ配置されている。
【0031】
具体的には、
図3に示すように、本実施形態では、加熱装置100は、3つのヒータ電極50(50A,50B,50C)を備える。第1のヒータ電極50Aは、上下方向(Z軸方向)視で、保持体10における中心付近の第1の領域Zo1に配置されており、第2のヒータ電極50Bは、第1の領域Zo1より保持体10の外周側に位置する第2の領域Zo2に配置されている。また、第3のヒータ電極50Cは、第2の領域Zo2より保持体10の外周側に位置する第3の領域Zo3に配置されている。なお、第1の領域Zo1の上下方向視での形状は、略円形であり、第2の領域Zo2と第3の領域Zo3との上下方向視での形状は、略環状である。
【0032】
各ヒータ電極50は、上下方向(Z軸方向)視で線状の発熱用抵抗体である。本実施形態では、上下方向視でのヒータ電極50の形状は、略円形または略螺旋状とされている。
【0033】
また、
図3には、4つのヒータ用端子58が二点鎖線で示されている。4つのヒータ用端子58は、上述の柱状支持体20の貫通孔22内に収容されるため、上下方向視で、保持体10の裏面S2の中心寄りの位置(第1の領域Zo1内)に配置されている。また、
図3には、上下方向(Z軸方向)に延びる経路(空間)であり、例えば、ガス流路14に連通する連通路18が示されている。さらに、
図3には、後述の第1のRTD用ビア62が示されている。各ヒータ電極50は、連通路18や第1のRTD用ビア62を避けるように迂回した迂回部分53を有する。
【0034】
A-4.ヒータ電極50とヒータ用端子58とを電気的に接続するための構成:
図4は、本実施形態における加熱装置100のXY断面構成を概略的に示す説明図である。
図4には、
図2のIV-IVの位置における加熱装置100のXY断面構成が示されている。
【0035】
図4に示すように、加熱装置100は、複数のヒータ用ドライバ54を備える。各ヒータ用ドライバ54は、面方向(XY平面方向)に略平行な所定の形状の導体パターンである。なお、ヒータ用ドライバ54は、下記の(1)および(2)の少なくとも一方を満たすという点で、ヒータ電極50と相違する。
(1)ヒータ用ドライバ54の電流が流れる方向に対して垂直方向の断面積は、ヒータ電極50の同様な断面積の5倍以上である。
(2)ヒータ電極50における、ヒータ用ドライバ54につながる一方のビア(後述の第1のヒータ用ビア52等)から他方のビアまでの間の抵抗は、ヒータ用ドライバ54における、ヒータ電極50につながるビアからヒータ用端子58につながるビア(第2のヒータ用ビア55等)までの間の抵抗の5倍以上である。
【0036】
複数のヒータ用ドライバ54は、保持体10の内部において、ヒータ電極50と裏面S2との間に配置されている(
図2参照)。また、複数のヒータ用ドライバ54は、保持体10の内部において、上下方向(Z軸方向)に互いに略同一の位置に配置されている。換言すれば、複数のヒータ用ドライバ54は、上下方向に略垂直な一(共通)の仮想平面(XY平面)上において互いに異なる領域にそれぞれ配置されている。
【0037】
具体的には、
図4に示すように、本実施形態では、加熱装置100は、4つのヒータ用ドライバ54(54A,54B,54C,54D)を備える。4つのヒータ用ドライバ54は、上下方向(Z軸方向)視で、保持体10を、ヒータ用ドライバ54の数分(4つ)に均等分割して形成される4つの領域のそれぞれに配置されている。各ヒータ用ドライバ54の上下方向視での形状は、1/4円の略扇状である。なお、4つのヒータ用ドライバ54は、短絡防止のため、面方向において互いに離間するように配置されている。
【0038】
3つのヒータ電極50(50A~50C)の一方の端部のそれぞれは、個別に、3つのヒータ用ドライバ54(54A~54C)のそれぞれに電気的に接続されている。具体的には、第1のヒータ電極50Aの一方の端部と、第1のヒータ電極50Aの該一方の端部の真下に位置する第1のヒータ用ドライバ54Aとは、第1のヒータ用ビア52を介して電気的に接続されている(
図2参照)。第2のヒータ電極50Bの一方の端部と、第2のヒータ電極50Bの該一方の端部の真下に位置する第2のヒータ用ドライバ54Bとは、第1のヒータ用ビア(図示しない)を介して電気的に接続されている。第3のヒータ電極50Cの一方の端部と、第3のヒータ電極50Cの該一方の端部の真下に位置する第3のヒータ用ドライバ54Cとは、第1のヒータ用ビア(図示しない)を介して電気的に接続されている。また、第1のヒータ電極50Aと第2のヒータ電極50Bと第3のヒータ電極50Cとのそれぞれの他方の端部は、第1のヒータ用ビア(図示しない)を介して、該他方の端部の真下に位置する、共通の第4のヒータ用ドライバ54Dに電気的に接続されている。
【0039】
以上の構成により、3つのヒータ電極50(50A~50C)の一方の端部のそれぞれは、個別に、3つのヒータ用ドライバ54(54A~54C)のそれぞれを介して、3つのヒータ用端子58のそれぞれに電気的に接続されている。また、3つのヒータ電極50の他方の端部のそれぞれは、第4のヒータ用ドライバ54Dを介して、残りの1つのヒータ用端子58に電気的に接続されている。4つのヒータ用ドライバ54(54A~54D)は、それぞれ、第2のヒータ用ビア55を介して、4つのヒータ用端子58のそれぞれに電気的に接続されている(
図2参照)。以上の構成により、図示しない電源から各ヒータ用端子58、各ヒータ用ドライバ54等を介して複数のヒータ電極50のそれぞれに電圧が印加されると、各ヒータ電極50が発熱し、保持体10の保持面S1上に保持された対象物(例えば、半導体ウェハW)が所定の温度(例えば、400~800℃程度)に加熱される。
【0040】
なお、
図4には、連通路18や第1のRTD用ビア62が示されている。各ヒータ用ドライバ54には、連通路18や第1のRTD用ビア62を避けるように、切り欠き57や貫通孔59が形成されている。
【0041】
A-5.RTD電極60の構成:
図5は、本実施形態における加熱装置100のXY断面構成を概略的に示す説明図である。
図5には、
図2のV-Vの位置における加熱装置100のXY断面構成が示されている。
図5には、4つのRTD用ドライバ64が二点鎖線で示されている。
【0042】
図5に示すように、加熱装置100は、複数のRTD電極60を備える。複数のRTD電極60は、保持体10の内部において、ヒータ電極50より保持面S1側に配置されている。換言すれば、RTD電極60は、上下方向(Z軸方向)において、保持面S1とヒータ電極50との間に配置されている(
図2参照)。また、複数のRTD電極60は、ガス流路14よりも、保持面S1側に配置されている。すなわち、ガス流路14は、RTD電極60とヒータ電極50との間に配置されている。なお、RTD電極60は、上下方向において、保持体10の中心位置より上側に配置されていることが好ましく、ヒータ電極50は、上下方向において、保持体10の中心位置より下側に配置されていることが好ましい。
【0043】
また、複数のRTD電極60は、保持体10の内部において、上下方向に互いに略同一の位置に配置されている。換言すれば、複数のRTD電極60は、上下方向に略垂直な一(共通)の仮想平面(XY平面)上に配置されている。また、複数のRTD電極60は、上下方向視で、保持体10において互いに異なる領域にそれぞれ配置されている。複数のRTD電極60は、複数のヒータ電極50のそれぞれに対応するように配置されており、具体的には、保持体10における上記複数の領域(第1の領域Zo1~第3の領域Zo3)のそれぞれに1つずつ、ヒータ電極50と電極60とが配置されている。
【0044】
具体的には、
図5に示すように、本実施形態では、加熱装置100は、3つのRTD電極60(60A,60B,60C)を備える。第1のRTD電極60Aは、上下方向(Z軸方向)視で、第1のヒータ電極50Aが配置された第1の領域Zo1に配置されており、第2のRTD電極60Bは、第2のヒータ電極50Bが配置された第2の領域Zo2に配置されている。また、第3のRTD電極60Cは、第3のヒータ電極50Cが配置された第3の領域Zo3に配置されている。
【0045】
各RTD電極60は、上下方向(Z軸方向)視で線状の測温用抵抗体である。なお、各RTD電極60に流れる電流は、ヒータ電極50に流れる電流に比べて微少であるため、RTD電極60の通電時における発熱量は、ヒータ電極50の通電時における発熱量に比べて極めて小さい。本実施形態では、上下方向視でのRTD電極60の形状は、略円形または略螺旋状とされている。
【0046】
また、
図5には、4つのRTD用端子68が二点鎖線で示されている。4つのRTD用端子68は、上述のヒータ用端子58と同様、柱状支持体20の貫通孔22内に収容されるため、上下方向視で、保持体10の裏面S2の中心寄りの位置(第1の領域Zo1内)に配置されている。
【0047】
A-6.RTD電極60とRTD用端子68とを電気的に接続するための構成:
図6は、本実施形態における加熱装置100のXY断面構成を概略的に示す説明図である。
図6には、
図2のVI-VIの位置における加熱装置100のXY断面構成が示されている。
【0048】
図6に示すように、加熱装置100は、複数のRTD用ドライバ64を備える。各RTD用ドライバ64は、上下方向(Z軸方向)に垂直な面方向に略平行な所定の形状の導体パターンである。なお、各RTD用ドライバ64は、下記の(1)および(2)の少なくとも一方を満たすという点で、RTD電極60と相違する。
(1)RTD用ドライバ64の電流が流れる方向に対して垂直方向の断面積は、RTD電極60の同様な断面積の5倍以上である。
(2)各RTD電極60における、各RTD用ドライバ64につながる一方のビア(後述の第1のRTD用ビア62等)から他方のビアまでの間の抵抗は、各RTD用ドライバ64における、各RTD電極60につながるビアからRTD用端子68につながるビア(第2のRTD用ビア65等)までの間の抵抗の5倍以上である。
【0049】
複数のRTD用ドライバ64は、保持体10の内部において、RTD電極60と裏面S2との間に配置されている(
図2参照)。また、複数の各RTD用ドライバ64は、上下方向(Z軸方向)において、ヒータ用ドライバ54より保持体10の裏面S2側に配置されている。換言すれば、複数の各RTD用ドライバ64は、上下方向においてヒータ用ドライバ54と裏面S2との間に配置されている。また、複数のRTD用ドライバ64は、保持体10の内部において、上下方向に互いに略同一の位置に配置されている。換言すれば、複数のRTD用ドライバ64は、上下方向に略垂直な一(共通)の仮想平面(XY平面)上において互いに異なる領域にそれぞれ配置されている。
【0050】
具体的には、
図6に示すように、本実施形態では、加熱装置100は、4つのRTD用ドライバ64(64A,64B,64C,64D)を備える。4つの各RTD用ドライバ64は、上下方向(Z軸方向)視で、保持体10を、RTD用ドライバ64の数分(4つ)に均等分割して形成される4つの領域のそれぞれに配置されている。各RTD用ドライバ64の上下方向視での形状は、1/4円の略扇状である。なお、4つのRTD用ドライバ64は、短絡防止のため、面方向において互いに離間するように配置されている。
【0051】
3つの各RTD電極60(60A~60C)の一方の端部のそれぞれは、個別に、3つのRTD用ドライバ64(64A~64C)のそれぞれに電気的に接続されている。具体的には、第1のRTD電極60Aの一方の端部と、第1のRTD電極60Aの該一方の端部の真下に位置する第1のRTD用ドライバ64Aとは、第1のRTD用ビア(図示しない)を介して電気的に接続されている。第2のRTD電極60Bの一方の端部と、第2のRTD電極60Bの該一方の端部の真下に位置する第2のRTD用ドライバ64Bとは、第1のRTD用ビア(図示しない)介して電気的に接続されている。第3のRTD電極60Cの一方の端部と、第3のRTD電極60Cの該一方の端部の真下に位置する第3のRTD用ドライバ64Cとは、第1のRTD用ビア(図示しない)を介して電気的に接続されている。また、第1のRTD電極60Aと第2のRTD電極60Bと第3のRTD電極60Cのそれぞれの他方の端部は、第1のRTD用ビア62を介して、該他方の端部の真下に位置する、共通の第4のRTD用ドライバ64Dに電気的に接続されている(
図2参照)。
【0052】
ここで、
図2および
図5に示すように、第1のRTD用ビア62とRTD用端子68とは、上下方向(Z軸方向)視で、互いに異なる位置に配置されている。本実施形態では、上下方向視で、各RTD用ドライバ64の一方の端部に電気的に接続された第1のRTD用ビア62は、他方の端部に電気的に接続された第1のRTD用ビア62より、RTD用端子68から離間した位置(保持体10の外周側)に配置されている。
【0053】
以上の構成により、3つのRTD電極60(60A~60C)の一方の端部のそれぞれは、個別に、3つのRTD用ドライバ64(64A~64C)のそれぞれを介して、3つのRTD用端子68のそれぞれに電気的に接続されている。また、3つのRTD電極60の他方の端部のそれぞれは、第4のRTD用ドライバ64Dを介して、残りの1つのRTD用端子68に電気的に接続されている。4つのRTD用ドライバ64(64A~64D)は、それぞれ、第2のRTD用ビア65を介して、4つのヒータ用端子58のそれぞれに電気的に接続されている(
図2参照)。以上の構成により、図示しない抵抗測定器に、各RTD用端子68、各RTD用ドライバ64等を介して複数のRTD電極60が電気的に接続されると、各RTD電極60に微少な電流が流れ、抵抗測定器によって、各RTD電極60の抵抗値変化に基づき各RTD電極60の周囲の温度が個別に測定される。
【0054】
なお、加熱装置100は、特許請求の範囲における保持装置に相当する。保持体10は、特許請求の範囲における板状部材に相当し、上下方向(Z軸方向)は、特許請求の範囲における第1の方向に相当する。また、保持面S1は、特許請求の範囲における第1の表面に相当し、裏面S2は、特許請求の範囲における第2の表面に相当する。ヒータ電極50は、特許請求の範囲における発熱用抵抗体に相当し、RTD電極60は、特許請求の範囲における測温用抵抗体に相当する。ヒータ用ドライバ54は、特許請求の範囲における発熱用ドライバ電極に相当し、RTD用ドライバ64は、特許請求の範囲における測温用ドライバ電極に相当する。ヒータ用端子58は、特許請求の範囲における発熱用端子部に相当し、RTD用端子68は、特許請求の範囲における測温用端子部に相当する。第1のRTD用ビア62は、特許請求の範囲における測温用ビアに相当する。第1のRTD用ビア62とRTD用ドライバ64と第2のRTD用ビア65とRTD用電極パッド66と接合部11とは、特許請求の範囲における導電部に相当する。ガス流路14のうち、面方向に延びている部分は、特許請求の範囲におけるガス流路に相当する。
【0055】
A-7.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の加熱装置100では、RTD電極60は、上下方向(Z軸方向)において、ヒータ電極50より保持体10の保持面S1側に配置されている(
図2参照)。すなわち、RTD電極60と保持面S1との間にヒータ電極50が介在しない。このため、本実施形態では、RTD電極60が上下方向においてヒータ電極50より裏面S2側に配置された構成に比べて、ヒータ電極50の発熱に起因して電極60による保持面S1の温度測定の精度が低下することを抑制することができる。従って、本保持装置によれば、RTD電極60による保持体10の保持面S1の温度測定の精度を向上させることができ、ひいては、保持面S1の温度分布の制御性を向上させることができる。
【0056】
本実施形態では、上下方向(Z軸方向)視で、第1のRTD用ビア62とRTD用端子68とは、面方向(XY平面方向)において互いに異なる位置に位置している(
図3~
図5参照)。このため、本実施形態では、第1のRTD用ビア62とRTD用端子68とが同じ位置に位置している構成に比べて、RTD電極60の配置の自由度がRTD用端子68の位置によって制約されることを抑制することができる。上述したように、各ヒータ電極50は、連通路18や第1のRTD用ビア62を避けるように迂回した迂回部分53を有する(
図3参照)。しかし、本実施形態では、複数の第1のRTD用ビア62が、RTD用端子68に制約されることなく、広い範囲に散らばるように配置されている。このため、ヒータ電極50における迂回部分53(迂回部分53に起因してヒータ電極50同士の距離が近くなる部分)が、保持体10における特定箇所(例えば、複数の端子が集中的に配置された中心付近)に集中することに起因して、例えば保持面S1に温度特異点が発生することを抑制することができる。
【0057】
本実施形態では、RTD用ドライバ64は、上下方向においてヒータ電極50と保持面S1との間に配置されている(
図2参照)。このため、本実施形態によれば、ヒータ電極50が配置された仮想平面(
図3参照)上において、RTD電極60とRTD用端子68との導通確保のためにヒータ電極50が配置されていない非発熱部分(迂回部分53)の形成位置が、RTD用端子68の位置に制約されることを抑制することができる。すなわち、仮に、RTD用ドライバ64がRTD電極60とヒータ電極50との間に配置された構成とすると、RTD電極60とRTD用端子68との導通確保のために保持体10の中心付近に配置された複数の第2のRTD用ビア65が、第1のヒータ電極50Aが配置される部分を上下方向に貫くように配置されることになる。そうすると、比較的に狭い第1の領域Zo1に配置された第1のヒータ電極50Aに多くの迂回部分53が形成されることに起因して、例えば保持面S1に温度特異点が発生しやすくなる。これに対して、本実施形態では、ヒータ電極50の迂回部分53の形成位置は、RTD用端子68の位置に制約されない(
図3および
図5参照)。このため、本実施形態によれば、ヒータ電極50における迂回部分53が、保持体10における特定箇所に集中することに起因して、例えば保持面S1に温度特異点が発生することを抑制することができる。
【0058】
本実施形態では、RTD用ドライバ64は、上下方向においてヒータ用ドライバ54と保持体10の裏面S2との間に配置されている(
図2参照)。このため、RTD用ドライバ64が保持面S1とヒータ用ドライバ54との間に配置された構成に比べて、ヒータ用ドライバ54が配置された仮想平面(
図4参照)上において、RTD電極60とRTD用端子68との導通確保のためにヒータ用ドライバ54が配置されていない非ドライバ部分(切り欠き57や貫通孔59)の形成位置が、RTD用端子68の位置に制約されることを抑制することができる。すなわち、本実施形態では、複数の非ドライバ部分が、RTD用端子68に制約されることなく、広い範囲に散らばるように配置されている。このため、ヒータ用ドライバ54における非ドライバ部分(非ドライバ部分に起因して電流経路が狭くなっている部分)が、保持体10における特定箇所(例えば、複数の端子が集中的に配置された中心付近)に集中することに起因して、例えば保持面S1に温度特異点が発生することを抑制することができる。
【0059】
なお、本実施形態では、RTD用ドライバ64の中心付近には、複数の第2のヒータ用ビア55等を回避するために、RTD用ドライバ64が形成されていない複数の非ドライバ部分(切り欠きや貫通孔
図6に図示しない)が集中する。なお、ヒータ用ドライバ54は、RTD用ドライバ64とは異なり、発熱に必要な大電流が流れるため、非ドライバ部分の集中により電流経路が狭くなり電流集中により高温の温度特異点が生じやすい。これに対して、RTD用ドライバ64には微少の電流が流れるだけなので、仮に複数の非ドライバ部分が特定箇所に集中したとしても、温度特異点が生じにくい。
【0060】
本実施形態では、ガス流路14は、上下方向においてRTD電極60とヒータ電極50との間に配置されている。このため、本実施形態によれば、例えばガス流路14等が保持面S1とヒータ電極50との間に配置された構成に比べて、ガス流路14等の存在に起因してRTD電極60による保持面S1の温度測定の精度が低下することを抑制することができる。
【0061】
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0062】
上記実施形態における加熱装置100の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、保持体10の保持面S1(第1の表面)は、平面であるとしたが、例えば、緩やかな凹面状であるとしてもよい。要するに、保持面S1は、略平面状であればよい。また、上記実施形態では、端子部(発熱用端子部、測温用端子部)として、上下方向に延びる棒状のヒータ用端子58やRTD用端子68(以下、「ヒータ用端子58等」という)を例示したが、例えば平板状の端子であるとしてもよい。また、上記実施形態では、ヒータ用端子58等は、保持体10の裏面S2に形成された凹部12の底面に配置されるとしたが、例えば、裏面S2の平面上や裏面S2に形成された凸部に配置されるとしてもよい。要するに、端子部(ヒータ用端子58等)は、保持体10の裏面S2側に配置されていればよい。
【0063】
上記実施形態において、加熱装置100は、RF電極40とヒータ電極50とRTD電極60との少なくとも1つを備えない構成であってもよい。また、加熱装置100は、例えば熱電対など、他の導電性部材を備える構成であってもよい。また、加熱装置100は、ガス流路14が保持体10に形成されていない構成であってもよい。また、加熱装置100は、保持体10を上下方向に貫通し、リフトピンが挿入されるリフトピン用の孔が形成された構成であってもよい。
【0064】
上記実施形態において、ヒータ電極50の数、RTD電極60の数、ヒータ用ドライバ54の数、RTD用ドライバ64の数は、それぞれ、適宜変更可能である。また、上記実施形態において、加熱装置100は、第2のRTD用ビア65を備えない構成であってもよい。具体的には、RTD用ドライバ64が、ビアを介さずに、RTD用電極パッド66に接合された構成であってもよい。また、加熱装置100は、複数のヒータ電極50が上下方向において互いに異なる位置に配置された複数のヒータ層を備える構成であってもよい。また、加熱装置100は、複数のRTD電極60が上下方向において互いに異なる位置に配置された複数のRTD層を備える構成であってもよい。また、加熱装置100は、複数のヒータ用ドライバ54が上下方向において互いに異なる位置に配置された複数のヒータ用ドライバ層を備える構成であってもよい。また、保持体10における1つのセグメント内において、複数のヒータ電極50が並列接続された構成であってもよい。
【0065】
上記実施形態では、第1のRTD用ビア62は、RTD電極60に直接接続(接合)された構成を例示したが、第1のRTD用ビア62は、別の導電体を介して、RTD電極60に間接的に接続された構成であってもよい。また、各ビア42,52,55,62,65等は、単数のビアにより構成されてもよいし、上下方向の同じ位置において並列して配置される複数のビアのグループにより構成されてもよい。また、上記実施形態において、各ビア42,52,55,62,65等は、ビア部分のみからなる単層構成であってもよいし、複数層構成(例えば、ビア部分とパッド部分とビア部分とが積層された構成)であってもよい。
【0066】
また、上記実施形態の加熱装置100における各部材を形成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により形成されてもよい。例えば、上記実施形態では、板状部材として、セラミックスにより形成された保持体10を例示したが、板状部材は、セラミックス以外の材料(例えば樹脂等の絶縁材料)により形成された部材であるとしてもよい。
【0067】
また、本発明は、保持体10と柱状支持体20とを備え、半導体ウェハWを保持して加熱する加熱装置100に限らず、板状部材を備え、板状部材の表面上に対象物を保持する他の保持装置(例えば、静電チャックや真空チャック等)にも適用可能である。
【符号の説明】
【0068】
10:保持体 11:接合部 12:凹部 14:ガス流路 18:連通路 20:柱状支持体 22:貫通孔 24:ガス用貫通孔 30:接合層 40:RF電極 42:RF用ビア 46:RF用電極パッド 48:RF用端子 50:ヒータ電極 50A:第1のヒータ電極 50B:第2のヒータ電極 50C:第3のヒータ電極 52:第1のヒータ用ビア 53:迂回部分 54:ヒータ用ドライバ 54A:第1のヒータ用ドライバ 54B:第2のヒータ用ドライバ 54C:第3のヒータ用ドライバ 54D:第4のヒータ用ドライバ 55:第2のヒータ用ビア 57:切り欠き 58:ヒータ用端子 59:貫通孔 60:RTD電極 60A:第1のRTD電極 60B:第2のRTD電極 60C:第3のRTD電極 62:第1のRTD用ビア 64:RTD用ドライバ 64A:第1のRTD用ドライバ 64B:第2のRTD用ドライバ 64C:第3のRTD用ドライバ 64D:第4のRTD用ドライバ 65:第2のRTD用ビア 66:RTD用電極パッド 68:RTD用端子 100:加熱装置 S1:保持面 S2:裏面 S3:上面 W:半導体ウェハ Zo1:第1の領域 Zo2:第2の領域 Zo3:第3の領域