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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】開閉装置の構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20230120BHJP
   E06B 9/68 20060101ALI20230120BHJP
   E06B 9/264 20060101ALI20230120BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
E06B9/17 W
E06B9/68 A
E06B9/264 Z
H01Q1/22 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019063952
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020165107
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】高橋 大助
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-261317(JP,A)
【文献】特開2013-249592(JP,A)
【文献】特開2005-133418(JP,A)
【文献】特開2011-146993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/17
E06B 9/68
E06B 9/264
H01Q 1/12-1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の開口部を開閉する開閉体と、
前記開口部の近傍に設けられ前記開閉体を電動で開閉駆動する開閉機と、
前記開口部の近傍に設けられ前記開閉機に導通接続されて前記開閉機を動作制御する制御盤と、
コントローラからの無線による操作信号を制御盤内に設けた制御部へ出力する受信部と、
少なくとも前記制御盤を覆うとともに前記制御盤を表出させる点検口を有した金属製のケースと、
前記点検口に着脱自在に取り付けられる電磁波透過性素材よりなる蓋体と、
前記蓋体の裏面に取り付けられ、ケーブル及びこのケーブルの端末に設けられたコネクタを介して前記受信部に導通接続されて前記コントローラからの操作信号を受信して前記受信部へ送る蓋体アンテナと、
を備え
前記受信部のアンテナ回路に、内蔵アンテナが予め接続され、
前記コネクタが前記受信部に導通接続されたときには、前記制御部が、前記内蔵アンテナと前記受信部とを遮断し、前記蓋体アンテナと前記受信部とを接続することを特徴とする開閉装置の構造。
【請求項2】
前記蓋体の裏面に、前記蓋体アンテナを取り付けるための凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の開閉装置の構造。
【請求項3】
前記蓋体の表面が、前記ケースの表面と同一の意匠で統一されていることを特徴とする請求項1または2に記載の開閉装置の構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター装置などの開閉装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電動で開閉体を開閉させる開閉装置である例えば電動シャッター装置は、従来、シャッター装置近傍の壁面や、シャッターカーテンの収納ボックスの前面などに、ブラケットなどのアンテナ取付具によって受信アンテナが取り付けられ、リモコン送信機からの電波を捕捉することにより、無線による遠隔操作でシャッターカーテンの開閉動作を制御可能としていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-303628号公報
【文献】特開2000-165970号公報
【文献】特開2001-94321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、受信アンテナをシャッター近傍の壁面や、シャッターカーテンの収納ボックスの前面などに、アンテナ取付具によって取り付ければ、アンテナや、このアンテナを内部へ繋がるケーブルが表出することとなって目障りとなり、シャッター装置(開閉装置)の意匠性を損ねる場合があった。また、アンテナを取り付けるための好ましい設置場所をさがすことや、設置作業に手間が掛かる問題もあった。一方、シャッターカーテンの収納ボックスに、受信アンテナを収容することも考えられるが、収納ボックスが金属製であるため、コントローラからの操作信号が届きにくく、開閉装置の近傍でしか操作ができない問題があった。
【0005】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、見栄えを良くし、容易に受信感度を向上させることができる開閉装置の構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の開閉装置の構造は、建造物27の開口部31を開閉する開閉体13と、
前記開口部31の近傍に設けられ前記開閉体13を電動で開閉駆動する開閉機15と、
前記開口部31の近傍に設けられ前記開閉機15に導通接続されて前記開閉機15を動作制御する制御盤17と、
コントローラ39からの無線による操作信号を前記制御盤17内に設けた制御部35へ出力する受信部19と、
少なくとも前記制御盤17を覆うとともに前記制御盤17を表出させる点検口47を有した金属製のケース21と、
前記点検口47に着脱自在に取り付けられる電磁波透過性素材よりなる蓋体23と、
前記蓋体23の裏面53に取り付けられ、ケーブル57及びこのケーブル57の端末に設けられたコネクタ59を介して前記受信部19に導通接続されて前記コントローラ39からの操作信号を受信して前記受信部19へ送る蓋体アンテナ25と、
を備え
前記受信部19のアンテナ回路に、内蔵アンテナ45が予め接続され、
前記コネクタ59が前記受信部19に導通接続されたときには、前記制御部35が、前記内蔵アンテナ45と前記受信部19とを遮断し、前記蓋体アンテナ25と前記受信部19とを接続することを特徴とする。
【0007】
この開閉装置の構造では、少なくとも制御盤17が金属製のケース21により覆われる。「少なくとも制御盤17を覆う」とは、制御盤17とともに開閉機15或いは開閉体13の一部または全部が覆われてもよい意である。ケース21には点検口47が形成される。この点検口47は、着脱自在に取り付けられる電磁波透過性素材、例えば樹脂製の蓋体23により覆われる。制御盤17や開閉機15のメンテナンスは、この蓋体23を取り外すことにより、表出した制御盤17や開閉機15にアクセスすることによって行われる。
蓋体23の裏面53には、蓋体アンテナ25が取り付けられる。蓋体アンテナ25には、ケーブル57が接続され、そのケーブル57の端末には、コネクタ59が設けられている。蓋体アンテナ25は、このコネクタ59が、制御盤17の受信部19に結合されて、制御盤17に導通接続される。蓋体23は、電磁波透過性素材(樹脂製)であり、比較的大きな面積を確保できるので、従来の金属製のケース21に覆われて設けられている内蔵アンテナ45に比べ、受信性能を高めることができる。これにより、離れた場所からの操作信号を受信することができるようになる。
また、蓋体アンテナ25は、蓋体23の裏面53に取り付けられているため、蓋体23が点検口47に取り付けられると、アンテナが裏側となり、ケース21の外観には表れない。これにより、従来のオプションアンテナのように、ケース21の外部や建造物27の外壁面にアンテナが露出したり、アンテナとケース21との間を接続するケーブル等が露出したりしなくなる。このため、開閉装置11の意匠性を損ねることがなくなる。
さらに、既存の金属製の蓋体を、樹脂製の蓋体23及び蓋体アンテナ25に交換するのみで作業が完了し、ケース21の外部に設置する従来のオプションアンテナのように、設置場所をさがしたり、煩雑な設置作業が発生したりすることがない。このため、設置場所をさがす必要がなくなり、オプションアンテナを極めて容易に設置することができるようになる。
また、この開閉装置の構造では、蓋体アンテナ25がオプションアンテナとして用いられる。なお、開閉装置の構造は、蓋体アンテナ25のみが受信部19に接続される構成を排除するものではない。すなわち、開閉装置の構造では、蓋体アンテナ25のみが、主アンテナとして受信部19に取り付けられてもよい。
蓋体アンテナ25がオプションアンテナとして内蔵アンテナ45とともに設けられる場合、受信部19には、予め内蔵アンテナ45が接続されている。内蔵アンテナ45は、例えば制御部35の基板上に実装される。従来、内蔵アンテナ45は、蓋体23が既存の金属製であっても、開口部31の近傍におけるコントローラ39からの操作信号は受信が可能となる。例えばケース21に隙間など構造上必要な間隙を有していることから、そのような間隙を通しても信号が伝わる。但し、内蔵アンテナ45は、開口部31よりも大きく離れた場所からは、金属製のケース21及び金属製の蓋体23に覆われていることにより、電磁波が阻まれ、十分な操作信号の受信が困難となる。
制御部35は、蓋体アンテナ25のコネクタ59が、受信部19に結合されたことを検知可能とする。制御部35は、コネクタ59が受信部19に結合されると、既設の内蔵アンテナ45と受信部19との接続を遮断し、受信感度が向上する蓋体アンテナ25と受信部19とを接続する。制御部35は、コネクタ59の接続を検知して、内蔵アンテナ45と蓋体アンテナ25を回路的に切り替える。つまり、蓋体アンテナ25が接続されたときは、内蔵アンテナ45が無効となる排他仕様となっている。例えば、メンテナンス時等、蓋体23を取り外してコネクタ59を結合解除したときには、蓋体アンテナ25が外されてしまうが、その場合には基板上の内蔵アンテナ45で受信が可能となる。
【0008】
本発明の請求項2記載の開閉装置の構造は、請求項1記載の開閉装置の構造であって、
前記蓋体23の裏面53に、前記蓋体アンテナ25を取り付けるための凹部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
この開閉装置の構造では、蓋体23の裏面53に、蓋体アンテナ25を取り付ける凹部が形成される。凹部は、一対の爪部の間に凹みが設けられたクリップ63や、蓋体23の成形時に同時に裏面53に形成した凹溝等とすることができる。蓋体アンテナ25は、例えばアンテナにアンテナ線55を用いた構成とすることができる。アンテナ線55は、複数箇所で屈曲した例えばS字形状として取り付けできる。この場合、クリップ状の凹部では、屈曲部65の前後を保持することでアンテナ線55を裏面53の所定の位置に固定できる。
【0010】
本発明の請求項3記載の開閉装置の構造は、請求項1または2に記載の開閉装置の構造であって、
前記蓋体23の表面が、前記ケース21の表面と同一の意匠で統一されていることを特徴とする。
【0011】
この開閉装置の構造では、金属製のケース21と、その点検口47に取り付けられる電磁波透過性素材(樹脂製)の蓋体23とが同一の意匠に統一される。「同一の意匠」とは、例えば同一色の塗装、境目のない一体的な図柄の付与、同一の表面処理、同一の内装材の貼着等が挙げられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る請求項1記載の開閉装置の構造によれば、ケースの外部にアンテナ取付具などが不要となり、見栄えを良くし、容易に受信感度を向上させることができる。
また、メンテナンス時等、蓋体を取り外したときは、内蔵アンテナで受信でき、蓋体を取り付けたときは、蓋体アンテナに自動で切り替え受信できる。
【0015】
本発明に係る請求項2記載の開閉装置の構造によれば、蓋体アンテナを蓋体の所定位置に、容易に取り付けでき、蓋対と一体に取り扱うことが可能となる。
【0016】
本発明に係る請求項3記載の開閉装置の構造によれば、異なる材質からなるケースと蓋体とを同一の外観にでき、開閉装置全体の意匠性を損ねることがない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る開閉装置の構造を備えたシャッター装置の外観正面図である。
図2図1に示したシャッター装置におけるケース近傍の側面図である。
図3図2に示した蓋体アンテナをケース内側から見た分解斜視図である。
図4図1に示した開閉装置の構造における電気回路の構成例を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る開閉装置の構造を備えたシャッター装置11の外観正面図である。
本実施形態に係る開閉装置の構造は、電動のシャッター装置11に適用される。シャッター装置11は、重量シャッター、軽量シャッターのいずれであってもよい。また、シャッター装置11の開閉体13は、スラットで構成されるシャッターカーテンや、シートで構成されるシャッターカーテンのいずれであってもよい。また、開閉装置の構造は、シャッター装置以外の他の開閉装置、すなわち、電動で開閉される引戸型の自動ドア、リニア上吊りドア、開き戸、門扉、ロールスクリーン、ガレージ扉などにも好適に用いることができる。
【0020】
本実施形態に係る開閉装置の構造は、開閉体13と、開閉機15と、制御盤17と、受信部19(図4)と、ケース21と、蓋体23と、蓋体アンテナ25(図2)と、を主要な構成として有する。
【0021】
開閉体としてのシャッターカーテン13は、建造物27の壁29などに設けられた開口部31を昇降することで開閉する。開口部31の間口方向両側には、一対のガイドレール33が設けられる。シャッターカーテン13は、左右の側縁が、このガイドレール33に案内されて昇降することで、開口部31を開閉する。
【0022】
本実施形態において、シャッターカーテン13は、シートカーテンである。従って、シャッター装置11は、シートシャッターである。シートカーテンは、例えば厚さ0.8~1mmの軟質な塩化ビニル樹脂などのシート材よりなる。この他、シートカーテンは、他の樹脂にて構成されるシート材や、ゴムシート材、織布や、樹脂製ネットスクリーン、金属製ネットスクリーン、シリカクロス、ガラスクロスなどを素材とする構成や、これら素材を複合や積層させた素材などとしてもよく、さらには、このシャッターカーテンを構成する素材を、耐火性,防火性,防炎性を有する素材とすることもできる。
【0023】
開閉機15は、開口部31の近傍に設けられ、シャッターカーテン13を電動で開閉駆動する。本実施形態において、開閉機15は、チューブモータで構成され、シャッターカーテン13を巻き取り、または巻き戻すことで開閉する。このため、シャッター装置11には、一般的な機構部分である例えばスプロケットやチェーンなどが無い。シャッター装置11は、チューブモータを駆動源とすることにより簡素な機構で構成されている。なお、開閉機15の機構はこれに限定されない。
【0024】
制御盤17は、開口部31の近傍に設けられる。制御盤17は、開閉機15に導通接続されて開閉機15を動作制御する。制御盤17には、図4に示すように、制御部35、駆動制御部である駆動部37、受信部19などが設けられる。制御盤17には、商用電源が供給される。この制御盤17は、後述するコントローラ39(図4)からの操作信号を無線で受信して、開閉機15を動作制御する。すなわち、シャッター装置11は、コントローラ39を操作することにより、無線による遠隔操作で、シャッターカーテン13の昇降、停止などが行えるようになっている。
【0025】
コントローラ39は、制御盤17とは別体に構成され、例えばシャッター装置11の設けられた開口部31の近傍の壁29などに取り外し自在に保持、或いは操作者が所持する。コントローラ39は、送信部(図示略)、操作キー41、蓄電池や乾電池などを備え、シャッターカーテン13の開動作、閉動作、停止の操作信号を出力できるように構成されている。このコントローラ39から出力される操作信号は、電磁波として制御盤17の受信部19に送られる。
【0026】
受信部19は、制御盤17に設けられる。受信部19は、コントローラ39からの無線による操作信号を制御盤内に設けた制御部35へ出力する。制御盤17は、基板43(図4)を備える。この基板43には、制御部35、受信部19、駆動部37などが設けられる。基板43には、これらを接続する回路パターンが印刷配線などにより形成される。基板43は、実装部品を覆う筐体の内部に収容される。また、本実施形態において、基板43には、内蔵アンテナ45(図4)が実装される。内蔵アンテナ45は、制御部35により制御可能なアンテナ回路(図示略)を介して受信部19に接続されている。
【0027】
ケース21は、スチール素材などの金属製となる。ケース21には、少なくとも制御盤17を覆うとともに、制御盤17を表出させる点検口47を有する。シャッターカーテン13は、開口部31を開放した際、円筒状に巻かれて開口部31の上縁(まぐさ)近傍に水平配置された状態となる。ケース21は、略直方体状に形成され、この巻回された状態のシャッターカーテン13を収容する容積を有している。また、ケース21は、正面の一部を切り欠いた点検口47を有する。ケース21の内方には、上記の開閉機15や制御盤17が配置される。点検口47は、これらのうち少なくとも制御盤17を表出させる開口となる。本実施形態において、開閉機15と制御盤17は、いずれも正面視において、ケース21の右端側に配置される。このため、点検口47もケース21の右端側に形成されている。
【0028】
図2図1に示したシャッター装置11におけるケース近傍の側面図である。
蓋体23は、電磁波透過性素材よりなり、例えば樹脂製となる。蓋体23は、点検口47に着脱自在に取り付けられる。蓋体23は、ケース21の延在方向に直交する断面形状(図2に示す略六角形状)における外形線の一部分に沿った形状に折曲形成される。具体的には、図2に示す略ヘ字形状となる。蓋体23は、例えば幅長700mm、縦200mm程度の大きさで形成される。
【0029】
図3図2に示した蓋体アンテナ25をケース内側から見た分解斜視図である。
蓋体23は、ビスなどによりケース21に固定され、容易に着脱自在となって点検口47を塞ぐ。蓋体23には、ビス留め用のビス穴49や切欠部51が四隅に形成されている。この蓋体23には、蓋体アンテナ25が取り付けられている。
【0030】
蓋体アンテナ25は、蓋体23の裏面53に取り付けられる。蓋体アンテナ25は、線状のアンテナ線55を有する。アンテナ線55の一端には、ケーブル57が接続される。なお、アンテナ線55は、この接続用のケーブル57と、アンテナ線55とが同一であってもよい。
【0031】
ケーブル57の端末には、コネクタ59が取り付けられる。コネクタ59は、所謂ジャック形式のものとすることができる。同軸ケーブルとする場合には、二極の同軸ケーブル用コネクタを用いることができる。制御盤17の筐体には、蓋体アンテナ25のコネクタ59と結合可能となる相手コネクタ61が取り付けられる。相手コネクタ61は、受信部19に導通接続されている。蓋体アンテナ25は、このコネクタ59を介して制御盤17の受信部19に導通接続される。蓋体アンテナ25は、コントローラ39から出力された操作信号を受信して受信部19へ送る。
【0032】
蓋体23の裏面53には、蓋体アンテナ25を取り付けるための凹部が形成されている。凹部は、一対の爪部の間に凹みが設けられた略C字形状のクリップ63や、蓋体23の成形時に同時に裏面53に形成した凹溝等とすることができる。蓋体アンテナ25は、例えばアンテナにアンテナ線55を用いた構成とすることができる。アンテナ線55は、複数箇所で屈曲した例えばS字形状として取り付けできる。本実施形態では、蓋体23の裏面53に、アンテナ線55の配索経路に沿って、複数のクリップ63が設けられている。クリップ63は、凹部によりアンテナ回路の先端や屈曲部65の前後を保持することでアンテナ線55を裏面53の所定の位置に固定する。アンテナ線55が固定された蓋体23からは、ケーブル57が延出する。このケーブル57は、点検口47からケース内に挿入されて、端末のコネクタ59が、筐体に設けられた相手コネクタ61に結合される。
【0033】
開閉装置の構造では、金属製のケース21と、その点検口47に取り付けられる樹脂製の蓋体23とが同一の意匠とされることにより、外観が統一されている。「同一の意匠」とは、例えば同一色の塗装、境目のない一体的な図柄の付与、同一の表面処理、同一の内装材の貼着等が挙げられる。但し、操作信号の受信を阻害、すなわち電磁波を遮蔽する素材を用いた意匠は除外される。例えば、同一の意匠は、ケース21の外周に、蓋体23と同一の樹脂製外装パネルを貼着する処理などであってもよい。
【0034】
図4図1に示した開閉装置の構造における電気回路の構成例を表すブロック図である。
開閉装置の構造は、受信部19のアンテナ回路に、内蔵アンテナ45が予め接続される。制御部35は、コネクタ59が受信部19に導通接続されたときには、内蔵アンテナ45と受信部19とを遮断し、蓋体アンテナ25と受信部19とを接続する。また、逆に、制御部35は、コネクタ59が受信部19から結合解除されたときには、内蔵アンテナ45と受信部19とを接続する。すなわち、制御部35は、受信感度を監視してコネクタ59の結合を検知することができる。制御部35は、このコネクタ検知信号にもとづき、内蔵アンテナ45と蓋体アンテナ25とのいずれか一方をアンテナ回路に選択的に接続可能としている。
【0035】
次に、上記した構成の作用を説明する。
本実施形態に係る開閉装置の構造では、少なくとも制御盤17が金属製のケース21により覆われる。ケース21には点検口47が形成される。この点検口47は、着脱自在に取り付けられる樹脂製の蓋体23により覆われる。制御盤17や開閉機15のメンテナンスは、この蓋体23を取り外すことにより、表出した制御盤17や開閉機15に対して行われる。
【0036】
蓋体23の裏面53には、蓋体アンテナ25が取り付けられる。蓋体アンテナ25には、ケーブル57が接続され、そのケーブル57の端末には、コネクタ59が設けられている。コネクタ59は、所謂ジャック形式のものであってもよい。蓋体アンテナ25は、このコネクタ59が、制御盤17の受信部19に結合されて、制御盤17に導通接続される。蓋体23は、電磁波透過性の高い樹脂製であり、比較的大きな面積を確保できるので、従来の金属製のケース21に覆われて設けられている内蔵アンテナ45に比べ、受信性能を高めることができる。これにより、内蔵アンテナ45よりも離れた場所からの操作信号を受信することができるようになる。
【0037】
また、蓋体アンテナ25は、蓋体23の裏面53に取り付けられているため、蓋体23が点検口47に取り付けられると、アンテナが裏側となり、ケース21の外観には表れない。これにより、従来のオプションアンテナのように、ケース21の外部や建造物27の外壁面にアンテナが露出したり、アンテナとケース21との間を接続するケーブルが露出したりしなくなる。このため、開閉装置の意匠性を損ねることがなくなる。
【0038】
さらに、既存の金属製の蓋体を、樹脂製の蓋体23及び蓋体アンテナ25に交換するのみで作業が完了し、ケース21の外部に設置する従来のオプションアンテナのように、設置場所をさがしたり、煩雑な設置作業が発生したりすることがない。このため、設置場所をさがす必要がなくなり、オプションアンテナを極めて容易に設置することができるようになる。
【0039】
開閉装置の構造では、上記のように、蓋体アンテナ25を接続することにより、信号送受信距離が延びる。近年では、シャッター装置間で制御信号をやり取りして複数のシャッター装置11における開閉動作や停止を制御するシャッター制御システムも開発されている。開閉装置の構造は、このような構成においても適用が可能となる。この場合、従来ではそれぞれのシャッター装置11に近づかなければならなかったが、開閉装置の構造を採用することにより、広い工場内での仕切りとなる多数のシートシャッターを遠隔操作することが、蓋体アンテナ25の取り付けで容易に可能となる。
【0040】
また、この開閉装置の構造では、蓋体23の裏面53に、蓋体アンテナ25を取り付ける凹部が形成される。凹部は、一対の爪部の間に凹みが設けられたクリップ63や、蓋体23の成形時に同時に裏面53に形成した凹溝等とすることができる。蓋体アンテナ25は、例えばアンテナにアンテナ線55を用いた構成とすることができる。アンテナ線55は、複数箇所で屈曲した例えばS字形状として取り付けできる。この場合、クリップ状の凹部では、屈曲部65の前後を保持することでアンテナ線55を裏面53の所定の位置に固定できる。
【0041】
また、凹溝では、溝幅開口を溝奥の幅よりも若干小さく形成し、アンテナ線55を凹溝に嵌入または埋入することで、アンテナ線55を裏面53から突出させずに所定の位置に保持することができる。その結果、蓋体アンテナ25を蓋体23の所定位置に、容易に取り付けできる。
【0042】
また、この開閉装置の構造では、金属製のケース21と、その点検口47に取り付けられる樹脂製の蓋体23とが同一の意匠に統一される。その結果、異なる材質からなるケース21と蓋体23とを同一の外観にでき、意匠性を損ねることがない。
【0043】
また、この開閉装置の構造では、蓋体アンテナ25がオプションアンテナとして用いられる。なお、開閉装置の構造は、蓋体アンテナ25のみが受信部19に接続される構成を排除するものではない。すなわち、開閉装置の構造では、蓋体アンテナ25のみが、主アンテナとして受信部19に取り付けられてもよい。
【0044】
蓋体アンテナ25がオプションアンテナとして内蔵アンテナ45とともに設けられる場合、受信部19には、予め内蔵アンテナ45が設けられている。内蔵アンテナ45は、例えば制御部35の基板上に実装される。内蔵アンテナ45は、蓋体23が既存の金属製であっても、開口部31の近傍におけるコントローラ39からの操作信号は受信が可能となる。但し、開口部31よりも大きく離れた場所からは、金属製のケース21及び蓋体23に覆われていることにより、十分な操作信号の受信が困難となる。
【0045】
制御部35は、蓋体アンテナ25のコネクタ59が、受信部19に結合されたことを検知可能とする。制御部35は、コネクタ59が受信部19に結合されると、既設の内蔵アンテナ45と受信部19との接続を遮断し、蓋体アンテナ25と受信部19とを接続する。制御部35は、コネクタ59の接続を検知して、内蔵アンテナ45と蓋体アンテナ25を回路的に切り替える。つまり、蓋体アンテナ25が接続されたときには、内蔵アンテナ45が無効となる排他仕様となっている。例えば、メンテナンス時等、蓋体23を取り外してコネクタ59を結合解除したときは、蓋体アンテナ25が外されてしまうが、その場合には基板上の内蔵アンテナ45で受信が可能となる。その結果、メンテナンス時等、蓋体23を取り外したときは、内蔵アンテナ45で受信でき、蓋体23を取り付けたときは、蓋体アンテナ25に自動で切り替え受信できる。
【0046】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0047】
例えば上記の構成例では、蓋体アンテナにアンテナ線を用いた例を説明したが、蓋体アンテナには、フィルムアンテナを用いてもよい。この場合、蓋体23の裏面に貼着にて構成させることが可能となる。
また、点検口の位置は、ケースの右側前面に限定されず、ケースの左側前面や、下面、側面であってもよい。
また、開閉装置は、シャッター装置を幅方向に複数連接配置した連装シャッターとしてもよい。この場合、それぞれの点検口に蓋体アンテナを内蔵させることができ、従来のようなケーブルを這わせて壁面に設けるような施工を不要にできる。
【0048】
従って、本実施形態に係る開閉装置の構造によれば、見栄えを良くし、容易に受信感度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0049】
11…開閉装置(シャッター装置)
13…開閉体(シャッターカーテン)
15…開閉機
17…制御盤
19…受信部
21…ケース
23…蓋体
25…蓋体アンテナ
27…建造物
31…開口部
35…制御部
39…コントローラ
45…内蔵アンテナ
47…点検口
53…裏面
57…ケーブル
59…コネクタ
図1
図2
図3
図4