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  • 特許-情報処理装置及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/14 20060101AFI20230120BHJP
   G06K 19/06 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
G06K7/14 043
G06K7/14 017
G06K19/06 037
G06K19/06 131
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019066103
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020166531
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄テックスエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】森内 直樹
(72)【発明者】
【氏名】山下 英隆
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-045952(JP,A)
【文献】特許第6219911(JP,B2)
【文献】特開2018-097773(JP,A)
【文献】特開2018-060498(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0269412(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/14
G06K 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の対象物が同じ端面形状を有し、前記端面の所定の位置に所定の向きで二次元コードが付されており、前記端面が同方向を向くようにして前記複数の対象物が縦横に積まれた状態で、前記複数の対象物に関する情報を取得するための情報処置装置であって、
複数の前記端面を撮像した撮像画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段で取得した前記撮像画像上で、前記二次元コードの所定部位を基準にして、前記端面の基準点を求める計算手段と、
前記計算手段で求めた前記端面の前記基準点に基づいて、前記対象物の縦横の位置関係を判定する判定手段と、
前記判定手段で判定した位置関係に基づいて、前記対象物の配置情報を生成する生成手段と、を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記計算手段は、前記画像取得手段で取得した前記撮像画像上で、前記二次元コードの前記所定部位を基準にして、前記二次元コードの向きと、前記二次元コードの所定サイズとに基づいて、前記端面の前記基準点を求めることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記計算手段は、前記端面の中心を前記基準点として求めることを特徴とする請求項1又2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記二次元コードは、対象データに対応するビット列をパターンとして表したデータ部と、円環部及び方向特定部を備えたファインダパターンと、を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記二次元コードが印刷されたフィルム状の媒体が、前記端面に貼付されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記端面に前記二次元コードが印字されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
複数の対象物が同じ端面形状を有し、前記端面の所定の位置に所定の向きで二次元コードが付されており、前記端面が同方向を向くようにして前記複数の対象物が縦横に積まれた状態で、前記複数の対象物に関する情報を取得するためのプログラムであって、
複数の前記端面を撮像した撮像画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段で取得した前記撮像画像上で、前記二次元コードの所定部位を基準にして、前記端面の基準点を求める計算手段と、
前記計算手段で求めた前記端面の前記基準点に基づいて、前記対象物の縦横の位置関係を判定する判定手段と、
前記判定手段で判定した位置関係に基づいて、前記対象物の配置情報を生成する生成手段と、してコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、倉庫等に保管されている物品の配置等についての情報を処理する情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、三重同心円とその周りに配した突起図形からなるファインダパターンとを持つ二次元コードが提案されている。このような二次元コードを利用することにより、製造現場において高速且つロバストにその位置や向きを検出することができる。
また、特許文献2の情報処理装置では、格子状に並ぶ複数の対象物に貼られた二次元コードをカメラ内蔵スマートデバイスにより連続的になぞるように読み取り、対象物の配置図を逐次的に生成する。
【0003】
特許文献2の情報処理装置において、二次元コードのファインダパターンが対象物の概ね中心に位置することを前提にして、対象物の配置の判定が行なわれる。この場合、ファインダパターンの中心を基準点とし、基準点同士の上下左右の位置関係に基づいて対象物の配置を判定する。具体的には例えば図7のように中央の対象物の基準点Pに対して、点線矩形内に判定されるべき対象物のファインダパターン(基準点P)があるので、それらの対象物の位置関係は「上」及び「左」と判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6219911号公報
【文献】特開2018-97773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実際の製造現場の対象物にあっては、刻印文字や他の制約事項により二次元コードを貼付する領域が制限される場合がある。その場合、図8のようにサイズの小さい二次元コードを貼ることになるため、ファインダパターンが対象物の中心からずれた位置となり、この位置を基準点P′とした場合の点線矩形内には判定されるべき対象物のファインダパターンがないため、「上」及び「左」と判定できなくなる。
【0006】
本発明は、上記のような点に鑑みてなされたものであり、二次元コードのサイズに影響されずに、対象物の配置を常に的確に判定する情報処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の情報処理装置は、複数の対象物が同じ端面形状を有し、前記端面の所定の位置に所定の向きで二次元コードが付されており、前記端面が同方向を向くようにして前記複数の対象物が縦横に積まれた状態で、前記複数の対象物に関する情報を取得するための情報処置装置であって、複数の前記端面を撮像した撮像画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段で取得した前記撮像画像上で、前記二次元コードの所定部位を基準にして、前記端面の基準点を求める計算手段と、前記計算手段で求めた前記端面の前記基準点に基づいて、前記対象物の縦横の位置関係を判定する判定手段と、前記判定手段で判定した位置関係に基づいて、前記対象物の配置情報を生成する生成手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、サイズの小さい二次元コードの場合でも、二次元コードのサイズに影響されずに、対象物の配置情報を常に的確に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態における対象物の端面に二次元コードが貼付される様子を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態における二次元コードが貼付された対象物の保管状態を示す斜視図である。
図3】本発明の情報処理装置として機能するスマートデバイスのハードウェア構成例を示す図である。
図4】本発明に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
図5】本発明に係る情報処理装置で撮像される二次元コードの具体例を示す図である。
図6】本発明の実施形態におけるサイズの小さい二次元コードと対象物の端面の基準点との位置関係を示す図である。
図7】従来例における対象物の位置関係の判定法の例を示す図である。
図8】従来例におけるサイズの小さい二次元コードの場合での対象物の位置関係の判定法の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明による情報処理装置の好適な実施形態について説明する。
本実施形態では、同じ端面形状を有する角棒鋼や角ビレットを対象物とする。対象物の端面の所定の位置に所定の向きで、識別コードである二次元コードが付されている。このようにした対象物は、端面が同方向を向くようにして縦横に積まれた状態、すなわち長手方向が水平になり、長手方向が互いに平行になるように、左右及び上下に並べた状態で保管される。
【0011】
図1は、事前に対象物の端面に二次元コードが貼付される様子を示している。複数の対象物10は、その端面11が自動貼付装置1の前を通過するように搬送され、自動貼付装置1の前で停止した対象物10の端面11に対して順次、自動貼付装置1によって所定の位置に所定の向きで二次元コード20が貼付される。具体的には、二次元コード20が印刷されたフィルム状の媒体が、端面11に貼付される。
【0012】
このように二次元コード20が貼付された対象物10は図2のように、端面11が同方向を向くようにして縦横に積まれた状態、即ち左右及び上下に並べた状態で倉庫等に保管される。そして、本発明の実施形態に係る情報処理装置として機能するスマートデバイス100を用いて、複数の対象物10の端面11が写るように撮像される。なお、全対象物10の端面が写るように撮像されるという意味ではなく、特許文献2にもあるように、全対象物10のうちの一部の対象物10の端面11が写るように撮像し、それをスマートデバイス100を移動させ、撮像する領域を変えながら繰り返すようにすればよい。
【0013】
対象物10に付された二次元コード20には、対象物10に対応する識別IDが記録されている。スマートデバイス100は撮像機能を有し、保管場所を撮像して撮像画像に基づいて、二次元コード20の配置の情報を生成することで、保管場所における対象物10の配置の情報を取得する。
【0014】
図3は、スマートデバイス100のハードウェア構成例を示す図である。スマートデバイス100は、CPU101と、記憶装置102と、表示装置103と、入力装置104と、撮像装置105と、外部インタフェース106と、これらを接続するバス107とを備える。
CPU101は、スマートデバイス100の全体を制御する。CPU101が記憶装置102等に記憶されているプログラムに基づき処理を実行することによってスマートデバイス100の機能及び処理が実現される。
【0015】
記憶装置102は、RAM、ROM、HDD等の記憶装置であって、プログラムを記憶したり、CPU101がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶したりする。
表示装置103は、液晶モニタ等であって画像を表示できる。
入力装置104は、ユーザの指示を受け付ける。入力装置104には、タッチパネルやボタン等が使われる。入力装置104は、マウスやキーボード等であってもよい。
撮像装置105は画像の撮像が可能な装置であり、例えばレンズ及び撮像素子等を備える。
外部インタフェース106は、スマートデバイス100との外部装置との通信の制御を司る。
【0016】
図4に示すように本発明に係る情報処理装置はスマートデバイス100の機能を実現する手段として、複数の端面11を撮像した撮像画像を取得する画像取得手段110と、画像取得手段110で取得した撮像画像上で、二次元コード20の所定部位を基準にして、端面11の基準点を求める計算手段111と、計算手段111で求めた端面11の基準点に基づいて、対象物10の縦横の位置関係を判定する判定手段112と、判定手段112で判定した位置関係に基づいて、対象物10の配置情報を生成する生成手段113とを備える。
【0017】
ここで、二次元コード20について説明する。二次元コード20は、対象物10ごとに一意に定められている識別ID等を記録可能なコードである。スマートデバイス100は、二次元コード20が写された撮像画像を解析することで、二次元コード20が記録する識別IDを取得できる。
【0018】
また、二次元コード20には、代表点及び代表サイズを定義できる。二次元コード20の代表点は、二次元コード20が写された撮像画像において二次元コード20の位置を代表する点である。二次元コード20の代表サイズは、二次元コード20が写された撮像画像において二次元コード20のサイズを代表する大きさである。
【0019】
図5を参照して、本実施形態で用いる二次元コード20の具体的例について説明する。二次元コード20は、ファインダパターン21とデータ部22とを備え、ファインダパターン21がデータ部22から分離して配置される。
ファインダパターン21は、データ部22を検出するための検出用パターンであり、円環部21aと、方向特定部21bとを備える。円環部21aは、複数の円環を備える。方向特定部21bは、ファインダパターン21の基準方向Wを特定できるパターンであり、円環部21aに沿って、円環部21aの円周方向に伸びる複数の突起部を備える。
データ部22は、基準方向Wに対して予め定められた所定の方向であって、ファインダパターン21から所定の距離に配置される。データ部22は矩形状の枠部の内側に、対象データに対応するビット列をパターンとして表すデータ領域を備える。
【0020】
本実施形態の二次元コード20では、円環部21aの中心点を代表点23とし、代表点23及びデータ部22(の角部)間の距離を代表サイズ24とする。なお、これら代表点23及び代表サイズ24の選び方は、二次元コード20に応じて適宜設定可能である。
【0021】
次に本発明の情報処理装置の作用等を説明する。上述のように自動貼付装置1によって所定の位置に所定の向きで二次元コード20が貼付された対象物10は図2のように、端面11が同方向を向くようにして左右及び上下に並べた状態で倉庫等に保管される。本実施形態において各対象物10の端面11には、図6のようにサイズの小さい二次元コード20が貼られるため、ファインダパターン21が対象物10の端面11の中心である基準点Pからずれた即ち、オフセットされた位置となっている。また、保管されている対象物10の向き、即ち端面11における二次元コード20の上下左右の位置は、対象物10ごとに基本的には相違している。
【0022】
複数の対象物10の端面11がスマートデバイス100の画像取得手段110、即ち撮像装置105により撮像され、撮像画像中の二次元コード20の円環部21a及び方向特定部21bにより、各対象物10の端面11における二次元コード20の上下左右の配置位置及び代表点23の位置が特定される。
計算手段111は、画像取得手段110で取得した撮像画像上で、二次元コード20の所定部位を基準にして、二次元コード20の向きと、二次元コード20の所定の箇所のサイズとに基づいて、端面11の基準点Pを求める。
【0023】
図6において、端面11の基準点Pに対する代表点23のオフセット量x,yは、代表サイズ24に対する倍率として予め設定されており、計算手段111は、特定された代表点23の位置を基準にして、代表サイズ24に基づいて端面11の中心を基準点Pとして求めることができる。このように二次元コード20の代表点23からオフセット補正により推定した端面11の中心である基準点Pを求めることで、対象物10の縦横の位置関係を得ることができる。
【0024】
即ち、例えば図2のように判定手段112は、計算手段111で求めた端面11Aの基準点Pに基づいて、端面11Bを「上」、端面11Cを「左」と的確に判定することができる。
そして生成手段113により、判定手段112で判定した縦横の位置関係に基づいて、対象物10の配置情報を生成される。
【0025】
このようにサイズの小さい二次元コード20であるために、ファインダパターン21が対象物10の中心である基準点Pからずれた場合でも対象物10の配置関係を正しく把握することができる。つまり本発明の情報処理装置によれば、二次元コードである二次元コード20のサイズに影響されずに、対象物10の配置情報を常に的確に得ることができる。
【0026】
上記の場合、スマートデバイス100によって対象物10の端面11を撮像する際、スマートデバイス100と対象物10の端面11の間隔が変化し、即ち撮像装置105の合焦距離がバラつくことがある。これに対応して、表示装置103の画面に表示される画像サイズが大小変化し、各画像を表示する画素数が増減するため、画素数ベースでオフセット補正することは実質的に困難になる。このような場合でも、代表点23のオフセット量x,yは、代表サイズ24との関係で設定されているため、スマートデバイス100及び端面11の間隔が変化しても、基準点Pを正確に求めることができる。
【0027】
以上、本発明を実施形態と共に説明したが、上記実施形態は本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
上記実施形態では、スマートフォンやタブレット端末等のスマートデバイス100が本発明でいう情報処理装置として機能する例を説明したが、これに限られるものではない。例えば撮像装置で撮像だけを行いと、撮像装置とは別のコンピュータ装置等が本発明でいう情報処理装置として機能するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、対象物の端面への二次元コードの付し方として、二次元コード20が印刷されたフィルム状の媒体を端面11に貼付する例を説明したが、これに限られるものではない。例えば端面に二次元コードを直接印字するようにしてもよい。一例として、端面に白い塗料を吹き付けた状態で、レーザで焼く方法(レーザマーキングの一方式)で二次元コードを印字することが考えられる。
【符号の説明】
【0028】
10 対象物、11 端面、20 二次元コード、21 ファインダパターン、22 データ部、23 代表点、24 代表サイズ、100 スマートデバイス、101 CPU、102 記憶装置、103 表示装置、104 入力装置、105撮像装置、106 外部インタフェース、107 バス、110 画像取得手段、111 計算手段、112 判定手段、113 生成手段。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8