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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】粉粒体検査処理装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/85 20060101AFI20230120BHJP
【FI】
G01N21/85 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019067310
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020165843
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000115418
【氏名又は名称】ライオンエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】山西 茂伸
(72)【発明者】
【氏名】梅内 満雪
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 義仁
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-294641(JP,A)
【文献】特開2011-163954(JP,A)
【文献】特開平3-264852(JP,A)
【文献】特開平6-288932(JP,A)
【文献】特開2009-236648(JP,A)
【文献】特開2017-167160(JP,A)
【文献】特開2014-142256(JP,A)
【文献】中国実用新案第206848190(CN,U)
【文献】国際公開第2012/005337(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-G01N 21/958
B07C 1/00-B07C 99/00
B65G 47/00-B65G 47/96
G01B 11/00-G01B 11/30
F21S 2/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象とする粉粒体を一定量毎で供給する供給装置と、
前記供給装置の下流に位置し、前記粉粒体を搭載して搬送する搬送装置と、
前記搬送装置に載せられた前記粉粒体に混入している異物を検知領域で検知する異物検知装置と、
を備え、
前記異物検知装置は、
上方に照明光を出射する光源部と、
前記搬送装置の上方に設けられ、前記光源部から出射された前記照明光を前記検知領域における前記搬送装置に向けて反射する反射装置と、
前記反射装置の上方に設けられ、前記反射装置で反射した前記照明光で照明された前記搬送装置の前記検知領域を撮像する撮像部と、
を有し、
前記反射装置は、前記撮像部と対向する、前記搬送装置の搬送方向における前記検知領域の位置に光透過部を有するとともに、前記搬送方向と直交する断面における下側の端部が前記搬送方向の全位置で直線上にあり、
前記撮像部は、前記光透過部を介して前記検知領域を撮像し、
前記光源部から出射された前記照明光が前記反射装置で反射された反射光のうちの正反射光は、前記搬送装置における前記検知領域を非照明であり、
前記反射装置で反射された前記反射光のうち、拡散反射光の一部は二次光源として前記検知領域を照明する、ことを特徴とする粉粒体検査処理装置。
【請求項2】
前記反射装置は、前記搬送装置と対向し、前記搬送装置の搬送方向における前記検知領域の位置から上流側及び下流側に向かうに従って、前記搬送装置との距離がそれぞれ短くなる反射面を有し、
前記光源部は、前記検知領域の上流側に設けられた第1光源部と、前記検知領域の下流側に設けられた第2光源部とを含み、
前記反射面は、前記搬送装置の幅方向に延びて形成されており、
前記第1光源部及び前記第2光源部は、それぞれが前記幅方向に間隔をあけて複数設けられ、
前記二次光源は、前記搬送方向と前記幅方向のそれぞれで間隔をあけて複数設けられ、上側から見て格子状に配置される、
請求項1に記載の粉粒体検査処理装置。
【請求項3】
前記第1光源部及び前記第2光源部は、前記反射面に対して、前記搬送方向の端部と前記光透過部との間に前記照明光を出射する、
請求項に記載の粉粒体検査処理装置。
【請求項4】
前記光源部は、前記搬送方向における前記検知領域の位置で、前記搬送装置の下方から前記搬送装置を介して前記照明光を上方に出射する第3光源部を含む、
請求項2または3に記載の粉粒体検査処理装置。
【請求項5】
前記反射面は、前記搬送装置の幅方向と直交する断面において円弧形状に形成されている、
請求項2からのいずれか一項に記載の粉粒体検査処理装置。
【請求項6】
前記光源部は、前記照明光を面発光する、
請求項1からのいずれか一項に記載の粉粒体検査処理装置。
【請求項7】
前記異物検知装置による異物検知結果に基づいて異物を除去する異物除去装置を有する、
請求項1からのいずれか一項に記載の粉粒体検査処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体検査処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
顆粒や粉体、例えば顆粒薬剤や食用粉末等の薬品や食品等の粉粒体に混入しているゴミ、金属片その他の異物の検査を行うとともに、その異物を除去するための粉粒体検査処理装置が様々開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、検査、除去対象となる粉粒体(粒状体)を照明装置で照明し、照明された粉粒体を撮像部で撮像した画像を基に、異物の有無を判別し空気の吐出によって対象の異物を取り除く粒状体検査処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-167160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来の粉粒体検査処理装置では、例えば、結晶性の粉粒体を照明すると、結晶が重なっている箇所や結晶が角張っている箇所で照明光が乱反射してしまい撮像部で撮像される反射光の光量が減少するため、粉粒体であるにも拘わらず異物であると誤認識される可能性がある。この場合、特許文献1に記載された粒状体検査処理装置では、異物であると認識された粉粒体が取り除かれてしまうという問題が生じる。
【0006】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、異物の誤認識を抑制できる粉粒体検査処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に従えば、検査対象とする粉粒体を一定量毎で供給する供給装置と、前記供給装置の下流に位置し、前記粉粒体を搭載して搬送する搬送装置と、前記搬送装置に載せられた前記粉粒体に混入している異物を検知領域で検知する異物検知装置と、を備え、前記異物検知装置は、上方に照明光を出射する光源部と、前記搬送装置の上方に設けられ、前記光源部から出射された前記照明光を前記検知領域における前記搬送装置に向けて反射する反射装置と、前記反射装置で反射した前記照明光で照明された前記搬送装置の前記検知領域を撮像する撮像部と、を有する粉粒体検査処理装置が提供される。
【0008】
また、上記本発明の一態様に係る粉粒体検査処理装置において、前記反射装置は、前記搬送装置と対向し、前記搬送装置の搬送方向における前記検知領域の位置から上流側及び下流側に向かうに従って、前記搬送装置との距離がそれぞれ短くなる反射面を有し、前記光源部は、前記検知領域の上流側に設けられた第1光源部と、前記検知領域の下流側に設けられた第2光源部とを含むことを特徴とする。
【0009】
また、上記本発明の一態様に係る粉粒体検査処理装置において、前記反射面は、前記搬送装置の幅方向に延びて形成されており、前記第1光源部及び前記第2光源部は、それぞれで前記幅方向に間隔をあけて複数設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、上記本発明の一態様に係る粉粒体検査処理装置において、前記反射装置は、前記撮像部と対向する、前記搬送方向における前記検知領域の位置に光透過部を有することを特徴とする。
【0011】
また、上記本発明の一態様に係る粉粒体検査処理装置において、前記第1光源部及び前記第2光源部は、前記反射面に対して、前記搬送方向の端部と前記光透過部との間に前記照明光を出射することを特徴とする。
【0012】
また、上記本発明の一態様に係る粉粒体検査処理装置において、前記光源部は、前記搬送方向における前記検知領域の位置で、前記搬送装置の下方から前記搬送装置を介して前記照明光を上方に出射する第3光源部を含むことを特徴とする。
【0013】
また、上記本発明の一態様に係る粉粒体検査処理装置において、前記反射面は、前記搬送装置の幅方向と直交する断面において円弧形状に形成されていることを特徴とする。
【0014】
また、上記本発明の一態様に係る粉粒体検査処理装置において、前記光源部は、前記照明光を面発光することを特徴とする。
【0015】
また、上記本発明の一態様に係る粉粒体検査処理装置において、前記光源部から出射された前記照明光が前記反射装置で反射された反射光のうちの正反射光は、前記搬送装置における前記検知領域を非照明であることを特徴とする。
【0016】
また、上記本発明の一態様に係る粉粒体検査処理装置において、前記異物検知装置による異物検知結果に基づいて異物を除去する異物除去装置を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、異物の誤認識を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る粉粒体検査処理装置1の正面図である。
図2】コンベア部30及び異物検知装置80を拡大した図である。
図3】コンベア部30及び異物検知装置80を+X側(搬送方向下流側)から視た図である。
図4】反射装置83の外観斜視図である。
図5】光源部82及び反射装置83が収納された筺体84を+Z側から視た平面図である。
図6】XZ平面での断面において、光源部82からの照明光LA~LCの光路を示す図である。
図7】YZ平面での断面において、第1光源部82Aからの照明光LAの光路を示す図である。
図8】反射装置83を用いず、検知領域31に直接照明光を射出する光源部を用いた場合に撮像部81で撮像された画像を示す図である。
図9】反射装置83を用いた異物検知装置80で撮像された画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の粉粒体検査処理装置の実施の形態を、図1ないし図9を参照して説明する。
なお、以下の実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0020】
図1は、本実施形態に係る粉粒体検査処理装置1の正面図である。この粉粒体検査処理装置1は、顆粒や錠剤、又は粉体等の粉粒体に混入しているゴミ、金属片、毛髪等の異物の検査を行うとともに、その異物を除去するための装置である。
【0021】
粉粒体検査処理装置1は、上下に分離された二つの筐体である上部筐体2と下部筐体3とを有する。上部筐体2には、正面側が開放できるように、上部筐体扉が設けられ、上部筐体2の内部を開放することができる構造となっている。なお、図1においては、前記上部筐体扉を省略し上部筐体2の内部が開放された状態として図示されている。
【0022】
上部筐体2の内部には、検査処理対象となる粉粒体を供給し、分散させ検査し、粉粒体に混入した異物を除去する各装置が備えられている。粉粒体は粉粒体検査処理装置1の正面から向かって左方より右方に搬送され、この搬送経路中において異物の混入が検査され、さらに異物が発見された場合にはこの異物が除去される。
【0023】
下部筐体3の内部には、前記上部筐体2の内部に設けられた各装置と接続された配管や、除去された異物を収容する異物収容タンクが設置されている。下部筐体3は、正面側から開放可能な扉3aが設けられており、作業者は点検時や、異物収容タンク内の異物を回収することができる。
また、下部筐体3の下面には、キャスター4が取り付けられており、粉粒体検査処理装置1は、当該キャスター4によって容易に移動させることができる。
【0024】
粉粒体検査処理装置1は、粉粒体供給装置10、振動フィーダ20、コンベア部30(搬送装置)、異物除去装置50及び異物検知装置80を備えている。
【0025】
粉粒体供給装置10は、上部筐体2の最上流(図1において左方)に設けられている。粉粒体供給装置10の上部には、中空円錐状に形成されたホッパー5が備えられており粉粒体を下方に供給する。このホッパー5は、上部筐体2の天面2cに設けられた設置孔2aに挿通されて固定されている。また、ホッパー5は、粉粒体検査処理装置1が接地された室内の埃等が混入しないようホッパー蓋体5aを備えている。
【0026】
粉粒体供給装置10は、上方から順に接続部18、案内部15、下蓋体14、ローラー収納体11、ローラー12、ローラー取付体13を有する。
ホッパー5から接続部18を介して下方に供給された粉粒体は、案内部15に導入され、さらに案内部15の下面からローラー12に所定量だけ収容される。ローラー12に収容された粉粒体は、ローラー12の回転によりローラー12の下方に移送され、自然落下する。ローラー12を一定速度で回転することにより、一定間隔で粉粒体が落下し、一定量の粉粒体を一定間隔で下流の振動フィーダ20に供給することができる。
【0027】
振動フィーダ20は、粉粒体供給装置10の下方に設けられている。振動フィーダ20は、粉粒体供給装置10から供給された粉粒体を均一に均して下流(コンベア部30)に流す。振動フィーダ20は、振動部21と当該振動部21の上面に設置された受板22とを有している。
【0028】
受板22は、粉粒体供給装置10の下側の位置からコンベア部30の一端部までの間に延在して配置されている。受板22は、粉粒体供給装置10から排出された粉粒体を受けるとともに、振動部21による振動により粉粒体を均し、さらにこれをコンベア部30に供給する。本実施形態では、受板22を水平に配置するとともに、進行方向に対して斜め前の方向に振動させることにより粉粒体をコンベア部30側に移動させる。また、受板22をコンベア部30側に傾斜するように配置しても良い。
【0029】
コンベア部30は、振動フィーダ20から供給された粉粒体を下流(図1中、水平方向右側)に搬送する。なお、以下においては、上下方向をZ方向とし、粉粒体の搬送方向をX方向とし、Z方向及びX方向と直交する方向をY方向として適宜説明する。
【0030】
コンベア部30は、無端ベルト38と当該無端ベルト38を振動フィーダ20の右端から良品シュート6の間でテンションを印加し回転駆動させる第1プーリ34A、第2プーリ34B、第3プーリ34Cを有している。無端ベルト38は、透明または半透明の光透過材で形成されている。
【0031】
第1プーリ34A、第2プーリ34B、第3プーリ34Cは、コンベア部30の奥側に配置される電機機械室9に設けられた駆動制御手段(図示せず)により、第2プーリ34Bが図1中、時計回り方向に回転することにより、Y方向を幅方向とする無端ベルト38を右回りに駆動させることができる。第1プーリ34A及び第3プーリ34Cは回転自在に支持されており、無端ベルト38の駆動に追随して回転することができる。
【0032】
コンベア部30には、一対の粉塵吸引ノズル7、7が設けられている。無端ベルト38が右方から左方に駆動する下半周部分において、無端ベルト38の外周面と内周面とに付着した粉塵を、これらの粉塵吸引ノズル7、7によって吸引することができる。
【0033】
図2は、コンベア部30及び異物検知装置80を拡大した図である。
異物検知装置80は、コンベア部30上を搬送される粉粒体の検知領域31の二次元画像を撮像することで粉粒体の異物混入を検査する。異物検知装置80は、コンベア部30による粉粒体の搬送経路に設けられている。異物検知装置80は、撮像部81と光源部82と反射装置83とを有している。光源部82及び反射装置83は、防水・防塵のために筺体84に水密状態で収納されている。
【0034】
図3は、コンベア部30及び異物検知装置80を+X側(搬送方向下流側)から視た図である。
撮像部81は、一例として、CCDカメラである。撮像部81は、無端ベルト38の幅方向(Y方向)に間隔をあけて複数(本実施形態では3個)設けられている。撮像部81は、-Z側に視野を有し無端ベルト38上を撮像領域として撮像する。
【0035】
無端ベルト38上における隣り合う撮像部81の撮像可能領域(視野範囲)81Aは、Y方向端部において互いに重複している。検知領域31は、複数の撮像部81の撮像可能領域(視野範囲)81AでカバーされるY方向に延びる領域である。検知領域31は、無端ベルト38に粉粒体が移載される範囲よりも幅方向で大きな範囲に設定されている。
【0036】
撮像部81によって撮影された画像データは、CPU等からなる画像検査部(図示せず)に伝送され、当該画像検査部において画像処理され、粉粒体に異物が混入しているか否かを判別する。例えば予め基準となる粉粒体の画像データを記憶しておき、伝送されてきた粉粒体の画像データと対比し、その画像データが設定値以上であるときは異物があると判別する。
【0037】
図4は、反射装置83の外観斜視図である。
反射装置83は、XZ平面での断面形状が+Z側に凸となる略半円の円弧形状でY方向に延びるドーム状に形成されている。反射装置83は、XZ平面での断面において頂点位置となるX方向の中心に、Z方向視でY方向を長辺方向とする略矩形状の開口部(光透過部)83Aを有している。開口部83Aは、Z方向に貫通している。開口部83Aは、X方向及びY方向の双方で検知領域31(複数の撮像部81の視野範囲)よりも大きな範囲に形成されている。すなわち、開口部83Aは、複数の撮像部81が当該開口部83Aを介して無端ベルト38上を撮像可能としている。
【0038】
反射装置83は、無端ベルト38に臨む-Z側に反射面83Bを有している。反射面83Bは、Y方向に沿って延びて形成されており、X方向における検知領域31の位置から搬送方向上流側及び下流側に向かうに従って無端ベルト38との距離がそれぞれ短くなる。反射装置83は、一例として、合成樹脂材で形成されている。
【0039】
図2に戻り、光源部82は、検知領域31より上流側に設けられ照明光LAを上方に向けて出射する第1光源部82Aと、検知領域31より下流側に設けられ照明光LBを上方に向けて出射する第2光源部82Bと、無端ベルト38の下方に設けられ無端ベルト38を介して照明光LCを上方に向けて出射する第3光源部82Cとを含む。
【0040】
第1光源部82A、第2光源部82B及び第3光源部82Cは、一例として、いずれもLEDを光源とし、Z軸と平行な光軸で+Z側に向けてそれぞれ照明光LA~LCを面発光する。また、第1光源部82A、第2光源部82B及び第3光源部82Cは、照明光LA~LCをそれぞれ所定の配光角度(例えば、30~90度)で出射する。
【0041】
第1光源部82A及び第2光源部82Bは、それぞれ反射面83Bに対して、X方向の端部と開口部83Aとの間に照明光LA、LBを出射する。
【0042】
図5は、光源部82及び反射装置83が収納された筺体84を+Z側から視た平面図である。図5に示すように、第1光源部82A及び第2光源部82Bは、それぞれY方向に間隔をあけて複数(図5では五つずつ)設けられている。Y方向で最も外側に配置された第1光源部82A及び第2光源部82Bは、開口部83AよりもY方向の外側に配置されている。
【0043】
第3光源部82Cは、無端ベルト38の-Z側に間隔をあけ、X方向で撮像部81及び検知領域31と同一位置に配置されている。第3光源部82Cは、図3に示すように、Y方向に延在して配置され、無端ベルト38上の検知領域31をY方向に亘って下方から照明する。
【0044】
異物除去装置50は、コンベア部30の終端部(図1における右端部)に設けられている。異物除去部50は、コンベア部30の終端付近の無端ベルト38の上方に近接して設けられ異物を除去するための除去ノズル56を有している。除去ノズル56は、異物検知装置80により粉粒体に異物が混入していると判別された場合、即ちその信号を受信したときに、除去ノズル56の先端から無端ベルト38上の一定領域の粉末体を吸引して、異物を除去することができる。除去ノズル56は、気密に吸引ホース54の一端に接続されている。吸引ホース54の他端は、下部筐体3の側壁に設けられた吸引口55(配管開口)に接続されている。吸引口55は、下部筐体3の内部に設けられた吸引装置(図示略)によって、異物を吸引するための負圧が発生するように構成されている。
【0045】
続いて、上記粉粒体検査処理装置1の検査処理について、図6及び図7を参照して説明する。
ホッパー5から接続部18を介して下方に供給された粉粒体は、図1に示した案内部15、ローラー12及び振動フィーダ20を介して均一に均された状態でコンベア部30の無端ベルト38に連続的に供給される。
【0046】
無端ベルト38に供給された粉粒体は、無端ベルト38の駆動により、検知領域31に搬送される。検知領域31において粉粒体は、照明光LA、LBによって+Z側から照明されるとともに、照明光LCによって-Z側から照明される。
【0047】
図6は、XZ平面での断面において、光源部82からの照明光LA~LCの光路を示す図である。
図6に示すように、第1光源部82Aから+Z側に出射された照明光LA及び第2光源部82Bから+Z側に出射された照明光LBは、それぞれ反射装置83の反射面83Bで反射する。
【0048】
図6において、矢印で示す第1光源部82Aから出射された照明光LA及び第2光源部82Bから出射された照明光LBは、それぞれ照明光LA、LBの光軸を示している。また、図6において、反射面83Bで反射した矢印で示す照明光LA、LBの反射光は、それぞれ正反射光の光軸を示している。
【0049】
図6に示されるように、照明光LA、LBは、Y方向視で円弧状の反射面83Bの円弧中心からX方向に外れた位置で+Z側に出射されているため、反射面83Bへの入射角度が大きくなる。そのため、照明光LA、LBが反射面83Bで反射した正反射光についても、出射角及び入射角が大きくなる。その結果、正反射光は、反射面83Bで周方向に離間した位置で複数回(図6では二回、照明光LA、LBの反射も含めて三回)反射し無端ベルト38上の検知領域31から外れた位置を照明する。
【0050】
一方、照明光LA、LB及び正反射光が反射面83Bで反射した際には、正反射光とは別に拡散反射光が生じる。拡散反射光は、様々な方向に乱反射するため、一部が検知領域31を照明する。換言すると、照明光LA、LB及び正反射光が反射面83Bの複数箇所(図6では、照明光LA、LBのそれぞれで三箇所)で反射して生じた拡散反射光の一部は、二次光源として個別に無端ベルト38上の検知領域31を照明する。
【0051】
また、第1光源部82A及び第2光源部82Bは、それぞれ複数(図5では、五個ずつ)設けられているため、無端ベルト38上の検知領域31は、第1光源部82Aから出射された照明光LAを光源とする十五箇所と、第2光源部82Bから出射された照明光LBを光源とする十五箇所の反射面83B上で合計三十箇所で、周方向(X方向)で異なる位置の二次光源からの照明光で重畳的に照明されることになる。
【0052】
図7は、YZ平面での断面において、第1光源部82Aからの照明光LAの光路を示す図である。なお、第2光源部82Bからの照明光LBの光路は、第1光源部82Aからの照明光LAの光路と同様であるため説明を省略する。
【0053】
図7に示されるように、第1光源部82Aから出射された照明光LAは、所定の配光角を有して広がるため、反射面83Bで反射した照明光LAは、反射面83Bに対する反射領域のY方向の長さよりも大きい照明長さLLで、且つ、Y方向で隣り合う第1光源部82Aから出射された照明光LAの反射光の照明領域と重なる無端ベルト38上の検知領域31を照明する。そのため、無端ベルト38上の検知領域31は、上記周方向(X方向)に加えて、Y方向についても二次光源を形成する拡散反射光の一部で重畳的に照明される。
【0054】
コンベア部30により検知領域31に搬送された無端ベルト38上の粉粒体は、上述したように、複数の二次光源からの照明光により重畳的に照明されて撮像部81によって撮像される。この場合、例えば、粉粒体において結晶が重なっている箇所や結晶が角張っている箇所で照明光の一つが乱反射しても、他の二次光源からの照明光により重畳的に照明されるため、撮像部81で撮像される光量が他の箇所の粉粒体に比べて大きく光量が減少することはなく、また、撮像部81で撮像される異物からの光量よりも大きくなる。その結果、粉粒体において結晶が重なっている箇所や結晶が角張っている箇所が撮像部81による撮像結果で異物であると誤認識されることを抑制できる。
【0055】
図8は、反射装置83を用いず、検知領域31に直接照明光を射出する光源部を用いた場合に撮像部81で撮像された画像を示す図である。図9は、上記の反射装置83を用いた異物検知装置80で撮像された画像を示す図である。
【0056】
図8に示すように、反射装置83を用いない場合には、異物ではない粉粒体において線状の光量低下部が撮像され異物であるとご認識された。これに対して、反射装置83を用た場合には、図9に示すように、粉粒体において光量低下部は撮像されずご認識は生じなかった。
【0057】
そして、撮像部80の撮像結果により粉粒体に異物が混入していると判別された場合には、即ちその信号を受信したときに、除去ノズル56の先端から無端ベルト38上の一定領域の粉末体を吸引して、異物を除去することができる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態の粉粒体検査処理装置1では、光源部から射出された照明光で直接粉粒体を照明せず、反射装置83により反射して散乱した複数の照明光で重畳的に照明するため、粉粒体の特定箇所で乱反射が生じても他の照明光で照明されることになり、撮像部81で撮像される光量が大きく減少して異物として誤認識されることを抑制できる。その結果、本実施形態の粉粒体検査処理装置1では、異物として誤認識された粉粒体が異物除去装置50で除去されてしまい歩留まりが低下することを抑制できる。
【0059】
また、本実施形態の粉粒体検査処理装置1では、反射面83Bでの正反射光がベルト38上の検知領域31から外れた位置を照明するため、検知領域31に正反射光が照明された場合のように乱反射した箇所と他の箇所とで、撮像部81で撮像される光量の差が大きくなり誤認識されてしまうことを抑制できる。
【0060】
さらに、本実施形態の粉粒体検査処理装置1では、第1光源部82Aを検知領域31の上流側に設け、第2光源部82Bを検知領域31の下流側に設けているため、検知領域31に対してX方向の両側から照明することが可能となり、乱反射した箇所と他の箇所とで撮像部81で撮像される光量の差をより小さくして誤認識を抑制することができる。
【0061】
加えて、本実施形態の粉粒体検査処理装置1では、第1光源部82A及び第2光源部82Bが反射面83Bに対して、搬送方向の端部と開口部83Aとの間に照明光LA、LBを出射するため、照明光LA、LBが開口部83Aを介して直接撮像部81に入射することを回避でき、撮像部81の撮像に悪影響を及ぼすことを抑制できる。
【0062】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0063】
例えば、上記実施形態では、反射装置83の反射面83Bが断面視で円弧状である構成を例示したが、この構成に限定されず、例えば、X方向両側に向かうに従って-Z側に向かう傾斜面を有するΛ字状であってもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、粉粒体検査処理装置1が異物除去装置50を有する構成を例示したが、異物除去装置50が設けられない構成であってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…粉粒体検査処理装置、 10…粉粒体供給装置、 30…コンベア部(搬送装置)、 31…検知領域、 50…異物除去装置、 80…異物検知装置、 81…撮像部、 82…光源部、 82A…第1光源部、 82B…第2光源部、 82C…第3光源部、 83…反射装置、 83A…開口部(光透過部)、 83B…反射面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9