(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】鉄スクラップ検品方法および鉄スクラップ検品システム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20230120BHJP
B09B 5/00 20060101ALI20230120BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
B09B5/00 C
G01N21/17 A
(21)【出願番号】P 2019078908
(22)【出願日】2019-04-17
【審査請求日】2022-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】503086499
【氏名又は名称】株式会社メタルワン
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】瀬古 剛一郎
(72)【発明者】
【氏名】永田 昌宏
【審査官】古川 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-253400(JP,A)
【文献】特開平7-280747(JP,A)
【文献】特開2017-109197(JP,A)
【文献】特開2011-64538(JP,A)
【文献】特開平8-209254(JP,A)
【文献】特開2004-279123(JP,A)
【文献】特開2020-95709(JP,A)
【文献】特開2005-164309(JP,A)
【文献】米国特許第9785851(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N21/01
G01N 21/17 - G01N21/61
G01N 21/84 - G01N21/958
B09B 5/00
B07C 1/00 - B07C99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁力を制御して鉄スクラップの吸着および吸着解除を行うリフトマグネットと、トラック停車位置と検品済み鉄スクラップ載置場との間に懸けられたクレーンレールと、前記リフトマグネットを昇降させるとともに、前記クレーンレールに沿って前記トラック停車位置と前記検品済み鉄スクラップ載置場との間を移動するクレーンと、を備えた鉄スクラップヤード設備と連携して、トラックの荷台に山積みされた鉄スクラップ群を検品する鉄スクラップ検品方法であって、
前記トラック停車位置に停車した前記トラックの荷台に山積みされた鉄スクラップ群を撮像するように配置されたカメラを動作させ、前記リフトマグネットが当該カメラの画角から外れているときに撮像された撮像データを検出装置に出力する撮像工程と、
前記検出装置が、鉄スクラップ群に含まれる可能性の高い禁忌物のそれぞれについて、画像データを用いた人工知能の学習処理により予め作成された学習済みモデルを用いて、人工知能の判定処理により、前記撮像データに禁忌物が映っているか否かを判断し、禁忌物が映っていると判断したならば、禁忌物が強調表示された前記撮像データを表示して、作業者に禁忌物を除去させることにより、前記撮像データに映っている鉄スクラップ群を検品する検品工程と、
前記クレーンおよび前記リフトマグネットを用いて、前記撮像データに映っている検品済みの鉄スクラップ群を、前記トラックの荷台から前記検品済み鉄スクラップ載置場へ移動させる移動工程と、を
前記トラックの荷台から鉄スクラップ群がなくなるまで繰り返す
ことを特徴とする鉄スクラップ検品方法。
【請求項2】
請求項1に記載の鉄スクラップ検品方法であって、
前記検品工程において、前記検出装置は、
前記撮像データに禁忌物が映っていると判断した場合、前記カメラの撮影範囲および当該撮影データにおける当該禁忌物の位置に基づいて、前記トラックの荷台に山積みされた鉄スクラップ群における当該禁忌物の位置を特定し、特定した位置を照明するように照明装置を制御する
ことを特徴とする鉄スクラップ検品方法。
【請求項3】
磁力を制御して鉄スクラップの吸着および吸着解除を行うリフトマグネットと、トラック停車位置と検品済み鉄スクラップ載置場との間に懸けられたクレーンレールと、前記リフトマグネットを昇降させるとともに、前記クレーンレールに沿って前記トラック停車位置と前記検品済み鉄スクラップ載置場との間を移動するクレーンと、を備えた鉄スクラップヤード設備と連携して、トラックの荷台に山積みされた鉄スクラップ群を検品する鉄スクラップ検品システムであって、
前記トラック停車位置に停車した前記トラックの荷台に山積みされた鉄スクラップ群を撮像するように配置されたカメラと、
前記リフトマグネットが前記カメラの画角から外れている状態を検出するセンサと、
前記カメラの撮像データから禁忌物を検出する検出装置と、を備え、
前記カメラは、
前記リフトマグネットが前記カメラの画角から外れている状態を前記センサが検出しているときに動作して、前記トラックの荷台に山積みされた鉄スクラップ群を撮像し、
前記検出装置は、
鉄スクラップ群に含まれる可能性の高い禁忌物のそれぞれについて、画像データを用いた人工知能の学習処理により予め作成された学習済みモデルを用いて、人工知能の判定処理により、前記カメラの撮像データに禁忌物が映っているか否かを判断し、禁忌物が映っていると判断したならば、禁忌物が強調表示された前記カメラの撮像データを表示する
ことを特徴とする鉄スクラップ検品システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄スクラップ群のなかからトランプエレメント等の非鉄物質を含む禁忌物(異物、除去対象物)を検出して、鉄スクラップ群を検品する鉄スクラップ検品技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、破砕後の鉄スクラップ群のなかから銅を含有するスクラップを自動識別する技術が開示されている。この技術は、カラーテレビカメラにより1つあるいは複数の鉄スクラップを撮像し、撮像画像内の各点について、その点の彩度値および色相角値を求め、求めた彩度値が所定の規定値以上である場合に、求めた色相角値が銅の色相角範囲内にあるか否かにより、その点が銅であるか否かを判断する。これより、鉄スクラップ群のなかから銅を含有するスクラップを自動識別する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、銅以外の非鉄物質を識別することができない。また、破砕後の鉄スクラップ群を前提としており、銅線が巻回されたコアがハウジングに収容されたモータ、不燃性物質が容器に充填された消火器等の密閉された密閉物を識別することができない。
【0005】
また、一般に、鉄スクラップは、トラックの荷台に山積みされて、鉄スクラップの検品所に持ち込まれる。しかしながら、特許文献1に記載の技術は、このような内側がカラーテレビカメラで撮像できない山積みの鉄スクラップ群を検品対象とすることについて、何ら考慮されていない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、非鉄物質、および密閉物を含む禁忌物を、トラックの荷台に山積みされた鉄スクラップ群のなかから効率よく検出して、鉄スクラップ群を検品することができる鉄スクラップ検品技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、鉄スクラップヤード設備と連携させ、所定のトラック停車位置に停車したトラックの荷台に山積みされた鉄スクラップ群を検品する。まず、トラックの荷台に山積みされた鉄スクラップ群をカメラで撮像し、人工知能によりカメラの撮像データに禁忌物が映っているか否かを判断する。そして、禁忌物が映っているならば、作業者に、この禁忌物の除去を促して、禁忌物を除去させる。つぎに、カメラの撮像データに映っている検品済みの鉄スクラップ群を、クレーンおよびリフトマグネットによりトラックの荷台から検品済み鉄スクラップ載置場へ移動させる。これをトラックの荷台から鉄スクラップがなくなるまで繰り返す。
【0008】
例えば、本発明は、
磁力を制御して鉄スクラップの吸着および吸着解除を行うリフトマグネットと、トラック停車位置と検品済み鉄スクラップ載置場との間に懸けられたクレーンレールと、前記リフトマグネットを昇降させるとともに、前記クレーンレールに沿って前記トラック停車位置と前記検品済み鉄スクラップ載置場との間を移動するクレーンと、を備えた鉄スクラップヤード設備と連携して、トラックの荷台に山積みされた鉄スクラップ群を検品する鉄スクラップ検品方法であって、
前記トラック停車位置に停車した前記トラックの荷台に山積みされた鉄スクラップ群を撮像するように配置されたカメラを動作させ、前記リフトマグネットが当該カメラの画角から外れているときに撮像された撮像データを検出装置に出力する撮像工程と、
前記検出装置が、鉄スクラップ群に含まれる可能性の高い禁忌物のそれぞれについて、画像データを用いた人工知能の学習処理により予め作成された学習済みモデルを用いて、人工知能の判定処理により、前記撮像データに禁忌物が映っているか否かを判断し、禁忌物が映っていると判断したならば、禁忌物が強調表示された前記撮像データを表示して、作業者に禁忌物を除去させることにより、前記撮像データに映っている鉄スクラップ群を検品する検品工程と、
前記クレーンおよび前記リフトマグネットを用いて、前記撮像データに映っている検品済みの鉄スクラップ群を、前記トラックの荷台から前記検品済み鉄スクラップ載置場へ移動させる移動工程と、を
前記トラックの荷台から鉄スクラップ群がなくなるまで繰り返す。
【0009】
なお、前記検品工程において、鉄スクラップ群に含まれる可能性の高い禁忌物としては、例えば、鉛製の水道管用継手等の非鉄物質製部品、および、銅線が巻回されたコアがハウジングに収容されたモータ、不燃性物質が容器に充填された消火器等の密閉部品がある。
【0010】
また、前記移動工程において、前記リフトマグネットは、前記トラックの荷台に山積みされた鉄スクラップ群の内側に位置する未検品の鉄スクラップまで吸着しないように磁力が調整されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、人工知能を用いてカメラの撮像データに禁忌物が映っているか否かを判断するので、銅以外の非鉄物質製部品や密閉部品であっても、これらを禁忌物として予め人工知能に学習させておくことで、カメラの撮像データから検出することができる。また、鉄スクラップヤード設備と連携させ、カメラの撮像データに映っている検品済みの鉄スクラップ群をクレーンおよびリフトマグネットによりトラックの荷台から検品済み鉄スクラップ載置場へ移動させる都度、トラックの荷台に残っている鉄スクラップ群をカメラで撮像し、検出装置によりカメラの撮像データから禁忌物を検出している。このため、トラックの荷台に山積みされた鉄スクラップ群の内部に含まれている禁忌物も検出することができる。このように、本発明によれば、非鉄物質、および密閉物を含む禁忌物を、トラックの荷台に山積みされた鉄スクラップ群のなかから効率よく検出することができる鉄スクラップ検品技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態に係る鉄スクラップ検品システムを含む鉄スクラップヤードの概略構成図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す鉄スクラップヤードを上方から見た図である。
【
図3】
図3は、検出装置12の概略機能構成図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す鉄スクラップヤードを用いた鉄スクラップ検品方法を説明するためのフロー図である。
【
図5】
図5(A)は、カメラ10の撮像データ35に禁忌物34が含まれている場合の表示例を示す図であり、
図5(B)は、カメラ10の撮像データ35に禁忌物34が含まれていない場合の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態に係る鉄スクラップ検品システムを含む鉄スクラップヤードの概略構成図であり、
図2は、
図1に示す鉄スクラップヤードを上方から見た図である。
【0015】
図示するように、本実施の形態に係る鉄スクラップ検品システムは、磁力を制御して鉄スクラップの吸着および吸着解除を行うリフトマグネット20と、所定のトラック停車位置30と検品済み鉄スクラップ載置場31との間に懸けられたクレーンレール21と、リフトマグネット20を昇降させるとともに、クレーンレール21に沿ってトラック停車位置30と検品済み鉄スクラップ載置場31との間を移動するクレーン22と、クレーン22およびリフトマグネット20を操作するための操作装置23と、を備えた鉄スクラップヤード設備と連携して、トラック32の荷台に山積みされた破砕前の鉄スクラップ(例えばグレードH2の鉄スクラップ)群33を検品するためのものであり、カメラ10と、センサ11と、検出装置12と、を備えている。
【0016】
カメラ10は、トラック停車位置30に停車したトラック32の荷台に山積みされた鉄スクラップ群33を撮像するように配置されており、センサ11からの検出信号をトリガとして動作して鉄スクラップ群33を撮像する。そして、撮像データを検出装置12に出力する。
【0017】
センサ11は、リフトマグネット22がカメラ10の画角から外れている状態を検出し、検出信号をカメラ10に出力する。具体的には、クレーン22がクレーンレール21のホームポジションPから所定距離(リフトマグネット22がカメラ10の画角から外れるまで離れた距離)以上離れたことを検出し、検出信号をカメラ10に出力する。
【0018】
検出装置12は、人工知能を活用し、カメラ10の撮像データから、鉛製の水道管用継手等の非鉄物質製部品、および、銅線が巻回されたコアがハウジングに収容されたモータ、不燃性物質が容器に充填された消火器等の密閉部品を含む、鉄スクラップ群33に含まれる可能性の高い禁忌物を検出する。
【0019】
【0020】
図示するように、検出装置1は、カメラ接続部120と、マンマシンインターフェース部121と、学習用済みモデル受付部122と、学習済みモデル記憶部123と、AI(Artifical Intelligence)処理部124と、を備えている。
【0021】
カメラ接続部120は、カメラ10から撮像データを受信するためのインターフェースである。
【0022】
マンマシンインターフェース部121は、作業者から各種操作を受け付けたり、作業者に情報を提示したりするためのインターフェースであり、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置と、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置と、を有する。
【0023】
学習済みモデル受付部122は、図示していないインターネット等のネットワークを介して他の装置から、あるいは図示していないUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記憶媒体から、鉄スクラップ群33に含まれる可能性の高い禁忌物の学習済みモデル(学習器)を受け付ける。
【0024】
ここで、学習済みモデルは、1以上の学習用画像データを用いた人工知能による学習処理により予め生成される。例えば、人工知能に、鉛製の水道管用継手等の非鉄物質製部品のそれぞれについて、該当する非鉄物質製部品の1以上の学習用画像データを用いて、該当する非鉄物質製部品の特徴(形状、色等)を学習させるとともに、銅線が巻回されたコアがハウジングに収容されたモータ、不燃性物質が容器に充填された消火器等の密閉部品のそれぞれについて、該当する密閉部品の1以上の学習用画像データを用いて、該当する密閉部品の特徴を学習させることにより、鉄スクラップ群33に含まれる可能性の高い禁忌物の学習済みモデルが生成される。
【0025】
学習済みモデル記憶部123は、学習済みモデル受付部122により受け付けられた学習済みモデルを記憶する。
【0026】
AI処理部124は、学習済みモデル記憶部123に記憶されている、人工知能による学習処理により予め生成された鉄スクラップ群33に含まれる可能性の高い禁忌物の学習済みモデルを用いて、カメラ接続部120を介してカメラ10より受信した撮像データに人工知能による判定処理を実施して、この撮像データに禁忌物が含まれているか否かを判断する。そして、判断結果をマンマシンインターフェース部121に表示する。
【0027】
なお、
図3に示す検出装置12の機能構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいはDSP(Digital Signal Processor)等の計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。または、CPUと、メモリと、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の補助記憶装置と、NIC(Network Interface Card)、無線アダプタ等の通信装置と、を備えた汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することにより実現されるものでもよい。
【0028】
図4は、
図1に示す鉄スクラップヤードを用いた鉄スクラップ検品方法を説明するためのフロー図である。このフローは、トラック32の荷台に山積みされた鉄スクラップ群33がすべて検品済み鉄スクラップ載置場31に移動するまで繰り返される。
【0029】
[撮像工程S1]
作業者が操作装置23を操作して、クレーン22を検品済み鉄スクラップ載置場31へ向けて移動させ、これにより、クレーン22がクレーンレール21のホームポジションPから所定距離(リフトマグネット22がカメラ10の画角から外れるまで離れた距離)以上離れると、センサ11がこれを検知して、検出信号をカメラ10に出力する。
【0030】
これを受けて、カメラ10は、トラック停車位置30に停車したトラック32の荷台に山積みされた鉄スクラップ群33を撮像し、その撮像データを検出装置12に出力する。
【0031】
[検品工程S2]
検出装置1において、AI処理部124は、カメラ接続部120を介してカメラ10から撮像データを受信すると、この撮像データに対して、学習済みモデル記憶部123に記憶されている学習済みモデルを用いて人工知能による判定処理を実施し、これにより、この撮像データに禁忌物が含まれているか否かを判断する。そして、判断結果をマンマシンインターフェース部121に表示する。
【0032】
具体的には、撮像データに禁忌物が含まれていると判断した場合、AI処理部124は、
図5(A)に示すように、撮像データ35に映っている鉄スクラップ群33に含まれている禁忌物34に、輪郭線を追加する、明度を上げる等の強調表示を施す。そして、この禁忌物34が強調表示された鉄スクラップ群33の撮像データ35を、作業者に鉄スクラップ群33からこの禁忌物34を除去することを促すメッセージ36とともに、マンマシンインターフェース部121に表示する。これを受けて、作業者は、撮像データ35に映っている禁忌物34を確認し、この禁忌物34を鉄スクラップ群33から除去する。
【0033】
一方、撮像データに禁忌物が含まれていないと判断した場合、AI処理部124は、
図5(B)に示すように、撮像データ35に禁忌物34は映っていない旨のメッセージ37を、この撮像データ35とともに、マンマシンインターフェース部121に表示する。
【0034】
[移動工程S3]
まず、作業者が、マンマシンインターフェース部121に表示されている撮像データ35に禁忌物34が映っていないことを確認するか、あるいは、撮像データ35に映っている禁忌物34を除去したことを確認し、操作装置23を操作して、クレーン22をトラック停車位置30に停車しているトラック32の荷台に山積みされた鉄スクラップ群33の頭上に移動させ、それから、リフトマグネット20を下降させて鉄スクラップ群33上に置く。そして、リフトマグネット20の磁力を制御して、マンマシンインターフェース部121に表示されている撮像データ35に映っている検品済みの鉄スクラップ群33をリフトマグネット20に吸着させる。このとき、リフトマグネット20の磁力は、撮像データ35に映っている検品済みの鉄スクラップ群33以外の鉄スクラップを吸着しないように予め調整されているか、あるいは、操作装置23を操作して、吸着の都度、調整することが好ましい。
【0035】
つぎに、作業者が、操作装置23を操作して検品済みの鉄スクラップ群33を吸着したリフトマグネット20を上昇させ、それから、クレーン22を検品済み鉄スクラップ載置場31の頭上に移動させる。そして、リフトマグネット20の磁力を制御して、リフトマグネット20を吸着解除することにより、リフトマグネット20に吸着されている検品済みの鉄スクラップ群33を検品済み鉄スクラップ載置場31に積載する。
【0036】
ここで、クレーン22がトラック停車位置30から検品済み鉄スクラップ載置場31へ移動すると、クレーン22がクレーンレール21のホームポジションPから所定距離(リフトマグネット22がカメラ10の画角から外れるまで離れた距離)以上離れたこととなり、センサ11がこれを検知して、検出信号をカメラ10に出力する。これにより、撮像工程S1に戻り、
図4に示すフローを繰り返す。
【0037】
以上、本発明の一実施の形態を説明した。
【0038】
本実施の形態では、人工知能を用いてカメラ10の撮像データ35に映っている鉄スクラップ群33に禁忌物34が含まれているか否かを判断するので、銅以外の非鉄物質製部品や密閉部品であっても、これらを禁忌物34として予め人工知能に学習させておくことで、カメラ10の撮像データ35から検出することができる。また、鉄スクラップヤード設備と連携させ、カメラ10の撮像データ35に映っている検品済みの鉄スクラップ群33をリフトマグネット20によりトラック32の荷台から検品済み鉄スクラップ載置場31へ移動させる都度、トラック32の荷台に残っている鉄スクラップ群33をカメラ10で撮像し、検出装置12によりカメラ10の撮像データ35から禁忌物34を検出している。このため、トラック32の荷台に山積みされた鉄スクラップ群33の内部に含まれている禁忌物34も検出することができる。
【0039】
このように、本実施の形態によれば、非鉄物質、および密閉物を含む禁忌物34を、トラック32の荷台に山積みされた鉄スクラップ33群のなかから効率よく検出することができる。
【0040】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0041】
例えば、上記実施の形態の鉄スクラップ検品システムに、照射方向を制御可能なスポットライト、レーザポインタ等の照明装置を追加してもよい。そして、検出装置12に、照明装置の照射方向を制御する制御部を設け、検品工程S2において、AI処理部124が、カメラ10の撮像データ35に禁忌物34が映っていると判断した場合に、カメラ10の撮影範囲および撮影データ35における禁忌物34の位置に基づいて、この禁忌物34の、トラック停車位置30に停車中のトラック32の荷台に山積みされた鉄スクラップ群33における位置を特定し、制御部が、この特定した位置を照明するように照明装置の照射方向を制御してもよい。
【0042】
また、上記実施の形態では、クレーン22がクレーンレール21のホームポジションPから所定距離(リフトマグネット22がカメラ10の画角から外れるまで離れた距離)以上離れたことをセンサ11が検出して、検出信号をカメラ10に出力することにより、カメラ10がトラック32の荷台に山積みされた鉄スクラップ群33を撮像し、その撮像データ35を検出装置12に出力して、検出装置12がこの撮像データ35から禁忌物34を検出している。しかし、本発明はこれに限定されない。
【0043】
例えば、カメラ10を常時動作させて、撮像データ35を検出装置12に継続的に出力させ、検出装置12のマンマシンインターフェース部121に、このカメラ10から継続的に送られてくる撮像データ35を表示させてもよい。この場合、作業者が、マンマシンインターフェース部121に表示中の撮像データ35にリフトマグネット22が映っていないことを確認し、マンマシンインターフェース部121にキャプチャ指示を入力することにより、AI処理部124が、そのときにマンマシンインターフェース部121に表示されている撮像データ35に人工知能による判定処理を実施して、この撮像データ35に禁忌物34が映っているか否かを判断する。
【0044】
あるいは、学習済みモデル記憶部123に記憶する学習済みモデルに、リフトマグネット22の学習用画像データを用いた人工知能による学習処理の学習結果を反映させておき、AI処理部124が、マンマシンインターフェース部121に表示中の撮像データ35に人工知能による判定処理を実施して、撮像データ35にリフトマグネット22が映っているか否かを判断し、映っていないと判断した場合に、この撮像データ35に禁忌物34が映っているか否かをさらに判断する。
【符号の説明】
【0045】
10:カメラ 11:センサ 12:検出装置
20:リフトマグネット 21:クレーンレール 22:クレーン
23:操作装置 30:トラック停車位置
31:検品済み鉄スクラップ載置場 32:トラック
33:鉄スクラップ群 34:禁忌物 35:撮像データ
120:カメラ接続部 121:マンマシンインターフェース部
122:学習用画像データ受付部 123:学習済み利用モデル記憶部
124:AI処理部