(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-19
(45)【発行日】2023-01-27
(54)【発明の名称】調理指示装置、調理システム、及び調理指示方法
(51)【国際特許分類】
F24C 3/12 20060101AFI20230120BHJP
F24C 15/00 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
F24C3/12 G
F24C3/12 V
F24C15/00 M
(21)【出願番号】P 2019089964
(22)【出願日】2019-05-10
【審査請求日】2021-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】591186176
【氏名又は名称】株式会社 ゼンショーホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【氏名又は名称】川崎 康
(74)【代理人】
【識別番号】100125151
【氏名又は名称】新畠 弘之
(72)【発明者】
【氏名】名波 史人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 新吉
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-099073(JP,A)
【文献】特表2008-541988(JP,A)
【文献】特開2000-274692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
F24C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理器における加熱領域の温度を検知する検知部と、
前記加熱領域の温度に基づき、前記加熱領域に載置される調理物に対する加熱時間を指示する指示部と、
前記調理物の種類を入力する入力部と、
を備
え、
前記調理器は、複数の前記加熱領域を有しており、
前記検知部は、前記複数の前記加熱領域ごとの温度を検知し、
前記指示部は、前記複数の前記加熱領域ごとの温度に基づき、前記複数の前記加熱領域ごとの前記加熱時間と、前記調理物の種類とを表示装置に表示させる、調理指示装置。
【請求項2】
前記指示部は、前記加熱領域の温度と前記調理物の種類とに基づき、前記加熱時間を指示する、請求項1に記載の調理指示装置。
【請求項3】
前記指示部は、前記調理物の調理に適さない温度域の前記加熱領域を示す表示形態を表示装置に表示させる、請求項
1に記載の調理指示装置。
【請求項4】
前記複数の前記加熱領域の中から前記調理物が載置された前記加熱領域及び時間を検知する載置検知部を更に備え、
前記指示部は、前記検知された前記加熱領域及び前記時間に基づき、前記検知された前記加熱領域における前記加熱時間を前記時間からの経過時間に応じて減少させる、請求項
1乃至3のいずれか一項に記載の調理指示装置。
【請求項5】
前記載置検知部は、前記調理物が載置される前の前記加熱領域の温度と、前記調理物が載置された後の前記加熱領域の温度との温度差に基づき、前記調理物が載置された前記加熱領域及び前記時間を検知する、請求
項4に記載の調理指示装置。
【請求項6】
前記検知部は、サーモグラフィーで撮像された温度分布画像に基づき、前記複数の前記加熱領域ごとの温度を検知しており、
前記指示部は、前記温度分布画像における前記複数の前記加熱領域ごとの温度に基づき、前記複数の前記加熱領域ごとの前記加熱時間を指示する、請求項
1乃至5のいずれか一項に記載の調理指示装置。
【請求項7】
前記指示部は、前記加熱領域の温度と前記加熱時間の関係を示す温度テーブルを用いて前記複数の前記加熱領域ごとの前記加熱時間を指示する、請求
項6に記載の調理指示装置。
【請求項8】
サーモグラフィーで撮像された前記調理物の表面温度に基づき、前記加熱時間を予測する予測部を更に備え、
前記指示部は、前記予測部の予測した前記加熱時間を指示する、請求項
1乃至7のいずれか一項に記載の調理指示装置。
【請求項9】
請求項
1乃至8のいずれか一項に記載の調理指示装置と、
前記調理物を搬送可能なロボットアームと、
前記ロボットアームの制御装置と、を備える調理システムであって、
前記制御装置は、前記指示部が指示する前記複数の前記加熱領域ごとの前記加熱時間に基づき、前記複数の前記加熱領域ごとに載置されている前記調理物を、前記調理物が載置されている場所と異なる場所に搬送させる制御を前記ロボットアームに行う調理システム。
【請求項10】
前記制御装置は、前記指示部が指示する前記複数の前記加熱領域ごとの前記加熱時間に基づき、前記複数の前記加熱領域ごとに載置されている前記調理物の上面と下面を入れ替える制御を前記ロボットアームに行う請求
項9に記載の調理システム。
【請求項11】
前記制御装置は、前記指示部が指示する前記複数の前記加熱領域ごとの前記加熱時間に基づき、前記複数の前記加熱領域と異なる保存領域から前記複数の前記加熱領域のいずれかの領域に前記調理物を搬送する制御を前記ロボットアームに行う請求項
9又は10に記載の調理システム。
【請求項12】
前記制御装置は、前記調理物の撮像された画像を用いて認識した前記調理物の種類と位置に基づき、前記ロボットアームに前記調理物の搬送を行わせる請求項
9乃至11のいずれか一項に記載の調理システム。
【請求項13】
調理器における加熱領域の温度を検知し、検知温度を出力する工程と、
前記加熱領域の温度に基づき、前記加熱領域に載置される調理物に対する加熱時間を出力する工程と、
前記調理物の種類の情報を含む調理物指示信号を入力する入力工程と、
を備
え、
前記調理器は、複数の前記加熱領域を有しており、
前記検知温度を出力する工程は、前記複数の前記加熱領域ごとの温度を検知し、
前記加熱時間を出力する工程は、前記複数の前記加熱領域ごとの温度に基づき、前記複数の前記加熱領域ごとの残り時間の情報を含む加熱時間信号を表示制御部に出力し、前記表示制御部が前記調理物指示信号、及び前記加熱時間信号に基づき、前記加熱領域ごとの前記加熱時間と前記調理物の種類とを表示装置に表示させる、調理指示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、調理指示装置、調理システム、及び調理指示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から飲食店では、店舗の従業員は、加熱調理を終了するタイミングを判断し、より美味しく加熱調理された調理物を顧客に提供できるように努めている。ところが、加熱調理を終了するタイミングは、従業員の経験に左右される場合がある。このため、従業員の経験に左右されることなくより適切な加熱調理を行うために、調理物を一定時間加熱する加熱調理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、調理器の加熱領域の温度にはむらがあり、調理物に加熱を一定時間加えても調理状態にばらつきが生じてしまう恐れがあった。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、調理者の経験に左右されることなくより適切な加熱時間で調理を行うことが可能な調理指示装置、調理システム、及び調理指示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る調理指示装置は、調理器における加熱領域の温度を検知する検知部と、
加熱領域の温度に基づき、加熱領域に載置される調理物に対する加熱時間を指示する指示部と、を備える。
【0007】
調理物の種類を入力する入力部を更に備えてもよく、指示部は、加熱領域の温度と調理物の種類とに基づき、加熱時間を指示してもよい。
【0008】
調理器は、複数の加熱領域を有してもよく、検知部は、複数の加熱領域ごとの温度を検知してもよく、指示部は、複数の加熱領域ごとの温度に基づき、複数の加熱領域ごとの加熱時間と、調理物の種類とを表示装置に表示させもよい。
【0009】
指示部は、調理物の調理に適さない温度域の加熱領域を示す表示形態を表示装置に表示させてもよい。
【0010】
複数の加熱領域の中から調理物が載置された加熱領域及び時間を検知する載置検知部を更に備えてもよく、指示部は、検知された加熱領域及び時間に基づき、検知された加熱領域における加熱時間を時間からの経過時間に応じて減少させてもよい。
【0011】
載置検知部は、調理物が載置される前の加熱領域の温度と、調理物が載置された後の加熱領域の温度との温度差に基づき、調理物が載置された加熱領域及び時間を検知してもよい。
【0012】
検知部は、サーモグラフィーで撮像された温度分布画像に基づき、複数の加熱領域ごとの温度を検知してもよく、指示部は、温度分布画像における複数の加熱領域ごとの温度に基づき、複数の加熱領域ごとの加熱時間を指示してもよい。
【0013】
指示部は、加熱領域の温度と加熱時間の関係を示す温度テーブルを用いて複数の加熱領域ごとの加熱時間を指示してもよい。
【0014】
サーモグラフィーで撮像された調理物の表面温度に基づき、加熱時間を予測する予測部を更に備えてもよく、指示部は、予測部の予測した加熱時間を指示してもよい。
【0015】
一実施形態に係る調理システムは、調理指示装置と、調理物を搬送可能なロボットアームと、ロボットアームの制御装置と、を備え、制御装置は、指示部が指示する複数の加熱領域ごとの加熱時間に基づき、複数の加熱領域ごとに載置されている調理物を、調理物が載置されている場所と異なる場所に搬送させる制御をロボットアームに行ってもよい。
【0016】
制御装置は、指示部が指示する複数の加熱領域ごとの加熱時間に基づき、複数の加熱領域ごとに載置されている調理物の上面と下面を入れ替える制御をロボットアームに行ってもよい。
【0017】
制御装置は、指示部が指示する複数の加熱領域ごとの加熱時間に基づき、複数の加熱領域と異なる保存領域から複数の加熱領域のいずれかの領域に調理物を搬送する制御をロボットアームに行ってもよい。
【0018】
制御装置は、調理物の撮像された画像を用いて認識した調理物の種類と位置に基づき、ロボットアームに調理物の搬送を行ってもよい。
【0019】
一実施形態に係る調理指示方法は、調理器における加熱領域の温度を検知し、検知温度を出力する工程と、加熱領域の温度に基づき、加熱領域に載置される調理物に対する加熱時間を出力する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、調理者の経験に左右されることなくより適切な加熱時間により調理を行うことが可能な調理指示装置、調理システム、及び調理指示方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態による調理システムの構成を示すブロック図。
【
図4】温度と加熱時間の関係を示すテーブル例を示す図。
【
図6】
図5でチキン200グラムが指示された場合に表示される画像例を示す図。
【
図7】第1実施形態による調理システムの処理動作を説明するフローチャート。
【
図8】調理物が載置されてからの調理システムの処理動作を説明するフローチャート。
【
図9】第2実施形態による調理指示装置の構成を示すブロック図。
【
図10】載置検知部の処理動作例を示すフローチャート。
【
図11】第3実施形態による調理指示装置の構成を示すブロック図。
【
図13】予測部の予測処理例を示すフローチャート。
【
図14】第4実施形態による調理システムの構成を示すブロック図。
【
図15】店舗システムを含む調理システムの構成を示すブロック図。
【
図17】第4実施形態による調理システムの処理動作を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る調理指示装置、調理システム、及び調理指示方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号又は類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による調理システム1の構成を示すブロック図である。
図1の調理システム1は、調理物の加熱時間を指示可能なシステムである。
図1に示すように、本実施形態による調理システム1は、調理器10と、第1撮像装置20と、調理指示装置30と、表示装置40、とを備えて構成される。
【0024】
調理器10は、例えばガスコンロであり、加熱領域に載置された調理物を加熱する。調理器10は、混合気体を燃焼させる中空棒状の複数のバーナ部10aを有する。画像領域40a内の画像は調理器10の加熱領域を図示している。画像領域40a内に示すように、加熱領域は、複数の加熱領域A~Fに分けられる。なお、画像領域40a内の詳細は後述する。
【0025】
本実施形態に係る複数の加熱領域A~Fは、例えば、中空棒状のバーナ部10aを2分割し、2分割した分割領域を複数合わせた領域であるが、これに限定されない。例えば、加熱領域A~Fを隣接する数本分のバーナ部10aごとに対応させてもよい。すなわち、この場合、隣接する複数のバーナ部10aが加熱領域A~Fの中の一つに対応する。
【0026】
図2は、バーナ部10aの概念図である。
図2(a)はバーナ部10aの側面である。x軸が水平面に平行な軸を示し、Z軸が水平面に直交する鉛直方向の軸を示す。Z軸の+方向を鉛直上方として取り扱う。
図2(b)は、a-a’断面図である。
図2に示すように、バーナ部10aは、例えば、混合気体を燃焼させるバーナと、バーナを覆う金属板と、スリットの入った金属製品とで構成される。このように、バーナ部10aは、例えば傾きを有して配置される。また、バーナ部10aの火力はそれぞれ異なっている。すなわち、バーナ部10aにはばらつきがあり、加熱領域A~Fの火力にもばらつきが生じる。
【0027】
調理物の種類は、例えばハンバーグ300グラムなどの画一的な材料である。このため、調理人、例えば店舗の従業員によらず、画一的な材料の調理物に対しては、同等の調理結果が求められる。ところが、加熱領域A~Fの温度は領域ごとに異なっている。一方で、加熱領域A~Fの加熱温度を均一化することは一般に困難である。このため、同等の調理結果を得るために、調理物の加熱時間を加熱領域A~F内ごとに変える必要がある。
【0028】
第1撮像装置20は、例えばサーモグラフィーであり、調理器10の加熱領域A~Fの温度分布画像を撮像する。第1撮像装置20は、調理指示装置30に接続されている。第1撮像装置20は、調理器10が作動中の期間には、温度分布画像を所定の時間間隔で撮像し、調理指示装置30に出力する。
【0029】
調理指示装置30は、第1撮像装置20が撮像した温度分布画像を用いて、複数の加熱領域A~Fごとの加熱時間を指示する。調理指示装置30の詳細な構成は、後述する。
【0030】
表示装置40は、例えば液晶画面を有するタッチパネルであり、調理指示装置30が出力する画像を表示する。表示装置40の画面には、例えば、加熱領域A~Fの温度状態を表示する画像領域40a、調理物の種類を示す画像領域40b、加熱領域A~Fごとの加熱時間を示す画像領域40c、及び、別料理を選択する場合にタッチする画像領域40dが設けられる。なお、画像領域40c内の加熱領域A~Fごとの加熱時間は、調理物に対する加熱調理が終了するまでの時間である。例えば、調理物が加熱領域A~Fに載置された場合には、調理物が載置された加熱領域に対応する加熱時間は減少する。
【0031】
また、表示装置40は、タッチパネルのタッチ領域に応じて、調理者の指示情報を含む指示信号を調理指示装置30に出力する。例えば、表示装置40は、加熱領域A~Fの中の指示された領域に対応する加熱領域の情報を含む調理開始信号を調理指示装置30に出力する。この調理開始信号に基づき、画像領域40c内の調理物が載置された加熱領域に対応する加熱時間は減少を開始する。また、表示装置40は、画像領域40dが調理者に指示されると、画面遷移信号を調理指示装置30に出力する。
【0032】
図3は、調理指示装置30の構成例を示すブロック図である。調理指示装置30は、記憶部302と、制御部304と、取得部306と、入力部308と、検知部310と、指示部312と、表示制御部314とを、有する。
【0033】
記憶部302は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。記憶部302は、制御部304が実行するプログラムや、各種のデータを記憶する。例えば、記憶部302は、調理物の種類ごとに温度と加熱時間との関係を示すテーブル(例えば後述する
図4)を記憶している。調理物の種類は、例えばハンバーグ300、200、100グラム、ステーキ450、300、200グラム、チキン300、200、100グラム、ポーク300、200、100グラムなどである。
【0034】
制御部304は、プロセッサを含んで構成されており、必要なプログラムを記憶部302から読み出して実行することで、調理システム1全体の処理を制御する。すなわち、制御部304が、記憶部302に記憶されるプログラムを実行することにより、入力部308、検知部310、指示部312、および表示制御部314の各処理が実行される。ここで、プロセッサという文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit: ASIC)等の回路を意味する。また、本実施形態に係る入力部308、検知部310、指示部312、および表示制御部314のそれぞれは例えば回路により構成される。
【0035】
取得部306は、第1撮像装置20が撮像した温度分布画像を取得する。そして、取得部306は、取得した温度分布画像を時系列に記憶部302に記憶する。
【0036】
入力部308は、表示装置40から調理者の指示情報を含む指示信号を入力する。より具体的には、入力部308には、調理開始信号、画面遷移信号、および、後述する調理物指示信号などが入力される。これにより、調理指示装置30には、例えば、調理物の種類、調理部を載置した加熱領域A~Fなどの情報が入力部308を介して入力される。
【0037】
検知部310は、取得部が取得した温度分布画像に基づき、加熱領域A~Fの温度を検知する。より詳細には、検知部は、加熱領域A~Fごとに対応する温度分布画像の画像領域に基づき、温度の代表値を検知温度として演算し、検知温度の情報を含む検知温度信号を出力する。例えば、検知部は、加熱領域A~Fに対応する画像領域ごとの画素値の平均値、中間値、モード値などの代表値を検知温度として演算する。なお、本実施形態に係る検知部は、温度分布画像に基づき、加熱領域A~Fの温度を検知するが、これに限定されない。例えば、検知部310は、加熱領域A~Fごとの温度センサー(不図示)の測定値に基づき、加熱領域A~Fの温度を検知してもよい。
【0038】
指示部312は、検知部310が検知した温度に基づき、複数の加熱領域A~Fごとの加熱時間を指示する。
図4は、記憶部302が記憶する温度と加熱時間の関係を示すテーブル例を示す図である。指示部312は、表示装置40が出力する後述の調理物指示信号に基づき、調理の種類に対応するテーブルを読み込む。続けて、指示部312は、このテーブを用いて、検知部310が検知した検知温度に対応する加熱時間を複数の加熱領域A~Fごとに指示する。すなわち、指示部312は、複数の加熱領域A~Fごとの加熱時間の情報を含む加熱時間信号を表示制御部314に出力する。また、指示部312は、上述のように複数の加熱領域A~Fの中に加熱に適さない領域、例えば170度以下又は230度以上の領域に対応させて「不適」の情報を含む加熱時間信号を表示制御部314に出力する。このように、指示部312は、複数の加熱領域A~Fごとの検知温度に基づき、複数の加熱領域A~Fごとの加熱時間と、調理物の種類とを、表示制御部314を介して表示装置40に表示させる。
【0039】
また、指示部312は、調理開始信号が入力された時点からの経過時間に応じて、時間を減少させた加熱時間の情報を含む加熱時間信号を表示制御部314に順次に出力する。これにより、画像領域40c(
図1)内の調理物が載値された加熱領域に対応する加熱時間が減少を開始する。
【0040】
表示制御部314は、表示装置40内に画像(
図1、
図5、
図6など)を表示させる制御を行う。
図5は、調理対象を選択するための画像例を示す図である。表示制御部314は、例えば、表示装置40から画面遷移信号が入力部308に入力されると、
図5に示す調理対象を選択する画像を表示装置40に表示する。表示装置40は、この画像上のいずれかの領域が調理者に指示されると、指示領域に対応した調理物の種類の情報を含む調理物指示信号を調理指示装置30に出力する。例えば、表示装置40は、チキン200グラムに対応する画像領域が指示されると、チキン200グラムの情報を含む調理物指示信号を指示装置30に出力する。
【0041】
図6は、
図5でチキン200グラムが指示された場合に表示される画像例を示す図である。
図6に示すように、表示制御部314は、チキン200グラムの情報を含む調理物指示信号が入力部308を介して入力されると、チキン200グラムに対応する画像を生成し、表示装置40に表示させる制御を行う。なお、上述の
図1に表示される画像例は、ハンバーグ300グラムの情報を含む調理物指示信号が入力部308を介して入力された場合の画像である。
【0042】
より詳細には、表示制御部314は、画像領域40aには、第1撮像装置20が撮像した温度分布画像に基づく画像を表示する。例えば、表示制御部314は、温度分布画像の画素値に応じた色を割りあてたカラー画像を画像領域40aに表示する。また、表示制御部314は、複数の加熱領域A~Fに対応する模式的な領域ごとに検知部310が検知した温度に応じた色で着色したカラー画像を画像領域40aに表示してもよい。
【0043】
また、表示制御部314は、調理物の調理に適さない温度域の加熱領域を示す表示形態の画像を画像領域40aに表示する。より具体的には、指示部312が加熱領域A~Fの内のいずれかに対して「不適」である情報を含む加熱時間信号を出力している場合には、「不適」に対応する加熱領域を示す表示形態の画像を画像領域40aに表示する。例えば、表示制御部314は、画像領域40a内の「不適」に対応する加熱領域Aを黒色画像40eで表示する。
【0044】
表示制御部314は、画像領域40bには、調理物の種類の情報を含む調理物指示信号に基づく画像を表示する。例えば、調理物指示信号に「チキン200グラム」の情報が含まれている場合には、「チキン200グラム」と表示する。また、表示制御部314は、画像領域40cには、加熱領域A~Fのそれぞれに対する加熱時間を表示する。
【0045】
以上が本実施形態に係る構成の説明であるが、以下に本実施形態に係る調理システム1の動作例を説明する。
【0046】
図7は、第1実施形態による調理システム1の処理動作を説明するフローチャートである。ここでは、調理物の種類の中から「チキン200グラム」が選択された場合の処理例を説明する。
【0047】
まず、調理者は、表示装置40の画像領域40dをタッチする。これにより、表示装置40は、画面遷移信号を表示制御部314に出力する。表示制御部314は、調理物の種類を選択するための画面(
図5)を表示装置40に表示する。そして、調理者は、表示装置40に表示される調理物の種類の中から調理する調理物「チキン200グラム」に対応する領域をタッチし、調理物の種類を調理システム1に入力する(ステップS100)。続けて、表示装置40は、入力部308を介して調理物指示信号を表示制御部314に出力し、表示制御部314は、入力された調理物の種類「チキン200グラム」に対応する画像(
図6)を表示装置40に表示する。
【0048】
次に、第1撮像装置20は、調理器10の加熱領域A~Fの温度分布画像を所定の時間間隔で撮像し、入力部308を介して順にする(ステップS102)。続けて、第1撮像装置20は、温度分布画像を記憶部302に記憶する。
【0049】
次に、検知部310は、現フレームの温度分布画像を記憶部302から読み出し、加熱領域A~Fごとの温度平均を検知温度として演算する(ステップS104)。続けて、検知部310は、検知温度の情報を含む検知温度信号を指示部312と表示制御部314に出力する。
【0050】
次に、指示部312は、テーブル(
図4)を用いて、検知温度信号に基づく加熱領域A~Fごとの加熱時間の情報を含む加熱時間信号を表示制御部314に出力する。表示制御部314は、表示装置40の画像領域40cに加熱領域A~Fごとの加熱時間を表示し、調理者に指示する(ステップS106)。また、表示制御部314は、検知部310が検知した検知温度に基づく、加熱領域A~Fごとの温度を示す形態の画像を表示装置40の画像領域40aに表示する。
【0051】
このように、指示部312は、検知部310が検知した加熱領域A~Fごとの温度に基づき、加熱領域A~Fごとの加熱時間を、表示制御部314を介して表示指示する。そして、表示制御部314は、指示部312が指示した加熱領域A~Fごとの加熱時間を表示装置40に表示する。
【0052】
図8は、調理物が調理器10に載置されてからの調理システム1の処理動作例を説明するフローチャートである。ここでは、調理者が調理器10の加熱領域A~Fのいずれかに調理物を載置した後の処理例を説明する。
【0053】
まず、指示部312は、表示装置40から調理開始信号が入力されたか否かを判定する(ステップS200)。調理開始信号が入力されていない場合(ステップS200のNO)、判定処理を繰り返す。一方で、調理開始信号が入力された場合(ステップS200のYES)、指示部312は、調理開始信号が入力された時点からの経過時間に応じた残り時間を演算し、残り時間の情報を含む加熱時間信号を生成する(ステップS202)。続けて、指示部312は、残り時間の情報を含む加熱時間信号を表示制御部314に出力する。
【0054】
次に、表示制御部314は、残り時間の情報を含む加熱時間信号に応じて、表示装置40の画像領域40c内の調理物が載置された加熱領域に対応する領域に残り時間を表示し、調理者に指示する(ステップS204)。
【0055】
次に、指示部312は、加熱時間が終了したか否かを判定する(ステップS206)。加熱時間が終了した場合(ステップS206のYES)、すなわち、残り時間が0となった場合に、調理開始信号に対応する加熱領域に対する加熱時間の減算処理を終了し、全体処理を終了する。一方で、加熱時間が終了していない場合(ステップS206のNO)、ステップS202からの処理を繰り返す。
【0056】
このように、指示部312は、調理開始信号が入力されると、調理開始信号が入力された時点からの経過時間に応じた残り時間を演算し、残り時間の情報を含む加熱時間信号を表示制御部314に出力する。これにより、表示制御部314は、画像領域40c(
図6)内の調理物が載値された加熱領域に対応する加熱時間の減少を開始する。
【0057】
以上のように、本実施形態によれば、指示部312が加熱領域A~Fごとの温度に基づき、加熱領域A~Fごとの加熱時間を、表示制御部314を介して表示装置40に表示させることとした。これにより、調理者によらず加熱時間を客観的に取得可能である。このため、調理者の経験に左右されることなくより適切な加熱時間により調理を行うことが可能となる。
【0058】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る調理指示装置30は、加熱領域A~Fの内の調理物が載置された加熱領域及び時間を検知する載置検知部316を備える点で第1実施形態と相違する。以下では、第1実施形態と相違する点に関して説明する。
【0059】
図9は、第2実施形態による調理指示装置30の構成を示すブロック図である。
図9に示すように、載置検知部316を更に備える点で第1実施形態に係る調理指示装置30と相違する。
【0060】
載置検知部316は、複数の加熱領域A~Fの内の調理物が載置された加熱領域及び時間を検知する。載置検知部316は、調理物が載置される前の加熱領域A~Fの温度と、調理物が載置された後の加熱領域A~Fの温度との温度差に基づき、調理物が載置された加熱領域及び時間を検知する。より具体的には、前フレームの温度分布画像に対する加熱領域A~Fごとの検知温度と、現フレームの温度分布画像に対する加熱領域A~Fごとの検知温度と、の温度差を演算し、温度変化が所定の閾値を超えた場合に、調理物が載置されたことを検知する。そして、載置検知部316は、加熱領域A~Fの内の調理物が載置された加熱領域及び現フレームの時間の情報を含む調理開始信号を指示部312に出力する。上述のように、指示部312は、調理開始信号が入力されると、調理物が載置された加熱領域に対する残り時間の演算を開始し、残り時間の情報を含む加熱時間信号を表示制御部314に出力する。
【0061】
図10は、載置検知部316の処理動作例を示すフローチャートである。ここでは、加熱領域A~Fのいずれかに調理物が載置された場合の検知処理例を説明する。
【0062】
まず、取得部306は、第1撮像装置20が撮像した温度分布画像を取得する(ステップS300)。続けて、取得部306は、取得した温度分布画像を記憶部302に記憶する(ステップS300)。
【0063】
次に、検知部310は、現フレームの温度分布画像を記憶部302から取得し、加熱領域A~Fごとの平均温度を検知温度として演算し(ステップS302)、載置検知部316に出力すると共に記憶部302に記憶する。
【0064】
次に、載置検知部316は、前フレームの温度分布画像における加熱領域A~Fごとの平均温度を検知温度として記憶部302から取得する。そして、載置検知部316は、前フレームの加熱領域A~Fごとの検知温度と、現フレームの加熱領域A~Fごとの検知温度と、の差分値を加熱領域A~Fごとに演算する(ステップS304)。
【0065】
載置検知部316は、加熱領域A~Fごとの差分値の絶対値が所定値以上か否かを判定する(ステップS306)。所定値は、例えば80度である。調理物が加熱領域A~Fのいずれかに載置されると、載置された加熱領域では、調理物の表面温度が温度分布画像として撮像される。加熱前の調理物の表面温度は室温程度であるので、調理物の載置された加熱領域の平均温度は例えば200度前後から60度前後以下に低下する。載置検知部316は、このような現象に基づき、調理物が加熱領域A~Fのいずれかに載置されたか否かを判定する。
【0066】
加熱領域A~Fごとの差分値のいずれもが所定値以上でない場合(ステップS306のNO)、ステップS300からの処理を繰り返す。一方で、加熱領域A~Fごとの差分値のいずれかが所定値以上である場合(ステップS306のYES)、載置検知部316は、調理物の載置を検知する(ステップS308)。続けて、載置検知部316は、所定値以上である加熱領域及び現フレームの撮像時間の情報を含む調理開始信号を指示部312に出力し、調理物の載置された加熱領域の載置検知処理を終了する。
【0067】
以上のように、本実施形態によれば、載置検知部316は、前フレームの加熱領域A~Fごとの検知温度と、現フレームの加熱領域A~Fごとの検知温度と、の差分値を加熱領域A~Fごとに演算する。そして、差分値が所定値以上である加熱領域に調理物が載置されたと検知することとした。調理物の載置された加熱領域の平均温度は急峻に低下するので、差分値を演算することにより、調理物が載置された加熱領域および時間をより正確に検知できる。これにより、調理者が調理物を載置した加熱領域を手動で指示する手間が無くなり、より効率的に調理物の調理を行うことが可能となる。
【0068】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る調理指示装置30は、加熱領域A~Fごとの加熱時間を予測する予測部318を備える点で第1実施形態に係る調理指示装置30と相違する。以下では、第1実施形態と相違する点に関して説明する。
【0069】
図11は、第3実施形態による調理指示装置30の構成を示すブロック図である。
図11に示すように、予測部318を備える点で第1実施形態に係る調理指示装置30と相違する。
【0070】
図12は、調理物の表面温度の時間変化例を示す図である。横軸は時間を示し、縦軸は温度分布画像から得られた調理物の表面温度を示す。温度変換曲線1200は、基準となる平均的な調理物の表面温度の時間変化を示す。平均的な調理物の表面温度は、加熱初期の段階ではより短時間で温度が上昇し、時間経過とともに温度上昇がなだらかになる傾向がある。直線1202は、所定の基準温度を示している。例えば基準温度は60度である。
【0071】
また、加熱初期の段階での曲線1200における立ち上がりの傾きは直線1204で示される。すなわち、この直線1204は、曲線1200における立ち上がりの接線を示している。これに対して、加熱が進みやすい調理物における加熱初期の段階での温度変換曲線の立ち上がりの傾きは直線1206で示される。一方で、加熱が進みにくい調理物における加熱初期の段階での温度変換曲線の立ち上がりの傾きは直線1208で示される。基準温度における、直線1206と直線1204との時間差はt2であり、直線1208と直線1204との時間差はt4である。この場合、時間差t2はマイナスであり、時間差t4はプラスである。
【0072】
均一的な加熱調理の結果を得るためには、直線1206の傾向を示す調理物には、基準の加熱時間よりも加熱時間を短くする必要があり、直線1208の傾向を示す調理物には、基準の加熱時間よりも加熱時間を長くする必要がある。このため、予測部318は、基準曲線1200における立ち上がりの接線1204と予測対象の立ち上がりの接線1206、1208との所定の基準温度である直線1202における時間差t2、t4に基づき、基準の加熱時間を補正して、加熱時間を予測する。
図13に基づき、より具体的に予測部318の処理例を説明する。
【0073】
図13は、予測部318の予測処理例を示すフローチャートである。ここでは、
図12の基準曲線1200、接線1206を例に説明する。
【0074】
まず、予測部318は、調理開始信号が入力されると、現フレームの温度分画像を取得する。続けて、予測部318は、温度分画像内の調理開始信号に対応する加熱領域の低温領域を抽出し、低温領域の平均温度を表面温度として演算する(ステップS400)。調理物の載置されていない領域の温度は例えば200度前後であり、調理物の載置された領域の初期温度は例えば室温以下である。このため、予測部318は、例えば80度以下の領域を低温領域として抽出し、平均温度を演算する。
【0075】
次に、予測部318は、加熱領域における低温領域の平均温度が所定の基準温度に達したか否かを判定する(ステップS402)。予測部318は、基準温度に達していない場合(ステップS402のNO)、ステップS400からの処理を繰り返す。
【0076】
一方で、基準温度に達した場合(ステップS402のYES)、予測部318は、調理開始信号が入力された時点から基準温度に達するまでの表面温度曲線の接線1206を求める。続けて、予測部318は、接線1206が基準温度に達するまでの時間と基準の接線1204が基準温度に達するまでの時間との時間差t2を求め、基準の加熱時間の修正演算を行う(ステップS404)。すなわち、予測部318は、時間差t2に所定の係数kを乗算し、基準の加熱時間に加算して、加熱時間の予測値を演算する。例えばk=2.0であり、調理物ごとに実験的に定めることが可能である。
【0077】
次に、予測部318は、加熱時間の予測値及び加熱領域の情報を含む加熱時間信号を表示制御部314に出力する。表示制御部314は、加熱時間信号に基づき、加熱領域の加熱時間を修正し、表示装置40に表示する(ステップS406)。このように、予測部318は、調理物の表面温度が基準温度に到達するまでの時間に基づき、基準の加熱時間を補正することにより加熱時間を予測する。
【0078】
以上のように、本実施形態によれば、予測部318は、表面温度曲線の接線1206、1208が基準温度に達するまでの時間を求め、基準の加熱時間の修正演算を行う。そして、表示制御部314は、修正演算した加熱時間信号に基づき、修正後の加熱時間を表示装置40に表示することとした。これにより、調理物表面の温度上昇が早い傾向を示す調理物の加熱時間を短縮でき、逆に、調理物表面の温度上昇が遅い傾向を示す調理物の加熱時間を延長でき、調理物によらずより均一的に調理物の加熱調理を行うことが可能となる。
【0079】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る調理システム1は、ロボットアーム50により、調理を全自動化可能である点で第1乃至4実施形態と相違する。以下では、第1乃至4実施形態と相違する点に関して説明する。
【0080】
図14は、第4実施形態に係る調理システム1の中のロボットアーム50の制御系の構成を示すブロック図である。
図14に示すように、ボットアーム50の制御系は、調理器10と、載置テーブル12、14と、第1撮像装置20と、調理指示装置30と、表示装置40と、ロボットアーム50と、第2撮像装置60と、制御装置70とを備える。
【0081】
載置テーブル12は、加熱前の調理物を載置する。例えばハンバーグ12aと、ステーキ12bとをそれぞれ列状に並べて載置する。この載置は調理者が行ってもよい。載置テーブル114は加熱後の調理物を載置する。ロボットアーム50は、例えば加熱後のハンバーグ12aを載置皿14aに載置し、加熱後のステーキ12bを載置皿14bに載置する。
【0082】
ロボットアーム50は、6軸の一般的なロボットアームである。ロボットアーム50の先端部には、コテを把持可能であり、コテにより調理物を搬送する。なお、調理物の種類によれば、ロボットアーム50の把持部により調理物を把持して、搬送してもよい。
【0083】
第2撮像装置60は、例えばCCDカメラであり、調理器10、載置テーブル12、14などのカラー画像を撮像する。第2撮像装置60は、制御装置70に接続されており、所定の時間間隔で撮像したカラー画像を制御装置70に出力する。
【0084】
制御装置70は、第2撮像装置60が撮像したカラー画像、及び調理指示装置30から入力される加熱時間に関する情報に基づき、ロボットアーム50を制御する。制御装置70の詳細な構成は後述する。
【0085】
図15は、ボットアーム50の制御系に加えて、店舗システム90を含む調理システム1の構成例を示すブロック図である。
図15に示すように、店舗システム90を含む調理システム1の構成は、携帯端末80と、POS(Point of Sales)システムなどの店舗システム90と、データサーバ100と、表示装置110とを更に備える。
【0086】
携帯端末80は、顧客の注文を受ける装置であり、卓番号、人数、注文内容、注文受け時間、配膳時間などをボタン操作により入力する。携帯端末80の情報は店舗システム90に無線送信される。
【0087】
店舗システム90は、携帯端末80から入力された情報を記憶する。これにより、店舗システム90は、会計処理を手入力なしで行うことが可能である。店舗システム90は、卓番号、人数、注文内容、注文受け時間、配膳時間などの情報をデータサーバ100に送信する。
【0088】
データサーバ100の記憶部100aは、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。記憶部100aは、店舗システム90から送信されたデータと、データ処理部100bにより処理されたデータを記憶する。
【0089】
データ処理部100bは、店舗システム90から送信された注文内容、配膳時間などの注文データから調理物の種類を抽出し、加熱調理の開始順に記憶部100aに記憶する。調理指示装置30及び制御装置70のそれぞれは、記憶部100aから加熱調理の開始順に調理物の種類を読み込む。表示装置110は、例えばモニターであり、データサーバ100及び制御装置70の処理内容を表示する。
【0090】
図16は、制御装置70の構成例を示すブロック図である。
図16に示すように、制御装置70は、記憶部70aと、制御部70bと、取得部70cと、認識部70dと、表示制御部70eとを、有する。
【0091】
記憶部70aは、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。記憶部70aは、制御部70bが実行するプログラムや、各種のデータを記憶する。
【0092】
制御部70bは、プロセッサを含んで構成されており、ロボットアーム50全体の処理を制御する。制御部70bは、記憶部70aに記憶されるプログラムを実行することにより、各種の処理動作を行う。すなわち、制御部70bが、記憶部70aに記憶されるプログラムを実行することにより、取得部70cと、認識部70dと、及び表示制御部70eの各処理が実行される。なお、取得部70cと、認識部70dと、及び表示制御部70eのそれぞれは回路により構成される。
【0093】
取得部70cは、第2撮像装置60が撮像したカラー画像を取得する。そして、取得部70cは、取得したカラー画像を時系列に記憶部70aに記憶する。
【0094】
認識部70dは、取得部70cが取得したカラー画像に基づき、調理物の種類と位置を認識する。例えば、認識部70dは、載置テーブル12上の画像に対してラベリング処理を行い調理物の位置座標を認識する。続けて認識部70dは、調理物の位置座標に対応するラベリング領域に対して一般的な認識処理を行い、形状が楕円又は円であればハンバーグ12aあると認識し、方形であればステーキ12bであると認識する。店舗で提供するハンバーグ12a、ステーキ12bなどはほぼ同等の形状にカットされているので形状により調理物の種類を認識可能である。また、カラー画像の色により、チキン、ステーキ、ポークなどを識別することにより、認識精度を向上させることが可能である。なお、載置テーブル12上の領域を調理物の種類ごとに予め分けておけば、ラベリング処理のみで調理物の種類と位置とを認識することも可能である。
【0095】
また、認識部70dは、取得部70cが取得したカラー画像に基づき、皿の種類と位置を認識する。例えば、認識部70dは、載置テーブル14上の画像に対してラベリング処理を行い皿の位置座標を認識する。続けて認識部70dは、皿の位置座標に対応するラベリング領域に対して一般的な認識処理を行い、形状が楕円又は円であればハンバーグ12a用の載置皿14aであると認識し、方形であればステーキ12bの載置皿14bであると認識する。なお、載置テーブル14上の領域を調理物の種類ごとに分けておけば、ラベリング処理のみで載置皿の種類と位置とを認識することも可能である。
【0096】
表示制御部70eは、ロボットアーム50の処理動作の内容を表示装置40に表示する。例えば、表示制御部70eは、認識部70d及び調理指示装置30の情報に基づき、「載置テーブル12上からハンバーグ12aを加熱領域Aに搬送中である」、「5分後に加熱領域Aのハンバーグ12aを反転させる」、「加熱領域Aからハンバーグ12aを載置テーブル14上のハンバーグ12a用の載置皿14aに搬送中である」などの定型文を表示装置40に表示する。
【0097】
以上が本実施形態に係る構成の説明であるが、以下に本実施形態に係る調理システム1の動作例を詳細に説明する。
【0098】
図17は、第4実施形態による調理システム1の処理動作を説明するフローチャートである。ここでは、店舗システム90が注文を受けてからの処理例を説明する。
【0099】
まず、データサーバ100は、店舗システム90から送信された注文データを受信し(ステップS500)、記憶部100aに記憶する。続けて、データ処理部100bは、注文データから調理物の種類を抽出し、配膳時間の情報などに基づき、加熱調理の開始順に記憶部100aに記憶する。調理指示装置30及び制御装置70のそれぞれは、記憶部100aに記憶された情報に基づき、次に調理する調理物の種類を取得する。
【0100】
次に、制御装置70の取得部70cは、第2撮像装置60が撮像したカラー画像を取得する(ステップS502)。続けて、認識部70dは、取得部が取得したカラー画像に基づき、調理物の種類と位置を認識する(ステップS504)。
【0101】
次に、制御部70bは、調理指示装置30から加熱領域A~Fごとの加熱時間の情報を取得する(ステップS506)。制御部70bは、認識部70dの認識結果に基づき、ロボットアーム50を制御し、載置テーブル12上の調理対象である調理物を把持する。続けて、制御部70bは、ロボットアーム50を制御して、加熱領域A~Fの中で加熱時間が最も短い加熱領域に調理物を搬送する(ステップS508)。
【0102】
次に、制御部70bは、加熱領域に調理物を載置してから調理物を裏返しにする第1時間が経過したか否かを判定する(ステップS510)。第1時間が経過していない場合(ステップS510のNO)、ステップS510の処理を繰り返す。一方で、第1時間が経過した場合、制御部70bは、ロボットアーム50を制御し、加熱領域における調理物の上面と下面を入れ替える(ステップS512)。
【0103】
次に、制御部70bは、加熱領域に調理物を載置してから加熱時間である第2時間が経過したか否かを判定する(ステップS514)。第2時間が経過していない場合(ステップS514のNO)、ステップS514の処理を繰り返す。一方で、第2時間が経過した場合、認識部70dは、取得部が取得したカラー画像に基づき、皿の種類と位置を認識する(ステップS516)。続けて、制御部70bは、ロボットアーム50を制御し、加熱領域の調理物を載置テーブル14上の対応する皿に搬送する(ステップS518)。表示制御部70eは、調理対象物の加熱調理が終了したことを表示装置40に表示し(ステップS520)、全体処理を終了する。
【0104】
以上のように、本実施形態によれば、データサーバ100が、携帯端末80から店舗システム90を介して送信された注文データの中より調理対象である調理物を抽出する。続けて、制御部70bは、認識部70dの認識結果に基づき、ロボットアーム50を制御し、載置テーブル12上の調理対象である調理物を加熱領域に搬送する。また、制御部70bは、調理指示装置30の情報に基づき、調理物の加熱処理の終了を判断する。そして、制御部70bは、認識部70dの認識結果に基づき、ロボットアーム50を制御し、加熱領域にある調理物を載置テーブル14上の対応する皿に搬送する。このように、携帯端末80に注文を入力すると、注文データに含まれる調理物をロボットアーム50により自動的に加熱操作し、加熱処理を終えた調理物を載置テーブル14上の対応する皿に搬送することが可能となる。これにより、調理者が調理物を加熱処理する手間が無くなり、より効率的に調理物の調理を行うことが可能となる。
【0105】
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0106】
1:調理システム、10:調理器、30:調理指示装置、40:表示装置、50:ロボットアーム、70:制御装置、308:入力部、310:検知部、312:指示部、314:表示制御部、316:載置検知部、318:認識部。